南無なむ

南無なむ（なむ、なも）とは、敬意けいい、尊敬そんけい、崇敬すうけいをあらわすサンスクリット語かたりの間投詞かんとうし「ナモ（नम namo）」を音おと写うつした漢かん訳やく仏教ぶっきょう語ごであり「那な謨」とも音おと写うつされる。「ナモ」は、「ナマハ（नमः namaḥ）」の語末ごまつが連声れんじょう（サンディ）によって変化へんかした形かたちであり、「ナマハ」には「曩莫・南みなみ麼（なうまく）」という音おと写うつしが与あたえられる。また、音おと写うつしではなく意味いみを取とって「帰命きみょう」と訳やくされることもある。一般いっぱんに帰依きえの同義語どうぎごとして使つかわれる。

ヒンディー語ごでの用例ようれい

ナマステー

ナマステー（नमस्ते）は、「ナマス（namas 礼れいします） + テー（te あなたに対たいして）」（teは二人称ににんしょう単数たんすう与格よかくの附帯ふたい辞やめ、また子音しいんtの前まえに来くるために連声れんじょうによってnamaḥの語末ごまつがsとなっている）というサンスクリット語句ごく（貴方あなたに敬礼けいれいします）に由来ゆらいし、ヒンディー語ごでは「こんにちは・さようなら」「ありがとう」といった日常にちじょうの挨拶あいさつ言葉ことばとして用もちいられる（日本語にほんごの「どうも」ほど軽々かるがるしくはないが機能きのうとしてはそれに近ちかい）。「帰命きみょう」という漢かん訳やくから連想れんそうされるような強つよく宗教しゅうきょう的てきな意味いみで使用しようされているわけでは必かならずしもない。ヒンドゥー教きょう徒と・仏教ぶっきょう徒と・ジャイナ教きょう徒との間あいだで使つかわれ、イスラム教いすらむきょう徒とやシーク教きょう徒とは通常つうじょう使つかわない。

ナマスカール

ナマスカール（नमस्कार）は、ナマステーの丁寧ていねいな形かたちであり、年長ねんちょう者しゃや尊敬そんけいすべき相手あいてに対たいして、また宗教しゅうきょう的てき文脈ぶんみゃくに於おいて、特とくに用もちいられる。

仏教ぶっきょうでの用例ようれい

浄土じょうど教きょう

浄土じょうど教きょうにおいては南無なむは「おまかせいたします」という信仰しんこう対象たいしょうへの自己じこの帰投きとう、または信仰しんこう告白こくはくを意味いみする。

名号みょうごう

浄土宗じょうどしゅう及および多おおくの浄土真宗じょうどしんしゅう系列けいれつ宗派しゅうはでは阿弥陀あみだ仏ほとけに南無なむを付つけて南無阿弥陀仏なむあみだぶつ（なむあみだぶつ、浄土真宗じょうどしんしゅう本願寺ほんがんじ派はではなもあみだぶつ）と称たたえる。

時宗じしゅうでは南無阿弥陀仏なむあみだぶつ（なもあみだぶ）と唱となえさえすれば、往生おうじょうできるとされる。

日蓮宗にちれんしゅうでは南無妙法蓮華経なむみょうほうれんげきょう（なむみょうほうれんげきょう）と唱となえる。 日蓮にちれん正宗まさむねでは題目だいもくは（なんみょうほうれんげきょう）と唱となえる。

真言宗しんごんしゅうでは南無なむ（または、南無なむ大師だいし）遍照金剛へんじょうこんごう（へんじょうこんごう）と唱となえる。

禅宗ぜんしゅうでは南無なむ本ほん師し釈迦如来しゃかにょらい大だい和尚おしょう（ほんすしきゃじらいだいおしょう）、南無なむ本ほん師し釈迦牟尼しゃかむに如来にょらい（ほんししゃかむににょらい）と唱となえることがある。

中国ちゅうごく、台湾たいわんの仏教ぶっきょうでは「南無なむ」をそれぞれ「拼音: nāmó、ナーモー」、「拼音: námó、ナーモー」と読よませ、現代げんだい中国ちゅうごく語ごの通常つうじょうの漢字かんじ音おん「nán」、「wú」とは異ことなる特殊とくしゅ音おんとなっている。唱となえる時ときは「南無なむ阿彌陀あみだ」か「阿彌陀あみだ佛ふつ」の形かたちで用もちいられることが多おおい。

南無なむ三さん

南無なむ三さん（なむさん）とは、仏教ぶっきょうで南無三宝なむさんぼう（なむさんぽう）の略りゃく。三宝さんぽうとは仏ふつ、法ほう、僧そうのこと。咄嗟とっさの危難きなんに対たいして助たすけを乞こうまじないとして使用しようされることもある。

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