(Translated by https://www.hiragana.jp/)
昭和史発掘 - Wikipedia コンテンツにスキップ

昭和しょうわ発掘はっくつ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
昭和しょうわ発掘はっくつ
著者ちょしゃ 松本まつもと清張せいちょう
発行はっこう 1965ねん - 1972ねん
発行はっこうもと 文藝春秋ぶんげいしゅんじゅうしんしゃ
ジャンル ノンフィクション
くに 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
前作ぜんさく 現代げんだい官僚かんりょうろん
つぎさく きょぶね
[ ウィキデータ項目こうもく編集へんしゅう ]
テンプレートを表示ひょうじ

昭和しょうわ発掘はっくつ』(しょうわしはっくつ)は、松本まつもと清張せいちょうによるノンフィクション作品さくひん1964ねん7がつ6にちごうから1971ねん4がつ12にちごうまで『週刊文春しゅうかんぶんしゅん』に連載れんさいされた。発行はっこう部数ぶすうは300まん突破とっぱしている[1]。1967ねんだい1かい吉川よしかわ英治えいじ文学ぶんがくしょう、1970ねんだい18かい菊池きくちひろししょう受賞じゅしょう作品さくひん

田中たなか義一ぎいち陸軍りくぐん機密きみつ問題もんだいから日本にっぽん近代きんだい分岐ぶんきてんとらえた二・二六事件ににろくじけんまでを、関係かんけいしゃへの取材しゅざい膨大ぼうだい史料しりょう駆使くししてえがいている。

内容ないよう[編集へんしゅう]

  • 数字すうじ収録しゅうろく巻数かんすう、ーは収録しゅうろくしめす。
はなしすう タイトル 単行本たんこうぼん
(1965ねん-72ねん)
松本まつもと清張せいちょう全集ぜんしゅう
(1973ねん)
文春ぶんしゅん文庫ぶんこ旧版きゅうばん
(1978ねん-79ねん)
文春ぶんしゅん文庫ぶんこ新装しんそうばん
(2005ねん)
1 陸軍りくぐん機密きみつ問題もんだい 1 1 1
2 石田いしだ検事けんじ怪死かいし 1 32 1 1
3 ぼくれつ大逆だいぎゃく事件じけん 1 32 1 1
4 芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけ 2 32 2 1
5 北原きたはらとうそつ直訴じきそ 2 32 2 1
6 さんいち共産党きょうさんとう検挙けんきょ 2 32 2 2
7 まんしゅうぼう重大じゅうだい事件じけん 3 3 2
8 佐分利さぶり公使こうし怪死かいし 3 32 3 2
9 潤一郎じゅんいちろう春夫はるお 3 32 3 2
10 天理てんり研究けんきゅうかい事件じけん 4 32 4 2
11 さくらかい」の野望やぼう 4 4 3
12 いち事件じけん 4 4 3
13 スパイ"M"謀略ぼうりゃく 5 32 5 3
14 小林こばやし多喜二たきじ 5 5 4
15 京都大きょうとだいがく墓碑銘ぼひめい 6 6 4
16 政治せいじ妖雲よううん・穏田の行者ぎょうじゃ
17 天皇てんのう機関きかんせつ 6 6 4
18 「おこい事件じけん
19 陸軍りくぐん士官しかん学校がっこう事件じけん 6 6 4
20 二・二六事件ににろくじけん 相沢あいざわ事件じけん 7 7 5
21 軍閥ぐんばつ暗闘あんとう 7 7 5
22 相沢あいざわ公判こうはん 8 8 5
23 きた西田にしだ青年せいねん将校しょうこう運動うんどう 8 8 6
24 安藤あんどう大尉たいい山口やまぐち大尉たいい 9 9 6
25 がつじゅうにちよる 9 9 6
26 襲撃しゅうげき 10 10 7
27 諸子しょし行動こうどう 10 10 7
28 占拠せんきょ戒厳かいげんれい 11 11 7
29 奉勅ほうちょく命令めいれい 11 11 8
30 崩壊ほうかい 11 11 8
31 特設とくせつ軍法ぐんぽう会議かいぎ 12 12 8
32 秘密ひみつ審理しんり 12 12 9
33 判決はんけつ 13 13 9
34 終章しゅうしょう 13 13 9
  • 単行本たんこうぼんだい13かん末尾まつびには、74ページにわたる全巻ぜんかん人名じんめい索引さくいんされているが、文庫ぶんこ新装しんそうばんでは索引さくいん省略しょうりゃくされている。内容ないようくわしい検討けんとうのぞひと留意りゅういされたい。

単行本たんこうぼん収録しゅうろく作品さくひん[編集へんしゅう]

単行本たんこうぼんさいろくされなかったものに以下いかの2へんがある(『対談たいだん 昭和しょうわ発掘はっくつ文春ぶんしゅん新書しんしょ、2009ねん、および『昭和しょうわ発掘はっくつ 特別とくべつへん文春ぶんしゅん学藝がくげいライブラリー、2019ねん、にさいろく)。

  • だい16政治せいじ妖雲よううん・穏田の行者ぎょうじゃ」『週刊文春しゅうかんぶんしゅんだい9かんだい1 - 2ごう(1967ねん1がつ2にちごう - 1がつ9・16にち合併がっぺいごう) - 飯野いいの吉三郎きちさぶろう
  • だい18「「おこい事件じけん」『週刊文春しゅうかんぶんしゅんだい9かんだい14 - 19ごう(1967ねん4がつ10にちごう - 5月15にちごう) - 1934ねんこった事件じけん小山こやま松吉まつきち法相ほうしょう検事けんじ総長そうちょう時代じだい赤坂あかさか待合まちあいこいじゅう」で接待せったいけた、として岡本おかもと一巳かずみ代議士だいぎしらにより告発こくはつされたが、ぎゃく岡本おかもと誣告ぶこくとして有罪ゆうざいとなった。「こいじゅう」の女将おかみが、もと芸妓げいぎかつら太郎たろう愛妾あいしょうであったこいこと安藤あんどうてるであり、彼女かのじょ小山こやまが「こいじゅう」にたことを証言しょうげんした(のち偽証ぎしょう有罪ゆうざい)ことからこのがある。

担当たんとう編集へんしゅうしゃであった藤井ふじいやすしさかえによれば、この2へんはもともと当初とうしょ予定よていにはなく、番外ばんがいへんのつもりでかれたもので、単行本たんこうぼんさいしては松本まつもと自身じしんから「あのほんははずす」という指示しじがあったという[2]

エピソード[編集へんしゅう]

  • 当時とうじ文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう在職ざいしょくしていた半藤はんどう一利かずとしは、『日本にっぽんくろきり連載れんさいの『文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう編集へんしゅうちょうどうさく仕掛しかじんとされる田川たがわ博一ひろかずが『週刊文春しゅうかんぶんしゅん』に異動いどうし、清張せいちょうしたしかった田川たがわ池島いけじま信平しんぺいともに、同誌どうしへのほんさく連載れんさいめたと推測すいそくしている[1]
  • 藤井ふじいやすしさかえは、連載れんさい前半ぜんはんの『週刊文春しゅうかんぶんしゅん編集へんしゅうちょうは「ひとつずつのしょうみじかいほうが、おれだってめる」とい、毎週まいしゅう「(連載れんさいを)とどめろ、はやとどめろ」と藤井ふじいたいしてったが、藤井ふじいは「でもわたし意地いじでも作家さっかにはいませんでした。びつけられてもききながしていたわけです」とし[3]、やがて編集へんしゅうちょう交代こうたいして「きなだけやれ」とったので、後半こうはんろく事件じけんながくなったとべている[4]
  • 藤井ふじいは「学者がくしゃくものは、ほとんどが、公的こうてき資料しりょうとか、のこっている資料しりょうたよる。自分じぶんたちでさがしてつけてくわけではないですから、そういうひと論文ろんぶんをいくらんでも、なんだかがゆいわけですよ。現実げんじつのことがりたいのにって。だから深入ふかいりしすぎて、あぶないこともあったんですけどね」とべ、連載れんさいちゅうには藤井ふじい右翼うよくされ、自宅じたくまでけられるなどのにあったが、「(清張せいちょうは)ぜんぜん平気へいき大丈夫だいじょうぶですかといても「そのときはそのとき」と、きもわっていました」とべている。くわえて、藤井ふじい北九州きたきゅうしゅう市立しりつ松本まつもと清張せいちょう記念きねんかん仕事しごとはじめて以降いこうも、「藤井ふじいさんに『おれはまだきているぞ』ってつたえろ」と院外団いんがいだん関係かんけいしゃからの接触せっしょくがあったことをかしている[4]
  • 考察こうさつ資料しりょうはしばしば専門せんもん研究けんきゅうしゃによって引用いんようされることもあるが、筒井つついきよしただしは「関係かんけいしゃのききとりをもとにしなければけないような有意義ゆういぎ情報じょうほうおおふくんでいるのだが、どこまでが確実かくじつ調査ちょうさもとづくもので、どこまでが推理すいりによるものなのか判然はんぜんとしないので、あつかいに慎重しんちょうようする」としている[5]

脚注きゃくちゅう出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 佐野さのひろし半藤はんどう一利かずとしごうはらひろしによる「週刊しゅうかん連載れんさい時代じだい松本まつもと清張せいちょう」(『松本まつもと清張せいちょう研究けんきゅうだい8ごう 北九州きたきゅうしゅう市立しりつ松本まつもと清張せいちょう記念きねんかん 2007ねん
  2. ^ 松本まつもと清張せいちょう昭和しょうわ発掘はっくつ 特別とくべつへん文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう文春ぶんしゅん学藝がくげいライブラリー〉、2019ねん8がつ10日とおか、8ぺーじISBN 978-4-16-813082-3 
  3. ^ 青山あおやま真治しんじ田中たなかまきわたるとの対談たいだん海峡かいきょう先輩せんぱいはるかな清張せいちょう」(『松本まつもと清張せいちょう研究けんきゅうだい15ごう 北九州きたきゅうしゅう市立しりつ松本まつもと清張せいちょう記念きねんかん 2014ねん
  4. ^ a b おもねかたな田高たたか保阪ほさかただしやすし山田やまだ有策ゆうさくとの対談たいだん多様たようなる松本まつもと清張せいちょう世界せかいへ」(『松本まつもと清張せいちょう研究けんきゅうだい19ごう 北九州きたきゅうしゅう市立しりつ松本まつもと清張せいちょう記念きねんかん 2018ねん
  5. ^ 筒井つついきよしちゅう昭和しょうわせん前期ぜんき政党せいとう政治せいじ』(ちくま新書しんしょ、2012ねん)67ぺーじ

関連かんれんしょ[編集へんしゅう]