河原崎かわらざき國太郎くにたろう (5代目だいめ)

河原崎かわらざき國太郎くにたろう（かわらさきくにたろう、新しん字体じたい：国太郎くにたろう、1909年ねん〈明治めいじ42年ねん〉10月14日にち-1990年ねん〈平成へいせい2年ねん〉10月11日にち）は、前進ぜんしん座ざの女形おんながたで俳優はいゆう。本名ほんみょう：松山まつやま太郎たろう（まつやまたろう）。屋号やごうは山崎やまざき屋や。

来歴らいれき・人物じんぶつ[編集へんしゅう]

両親りょうしんとも広島ひろしま県けんの出身しゅっしん。祖父そふ・渡辺わたなべ又また三郎さぶろうは広島ひろしま藩はん主あるじ浅野あさの家かに仕つかえ、維新いしん後ご、代言だいげん人じんから政治せいじ家かになり広島ひろしま市し会かい議長ぎちょう、第だい8代だい広島ひろしま市長しちょう、衆議院しゅうぎいん議員ぎいんなどを務つとめた^[1]^[2]^[3]。父ちち・松山まつやま省三しょうぞうはその三男さんなんで松山まつやま家かに養子ようし入はいり。リベラリストだった省三しょうぞうは政治せいじ家かになることを嫌いやがり、画家がかになるべく家族かぞくを連つれて1909年ねん上京じょうきょう。母はは・英子えいこは当時とうじ妊娠にんしん7ヵ月かげつで、上京じょうきょう直後ちょくごに生うまれたのが太郎たろう（国太郎くにたろう）である^[4]^[5]。このため東京とうきょう神田かんだの生うまれだが、国太郎くにたろう自身じしん「私わたしの故郷こきょうは広島ひろしま」と話はなしている^[4]。

1928年ねん、旧制きゅうせい立教りっきょう中学校ちゅうがっこう卒業そつぎょう後ご、二に代目だいめ市川いちかわ猿之助えんのすけに入門にゅうもん。市川いちかわ笑也えみやと名乗なのる。1928年ねん4月がつ初舞台はつぶたい。1931年ねん三さん代目だいめ三さん代目だいめ中村なかむら翫右衛門えもん、四よん代目だいめ河原崎かわらざき長十郎ちょうじゅうろうなどとともに前進ぜんしん座ざを結成けっせい。1932年ねん4月がつ五ご代目だいめ河原崎かわらざき國太郎くにたろうを襲名しゅうめい。1934年ねんの『お染しみの七なな役やく』で主演しゅえんしその才能さいのうが開花かいかした。

古風こふうな色気いろけのある芸げいで、南北なんぼくや黙阿弥もくあみの世話物せわものに本領ほんりょうを発揮はっき、特とくに『処女しょじょ翫浮名めい横よこ櫛くし』の切きられお富とみは、初演しょえん時じの三さん代目だいめ澤村さわむら田之助たのすけや明治めいじ大正たいしょうの四よん代目だいめ澤村さわむら源之助げんのすけによる悪あく婆ばば物ぶつの芸げいを伝つたえる役やくとして、高たかく評価ひょうかされた。他たの当あたり役やくは前期ぜんきの『お染しみの七なな役やく』での土手どてのお六ろく、『絵本えほん合法ごうほう衢』のうんざりお松まつ、『一本刀いっぽんがたな土俵入どひょういり』のお蔦つたなど。

晩年ばんねんは映画えいがやテレビドラマにも多おおく出演しゅつえんした。1990年ねん10月がつ11日にち、80歳さいで死去しきょ。河原崎かわらざきが死去しきょした際さい、息子むすこの松山まつやま英太郎えいたろうは癌がんで入院にゅういん中ちゅうで、父ちちの葬儀そうぎに参列さんれつできなかった。松山まつやまは翌年よくねんの1月がつ、父ちちの後のちを追おうように亡なくなった。

親族しんぞく[編集へんしゅう]

父ちちは洋画ようが家かの松山まつやま省三しょうぞう。妻つまは宝塚歌劇団たからづかかげきだん20期生きせいの鈴鹿すずかゆみ子こ、長男ちょうなんは俳優はいゆうの松山まつやま英太郎えいたろう、次男じなんは同おなじく俳優はいゆうの松山まつやま政路まさみち、次女じじょは日本にっぽん舞踊ぶよう家かの藤間とうま多た寿ことぶき史し（女優じょゆうの松山まつやま梨絵りえ）^[6]、孫まごは歌舞伎かぶき役者やくしゃの6代目だいめ河原崎かわらざき國太郎くにたろう、7代目だいめ嵐あらし芳三郎よしさぶろう、女優じょゆうの由夏ゆか、俳優はいゆうの芦田あしだ昌太郎しょうたろう、女優じょゆうの松山まつやま愛あい佳けいがいる。

映画えいが[編集へんしゅう]

『街まちの入墨いれずみ者しゃ』（1935年ねん、山中やまなか貞雄さだお監督かんとく）：お雪ゆき役やく^[7]
『戦国せんごく群盗ぐんとう伝でん』前後ぜんこう篇へん（1937年ねん、滝沢たきざわ英輔えいすけ監督かんとく）：土岐とき左衛門さえもん秀しゅう国こく役やく
『元禄げんろく忠臣蔵ちゅうしんぐら』前後ぜんこう篇へん（1941〜1942年ねん、溝口みぞぐち健二けんじ監督かんとく）：磯貝いそがい十郎左衛門じゅうろうざえもん役やく^[8]
『どっこい生いきてる』（1951年ねん、今井いまい正ただし監督かんとく）：大家たいかの山川やまかわ役やく^[8]
『箱根はこね風雲ふううん録ろく』（1952年ねん、山本やまもと薩夫監督かんとく）：快かい長ちょう僧正そうじょう役やく^[8]
『美女びじょと怪かい龍りゅう』（1955年ねん、吉村よしむら公こう三郎さぶろう監督かんとく）：早さ雲くも王子おうじ役やく^[9]^[8]
『男おとこはつらいよ私わたしの寅とらさん』（1973年ねん、山田やまだ洋次ようじ監督かんとく）：りつ子この恩師おんし役やく^[8]
『分校ぶんこう日記にっき　イーハトーブの赤あかい屋根やね』（1978年ねん、熊谷くまがい勲いさお監督かんとく）：校長こうちょう役やく^[10]
『スター・ウォーズ』（1978年ねん、ジョージ・ルーカス監督かんとく）：オビ＝ワン・ケノービ役やく
『スター・ウォーズ帝国ていこくの逆襲ぎゃくしゅう』（1980年ねん、アーヴィン・カーシュナー監督かんとく）：オビ＝ワン・ケノービ役やく
『父ちちよ母ははよ!』（1980年ねん、木下きのした惠めぐみ介かい監督かんとく）：児童じどう心理しんり学者がくしゃ役やく^[8]
『アッシイたちの街まち』（1981年ねん、山本やまもと薩夫監督かんとく）：坂田さかた役やく^[10]
『さくら隊たい散ちる』（1988年ねん、新藤しんどう兼人かねと監督かんとく）^[11]^[8]

テレビドラマ[編集へんしゅう]

『遠山とおやまの金きむさん捕物とりもの帳ちょう第だい80話わ「夢ゆめを見みた男おとこ」』（1972年ねん、NET、河野こうの寿一ひさいち演出えんしゅつ）：摂津せっつ屋嘉やか兵衛ひょうえ役やく
横溝よこみぞ正史せいしシリーズ『獄門ごくもん島とう』（1977年ねん、毎日放送まいにちほうそう、斎藤さいとう光正みつまさ演出えんしゅつ）：荒木あらき村長そんちょう役やく^[8]
坂部さかべぎんさんを探さがして下ください（1978年ねん10月がつ5日にち、読売よみうりテレビ） - 小泉こいずみ三次みつじ役やく

著書ちょしょ[編集へんしゅう]

『河原かわはらなでしこ自伝じでん・女形おんながたの世界せかい』理論りろん社しゃ 1955
『女形おんながた芸談げいだん』未み来社らいしゃ 1972
『演劇えんげきとは何なにか私わたしの歩あゆんだ芸げいの道みち』ポプラ社ぽぷらしゃ「ポプラ・ブックス」 1974
『女形おんながた百ひゃく役やく』菅野かんの梅うめ三郎さぶろう編へん矢来やらい書店しょてん 1975
『女形おんながたの道みちひとすじ』読売新聞よみうりしんぶん社しゃ 1979
『定本ていほん女形おんながた』東京とうきょう新聞しんぶん出版しゅっぱん局きょく 1987
『女形おんながた半生はんせい記き』新しん日本にっぽん出版しゅっぱん社しゃ 1991

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 河原崎かわらざき国太郎くにたろう『女形おんながた半はん世紀せいき』 34頁ぺーじ。新しん日本にっぽん出版しゅっぱん社しゃ 1991年ねん
^ 河原崎かわらざき国太郎くにたろう『河原かわはらなでしこ自伝じでん・女形おんながたの世界せかい』理論りろん社しゃ 1955年ねん 23頁ぺーじ。
^ 『広島ひろしま県けん大だい百科ひゃっか事典じてん＜下巻げかん＞』中国新聞社ちゅうごくしんぶんしゃ 1982年ねん 508頁ぺーじ。
^ ^a ^b 河原崎かわらざき国太郎くにたろう『河原かわはらなでしこ』 23頁ぺーじ。理論りろん社しゃ
^ 河原崎かわらざき国太郎くにたろう『演劇えんげきとは何なにか』10・11頁ぺーじ。ポプラ社ぽぷらしゃ 1974年ねん
^ “舞踊ぶよう家かの藤間とうま多た寿史ひさしさん死去しきょ７５歳さい、五ご代目だいめ河原崎かわらざき国太郎くにたろうの次女じじょ - スポニチ Sponichi Annex 芸能げいのう”. スポニチ Sponichi Annex(2015年ねん9月がつ16日にち). 2021年ねん9月がつ28日にち閲覧えつらん。
^ フィルム現存げんそんせず。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h DVDあり。
^ 歌舞伎かぶき十じゅう八はち番ばん『鳴神なるかみ』の映画えいが化か。
^ ^a ^b ビデオあり。
^ ドキュメンタリー。証言しょうげん者しゃの一人ひとりとして登場とうじょう。

典拠てんきょ管理かんりデータベース
全般ぜんぱん	FAST ISNI VIAF WorldCat
国立こくりつ図書館としょかん	スペインドイツアメリカ日本にっぽん