佐々木ささき昭一郎しょういちろう

佐々木ささき 昭一郎しょういちろう（ささき しょういちろう、1936年ねん1月がつ25日にち - 2024年ねん6月14日にち）は、映像えいぞう作家さっか、映画えいが監督かんとく、元もと日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかいドラマディレクターである。東京とうきょう都と出身しゅっしん。

経歴けいれき

立教大学りっきょうだいがく経済学部けいざいがくぶ卒業そつぎょう後ご、1960年ねんに日本にっぽん放送ほうそう協会きょうかい（NHK）に入局にゅうきょくし、芸能げいのう局きょくラジオ文芸ぶんげい部ぶでラジオドラマの演出えんしゅつを手てがけた。処女しょじょ作さくは『都会とかいの二ふたつの顔かお』（1963年ねん、ラジオテレビ記者きしゃ会かい年間ねんかん最優秀さいゆうしゅう作品さくひん賞しょう、芸術げいじゅつ祭さい奨励しょうれい賞しょう）。

1968年ねん、テレビドラマ部ぶに異動いどうし、『銀河ぎんがテレビ小説しょうせつ』のアシスタントディレクターなどを務つとめると同時どうじに多おおくの受賞じゅしょう作さくを生うんだ。

1995年ねんに定年ていねんもあってNHKを退すさ局きょく。その後ごはフリーディレクターとして活動かつどう。文教大学ぶんきょうだいがく情報じょうほう学部がくぶ教授きょうじゅとしても10年ねんにわたり教鞭きょうべんをとった。

2024年ねん6月14日にち未明みめい、神奈川かながわ県けん大和やまと市しの病院びょういんで肺炎はいえんのため死去しきょした。88歳さい没ぼつ。

演出えんしゅつの特徴とくちょう

ロケ先さき現地げんちの一般人いっぱんじんに演技えんぎをつけて撮影さつえいするドキュメンタリー調しらべの作風さくふうと、音おと・音楽おんがくの重視じゅうしが特徴とくちょうである。例たとえば『さすらい』ではフォークソング、『四季しき・ユートピアノ』ではピアノそしてマーラーの交響曲こうきょうきょく第だい四よん番ばん第だい一いち楽章がくしょうおよび第だい四よん楽章がくしょうが効果こうか的てきに使つかわれている。また『川かわの流ながれはバイオリンの音おと』ではヴァイオリンが繰くり返かえし扱あつかわれる。

主おもな作品さくひん

ラジオ作品さくひん以外いがいは全すべてテレビドラマである。これまでソフト化かは、『四季しき・ユートピアノ』のVHSソフトと、『コメット・イケヤ』のCDソフトだけであり、それ以外いがいはパッケージソフト化かされていない。ただし、中尾なかお幸世さちよ出演しゅつえん作さくのいくつかはNHKによって何なん度どか再さい放送ほうそうされ、2006年ねんにはデジタルCS放送ほうそうの日本にっぽん映画えいが専門せんもんチャンネルでテレビドラマ全ぜん作品さくひんや特別とくべつ番組ばんぐみが放送ほうそうされた。

現在げんざい、テレビ・ラジオ作品さくひんのいくつかは、NHKアーカイブスなど各地かくちのNHK施設しせつにある番組ばんぐみ公開こうかいライブラリーで視聴しちょう可能かのうである。またそれとは別べつに、横浜よこはまに所在しょざいする放送ほうそうライブラリーでも視聴しちょう可能かのうである。

2014年ねんに、20年ねん以上いじょうの沈黙ちんもくを破やぶる初はつの劇場げきじょう映画えいが作品さくひん『ミンヨン 倍音ばいおんの法則ほうそく』が全国ぜんこく公開こうかいされ、2016年ねんにDVDソフト化かされている。公開こうかい前後ぜんこうに合あわせてNHK BS プレミアムではいくつかのテレビドラマや特別とくべつ番組ばんぐみが放送ほうそうされた。

• マザー（1969年ねん・1971年ねん） - 初はつのテレビドラマ。モンテカルロ・テレビ祭さい最優秀さいゆうしゅう作品さくひん賞しょう。芸術げいじゅつ選奨せんしょう新人しんじん賞しょう。
• さすらい（1971年ねん） - 遠藤えんどう賢司けんじ、笠井かさい紀美子きみこ、友とも川かわかずき、栗田くりたひろみも登場とうじょう。文化庁ぶんかちょう芸術げいじゅつ祭さいテレビドラマ部門ぶもん大賞たいしょう。芸術げいじゅつ選奨せんしょう新人しんじん賞しょう。
• 夢ゆめの島しま少女しょうじょ（1974年ねん） - 中尾なかお幸世さちよのデビュー作さく。
• 紅あかい花はな（1976年ねん） - つげ義春よしはる作品さくひんをモチーフにした。文化庁ぶんかちょう芸術げいじゅつ祭さいテレビドラマ部門ぶもん大賞たいしょう。国際こくさいエミー賞しょう優秀ゆうしゅう作品さくひん賞しょう。全米ぜんべいでネットワーク放送ほうそう。
• 四季しき・ユートピアノ（1980年ねん） - 文化庁ぶんかちょう芸術げいじゅつ祭さいテレビドラマ部門ぶもん大賞たいしょう。放送ほうそう文化ぶんか基金ききん賞しょうドラマ番組ばんぐみ部門ぶもん本ほん賞しょう。ギャラクシー賞しょう。イタリア賞しょうテレビドラマ部門ぶもんグランプリ。国際こくさいエミー賞しょう優秀ゆうしゅう作品さくひん賞しょう。全米ぜんべいでネットワーク放送ほうそう。
• 川かわ3部ぶ作さく - オール海外かいがいロケ作品さくひん。
  • 川かわの流ながれはバイオリンの音おと 〜イタリア・ポぽー川がわ〜（1981年ねん） - 文化庁ぶんかちょう芸術げいじゅつ祭さいテレビドラマ部門ぶもん大賞たいしょう。イタリア市民しみん賞しょう。
  • アンダルシアの虹にじ 川がわ（リバー） スペイン編へん（1983年ねん）第だい21回かいプラハ国際こくさいテレビ祭さい最優秀さいゆうしゅう演出えんしゅつ賞しょう。
  • 春はる・音おとの光ひかり 川がわ（リバー） スロバキア編へん（1984年ねん） - 文化庁ぶんかちょう芸術げいじゅつ祭さいテレビドラマ部門ぶもん優秀ゆうしゅう賞しょう。芸術げいじゅつ選奨せんしょう文部もんぶ大臣だいじん賞しょう。毎日まいにち芸術げいじゅつ賞しょう。
• 東京とうきょう オン・ザ・シティー（1986年ねん）
• 夏なつのアルバム（1986年ねん）
• クーリバの木この下したで（1987年ねん）
• 鐘かねのひびき 〜プラハからヒロシマへ（1988年ねん）
• 七色なないろ村むら（1989年ねん） - 和歌山わかやま県けんの実在じつざいの村むらがモデル。バンフ国際こくさいテレビ祭さい特別とくべつ賞しょう。
• ヤン・レツル物語ものがたり 〜広島ひろしまドームを建たてた男おとこ（1991年ねん）
• パラダイス オブ パラダイス 〜母ははの声こえ〜（1993年ねん）
• 八はち月がつの叫さけび（1995年ねん）

映画えいが

• ミンヨン 倍音ばいおんの法則ほうそく（2014年ねん10月がつ11日にち）

ラジオドラマ

• 終電しゅうでんです（1962年ねん）
• 京浜けいひん国道こくどう（1963年ねん5月がつ24日にち、NHKラジオ第だい1放送ほうそう）
• こどもの季き節ぶし（1963年ねん9月がつ3日にち、NHKラジオ第だい2放送ほうそう「芸術げいじゅつ劇場げきじょう」）
• 手ては手て、足あしは足あし（1963年ねん10月がつ12日にち、NHKラジオ第だい2放送ほうそう「ラジオ小しょう劇場げきじょう」）
• 都会とかいの二ふたつの顔かお（1963年ねん12月、NHKラジオ第だい2放送ほうそう「ラジオ小しょう劇場げきじょう」） - ヒロインに当時とうじまだデビュー前まえで、文学ぶんがく座ざ養成ようせい所しょで研究けんきゅう生せいになる前まえに見習みならいをしていた宮本みやもと信子のぶこを起用きよう。ラジオテレビ記者きしゃ会かい年間ねんかん最優秀さいゆうしゅう作品さくひん賞しょう受賞じゅしょう。翌年よくねん、再さい放送ほうそうで芸術げいじゅつ祭さいに参加さんかし奨励しょうれい賞しょうを受賞じゅしょう。
• 猿さるの手て（1964年ねん8月がつ17日にち、NHKラジオ第だい1放送ほうそう「放送ほうそう劇げき」）
• 雪女ゆきおんな風土記ふどき（1964年ねん12月14日にち、NHKラジオ第だい1放送ほうそう「放送ほうそう劇げき」）
• 失礼しつれい番号ばんごう違ちがい……（1965年ねん2月がつ15日にち、NHKラジオ第だい1放送ほうそう「放送ほうそう劇げき」）
• 小ちいさな私わたしのサファイア（1965年ねん3月がつ11・12日にち、NHKラジオ第だい1放送ほうそう「芸能げいのうステージ」）
• いつも月曜日げつようびに……（1965年ねん4月がつ3日にち、NHKラジオ第だい1放送ほうそう「ラジオ小しょう劇場げきじょう(最終さいしゅう回かい)」）
• 白鷺しらさぎの飛とぶ日ひに…（1965年ねん4月がつ10日とおか、NHKラジオ第だい1放送ほうそう「放送ほうそう劇げき」）
• おはよう、インディア（1965年ねん12月19日にち、NHKラジオ第だい2放送ほうそう「芸術げいじゅつ劇場げきじょう」） - 脚本きゃくほんも担当たんとう。文部省もんぶしょう芸術げいじゅつ祭さいラジオドラマ部門ぶもん大賞たいしょう。
• 二十歳はたち（1966年ねん1月がつ15日にち、NHKラジオ第だい1放送ほうそう） - 寺山てらやま修司しゅうじ脚本きゃくほん。吉永よしなが小百合さゆりの成人せいじんを記念きねんして制作せいさくされた朗読ろうどく劇げき。１歳さいから20歳さいまでを寺山てらやま修司しゅうじの詩しによって1分ふんごとに辿たどっていく。
• コメット・イケヤ （1966年ねん8月がつ31日にち、NHK東京とうきょう「FM名作めいさく劇場げきじょう」） - ラジオドラマ。寺山てらやま修司しゅうじ脚本きゃくほん。イタリア賞しょうラジオドラマ部門ぶもんグランプリ。

資料しりょう・関連かんれん番組ばんぐみ

• 映像えいぞうの詩人しじん・佐々木ささき昭一郎しょういちろう 〜映像えいぞうの夢ゆめ、音おとの記憶きおく〜（2006年ねん6月がつ3日にち、日本にっぽん映画えいが専門せんもんチャンネル） - 佐々木ささき作品さくひんの特徴とくちょうを葛城かつらぎ哲郎てつろう、吉田よしだ秀夫ひでお、是枝これえだ裕和ひろかず、中尾なかお幸世さちよらが解説かいせつする。佐々木ささき本人ほんにんも出演しゅつえん。中尾なかおのこぼれ話ばなしも。
• 私わたしは人生じんせいを生いき、テレビを生いきる～“伝説でんせつの映像えいぞう作家さっか”佐々木ささき昭一郎しょういちろう 創造そうぞうの現場げんば～（NHK BSプレミアム、2014年ねん11月9日にち） - 『ミンヨン 倍音ばいおんの法則ほうそく』の制作せいさくに密着みっちゃくしたというドキュメンタリー番組ばんぐみ

著書ちょしょ

• 『創つくるということ』JICC出版しゅっぱん局きょく, 1982.3 新装しんそう増補ぞうほ版ばん 宝島社たからじましゃ, 2006.12 増補ぞうほ新版しんぱん 青土おうづち社しゃ, 2014.10
• 『八はち月がつの叫さけび』日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい, 1995.8
• 『ミンヨン倍音ばいおんの法則ほうそく シナリオ+ドキュメント』映うつ人ひと社しゃ, 2014.12

翻訳ほんやく

• オルガ・ストルスコバ『レツルの黙示録もくしろく』監訳かんやく. 日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい, 1995.7

関連かんれん項目こうもく

• 中尾なかお幸世さちよ
• NHKアーカイブス
  • 佐々木ささき作品さくひんが再ふたたび注目ちゅうもくされる契機けいきとなった番組ばんぐみ。『夢ゆめの島しま少女しょうじょ』が放送ほうそうされた際さいには、中尾なかお幸世さちよがスタジオゲストとして久々ひさびさにテレビ出演しゅつえんした。その後ごもこの枠わくで、『四季しき・ユートピアノ』『川かわの流ながれはバイオリンの音おと』が放送ほうそうされた。

外部がいぶリンク

• 映画えいが『ミンヨン 倍音ばいおんの法則ほうそく』オフィシャルサイト
• RESPECT 佐々木ささき昭一郎しょういちろう - 日本にっぽん映画えいが専門せんもんチャンネルの特集とくしゅう記事きじ
• ほぼ日刊にっかんイトイ新聞しんぶん　伝説でんせつの映像えいぞう作家さっか佐々木ささき昭一郎しょういちろうさんに訊きく　物語ものがたりとは何なにか。
• 微ほろ音おと空間くうかん - 中尾なかお幸世さちよのファンサイト