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前 登志夫(まえ としお、1926年(大正15年)1月1日 - 2008年(平成20年)4月5日)は、日本の歌人。本名、前 登志晃(まえ としあき)。日本芸術院会員。短歌結社「山繭の会」主宰。
奈良県吉野郡下市町広橋にて、父理策、母可志の二男として誕生。旧制奈良中学(現・奈良県立奈良高等学校)に入学。同志社大学経済学部に入学するが、1945年(昭和20年)に応召、大学は中退。戦後まもなく詩作を始め、フランスやドイツの詩を学ぶ一方、柳田國男や折口信夫の民俗学にも傾倒した。1951年(昭和26年)に吉野に戻り、前川佐美雄を訪問。1956年(昭和31年)、詩集『宇宙駅』を刊行したが、やがて短歌に転じ、前川に師事。
1955年(昭和30年)、『樹』50首で第1回角川短歌賞最終候補(安騎野志郎名義)。1958年(昭和33年)に、角川書店『短歌』四月号にて、塚本邦雄・上田三四二らと座談会「詩と批評をめぐって」に参加。1964年(昭和39年)第一歌集『子午線の繭』出版。この頃より、テレビ・新聞・雑誌等で吉野を語ることが多くなる。1974年(昭和49年)大阪の金蘭短期大学助教授に就任。1980年(昭和55年)に歌誌『ヤママユ』創刊、2006年(平成18年)に第20号を刊行。1983年(昭和58年)以降、吉野に住み家業の林業に従事しながら、同地を中心に活動を展開。アニミズム的な宇宙観・生命観を表現した短歌を詠み続けた。歌集のほかに、吉野をテーマとしたエッセイ集も多数執筆した。2005年(平成17年)、日本芸術院会員となる。
門下に、櫟原聰・萩岡良博・小林幸子・喜多弘樹・小谷陽子・福井和子などがいる。
- 宇宙駅 昭森社, 1956
- 吉野紀行 角川文庫書店, 1967. -- (角川文庫)
- 山河慟哭 朝日新聞社, 1976
- 存在の秋 小沢書店, 1977 のち講談社文芸文庫
- 吉野日記 角川書店、1983
- 樹下三界 角川書店, 1986
- 万葉びとの歌ごころ 日本放送出版協会, 1986 (NHK市民大学)
- 吉野遊行抄 角川書店, 1987
- 吉野鳥雲抄 角川書店, 1989
- 吉野風日抄 角川書店, 1991
- 森の時間 新潮社, 1991, 冨山房インターナショナル 2014
- 吉野山河抄 角川書店、1993
- 木々の声 角川書店、1996
- 明るき寂寥 岩波書店, 2000
- 病猪の散歩 日本放送出版協会、2004
- 歌のコスモロジー 数奇と伝統 本阿弥書店, 2004
- 前川佐美雄全集. 第3卷(散文),前川佐美雄, 塚本邦雄, 山中智惠子, 前登志夫, 佐佐木幸綱, 吉岡治, 前川佐重郎 監修,砂子屋書房,2008.3
- 羽化堂から,前登志夫,日本放送出版協会,2009
- 林中鳥語,前登志夫,ながらみ書房,2009.1
- 魂の居場所を求めて, 白洲正子, 前登志夫,河出書房新社,2014
- 子午線の繭(第一歌集), 白玉書房, 1964
- 霊異記 前登志夫歌集 白玉書房, 1972
- 非在 自選歌集 短歌新聞社, 1976
- 繩文紀 歌集 白玉書房, 1977
- 前登志夫歌集 国文社、1978
- 前登志夫歌集 小沢書店, 1981
- 樹下集 小沢書店, 1987
- 鳥獣虫魚 小沢書店, 1992
- 青童子 短歌研究社, 1997
- 流轉 砂子屋書房, 2002
- 鳥總立 砂子屋書房, 2003
- 前登志夫歌集 短歌研究社, 2005
- 落人の家 : 前登志夫歌集 ヤママユ叢書 第77篇,前登志夫,雁書館,2007
- 大空の干瀬 : 前登志夫歌集 ヤママユ叢書 第85篇,前登志夫,角川書店,2009.4.
- 野生の聲(歌集),前登志夫,本阿弥書店,2009.11.
- 前登志夫全歌集, 前登志夫, 短歌研究社,2013
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太字は恩賜賞受賞者。名跡は受賞時のもの。表記揺れによる混乱を避けるため漢字は便宜上すべて新字体に統一した。 |