黒井くろい千次せんじ

黒井くろい 千次せんじ （くろい せんじ）
文化ぶんか功労こうろう者しゃ顕彰けんしょうに際さいして 公表こうひょうされた肖像しょうぞう写真しゃしん
誕生たんじょう	(1932-05-28) 1932年ねん5月28日にち（92歳さい） 日本にっぽん・東京とうきょう府ふ豊ゆたか多摩たま郡ぐん高井戸たかいど町まち （現げん東京とうきょう都と杉並すぎなみ区く）
職業しょくぎょう	小説しょうせつ家か
言語げんご	日本語にほんご
国籍こくせき	日本にっぽん
教育きょういく	学士がくし（経済けいざい学がく）
最終さいしゅう学歴がくれき	東京大学とうきょうだいがく経済学部けいざいがくぶ
活動かつどう期間きかん	1958年ねん -
ジャンル	小説しょうせつ
文学ぶんがく活動かつどう	内向ないこうの世代せだい
代表だいひょう作さく	『時間じかん』（1969年ねん） 『五ご月がつ巡歴じゅんれき』（1977年ねん） 『春はるの道標どうひょう』（1981年ねん） 『群棲ぐんせい』（1984年ねん） 『カーテンコール』（1994年ねん） 『一いち日にち 夢ゆめの柵しがらみ』（2006年ねん）
主おもな受賞じゅしょう歴れき	芸術げいじゅつ選奨せんしょう新人しんじん賞しょう（1970年ねん） 谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう賞しょう（1984年ねん） 読売よみうり文学ぶんがく賞しょう（1995年ねん） 日本にっぽん芸術げいじゅつ院いん賞しょう（2000年ねん） 毎日まいにち芸術げいじゅつ賞しょう（2001年ねん） 野間のま文芸ぶんげい賞しょう（2006年ねん） 旭日きょくじつ中ちゅう綬章じゅしょう（2008年ねん）
デビュー作さく	『青あおい工場こうじょう』（1958年ねん）
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黒井くろい 千次せんじ（くろい せんじ、1932年ねん5月28日にち - ）は、日本にっぽんの小説しょうせつ家か。本名ほんみょう、長部おさべ 舜二郎しゅんじろう（おさべ しゅんじろう）。サラリーマン生活せいかつの傍かたわら執筆しっぴつ生活せいかつを始はじめ、「内向ないこうの世代せだい」を代表だいひょうする作家さっかの一人ひとりと目めされた。大だい企業きぎょうの組織そしきを見みつめ、労働ろうどう者しゃの人間にんげん疎外そがいを主題しゅだいとした作品さくひんを多数たすう執筆しっぴつしたが、『春はるの道標どうひょう』など自伝じでん的てきな青春せいしゅん小説しょうせつでも好評こうひょうを得えた。日本にっぽん芸術げいじゅつ院いん会員かいいん、文化ぶんか功労こうろう者しゃ。日本にっぽん文芸ぶんげい家か協会きょうかい理事りじ長ちょう、日本にっぽん芸術げいじゅつ院いん院長いんちょうを務つとめた。

来歴らいれき・人物じんぶつ

東京とうきょう府ふ下した高円寺こうえんじに、検察官けんさつかんでのち最高裁さいこうさい判事はんじとなる長部おさべ謹吾きんごの次男じなんとして生うまれる。都立とりつ西にし高校こうこうから1955年ねん東京大学とうきょうだいがく経済学部けいざいがくぶ卒業そつぎょう、富士重工業ふじじゅうこうぎょうへ入社にゅうしゃし、サラリーマン生活せいかつのかたわら、創作そうさくを行おこなう。新しん日本にっぽん文学ぶんがく会かいに入はいり、1958年ねんに『青あおい工場こうじょう』を発表はっぴょうし、当時とうじの労働ろうどう者しゃ作家さっかの有望ゆうぼう株かぶとして、八幡やはたの佐さ木き隆三りゅうぞう、長崎ながさきの中里なかさと喜昭よしあきたちとともに注目ちゅうもくされた。また、『文学ぶんがく界かい』に『メカニズムNo.1』を執筆しっぴつ。労働ろうどう現場げんばの矛盾むじゅんを心理しんり的てきな側面そくめんから描えがく手法しゅほうで注目ちゅうもくされた。

1968年ねんに『聖せい産業さんぎょう週間しゅうかん』で芥川賞あくたがわしょう候補こうほとなり、1970年ねんに『時間じかん』で芸術げいじゅつ選奨せんしょう新人しんじん賞しょう受賞じゅしょう。同年どうねんに富士重工ふじじゅうこうを退社たいしゃ、作家さっか活動かつどうに専念せんねん。この時とき、会社かいしゃ側がわから社業しゃぎょうに専念せんねんできない人物じんぶつを会社かいしゃは雇やとうつもりはないと言いわれたという。その後ご、1984年ねんに『群棲ぐんせい』で谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろう賞しょう、1995年ねんに『カーテンコール』で読売よみうり文学ぶんがく賞しょう（小説しょうせつ部門ぶもん）、2000年ねん日本にっぽん芸術げいじゅつ院いん会員かいいん、2001年ねんに『羽根はねと翼つばさ』で毎日まいにち芸術げいじゅつ賞しょう、2006年ねんに『一いち日にち 夢ゆめの柵しがらみ』で野間のま文芸ぶんげい賞しょうをそれぞれ受賞じゅしょう。2010年ねん芸術げいじゅつ院いん第だい二に部ぶ部長ぶちょう。2014年ねん日本にっぽん芸術げいじゅつ院長いんちょう（2020年ねんまで）、同年どうねん秋あきに文化ぶんか功労こうろう者しゃ。2018年ねん正月しょうがつに宮中きゅうちゅう歌会うたかい始はじめの召人を務つとめた。

1987年ねんから2012年ねんまで芥川賞あくたがわしょうの選考せんこう委員いいんを務つとめた。他たに伊藤いとう整せい文学ぶんがく賞しょう（2014年ねんまで）、毎日まいにち芸術げいじゅつ賞しょう選考せんこう委員いいん、文化放送ぶんかほうそう番組ばんぐみ審議しんぎ会かい委員いいん長ちょうを務つとめた。日本にっぽん文藝ぶんげい家か協会きょうかいの理事りじ長ちょうも2002年ねんから2007年ねんまで務つとめていた。

阿おもね刀かたな田高たたかとは高校こうこうの文芸ぶんげい部ぶ時代じだいの知己ちき。遠藤えんどう周作しゅうさくと共ともに「宇宙うちゅう棋院」を主宰しゅさい。

日本にっぽん中国ちゅうごく文化ぶんか交流こうりゅう協会きょうかい副ふく会長かいちょう・理事りじ長ちょうを経へて会長かいちょう。

著書ちょしょ

• 『時間じかん』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1969、のち角川かどかわ文庫ぶんこ、のち講談社こうだんしゃ文芸ぶんげい文庫ぶんこ
• 『見知みしらぬ家路いえじ』（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう） 1970
• 『時じの鎖くさり』（新潮社しんちょうしゃ） 1970、のち集英社しゅうえいしゃ文庫ぶんこ
• 『仮構かこうと日常にちじょう』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1971
• 『メカニズムNo.1』（三笠みかさ書房しょぼう） 1971
• 『走はしる家族かぞく』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1971、のち集英社しゅうえいしゃ文庫ぶんこ
• 『失うしなうべき日ひ』（集英社しゅうえいしゃ） 1972、のち文庫ぶんこ
• 『黒井くろい千次せんじ集しゅう』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ、新鋭しんえい作家さっか叢書そうしょ）1972
• 『夢ゆめのいた場所ばしょ』（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう） 1973
• 『夜よるのぬいぐるみ』（冬樹ふゆき社しゃ） 1973
• 『彼かれと僕ぼくと非ひ現実げんじつ』（講談社こうだんしゃ） 1973
• 『風ふうの絵本えほん』（講談社こうだんしゃ） 1974、のち文庫ぶんこ
• 『昼ひるの目めと夜よるの耳みみ』（潮出版社うしおしゅっぱんしゃ） 1974
• 『風ふうの中なかの紙かみ飛行機ひこうき』（大和やまと書房しょぼう） 1974
• 『眼めの中なかの町まち』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1975
• 『歩行ほこうする手て』（平凡社へいぼんしゃ） 1975
• 『禁きん域いき』（新潮社しんちょうしゃ） 1977
• 『五ご月がつ巡歴じゅんれき』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1977　のち文庫ぶんこ、のち講談社こうだんしゃ文芸ぶんげい文庫ぶんこ
• 『美うつくしき繭まゆ』（北洋ほくよう社しゃ） 1977
• 『小説しょうせつ家かの時計とけい』（構想こうそう社しゃ） 1977
• 『家いえ兎うさぎ』（講談社こうだんしゃ） 1978
• 『家族かぞく展覧てんらん会かい』（集英社しゅうえいしゃ） 1979
• 『冬ふゆの手紙てがみ』（中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ） 1980
• 『任意にんいの一いち点てん』（彌生やよい書房しょぼう） 1980
• 『春はるの道標どうひょう』（新潮社しんちょうしゃ） 1981、のち文庫ぶんこ、のち小学館しょうがくかん
• 『父ちちたちのい分いぶん』（新潮社しんちょうしゃ） 1981
• 『働はたらくということ』（講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ） 1982
• 『記録きろくを記録きろくする』（福武書店ふくたけしょてん） 1982
• 『群棲ぐんせい』（講談社こうだんしゃ） 1984、のち文芸ぶんげい文庫ぶんこ
• 『隠かくれ鬼おに』（新潮社しんちょうしゃ） 1984
• 『永遠えいえんなる子供こども エゴン・シーレ』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 1984
• 『星ほしからの1通話つうわ』（講談社こうだんしゃ） 1984、のち文庫ぶんこ
• 『空そらの地図ちず 創作そうさく論ろんノート』（筑摩書房ちくましょぼう） 1985
• 『草くさの中なかの金かねの皿さら』（花はな曜社） 1985
• 『石いしの落葉らくよう 読書どくしょ論ろんノート』（筑摩書房ちくましょぼう） 1986
• 『五ご十じゅう代だいの落書らくがき』（講談社こうだんしゃ） 1986
• 『眠ねむれる霧きりに』（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう） 1987
• 『北きた向むきの窓まどから』（朝日新聞社あさひしんぶんしゃ） 1987
• 『風かぜの履はく靴くつ』（新潮社しんちょうしゃ） 1988
• 『たまらん坂ざか 武蔵野むさしの短篇たんぺん集しゅう』（福武書店ふくたけしょてん） 1988、のち文庫ぶんこ、のち講談社こうだんしゃ文芸ぶんげい文庫ぶんこ
• 『穴あなと空そら』（成瀬なるせ書房しょぼう） 1988
• 『銀座ぎんざ物語ものがたり』（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう） 1989
• 『黄金おうごんの樹き』（新潮社しんちょうしゃ） 1989、のち小学館しょうがくかん - 『春はるの道標どうひょう』の続編ぞくへん
• 『指ゆび・涙なみだ・音おと』（講談社こうだんしゃ） 1989
• 『捨すてられない日ひ』（読売新聞社よみうりしんぶんしゃ） 1992
• 『自画像じがぞうとの対話たいわ』（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう） 1992
• 『K氏しの秘密ひみつ』（新潮社しんちょうしゃ） 1993
• 『カーテンコール』（講談社こうだんしゃ） 1994、のち文庫ぶんこ
• 『嘘うそ吐はき』（新潮社しんちょうしゃ） 1995
• 『老おいの時間じかんの密度みつど』（角川書店かどかわしょてん） 1995
• 『夜更よふけの風呂場ふろば』（彌生やよい書房しょぼう） 1996
• 『戯曲ぎきょくの窓まど・小説しょうせつの扉とびら』（白水しろみず社しゃ） 1996
• 『珈琲こーひー記き』（紀伊國屋きのくにや書店しょてん） 1997
• 『夢ゆめ時計とけい』上じょう・下した（講談社こうだんしゃ） 1997
• 『羽根はねと翼つばさ』（講談社こうだんしゃ） 2000
• 『横断おうだん歩道ほどう』（潮出版社うしおしゅっぱんしゃ） 2002
• 『日にちの砦とりで』（講談社こうだんしゃ） 2004、のち文庫ぶんこ
• 『石いしの話はなし 自選じせん短篇たんぺん集しゅう』（講談社こうだんしゃ文芸ぶんげい文庫ぶんこ） 2004
• 『一いち日にち 夢ゆめの柵しがらみ』（講談社こうだんしゃ） 2006、のち講談社こうだんしゃ文芸ぶんげい文庫ぶんこ
• 『老おいるということ』（日本にっぽん放送ほうそう出版しゅっぱん協会きょうかい） 2006、のち増補ぞうほし講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ
• 『高たかく手てを振ふる日ひ』（新潮社しんちょうしゃ） 2010、のち文庫ぶんこ
• 『時代じだいの果実かじつ』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 2010
• 『散歩さんぽの一いち歩ほ』（講談社こうだんしゃ） 2011
• 『老おいのかたち』（中公新書ちゅうこうしんしょ） 2010
• 『老おいのつぶやき』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 2012
• 『生いきるということ』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 2013
• 『漂ただよう　古ふるい土地とち 新あたらしい場所ばしょ』（毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ） 2013
• 『老おいの味あじわい』（中公新書ちゅうこうしんしょ） 2014
• 『老おいへの歩あゆみ』（河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ） 2015
• 『流砂りゅうしゃ』（講談社こうだんしゃ） 2018
• 『老おいのゆくえ』（中公新書ちゅうこうしんしょ） 2019
• 『枝えだの家いえ』（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう） 2021.6

共著きょうちょ編へん

• 『ヒト、空間くうかんを構想こうそうする 都市とし / 住居じゅうきょ論ろん講義こうぎ』（原はら広司こうじ、朝日出版社あさひしゅっぱんしゃ、Lecture books） 1985
• 『エゴン・シーレ 魂たましいの裸像らぞう』（編へん、二玄社にげんしゃ） 1999
• 『「内向ないこうの世代せだい」初期しょき作品さくひんアンソロジー』（講談社こうだんしゃ文芸ぶんげい文庫ぶんこ） 2016