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阿部あべ和重かずえ

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阿部あべ 和重かずえ
(あべ かずしげ)
誕生たんじょう (1968-09-23) 1968ねん9月23にち(55さい
日本の旗 日本にっぽん山形やまがたけん東根ひがしね神町じんまち
職業しょくぎょう 小説しょうせつ映画えいが評論ひょうろん
言語げんご 日本語にほんご
国籍こくせき 日本の旗 日本にっぽん
教育きょういく 専門せんもん
最終さいしゅう学歴がくれき 日本にっぽん映画えいが学校がっこう
活動かつどう期間きかん 1994ねん -
ジャンル 小説しょうせつ映画えいが評論ひょうろん
代表だいひょうさく 『インディヴィジュアル・プロジェクション』(1997ねん
シンセミア』(2003ねん)
ピストルズ』(2010ねん
『オーガ(ニ)ズム』(2019ねん
おも受賞じゅしょうれき 群像ぐんぞう新人しんじん文学ぶんがくしょう(1994ねん
野間のま文芸ぶんげい新人しんじんしょう(1999ねん
伊藤いとうせい文学ぶんがくしょう(2004ねん
毎日まいにち出版しゅっぱん文化ぶんかしょう(2004ねん
芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけしょう(2005ねん
谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろうしょう(2010ねん
デビューさく 『アメリカのよる』(1994ねん
配偶はいぐうしゃ 川上かわかみ映子えいこ(2011ねん - )
公式こうしきサイト https://note.com/abekazushige
https://twitter.com/abekazushige
ウィキポータル 文学ぶんがく
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阿部あべ 和重かずえ(あべ かずしげ、1968ねん9月23にち - )は、山形やまがたけん東根ひがしね出身しゅっしん日本にっぽん小説しょうせつ映画えいが評論ひょうろん

概要がいよう

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日本にっぽん映画えいが学校がっこうげん日本にっぽん映画えいが大学だいがく卒業そつぎょう演出えんしゅつ助手じょしゅなどをて、1994ねんに「アメリカのよる」で群像ぐんぞう新人しんじん文学ぶんがくしょう受賞じゅしょうしデビュー。1997ねんの『インディヴィジュアル・プロジェクション』で注目ちゅうもくをあつめる。テロリズムインターネットロリコンといった現代げんだいてきなトピックをりばめつつ、物語ものがたり形式けいしきせいをつよく意識いしきした作品さくひん多数たすう発表はっぴょうしている。2004ねんに『シンセミア』で伊藤いとうせい文学ぶんがくしょうおよび毎日まいにち出版しゅっぱん文化ぶんかしょうを、2005ねんに「グランド・フィナーレ」で芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけしょう芥川賞あくたがわしょう)をそれぞれ受賞じゅしょう。『シンセミア』をはじめ、いくつかの作品さくひんには「かみまち」を中心ちゅうしんとする設定せっていじょうつながりがあり、インタビューなどでは《神町じんまちサーガ》の構想こうそうかたり、『Orga(ni)sm』で完結かんけつむかえた。

タイなど言語げんご[1]にも翻訳ほんやくされ、2014ねんにはバンコクまねかれるなど世界せかいてき影響えいきょうがある[2]

来歴らいれき

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デビューまで

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1968ねん山形やまがたけん東根ひがしねまれる。実家じっかはパン実家じっか真向まむかいに本屋ほんやがあり、小学校しょうがっこう時代じだいったほんとしてブルース・リーの『たましい武器ぶき』をげている[3]。『たましい武器ぶき』をにした阿部あべはノートにこれを再現さいげんして武道ぶどうそうとした。しかし結果けっかほんまるうつしになる。この経験けいけん後々あとあと阿部あべ作品さくひんおこなわれる引用いんようなどにも影響えいきょうあたえている[3]。また阿部あべのちにデビューさく『アメリカのよる』の冒頭ぼうとうリー題材だいざいにした文章ぶんしょうからはじめている[4]

じつ本屋ほんやとなりには映画えいがかんもあるという[3]子供こどもころから小説しょうせつより映画えいがほうきだったこともあり、映画えいがきのちちによくれてってもらっていたという[3]

中学ちゅうがく時代じだいは『クリスチーネ・F』をかいしてデヴィッド・ボウイり、ボウイの紹介しょうかいするアートや小説しょうせつ影響えいきょうける[3]どう時期じきに『戦場せんじょうのメリークリスマス』を視聴しちょう[3]三島みしま由紀夫ゆきおの『禁色きんじき』の影響えいきょうにあるといううわさみみにし、その直後ちょくご坂本さかもと龍一りゅういちの『Forbidden Colours』をき『禁色きんじき』をむことにめた[3]学校がっこう読書どくしょ感想かんそうぶんは『午後ごご曳航えいこう』をえらんだ[3]。しかしこのときまだ小説しょうせつ発見はっけんしていないとかたり、関心かんしんけるようになるのは映画えいが学校がっこう時代じだいから[3]。『公爵こうしゃく夫人ふじんてい午後ごごのパーティー』では『禁色きんじき』のパロディがある[3]

山形やまがた県立けんりつ楯岡たておか高等こうとう学校がっこうを2年生ねんせいとき中退ちゅうたい上京じょうきょう映画えいが監督かんとく目指めざして日本にっぽん映画えいが学校がっこう入学にゅうがくする。

映画えいが学校がっこう時代じだい特別とくべつ講師こうしであった淀川よどがわ長治ながはるが「映画えいがまなぶなら映画えいが以外いがい表現ひょうげんまなぶべき」とはなしており、小説しょうせつことめる[3]

友人ゆうじんすすめで大江おおえ健三郎けんざぶろう影響えいきょうける[3]最初さいしょんだ作品さくひんたん編集へんしゅうそら怪物かいぶつアグイー』であり、そのなかの『満足まんぞく』という作品さくひん純文学じゅんぶんがくのイメージを一変いっぺんさせるほどの衝撃しょうげきける[3]きな作品さくひんかんしては『洪水こうずいはわがたましいおよ』をげている[3]大江おおえほかにはリチャード・バックジャン・ジュネバロウズウィリアム・ギブスンブルース・スターリンググレッグ・ベアジョージ・アレック・エフィンジャールーディ・ラッカーハインライン安部あべ公房こうぼうなどをんだ[3]

バロウズかんしては『シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト』から影響えいきょうけて作品さくひん執筆しっぴつ群像ぐんぞう新人しんじんしょう応募おうぼした過去かこがあるがいちにもとおらなかった[3]

大江おおえならんでフィリップ・K・ディックにも影響えいきょうけた[3]現実げんじつ多元たげん構造こうぞう物語ものがたりしてゆく姿勢しせいからとのこと[3]

アルフレッド・ベスターの『とらよ、とらよ!』からの影響えいきょうおおきい[3]。『シンセミア』には『とらよ、とらよ!』のオマージュがある[3]

には文芸ぶんげい批評ひひょうからの影響えいきょうおおきく、蓮實はすみ重彦しげひこからはもっと影響えいきょうけており、それを経由けいゆして谷行たにいきじん大西おおにし巨人きょじん後藤ごとう明生あきおからも影響えいきょうけた[3]

大西おおにし巨人きょじんの『神聖しんせい喜劇きげき』、後藤ごとう明生あきおの『はさ』を完璧かんぺき小説しょうせつひょうした[3]

文章ぶんしょうくのをはじめたのはシナリオにかんする授業じゅぎょうからで、のち課題かだいくてもくようになり友人ゆうじんせたりもしていた[3]

最初さいしょいた長編ちょうへんシナリオはメタフィクション作品さくひんであり、本人ほんにんいわくタルコフスキー『ストーカー』、キューブリック『時計とけいじかけのオレンジ』、フェリーニ『81/2』をミックスしたような作品さくひんとのこと[3]。しかし指導しどう教官きょうかん判定はんていは「自己じこ過信かしんつよすぎる」であった[3]

1990ねん卒業そつぎょうし、演出えんしゅつ助手じょしゅとしてつとめたあと、フリーターを執筆しっぴつ活動かつどう開始かいしする。

小説しょうせつはじめたのは21さいごろで、毎年まいとしいちさくいておくっていた[3]

24さいごろマルセル・プルーストの『うしなわれたときもとめて』をんだ[3]

1994ねん、『アメリカのよる』(原題げんだいけるかばねよる」)でだい37かい群像ぐんぞう新人しんじん文学ぶんがくしょう小説しょうせつ部門ぶもん受賞じゅしょうしデビュー[4]群像ぐんぞう新人しんじん文学ぶんがくしょう応募おうぼしたのは、後藤ごとう明生あきお谷行たにいきじん選考せんこう委員いいんであったため。どう一人物いちじんぶつであるかた主人公しゅじんこう分裂ぶんれつし、小説しょうせつないえず自己じこ言及げんきゅうをしていくという設定せってい作品さくひんであり、作品さくひん冒頭ぼうとうでは谷行たにいきじん評論ひょうろん探究たんきゅうI』のパロディーをおこなった。同年どうねんだい111かい芥川賞あくたがわしょう候補こうほ翌年よくねんだい8かい三島みしま由紀夫ゆきおしょう候補こうほともなった。

複雑ふくざつせいへの挑戦ちょうせん

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1995ねん、「ABC戦争せんそう」と「公爵こうしゃく夫人ふじん午後ごごのパーティ」を発表はっぴょうする。これら初期しょき作品さくひんすでべた蓮實はすみ重彦しげひこなどの文芸ぶんげい評論ひょうろん影響えいきょうつよく、記号きごう数字すうじ文字もじといった形式けいしきそのものへの意識いしき前面ぜんめんし、長大ちょうだい文体ぶんたい志向しこうしており、対談たいだんでもしばしばそのことに言及げんきゅうしている。クリスマスのよるにはあずまひろし池田いけだ雄一ゆういちとともに谷行たにいきじんたくしかけた[5]

1996ねん、〈カイエ・デュ・シネマ・ジャポン〉の編集へんしゅう委員いいんとなってからは、映画えいが評論ひょうろんにもたずさわるようになる。

1996ねんはつ公開こうかい当時とうじにはどう時期じき発表はっぴょうされた日本にっぽん映画えいが比較ひかくして青山あおやま真治しんじHelpless』を北野きたのたけしキッズ・リターン』とともに擁護ようごした[6]阿部あべ是枝これえだ裕和ひろかずまぼろしひかり』と小栗おぐり康平やすひらねむおとこ』を「られる風景ふうけい物語ものがたりが、「日本にっぽんてき情緒じょうちょ」のステレオタイプをさい生産せいさんする「いやし」のイメージ(オウム真理教おうむしんりきょう事件じけん阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい経験けいけんしたきゅう年代ねんだい中期ちゅうき日本にっぽん社会しゃかいをひろくおおっていた)にほどよくおさまるもの」[7]だとしたら『Helpless』のしめ北九州きたきゅうしゅうロケーションは「のない殺伐さつばつたる抑圧よくあつてき環境かんきょうとして機能きのうし、安易あんい和風わふう回帰かいき風潮ふうちょうつよくあらがっている、といったような内容ないようだった。」とかた[7]

あずまひろしによる批評ひひょう『アニメてきなもの、アニメてきでないもの--『しん世紀せいきエヴァンゲリオン』レヴュー』にゴダールかんするアドバイスをあたえている[8]

阿部あべ同誌どうし批評ひひょうジャン=リュック・ゴダールの「部屋へや」』を寄稿きこうしている[8]

かたりが4じゅう構造こうぞうになった「ヴェロニカ・ハートの幻影げんえい」をて、1997ねん、『インディヴィジュアル・プロジェクション』を発表はっぴょうだい10かい三島みしましょう候補こうほとなる。スパイ養成ようせいしょ出身しゅっしんしゃ日記にっきという設定せっていで、理論りろんせいとエンターテインメントせい両立りょうりつさせ、当時とうじ新進しんしん作家さっかしめす「J文学ぶんがく」のキーワードとともに話題わだいとなった。また、キャミソールとパンティーのみを装着そうちゃくした風俗ふうぞくじょうをモデルに使用しようした常盤ひたちひびきによる装幀そうてい注目ちゅうもくされ、この装幀そうていは『PRIVATES GIRLS』というアダルトビデオのパッケージでパロディーにされたが[9]阿部あべ常盤ときわも「引用いんようされるとは痛快つうかいだ」とたのしんでいたという。それまで小説しょうせつ表紙ひょうし写真しゃしん使つかうことはほんのイメージを限定げんていするからという理由りゆう敬遠けいえんされていたが、本書ほんしょをきっかけに一般いっぱんしていった[10]

1998ねん、ストーカーをあつかった「トライアングルズ」でだい118かい芥川賞あくたがわしょう候補こうほ。1999ねんどう作品さくひん収録しゅうろくした「無情むじょう世界せかい」でだい21かい野間のま文芸ぶんげい新人しんじんしょう受賞じゅしょう[11]。しかし、この時期じきまで文学ぶんがくしょう受賞じゅしょうはこれのみで、評論ひょうろんからの評価ひょうか話題わだいせいはんして受賞じゅしょうすくないことから「無冠むかん帝王ていおう」とわれていた。

2001ねん、『シンセミア執筆しっぴつ合間あいまいたという『ニッポニアニッポン』でだい125かい芥川賞あくたがわしょう候補こうほ翌年よくねんだい15かい三島みしましょう候補こうほとなる[11]ほんさくでは、少年しょうねんがインターネットをつうじてトキ保護ほごセンターのトキ殺害さつがい計画けいかくする姿すがたえがいた。

2003ねん、『シンセミア』を刊行かんこうする。雑誌ざっし〈アサヒグラフ〉、〈小説しょうせつトリッパー〉への連載れんさいを1999ねん11月に開始かいししてから4ねんがかりで完成かんせいさせた1600まいおよ大作たいさくであり、東根ひがしねかみまち舞台ぶたい壮大そうだいなスケールの物語ものがたり展開てんかいさせ、たか評価ひょうか注目ちゅうもくた。2004ねんどうさくだい15かい伊藤いとうせい文学ぶんがくしょう小説しょうせつ部門ぶもんだい58かい毎日まいにち出版しゅっぱん文化ぶんかしょうだい1部門ぶもん受賞じゅしょう[12][13]

芥川賞あくたがわしょう受賞じゅしょう

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2005ねん、「グランド・フィナーレ」でだい132かい芥川賞あくたがわしょう受賞じゅしょう[14]むすめのヌード写真しゃしんったことがばれて、つまから離婚りこんされて失職しっしょくしたロリコン男性だんせいが、東根ひがしねかみまち2人ふたり少女しょうじょ出会であうという物語ものがたりである。デビューから10ねん、『シンセミア』ですで作家さっかてき地位ちい確立かくりつしたうえでの受賞じゅしょうだったため、受賞じゅしょう会見かいけんでは「複雑ふくざつ心境しんきょう」とかたる。選考せんこう委員いいん宮本みやもとあきらからは「小説しょうせつしんのようなものがふとくなった」とひょうされた[15]同年どうねん、〈新潮しんちょう〉11がつごう受賞じゅしょうだいいちさくとなる「課長かちょう しま雅彦まさひこ」を発表はっぴょう盟友めいゆうである中原なかはら昌也まさや島田しまだ雅彦まさひこいさかいをけて島田しまだ文壇ぶんだんてきいを揶揄やゆした[16]

2006ねんの『ミステリアス・セッティング』では、現代げんだいの『マッチりの少女しょうじょ』を目指めざして、吟遊詩人ぎんゆうしじんあこがれる少女しょうじょ悲劇ひげきえがいた。また、マルキ・ド・サドの『美徳びとく不幸ふこう』 『ジュリエット物語ものがたりあるいは悪徳あくとくさか へのパロディがあるがある[3]ほんさく媒体ばいたいではなくケータイ小説しょうせつとして発表はっぴょうされたことについて、インタビューでは、「じゅうすうねん小説しょうせついてきて」作品さくひんのスタイルをえることが困難こんなんになったので、小説しょうせつかたをリセットするためにケータイ小説しょうせつかたちえらんだとべている[17]

2009ねん、〈群像ぐんぞう〉11がつごうで『ピストルズ』の連載れんさい完結かんけつ刊行かんこうされた同書どうしょだい46かい谷崎たにざき潤一郎じゅんいちろうしょう受賞じゅしょうしている[18]

2014ねん2がつ21にちまるうちリーディングスタイルにて、後藤ごとう明生あきお電子でんし書籍しょせきコレクション刊行かんこう記念きねん連続れんぞくトークショー、「in MARUNOUCHIアミダクジしきゴトウメイセイ文学ぶんがく談義だんぎ」に出演しゅつえん、ホストは文芸ぶんげい評論ひょうろん市川いちかわ真人まさと[19]

2014ねん3がつ国際こくさい交流こうりゅう基金ききんバンコク日本にっぽん文化ぶんかセンタータイおこなわれただい12かいバンコク国際こくさいブックフェア2014招待しょうたいされ、 タイ作家さっかウティット・ヘーマムーンとのトークセッションと朗読ろうどくかい開催かいさいした[2]現地げんちの「Writer」 文芸ぶんげい月刊げっかん毎月まいつきやく 3 せん発行はっこう)のインタビューで、作家さっかになるまでのいきさつや著書ちょしょタイ翻訳ほんやくについて、アジアの作家さっかとしてかんじることをかたった[2]

2015ねん4がつ7にち発売はつばい文學ぶんがくかい2015ねん5がつにて青山あおやま真治しんじ蓮實はすみ重彦しげひこアメリカ映画えいがについてかたった文章ぶんしょう掲載けいさい[20]。 2022ねん3がつ28にち文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう青山あおやま真治しんじへの追悼ついとうとしてnoteにてこの文章ぶんしょう公開こうかいした[21]

阿部あべ青山あおやま真治しんじへのおもいを「ねんほどのつきあいをいまあらためてりかえれば、緊張きんちょうかんだけはとぎれずつづいていたようにもおもう。見解けんかい嗜好しこうせいから行動こうどう原理げんりにいたるまで、相違そういてん多々たたあったものの、創作そうさくじょう志向しこうめんでおおきくかさなる部分ぶぶんがあり、新人しんじん時代じだいよりたがいを意識いしきせざるをえなかったがする――すくなくとも、わたし自身じしんはそうだった」 「「中上なかがみ健次けんじ以後いご」をいかに実践じっせんするかというまことに重大じゅうだい課題かだいだ」「青山あおやまさんの北九州きたきゅうしゅうさんさくとわたしのかみまちさんさくは、その課題かだいへの回答かいとうとしておくりだされている」とかたった[22]

人物じんぶつ

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  • 〈メンズノンノ〉2007ねん3がつごうなかで、阿部あべは「わたしのおすすめほん」とだいしてプルースト『抄訳しょうやくばん うしなわれたときもとめて』と大西おおにし巨人きょじん神聖しんせい喜劇きげき』をげている[23]が、いずれもデビューさくげられた小説しょうせつであった[4]
  • どう時代じだい作家さっかとして青山あおやま真治しんじ意識いしきし、また尊敬そんけいしている[7][22]
  • フーコーの『言葉ことばもの』の冒頭ぼうとうの、ベラスケスの「ラス・メニーナス」をろんじたくだりがきであるとして、ああいうふうけたら断筆だんぴつしてもいいとかたっている[3]
  • きな女優じょゆうキャメロン・ディアス
  • 一時いちじきなアイドルは後藤ごとう真希まき」と公言こうげんしていた。芥川賞あくたがわしょう授賞じゅしょうしきではみちおもさゆみモーニングむすめ)が得意とくいとする“うさちゃんピース”のポーズをめ、「モーヲタ」たちの話題わだいとなった。近年きんねん後藤ごとう真希まきけんについてあまりれなくなった。
  • テレビアニメばんカードキャプターさくら」のファンを公言こうげんし、『ニッポニアニッポン』ではどう作品さくひん主人公しゅじんこう名前なまえをもじった「本木もとぎさくら」を、またテレビアニメ「おジャ魔女まじょどれみ」のヒロインの一人ひとり瀬川せかわおんぷをもじった「瀬川せかわぶんいとぐち」を登場とうじょうさせている[24]
  • 漫画まんが榎本えのもと俊二しゅんじ映画えいが学校がっこう時代じだい後輩こうはい。このえん榎本えのもとの『GOLDEN LUCKYだい2かんにミサイルやく実写じっしゃ出演しゅつえんしている[25]
  • つま作家さっか川上かわかみ映子えいこ。2011ねん10がつ婚姻こんいんとどけ提出ていしゅつ史上しじょうはつ芥川賞あくたがわしょう作家さっか同士どうし結婚けっこんとして注目ちゅうもくあつめた。阿部あべは2008ねん8がつ川上かわかみは2010ねん10がつにそれぞれべつ配偶はいぐうしゃ離婚りこんしており、ともに再婚さいこんである。2008ねん10がつ東京とうきょううちおこなわれた文芸ぶんげい早稲田わせだ文学ぶんがく〉のシンポジウムでい、2011ねん1がつから交際こうさいしていた[26]

著書ちょしょ

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小説しょうせつ

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  • 『アメリカのよる』1994ねん講談社こうだんしゃ、のち文庫ぶんこ解説かいせつ佐々木ささきあつし
    • 初出しょしゅつ:〈群像ぐんぞう〉1994ねん6がつごう当初とうしょ題名だいめいは「けるかばねよる」)
  • ABC戦争せんそう』1995ねん講談社こうだんしゃ のち『ABC戦争せんそう plus 2 stories』として新潮しんちょう文庫ぶんこ
    • 新版しんぱん『ABC 阿部あべ和重かずえ初期しょき作品さくひんしゅう』として講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ
    • 公爵こうしゃく夫人ふじんてい午後ごごのパーティー」
    • 「ヴェロニカ・ハートの幻影げんえい」を追加ついか解説かいせつ蓮實はすみ重彦しげひこ
  • インディヴィジュアル・プロジェクション』1997ねん新潮社しんちょうしゃ、のち文庫ぶんこ解説かいせつあずまひろし
    • 新版しんぱん『IP/NN 阿部あべ和重かずえ傑作けっさくしゅう』として講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ原題げんだいのままFeBeにてオーディオブック
  • 公爵こうしゃく夫人ふじんてい午後ごごのパーティー』1997ねん講談社こうだんしゃ
    • 「ヴェロニカ・ハートの幻影げんえい」を併録へいろく
  • 無情むじょう世界せかい』1999ねん講談社こうだんしゃ、のち新潮しんちょう文庫ぶんこ解説かいせつ加藤かとうのりよう
    • 新版しんぱん『ABC 阿部あべ和重かずえ初期しょき作品さくひんしゅう』として講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ
    • トライアングルズ(〈群像ぐんぞう〉1997ねん12がつごう
    • 鏖(〈群像ぐんぞう〉1998ねん12がつごう
  • ニッポニアニッポン』2001ねん新潮社しんちょうしゃ、のち文庫ぶんこ解説かいせつ斎藤さいとうたまき
    • 新版しんぱん『IP/NN 阿部あべ和重かずえ傑作けっさくしゅう』、講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ原題げんだいのままFeBeにてオーディオブック
    • 初出しょしゅつ:(〈新潮しんちょう〉2001ねん6がつごう
  • シンセミアぜん2かん、2003ねん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ、のち文庫ぶんこぜん4さつ。のち講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ 上下じょうげ
  • グランド・フィナーレ』2005ねん講談社こうだんしゃ、のち文庫ぶんこ
    • グランド・フィナーレ(〈群像ぐんぞう〉2004ねん12がつごう
    • 馬小屋うまごや乙女おとめ(〈新潮しんちょう〉2004ねん1がつごう
    • 新宿しんじゅくヨドバシカメラ
    • 20世紀せいき
  • プラスティック・ソウル』2006ねん講談社こうだんしゃ
    • 『シンセミア』以前いぜん連載れんさいされた。福永ふくながしん評論ひょうろん「『プラスティック・ソウル』リサイクル」も収録しゅうろく
  • ミステリアス・セッティング』2006ねん朝日新聞社あさひしんぶんしゃ のち講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ 
    • 携帯けいたいサイトで連載れんさいした小説しょうせつ単行たんこうほん
  • ピストルズ』2010ねん講談社こうだんしゃ、のち文庫ぶんこ 上下じょうげ
  • クエーサーと13番目ばんめはしら』2012ねん講談社こうだんしゃ、のち文庫ぶんこ
  • □(しかく)』2013ねん、リトルモア
  • Deluxe Edition(でらっくすえでぃしょん)』2013ねん文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、のち文庫ぶんこ
  • キャプテンサンダーボルト』2014ねん文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、のち文庫ぶんこ 上下じょうげ
  • 『Orga(ni)sm オーガニズム』2019ねん文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、のち文庫ぶんこ 上下じょうげ
  • 『ブラック・チェンバー・ミュージック』2021ねん毎日新聞まいにちしんぶん出版しゅっぱん
  • 『ULTIMATE EDITION』2022ねん河出書房新社かわでしょぼうしんしゃ
    • たん編集へんしゅう

単行本たんこうぼん収録しゅうろく作品さくひん

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  • あかぼう松明たいまつわりに(〈文藝ぶんげい〉、だい1かい・2004ねんなつごうだい2かい・2005ねんはるごう
    • 中原なかはら昌也まさやとのともさく小説しょうせつ
  • 課長かちょう しま雅彦まさひこ」(〈新潮しんちょう〉2005ねん11がつごう

随筆ずいひつ評論ひょうろん

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  • 『ジャン=リュック・ゴダールの「部屋へや』 (インターコミュニケーション18ごう特集とくしゅう:ハイパーライブラリー─データベースからだつデータベースへ)収録しゅうろく 1996ねんNTT出版しゅっぱん
  • 『アブストラクトなゆーわく』2000ねんマガジンハウス
  • 映画えいが覚書おぼえがきvol.1』2004ねん文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう
  • 幼少ようしょう帝国ていこく成熟せいじゅく拒否きょひする日本人にっぽんじん』2012ねん新潮社しんちょうしゃ

対談たいだんしゅう

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  • 阿部あべ和重かずえ対談たいだんしゅう』2005ねん講談社こうだんしゃ
    • 高橋たかはし源一郎げんいちろう保坂ほさか和志かずし赤坂あかさか真理まり浅野あさの忠信ただのぶ福永ふくながしん加藤かとうのりよう榎本えのもと俊二しゅんじ桐野きりの夏生なつきあずまひろし蓮實はすみ重彦しげひこ角田つのだ光代みつよ佐々木ささきあつしとの対談たいだん収録しゅうろく
  • 和子わこ部屋へや』2011ねん朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱん
    • 角田つのだ光代みつよこうこく香織かおり川上かわかみ映子えいこ金原かなはらひとみ、朝吹あさぶき真理子まりこ綿めんりさ、加藤かとう千恵ちえ島本しまもとせい川上かわかみ弘美ひろみ桐野きりの夏生なつきとの対談たいだん収録しゅうろく
  • 蓮實はすみ重彦しげひこ青山あおやま真治しんじ阿部あべ和重かずえ映画えいがさん狂人きょうじん、アメリカ映画えいがおおいにかたる」 文學ぶんがくかい2015ねん5がつごう

解説かいせつ

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共編きょうへんちょ

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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出典しゅってん

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  1. ^ Kazushige Abe”. pushkinpress.com. pushkinpress.com. 2023ねん8がつ4にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c 阿部あべ和重かずえ、タイで自作じさくかたる【前半ぜんはん”. www.wochikochi.jp. 2023ねん5がつ13にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac 作家さっか読書どくしょどうだい64かい 阿部あべ 和重かずえさん”. www.webdoku.jp. 2023ねん5がつ12にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c 『アメリカのよる講談社こうだんしゃ、1994ねん 
  5. ^ 来場らいじょういただいたほうも、はじめてのほう必読ひつどく市川いちかわ真人まさと×阿部あべ和重かずえトークショーさいろく”. アーリーバード・ブックス(後藤ごとう明生あきお電子でんし書籍しょせきコレクションのご案内あんない情報じょうほうも). 2018ねん6がつ28にち閲覧えつらん
  6. ^ 『(カイエ・デュ・シネマ・ジャポン編集へんしゅう委員いいんかい映画えいがのジオグラフィー』いちきゅうきゅうろくねんいち月刊げっかん)』。 
  7. ^ a b c Break Up To Make Up――青山あおやま真治しんじ追悼ついとう阿部あべ和重かずえ”. note(ノート). 2023ねん5がつ13にち閲覧えつらん
  8. ^ a b 『インターコミュニケーション 18ごう特集とくしゅう:ハイパーライブラリー─データベースからだつデータベースへ』NTT出版しゅっぱん、1996ねん8がつ18にち 
  9. ^ “PRIVATES GIRLS”. アダルトビデオシリーズ. 
  10. ^ フォトグラファー対談たいだん 常盤ひたちひびき×魚住うおずみ誠一せいいち
  11. ^ a b 無情むじょう世界せかい ニッポニアニッポン 阿部あべ和重かずえ初期しょき代表だいひょうさく2』(阿部あべ 和重かずえ):講談社こうだんしゃ文庫ぶんこ 製品せいひん詳細しょうさい 講談社こうだんしゃBOOK倶楽部くらぶ”. 講談社こうだんしゃBOOK倶楽部くらぶ. 2023ねん5がつ13にち閲覧えつらん
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外部がいぶリンク

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