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かべ (小説しょうせつ)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
かべ
作者さくしゃ 安部あべ公房こうぼう
くに 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
ジャンル 中編ちゅうへん短編たんぺん小説しょうせつ
発表はっぴょう形態けいたい オムニバス作品さくひんしゅう
刊本かんぽん情報じょうほう
出版しゅっぱんもと 月曜げつよう書房しょぼう
出版しゅっぱん年月日ねんがっぴ 1951ねん5月28にち
装幀そうてい 勅使河原てしがわらひろし
挿絵さしえ 桂川かつらがわひろし
ウィキポータル 文学ぶんがく ポータル 書物しょもつ
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かべ』(かべ)は、安部あべ公房こうぼう中編ちゅうへんたん編集へんしゅう。「S・カルマ犯罪はんざい」「バベルばべるとうたぬき」「あかまゆ」(「洪水こうずい」「魔法まほうのチョーク」「事業じぎょう」)の3(6へん)からなるオムニバス形式けいしき作品さくひんしゅうである。1951ねん昭和しょうわ26ねん)5がつ28にち石川いしかわあつし序文じょぶんえて月曜げつよう書房しょぼうより刊行かんこうされた。

表題ひょうだいさくでもある「かべ―S・カルマ犯罪はんざい」は安部あべ最初さいしょ前衛ぜんえいてき代表だいひょうさくで、だい25かい芥川賞あくたがわしょう受賞じゅしょうした[1]。あるあさ突然とつぜん、「名前なまえ」にられたおとこ現実げんじつでの存在そんざいけんうしない、他者たしゃから犯罪はんざいしゃ狂人きょうじんあつかいされ、裁判さいばんまでもがはじまってしまい、ありとあらゆるつみせられてしまう。かれうつ現実げんじつあや不条理ふじょうり変貌へんぼうし、やがて自身じしん無機物むきぶつかべ変身へんしんする物語ものがたり[2]帰属きぞくする場所ばしょしつくした孤独こどく人間にんげん実存じつぞんてき体験たいけんと、成長せいちょうするかたかべざされる空虚くうきょ世界せかい自我じが内部ないぶが、安部あべ公房こうぼう特有とくゆう寓意ぐうい叙事詩じょじしてきかるさで表現ひょうげんされている[2]

発表はっぴょう経過けいか創作そうさく意図いと[編集へんしゅう]

だい一部いちぶ S・カルマ犯罪はんざい」は、1951ねん昭和しょうわ26ねん)、雑誌ざっし近代きんだい文学ぶんがく』2がつごうに「かべ―S・カルマ犯罪はんざい」の表題ひょうだい掲載けいさいされ、同年どうねん7がつ30にちだい25かい昭和しょうわ26ねん上半期かみはんき芥川賞あくたがわしょう受賞じゅしょうした。「だい バベルばべるとうたぬき」は同年どうねん雑誌ざっし人間にんげん』5がつごうに「バベルばべるとうたぬき」の表題ひょうだい掲載けいさい挿絵さしえ桂川かつらがわひろし)された。「だいさん あかまゆ」は、前年ぜんねん1950ねん昭和しょうわ25ねん)、雑誌ざっし人間にんげん』12がつごうに「みっつの寓話ぐうわ」(「あかまゆ」「洪水こうずい」「魔法まほうのチョーク」)の表題ひょうだい掲載けいさいされ、1あかまゆ」はだい2かい(1950年度ねんど戦後せんご文学ぶんがくしょう受賞じゅしょうした。なお、「だいさん あかまゆ」の4事業じぎょう」は同年どうねん10がつに、世紀せいきかい刊行かんこうパンフレット「世紀せいきぐん叢書そうしょ5」に掲載けいさいされた[3]以上いじょうの6へんをまとめて収録しゅうろくした単行本たんこうぼんかべ』は、1951ねん昭和しょうわ26ねん)5がつ28にち月曜げつよう書房しょぼうより刊行かんこうされた。

安部あべ公房こうぼうは、3さく一貫いっかんした意図いとによってかれたもので、かべというのはその方法ほうほうろんにほかならないとし[4]以下いかのようにべている。

かべがいかに人間にんげん絶望ぜつぼうさせるかというより、かべがいかに人間にんげん精神せいしんのよき運動うんどうとなり、人間にんげん健康けんこうわらいにさそうかということをしめすのが目的もくてきでした。しかしこれをいてから、かべにも階級かいきゅうがあることを、そしてこのかべがあまりにもしょう市民しみんてきでありすぎたことをおもい、いささかくやまずにはいられませんでした。 — 安部あべ公房こうぼう「あとがき」(『かべ』)[4]

だい一部いちぶ・S・カルマ犯罪はんざい[編集へんしゅう]

かべ―S・カルマ犯罪はんざい
作者さくしゃ 安部あべ公房こうぼう
くに 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
ジャンル 中編ちゅうへん小説しょうせつ
発表はっぴょう形態けいたい 雑誌ざっし掲載けいさい
初出しょしゅつ情報じょうほう
初出しょしゅつ近代きんだい文学ぶんがく1951ねん2がつごう
刊本かんぽん情報じょうほう
収録しゅうろくかべ
出版しゅっぱんもと 月曜げつよう書房しょぼう
出版しゅっぱん年月日ねんがっぴ 1951ねん5がつ28にち
装幀そうてい 勅使河原てしがわらひろし
挿絵さしえ 桂川かつらがわひろし
受賞じゅしょう
だい25かい昭和しょうわ26ねん上半期かみはんき芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけしょう
ウィキポータル 文学ぶんがく ポータル 書物しょもつ
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安部あべは、この作品さくひんについて、一般いっぱんてきにはカフカ影響えいきょうがあるとられがちだが、ルイス・キャロル影響えいきょうほうつよいとかたっている[5]。また、主人公しゅじんこう「S・カルマ」については、以下いかのように説明せつめいしている。

このナイーブで平凡へいぼんな、わが主人公しゅじんこうは、わたしかんがえでは一種いっしゅ実存じつぞん主義しゅぎものらしい。わたしかれをなるべく行動こうどうにそって具体ぐたいてきえがきながら、同時どうじかれ理念りねん行動こうどうするみちすじをあらわすようにつとめた。一般いっぱんてき喜劇きげきてき表現ひょうげんである客観きゃっかん方法ほうほうによってでなく、むしろ主観しゅかんをそのまま表現ひょうげんすることで喜劇きげきすることをかんがえたのだ。一人称いちにんしょう形式けいしき必然ひつぜんてきにとられたかたちである。かれ自己じこたいして真面目まじめであり、誠実せいじつであることによって、その無意味むいみさをバクロする。わたしがバクロするのではなく、かれ自身じしんが、哲学てつがくてき表情ひょうじょう自分じぶんくびをしめてみせてくれるという仕組しくみなのである。 — 安部あべ公房こうぼう「S・カルマ素性すじょう[6]

なお、安部あべはこの作品さくひんを「小説しょうせつたいするぼく姿勢しせいおおきくえてくれた作品さくひん」だと27ねんかえり、「構想こうそうじゅくしたとおもったとたん、とつぜん自由じゆうになったかんじがした。ペンがおどし、よんじゅうあいだほど一睡いっすいもせずに一気いっきしょげることができた。そのぼく仕事しごと方向ほうこう決定けっていづけることにもなった」とかたっている[7]

あらすじ[編集へんしゅう]

あるあさますとぼくは違和感いわかんかんじた。食堂しょくどうでつけをしようとするが、自分じぶん名前なまえけない。身分みぶん証明しょうめいしょてみても名前なまえ部分ぶぶんだけえていた。事務所じむしょ名札なふだには、「S・カルマ」とかれているが、しっくりとこない。おどろいたことには、ぼくのせきに、「S・カルマ」とかれた名刺めいしがすでにすわっていた。名刺めいしはぼくのもとからし、空虚くうきょかんおぼえたぼくは病院びょういんった。だが、院内いんないにゅう雑誌ざっし砂丘さきゅう風景ふうけいむねなかってしまったことがわかり、されてしまう。ぼくは動物どうぶつえんかったが、ラクダりかけたところを、グリーンの背広せびろ大男おおおとこたちにらえられ、窃盗せっとうつみ裁判さいばんにかけられることになった。法廷ほうていには今日きょうった人々ひとびと証人しょうにんとしてあつまっていた。

その同僚どうりょうタイピスト・Yげたぼくは、翌日よくじつ動物どうぶつえんでまた彼女かのじょ約束やくそくをして、アパートにかえった。翌朝よくあさ、パパがたずねてきた。その、ぼくはくつやネクタイに反抗はんこうされ時間じかんおくれて動物どうぶつえんについた。Yはぼくの名刺めいしかたらっていた。よくるとYマネキン人形にんぎょうだった。ぼくは、まちショーウインドーのこされているおとこ人形にんぎょうから、「世界せかいはてかんする講演こうえん映画えいが」の切符きっぷをもらった。くと、せむしによる講演こうえん映画えいがはじまった。ぼくはスクリーンにうつっているぼくの部屋へやた。やがてぼくは、グリーンの背広せびろ大男おおおとこたちにスクリーンのなかばされ画面がめんなかはいった。画面がめんなかのぼく(かれ)がかべつづけていると、あたりがくらくなり砂丘さきゅうに「かれ」はいた。そして地面じめんからかべえてきて、そのドアをけると酒場さかばだった。そこにはタイピストとマネキン半々はんはんのYがいた。

べつのドアから「成長せいちょうするかべ調査ちょうさだん」となったドクトル(病院びょういん医者いしゃ)とパパの姿すがたをしたユルバン教授きょうじゅあらわれ、「かれ」を解剖かいぼうしようとするが、「かれ」は機転きてんをきかし、なんのがれた。その、ユルバン教授きょうじゅは、ラクダを国立こくりつ動物どうぶつえんからびよせ、それにり、縮小しゅくしょうして「かれ」のなか探索たんさくするがあおざめてもどってきた。ドクトルとユルバン教授きょうじゅは、調査ちょうさ中止ちゅうしげていった。ただ一人ひとりのこされた「かれ」は、かべそのものに変形へんけいしていく。

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

ぼく
名前なまえは「S・カルマ」であるらしい。会社かいしゃいん。N火災かさい保険ほけん資料しりょう勤務きんむ。アパートに一人暮ひとりぐらし。のちに人称にんしょうが「かれ」となる。
食堂しょくどう少女しょうじょ
カウンターがかり少女しょうじょ常連じょうれんきゃくの「ぼく」と顔見知かおみしり。
Y
タイピスト。「ぼく」とおな勤務きんむ
小使こづかい
事務所じむしょ小使こづかい
ドクトル
動物どうぶつえんかくにある黄色きいろ屋根やね病院びょういん医者いしゃかげのように真黒まっくろ
金魚きんぎょ目玉めだま
病院びょういん受付うけつけがかりのぎょろおとこ。ドクトルの助手じょしゅ裁判さいばん進行しんこう記録きろくがかりとなる。
画家がか
病院びょういんちかくのプラタナス並木なみきにいた画家がか真白まっしろカンバスのままなにかをっている。
浮浪ふろう
病院びょういんちかくのプラタナスの並木なみきにいた浮浪ふろうしらみをとっている。
子供こどもたち
動物どうぶつえんている子供こどもたち。「ぼく」を猛獣もうじゅう使づかいだとしんじる。
動物どうぶつえん園丁えんてい
ほうき小脇こわきにかかえ、くろ詰襟つめえり制服せいふくちいさな猫背ねこぜ老人ろうじん水族館すいぞくかんうらにあるおり裏口うらぐちかぎけ、洞窟どうくつ裁判所さいばんしょ案内あんないする。
大男おおおとこたち
グリーンのそろいの背広せびろて、むねにバッジを裏返うらがえしにつけている私設しせつ警察けいさつ大男おおおとこにん
法廷ほうてい委員いいんたち
グリーンのそろいの背広せびろている。金縁きんぶち眼鏡めがね法学ほうがくしゃにんえん眼鏡めがね哲学てつがくしゃにんてつえん眼鏡めがね数学すうがくしゃ一人ひとり
事務所じむしょ主任しゅにん
「ぼく」の上司じょうし。「昼休ひるやすみにカルマくん将棋しょうぎをさしていた」と裁判さいばん証言しょうげんした。
アパートの隣人りんじん
試験しけん勉強べんきょうをしている学生がくせい
アパートのかい住人じゅうにん
キャバレーヴァイオリンき。28さい肺病はいびょう青年せいねん。キャバレーでのはらいせに部屋へやではバッハブラームスばかりく。
パパ
「ぼく」のパパ。「ぼく」の正気しょうきうたがう。
マネキン人形にんぎょうのY
マネキンに変貌へんぼうしたY。Gまち裏通うらどおりのマネキン専門せんもんてんのショーウインドーに10年来ねんらいっているのとおな人形にんぎょう
おとこのマネキン人形にんぎょう
ショーウインドーにのこされた人形にんぎょう。Yさがしている。
せむしおとこ
世界せかいはてかんする講演こうえん映画えいが上映じょうえいをする。講演こうえんをしながらからだびて反対はんたいがわからだまがり、「はらむし」から「ロール・パン」に変身へんしん
ユルバン教授きょうじゅ
ドクトルによって結成けっせいされた「成長せいちょうするかべ調査ちょうさだん」のふく団長だんちょうコルビュジエ門弟もんてい都市とし主義しゅぎしゃ(ユルバニスト)。パパとふりふたつの姿すがた

戯曲ぎきょく[編集へんしゅう]

だいバベルばべるとうたぬき[編集へんしゅう]

バベルばべるとうたぬき
作者さくしゃ 安部あべ公房こうぼう
くに 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
ジャンル 短編たんぺん小説しょうせつ
発表はっぴょう形態けいたい 雑誌ざっし掲載けいさい
初出しょしゅつ情報じょうほう
初出しょしゅつ人間にんげん1951ねん5がつごう
挿絵さしえ 桂川かつらがわひろし
刊本かんぽん情報じょうほう
収録しゅうろくかべ
出版しゅっぱんもと 月曜げつよう書房しょぼう
出版しゅっぱん年月日ねんがっぴ 1951ねん5がつ28にち
装幀そうてい 勅使河原てしがわらひろし
挿絵さしえ 桂川かつらがわひろし
ウィキポータル 文学ぶんがく ポータル 書物しょもつ
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あらすじ[編集へんしゅう]

まずしい詩人しじんのぼくは、自分じぶん空想くうそうやプランをつけている手帳てちょうを「とらぬたぬきかわ」とんでいた。ぼくはP公園こうえん奇妙きみょうししつけた。そのしし突如とつじょ、ぼくのかげをくわえり、かげうしなったぼくはだけのこして透明とうめい人間にんげんになってしまった。そのよるしし夜空よぞらから霊柩車れいきゅうしゃってやってきて、自分じぶんきみやしなってもらった「とらぬたぬき」であるとい、ぼくをバベルばべるとうれてった。そこにはたぬきがたくさんいた。とらぬたぬきは、「みなぼくの仲間なかまだ。人間にんげんだれでも各々おのおののとらぬたぬきっている」とった。

とらぬたぬきはぼくをいれとうしき案内あんないしたのち目玉めだま銀行ぎんこうれてゆき、目玉めだまあづけろとった。たぬきたちにとって、人間にんげん目玉めだま有害ゆうがいなのだと目玉めだま銀行ぎんこう管理人かんりにんエホバ説明せつめいした。それを拒否きょひしたぼくは、つぎった時間じかん彫刻ちょうこく研究けんきゅうしつで、とらぬたぬきにおどりかかった。ぼくは時間じかん彫刻ちょうこくはこけ、タイムマシンかげをとられるまえ時間じかんのP公園こうえんもどった。そしてちかづいてたとらぬたぬきかって、手帳てちょう小石こいしげつけぱらった。

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

ぼく
まずしい詩人しじん名前なまえはK・アンテン。
とらぬたぬき
ぼくのかげべたししバベルばべるとうからやってた。
恋人こいびとらしい男女だんじょ
P公園こうえん木蔭こかげにいた男女だんじょだけの透明とうめい人間にんげんのぼくをおどろく。
少年しょうねんたち
だけの透明とうめい人間にんげんのぼくをおどろげる。
タバコむすめ
ぼくのいきつけのタバコむすめ土曜日どようびばんならいにぼくのいえる。うつくしいあし
おくさん
いぬれた主婦しゅふだけの透明とうめい人間にんげんのぼくをうしなう。
警官けいかんたち
だけの透明とうめい人間にんげんのぼくをう。
管理人かんりにんのおかみさん
ぼくのアパートの管理人かんりにん
ダンテたぬき
バベルばべるとう委員いいんちょう中央ちゅうおう委員いいんかい書記しょきちょうダンテかく
そののとらぬたぬきたち
ニイチェたぬきブルトン[よう曖昧あいまい回避かいひ]たぬきもりはるたぬき
エボバ
目玉めだま銀行ぎんこう管理人かんりにんてつもんまえにいる老人ろうじんろうのように黄色きいろくすきとおったミイラかお。4,082さい

だいさんあかまゆ[編集へんしゅう]

あかまゆ
作者さくしゃ 安部あべ公房こうぼう
くに 日本の旗 日本にっぽん
言語げんご 日本語にほんご
ジャンル 短編たんぺん小説しょうせつ
発表はっぴょう形態けいたい 雑誌ざっし掲載けいさい
初出しょしゅつ情報じょうほう
初出しょしゅつみっつの寓話ぐうわ」(「あかまゆ」「洪水こうずい」「魔法まほうのチョーク」)-『人間にんげん1950ねん12月ごう
事業じぎょう」-世紀せいきかい刊行かんこうパンフレット「世紀せいきぐん叢書そうしょ5」1950ねん10がつ
刊本かんぽん情報じょうほう
収録しゅうろくかべ
出版しゅっぱんもと 月曜げつよう書房しょぼう
出版しゅっぱん年月日ねんがっぴ 1951ねん5がつ28にち
装幀そうてい 勅使河原てしがわらひろし
挿絵さしえ 桂川かつらがわひろし
受賞じゅしょう
だい2かい(1950年度ねんど戦後せんご文学ぶんがくしょう(1あかまゆ」)
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あかまゆ」「洪水こうずい」「魔法まほうのチョーク」「事業じぎょう」の4からなる。

あかまゆ[編集へんしゅう]

安部あべはこの作品さくひん執筆しっぴつ当時とうじ、ようやくれた6じょうほどの物置ものおき小屋こや自分じぶんゆか改造かいぞうした住居じゅうきょんでいて、布団ふとんうえ粉雪こゆき境遇きょうぐうだったという[3][8]安部あべはそのころかえり、以下いかのようにかたっている。

当時とうじぼくは極貧ごくひんなかにいた。そのくせ、ほとんどまずしさを自覚じかくしなかった。貧乏びんぼうはまるで自分じぶん皮膚ひふのように、自然しぜんにぼくの輪郭りんかくになっていた。ぼくはたぶん、そのまずしさをつむぐようにして作品さくひんいたのだ。とりわけ、この『あかまゆ』は、そのままぼくの分身ぶんしんのようにおもわれる。作者さくしゃは、そのたびに、作品さくひんなか自殺じさつしなければならないものらしい。 — 安部あべ公房こうぼうおぼがき――『あかまゆ』」[9]

あらすじ[編集へんしゅう]

かえいえのない「おれ」は、にちれた住宅じゅうたくがいをさまよううちに、あしから絹糸けんしがずるずるとのびてゆき、どんどんほころんでいった。そのいとは「おれ」のふくろのようにつつみこんでいって、ついに「おれ」は消滅しょうめつし、いちからっぽのおおきな、夕陽ゆうひ赤々あかあかまったまゆとなった。だがいえ出来できても、今度こんどかえってゆく「おれ」がいない。踏切ふみきりとレールのあいだにころがっていたあかまゆは、「かれ」のにとまり、ポケットにれられた。そのまゆは「かれ」の息子むすこ玩具おもちゃばこうつされた。

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

おれ
かえいえがない。おおきなあかまゆ変身へんしんする。
おんな
あるいちけんいえおんな
棍棒こんぼうったかれ
警官けいかん
かれ
あかまゆひろう。

洪水こうずい[編集へんしゅう]

あらすじ[編集へんしゅう]

世界せかいのいたるところで、労働ろうどうしゃたちが液化えきかしはじめた。刑務所けいむしょ囚人しゅうじん液化えきかしたため、治安ちあん悪化あっかだい混乱こんらんとなった。警察けいさつ物理ぶつり学者がくしゃもお手上てあ状態じょうたいとなり、めるものたちは恐水病きょうすいびょうおちいった。様々さまざま対処たいしょ無駄むだとなり、人類じんるい洪水こうずい絶滅ぜつめつした。しかし、しずまった水底みなそこで、なにやらきらめく物質ぶっしつ結晶けっしょうしはじめる。それは、過飽和かほうわ液体えきたい人間にんげんたちのなかえない心臓しんぞう中心ちゅうしんにしていた。

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

哲学てつがくしゃ
まずしいが誠実せいじつ哲学てつがくしゃ液化えきかするだいいち労働ろうどうしゃ発見はっけんする。世界せかいかってだい洪水こうずい到来とうらい予言よげんする。
労働ろうどうしゃ
工場こうじょう夜業やぎょうかえみち液化えきか最初さいしょ液化えきか人間にんげん
液体えきたい人間にんげんたち
世界せかいのいたるところの労働ろうどうしゃまずしいものたちや囚人しゅうじんたちが液化えきかアメーバのように自由じゆう移動いどうしたり、凍結とうけつしたり蒸発じょうはつしたりも自由じゆうままにでき、物理ぶつり学者がくしゃ混乱こんらんする。世界せかい治安ちあんがみだれる。
めるものたち
だい工場こうじょうぬし政府せいふ高官こうかんなど。コーヒーや目薬めぐすりでもおぼじににするため、恐水病きょうすいびょうになる。
国王こくおう元首げんしゅたち
だい堤防ていぼう構築こうちくいそ声明せいめいすが、建築けんちくする労働ろうどうしゃがどんどん液化えきかしてまった意味いみをなさない。
科学かがくしゃ
原子げんしエネルギー液体えきたい蒸発じょうはつさせようと提案ていあんするが、工場こうじょう次々つぎつぎ壊滅かいめつして困難こんなんに。
ノア
楽天的らくてんてき狡猾こうかつ着々ちゃくちゃく方舟はこぶね製作せいさくげようとするが、液体えきたい人間にんげんつかまり溺死できし

魔法まほうのチョーク[編集へんしゅう]

安部あべは、この作品さくひん主人公しゅじんこう「アルゴンくん」の名前なまえ由来ゆらいについて、以下いかのように説明せつめいしている。

この作品さくひん主人公しゅじんこう名前なまえ由来ゆらい一見いっけんバタ臭ばたく、をてらったようにえるかもしれないが、じつはしごく無味むみ乾燥かんそうたんなる科学かがくてき命名めいめいにすぎないのである。アルゴン――すなわち、Ar。空気くうきちゅうやくいちパーセントふくまれている、いち原子げんしいち分子ぶんし原子げんし0の稀元素きげんそであり、無味むみ無臭むしゅう沸点ふってんひくく、化学かがくてき活性かっせい現代げんだい芸術げいじゅつは、芸術げいじゅつそのものの自己じこ否定ひていからしか成立なりたちえないのだ。なみだうしなわれた芸術げいじゅつ句点くてんである。 — 安部あべ公房こうぼうおぼがき――『魔法まほうのチョーク』」[10]

あらすじ[編集へんしゅう]

まずしい画家がかのアルゴンくんは、画材がざい道具どうぐ家具かぐはらい、そのべるものにもこまっていた。ひとのこっていたあかチョークかべにパンやバターや林檎りんごえがくと、実物じつぶつになってちてきた。アルゴンくんは、夢中むちゅうでそれをべた。ベッドもくとそれがあらわれた。しかし、翌日よくじつになると、ベッドはもどり、林檎りんごしんなどべられなかったものだけかべもどっていた。日光にっこう部屋へやはいると効力こうりょくがなくなるとづいたアルゴンくんは、かべからした財布さいふかね毛布もうふなどをい、部屋へや暗幕あんまくをめぐらした。

まどがほしくなったアルゴンくんためしにえがいてみたが、まどが「そと」をたないと駄目だめだった。ドアだけえがいて恐々きょうきょうけると、くろずんだそら熱風ねっぷう砂漠さばくだった。やはり「そと」をつくさなければならなかった。アルゴンくん途方とほうれ、ふとについた新聞しんぶん記事きじミス・ニッポンをかべえがいてイヴつくった。アルゴンくん一緒いっしょ世界せかい設計せっけいしようと彼女かのじょうが、高慢こうまんなイヴは半分はんぶんもらったチョークでピストルとハンマーをえがき、アルゴンくんころしてドアをこわしてしまった。

日光にっこうはいり、からたものはもどっていた。アルゴンくんむねきず消滅しょうめつえていたが、かべばかりべていた肉体にくたいは、ほとんどかべ成分せいぶんになっていた。アルゴンくんはよろめきかべまれてイヴのうえかさなり、かべになった。さわぎにあつまった人々ひとびとおこ管理人かんりにんかえったのちのアルゴンくんは、「世界せかいをつくりかえるのは、チョークではない」とつぶやき、そのからいちてきのしずくがちた。

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

アルゴンくん
まずしい画家がか場末ばすえのアパートの便所べんじょとなりんでいる。餓死がし寸前すんぜんにはあかいチョークしかない。
アパートの老人ろうじん
貧乏びんぼう住人じゅうにん。ひとがつまえからおからえる身分みぶんになったため、ひゃくメートルさき食堂しょくどうからながれてくる下水げすい残飯ざんぱん金網かなあみかごですく方法ほうほうをアルゴンくんおしえて、それをゆずる。
友人ゆうじん
銀行ぎんこういん。アルゴンくん弁当べんとう半分はんぶんわけてもらう。
イヴ
ミス・ニッポンの写真しゃしんから、アルゴンくんえがいたおんなもとデザイナー。
アパートの人々ひとびと
銃声じゅうせいおとけつけたアパート住人じゅうにん
アパートの管理人かんりにん
アルゴンくん部屋へやかべ落書らくがきとこわれたドアにぷりぷりおこる。

事業じぎょう[編集へんしゅう]

あらすじ[編集へんしゅう]

司祭しさい事業じぎょうわたしは、ねずみ原料げんりょうとした食肉しょくにく加工かこう成功せいこうした。しかし飼育しいくした肥大ひだいねずみ従業じゅうぎょういん妻子さいしおそわれて死亡しぼうする事件じけんきた。それをきっかけにわたしろくにん死体したい食肉しょくにく加工かこうしてみた。各界かくかい代表だいひょうしゃまねいた試食ししょくかい原料げんりょうせた)も成功せいこうし、だい商社しょうしゃ各社かくしゃから特約とくやくけ、ひとにく加工かこう事業じぎょう展開てんかいした。事業じぎょうざましい拡張かくちょう発展はってんをとげ、原料げんりょう堕胎だたい屍体したい)が不足ふそくした。わたしは、べることを目的もくてきとして生物せいぶつころすのはつみではないというキリスト教きりすときょうおしえによって、しん事業じぎょう拡張かくちょう新分野しんぶんや殺人さつじん合法ごうほう)を計画けいかくする。

登場とうじょう人物じんぶつ[編集へんしゅう]

わたし
司祭しさい食肉しょくにく加工かこう事業じぎょうこす。筋肉きんにく成長せいちょう酵素こうそによる肥大ひだいねずみ原料げんりょうにし大量たいりょう生産せいさん成功せいこうするが、飼育しいくがかり何人なんにんかの使用人しようにん妻子さいし肥大ひだいねずみおそわれ死亡しぼう。そのひとにく加工かこうをするためにくにのすべての屍体したい火葬かそうじょうまえに、食肉しょくにく工場こうじょうとおるように所管しょかん大臣だいじん認可にんかさせる。
貴下きか(ききて
わたし」の手紙てがみ相手あいて有能ゆうのう探偵たんてい小説しょうせつ冷徹れいてつ合理ごうり精神せいしん持主もちぬししん事業じぎょう拡張かくちょう新分野しんぶんや殺人さつじん合法ごうほう)の担当たんとう依頼いらいされている。手紙てがみ文末ぶんまつ宛名あてなは「かれなかかれ」。

テレビドラマ[編集へんしゅう]

ラジオドラマ[編集へんしゅう]

舞踏ぶとう[編集へんしゅう]

作品さくひん評価ひょうか解釈かいしゃく[編集へんしゅう]

かべ―S・カルマ犯罪はんざい』は発表はっぴょう当時とうじ画期的かっきてき作品さくひんとして反響はんきょうび、それまでの日本にっぽん近代きんだい文学ぶんがくにおいて主流しゅりゅうだった「私小説ししょうせつ伝統でんとうとそこに密集みっしゅうする近代きんだいてき自我じがという人間にんげん中心ちゅうしん主義しゅぎ幻想げんそう」を打破だはしたというてんで、その2ねんまえ発表はっぴょうされた三島みしま由紀夫ゆきおの『仮面かめん告白こくはく』と双璧そうへきをなす作品さくひんだと高野たかの志美しび解説かいせつしている[1]

芥川賞あくたがわしょう選考せんこう審査しんさいん川端かわばた康成やすなりは、『かべ―S・カルマ犯罪はんざい』を、部分ぶぶんによっては鋭敏えいびんでなく、冗漫じょうまんおもえたところもあるとしながらも、もっとたか評価ひょうかつよした理由りゆうについて、「『かべ』のやうな作品さくひんげんはれることに、わたし今日きょう必然ひつぜんかんじ、その意味いみでの興味きょうみつからである。(中略ちゅうりゃく作者さくしゃ目的もくてき作品さくひん傾向けいこう明白めいはくであつて、このやうなみちるのはしん作家さっかのそれぞれの方向ほうこうであらう」とべて[13]新味しんみがあり好奇心こうきしんさそった作品さくひんだとしている[13]おなじく、芥川賞あくたがわしょう推薦すいせんした瀧井たきい孝作こうさくは、「寓話ぐうわ諷刺ふうし作品さくひんにふさわしい文体ぶんたいがちゃんと出来できている。(中略ちゅうりゃく文体ぶんたい文章ぶんしょうがちゃんとかくかりしているから、どんなこといてあっても、ませるので、ふでちからがあるのです。自分じぶんのスタイルをっている。これはよい作家さっかだとおもいました」とひょうしている[14]

かべ―S・カルマ犯罪はんざい』の文体ぶんたいについて市川いちかわたかしは、小説しょうせつ文脈ぶんみゃく説明せつめいてき饒舌じょうぜつな、づる衍体てきいちめんつと同時どうじに、簡潔かんけつ手法しゅほうとテンポのはやさ、きびきびした会話かいわ展開てんかいふくむとし、また、具象ぐしょうてき印象いんしょうてき図形ずけいるいはいしているてん特色とくしょくだと[15]、その特色とくしょくが、「れることなくつづ全体ぜんたい構成こうせいと、印象いんしょうてきなクライマックス」とともに、ちょう現実げんじつてき世界せかいえが観念かんねんてき作風さくふうひとつの調和ちょうわをなしていると解説かいせつしている[15]

この市川いちかわたかし解説かいせつひょうけ、安部あべは『かべ―S・カルマ犯罪はんざい』で「意識いしきてき工夫くふう」した説明せつめいてき文章ぶんしょうについて、「形式けいしきてきには説明せつめいだが、内容ないようてきには、たんなる前文ぜんぶん繰返くりかえしにすぎないのである。かりきったことを、もっともらしく、あるいはおどろきをもって反復はんぷくしているにすぎない」とし[6]、それは市川いちかわかんじた「理屈りくつっぽい傾向けいこう」というより、「むしろぎこちない思考しこう」であり、〈ので〉〈から〉とう接続せつぞく助詞じょしだしも、「関節かんせつ単純たんじゅんさのために、すべての行動こうどうをたやすく予見よけんでき、予見よけんできすぎることによってかえってなぞめいてくる、あのマリオネットのとぼけたおかしさにちかいもの」や、「そく物性ぶっせいから飛躍ひやくできない、子供こどもの〈理由りゆうさがし〉のこっけいさにたもの」を意図いとした文体ぶんたいだと説明せつめいしている[6]

あかまゆ』について森川もりかわ達也たつやは、「この作品さくひん生命せいめいは、なによりもまず、『あかまゆ』そのものがっているイメージのうつくしさ、にある」とひょう[16]、『あかまゆ』が一般いっぱんてきわれるように、「ユーモアとアイロニーをこめた寓話ぐうわてき手法しゅほうによって、現代げんだい人間にんげんかれた状況じょうきょうえがした短篇たんぺん」にはちがいないが、たんにその寓意ぐういさぐって合理ごうりてき解釈かいしゃくすることよりも、作品さくひん全体ぜんたいてきイメージのうつくしさを重視じゅうししたいと解説かいせつをしている[16]

おもな刊行かんこうほん[編集へんしゅう]

  • かべ』(月曜げつよう書房しょぼう、1951ねん5がつ28にち
    • 装幀そうてい勅使河原てしがわらひろし挿絵さしえ桂川かつらがわひろし序文じょぶん石川いしかわあつし。あとがき:安部あべ公房こうぼう
    • 収録しゅうろく作品さくひんだい一部いちぶ・S・カルマ犯罪はんざいだいバベルばべるとうたぬきだいさんあかまゆあかまゆ洪水こうずい魔法まほうのチョーク、事業じぎょう
  • 文庫ぶんこばんかべ』(角川かどかわ文庫ぶんこ、1954ねん3がつ10日とおか) 
    • 挿絵さしえ桂川かつらがわひろし序文じょぶん石川いしかわあつし
    • 収録しゅうろく作品さくひん:S・カルマ犯罪はんざいあかまゆあかまゆ洪水こうずい魔法まほうのチョーク、事業じぎょう
  • 水中すいちゅう都市とし』(桃源とうげんしゃ、1964ねん12月10にち
  • 文庫ぶんこばんかべ』(新潮しんちょう文庫ぶんこ、1969ねん5がつ20日はつか改版かいはん1988ねん) ISBN 978-4-10-112102-4
    • カバー装画そうが安部あべ真知まち付録ふろく解説かいせつ佐々木ささき基一きいち挿絵さしえ安部あべ真知まち
    • 収録しゅうろく作品さくひんだい一部いちぶ・S・カルマ犯罪はんざいだいバベルばべるとうたぬきだいさんあかまゆあかまゆ洪水こうずい魔法まほうのチョーク、事業じぎょう
    • ※ のち、カバー装画そうが近藤こんどう一弥かずや(フォト:安部あべ公房こうぼう)。
  • 限定げんていばんあかまゆ』(プレス・ビブリオマーヌ、1969ねん5がつ
  • 限定げんていばん魔法まほうのチョーク』(プレス・ビブリオマーヌ、1969ねん12がつ
    • 限定げんてい475署名しょめいいれ近江おうみさん草木染くさきぞめ雁皮紙がんぴし夫婦ふうふさんぽうちつり。おぼがき安部あべ公房こうぼう
  • 限定げんていばん洪水こうずい』(プレス・ビブリオマーヌ、1973ねん11月)
    • 限定げんてい585署名しょめいいれ近江おうみさん草木染くさきぞめ雁皮紙がんぴし夫婦ふうふさんぽうちつり。おぼがき安部あべ公房こうぼう
  • 限定げんていばん事業じぎょう』(プレス・ビブリオマーヌ、1974ねん11月)
    • 限定げんてい395署名しょめいいれそうかわそう。アクリルケースり。おぼがき安部あべ公房こうぼう
  • 英文えいぶんばん『Beyond the Curve』(わけ:Juliet Winters Carpenter)(Kodansha International、1991ねん

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 高野たかの志美しび新潮しんちょう日本にっぽん文学ぶんがくアルバム51 安部あべ公房こうぼう』(新潮社しんちょうしゃ、1994ねん
  2. ^ a b 佐々木ささき基一きいち解説かいせつ」(文庫ぶんこばんかべ』)(新潮しんちょう文庫ぶんこ、1969ねん改版かいはん1988ねん
  3. ^ a b 作品さくひんノート2」(『安部あべ公房こうぼう全集ぜんしゅう 2 1948.06-1951.05』)(新潮社しんちょうしゃ、1997ねん
  4. ^ a b 安部あべ公房こうぼう「あとがき」(『かべ』)(月曜げつよう書房しょぼう、1951ねん
  5. ^ 安部あべ公房こうぼう中野なかの孝次たかじとの対談たいだん)「カフカの生命せいめい」(1980ねん11月)
  6. ^ a b c 安部あべ公房こうぼう「S・カルマ素性すじょう」(はつだいわたし文章ぶんしょう」〈わが文章ぶんしょうかたる〉らん)(言語げんご生活せいかつ特集とくしゅう戦後せんご作家さっか文章ぶんしょう」1955ねん10がつごう掲載けいさい
  7. ^ 安部あべ公房こうぼう「『S・カルマ犯罪はんざい』――安部あべ公房こうぼうスタジオ会員かいいん通信つうしん6」(安部あべ公房こうぼうスタジオ会員かいいん通信つうしんNo.6・1978ねん10がつ1にちごう掲載けいさい
  8. ^ 安部あべ公房こうぼう戦後せんご文学ぶんがくしょう受賞じゅしょう記事きじ」(東京とうきょう新聞しんぶん 1951ねん4がつ10にちごう掲載けいさい
  9. ^ 安部あべ公房こうぼうおぼがき――『あかまゆ』」(限定げんていばんあかまゆみ)(プレス・ビブリオマーヌ、1969ねん
  10. ^ 安部あべ公房こうぼうおぼがき―『魔法まほうのチョーク』」(限定げんていばん魔法まほうのチョーク』み)(プレス・ビブリオマーヌ、1969ねん
  11. ^ 作品さくひんノート15」(『安部あべ公房こうぼう全集ぜんしゅう 15 1961.01-1962.03』)(新潮社しんちょうしゃ、1998ねん
  12. ^ 塩瀬しおぜひろし私的してきおぼき」(文学ぶんがく 1984ねん8がつごう掲載けいさい
  13. ^ a b 川端かわばた康成やすなり「『かべ』をす」(だい25かい昭和しょうわ26年度ねんど上半期かみはんき芥川賞あくたがわしょう選評せんぴょう)(文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう 1951ねん10がつごう掲載けいさい
  14. ^ 瀧井たきい孝作こうさくだい25かい昭和しょうわ26年度ねんど上半期かみはんき芥川賞あくたがわしょう選評せんぴょう)(文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう 1951ねん10がつごう掲載けいさい
  15. ^ a b 市川いちかわたかし安部あべ公房こうぼう文章ぶんしょう」(言語げんご生活せいかつ特集とくしゅう戦後せんご作家さっか文章ぶんしょう」1955ねん10がつごう掲載けいさい
  16. ^ a b 森川もりかわ達也たつや短篇たんぺん小説しょうせつ面白おもしろさ『あかまゆ』」(國文學こくぶんがく 1969ねん6がつごう掲載けいさい

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 文庫ぶんこばんかべ』(付録ふろく解説かいせつ 佐々木ささき基一きいち)(新潮しんちょう文庫ぶんこ、1969ねん改版かいはん1988ねん
  • 安部あべ公房こうぼう全集ぜんしゅう 2 1948.06-1951.05』(新潮社しんちょうしゃ、1997ねん
  • 安部あべ公房こうぼう全集ぜんしゅう 5 1955.03-1956.02』(新潮社しんちょうしゃ、1997ねん
  • 安部あべ公房こうぼう全集ぜんしゅう 8 1957.12-1958.06』(新潮社しんちょうしゃ、1998ねん
  • 安部あべ公房こうぼう全集ぜんしゅう 12 1960.06-1960.12』(新潮社しんちょうしゃ、1998ねん
  • 安部あべ公房こうぼう全集ぜんしゅう 15 1961.01-1962.03』(新潮社しんちょうしゃ、1998ねん
  • 安部あべ公房こうぼう全集ぜんしゅう 22 1968.02-1970.02』(新潮社しんちょうしゃ、1999ねん
  • 安部あべ公房こうぼう全集ぜんしゅう 26 1977.12-1980.01』(新潮社しんちょうしゃ、1999ねん
  • 新潮しんちょう日本にっぽん文学ぶんがくアルバム51 安部あべ公房こうぼう』(新潮社しんちょうしゃ、1994ねん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]