タイムスリップ・コンビナート

『タイムスリップ・コンビナート』は、笙野しょうの頼子よりこの短編たんぺん小説しょうせつである。

概要がいよう

1994年ねん6月がつ号ごうの『文學ぶんがく界かい』に掲載けいさいされ、第だい111回かい芥川賞あくたがわしょうを室井むろい光広みつひろの『おどるでく』とともに受賞じゅしょうした。

同年どうねんに文藝春秋ぶんげいしゅんじゅうより出版しゅっぱんされた単行本たんこうぼんには、「下落合しもおちあいの向むこう」(『海燕うみつばめ』1994年ねん1月がつ号ごう）および「シビレル夢ゆめノ水みず」（『文學ぶんがく界かい』1994年ねん9月がつ号ごう）が収録しゅうろくされ、文春ぶんしゅん文庫ぶんこにもこの編成へんせいが踏襲とうしゅうされた。

この作品さくひんによって、笙野しょうのは史上しじょう初はじめて、芥川賞あくたがわしょう、三島みしま賞しょう（「二に百ひゃく回忌かいき」で受賞じゅしょう）、野間のま文芸ぶんげい新人しんじん賞しょう（「なにもしてない」で受賞じゅしょう）のいわゆる純文学じゅんぶんがく新人しんじん三さん賞しょうすべての受賞じゅしょう者しゃとなった。この3作品さくひんをあわせた文庫本ぶんこぼん『笙野しょうの頼子よりこ三さん冠かん小説しょうせつ集しゅう』（河出かわで文庫ぶんこ）も発売はつばいされた。

あらすじ

歪いがんで崩くずれていく時空じくうの中なかで、マグロの夢ゆめに導みちびかれるように、語かたり手ては中央ちゅうおう線せん沿線えんせんにある住すまいから京浜東北けいひんとうほく線せんに乗のり換かえ、鶴見つるみ駅えきから（駅えきビルの愛称あいしょうカミンから仮眠かみんを連想れんそうしながら）鶴見線つるみせんに乗のり海うみ芝浦しばうら駅えきに向むかう。海うみ芝浦しばうらから浅野あさの駅えきにもどり、下車げしゃしてその近ちかくにある沖縄おきなわ会館かいかんを訪おとずれる。「私わたし」は現代げんだいの、そして「私わたし」の実相じっそうを見みる。

評価ひょうか

同どう作品さくひんに対たいして芥川賞あくたがわしょうの選評せんぴょうでは、河野こうの多恵子たえこは「名作めいさく」などと評価ひょうかしているのに対たいして、以前いぜんの作品さくひん（三島みしま賞しょう受賞じゅしょう作さく）の『二に百ひゃく回忌かいき』の印象いんしょうの方ほうが強つよかったとする意見いけんが日野ひの啓三けいぞうや田久保たくぼ英夫ひでおなどから出でた。

外部がいぶリンク

• タイムスリップ・コンビナート - 文春ぶんしゅん文庫ぶんこ