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社会しゃかい階級かいきゅう

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社会しゃかい階級かいきゅう風刺ふうし

社会しゃかい階級かいきゅう(しゃかいかいきゅう、えい: Social class)、階級かいきゅう社会しゃかい (class society) あるいはたん階級かいきゅう (class) とは、社会しゃかい科学かがく政治せいじ哲学てつがくにおける社会しゃかいてき成層せいそう (social stratification) モデルにもとづく概念がいねんであり、 社会しゃかい構成こうせいいん集団しゅうだんごとにたがいにピラミッドがた上下じょうげ関係かんけいヒエラルキー)による概念がいねん分類ぶんるいされたときのかく社会しゃかい集団しゅうだんのことをさす[1]

もっと普及ふきゅうしている階級かいきゅうけは、上流じょうりゅう階級かいきゅう (upper class)、中流ちゅうりゅう階級かいきゅう (middle class)、下流かりゅう階級かいきゅう (lower class) の分類ぶんるいである[疑問ぎもんてん]

Class(クラス)という語句ごくラテン語らてんごclassis由来ゆらいし、国勢調査こくせいちょうさにおいて兵役へいえき義務ぎむ決定けっていのため市民しみん資産しさんでカテゴリけするさいもちいられた[2]

概況がいきょう[編集へんしゅう]

アンシャンレジーム風刺ふうしした
だいさん身分みぶんしゃ聖職せいしょくしゃ貴族きぞく背負せおう)

世界中せかいじゅうのほとんどの社会しゃかいでは、社会しゃかい発展はってんともな貧富ひんぷ権力けんりょく分化ぶんかにより、歴史れきしてきなんらかの階級かいきゅう階層かいそう制度せいど存在そんざいしてきた。戦前せんぜんまでの日本にっぽんにおいても、法律ほうりつによってみとめられた階級かいきゅう階層かいそう制度せいどがあったし、現在げんざい社会しゃかいてき慣習かんしゅうや、経済けいざいてき格差かくさなどに起因きいんする階層かいそう意識いしき存在そんざいする。

社会しゃかいてき階級かいきゅうのほとんどは、ひと出自しゅつじした人種じんしゅ門地もんち所属しょぞくする宗教しゅうきょう信奉しんぽうする思想しそうなど、様々さまざま指標しひょうもとづいてけられるもので、他者たしゃみとめられることによって成立せいりつする。歴史れきしてきにみれば、階級かいきゅうは、まれや家柄いえがらによって固定こていされ、いち生涯しょうがいあいだにはおおきく変動へんどうすることがすくないものがおおかったが、現代げんだい社会しゃかいではいちだい社会しゃかいたいする貢献こうけんや、比較的ひかくてき自由じゆうおこなわれるようになった階級かいきゅうをまたぐ婚姻こんいん改宗かいしゅうなどによって変動へんどうしうるものである。

また、近代きんだい以降いこう資産しさんによる階級かいきゅう格差かくさ世界せかいてき資本しほん主義しゅぎ経済けいざい発展はってんなか拡大かくだいつづけてきたが、経済けいざい発展はってん同時どうじに、貴族きぞくのような歴史れきしてき階級かいきゅうであっても資産しさん裏付うらづけがなくしては優位ゆうい階級かいきゅうとしての地位ちいたもてず、あらたに企業きぎょうや、高級こうきゅう官僚かんりょうのような新興しんこう階級かいきゅう交代こうたいしてきた。近代きんだい社会しゃかいでは、経済けいざいかい官界かんかいにおいて高位こういるには出自しゅつじのみならずたか教育きょういくけることがのぞまれるようになり、世襲せしゅう財産ざいさん地位ちいそれ自体じたいよりも、たか教育きょういくほどこ資力しりょくつという意味いみにおいて、資産しさん階級かいきゅう実質じっしつてき世襲せしゅう実現じつげんしているとの指摘してきもある(階層かいそうさい生産せいさんろん)。

社会しゃかい階級かいきゅうによる区別くべつ差別さべつ[編集へんしゅう]

階級かいきゅうによる区別くべつ差別さべつは、おもつぎのとおりけられる。これらは、法律ほうりつによりさだめられている場合ばあいと、社会しゃかいれられた慣習かんしゅうとしておこなわれているものにけることができる。

  1. 社会しゃかいてき名望めいぼう名士めいしとしてのあつかい)
  2. 社会しゃかいなかける待遇たいぐう権利けんり権限けんげんや、各種かくしゅ待遇たいぐう
  3. 社会しゃかいたいする威信いしん信用しんよう投資とうし結婚けっこん就職しゅうしょくなどの局面きょくめんにおける優遇ゆうぐうまたは差別さべつてきあつかい)

職業しょくぎょうじょうられ、職階しょっかいもとづいてける階級かいきゅうてきあつかいは、本来ほんらい職業しょくぎょう職務しょくむもとづき、職業しょくぎょう職務しょくむ範囲はんいなかでしかみとめられないものであるが、実際じっさいには(1)のような名望めいぼうともない、さらには(3)のような威信いしんさえもともな階層かいそうじょう特典とくてんとなることもある。

世界せかいてきて、(2)による区別くべつ差別さべつ職階しょっかい起因きいんする待遇たいぐう権限けんげんじょう格差かくさのぞいて撤廃てっぱいされる傾向けいこうがあるが、(1)については名誉めいよともなうものとして歓迎かんげいされることがおおく、また(3)は根強ねづよのこ傾向けいこうにある。もっとも(1)については、従来じゅうらい世襲せしゅうによって継承けいしょうされるものであったが、現在げんざい世襲せしゅうされないことがかえってこのましいとかんがえられることもある。

階級かいきゅう闘争とうそう[編集へんしゅう]

階級かいきゅう闘争とうそう(かいきゅうとうそう、Class conflict, class warfare, class struggle)とは、生産せいさん手段しゅだん私有しゆう社会しゃかい基礎きそとなっている階級かいきゅう社会しゃかいにおいて、階級かいきゅう階級かいきゅうとのあいだで発生はっせいする社会しゃかいてき格差かくさ克服こくふくするためにおこなわれる闘争とうそう。この闘争とうそうにより革命かくめいきるとされている。対義語たいぎごとして階級かいきゅう協調きょうちょうげられる。

各国かっこく社会しゃかい階級かいきゅう[編集へんしゅう]

イギリス[編集へんしゅう]

イギリス歴史れきしてき階級かいきゅう社会しゃかいであるとされる。

地主じぬし貴族きぞく中心ちゅうしんとする上流じょうりゅう階級かいきゅう実業じつぎょう専門せんもんしょくなどの中流ちゅうりゅう階級かいきゅう、そしていわゆる労働ろうどうしゃ階級かいきゅう大別たいべつされるが、個々ここ階級かいきゅうないにおいても上層じょうそう下層かそう区別くべつ存在そんざいするとわれる。

王室おうしつ世襲せしゅう貴族きぞく頂点ちょうてんに、爵位しゃくいもとづく称号しょうごう栄典えいてんじょう階級かいきゅうだい規模きぼ存続そんぞくしているのもイギリスのおおきな特徴とくちょうである。歴史れきしてきには上流じょうりゅう階級かいきゅう代表だいひょうしゃであった世襲せしゅう貴族きぞくは、特権とっけん撤廃てっぱいされつつあるが、社会しゃかい様々さまざま分野ぶんや活躍かつやく貢献こうけんしたものいちだい貴族きぞく勲爵くんしゃくとしてじょせられ、社会しゃかいてき名誉めいよあたえられる。勲爵くんしゃく称号しょうごう国外こくがいではたんなるイギリス王室おうしつからあたえられた勲章くんしょうぎないが、イギリス国内こくないでは「Sir」の称号しょうごうなど、ある程度ていど特権とっけんけることができる。

一方いっぽうで、イギリスにおける階級かいきゅうは、世襲せしゅうだい貴族きぞく階級かいきゅうてき権威けんいかれらがもつ広大こうだい荘園しょうえんなどの世襲せしゅう財産ざいさんとそれにもとづいた生活せいかつ習慣しゅうかんにあったように、文化ぶんか職業しょくぎょう生活せいかつスタイル、そして本人ほんにん周囲しゅういによる認識にんしきによって規定きていされるものである。したがって、叙勲じょくんけたからといって上流じょうりゅう階級かいきゅう一員いちいんとみなされないのが普通ふつうである。さらに現在げんざいでは階級かいきゅうかならずしも経済けいざいりょく反映はんえいしてはいない現状げんじょうがあり、とく下層かそう上流じょうりゅう上層じょうそう中流ちゅうりゅう下層かそう中流ちゅうりゅう上層じょうそう労働ろうどうしゃにおいて、しばしば経済けいざい状態じょうたい逆転ぎゃくてんられる。

ドイツ[編集へんしゅう]

ドイツは、マイスターせいしめされるように、職業しょくぎょうにより階層かいそう職階しょっかいけられている。

かつて、それらの階層かいそうあいだでの差別さべつすくなく、かえって階層かいそう尊敬そんけいする風潮ふうちょうもみられていた。これらの階層かいそうは、学校がっこうもカリキュラムも別々べつべつであったが、教育きょういく共通きょうつうはかられるようになると、日本にっぽんのような学校がっこう序列じょれつ出来上できあがり、これが職業しょくぎょう階層かいそう差別さべつつながるような風潮ふうちょうてはいる。

なお、階層かいそう直接ちょくせつ世襲せしゅういものの、移動いどうすくなくかなり固定こていされている。また、きゅう東西とうざいドイツが統一とういつしたのち、その経済けいざいりょくによりきゅう東西とうざいドイツ国民こくみんあいだでのあらたな階層かいそうまれることとなった。さらには、単純たんじゅん作業さぎょうしゃとして国外こくがい労働ろうどうしゃまねれた結果けっか、これがあらたな階層かいそうしている。

インド[編集へんしゅう]

インドでは、法律ほうりつじょうすでに階級かいきゅう存在そんざいしないが、よんだい文明ぶんめい当時とうじからの、一般いっぱんカーストせいとしてられる独自どくじ身分みぶん制度せいど存在そんざいしている。

カーストはバラモンクシャトリアヴァイシャシュードラよん身分みぶん大別たいべつされるといわれるが、実際じっさいには、かく身分みぶんないにおいても世襲せしゅう職業しょくぎょうなどにおうじて無数むすう区分くぶんおこなわれている。さらに、四身よつみぶんふくまれることすらゆるされない不可ふかさわみん(アンタッチャブル)が存在そんざいしている。これらの身分みぶん制度せいど宗教しゅうきょう生活せいかつ不可分ふかぶんむすびついており、インド全体ぜんたい近代きんだいにおいておおきなさまたげと指摘してきされるところであるが、インドじんあいだ現在げんざいつよ根付ねついているが、問題もんだいしないひとおおいとされる。

コチェリル・ラーマン・ナラヤナンは、不可ふかさわみん出身しゅっしんとしてはじめてインドの大統領だいとうりょうえらばれた。

タイ[編集へんしゅう]

タイは、爵位しゃくい制度せいど存在そんざいする社会しゃかいである。ラーチャウォン(王族おうぞく)とばれる人々ひとびとがこの爵位しゃくい制度せいどによって階級かいきゅうけされており、全部ぜんぶで5つ存在そんざいする。ラーチャウォンとばれる人々ひとびとには階級かいきゅうおうじて年金ねんきんなどの特権とっけん存在そんざいする一方いっぽうで、階級かいきゅうによっては政治せいじ関与かんよなどに制約せいやくがかかっている場合ばあいもある(くわしくはラーチャウォン参照さんしょう)。

一方いっぽうアユタヤ王朝おうちょう時代じだいつくられたクンナーンばれる官僚かんりょうにはバンダーサックばれる階級かいきゅう存在そんざいした。バンダーサックは元々もともとあたえられる耕作こうさく面積めんせきおうじて階級かいきゅうけがなされたが、チャクリー王朝おうちょうには徐々じょじょ名誉めいよてき階級かいきゅう変化へんかし、そのひとがどれだけ有力ゆうりょくかとうことをしめ階級かいきゅうとなった。これは、立憲りっけん革命かくめいときあらたなバンダーサックの下賜かし廃止はいしされたが、国王こくおう剥奪はくだつされないかぎ名乗なのることができたため、20世紀せいき中期ちゅうきまで、バンダーサックをゆうする官僚かんりょうらが活躍かつやくした。かりにバンダーサックを立憲りっけん革命かくめい以前いぜん下賜かしされたひとたとしてげん生存せいぞんしている場合ばあい、そのバンダーサックは公式こうしきにも使つかわれるため、見方みかたによっては現存げんそん階級かいきゅう制度せいどなすこともできる。

また警察けいさつ軍隊ぐんたい階級かいきゅう大将たいしょう軍曹ぐんそうなど)を保持ほじしており、公式こうしきではかならずこの階級かいきゅう利用りようされる。これを保持ほじしている場合ばあい平民へいみん敬称けいしょうであるナーイナーンなどは使つかわれない。これは一度いちど保有ほゆうすると昇級しょうきゅう剥奪はくだつされないかぎりそのまま使つかつづけることができ、退職たいしょくしてもそのまま使つかつづけることができる。たとえば過去かこのタイの総理そうり大臣だいじんであるプレーク・ピブーンソンクラーム元帥げんすいから退しりぞいたのち元帥げんすい階級かいきゅう保持ほじしており、現在げんざいでも元帥げんすいという階級かいきゅうともばれる。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[編集へんしゅう]

社会しゃかい学者がくしゃDennis Gilbertによる、米国べいこく社会しゃかい経済けいざいがくてきステータス。ひだりからじゅんに、上流じょうりゅう階級かいきゅう上位じょうい中産ちゅうさん階級かいきゅう中流ちゅうりゅう階級かいきゅう労働ろうどうしゃ階級かいきゅうワーキングプアアンダークラス[3]

アメリカ南部なんぶしゅうでは、かつては人種じんしゅ差別さべつ立法りっぽうされていた。60年代ねんだい公民こうみんけん運動うんどう以来いらい差別さべつほう廃止はいしとなっていった。一方いっぽう資産しさんによる区別くべつはげしくなる傾向けいこうにあり、資産しさん階級かいきゅう犯罪はんざい対応たいおう住宅じゅうたくがいつうじる道路どうろ補修ほしゅうといったかたちでの様々さまざま恩恵おんけいけることもある。

実情じつじょうでは、資産しさん階級かいきゅうになる早道はやみちとしてこう報酬ほうしゅう職業しょくぎょうたかいポストの職階しょっかいくためには、実績じっせきたか学歴がくれき試験しけん資格しかく必要ひつようがある。その教育きょういくかねをかけるという意味いみ貧民ひんみんそう(マイノリティーにおおい)はその職業しょくぎょうくことは困難こんなんである。またマイノリティーは、たとえ実績じっせき学歴がくれきんでも、ある職階しょっかい出世しゅっせざされる(ガラスの天井てんじょう)ことがおおい。一方いっぽうで、ベンチャー企業きぎょうげによる資産しさん形成けいせいや、セレブリティとして名士めいしになる方法ほうほうもあるが、一部いちぶのマイノリティーのベンチャー企業きぎょうへの投資とうしには、えないかたち制限せいげんがかけられている場合ばあいおおい。また名士めいしになれる可能かのうせいは、実力じつりょくけて必要ひつようであり、また資産しさん階級かいきゅうになる方法ほうほうくらべ、かくりつ非常ひじょうちいさいことにより、あらたなかたちのマイノリティー差別さべつとの指摘してきもある。

オーストラリア[編集へんしゅう]

オーストラリアは、アメリカと同様どうように、かつてははくつよし主義しゅぎばれる人種じんしゅ差別さべつおこなわれていたが、この制度せいど撤廃てっぱいされた。また、近年きんねんアジアとの経済けいざいてきむすびつきが大切たいせつであることが認識にんしきされ、人種じんしゅによる階層かいそう差別さべつ姿すがたしつつある。しかしながら、先住民せんじゅうみんぞくであるアボリジニ問題もんだいのこされている。

イタリア[編集へんしゅう]

今日きょうイタリア社会しゃかい階級かいきゅうヒエラルキーは以下いかのようになっている[4]

  1. ブルジョワジー(労働ろうどう人口じんこうの10%)[4] - 上流じょうりゅう階級かいきゅう起業きぎょう管理かんりしょく政治せいじ自営業じえいぎょうなど
  2. ホワイトカラー中流ちゅうりゅう階級かいきゅう(17%) [4] - 肉体にくたい労働ろうどうではない中流ちゅうりゅう階級かいきゅう労働ろうどうしゃなど
  3. 都市としプチブルジョア(14%) [4] - 商店しょうてんぬしスモールビジネス起業きぎょう自営業じえいぎょうなど
  4. 農村のうそんプチブルジョア(10%) [4] - 田舎いなか農林のうりんぎょう従事じゅうじする、小規模しょうきぼ起業きぎょう不動産ふどうさんオーナー
  5. 都市とし労働ろうどうしゃ階級かいきゅう(37%) [4] - 都市とし肉体にくたい労働ろうどう従事じゅうじする人々ひとびと
  6. 農村のうそん労働ろうどうしゃ階級かいきゅう(9%) [4] - 農業のうぎょう林業りんぎょう漁業ぎょぎょうなどのだいいち産業さんぎょう従事じゅうじする人々ひとびと

日本にっぽん[編集へんしゅう]

現況げんきょう[編集へんしゅう]

日本にっぽんでは、憲法けんぽうだい14じょうほうした平等びょうどう規定きていしており、皇族こうぞく一部いちぶのぞく)を例外れいがいとして、国民こくみんあいだには世襲せしゅうてき特権とっけん階級かいきゅう存在そんざいしないとされている。 しかしながら、いくつかの要素ようそわさることにより社会しゃかいてき序列じょれつづけることはおこなわれている。

職階しょっかいなど[編集へんしゅう]

なお、いわゆる階級かいきゅうとはことなるが、各種かくしゅ職位しょくい職階しょっかい組織そしき内部ないぶはもちろん、一般いっぱん社会しゃかいにあっても一定いってい権威けんいつことがある。たとえば、首長しゅちょう議員ぎいんなどの政治せいじ裁判官さいばんかん事務次官じむじかん官僚かんりょう学校がっこうちょう税務署ぜいむしょちょうなどの公職こうしょくしゃ武道ぶどう華道かどう囲碁いご将棋しょうぎなどの技能ぎのう称号しょうごう神社じんじゃうち高位こうい職階しょっかいにある神職しんしょく芸能げいのうスポーツ叙勲じょくんなどの各種かくしゅしょう受賞じゅしょうしゃ医師いし弁護士べんごし公認こうにん会計士かいけいしなどのさい難関なんかん国家こっか試験しけん合格ごうかくしゃ、および人間にんげん国宝こくほうなどの公的こうてき認定にんてい制度せいどけたもの、さらには著名ちょめい研究けんきゅうしゃだい企業きぎょう社長しゃちょうきょくいちにぎりの世界せかいてき企業きぎょうれいGAFAマッキンゼー)の社員しゃいんひろ社会しゃかい尊敬そんけい対象たいしょうとされる傾向けいこうがあり、これが一種いっしゅ階級かいきゅうとして慣例かんれいてき通用つうようする場合ばあいがある。ただし、これは名士めいしエリートとしてのあつかいであり、席順せきじゅん挨拶あいさつ順番じゅんばん敬称けいしょう組織そしき内部ないぶでの発言はつげんりょく序列じょれつ程度ていど普遍ふへんてき区別くべつ差別さべつとはつながらなく、直接的ちょくせつてき世襲せしゅうおこなわれない。しかし、家元いえもと大学だいがくといった閉鎖へいさされた組織そしきないにおいては、称号しょうごう(または職名しょくめい)が絶対ぜったいてきとなる場合ばあいもあり、一部いちぶ人間にんげん外部がいぶたいしても権威けんいりかざす場合ばあい存在そんざいする(これは本人ほんにん人格じんかくによるものであるが、制度せいど組織そしき脆弱ぜいじゃくせいともえる)。

また、企業きぎょうなどでは、職務しょくむ度合どあいにおうじて責任せきにんしめ職階しょっかい役職やくしょく課長かちょう部長ぶちょう役員やくいんなど)が、職務しょくむじょう指揮しき命令めいれい権限けんげんだけでなく、組織そしきないでの様々さまざま待遇たいぐう食堂しょくどうべつ運転うんてんしゅ執務しつむよう個室こしつ有無うむなど)の格差かくさおよんでいる。こうした職階しょっかい制度せいど職務しょくむたいする責任せきにん報酬ほうしゅう度合どあいをはかるのに必要ひつようなものであるが、日本にっぽん組織そしきない階級かいきゅう制度せいどはしばしば法的ほうてき根拠こんきょ業務ぎょうむがいでの待遇たいぐう格差かくさ指揮しき権限けんげん(いわゆる職権しょっけん濫用らんよう)におよんでおり、商法しょうほう違反いはんした重大じゅうだい人権じんけん問題もんだい行為こういであるとも指摘してきされている(いわゆるパワーハラスメント)。たとえば、就業しゅうぎょう規則きそく上位じょうい役職やくしょく業務ぎょうむ命令めいれい遵守じゅんしゅするように規定きていされる一方いっぽうで、その業務ぎょうむ命令めいれい範囲はんい遵守じゅんしゅ違反いはんたいする懲戒ちょうかい明確めいかくでないケースがあり、遵守じゅんしゅ違反いはんしゃたいする免職めんしょく裁判さいばん会社かいしゃがわった判決はんけつれい存在そんざいする。また、人事じんじ給料きゅうりょう査定さてい上位じょうい役職やくしょく権限けんげんであり、職位しょくいによっては関連かんれん会社かいしゃへの発注はっちゅう権限けんげんもあるため、従業じゅうぎょういん関連かんれん会社かいしゃ従業じゅうぎょういんもしくはその家族かぞく上位じょうい役職やくしょくしゃ感情かんじょうがいさないように業務ぎょうむがいでも役職やくしょくしたがわざるをない場合ばあいもありえる。こうした日本にっぽん企業きぎょう特徴とくちょうは、企業きぎょう株主かぶぬしでなく経営けいえいしゃのための経営けいえい外部がいぶ監査かんさ機能きのうしていないことによる現象げんしょうとも指摘してきされる。実際じっさいに、上位じょうい役職やくしょくしゃとその家族かぞくが、役職やくしょく権限けんげん私物しぶつして、裁判さいばん社会しゃかい問題もんだいになったこともある。さらに、組織そしきやその直接的ちょくせつてき利害りがい関係かんけいしゃそとにおいてみても、個人こじん所属しょぞく組織そしきめい役職やくしょくめい収入しゅうにゅうが、銀行ぎんこうローンの上限じょうげんゴルフクラブ会員かいいんけんクレジットカード種類しゅるい影響えいきょうおよぼしたり、その家族かぞく結婚けっこん就職しゅうしょくなどにまで影響えいきょうすることはめずらしくない。このため、所属しょぞく組織そしき権威けんい実力じつりょく役職やくしょく収入しゅうにゅう肯定こうていが、実質じっしつてき社会しゃかい階級かいきゅうしていることもある。もっとも、こうした傾向けいこう政治せいじなどの「名士めいし」とされる人々ひとびとにおいてもみられるし、かならずしも日本にっぽん民間みんかん企業きぎょうかぎった現象げんしょうではない。

歴史れきし[編集へんしゅう]

明治めいじ以前いぜん[編集へんしゅう]
武家ぶけ召使めしつかい(1845ねんごろ

8世紀せいき完成かんせいした律令制りつりょうせいしたでは、朝廷ちょうていつかえる公民こうみんについては、個々人ここじんはん田制たせいもとづいて国家こっかから平等びょうどうあたえられることとされた一方いっぽう朝廷ちょうていつかえるものや国家こっか勲功くんこうがあったものにはいちだいかぎりの位階いかいあたえられることとなり、実質じっしつじょう貴族きぞく制度せいど維持いじされた。

貴族きぞくは、厳密げんみつには以上いじょう官位かんいすなわ位階いかい官職かんしょくじょせられたものをいう。平安へいあん時代じだいには貴族きぞく家格かかく固定こていすすみ、鎌倉かまくら時代ときよいたって朝廷ちょうていにあって公卿くぎょうとして天皇てんのう輔弼ほひつした公家くげばれる集団しゅうだん形成けいせいされた。一方いっぽうはん田制たせい早期そうき崩壊ほうかいによって社会しゃかい分化ぶんかすすみ、そのなかから武芸ぶげい家職かしょくとした武士ぶしばれる人々ひとびとちからをもつようになった。鎌倉かまくら時代じだい以降いこう武家ぶけって公家くげなら支配しはい階層かいそうになる集団しゅうだんである。もっとも、武家ぶけしょ家系かけいあいだ社会しゃかい階層かいそう一定いっていしていたわけではなく、戦国せんごく時代じだいまでのあいだ浮沈ふちんられた。

江戸えど時代じだいになると、公家くげ武家ぶけあいだ階層かいそう最終さいしゅうてきかたち定着ていちゃくする。公家くげ摂家せっけ清華せいか大臣だいじん羽林はばやし名家めいか半家はげといった家格かかくがあり、またそのしたには地下ちかばれる下級かきゅう公家くげがおりそのなかでも催官じんなみかんじんしたかんじんといった家格かかくがあり、おな血筋ちすじにおける直系ちょっけい傍系ぼうけい代々だいだいさづけられた官位かんいもとづいて階層かいそうされた。一方いっぽう武家ぶけ将軍しょうぐん頂点ちょうてんにそのちょくしん大名だいみょう旗本はたもと御家人ごけにん大別たいべつされ、また大名だいみょう以下いか家臣かしん陪臣ばいしん)にも様々さまざま家格かかく形成けいせいされた。武家ぶけ血筋ちすじもさることながら、功績こうせきによってみとめられた領地りょうち勢力せいりょく特別とくべつ格式かくしきなどふくあいてき事由じゆう家格かかく決定けっていする要素ようそとなった。また、武家ぶけ家格かかく上昇じょうしょう下降かこう存在そんざいした。

また、江戸えど時代じだいには公家くげ武家ぶけほか農民のうみん町人ちょうにん身分みぶんとしてみとめられ、かつそのそれぞれが生業せいぎょう資産しさん社会しゃかいてき地位ちいなどによって区別くべつされていた。

明治めいじ時代じだい以降いこう身分みぶん構造こうぞう[編集へんしゅう]

明治めいじ時代じだい(より正確せいかくには大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう成立せいりつ以降いこう、それまでの封建ほうけんてき身分みぶん社会しゃかいにおける階級かいきゅう天皇てんのう一族いちぞくである皇族こうぞく公家くげ大名だいみょうなどを中心ちゅうしんとした華族かぞく武士ぶし階級かいきゅう中心ちゅうしんとした士族しぞく農民のうみんとう中心ちゅうしんとした平民へいみんけられた。これらの分類ぶんるい族称ぞくしょうという。よっつの族称ぞくしょう分類ぶんるいされたかく階級かいきゅう人々ひとびと明治めいじしん政府せいふはっした四民しみん平等びょうどう方針ほうしんした基本きほんてきには天皇てんのうまえ平等びょうどうとされた。

これは近代きんだい国家こっかとして世界せかい通用つうようする日本にっぽん建設けんせつするじょう不合理ふごうり制度せいどのこくにというイメージを払拭ふっしょくするねらいがあり、また天皇てんのう中心ちゅうしんとした富国強兵ふこくきょうへいすすめるうえでは階級かいきゅうあいだ差別さべつとう是正ぜせいする効果こうかがあった一方いっぽう封建ほうけんてき要素ようそ色濃いろこのこした。

とく華族かぞくについては、それまでの支配しはい階級かいきゅうとして既得きとくけんうばうことで世情せじょう混乱こんらんするおそれが考慮こうりょされたり、天皇てんのう中心ちゅうしんとした国家こっか建設けんせつけて皇室こうしつ藩屏はんぺいにな存在そんざい必要ひつようとされたため、それまでの支配しはい階級かいきゅう特別とくべつ身分みぶんとしてぐうしたものである。華族かぞくは、貴族きぞくいん議員ぎいんへの選出せんしゅつ官僚かんりょうへの登用とうよう学習がくしゅういんへの修学しゅうがくなどで、様々さまざま特権とっけん享受きょうじゅした。

中間ちゅうかんてき階級かいきゅうである士族しぞくかんしては、まげ禁止きんし廃刀はいとうれい俸禄廃止はいしといった既得きとくけんうば施策しさく段階だんかいてき実施じっしされ、最終さいしゅうてきにはほとんど平民へいみんとかわるところがなくなった。

平民へいみん自由じゆう身分みぶんあたえられたことにくわえて、学業がくぎょう優秀ゆうしゅうもの大学だいがく進学しんがくして学位がくい官僚かんりょう登用とうようされたり、軍人ぐんじんになるなどの手段しゅだんつうじて立身出世りっしんしゅっせするみちひらかれた。また、高額こうがく納税のうぜいしゃであれば貴族きぞくいん議員ぎいんへの選出せんしゅつ可能かのうであった。

士族しぞく平民へいみんで、官僚かんりょう軍人ぐんじんとなったものは、位階いかい勲等くんとうをはじめ、官吏かんりとしての地位ちい称号しょうごう特権とっけん享受きょうじゅし、また軍人ぐんじんであれば軍功ぐんこうによってこうきゅうあたえられる栄誉えいよけた。また、国家こっかたいする功績こうせき絶大ぜつだいみとめられれば、あらたに華族かぞくとして受爵する可能かのうせいすらもあった。

しかしこの一方いっぽうで、家柄いえがらという江戸えど時代じだい以来いらい価値かちかん厳然げんぜんのこり、明治めいじ以降いこう社会しゃかい構造こうぞう身分みぶん社会しゃかい厳格げんかくなものから多少たしょうゆるやかなものとしたにぎないというきもある。さらには江戸えど時代じだい以前いぜん差別さべつみん平民へいみん編入へんにゅうされたものの、かれらへの差別さべつ厳然げんぜんとしてのこされていた。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Grant, J. Andrew (2001). “class, definition of”. In Jones, R.J. Barry. Routledge Encyclopedia of International Political Economy: Entries A-F. Taylor & Francis. p. 161. ISBN 978-0-415-24350-6. https://books.google.co.jp/books?id=a29qBofx8Y8C&pg=PA161&redir_esc=y&hl=ja 
  2. ^ Brown, D.F. (2009). “Social class and Status”. In Mey, Jacob. Concise Encyclopedia of Pragmatics. Elsevier. p. 952. ISBN 978-0-08-096297-9. https://books.google.co.jp/books?id=GcmXgeBE7k0C&pg=PA952&redir_esc=y&hl=ja 
  3. ^ Gilbert, Dennis (1998). The American Class Structure. New York: Wadsworth Publishing. ISBN 0-534-50520-1 
  4. ^ a b c d e f g Italy - Poverty and wealth”. Encyclopedia of the Nations. 2013ねん1がつ30にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]