高松たかまつ琴平ことひら電気でんき鉄道てつどう市内しない線せん

市内しない線せん
概要がいよう
現況げんきょう	廃止はいし
起おこり終点しゅうてん	起点きてん：築港ちっこう前まえ 終点しゅうてん：公園前こうえんまえ
運営うんえい
開業かいぎょう	1917年ねん5月がつ20日はつか (1917-05-20)
廃止はいし	1957年ねん1月がつ8日にち (1957-1-8)
所有しょゆう者しゃ	四国しこく水力すいりょく電気でんき→讃岐さぬき電鉄でんてつ→ 高松たかまつ琴平ことひら電気でんき鉄道てつどう
使用しよう車両しゃりょう	車両しゃりょうの節ふしを参照さんしょう
路線ろせん諸しょ元もと
路線ろせん総そう延長えんちょう	2.4 km (1.5 mi)
軌間きかん	1,435 mm (4 ft 8+1⁄2 in)
電化でんか	直流ちょくりゅう600 V 架空かくう電車でんしゃ線せん方式ほうしき

停留所ていりゅうじょ・施設しせつ・接続せつぞく路線ろせん
凡例はんれい 宇高連絡船うこうれんらくせん 0.0 築港ちっこう前まえ 高松たかまつ (II) -2001 0.3 高松たかまつ駅えき前まえ 高松たかまつ (III) 2001- ←予讃線よさんせん ↓高徳線こうとくせん 0.7 広場ひろば 0.9 法泉寺ほうせんじ前まえ 1.2 五番丁ごばんちょう 1.4 七番丁しちばんちょう 1.7 大だい護まもる寺前てらまえ 2.0 馬場ばば前まえ 2.3 公園前こうえんまえ 志度線しどせん直通ちょくつう 高徳線こうとくせん

市内しない線せん（しないせん）とは、かつて香川かがわ県けん高松たかまつ市しに存在そんざいした高松たかまつ琴平ことひら電気でんき鉄道てつどうの軌道線きどうせん（路面ろめん電車でんしゃ）。

概要がいよう

元々もともと、公園前こうえんまえ - 出で晴はれ駅えき（後ご、瓦かわら町まち駅えきに統合とうごう）間あいだに鉄道てつどう路線ろせんを有ゆうしていた東ひがし讃さん電気でんき軌道きどう（後ご、高松たかまつ琴平ことひら電気でんき鉄道てつどう志度線しどせん）だが、1911年ねん（明治めいじ44年ねん）11月に最初さいしょの区間くかんである今橋いまはし駅えき以東いとうが開業かいぎょうした直後ちょくごに役員やくいんの不祥事ふしょうじが発覚はっかくしたことで経営けいえい難なんに陥おちいり、1915年ねん（大正たいしょう4年ねん）までに公園前こうえんまえ駅えきまで延伸えんしんさせたところでついに力尽ちからつき、翌年よくねんの1916年ねん（大正たいしょう5年ねん）、四国しこく水力すいりょく電気でんきに救済きゅうさい合併がっぺいされた。本ほん路線ろせんは合併がっぺい後ごの四国しこく水力すいりょく電気でんきが公園こうえん前まえからさらに高松たかまつ駅えき前まえを経由けいゆして築港ちっこうまで延伸えんしんする際さいに、市街地しがいちの道路どうろを通とおすため軌道線きどうせん扱あつかいにして開通かいつうさせたものである。その経緯けいいから志度線しどせんと直通ちょくつう運転うんてんをしており、末期まっきには長尾線ながおせんとも直通ちょくつうしていた。

その後ご、利用りよう者しゃ増加ぞうかのため複線ふくせん化か工事こうじが行おこなわれたり、運営うんえい母体ぼたいが讃岐さぬき電鉄でんてつ・高松たかまつ琴平ことひら電気でんき鉄道てつどうと変かわるなどといった動うごきがあったが、1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）の高松たかまつ空襲くうしゅうで甚大じんだいな被害ひがいを受うけて志度線しどせんの公園前こうえんまえ駅えき - 瓦かわら町まち駅えき間あいだと同時どうじに休止きゅうしとなった。戦後せんごの資材しざい難なんと都市とし計画けいかくにより軌道きどうとしての復活ふっかつは断念だんねんされて施設しせつの撤去てっきょが行おこなわれ、1947年ねん8月がつ2日にちに完了かんりょうした。休止きゅうしから12年ねん後ごの1957年ねんに正式せいしきに廃止はいしとなった。

栗林公園りつりんこうえん - 天神前てんじんまえ交差点こうさてんまでは現在げんざいの香川かがわ県けん道どう173号ごう高松たかまつ停車場ていしゃじょう栗林公園りつりんこうえん線せんが、天神前てんじんまえ交差点こうさてん - 高松たかまつ市役所しやくしょまではその東側ひがしがわに並行へいこうする狭せまい市道しどうが本ほん路線ろせんのルートにほぼ相当そうとうするが、高松たかまつ市役所しやくしょ以北いほくでは戦後せんごの都市とし計画けいかくで当該とうがい道路どうろが廃止はいしされ、市街地しがいちの一部いちぶとなった。

路線ろせんデータ

廃はい線せん時じ

• 路線ろせん距離きょり：築港ちっこう前まえ - 公園前こうえんまえ間あいだ2.4km
• 軌間きかん：1435mm
• 複線ふくせん区間くかん：全線ぜんせん
• 電化でんか区間くかん：全線ぜんせん（直流ちょくりゅう600V）

運行うんこう概要がいよう

1944年ねん5月がつ当時とうじ

• 運行うんこう本数ほんすう：6-22時じ台だいまで6・12分ふん間隔かんかく（志度線しどせんと直通ちょくつう運転うんてん）
• 所要しょよう時間じかん：築港ちっこう前まえ - 公園前こうえんまえ間あいだ18-19分ふん

歴史れきし

• 1915年ねん（大正たいしょう4年ねん）8月がつ10日とおか 東ひがし讃さん電気でんき軌道きどうに対たいし軌道きどう特許とっきょ状じょう下付かふ（高松たかまつ市内しない町まち-香川かがわ郡ぐん栗林くりばやし村むら間あいだ）。
• 1916年ねん（大正たいしょう5年ねん）
  • 9月13日にち 軌道きどう特許とっきょ状じょう下付かふ（高松たかまつ市し玉藻たまも町まち-高松たかまつ市内しない町まち間あいだ）。
  • 12月25日にち 四国しこく水力すいりょく電気でんきが東ひがし讃さん電気でんき軌道きどうを合併がっぺい。
• 1917年ねん（大正たいしょう6年ねん）
  • 5月がつ20日はつか 四国しこく水力すいりょく電気でんきにより、高松たかまつ駅前えきまえ - 公園前こうえんまえ間あいだ2.1km開業かいぎょう。
  • 7月がつ13日にち 築港ちっこう前まえ - 高松たかまつ駅前えきまえ間あいだ0.3km延伸えんしん。
• 1928年ねん（昭和しょうわ3年ねん）3月がつ10日とおか 高松たかまつ駅前えきまえ - 公園前こうえんまえ間あいだ複線ふくせん化か
• 1929年ねん（昭和しょうわ4年ねん）4月がつ5日にち 築港ちっこう前まえ - 高松たかまつ駅えき前間ぜんま複線ふくせん化か
• 1942年ねん（昭和しょうわ17年ねん）4月がつ30日にち 四国しこく水力すいりょく電気でんきの電力でんりょく事業じぎょうが日本にっぽん発はつ送電そうでん関連かんれんの四国しこく配電はいでん（後ご、四国電力しこくでんりょく）に譲渡ゆずりわたされたため、残存ざんそん事業じぎょうの内うち鉄道てつどう・軌道きどうを新設しんせつ会社かいしゃの讃岐さぬき電鉄でんてつに譲渡じょうとして、同社どうしゃはまもなく解散かいさん
• 1943年ねん（昭和しょうわ18年ねん）11月1日にち 交通こうつう統制とうせいにより、讃岐さぬき電鉄でんてつ・琴平ことひら電鉄でんてつ・高松たかまつ電気でんき軌道きどうが合併がっぺいし高松たかまつ琴平ことひら電気でんき鉄道てつどう発足ほっそく
• 1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）
  • 6月26日にち 長尾ちょうび線せんと直通ちょくつう運転うんてん開始かいし
  • 7月がつ4日にち 空襲くうしゅうの被害ひがいにより休止きゅうし
• 1947年ねん（昭和しょうわ22年ねん）8月がつ2日にち 軌道きどうの撤去てっきょ完了かんりょう
• 1957年ねん（昭和しょうわ32年ねん）1月がつ8日にち 全線ぜんせん廃止はいし

大だい護まもる寺前てらまえ駅えき

大だい護まもる寺前てらまえ駅えきは開業かいぎょう当初とうしょ「八本松はちほんまつ駅えき」という名称めいしょうであった。八本松はちほんまつというのは八はち本ほんの松まつがあることに由来ゆらいする広場ひろば状じょうの辻つじの名前なまえで、現在げんざいの天神前てんじんまえ交差点こうさてんにあたる。大だい護まもる寺てらというのはそこから南進なんしんして西側にしがわに位置いちしていた大寺おおてらである。この山門さんもんにある松まつは枝えだが道路どうろ上じょうに大おおきくせり出だすほどの大木たいぼくであり、市内しない線せん建設けんせつ時じにはそれが障害しょうがいとなって架線かせんを支ささえる電柱でんちゅうが建たてられなかった。会社かいしゃ側がわは寺てらに対たいしてこのせり出だした枝えだを切きらせてもらえるよう交渉こうしょうをしたが、あえなく断ことわられ、やむなくこの部分ぶぶんのみは複数ふくすうの鉄柱てっちゅうを組くみ合あわせて枝えだを取とり囲かこむような構造こうぞうで建設けんせつした。当時とうじは電柱でんちゅうといえば木造もくぞうが普通ふつうであり、複数ふくすうの鉄柱てっちゅうを使用しようし、なおかつ複雑ふくざつな構造こうぞうにしたことで建設けんせつ費ひが増大ぞうだいする結果けっかとなった。

そのような紆余曲折うよきょくせつがありながらも何なにとか開通かいつうにこぎつけたが、開通かいつう後ご大だい護まもる寺てらから苦情くじょうが入はいる。この鉄柱てっちゅうを足場あしばにして寺てらの土塀どべいを乗のり越こえ、泥棒どろぼうが入はいるという。これを受うけた会社かいしゃ側がわは対策たいさくとして鉄柱てっちゅうの周囲しゅういに鉄板てっぱんを張はったが、以後いごも寺てらからは様々さまざまな理由りゆうで苦情くじょうが入はいった。寺てらと会社かいしゃ側がわは大おおいに揉もめた挙句あげく、会社かいしゃ側がわが大おおきく妥協だきょうして寺てらの最寄もより駅えきであった八本松はちほんまつ駅えきを大だい護まもる寺前てらまえ駅えきに改称かいしょうして、それを以って寺てらの宣伝せんでんとすることで決着けっちゃくした。以後いご、駅えきの正式せいしき名めいは大だい護まもる寺前てらまえとなったが、八本松はちほんまつに位置いちするという所在しょざいは変かわらなかったため、この駅えきは通称つうしょうとして引ひき続つづき八本松はちほんまつとも呼よばれていた。

停留所ていりゅうじょ一覧いちらん

1935年ねん当時とうじ

築港ちっこう前まえ - 高松たかまつ駅えき前まえ - 広場ひろば - 法泉寺ほうせんじ前まえ - 五番丁ごばんちょう - 七番丁しちばんちょう - 大だい護まもる寺前てらまえ - 馬場ばば前まえ - 公園前こうえんまえ

接続せつぞく路線ろせん

社名しゃめい・路線ろせん名めいは廃止はいし時点じてんのもの

• 高松たかまつ駅前えきまえ：予讃本線よさんほんせん・高徳本線こうとくほんせん・宇高連絡船うこうれんらくせん（高松たかまつ駅えき）
• 公園前こうえんまえ駅えき：志度線しどせん

輸送ゆそう・収支しゅうし実績じっせき

年度ねんど	輸送ゆそう人員じんいん（人ひと）	営業えいぎょう収入しゅうにゅう（円えん）	営業えいぎょう費ひ（円えん）	営業えいぎょう益金えききん（円えん）
1917	145,449	7,233	5,071	2,162
1918	288,354	16,547	8,806	7,741
1919	522,420	26,475	13,252	13,223
1920	951,052	39,154	22,381	16,773
1921	1,174,214	42,276	31,718	10,558
1922	1,478,458	51,040	35,112	15,928
1923	1,181,410	52,122	36,857	15,265
1924	1,358,104	61,945	30,707	31,238
1925	1,450,741	65,873	34,436	31,437
1926	1,313,386	69,858	36,242	33,616
1927	1,401,259	71,497	35,290	36,207
1928	1,605,633	83,828	41,179	42,649
1929	1,443,097	140,994	88,894	52,100
1930	1,394,812	116,490	88,584	27,906
1931	1,256,247	60,212	37,382	22,830
1932	1,147,353	73,819	68,976	4,843
1933	1,165,271	53,710	35,656	18,054
1934	1,103,660	49,860	35,043	14,817
1935	1,017,171	45,870	35,727	10,143
1936	1,091,992	47,150	34,269	12,881
1937	1,100,280	47,301	36,210	11,091

• 鉄道てつどう院いん鉄道てつどう統計とうけい資料しりょう、鉄道てつどう省しょう鉄道てつどう統計とうけい資料しりょう、鉄道てつどう統計とうけい資料しりょう、鉄道てつどう統計とうけい各かく年度ねんど版ばん

車両しゃりょう

• 13-16 1918年ねん長崎ながさき電気でんき軌道きどう製せいの木製もくせい単車たんしゃ（定員ていいん40人にん）
• 51-56 1928年ねん梅うめ鉢はち鉄工てっこう所しょ製せいの鋼はがね製せいボギぼぎー車しゃ（定員ていいん60人にん）

参考さんこう文献ぶんけん

• 『四よん水みず三さん十じゅう年ねん史し』（国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション）
• 三好みよし充たかし恭きょう「高松たかまつ琴平ことひら電気でんき鉄道てつどう・高松たかまつ市内しない線せん」『鉄道てつどうピクトリアル』No.319
• 和かず久田ひさた康雄やすお『日本にっぽんの市内しない電車でんしゃ -1895 - 1945-』成山なりやま堂どう書店しょてん、2009年ねん、121-122、233頁ぺーじ