アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく

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座標ざひょう: 北緯ほくい3852ふん59びょう 西経せいけい770ふん59びょう / 北緯ほくい38.88306 西経せいけい77.01639 / 38.88306; -77.01639

アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく
National Aeronautics and Space Administration
NASAの記章きしょう
NASAのロゴタイプ
組織そしき概要がいよう
設立せつりつ年月日ねんがっぴ1958ねん10月1にち
継承けいしょうぜん組織そしき
管轄かんかつアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく連邦れんぽう政府せいふ
本部ほんぶ所在地しょざいちアメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
ワシントンD.C.
北緯ほくい3852ふん59びょう 西経せいけい770ふん59びょう / 北緯ほくい38.88306 西経せいけい77.01639 / 38.88306; -77.01639
人員じんいん17,900にん
年間ねんかん予算よさん215おくドル(2018年度ねんど
行政ぎょうせいかん
  • ビル・ネルソン[1]
    長官ちょうかん
ウェブサイトwww.nasa.gov ウィキデータを編集

アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく(アメリカこうくううちゅうきょく、英語えいご: National Aeronautics and Space Administration, NASA)、あるいは米国べいこく国家こっか航空こうくう宇宙うちゅうきょく(べいこくこっかこうくううちゅうきょく)[2]は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく政府せいふないにおける宇宙うちゅう開発かいはつかかわる計画けいかく担当たんとうする連邦れんぽう機関きかんである。1958ねん7がつ29にち国家こっか航空こうくう宇宙うちゅうほう(National Aeronautics and Space Act)にもとづき、先行せんこう国家こっか航空こうくう宇宙うちゅう諮問しもん委員いいんかい(National Advisory Committee for Aeronautics、NACA)を発展はってんてき解消かいしょうするかたち設立せつりつされた。正式せいしき活動かつどうはじめたのは1958ねん10月1にちのことであった。

NASAはアメリカの宇宙うちゅう開発かいはつにおける国家こっかてき努力どりょくをそれ以前いぜんよりもさらに充実じゅうじつさせ、アポロ計画けいかくにおける人類じんるいはつ月面げつめん着陸ちゃくりくスカイラブ計画けいかくにおける長期ちょうき宇宙うちゅう滞在たいざい、さらに宇宙うちゅう往還おうかんスペースシャトルなどを実現じつげんさせた。現在げんざい国際こくさい宇宙うちゅうステーション(International Space Station、ISS)の運用うんよう支援しえんオリオン宇宙船うちゅうせんスペース・ローンチ・システム商業しょうぎょう乗員じょういん輸送ゆそうなどの開発かいはつ監督かんとくおこなっている。

宇宙うちゅう開発かいはつくわえてNASAがびている重要じゅうよう任務にんむは、宇宙うちゅう空間くうかん平和へいわ目的もくてきあるいは軍事ぐんじ目的もくてきにおける長期間ちょうきかん探査たんさである。人工じんこう衛星えいせい使用しようした地球ちきゅう自体じたいへの探査たんさ無人むじん探査たんさ使用しようした太陽系たいようけい探査たんさ進行しんこうちゅう冥王星めいおうせい探査たんさニュー・ホライズンズ(New Horizons)のような太陽系たいようけい外縁がいえん探査たんさ、さらにはハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうなどを使用しようした、ビッグ・バンはじめとする宇宙うちゅう全体ぜんたいへの探査たんさなどがおも役割やくわりとなっている。2006ねん2がつ発表はっぴょうされたNASAの到達とうたつ目標もくひょうは、「宇宙うちゅう空間くうかん開拓かいたく科学かがくてき発見はっけん、そしてさい新鋭しんえい開発かいはつにおいて、つね先駆せんくしゃたれ」であった。

歴史れきし[編集へんしゅう]

宇宙うちゅう開発かいはつ競争きょうそう[編集へんしゅう]

1957ねん10月4にちソビエト連邦れんぽう人類じんるい史上しじょうはつ人工じんこう衛星えいせいスプートニク1ごう成功せいこうさせたことにより、アメリカ国民こくみんは「自国じこく宇宙うちゅう開発かいはつ技術ぎじゅつが、いかに貧弱ひんじゃくであるか」という事実じじつおもらされた(スプートニク・ショック)。議会ぎかいはアメリカの安全あんぜん保障ほしょうおよび技術ぎじゅつ先駆せんくせい脅威きょういさらされていることを警告けいこくし、連邦れんぽう政府せいふただちになんらかの行動こうどうをとるよううながした。

これをけ、アイゼンハワー大統領だいとうりょうおよびその側近そっきん対応たいおうさく慎重しんちょう検討けんとうし、数ヶ月すうかげつにわたって討議とうぎかさねた結果けっか、「軍事ぐんじ目的もくてき宇宙うちゅう活動かつどう実施じっしするためには、陸海空りくかいくうぐんなどが独自どくじ宇宙うちゅう開発かいはつすすめる状態じょうたいあらため、指揮しき系統けいとう一元化いちげんかするべきだ」との結論けつろんたっし、国防こくぼう高等こうとう研究けんきゅう計画けいかくきょく(Advanced Research Projects Agency、ARPA)も同時どうじに、創設そうせつされることとなった。

NACAのマーク

NACA時代じだい[編集へんしゅう]

1957ねんすえから1958ねん初頭しょとうにかけ、NACA国家こっか航空こうくう宇宙うちゅう諮問しもん委員いいんかい)はそれまでどう委員いいんかいたしてきたような役割やくわり軍事ぐんじ新設しんせつ機関きかん委譲いじょうする方法ほうほうについての検討けんとうはじめ、またその概念がいねん精査せいさするためにいくつかの委員いいんかいげた。1958ねん1がつ12にち、NACAはガイフォード・スティーヴァー(Guyford Stever)を議長ぎちょうとする「宇宙うちゅう技術ぎじゅつ特別とくべつ委員いいんかい」を設立せつりつした。スティーヴァーの委員いいんかいは、だい世界せかい大戦たいせんのちにアメリカの市民しみんけん獲得かくとくしたヴェルナー・フォン・ブラウンをリーダーとするアメリカ陸軍りくぐん弾道だんどうミサイルきょくの「宇宙うちゅうロケット開発かいはつグループ」から提案ていあんされた、巨大きょだいロケット開発かいはつ計画けいかく諮問しもんする任務にんむびていた。1958ねん1がつ14にち、NACA長官ちょうかんヒュー・ドライデンは「宇宙うちゅう技術ぎじゅつのための国家こっかてき調査ちょうさ計画けいかく」を発表はっぴょうし、以下いかのようにべた。

くに威信いしんおよび軍事ぐんじてき必要ひつようせい両面りょうめんからかんがえれば、今回こんかい挑戦ちょうせん(スプートニク)に見舞みまわれた、宇宙うちゅう征服せいふくのための調査ちょうさおよび開発かいはつ計画けいかく精力せいりょくてきすすめることは、緊急きんきゅうかつ重要じゅうよう課題かだいである。(中略ちゅうりゃく)そのため、軍事ぐんじてき国家こっか機関きかんによって科学かがくてき調査ちょうさおこなわれるべきだとの提案ていあんがなされた。(中略ちゅうりゃく)NACAは宇宙うちゅう開発かいはつ技術ぎじゅつ主導しゅどうけんることにより、その成果せいか急速きゅうそく拡大かくだい延長えんちょうする能力のうりょくがある。

1958ねん1がつ31にち午後ごご1048ふん(アメリカ東部とうぶ標準時ひょうじゅんじ)、エクスプローラー1ごう国際こくさい衛星えいせい識別しきべつ符号ふごう "1958αあるふぁ" をあたえられている)が発射はっしゃされ、アメリカはつ人工じんこう衛星えいせいとなった[3]3月5にち大統領だいとうりょう科学かがく技術ぎじゅつ諮問しもん委員いいんかい委員いいんちょうジェームズ・キリアン(James Killian)は、アイゼンハワー大統領だいとうりょうに「民間みんかん宇宙うちゅう計画けいかくのための組織そしき」とだいする書簡しょかんおくり、日程にっていおくれを最小限さいしょうげんおさえて調査ちょうさ計画けいかく拡張かくちょうすべく、NACAを強化きょうか再編さいへんした組織そしきによる文民ぶんみん統制とうせいかた宇宙うちゅう計画けいかく創設そうせつすることをうながした。同年どうねん3がつまつにNACAは、当時とうじ企画きかくちゅうだった水素すいそフッ素ふっそ推進すいしんざいとする100まんポンド(453トン、445まんニュートン)の推力すいりょくつ3段式だんしきのロケットの開発かいはつ計画けいかくふくむ、「宇宙うちゅう開発かいはつかんする提言ていげん」とだいする報告ほうこくしょ発表はっぴょうした。

同年どうねん4がつアイゼンハワーは議会ぎかい演説えんぜつし、民間みんかん主導しゅどう宇宙うちゅう開発かいはつ機関きかん新設しんせつする意向いこうと、アメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく設立せつりつのための予算よさんあんべた。NACAのそれまでの役割やくわりは、たとえば調査ちょうさ活動かつどうひとつをってみても、その規模きぼ進展しんてん管理かんり運営うんえいなどのてんにおいて変革へんかくがなされるべきであった。7がつ16にち議会ぎかい予算よさんあん承認しょうにんし、同時どうじにNASA設立せつりつのための具体ぐたいてき根拠こんきょとなった「国家こっか航空こうくう宇宙うちゅう決議けつぎ」についても若干じゃっかん言及げんきゅうをした。そのわずか2にち、フォン・ブラウンひきいる作業さぎょうグループは予備よび報告ほうこくしょ提出ていしゅつし、そのなか現状げんじょうのアメリカの宇宙うちゅう開発かいはつには様々さまざま機関きかんてられ、相互そうご連携れんけい欠落けつらく国家こっかてき労力ろうりょく重複じゅうふくしていることを痛烈つうれつ批判ひはんした。スティーヴァーの宇宙うちゅう開発かいはつ委員いいんかいはブラウンらのグループの批判ひはん同意どういし、10月には最終さいしゅうてき草案そうあん提出ていしゅつされた。

1975ねんから1992ねんまで使用しようされていたNASAのロゴタイプ。2020年代ねんだいからふたた使用しようされる。

NASAの発足ほっそく[編集へんしゅう]

1958ねん7がつ29にち、アイゼンハワー大統領だいとうりょう国家こっか航空こうくう宇宙うちゅう決議けつぎ署名しょめいし、ここにアメリカ航空こうくう宇宙うちゅうきょく(NASA)が正式せいしき発足ほっそくした。同年どうねん10月1にち実務じつむがスタートすると、NASAはただちに46ねん歴史れきしつNACAの組織そしき(8せんにん従業じゅうぎょういん、1おくドルの年間ねんかん予算よさんみっつの主要しゅよう研究けんきゅう施設しせつラングレー航空こうくう研究所けんきゅうじょ、エイムズ航空こうくう研究所けんきゅうじょ、ルイス飛行ひこう推進すいしん研究所けんきゅうじょ)やふたつのちいさな実験じっけん施設しせつなど)をそのまま吸収きゅうしゅうした。

フォン・ブラウン博士はかせ所属しょぞくしていた陸軍りくぐん弾道だんどうミサイルきょくと、海軍かいぐん調査ちょうさ研究所けんきゅうじょもまたNASAに併合へいごうされた。NASAがソ連それんとの宇宙うちゅう開発かいはつ競争きょうそう参入さんにゅうするにあたって重要じゅうよう貢献こうけんをなしたのは、かつてだい大戦たいせんドイツにおいて、フォン・ブラウンにひきいられたロケット計画けいかく開発かいはつされた技術ぎじゅつであった。そこにはロバート・ゴダード博士はかせ初期しょき研究けんきゅう成果せいかれられている。空軍くうぐんおよび国防こくぼう高等こうとう研究けんきゅう計画けいかくきょくおこなっていた初期しょき段階だんかい研究けんきゅうも、NASAにがれた。1958ねん12月には、カリフォルニア工科こうか大学だいがく運営うんえいするジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょもNASAの指揮しきはいった。

1961ねん5月5にちアラン・シェパード飛行ひこう搭乗とうじょうするマーキュリー宇宙船うちゅうせん「フリーダム7」が、レッドストーンロケットによってげられる瞬間しゅんかん。こののちアメリカはつとなる弾道だんどう飛行ひこう成功せいこう

マーキュリー計画けいかく[編集へんしゅう]

NASAが最初さいしょったのは、冷戦れいせんしたにおけるソ連それんとの熾烈しれつ宇宙うちゅう開発かいはつ競争きょうそうなか実施じっしされた有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう計画けいかくであった。1958ねん開始かいしされたマーキュリー計画けいかくはまだほとんど手探てさぐりの状態じょうたいで、そもそも人間にんげん宇宙うちゅう空間くうかん生存せいぞんできるのかという初歩しょほてきなことを調しらべることから開始かいしされた。またりくうみ空軍くうぐんからも代表だいひょうしゃおくまれ、NASAを支援しえんした。飛行ひこう選抜せんばつは、すでにいるえらかれたぐんテスト・パイロットなかから候補こうほしぼめばよいだけなので、比較的ひかくてき容易よういであった。

1961ねん5月5にちだいいち選抜せんばつ飛行ひこうマーキュリー・セブン」の一人ひとりであるアラン・シェパード(Alan Shepard)飛行ひこうがマーキュリー宇宙船うちゅうせんフリーダム7」で15分間ふんかん弾道だんどう飛行ひこう成功せいこうし、アメリカはつ宇宙うちゅう飛行ひこうとなった。その1962ねん2がつ20日はつかにはジョン・グレン(John Glenn)飛行ひこうが「フレンドシップ7」で2あいだはん飛行ひこうおこない、はつ地球ちきゅう周回しゅうかい飛行ひこう成功せいこうさせた。

ジェミニ計画けいかく[編集へんしゅう]

ジェミニ1ごう

マーキュリー計画けいかく終了しゅうりょうつき飛行ひこう必要ひつよう種々しゅじゅ問題もんだい解決かいけつ実験じっけんおこなうためのジェミニ計画けいかくはじまった。飛行ひこう搭乗とうじょうさせてのはつ飛行ひこう1965ねん3月23にちジェミニ3ごうで、ガス・グリソムジョン・ヤング地球ちきゅうを3しゅうした。つづく9かい有人ゆうじん飛行ひこうで、長期間ちょうきかん宇宙うちゅう滞在たいざいや、衛星えいせいとのランデブーやドッキングが可能かのうなことが証明しょうめいされ、重力じゅうりょく人体じんたいおよぼす医学いがくてきデータがあつめられた。またこれと平行へいこうして、NASAは太陽系たいようけい探査たんさのための様々さまざま宇宙うちゅうげた。史上しじょうはつ有人ゆうじん飛行ひこうボストーク1ごう)と同様どうようつきうらがわ写真しゃしんはじめて撮影さつえいしたのはソ連それん探査たんさだったが、地球ちきゅう以外いがい惑星わくせい金星かなぼし)をはじめて探査たんさしたのはNASAのマリナー2ごうだった。

アポロ11ごう

アポロ計画けいかく[編集へんしゅう]

アポロ計画けいかくは、人間にんげん月面げつめん着陸ちゃくりくさせかつ安全あんぜん地球ちきゅう帰還きかんさせることを目的もくてき構想こうそうされた。しかしながらアポロ1ごうでは、地上ちじょうでの訓練くんれんちゅう火災かさい事故じこ発生はっせいし、飛行ひこう3めい犠牲ぎせいになった。これにより、アポロ宇宙船うちゅうせん人間にんげん搭乗とうじょうさせるまえすうかい無人むじん試験しけん飛行ひこうおこなうことを余儀よぎなくされた。8ごう10ごうつき周回しゅうかいし、多数たすう写真しゃしんかえった。1969ねん7がつ20日はつかアポロ11ごう月面げつめん着陸ちゃくりくし、ニール・アームストロングバズ・オルドリンりょう飛行ひこう人類じんるいとして(また地球ちきゅうじょう誕生たんじょうした生物せいぶつとして)はじめて、地球ちきゅう以外いがい天体てんたいうえった。13ごうではつきかう途中とちゅう宇宙船うちゅうせん酸素さんそタンクが爆発ばくはつする事故じこ発生はっせいしたが、3めい飛行ひこう無事ぶじ地球ちきゅう帰還きかんすることに成功せいこうした。アポロではけい6かい月面げつめん着陸ちゃくりくおこなわれ、貴重きちょう科学かがくてきデータと400kgちか岩石がんせきのサンプルをかえった。また土質どしつ力学りきがく流星りゅうせい物質ぶっしつ地震じしんがくつてねつ光線こうせん使用しようした地球ちきゅうつきあいだ正確せいかく距離きょり測定そくてい磁場じば太陽たいようふうなど、多数たすう科学かがくてき実験じっけんおこなわれた。

スカイラブ計画けいかく[編集へんしゅう]

スカイラブはアメリカが地球ちきゅう周回しゅうかい軌道きどうじょうげたはつ宇宙うちゅうステーションである。100トンちかく(正確せいかくには91トン)もある機体きたい1973ねんから1979ねんまで地球ちきゅう周回しゅうかいつづけ、1973ねん1974ねんに3かいにわたって飛行ひこう搭乗とうじょうした。スカイラブでは当初とうしょ太陽系たいようけいほか惑星わくせいおよぼす重力じゅうりょく変位へんい調査ちょうさおこなわれる予定よていだったが、国民こくみん宇宙うちゅう開発かいはつ関心かんしんうしな予算よさん削減さくげんされたことにより任務にんむ縮小しゅくしょうされた。実験じっけんなかには、微少びしょう重力じゅうりょくおよぼす影響えいきょう調しらべることや、搭載とうさいされた望遠鏡ぼうえんきょう太陽たいよう活動かつどう観測かんそくすることもふくまれていた。当初とうしょスペースシャトルとドッキングさせ、よりたか安全あんぜん軌道きどう移行いこうさせることが計画けいかくされていたが、シャトルがはつ飛行ひこう成功せいこうするまえの1979ねん大気圏たいきけんさい突入とつにゅうして消滅しょうめつした。3かい搭乗とうじょういん(SL-4)が1974ねん2がつ下船げせんしたのち太陽たいよう活動かつどう活発かっぱつになり、その結果けっか地球ちきゅう大気たいきあたためられて大気圏たいきけん膨張ぼうちょうし、機体きたいにかかる空気くうき抵抗ていこう増大ぞうだいしたためさい突入とつにゅう時期じきはやまったのである。スカイラブは1979ねん7がつ11にち16:37(UTC)ごろにさい突入とつにゅうし、オーストラリア西部せいぶからインド洋いんどようにかけて破片はへんらばったが、いくつかの残骸ざんがい回収かいしゅうされた。

アポロ・ソユーズテスト計画けいかく[編集へんしゅう]

国立こくりつ航空こうくう宇宙うちゅう博物館はくぶつかん展示てんじされているアポロとソユーズりょう宇宙船うちゅうせん

アポロ・ソユーズテスト計画けいかくは、1975ねん7がつにアメリカとソビエト連邦れんぽうあいだはじめておこなわれた共同きょうどう飛行ひこう計画けいかくである。アメリカにとってはこれがアポロ宇宙船うちゅうせん最後さいご飛行ひこうであり、また1981ねん4がつにスペースシャトルがげられるまで、有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう中断ちゅうだんされた。

1981ねん4がつ12にちスペースシャトルコロンビア」のはつ飛行ひこう

スペースシャトルの時代じだい[編集へんしゅう]

1970年代ねんだいから80年代ねんだいにおけるNASAの最大さいだい眼目がんもくは、スペースシャトルであった。シャトルは1985ねんまでにさい使用しよう可能かのうな4機体きたい製造せいぞうされ、その1号機ごうきであるコロンビアごう1981ねん4がつ12にちはじめてげられた。

シャトルのニュースは、NASAにとってかならずしもあかるいものばかりではなかった。げにかかるコストは当初とうしょ予想よそうしていたものよりもはるかにたかくつき、発射はっしゃ日常にちじょうされるにつれ国民こくみん宇宙うちゅう開発かいはつたいする関心かんしんうしなっていった。そんななか1986ねんこったチャレンジャーごう爆発ばくはつ事故じこは、宇宙うちゅう飛行ひこうにともなう危険きけんせいさい認識にんしきさせることとなった。

そんななかで、のち国際こくさい宇宙うちゅうステーション(International Space Station、ISS)へと発展はってんするフリーダム宇宙うちゅうステーション計画けいかくが、有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう焦点しょうてんとして開始かいしされたが、このような計画けいかくボイジャー計画けいかくのような無人むじん惑星わくせい探査たんさくらべ、費用ひようがかかりすぎるのではないかという議論ぎろんがNASA内部ないぶにさえもあった。

その一方いっぽうで、シャトルはハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょう(Hubble Space Telescope、HST)のような画期的かっきてき計画けいかく成功せいこうさせた。HSTはNASAとヨーロッパ宇宙うちゅう機関きかん(European Space Agency、ESA)の共同きょうどう開発かいはつによっておこなわれたもので、この成功せいこうによって他国たこく宇宙うちゅう機関きかんとの協力きょうりょくというあらたなみちひらかれた。HSTについやした予算よさんは20おくドル以下いかで、1990ねん稼働かどうして以来いらいすうおおくの鮮明せんめい天体てんたい写真しゃしんおくつづけている。そのなかでも、草分くさわけとなった「ハッブル・ディープ・フィールド(Hubble Deep Field)」はとく有名ゆうめいである。

1995ねんシャトル・ミール計画けいかくによってロシアとの共同きょうどう計画けいかく再開さいかいされた。ミールとシャトルがドッキングすれば、これはもはや完全かんぜん宇宙うちゅうステーションであるとえた。このアメリカとロシアという宇宙うちゅう開発かいはつにおけるだい巨頭きょとう協力きょうりょく関係かんけいは、ISS(国際こくさい宇宙うちゅうステーション)の建設けんせつ作業さぎょうにおいて21世紀せいきまで継続けいぞくされている。2003ねんコロンビアごう空中くうちゅう分解ぶんかい事故じこによりシャトルの飛行ひこうが2年間ねんかん中断ちゅうだんされたあいだ、NASAはISSの保守ほしゅ作業さぎょうをロシアの宇宙船うちゅうせんたよったことからても、両者りょうしゃ信頼しんらい関係かんけいつよさは明白めいはくである。

ISSは、おも機材きざい運搬うんぱんはすべてシャトルにたよっている。1986ねんのチャレンジャーごう2003ねんのコロンビアごう事故じこで、シャトルは2機体きたいと14めい飛行ひこううしなった。1986ねん事故じこではあらたにエンデバーごう製造せいぞうされ喪失そうしつした機体きたいわせがなされたが、2003ねん事故じこではそのような補強ほきょうはされず、新型しんがた宇宙船うちゅうせんオリオンへの移行いこう決定けっていされた。

ESAや日本にっぽん宇宙うちゅう航空こうくう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう(JAXA)など、ステーション建設けんせつ投資とうししたほか国々くにぐにはISSの完成かんせい懸念けねん表明ひょうめいしたが、これにたい宇宙うちゅう運用うんよう局長きょくちょうのウィリアム・H・ガーステンマイヤー(William H. Gerstenmaier)は、計画けいかくには柔軟じゅうなんせいがありシャトルは2007ねんには6ヶ月かげつで3かい飛行ひこう成功せいこうさせていること、NASAは危機ききてき日程にっていにも対応たいおうできる能力のうりょくがあることなどを説明せつめいした。

90年代ねんだいとおして、NASAは議会ぎかい財政ざいせい削減さくげんにともなう予算よさん縮小しゅくしょう直面ちょくめんしてきた。だい9だい長官ちょうかんで、「よりはやく、よりく、よりやすく」の標語ひょうごみのおやであるダニエル・ゴールディン(Daniel Goldin)は、進行しんこうちゅう多彩たさい惑星わくせい探査たんさ計画けいかくディスカバリー計画けいかく)は、経費けいひ削減さくげんすることで継続けいぞく可能かのうであると提案ていあんした。1999ねんマーズ・クライメイト・オービター(Mars Climate Orbiter)とマーズ・ポーラー・ランダー(Mars Polar Lander)の2失敗しっぱいしたのはこの経費けいひ削減さくげん原因げんいんであると批判ひはんびたが、一方いっぽうでスペースシャトルは2006ねん12月までに116かい飛行ひこう成功せいこうしていた。

NASAの宇宙うちゅう飛行ひこう計画けいかく[編集へんしゅう]

NASAは21世紀せいき初頭しょとうまでに150の有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこうふく多数たすう宇宙うちゅう計画けいかく成功せいこうさせてきた。なかでも著名ちょめいなのは、11ごうによる史上しじょうはつ月面げつめん着陸ちゃくりくふくむ、一連いちれんアポロ計画けいかくである。スペースシャトルチャレンジャーごうコロンビアごう事故じこにより、14めい搭乗とうじょういん全員ぜんいんいのちうしなわれるというおおきな障害しょうがい見舞みまわれた。シャトルはロシア宇宙うちゅうステーションミールとのドッキングをたし、現在げんざいはロシア・日本にっぽんカナダ欧州おうしゅう宇宙うちゅう機関きかんなど世界せかい多数たすう国々くにぐに共同きょうどう参加さんかしている国際こくさい宇宙うちゅうステーションへのドッキングが可能かのうである。

無人むじん飛行ひこう計画けいかくもまた多数たすうおこなわれており、太陽系たいようけいの7つの惑星わくせい水星すいせい金星かなぼし火星かせい木星もくせい土星どせい天王星てんのうせい海王星かいおうせい)はいずれもすくなくともいち探査たんさおとずれ、1997ねんげられたカッシーニ(Cassini)探査たんさ2004ねんなかばに土星どせい周回しゅうかい軌道きどうり、土星どせい表面ひょうめんその衛星えいせい探査たんさしている。カッシーニはNASAのジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ欧州おうしゅう宇宙うちゅう機関きかんによる、20ねん以上いじょうにおよぶ国際こくさい協力きょうりょくのたまものであった。またパイオニア1011ごうおよびボイジャー12ごうの4太陽系たいようけいはなれた。NASAは現在げんざいところ小惑星しょうわくせいたいえて太陽系たいようけい外側そとがわ探査たんさおくんだ唯一ゆいいつ宇宙うちゅう機関きかんである。いくつかの小惑星しょうわくせい彗星すいせいにも探査たんさ接近せっきんし、NEARシューメーカー史上しじょうはつ小惑星しょうわくせいへの着陸ちゃくりくおこなった。

火星かせい探査たんさ[編集へんしゅう]

マーズ・リコネッサンス・オービター

火星かせいたいしては、みず生命せいめい存在そんざい地質ちしつ気候きこうについてを観察かんさつをする目的もくてき多数たすう探査たんさ計画けいかくおこなわれてきた。火星かせい探査たんさはすべてカリフォルニアしゅうパサデナのジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ作成さくせいされている。

マリナー計画けいかくバイキング計画けいかくつづき、1996ねんげられた「マーズ・パスファインダー(Mars Pathfinder)」は翌年よくねん火星かせいに20ねんぶりに着陸ちゃくりくし、どう時期じきげられた「マーズ・グローバル・サーベイヤー(Mars Global Surveyor)」は上空じょうくうから火星かせい観測かんそくした。

2001ねんげられた「2001マーズ・オデッセイ(Mars Odyssey)」は2011ねん初頭しょとう時点じてんでも火星かせい上空じょうくうから観測かんそくつづけていて、2003ねんげられた「マーズ・エクスプロレーション・ローバー(Mars Exploration Rover、MER)」 のローバー「スピリット(Spirit)」と「オポチュニティ(Opportunity)」は、2004ねん初頭しょとう以来いらいグセフ(Gusev)クレーターメリディアニ平原へいげん(Meridiani Planum)で当初とうしょ予定よていしていたより17ばいもの長期間ちょうきかんわたって運用うんようされつづけている。2005ねんには「マーズ・リコネッサンス・オービター(Mars Reconnaissance Orbiter)」がげられ、2011ねん初頭しょとう時点じてんでも火星かせい上空じょうくうから観測かんそくつづけられている。2007ねんには「フェニックス(Phoenix Mars Lander)」がげられ、2008ねん5月25にち火星かせい北極ほっきょく付近ふきん着陸ちゃくりくし、同年どうねん6がつのロボットアームによる土壌どじょう掘削くっさく調査ちょうさにより土壌どじょうちゅうからこおりらしきものを発見はっけんした。

2008ねん5月25にち、「ごううで」「改革かいかく」の異名いみょう科学かがくミッション部門ぶもんふく長官ちょうかんアラン・ステム(Alan Stem)が辞任じにんした。伝聞でんぶんによると在任ざいにんちゅう4がつ11にち、アランは「2001マーズ・オデッセイ(Mars Odyssey)」 および「マーズ・エクスプロレーション・ローバー(Mars Exploration Rover、MER)」 の予算よさんのカットを指示しじしたが、グリフィン長官ちょうかんくつがえされたとのことである。この削減さくげんあんは、マーズ・サイエンス・ラボラトリーにかかる経費けいひ超過ちょうか相殺そうさいするためのものであった。アランは「自分じぶん辞任じにんする理由りゆうはMERにかかわるものではない」とし、「MERの予算よさんをカットしようとした人間にんげん自分じぶんではない」ともべた。かれは1ねんほどの勤務きんむあいだに、「NASAの重要じゅうよう科学かがく実験じっけん計画けいかく再建さいけんし、おおきな変革へんかくをもたらした」と評価ひょうかされたが、めた理由りゆうは「健全けんぜん計画けいかくや、政治せいじてき微妙びみょう問題もんだいふくむような基礎きそ研究けんきゅう中止ちゅうしされることをけるためだった」とかたっている。グリフィン長官ちょうかん基礎きそ研究けんきゅうのような地味じみ部分ぶぶん予算よさんけずりたがる傾向けいこうっており、それを拒否きょひしたことがアランを辞任じにんみちびいたのではないかとわれている。

NASAの科学かがく研究けんきゅう[編集へんしゅう]

オゾンそう破壊はかい[編集へんしゅう]

20世紀せいき中盤ちゅうばんからNASAは地球ちきゅう観測かんそくのための計画けいかく増加ぞうかさせ、環境かんきょう調査ちょうさおこなってきた。その成果せいかひとつが1980年代ねんだいげられた「地球ちきゅう観測かんそくシステム(Earth Observing System、EOS)」で、オゾンそう破壊はかいのような地球ちきゅうてき規模きぼ環境かんきょう問題もんだい監視かんしすることが可能かのうとなった。

またはつ世界せかいてき規模きぼ測量そくりょうは、1978ねんにゴダード宇宙うちゅう研究所けんきゅうじょ科学かがくしゃたちにより、ニンバス(Nimbus)7ごう使用しようしておこなわれた。

しおみずうみ蒸発じょうはつおよびエネルギー管理かんり[編集へんしゅう]

国家こっかてき規模きぼ自然しぜん復旧ふっきゅう計画けいかくなかひとつとして、NASAはみなみサンフランシスコわんの61平方へいほうキロメートルにおよぶ政府せいふによるしおみずうみ干拓かんたく事業じぎょうが、周辺しゅうへん環境かんきょうにどのような影響えいきょうおよぼしているのかを衛星えいせい使用しようして観察かんさつしている。

またNASAは、環境かんきょう破壊はかい予防よぼうとエネルギーの削減さくげんおよびみず資源しげん確保かくほ直結ちょっけつする計画けいかくに、ぜん機関きかんをあげてんでいる。これらの事実じじつにより、アメリカ政府せいふ環境かんきょう問題もんだいかかわる専門せんもん機関きかんはNASAであることはあきらかである。

地球ちきゅう科学かがく事業じぎょう[編集へんしゅう]

地球ちきゅう科学かがく事業じぎょう(Earth Science Enterprise)のしゅ目的もくてきは、自然しぜんたいする理解りかいふか人間にんげん地球ちきゅう環境かんきょうあたえた変化へんかることである。そのためNASAは、その目的もくてき達成たっせいするために関係かんけいしょ機関きかん長年ながねんにわたり協力きょうりょくしてきた。2000年代ねんだいまつまでにどう事業じぎょうおこなってきた計画けいかくは、以下いかのとおりである。

  • 炭素たんそ管理かんりのための炭素たんそ分離ぶんり評価ひょうか(Carbon sequestration for Carbon Management)
  • 国防こくぼうのための大気たいきおよび水質すいしつかんする早期そうき警戒けいかいシステム(Early warning systems for air and water quality for Homeland Security)
  • エネルギー予想よそうのためのより高度こうど天気てんき予報よほう(Enhanced weather predication for Energy Forecasting)
  • 沿岸えんがん管理かんりのための環境かんきょう指標しひょう(Environmental indicators for Coastal Management)
  • 地域ちいき社会しゃかい発展はってん管理かんりのための環境かんきょう指標しひょう(Environmental indicators for Community Growth Management)
  • 絶滅ぜつめつ危機ききひんする生物せいぶつしゅのための環境かんきょうモデル(Environmental models for Biological Invasive Species)
  • 大気たいき汚染おせん管理かんりのための国家こっかてきおよび地球ちきゅうてき規模きぼ大気たいき計測けいそくおよび予測よそく(Regional to national to international atmospheric measurements and predictions for Air Quality Management)
  • みず資源しげん管理かんりおよび保護ほごのためのみず循環じゅんかん研究けんきゅう(Water cycle science for Water Management and Conservation)

NASAは国立こくりつ再生さいせい可能かのうエネルギー研究所けんきゅうじょ(National Renewable Energy Laboratory)と協力きょうりょくして、世界せかいてき規模きぼ太陽たいよう資源しげん地図ちず作成さくせいしている。またDNAPLじゅう非水ひすいえきによる水質すいしつ汚染おせん除去じょきょするための、革新かくしんてき技術ぎじゅつ評価ひょうかするみもつづけている。1999ねん4がつ6にち、NASAはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく環境かんきょう保護ほごちょうアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくエネルギえねるぎしょうおよび空軍くうぐんとのあいだで、自然しぜん酸化さんかまく除去じょきょおよびじゅう非水ひすいえき酸化さんか還元かんげん反応はんのう矯正きょうせいするふたつの革新かくしんてき技術ぎじゅつについての合意ごういしょわし、ケネディ宇宙うちゅうセンターにおいてその実験じっけん協力きょうりょくすることを約束やくそくした。国立こくりつ宇宙うちゅうきょくぐんおよびアメリカ国防こくぼう契約けいやく管理かんりきょく協力きょうりょくして「汚染おせん予防よぼうのための共同きょうどうグループ(Joint Group on Pollution Prevention)」を結成けっせいし、汚染おせん物質ぶっしつ除去じょきょするためのみをつづけている。

2003ねん5月8にち環境かんきょう保護ほごちょうはアメリカ政府せいふ施設しせつとしてはじめて、ゴダード宇宙うちゅう飛行ひこうセンターでごみさい処理しょりガスを動力どうりょくげんとして使用しようすることを許可きょかした。

NASAの将来しょうらい[編集へんしゅう]

ひだりからつき飛行ひこう使用しようされたサターンVスペースシャトル計画けいかく中止ちゅうしされたアレスIアレスIVアレスV

現在げんざいの「宇宙うちゅう開発かいはつにおける合衆国がっしゅうこく指針ししん(Space policy of the United States)」のなかで、NASAは「宇宙うちゅう探査たんさおよび開発かいはつ獲得かくとくに、有人ゆうじんあるいは無人むじん使用しようした継続けいぞくてき実行じっこう可能かのう計画けいかく実施じっしし、地球ちきゅう太陽系たいようけい宇宙うちゅうかんする根本こんぽんてき科学かがくてき知識ちしきをよりひろげるために民間みんかん宇宙うちゅう使用しようする」とべている。現在げんざい火星かせい土星どせいといったふか宇宙うちゅうへの探査たんさ計画けいかく、および地球ちきゅう太陽たいようかんする研究けんきゅう計画けいかく進行しんこうちゅうである。また水星すいせい冥王星めいおうせいへとかう探査たんさもすでにげられている。計画けいかくちゅう木星もくせいへの探査たんさ計画けいかく実現じつげんされれば、太陽系たいようけい半分はんぶん以上いじょう惑星わくせい網羅もうらすることになる。

より発展はってんした大型おおがた移動いどう探査たんさマーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science Laboratory)」は現在げんざい進行しんこうちゅうで、当初とうしょ2009ねん10月に発射はっしゃ予定よていだったが、技術ぎじゅつてき問題もんだいにより若干じゃっかんおくれがしょうじ、2011ねん11月にげられた。

冥王星めいおうせい探査たんさニュー・ホライズンズ(New Horizons)」は2006ねんげられ、2015ねん冥王星めいおうせい観測かんそくした。水星すいせい探査たんさメッセンジャー(MESSENGER)」は水星すいせいへの接近せっきんかえしながら減速げんそくし、2011ねん3がつ水星すいせい周回しゅうかい軌道きどうった。その小惑星しょうわくせいたい探査たんさ目的もくてきとする「ドーン(Dawn)」や、複数ふくすう彗星すいせい探査たんさ飛行ひこうちゅうである。現在げんざい準備じゅんびちゅう計画けいかくには、火星かせい大気たいき研究けんきゅうするための「マーズ・スカウト計画けいかく(Mars Scout Program)」の一環いっかんとしての「メイヴン(Mars Atmosphere and Volatile EvolutioN、MAVEN)」がある。

将来しょうらいけた声明せいめい[編集へんしゅう]

NASA50周年しゅうねん記念きねんのロゴマーク

2002ねん以来いらい、NASAは予算よさんあん計画けいかく文書ぶんしょなか以下いかのような声明せいめいしるしている。

我々われわれむこの惑星わくせい理解りかいし、保護ほごすること。宇宙うちゅう探査たんさし、生命せいめい起源きげんさぐること。つぎ世代せだい探求たんきゅうしん鼓舞こぶすること……それができるのはNASAだけである。

2006ねん2がつはじめ、この声明せいめい一部いちぶ変更へんこうされ、「我々われわれむこの惑星わくせい理解りかいし、保護ほごすること」の部分ぶぶん削除さくじょされた。あるものはこの変更へんこうはNASAの文治ぶんじ主義しゅぎ保護ほごするためのものだとかんがえたが、ものなかには、これは科学かがくしゃジェームズ・ハンセン(James Hansen)による、アメリカ政府せいふ温暖おんだん対策たいさくへの姿勢しせいたいする批判ひはんではないかとうたがものもいた。NASAは公式こうしきにはそのようなこと一切いっさい関係かんけいないと否定ひていし、宇宙うちゅう探査たんさのためのあたらしい方針ほうしんしめしている。NASAのモットーは、「すべてのもののための利益りえき」である。

上院じょういんの「国土こくど安全あんぜん保障ほしょう政府せいふ問題もんだい委員いいんかい(Committee on Homeland Security and Governmental Affairs)」幹部かんぶは2006ねん7がつ31にちにグリフィン長官ちょうかん招致しょうちし、この変更へんこうたいする懸念けねん表明ひょうめいした。NASAはこのとし、いくつかの地球ちきゅう探査たんさ計画けいかく中止ちゅうししていた。

コンステレーション計画けいかく[編集へんしゅう]

オリオン開発かいはつ担当たんとう企業きぎょう発表はっぴょう2006ねん8がつ31にち、NASA本部ほんぶにて

2004ねん1がつ14にち探査たんさスピリット火星かせい着陸ちゃくりくしてから10にちG・W・ブッシュ大統領だいとうりょうは「宇宙うちゅう開発かいはつ展望てんぼう」とだいするしん宇宙うちゅう政策せいさくコンステレーション計画けいかく」を発表はっぴょうした。この計画けいかくは、現行げんこうのシャトルを2010ねん退役たいえきさせ、2014ねんまでにオリオン宇宙船うちゅうせんによる有人ゆうじん宇宙うちゅう飛行ひこう実現じつげんさせ、2020ねんまでにつき有人ゆうじん探査たんさ将来しょうらい有人ゆうじん火星かせい探査たんさつなげるというものだった。このしん宇宙うちゅう政策せいさくについて議会ぎかい当初とうしょ懐疑かいぎてきだったが、2004ねんれには初年度しょねんど予算よさん承認しょうにんした。

この計画けいかく奨励しょうれいするために、NASAは2004ねんに「100年間ねんかん挑戦ちょうせん(Centennial Challenges)」としょうする、政府せいふ組織そしきによる科学かがくしょう設立せつりつした。このなかでは、たとえばふねがい活動かつどうときにより効率こうりつよく作業さぎょうできる宇宙うちゅうふく手袋てぶくろなど、「宇宙うちゅう開発かいはつ展望てんぼう計画けいかくのために有益ゆうえき発明はつめい表彰ひょうしょうされている。

2006ねん12月4にち、NASAは月面げつめん基地きち建設けんせつ計画けいかく発表はっぴょうした。当時とうじふく長官ちょうかんスコット・ホロウィッツ2020ねん建設けんせつ開始かいしし、2024ねんまでには飛行ひこう交代こうたい滞在たいざいして、すべての資源しげん現地げんち調達ちょうたつできるような機能きのうった基地きち完成かんせいさせる予定よていであることを表明ひょうめいした。この計画けいかくでは、世界せかい様々さまざまくに協力きょうりょくもとめていた。

2007ねん9月28にちNASA長官ちょうかん当時とうじマイケル・グリフィン(Michael Griffin)は2037ねんまでに人間にんげん火星かせい到達とうたつさせる目標もくひょう発表はっぴょうした。

しかし、この計画けいかくは2010ねんバラク・オバマ大統領だいとうりょうにより中止ちゅうしされた。

長官ちょうかん[編集へんしゅう]

NASA長官ちょうかんどう機関きかんにおける最高さいこう責任せきにんしゃであり、また大統領だいとうりょう宇宙うちゅう科学かがくかんする最高さいこう顧問こもんでもある。

施設しせつ[編集へんしゅう]

NASAの本部ほんぶワシントンD.C.にあり、ここからすべての支局しきょく指示しじしている。ミシシッピーしゅうセントルイス近郊きんこうのジョン・C・ステニス宇宙うちゅうセンターの敷地しきちないには、共同きょうどうサービスセンターがある。共同きょうどうセンターの建設けんせつ2006ねん起工きこうし、2008ねん竣工しゅんこうした。またケネディ宇宙うちゅうセンターではロケットの部品ぶひん輸送ゆそうするための鉄道てつどう運営うんえいされていた。かく分野ぶんやごとの研究けんきゅう施設しせつ一覧いちらんは、下記かきのとおりである。これらのうちのいくつかは、歴史れきしてきあるいは管理かんりじょう理由りゆうから複数ふくすう設備せつびっている。施設しせついている人名じんめい宇宙うちゅう飛行ひこう宇宙うちゅう開発かいはつ功績こうせきのあった関係かんけいしゃ記念きねんしたもの。

研究けんきゅう施設しせつ[編集へんしゅう]

ジェット推進すいしん研究所けんきゅうじょ

実験じっけん施設しせつ[編集へんしゅう]

2014ねん3がつ1にちアームストロング飛行ひこう研究けんきゅうセンター名称めいしょう変更へんこう

組立くみたておよび発射はっしゃ施設しせつ[編集へんしゅう]

ケネディ宇宙うちゅうセンター

ふか宇宙うちゅう通信つうしんもう[編集へんしゅう]

娯楽ごらく博物はくぶつ施設しせつ[編集へんしゅう]

1998ねん10月31にちスペースシャトルから撮影さつえいされたフロリダ半島はんとう

航空機こうくうき[編集へんしゅう]

NASAでは科学かがく調査ちょうさ宇宙うちゅう飛行ひこう訓練くんれんなどに使用しようする航空機こうくうき多数たすう運用うんようしており、これらの機材きざい運用うんようする人員じんいん多数たすう雇用こようしている。機体きたいはアメリカぐんはらげなどを民間みんかんとしてさい登録とうろくしたものがおおいが、新規しんき取得しゅとくXプレーンなどの実験じっけん新規しんき開発かいはつ改造かいぞうおこなっている。施設しせつおおくは飛行場ひこうじょう隣接りんせつしているため、貨物かもつ研究けんきゅうしゃ移送いそう自前じまえおこなっている。

パイロット出身しゅっしん宇宙うちゅう飛行ひこう引退いんたい、NASAのパイロットとして雇用こようされるものもいる。

表彰ひょうしょうおよび勲章くんしょう[編集へんしゅう]

NASAは現在げんざいすうおおくのメダルや勲章くんしょう飛行ひこう功績こうせきのあった職員しょくいん授与じゅよしている。そのうちのいくつかは、現役げんえきぐん制服せいふくぐみ表彰ひょうしょうするものである。なかでももっと権威けんいたかいのは「宇宙うちゅう名誉めいよ勲章くんしょう(Congressional Space Medal of Honor)」で、2009ねんまでに28にん叙勲じょくんされ(うち17にん追贈ついぞう)、「自身じしん義務ぎむ遂行すいこうした宇宙うちゅう飛行ひこうなかで、国家こっか人類じんるい福祉ふくしたいする非凡ひぼん賞賛しょうさんあたいする努力どりょく貢献こうけんとく傑出けっしゅつしていた」とみとめられている。

つぎ権威けんいたかいのは「NASA殊勲賞しゅくんしょう(NASA Distinguished Service Medal)」で、軍人ぐんじんパイロットから文官ぶんかん職員しょくいんにいたるまで、すべての政府せいふ関係かんけいしゃ受賞じゅしょうする資格しかくっている。例年れいねん表彰ひょうしょうは、フロリダしゅうオーランド(Orlando)の国立こくりつ航空こうくう宇宙うちゅう協会きょうかい施設しせつおこなわれている。

関係かんけい法令ほうれい[編集へんしゅう]

NASA+[編集へんしゅう]

2023ねん11月、NASA独自どくじ映像えいぞうストリーミングサービス「NASA+」を開始かいしした[4][5]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ NASA長官ちょうかんふく長官ちょうかん宇宙うちゅう飛行ひこう経験けいけんのあるネルソンとメルロイ任命にんめい SORABATAKE、2021ねん11がつ10日とおか閲覧えつらん
  2. ^ https://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/space/kaihatsushi/detail/1291224.htm
  3. ^ 佐藤さとうやすし『NASA ―宇宙うちゅう開発かいはつの60ねん中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ、2014ねん6がつ24にち、31ぺーじISBN 978-4121022714 
  4. ^ NASA+”. NASA. 2023ねん11がつ10日とおか閲覧えつらん
  5. ^ NASA+ streaming service launches with all-new original series today (video)”. Space.com. 2023ねん11がつ10日とおか閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]