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上代特殊仮名遣 - Wikipedia

上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい

日本語にほんご仮名かめい文字もじ表記ひょうきほうのうち上代じょうだい日本語にほんごから古典こてん日本語にほんご継承けいしょうされなかった表記ひょうきほう

上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい(じょうだいとくしゅかなづかい)とは、上代じょうだい日本語にほんごにおける『古事記こじき』・『日本書紀にほんしょき』・『万葉集まんようしゅう』など上代じょうだい奈良なら時代じだいころ)の万葉仮名まんようがな文献ぶんけんもちいられた、古典こてん以降いこうには存在そんざいしない仮名かめい使つかいわけのことである。

名称めいしょう国語こくご学者がくしゃ橋本はしもと進吉しんきち論文ろんぶん上代じょうだい文献ぶんけんそんする特殊とくしゅ仮名遣かなづかい当時とうじ語法ごほう[1]由来ゆらいする。たんに「上代じょうだい仮名がな」ともばれる。

概要がいよう

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上代じょうだい文献ぶんけんには、歴史れきしてき仮名遣かなづかいでは区別くべつしない音節おんせつ具体ぐたいてきには、コ・ソ・ト・ノ・モ・ロ・ヨ・〈ホ〉キ・ヒ・ミケ・ヘ・メおよびその濁音だくおん)をしめ万葉仮名まんようがなとおりにはっきりとけられていることがられている[ちゅう 1]

種類しゅるいのうち、一方いっぽうかぶとるい、もう一方いっぽうおつるい区別くべつする(橋本はしもと)。たとえば、後世こうせいの「き」にあたる万葉仮名まんようがなささえよし・岐・・棄などの漢字かんじ一類いちるいをなし、「あき」や「きみ」「」「く」の「き」がこれにあたる。これをキかぶとるいぶ。おのれきのなどはべつ一類いちるいをなし、「きり」「きし」「つき」「」などの「き」がこれにあたる。これをキおつるいぶ。

だん・エだん甲乙こうおつ区別くべつ動詞どうし活用かつよう関係かんけいがあり、よんだん活用かつようでは連用形れんようけいにイだんかぶとるいが、命令めいれいがたにエだんかぶとるいが、已然いぜんがたにエだんおつるい出現しゅつげんする。うえいちだん活用かつようではイだんかぶとるいが、うえだん活用かつようではイだんおつるいが、しただん活用かつようではエだんおつるい出現しゅつげんする。

こうした甲乙こうおつ区別くべつは、一々いちいち単語たんごごとに習慣しゅうかんてき記憶きおくされて使つかけられたものではなく、なんらかの音韻おんいん区別くべつによるとかんがえられている[ちゅう 2]。すなわち、上代じょうだい日本語にほんごにはいろは47+濁音だくおん20の67おとでなく、それより20おとおおい87おと[ちゅう 3]区別くべつがあった。後世こうせい存在そんざいしない音韻おんいんがどのように区別くべつされていたかは諸説しょせつがあって定論ていろんがないが、たとえば母音ぼいんが8種類しゅるいあったなどと推定すいていすることが可能かのうである。

8世紀せいき後半こうはんになると、まずオだんのモから区別くべつうしなわれ、のオだんへもひろがった[ちゅう 4]。このようななかあいだてき状態じょうたいは、ふつあしせき宣命せんみょうせいくらいん万葉仮名まんようがな文書ぶんしょ・および木簡もっかん資料しりょうなどにられる。平安へいあん時代じだいになると、ほとんどの区別くべつ消滅しょうめつしたが、コの区別くべつ9世紀せいき前半ぜんはんまで、エの区別くべつ10世紀せいき前半ぜんはんまでのこった。

音節おんせつひょう万葉仮名まんようがな一覧いちらんひょう

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音節おんせつひょう

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上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいにおける音節おんせつひょう灰色はいいろ部分ぶぶんけが存在そんざいする音節おんせつ

a i u e o
ka ki1 ki2 ku ke1 ke2 ko1 ko2
ga gi1 gi2 gu ge1 ge2 go1 go2
sa si su se so1 so2
za zi zu ze zo1 zo2
ta ti tu te to1 to2
da di du de do1 do2
na ni nu ne no1 no2
pa pi1 pi2 pu pe1 pe2 po
ba bi1 bi2 bu be1 be2 bo
ma mi1 mi2 mu me1 me2 mo1 mo2
ya   yu ye yo1 yo2
ra ri ru re ro1 ro2
wa wi   we wo

万葉仮名まんようがな

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ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう ぎょう
だん おもね やす えい あし なに こう わが なに ひだり すな さく もの しば しゃ くさ しゃ しゃ おご そう ぞう ふとし おお だて ふとし だい おとこ みなみ やすし なん なな さかな さい はち ほう かおる ぼう はん ばん ばい とまり なみ ばば やぶ うすき はた はね はや もの はや ばば すり まん すえ うま あさ すり みつる まえ しん あいだ おに うつり よる はち りょう なみ ろう らく ひとし まる
だん
(きのえるい)
こと やめ うつり ささえ くわだて すん よし きね げい あり これ しば みず よん つかさ こころざし おもえ しん しのべ てら さむらい とき うた むらさき しん むね ゆび つぎ こと じゅん いそ ため つかまつ つかさ とき つき みみ えさ なんじ さとし ひね せん ちち ちがや おそ はじ あま どろ ひと ひとし なんじ ちかし あま みみ やわら せんじ まろうど こおり めし まけ ひじ はな わたる みん わたる よし さん みず さと なし となり いれ せんじ くらい ため いい いのしし あい
だん
(おつるい)
とうと きの よせ いく しろ うたぐ むべ よし なずらえ こえ とい いぬい かれ こえ いぬい まゆ こび あじ ほろ
だん はね ゆう がらす とく ひさ きゅう くち おか ばと ぐう すみ もとむ おそれ すん しゅう さけ しゅう しま たま かず なぎさ こと まめ つう おい かわ まめ あたま いしゆみ やつ つとむ いか のう ぬま 宿やど いや ぬの まけ じき けい れき おっと ぶん やわら たけ つとむ はかりごと ろく ゆかり たとえ ゆう とめ ながれ るい
だん
(きのえるい)
ころも あい えのき いえ けい かかり あたい ゆい にわとり した きば みやび なつ 西にし ひとし いきおい ほどこせ さこ これ つつみ てん みかど そこ だい じき だい どろ にわ つて 殿しんがり ひさげ おとうと あま どろ とし 宿やど ひらた はん かえし べん へい あまね あたり おも へだた べん 便びん べつ うれ うま めん おんな のべ よう はるか あきら あに こう よし えだ れい れつ れい れつ れん まわり めぐみ めん さき
だん
(おつるい)
すんで もう けし よし むべ そぎ ばい はい けい ばい まい うめ べい うみ
だん
(きのえるい)
おう ふる しゅうと ほう こな われ えびす のち かご さとる あやま そう もと じゅう ぞく かたな はや わたり やつ いか つとむ いか ほう だき とも ばい たから とみ ひゃく はん ばん しげる もう うね こうむ とい よう よう よく よる みち よび とお とり こし すくな しょう あさ おとこ いとぐち ゆう
だん
(おつるい)
おのれ きょ きょ もと きょ きょう かたり しこり ところ のり そう ぞう にく ころも えん じょ じょ ぞく そん すき とめ ひとし とう きよし とく あが じゅう とり つね あと とく ふじ あが ひとし たい のう わらい ほう めん はは ぶん しげる もの もち もん あずか よん だい よし りょ

かたりれい用例ようれい

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上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいによるけの用例ようれいれい以下いかにまとめる[4][5]

動詞どうし活用かつようがた

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ぼうせん語幹ごかんである(ただしうえいちだん活用かつよう語幹ごかんまつ文字もじ表記ひょうき)。とくことわらないかぎりひらがな表記ひょうきはカぎょうしめす。
動詞どうし分類ぶんるい 未然みぜんがた 連用形れんようけい 終止しゅうしがた 連体れんたいがた 已然いぜんがた 命令めいれいがた
よんだん活用かつよう –か (-a) –ききのえ (-i1) –く (-u) –く (-u) –けおつ (-e2) –けきのえ (-e1)
うえいちだん活用かつよう –ききのえ (-i1) –ききのえ (-i1) –ききのえる (-i1ru) –ききのえる (-i1ru) –ききのえれ (-i1re) –ききのえ[よおつ] (-i1[yo2])
うえだん活用かつよう –きおつ (-i2) –きおつ (-i2) –く (-u) –くる (-uru) –くれ (-ure) –きおつ[よおつ] (-i2[yo2])
しただん活用かつよう –けおつ (-e2) –けおつ (-e2) –く (-u) –くる (-uru) –くれ (-ure) –けおつ[よおつ] (-e2[yo2])
ぎょう変格活用へんかくかつよう –こおつ (-o2) –ききのえ (-i1) –く (-u) –くる (-uru) –くれ (-ure) –こおつ (-o2)
ぎょう変格活用へんかくかつよう –せ (-e) –し (-i) –す (-u) –する (-uru) –すれ (-ure) –せ[よおつ] (-e[yo2])
ぎょう変格活用へんかくかつよう –な (-a) –に (-i) –ぬ (-u) –ぬる (-uru) –ぬれ (-ure) –ね (-e)
ぎょう変格活用へんかくかつよう –ら (-a) –り (-i) –り (-i) –る (-u) –れ (-e) –れ (-e)

名詞めいしとうかたりれい

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だん
かぶとるい おつるい
ぎょう あき)、ミ(きみ)、ヌ(ころも)、ル(ちょ)、サさき)、サこう)、キきり)、ヅ(きず )、ツつき)、リ(きり)、しろ)、シ(きし
ぎょう ずね)、タたき)、ムむぎ はぎ
ぎょう )、ひのき)、ク(く)、コ(彦)、ザ(ひざ)、モ(ひも)、ヂ(どろ)、ト(ひと)、ナ(えびす )、とい
ぎょう たび)、オおび まわり)、キきび
ぎょう さん)、ズ(みず)、ネ(みね)、ル()、アあみ)、カうえ)、カかみ)、ナなみ)、ユゆみ )、ナ(みな)、ル(まわり)、カかみ)、ヤくら
だん
かぶとるい おつるい
ぎょう こと)、タシ(ちょう)、サブ(さけべ)、サ(今朝けさ )、)、タたけ)、サさけ)、イいけ)、タチ(高市たかいち
ぎょう クラ海月くらげ)、サヤル(騒) かげ)、クシ櫛笥くしげ)、スかん)、ヒひげ
ぎょう あたり)、いえ)、ス(あつ)、ダツ(へだた うえ)、)、ソ(巻子まきこ)、ウうえ
ぎょう シ(
ぎょう おんな)、ヒひめ)、ス(召)、アヤ菖蒲しょうぶ)、ウラシ(恨) )、)、ヅ(あい)、イゆめ)、ウうめ)、タため)、カかめ)、アあめ)、コべい)、マまめ)、グム(めぐみ
だん
かぶとるい おつるい
ぎょう )、かご)、カ水牛すいぎゅう )、シ(こし)、ソ(助動詞じょどうし)、ゾ(去年きょねん)、ココロ(しん)、ノス(ざん
ぎょう ヤカ( )、ナリ(名残なごり
ぎょう あさ)、ころも)、イいそ)、ラ(そら 助動詞じょどうし)、)、カちち)、コ(そこ
ぎょう フ(かず 去年きょねん
ぎょう )、ガナ(利鎌とがま)、ジ(戸主こしゅ)、フ(とい)、ル( モ(とも)、ガ(とがめ)、キ()、コ(ゆか
ぎょう もん)、ツフ(しゅう よどみ)、ノのど)、ノカ(長閑のどか
ぎょう )、助詞じょし)、リ(海苔のり)、ル(じょう)、コス(ざん)、ボル(とう
ぎょう いもうと)、ズ(百舌鳥もず)、ユ(もえ)、スソ(裳裾もすそ めん)、コロ(わか
ぎょう よる)、リ(助動詞じょどうし)、ブ(よび)、マまゆ)、カフ(つう)、マフ(迷) だい)、助詞じょし)、コ(よこ)、シ(きち)、シ(ゆかり)、ソ(そと)、ド(よどみ)、ヒ(よい)、スガ(えん
ぎょう くろ)、シしろ)、ムしつ)、フクふくろ)、カギヒ(陽炎かげろう いろ)、コごろ)、シだい)、ヒひろ)、マ麻呂まろ)、オス(した)、オカ()、コス(ころせ)、コモ(ころも)、ヨシ(むべ)、ムシむしろ)、ココしん

現代げんだいにおける上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい表記ひょうきほう

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上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい崩壊ほうかいしたのちに仮名かめい発達はったつしたため、仮名かめいによって甲乙こうおつしめすことは通常つうじょうできない。それゆえ、文字もじじょう甲乙こうおつ区別くべつをする必要ひつようがあるときは「かぶと」「おつとうといった明記めいき右左みぎひだり傍線ぼうせんトレマサーカムフレックスをつけたラテン文字もじした数字すうじ使用しようカタカナ変体へんたい仮名がな導入どうにゅうなどで対応たいおうしている。なお、かぶとるいおつるい区別くべつのない音節おんせつ場合ばあい一類いちるい場合ばあいがある[6]便宜べんぎのためにおも表記ひょうきほう対照たいしょうすると以下いかのようになるが、以降いこう記事きじではみやすさのため、とく必要ひつようかぎ仮名かめい表記ひょうきでは甲乙こうおつ直截ちょくせつしめし、ラテン文字もじ表記ひょうきではした数字すうじ使つかって甲乙こうおつ直截ちょくせつしめす。

現代げんだいにおける上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいおも表記ひょうきほう[7]
甲乙こうおつ イェール フレレスヴィッグ & ホイットマン 金田一きんだいち京助きょうすけ[8] 修正しゅうせいマティアスミラー した数字すうじ 平仮名ひらがな片仮名かたかな[9] 傍線ぼうせん[10]
きのえ yi i i î i1 片仮名かたかな みぎ
おつ iy wi ï ï i2 平仮名ひらがな ひだり
いち i i i i i 片仮名かたかな なし
きのえ ye ye e ê e1 片仮名かたかな みぎ
おつ ey e ë ë e2 平仮名ひらがな(ヘは変体へんたい仮名がな ひだり
いち e e e e e 片仮名かたかな なし
きのえ wo wo o ô o1 片仮名かたかな みぎ
おつ o ö ö o2 平仮名ひらがな ひだり
いち o o o o o 片仮名かたかな なし

研究けんきゅう諸説しょせつ

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発見はっけん (江戸えど時代じだい

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ほんきょ宣長のりなが石塚いしづか龍麿たつまろ

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ほんきょ宣長のりなが
帰納的きのうてき方法ほうほうによって日本語にほんご研究けんきゅうし、上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい発見はっけん糸口いとぐち見出みいだした[11]

仮名遣かなづかい研究けんきゅうは、江戸えど時代じだい国学こくがく勃興ぼっこうして以降いこう本格ほんかくてきおこなわれるようになる[12][13][14]。そのようななか上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい研究けんきゅうは、 ほんきょ宣長のりながによって端緒たんしょひらかれた。宣長のりながあらわした『古事記こじきでん』には、だいいちかんの「かりこと」ですでに「おなおんなかでも、言葉ことばおうじてそれぞれにてるかり使つかけられている」ことが指摘してきされている。

さてまた同音どうおんなかにも、其言にひてもちいかりことにしてかくさだまれることおおくあり。其例をいはゞ、コのかりにはあまねもともちいひたるなかに、にはをのみしょもとしょることなくメのかりにはあまねべいうりもちいひたるなかに、おんなにはうれをのみしょべいしょることなくキには伎岐あまねもちいひたるなかに、木代きしろにはをのみしょて伎岐をかゝず、…(中略ちゅうりゃく)…みぎちゅうどうげんすうしょたるをけんて此彼げたるのみなり。此類のさだまりなほあまりにもかり。此は此記のみならず、書記しょきまんようなどのかりにも此さだまりほのゞゝえたれど、其はいまだ徧くもえけんず。なほこまかにかんがえふべきことなり。しかれども此記のただしくくわしきにはおよばざるものぞ。そもそも此事はひとのいまだとく見顕みあらわさぬことなるを、おのれはじめたるに、すべ古語こごすけとなることいとおおきぞかし。(ほんきょ宣長のりなが古事記こじきでん』)

また、宣長のりながは『古事記こじきでんさい稿本こうほんにおいてこれがおと区別くべつによるものであるとかんがえた記述きじゅつのこしたが、のちに削除さくじょしてしまった[15]

すべて此類いかなるゆえとはれねどもおのづからおん(こゑ)のわかれけるにや

このせんちょう着想ちゃくそうをさらに発展はってんさせたのが、かれ門弟もんてい石塚いしづか龍麿たつまろによる『仮名遣かなづかい奥山おくやま』(1798ねんころ発表はっぴょう)であった[16]。これは万葉仮名まんようがな使つかわれた『古事記こじき』・『日本書紀にほんしょき』・『万葉集まんようしゅう』について、その用字ようじ調査ちょうさしたものであり、エ・キ・ケ・コ・ソ・ト・ヌ・ヒ・ヘ・ミ・メ・ヨ・ロ・チ・モの15しゅについて用字ようじ使つかけがあると結論けつろんづけた[16]。しかし、当時とうじ本文ほんぶん批判ひはんさかんでなく、調査ちょうさ使つかわれたテキストに誤記ごきふくまれていたことや仮名かめい使つかけが音韻おんいんちがいにむすびつくという結論けつろんけがなされていなかったこと、それに石塚いしづか著作ちょさく刊行かんこうされずに写本しゃほんでのみつたわっていたこともあり、注目ちゅうもくあつめることはなかった。

石塚いしづか龍麿たつまろけてかれたくさ鹿しかとぎせんたかしげんべつおんしょう』(1848じょ)は、これらの仮名遣かなづかいのちがいが、いまでは同音どうおんだがげんではおとことなっていたと明言めいげんし、おとちがいにもとづくことをはっきりと認識にんしきしている[17]

なお、『仮名遣かなづかい奥山おくやま』でしめされている区別くべつのうち、エの2種類しゅるいについては学者がくしゃによっても指摘してきされ、アぎょう/e/ぎょう /je/ちがいであることがわかっている[18]

定説ていせつ(1910~40年代ねんだい

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橋本はしもと進吉しんきち

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橋本はしもと進吉しんきち
論文ろんぶん国語こくご仮名遣かなづかい研究けんきゅういち発見はっけん石塚いしづか龍麿たつまろ仮名遣かなづかい奥山おくやまについて」[19]は、近代きんだいにおける上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい研究けんきゅう出発しゅっぱつてんとなる記念きねんてき論考ろんこうである[20]

宣長のりなが石塚いしづかによるこの研究けんきゅうなが評価ひょうかされずにうずもれていたが、橋本はしもと進吉しんきちによって注目ちゅうもくされ、1917ねん発表はっぴょうされた論文ろんぶん国語こくご仮名遣かなづかい研究けんきゅういち発見はっけん石塚いしづか龍麿たつまろ仮名遣かなづかい奥山おくやまについて」[19]以降いこう近代きんだい日本にっぽん国語こくご学界がっかいでさかんにろんじられるようになった。なお橋本はしもと以後いご研究けんきゅうでは、石塚いしづか龍麿たつまろ指摘してきしたチの使つかけをみとめておらず、エ・キ・ケ・コ・ソ・ト・ノ・ヒ・ヘ・ミ・メ・ヨ・ロ・モの14しゅ(および濁音だくおんがある場合ばあいはその濁音だくおん)を古代こだい特有とくゆう使つかけとなし、この使つかけを「上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい」と命名めいめいした。なお、「モ」の使つかけは『古事記こじき』にのみられ、これは『日本書紀にほんしょき』などの後世こうせい史料しりょうよりもさらにふる時代じだい使つかけを残存ざんそんしているものとかんがえられている。

」は国学こくがくしゃ修正しゅうせいによってかつては「ぬ」とまれていたが、これは「いか」などの万葉仮名まんようがなもちいられていることによっていた。橋本はしもとはこれをもどし「ノ」かぶとるい位置いちづけ、「ヌ」に2しゅあるのではなく「ノ」に2しゅあるものとした。

橋本はしもとおと推定すいていにはきわめて慎重しんちょうで、断定だんていてきなことはべなかったが、「国語こくご音韻おんいん変遷へんせん」ではイ・エ・オの片方かたがた[i][e][o]で、もう一方いっぽう[ï][əi] または [əe][ö] という母音ぼいんっていたのではないかという仮説かせつしめしている[21]。また、橋本はしもとによるさい発見はっけんについては、水谷みずたに静夫しずおあつかっている[22]

有坂ありさか秀世ひでよと「有坂ありさか池上いけがみ法則ほうそく

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有坂ありさか秀世ひでよは1934ねん論文ろんぶん古代こだい日本語にほんごにおける音節おんせつ結合けつごう法則ほうそく」で、上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいにかんするつぎのような法則ほうそく発表はっぴょうした。

  1. れつかぶとるいおんとオれつおつるいおんとは、どういち結合けつごう単位たんいない共存きょうぞんすることはない。
  2. れつおんとオれつおつるいおんとは、どういち結合けつごう単位たんいない共存きょうぞんすることがすくない。とくに2音節おんせつ結合けつごう単位たんいについては例外れいがいがない。
  3. れつおんとオれつおつるいおんとは、どういち結合けつごう単位たんいない共存きょうぞんすることがすくない。

実際じっさいにこの法則ほうそく発表はっぴょうされたのは1932ねん論文ろんぶん古事記こじきにおけるモの仮名かめい用法ようほうについて」であるが、かれがこれにつよ確信かくしんって発表はっぴょうしたのは前述ぜんじゅつ論文ろんぶんである。ほぼどう趣旨しゅし内容ないようをほぼどう時期じき池上いけがみ禎造ていぞう発表はっぴょうしたため、これは有坂ありさか池上いけがみ法則ほうそく有坂ありさか池上いけがみ法則ほうそく有坂ありさか法則ほうそくなどとばれる。母音ぼいん同士どうし共存きょうぞんしやすいグループをつくり、たがいにどうグループの母音ぼいん共存きょうぞんしやすくグループの母音ぼいんとは共存きょうぞんしにくいという傾向けいこうトルコなどアルタイ語族ごぞくられる「母音ぼいん調和ちょうわ現象げんしょう名残なごりとされ、この法則ほうそく日本語にほんごがアルタイ語族ごぞくであることのひとつの証左しょうさであるとされた。

おとについては、オかぶとるいこうしたてき、オおつるいちゅうしたてきといっているが、それ以外いがいについては断定だんていてきなことをべなかった。橋本はしもと進吉しんきちはイだん/ji//i/、エだん/je//e/、オだん/o//ö/ というかんがえであった[21]有坂ありさか秀世ひでよはこれとことなり、没後ぼつご出版しゅっぱんされた『上代じょうだい音韻おんいん攷』でイだんおつ[ïi]、エだんおつ[ə̯e]、オだんおつ[ö]さい構した[23]

1930年代ねんだいのその研究けんきゅう

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有坂ありさか秀世ひでよ橋本はしもと進吉しんきちらの功績こうせきについてはすでにべたが、たとえば永田ながた吉太郎よしたろうは、最初さいしょ上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいおと推定すいていした[24]。また1930年代ねんだいにはサブロー・ヨシタケ[25]安田やすだ喜代きよもん[26][27]菊沢きくざわせい[5]なども上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいかんする研究けんきゅう発表はっぴょうした。

その研究けんきゅう母音ぼいん融合ゆうごうせつとう

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大野おおのすすむ日本書紀にほんしょき研究けんきゅう母音ぼいん融合ゆうごう

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大野おおのすすむ1953ねんに『上代じょうだい仮名遣かなづかい研究けんきゅう』をあらわし、日本書紀にほんしょき歌謡かようくんちゅうとに見出みいだされる仮名かめい違例いれいられることにかんして、いろはうた仮名かめいによって区別くべつされない万葉仮名まんようがなぐん区別くべつ上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいとしてろんじた。1957ねんの「日本語にほんご起源きげん」では、万葉仮名まんようがな音読おんよみにもちいられる漢字かんじ中国語ちゅうごくごにおける当時とうじ推定すいていおん中古ちゅうこおんとうから、イだんおつるい・エだんおつるい・オだんおつるいかぶとるいことなるちゅうした母音ぼいんっていたと推定すいていした[28]。IPA ではイおつ[ï(ː)]、エおつ[ɜ(ː)]説明せつめいでは「はんせま母音ぼいん」とっているので[ɘ(ː)]か)、オおつ[ö][29]。エとオのあいだに、わずかな発音はつおんしかたない母音ぼいんが2つもはさまり、はんせま母音ぼいんれつに4つもの母音ぼいん集中しゅうちゅうするこの体系たいけいは、あきらかに不安定ふあんていであったから、平安へいあん中期ちゅうき以降いこう京都きょうと方言ほうげんなど日本語にほんご主要しゅよう方言ほうげんが、a, e, i, o, uの安定あんていした5母音ぼいんとなる契機けいきであったと大野おおの説明せつめいする。

また、8母音ぼいんのうちイおつ・エきのえ・エおつ・オきのえの4つは、そもそも発現はつげん頻度ひんど相対そうたいてきすくない、せんちゅう出現しゅつげんする、という特徴とくちょうがあり、かつ複合語ふくごうごなどで母音ぼいん連続れんぞくするさいしょうじていることがおおいことから、連続れんぞくする母音ぼいん融合ゆうごうによりしょうじたてき母音ぼいんではないか、と(これはすでにおおくの研究けんきゅうしゃにもわれていたことであったが)発想はっそうし、つぎのような母音ぼいん体系たいけい内的ないてきさい構をおこなった。

  • 上代じょうだい日本語にほんごよりもはるかにふる日本語にほんごには本来ほんらい *a, *i, *u, (= o2) の4母音ぼいんがあった。(日本にっぽん祖語そごよん母音ぼいんせつ
  • 上代じょうだい日本語にほんごのイおつ・エきのえ・エおつ・オきのえは、上述じょうじゅつ4母音ぼいん融合ゆうごうによってまれたてき母音ぼいんであった。具体ぐたいてきには、「ウ+イきのえ」および「オおつ+イきのえ」がイおつ (*ui, *əi > i2)、「イきのえ+ア」がエきのえ (*ia > e1)、「ア+イきのえ」がエおつ (*ai > e2)、「ウ+ア」がオきのえ (*ua > o1) に、それぞれ融合ゆうごうすることであたらしくてき母音ぼいんまれた。

この内的ないてきさい構から、大野おおのはさらに日本語にほんごにおける動詞どうし活用かつよう起源きげん説明せつめいした。よんだん動詞どうしおよび変格へんかく動詞どうし語幹ごかんまつ子音しいんであり、うえいちだん動詞どうしうえだん動詞どうししただん動詞どうし語幹ごかんまつ基本きほん母音ぼいんであり、それぞれに語尾ごび接続せつぞくするさいに、母音ぼいん接触せっしょくして母音ぼいん融合ゆうごうきた結果けっか上古じょうこにみられるような動詞どうし活用かつよう発生はっせいしたと理解りかいすると、動詞どうし活用かつようのかなりの部分ぶぶん説明せつめい可能かのうとなるとかんがえた。以上いじょう発想はっそう現在げんざいにち琉祖理論りろんでもある程度ていど使つかわれている。

大野おおののちに、この「本来ほんらいてきな4母音ぼいん」が、オーストロネシア祖語そご[ちゅう 5]において推定すいていされる母音ぼいん体系たいけい (*a, *e [ə], *i, *u) と類似るいじしていることから、日本語にほんご基層きそうにはオーストロネシア存在そんざいするのではないか、という議論ぎろんおこなった。

大野おおのすすむの4母音ぼいんせつ体系たいけいてきととのってはいるが、かならずしも充分じゅうぶん証拠しょうこがあったとはえなかった。とくにオだんかぶとるい起源きげんについては問題もんだいおおかった。セルゲイ・スタロスティン大野おおのすすむ支持しじしたが、オだんかぶとるい*ua由来ゆらいしている理由りゆうとして

  • *ia > e1変化へんか並行へいこうてきである。
  • 沖縄おきなわkwa子供こども」に上代じょうだい日本語にほんごko1対応たいおうしている。

くらいしかげることができなかった。

そのため、たとえばサミュエル・マーティンua または がオきのえになったというせつについて「これを支持しじするようなれいまったくとっていいほどしめされていない (Pitifully few good examples have been adduced to support this notion)」とった (Martin 1987, p. 58)。

服部はっとり四郎しろう(*e/*o)

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服部はっとり四郎しろうおも琉球りゅうきゅう諸語しょごとの比較ひかく根拠こんきょに、日本にっぽん祖語そごには *e, *o奈良なら時代じだいのエだんかぶとるい・オだんかぶとるい相当そうとう)をふくむ7母音ぼいんがあったと主張しゅちょうした[30][31]*e, *oかんしてはのちのマナー・ソープによる最初さいしょ包括ほうかつてき琉球りゅうきゅう祖語そごさい構で支持しじされ[32]現在げんざいでもひろれられている[33]

服部はっとり四郎しろうは、奄美あまみ大島おおしましょどん方言ほうげんなかにオだんかぶとるいおつるい区別くべつ対応たいおうする区別くべつ存在そんざいしていると主張しゅちょうし、それをもとにオかぶとるい[ɔ]・オおつるい[ɵ] (=ö) と推定すいていした。また、音韻おんいんてきにはこれらがキきのえ /kji/・キおつ /ki/・ケきのえ /kje/・ケおつ /ke/・コきのえ /ko/・コおつ /kö/ であったと解釈かいしゃくした[34]。さらに服部はっとりは、「つき」と「」などからにち琉祖*əi琉球りゅうきゅう祖語そご*e *kəi)に反映はんえいしており、一方いっぽうにち琉祖*uiつき *tukui)が琉球りゅうきゅう祖語そご*i反映はんえいしていることを指摘してきした。(詳細しょうさい琉球りゅうきゅう祖語そご参照さんしょう

もりひろしたち

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もりひろしたちは『日本書紀にほんしょき』のうちの一部いちぶαあるふぁぐんしょうする)は日本にっぽん漢字かんじおんではなく当時とうじ中国語ちゅうごくごおん使つかって表記ひょうきされているとかんがえ、とうだい北方ほっぽうおんきりいん利用りようした具体ぐたいてきおと推定すいていこころみた[35]もり推定すいていではかぶとるい現在げんざい母音ぼいん同様どうようで、イだんおつるい母音ぼいん /ï/、オだんおつるい/ə/ち、エだんおつるい重母音じゅうぼいん /əi/ であるとした。したがって重母音じゅうぼいんのぞくと音素おんそとして7母音ぼいんになる。

もりせつたいしては、中国ちゅうごく音韻おんいんろん専門せんもんである平山ひらやま久雄ひさおとのあいだ論争ろんそうが『国語こくごがく誌上しじょうおこなわれた[36][37][38]

定説ていせつへの反論はんろん

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松本まつもと克己かつみ

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古代こだい日本語にほんご6,7,8母音ぼいんせつなか定説ていせつとなっていたが、1970年代ねんだいはいりこれにこととなえる学説がくせつ相次あいついで登場とうじょうする。その端緒たんしょ松本まつもと克己かつみの「古代こだい日本語にほんご母音ぼいん組織そしきこうないてき再建さいけんこころみ-」[39]である[ちゅう 6]内的ないてき再建さいけんとは、ひとつの言語げんご言語げんご言語げんごとの比較ひかくからのみかんがえるのではなく、その言語げんごないともたい研究けんきゅうつうじてもとめていこうとするアプローチである。

松本まつもと有坂ありさか音節おんせつ結合けつごう法則ほうそくについて、「どういち結合けつごう単位たんい」という概念がいねん曖昧あいまいさを指摘してきしたうえ甲乙こうおつ2しゅ使つかけがある母音ぼいんだけではなくすべての母音ぼいんについて結合けつごう法則ほうそくせい追求ついきゅうすべきだとして、1965ねん福田ふくだ良輔りょうすけ研究けんきゅうをもとに母音ぼいんを3グループにけて検証けんしょうおこなった。その結果けっか従来じゅうらい甲乙こうおつ2しゅ使つかけがあるとされてきたオだん母音ぼいん相補そうほてき分布ぶんぷしめすなどしているためにどういち音素おんそであり、表記ひょうきのゆれにぎないとした。有坂ありさか法則ほうそく松本まつもとさい定式ていしきによると「どういち語幹ごかんないao共存きょうぞんしない」ということになる。

一方いっぽう、イだんとエだんかぶとるいおつるいについては、イだんおつるい/ï/であるとしたが、エだん甲乙こうおつ音韻おんいんてきには母音ぼいんではなく子音しいん口蓋こうがいせい/口蓋こうがいせい対立たいりつであり、きのえ/Cje/おつ/Ce/とした[ちゅう 7]。イだんおつるいはごくかぎられた範囲はんいでしか使つかわれず、エだん甲乙こうおつ対立たいりつには重要じゅうようせいがなかったので、9世紀せいきになると区別くべつされなくなった。そのうえ松本まつもと先史せんし時代じだいからの変遷へんせんについて

  1. i, a, u の3母音ぼいん
  2. i, a ⁓ o, u の4母音ぼいん (ao母音ぼいん交替こうたいによりoしょうじる)
  3. i, e, ï, a, o, u の6母音ぼいん (u+io+iによりïが、a+ii+aによりeしょうじる)
  4. 現在げんざいの5母音ぼいん

のような見通みとおしをしめした。

マーティンによると、オだん甲乙こうおつ区別くべつがもともと音韻おんいんてきでなかったというせつは Paul Sato も主張しゅちょうしている[40]

松本まつもとせつには実際じっさいにはかなりの例外れいがいがあり、とくにたん音節おんせつではオだん甲乙こうおつによる最小さいしょうたいられる。松本まつもとはこれらも音韻おんいんてき対立たいりつではなく、かたり自立じりつせいたかさによってかぶとるいおつるいかのいずれかがあらわれるなどとしているが、それでも説明せつめいできないれい存在そんざいする。

もり重敏しげとし

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松本まつもと克己かつみ論文ろんぶん発表はっぴょう1975ねん3月(かれたのはその1ねんまえ)であるが、それとときおなじくして同年どうねん9がつもり重敏しげとし松本まつもととはべつ観点かんてんから上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいの8母音ぼいんせつ異議いぎとなえた[41][ちゅう 8]

まず森重もりしげは、体言たいげんにおいて感嘆かんたんさいにいかなる助詞じょしけないで単語たんごがそのままで使つかわれるとき助詞じょしわりのような役目やくめ単語たんご音韻おんいんそのものを「イ」おと加重かじゅうさせることがあるといた。すなわち、「はな」であればそれが「はなよ」というかたちるのではなく「ハナィ」あるいは「ハィナ」「ハィナィ」と、母音ぼいんそのものに「イ」をくわえることによって表現ひょうげんすることがあるというのである。ここからアだんおんにイを加重かじゅうさせたものがエに、ウだんおんにイを加重かじゅうさせたものがイに、オだんおんにイを加重かじゅうさせたものがオになり、それぞれおつるいばれるおとになった[ちゅう 9]というのが森重もりしげせつ要旨ようしである。

森重もりしげせつでも最終さいしゅうてきに「日本語にほんご母音ぼいん体系たいけいは5母音ぼいんであった」としている。すなわち、「万葉仮名まんようがなられる用字ようじ使つかけは渡来とらいじん日本語にほんごにとって必要ひつようであった音声おんせいちがいを音韻おんいんとしてってしまったものだ」とするものである。森重もりしげはそれをあたかもヘボンしきマ字まじ日本語にほんごにとってかならずしも必要ひつようなききわけでないsh, ch, ts, fなどをききとったことになぞらえ、上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかちゅう「コ」おとのみが平安へいあん初期しょきにまでのこったにもかかわらず、ひらがなにその使つかけが存在そんざいしなかった[ちゅう 10]ことなどを傍証ぼうしょうとしてげている。

論争ろんそう

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この時期じきおなじくしたあたらしいろんたいしては多数たすう論争ろんそう展開てんかいされ、1970ねん(1975ねん?)12月から翌年よくねん1がつにかけては、『毎日新聞まいにちしんぶん』といった一般いっぱんのメディアにおいてもこのせつめぐって4かいにわたって議論ぎろんひろげられたが、とくはげしい論争ろんそうひろげられたのは、専門せんもん月刊げっかん言語げんご』(だいおさむかん誌上しじょうである。1976ねんの6ごう特集とくしゅう母音ぼいん調和ちょうわさぐる」にはろく母音ぼいんせつ主張しゅちょうする服部はっとり四郎しろうの「上代じょうだい日本語にほんご母音ぼいん体系たいけい母音ぼいん調和ちょうわ[42]松本まつもとの「日本語にほんご母音ぼいん組織そしき[43]ならんで掲載けいさいされ、たがいのせつ批判ひはんうという体裁ていさいられた。さらに8がつごうでは大野おおのすすむが「上代じょうだい日本語にほんご母音ぼいん体系たいけい[44]両論りょうろん紹介しょうかいし、持論じろん展開てんかいしたほか、11月ごうでは松本まつもとが「万葉仮名まんようがなのオれつ甲乙こうおつについて」[45]で、12月には服部はっとりが「上代じょうだい日本語にほんご母音ぼいん音素おんそむっつであってやっつではない」[46]たがいにさい反論はんろんした。

研究けんきゅう年表ねんぴょう

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主要しゅようさい構音をしめすことで、研究けんきゅうがどのようにおこなわれてきたのかを簡単かんたんしめす。ここにしめしたものは単純たんじゅん対照たいしょうひょう要約ようやくであり、これらがなぜ、どんな根拠こんきょからさい構されたのかや、これらの音韻おんいんろんてき位置いち詳細しょうさいについてはそれぞれの研究けんきゅうしゃかんする記述きじゅつ参照さんしょう

主要しゅようさい構音[24]
論文ろんぶん だん だん だん
かぶとるい おつるい かぶとるい おつるい かぶとるい おつるい
永田ながた(1932) *i *y *e *o
橋本はしもと(1933) *i *ïi *e *ɔi *o
ヨシタケ(1934)[25] *i *e *o
安田やすだ(1934)[26][27] *i *ui *e *ue *uo *o
菊沢きくざわ(1935)[5] *i *wi *e *we *wo *o
橋本はしもと(1938)[21] *i *ïi *e *əi/*əe *o
服部はっとり(1948)[47] *i *ïi *e *ai *o
藤堂とうどう(1948) *i *ə/*ʌ *ʌ/*ə *o *ə/*å/*ɔ
橋本はしもと(1950)[48] *i *ïi *e *əi/*æ *o
有坂ありさか(1955)[49] *i *ïi *e *ə̯e/*əi *o
服部はっとり(1958, 1976)[34][50] *ji *i *je *e *o
ミラー(1967)[51] *i *e *o
ラムゼイ & アンガー(1972)[52] *i *wi *je *e *wo, *ow *o
ランゲ(1973)[53][ちゅう 11] *ji *i *je *e *wo *o
松本まつもと(1975)[39] *i *je *e *o [o] *o [ɔ]
もり(1975)[41] *i *ui *e *ai *o *oi
服部はっとり(1976)[30] *ji *i *je *e *o
アンガー(1977, 1993)[54] *i *wi *je *e *wo *o
服部はっとり(1978–79)[31] *i *∘i [ɨi] *e *∘e [əe] *o
藤堂とうどう(1980)[55] *i *e *o
大野おおの(1982)[29] *i *e *o
馬渕まぶち(1983)[56] *i *i̯ə *i̯e *uo *o
プリーブランク(1984)[57] *ji *i *je *e *o
ホイットマン(1985)[58] *i *uj *je *ej *wo *o
キヨセ(1991)[59] *i *e *u *o
もり(1991)[6] *i *ɨ [ɪ] *e *əj [əe̯] *o
ミヤケ(1995)[60] *(j)i *(j)e *(w)o
ミヤケ(2003)[3] *i *ɨ < *ɨj *e *əj *o
フレレスヴィッグ&ホイットマン(2008)[61] *i *wi *je *e *wo *o
早田そうだ(2009)[よう出典しゅってん] *i [Cʲi] *ui/*əi [Ci] *e [Cʲe] *ai [Ce] *o *ɵ < *ə
笠間かさま(2015)[62] *i *e *o
特筆とくひつ事項じこう
  • 金田一きんだいち(1938) でははじめてトレマ使つかっておつるいあらわすことがされた[8]
  • 1950年代ねんだい前後ぜんごに、おおむねオだんおつるいちゅうしたさい構されるようになり、唇音しんおんせい有無うむによる対立たいりつさい構も姿すがたはじめる。また、藤堂とうどうなどのなか古音こおん本格ほんかくてき利用りようした研究けんきゅうあらわれる。
  • 1970年代ねんだい前後ぜんこうには、日本にっぽんでは松本まつもとがオだん甲乙こうおつ存否そんぴはじめた。

おも論点ろんてん

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ちゅう古音こおんもちいた推定すいてい

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大野おおのすすむもりひろしたちちゅう古音こおん利用りようして上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいおと推定すいていしたことにかんしてはすでにべたが、万葉仮名まんようがな中国ちゅうごくちゅう古音こおん使つかったおと研究けんきゅう藤堂とうどうあきらなどによってもおこなわれている。

ローランド・A・ランゲは、『万葉集まんようしゅう』の一部いちぶ万葉仮名まんようがな使つかわれている漢字かんじ中国ちゅうごくちゅう古音こおんによって検討けんとうし、かぶとるいおつるい区別くべつはわたりおん有無うむによるものと結論けつろんづけた。すなわちイだんかぶと i:おつ wi、エだんかぶと ye:おつ e、オだんかぶと wo:おつ o とした[よう検証けんしょう][53]

2003ねんにはマーク・ミヤケちゅう古音こおんさい構によって、にち琉祖からの変化へんか自然しぜんになるように上代じょうだい日本語にほんご音韻おんいん体系たいけいさい構した。これによるとイれつおつるいももとは重母音じゅうぼいんであったが、上代じょうだい日本語にほんごのころにはたん母音ぼいんになっていたとされる。

だん甲乙こうおつ存否そんぴ

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5母音ぼいんせつ提唱ていしょうした松本まつもと克己かつみは、オだん甲乙こうおつ条件じょうけんおとであると主張しゅちょうした[39]もり重敏しげとし最終さいしゅうてき日本語にほんご母音ぼいん体系たいけいは5母音ぼいんであったとし、条件じょうけんおとであるとしている[41]。(詳細しょうさい#定説ていせつへの反論はんろん参照さんしょう。)

一方いっぽうで、松本まつもと森重もりしげおとせつには実際じっさいにはかなりの例外れいがいがあり、とくにたん音節おんせつではオだん甲乙こうおつによる最小さいしょうたいられることが問題もんだいになっていた。松本まつもとはこれらも音韻おんいんてき対立たいりつではなく、かたり自立じりつせいたかさによってかぶとるいおつるいかのいずれかがあらわれる、あるいは散発さんぱつてき音韻おんいん変化へんか想定そうていされるなどとしているが、説明せつめいできないれい存在そんざいすることも指摘してきされている[63]いくつかのれいげると下図したずのようになる。(過去かこ指摘してきされているもののうち、院政いんせいアクセントもふくめて最小さいしょうたいをなしているものはとく太字ふとじしめした。)

上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい最小さいしょうたいれい[ちゅう 12]
かぶとるい アクセント (院政いんせい) おつるい アクセント (院政いんせい)
ko1si HL連用形れんようけい

HH転成てんせい名詞めいし

そう ko2si

こし ko2si

HL

HH

[64]to1ru LF to2ru LF
ko1 H ko2

ko2

H

R

こいko1pu LF 乞ふ ko2pu LF
よる yo1ru LH yo2ru LF
( po1r-) L ( po2) LL
よる yo1 LL yo2 HH

衰退すいたいとその要因よういん

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唇音しんおんのオだん甲乙こうおつはやくからうしなわれ、つづいて8世紀せいき後半こうはんになるとト甲乙こうおつつづいてソ甲乙こうおつというふうにオだん(コをのぞく)から区別くべつうしなわれはじめた。このようななかあいだてき状態じょうたいふつあしせき宣命せんみょうせいくらいん万葉仮名まんようがな文書ぶんしょ・および木簡もっかん資料しりょうなどにられ、この時期じきざいしょうされたオだん甲乙こうおつにはれがしょうじる。平安へいあん時代じだいになるとほとんどの区別くべつ消滅しょうめつしたが、コの区別くべつは9世紀せいき前半ぜんはんまで、エの区別くべつは10世紀せいき前半ぜんはんまでのこった。

だん甲乙こうおつ衰退すいたい

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甲乙こうおつ

すくなくとも『古事記こじき』では上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいがモについても区別くべつされているとするのは有坂ありさか秀世ひでよ池上いけがみ禎造ていぞう以来いらい定説ていせつである。この区別くべつはのちの時代じだいにはうしなわれた。

甲乙こうおつ

甲乙こうおつすくなくとも『古事記こじき』に存在そんざいし、のちに衰退すいたいしたとしばしば主張しゅちょうされる甲乙こうおつ(ホ・オ・チ・シ)のうち、その使つかけの広範こうはんさとあたえられる内的ないてき支持しじからもっと有力ゆうりょくなものである。

これを最初さいしょ指摘してきしたのは国学こくがくしゃ石塚いしづか龍麿たつまろである[65]昭和しょうわ初期しょきはいると永田ながた吉太郎よしたろうが『国語こくご国文学こくぶんがく』において、この証明しょうめいこころみである論文ろんぶんいくつか発表はっぴょうした[66][67][68][69]戦後せんご、1957ねんには馬渕まぶち和夫かずお[70]1962ねんには大野おおのとおる[71]、1965ねんには福田ふくだ良輔りょうすけ発表はっぴょう[72]、めいめいの視点してんから存在そんざい主張しゅちょうした。しかし、馬渕まぶちろんたいして森山もりやまたかし1971ねん反論はんろんしたほかは[73]、しばらくのあいだこの議論ぎろん進展しんてんはなかった。

20世紀せいきわりになると、ジョン・ベントリーが「Mo and Po in Old Japanese」(ハワイ大学はわいだいがくマノアこう修士しゅうし論文ろんぶん1997ねん出版しゅっぱん)で日本書紀にほんしょきβべーたぐんにおいてもモ甲乙こうおつとホ甲乙こうおつ区別くべつされていることを指摘してきした。Miyakeもこれを支持しじ[74]近年きんねんではアレクサンダー・ヴォヴィンもこれをみとめている[75]国内こくないでもアメリカでのながれとは独立どくりつに、2015ねん犬飼いぬかいたかしがこれを支持しじする研究けんきゅう成果せいかなりしょ発表はっぴょうした[76]

衰退すいたい要因よういん

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上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい対立たいりつ徐々じょじょえていったが、言語げんご変化へんか要因よういん一般いっぱんえること[77]から過去かこ研究けんきゅうしゃ言及げんきゅうされたものとして、以下いか理由りゆうげられる。

にち琉祖との関係かんけい

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このふしでは上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいがどう成立せいりつしたかについて、にち琉祖との関係かんけい中心ちゅうしん現在げんざい定説ていせつ解説かいせつする。そのためにまず、ふる時代じだい記録きろくされていない言語げんごをどうやってるかという歴史れきし言語げんごがく方法ほうほうろんさい)について理解りかいする必要ひつようがある。

一般いっぱんにある言語げんごについて、おなじであったりちか意味いみっていたりするとかんがえられるのに微妙びみょう語形ごけいのことなることば(形態けいたい)を比較ひかくすることで、よりふる状態じょうたいともたい)がどのようなものであったかを理論りろんてき予想よそうすることができる、というかんがかた内的ないてきさいである。抽象ちゅうしょうてきなことをってもかりづらいため、さまざまな先行せんこう研究けんきゅう上代じょうだい日本語にほんごよりもふるともたいについて理解りかいしようとして上代じょうだい日本語にほんご内的ないてきさい構をおこなってきたうち、もっと典型てんけいてきれいいくつかげる[78]

以下いか、「X < Y」は「XはYに由来ゆらいする」という意味いみである。

  • sake1riさきけり」< *saki-ariき-あり」
  • nage2k-なげく」< *naNka-ik-ちょう-なまく(ながいきく)」
  • kazo1pe2-かぞえる」< *kaNsu-apai-かず-える」
  • tudo1p-つどう」< *tuNtu-apai-つぶ-う」
  • sito1ri ⁓ situri倭文しず」< *situ-əri「しつ-り」
  • utusemi1 ⁓ utuso2mi1現身うつせみ」< *utusi-əmiあらわし-しん
  • pe1ki1日置ひおき」< *pi-əkiにち-き」
  • waki2ratuko1うさぎどうやや郎子いらつこ」< *waku-iratuko1わか-郎子いらつこ
  • take2ti高市皇子たけちのおうじ」< *taka-itiこう-
  • to2neri舍人とねり」< *tənə-iri殿しんがり-はいり」

この分析ぶんせき内的ないてきさいとおして示唆しさされる音韻おんいん変化へんかみとめると、「イ・エだんおつるいとエ・オだんかぶとるい語幹ごかん形態素けいたいそ末尾まつび集中しゅうちゅうしてられる」という事実じじつは、「形態素けいたいそ境界きょうかいせっしていた母音ぼいんうえれいこっているように融合ゆうごう (音声おんせいがく)英語えいごばんしたからだ」とかんがえることができるようになる。母音ぼいん融合ゆうごうというのは、たとえば伝統でんとうてき東日本ひがしにっぽん方言ほうげんで「い」を「ネー」とうような現象げんしょうである[ちゅう 15]。したがってこれを敷衍ふえんすることで、たとえば「さけ(さけおつ)」は、ふる時代じだいには「サカィ (*sakai)」のように発音はつおんされていたものが、「ナイ → ネ」に類似るいじする母音ぼいん融合ゆうごうによって「サケおつ」というかたちうつしうつかたち英語えいご: reflex)をえたのではないか、といったことがかんがえられるようになり、さらには「酒屋さかや(さかや)」などにられる「さか-」というかたち被覆ひふくがた[ちゅう 16])がこれを支持しじするとえる。

また、にち琉語はふるるい音素おんそ英語えいごばん厳密げんみつないいかたをしないと、ここにあるような音韻おんいん対応たいおうひょういちれついちれつのこと)を構築こうちくするための資料しりょう[ちゅう 17]があり、これも過去かこ言語げんごについて手助てだすけとなる。うえれいのように母音ぼいん融合ゆうごうかんする内的ないてきさいいちおもいに敷衍ふえんしてイ・エだんおつるいとエ・オだんかぶとるい説明せつめいするだけだと、ともたいとともに構築こうちくするふるるい音素おんそのすりあわせでいろいろの撞着どうちゃくしょうずることがかっている。このちがいを研究けんきゅうすることも歴史れきし言語げんごがく対象たいしょうで、比較ひかくさい外的がいてきさい構)とよばれる。現在げんざいでは琉球りゅうきゅう諸語しょご上代じょうだい東国とうごく諸語しょごとの比較ひかくさい構の結果けっか、すくなくともエ・オだんかぶとるい相当そうとうするるい音素おんそ最初さいしょからあったもの(にち琉祖*e, *o[79])もふくまれているとかんがえられている。たとえば「婿むこ(もきのえきのえ)」の「もきのえ」はにち琉祖*ua(cf. かぞえる)/*uə(cf. 倭文しず)などではなく、*mo… のままであった。(にち琉祖*e/*o詳細しょうさい下表かひょうおよ記事きじにち琉祖」を参照さんしょう

以上いじょうおおむねの要約ようやくをすると、上代じょうだい日本語にほんごのイだん・エだん・オだんのそれぞれかぶとるい一部いちぶと、オだんおつるいのほとんどすべて以外いがい上代じょうだい日本語にほんご以前いぜん母音ぼいん連続れんぞくにおおむね起源きげんしているといえる。なお、これは現在げんざい定説ていせつとなっている。

如上じょじょう事実じじつは、上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいおと推定すいていする材料ざいりょうになる。つまり、一般いっぱん歴史れきし比較ひかく言語げんごがく想定そうていする音韻おんいん変化へんか上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい成立せいりつ音韻おんいん変化へんかのひとつである)は

といった、さまざまな自然しぜん言語げんごとして存在そんざいするための条件じょうけんをくぐりぬけたものでなければならないので、おのずと想定そうていしうる上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい姿すがたせばまる。さらにそのうえ、その前後ぜんご音韻おんいん変化へんかもっともスムーズかつ合理ごうりてき説明せつめいできるものでなければならないという条件じょうけんもあるので、想定そうていされうる状態じょうたいはさらにまたせばまる。このように、上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいおと推定すいていてずっぽうではなく、合理ごうりてき手法しゅほうによっている。ただし、せばまるといっても完全かんぜんさだめられるほどせまくなっているわけではないので、上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいの「具体ぐたいてきな」おと現状げんじょう定説ていせつべるものはない。

これまでのふし上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいがどんな現象げんしょうで、どんな発音はつおんをされ、どんな音韻おんいんろんてき位置いちにあったのかということにかんする研究けんきゅう論争ろんそう歴史れきしについて概説がいせつしてきたが、その研究けんきゅう反映はんえいされている上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいのできるまえ姿すがたっていた共通きょうつう素性すじょうをまとめると、下表かひょうのようになる。

下表かひょう上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいおおむねのできかた
おおむねの特徴とくちょう にち琉祖 上代じょうだい日本語にほんご
ぜん母音ぼいん *i/*e (かたりちゅう) だんかぶとるい
下降かこう重母音じゅうぼいん *ui/*oi/*əi (=*ɨi) だんおつるい
せまぜん母音ぼいん *e/*ia/*iə だんかぶとるい
下降かこう重母音じゅうぼいん *ai/*əi (*ɨi) だんおつるい
こう母音ぼいん *ua/*uə/*o だんかぶとるい
ちゅう母音ぼいん (, ) だんおつるい

なお、括弧かっこないしめしているのはにち琉祖かんして7母音ぼいんせつをとった場合ばあいの「音素おんそ」である。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ エにも2種類しゅるいけがられるが、こちらはゆきとヤぎょう区別くべつであり、上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかいにはふくめないのが一般いっぱんてきになっている[2]
  2. ^ 甲乙こうおつけを音韻おんいんちがいの反映はんえいるのは、「オッカムの剃刀かみそり」にしたがっている。その説明せつめいはよりおおくの前提ぜんてい必要ひつようとする。
  3. ^ 「モ」をくわえれば88おと、「ホ」[3]くわえれば89おと
  4. ^ 「コ」では区別くべつがそののこった。
  5. ^ 大野おおの自身じしん表現ひょうげんでは「ポリネシア
  6. ^ タイトルはソシュールMémoire sur le système primitive des voyelles dans les langues indo-européennes のもじり。
  7. ^ のちにイだんについてもかぶと/Cji/おつ/Ci/ とする5母音ぼいんせつとなえている。
  8. ^ 発表はっぴょうは9がつであるが、これが執筆しっぴつされたのは同年どうねん2がつであり、「定説ていせつ」であった8母音ぼいんせつたいする反論はんろんがほぼおな時期じき執筆しっぴつされたことになる。
  9. ^ 「ハナィ」「ハィナ」「ハィナィ」が「ハネ」「ヘ(おつ)ナ」「ヘ(おつ)ネ」として定着ていちゃくしなかった原因げんいん不明ふめい
  10. ^ ヘボンしきマ字まじ sh, ch, ts, fあらわ[ɕ][tɕ][ts][ɸ] は、/s/, /t/, /t/, /h/条件じょうけんおとで、あらわれるおと環境かんきょう明確めいかくである(/s/: [s][ɕ]/t/: [t][tɕ][ts]/h/: [h]~[ç][ɸ] はそれぞれ相補そうほ分布ぶんぷ)。他方たほう、「コ」のかぶとるいおつるいあらわれるおと環境かんきょうちがいはあきらかでない。
  11. ^ ただし軟口蓋なんこうがい子音しいんについては、ケきのえ, ゲきのえ *[ke, ge]、ケおつ, ゲおつ *[kje, gje]
  12. ^ 前述ぜんじゅつ早田そうだあきらよう (1998)笠間かさま裕一郎ゆういちろう (2015)木田きだ章義あきよし (2012)などによる。院政いんせいアクセントはMartin (1987)参照さんしょうした。
  13. ^ たとえば大野おおのすすむなどがべている
  14. ^ たとえば松本まつもと克己かつみなどがべている
  15. ^ 高市皇子たけちのおうじ」の成立せいりつこっているのはしくもこれとあまりわらない音韻おんいん変化へんかである。
  16. ^ サケのほう露出ろしゅつがたばれる。
  17. ^ たとえば琉球りゅうきゅう諸語しょごからさい構される琉球りゅうきゅう祖語そごなどが、その顕著けんちょれいである。

出典しゅってん

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  77. ^ これはたとえばエウジェニオ・コセリウ (2014)などを参照さんしょう
  78. ^ Martin (1987)かくかたり大野おおのすすむ (1977)参照さんしょう
  79. ^ Pellard (2013); Pellard (2008) などを参照さんしょう

参考さんこう文献ぶんけん

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図書としょ
論文ろんぶん
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  • 馬渕まぶち和夫かずお音韻おんいんをどうとらえるか」『日本語にほんごがくだい2かんだい11ごう明治めいじ書院しょいん、1983ねん11月、4-11ぺーじ 
  • 大野おおのすすむ上代じょうだい日本語にほんご母音ぼいん体系たいけいについて」『言語げんごだい5かんだい8ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1976ねん8がつ 
  • 大野おおのすすむ音韻おんいん変遷へんせん (1)」『岩波いわなみ講座こうざ日本語にほんご5:音韻おんいん岩波書店いわなみしょてん、1977ねん8がつISBN 9784000100656 
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  • 木田きだ章義あきよし上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい母音ぼいん調和ちょうわ」『國語こくご國文こくぶんだい81かんだい11ごう中央ちゅうおう図書としょ出版しゅっぱんしゃ、2012ねん11月、36-56ぺーじ 
  • 永田ながた吉太郎よしたろう古事記こじきけるシ・オ・ホの文字もじについて」『国語こくご国文学こくぶんがくだい11かんだい11ごう、1934ねん11月。 
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  • 永田ながた吉太郎よしたろう上代じょうだい国語こくごけるオれつおん本質ほんしつ(した)」『国語こくご国文学こくぶんがくだい12かんだい2ごう、1935ねん2がつ 
  • 永田ながた吉太郎よしたろう古事記こじきのホの仮名かめいかんする雑考ざっこう」『国語こくご国文学こくぶんがくだい12かんだい6ごう、1935ねん6がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう ちょ琉球りゅうきゅう方言ほうげん本土ほんど方言ほうげん」、伊波いは普猷ふゆう生誕せいたんひゃくねん記念きねんかい へん沖縄おきなわがく黎明れいめい沖縄おきなわ文化ぶんか協会きょうかい、1976ねん4がつNCID BN00575074全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:73015299 
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  • 服部はっとり四郎しろう上代じょうだい日本語にほんごのいわゆる〝はち母音ぼいん〟について」『日本學士院にほんがくしいん紀要きようだい34かんだい1ごう、1976ねん、1-16ぺーじ 
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  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて1」『言語げんごだい7かんだい1ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん1がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて2」『言語げんごだい7かんだい2ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん2がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて3」『言語げんごだい7かんだい3ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん3がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて4」『言語げんごだい7かんだい6ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん6がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて5」『言語げんごだい7かんだい7ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん7がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて6」『言語げんごだい7かんだい8ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん8がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて7」『言語げんごだい7かんだい9ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん9がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて8」『言語げんごだい7かんだい10ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん10がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて9」『言語げんごだい7かんだい11ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん11月。 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて10」『言語げんごだい7かんだい12ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1978ねん12月。 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて11」『言語げんごだい8かんだい1ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1979ねん1がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて12」『言語げんごだい8かんだい2ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1979ねん2がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて13」『言語げんごだい8かんだい3ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1979ねん3がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて14」『言語げんごだい8かんだい4ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1979ねん4がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて15」『言語げんごだい8かんだい5ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1979ねん5がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて16」『言語げんごだい8かんだい6ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1979ねん6がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて17」『言語げんごだい8かんだい7ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1979ねん7がつ 
  • 服部はっとり四郎しろう日本にっぽん祖語そごについて18」『言語げんごだい8かんだい8ごう大修館書店たいしゅうかんしょてん、1979ねん8がつ 
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その
  • 安田やすだ尚道なおみち上代じょうだい特殊とくしゅ仮名遣かなづかい」『日本語にほんごがく研究けんきゅう事典じてん明治めいじ書院しょいん、2007ねんISBN 9784625603068 
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欧文おうぶん

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関連かんれん項目こうもく

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