男女だんじょノ川登かわのぼり三さん

男女だんじょノ川かわ 登とう三さん
男女だんじょノ川登かわのぼり三さんの版画はんが
基礎きそ情報じょうほう
四股しこ名めい	男女だんじょノ川かわ 登とう三さん
本名ほんみょう	坂田さかた 供きょう次郎じろう
愛称あいしょう	動うごく仁王におう様さま 昭和しょうわの雷電らいでん 角界かくかい四天王してんのう 五大ごだい力士りきし 三鷹みたかの三さん奇人きじん
生年月日せいねんがっぴ	1903年ねん9月がつ17日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(1971-01-20) 1971年ねん1月がつ20日はつか（67歳さい没ぼつ）
出身しゅっしん	茨城いばらき県けん筑波つくば郡ぐん菅間すがま村むら磯部いそべ （現げん・茨城いばらき県けんつくば市し磯部いそべ）
身長しんちょう	193cm
体重たいじゅう	154kg
BMI	41.34
所属しょぞく部屋へや	高砂たかさご部屋へや→佐渡さどヶ嶽だけ部屋へや→高砂たかさご部屋へや→佐渡さどヶ嶽だけ部屋へや
得意とくい技わざ	左ひだり四よっつ、割わり出だし、小手こて投なげ
成績せいせき
現在げんざいの番付ばんづけ	引退いんたい
最高さいこう位い	第だい34代だい横綱よこづな
生涯しょうがい戦歴せんれき	294勝しょう155敗はい1分ふん34休きゅう（45場所ばしょ）
幕内まくうち戦歴せんれき	247勝しょう136敗はい1分ふん33休きゅう（35場所ばしょ）
優勝ゆうしょう	幕内まくうち最高さいこう優勝ゆうしょう2回かい 三さん段だん目め優勝ゆうしょう1回かい
データ
初はつ土俵どひょう	1924年ねん1月がつ場所ばしょ
入幕にゅうまく	1928年ねん1月がつ場所ばしょ
引退いんたい	1942年ねん1月がつ場所ばしょ
引退いんたい後ご	私立しりつ探偵たんてい業ぎょう 土建どけん業ぎょう 金融きんゆう業ぎょう 保険ほけん外交がいこう員いん
他たの活動かつどう	衆議院しゅうぎいん議員ぎいん選せん出馬しゅつば 市会しかい議員ぎいん選せん出馬しゅつば
備考びこう
金星かなぼし2個こ（常つねノ花はな寛ひろし市し・玉たま錦にしき三右衛門さんえもん）
2013年ねん8月がつ4日にち現在げんざい ■テンプレート  ■プロジェクト 相撲すもう

男女だんじょノ川かわ 登とう三さん（みなのがわ とうぞう、1903年ねん9月17日にち - 1971年ねん1月がつ20日はつか）は、茨城いばらき県けん筑波つくば郡ぐん菅間すがま村むら（現在げんざいのつくば市し磯部いそべ）出身しゅっしんで佐渡さどヶ嶽だけ部屋へや（入門にゅうもん時じは高砂たかさご部屋へや）に所属しょぞくした大相撲おおずもう力士りきし。第だい34代だい横綱よこづな。本名ほんみょうは坂田さかた 供きょう次郎じろう（さかた ともじろう（きょうじろう））。

来歴らいれき

誕生たんじょう～初はつ土俵どひょう、入幕にゅうまく

1903年ねん9月17日にちに茨城いばらき県けん筑波つくば郡ぐん菅間すがま村むら（現在げんざいのつくば市し磯部いそべ）で農家のうかを営いとなむ一家いっかに三男さんなんとして生うまれる。元々もともとは屋根やねの修理しゅうり屋やで働はたらいていたが、ある時とき修理しゅうり中ちゅうの屋根やねを踏ふみ抜ぬいてしまい、その力ちからの強つよさに驚おどろいた周囲しゅういの勧すすめで地元じもとの相撲すもう大会たいかいに出場しゅつじょうするといきなり優勝ゆうしょうしてしまった。そのまま筑波つくば郡ぐん大会たいかい・茨城いばらき県けん大会たいかいでも優勝ゆうしょうし、自信じしんを持もって力士りきしを志こころざすようになった。そんなある日ひ、偶然ぐうぜん茨城いばらき県けんへ巡業じゅんぎょうに来きていた阿久あく津川つがわ高こう一郎いちろうを訪たずねて入門にゅうもんを志願しがんするものの、最初さいしょは厳きびしい稽古けいこの話はなしに終始しゅうししたため諦あきらめて戻もどるが、力士りきしを目指めざす気持きもちが全まったく揺ゆるがなかったために4度ど訪問ほうもんして、ようやく入門にゅうもんを許可きょかされた。

当初とうしょは富士ふじヶ根ね部屋へやに入門にゅうもんする予定よていだったが、1923年ねん9月がつ1日にちの関東大震災かんとうだいしんさいによって部屋へやが焼失しょうしつしたため、同おなじ一門いちもんの本家ほんけである高砂たかさご部屋へやに入門にゅうもんした。四股しこ名めいは出身しゅっしん地ちである茨城いばらき県けん筑波つくば郡ぐんと、百人一首ひゃくにんいっしゅでもお馴染なじみである「つくばねの みねよりおつる みなのがわ‥」から男女だんじょノ川かわ 供きょう次郎じろうとした。

1924年ねん1月がつ場所ばしょで初はつ土俵どひょうを踏ふむと、負まけ越こし知しらずで1927年ねん1月がつ場所ばしょには新しん十じゅう両りょう昇進しょうしん、1928年ねん1月がつ場所ばしょで新しん入幕にゅうまくを果はたした。1929年ねん5月場所ばしょには「朝あさ潮しお 供きょう次郎じろう」と改名かいめいした。当時とうじ、朝あさ潮しおと同おなじく体格たいかくの良よい出羽でわヶ嶽だけ文治郎ぶんじろうや、ともに「将来しょうらいの大関おおぜき・横綱よこづな」として並ならび称しょうされた武藏むさし山武さんぶとの取とり組くみは非常ひじょうに人気にんきがあり、このためだけに両国りょうこく国技こくぎ館かんが18年ねんぶりに満員まんいん札止ふだどめになったこともあった（1930年ねん1月がつ場所ばしょ千秋楽せんしゅうらく）。さらに、武藏むさし山武さんぶとの取とり組くみは松内まつうち則のり三さんによって実況じっきょう中継ちゅうけいされ、大変たいへんな人気にんきとなった。

春秋しゅんじゅう園えん事件じけん～横綱よこづなへ

優勝ゆうしょう同点どうてんも数すう回かい記録きろくする順調じゅんちょうな出世しゅっせだったが、大関おおぜきを目前もくぜんとした1931年ねん5月場所ばしょの直前ちょくぜんに右みぎ膝ひざ関節かんせつ炎えんを患わずらい、無念むねんの休場きゅうじょうとなる。1932年ねん1月がつ6日にちには天竜てんりゅう三郎さぶろうを首謀しゅぼうとした春秋しゅんじゅう園えん事件じけんが勃発ぼっぱつし、朝あさ潮しおも日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいを一時いちじ脱退だったいした。協会きょうかいを脱退だったいしたことに激怒げきどした高砂たかさごは「朝あさ潮しお」の名なを剥奪はくだつして四股しこ名めいは男女だんじょノ川かわに戻もどされ、所属しょぞく部屋へやも佐渡さどヶ嶽だけ部屋へやへ転属てんぞくとなった。この頃ころ、「落おちてはいけない、登のぼれ」と言いわれたことで、下したの名前なまえは供きょう次じ郎ろうから「登とう三さん」と改あらためた。

男女だんじょノ川かわは1933年ねん1月がつ場所ばしょに幕内まくうち格かくで帰参きさんするが、この時ときの番付ばんづけは別べつ番付ばんづけ、いわゆる「別席べっせき」で地位ちいが明記めいきされていなかったため、「無冠むかんの帝王ていおう」と言いわれたが、この場所ばしょを11戦せん全勝ぜんしょうで優勝ゆうしょうする。この好成績こうせいせきが認みとめられて翌よく場所ばしょに小結こむすびへ昇進しょうしんすると、1934年ねん1月がつ場所ばしょには関脇せきわけで9勝しょう2敗はいの好成績こうせいせきによって2度目どめの優勝ゆうしょう、大関おおぜきに昇進しょうしんした。

新しん大関おおぜきで迎むかえた1934年ねん5月場所ばしょは5勝しょう6敗はいと負まけ越こしたもののそれ以降いこうは好成績こうせいせきを挙あげ、 1936年ねん春場所はるばしょで双葉ふたば山さん、玉たま錦にしきから黒星くろぼしを喫きっするが、同年どうねん1月がつ21日にちに行おこなわれた番付ばんづけ編成へんせい会議かいぎでは満場一致まんじょういっちで横綱よこづなに推挙すいきょされ、5月場所ばしょで横綱よこづなに昇進しょうしんした。 同年どうねん11月がつ18日にちには吉田よしだ司つかさ家かで横綱よこづな授与じゅよ式しきが行おこなわれた。

しかしその後ごは春秋しゅんじゅう園えん事件じけん前まえに痛いためた関節かんせつ炎えんの影響えいきょうで強弱きょうじゃくの差さが激はげしく、横綱よこづな時代じだいは双そう葉山はやま定次さだじに全まったく歯はが立たたなかった。小手こて投なげを得意とくいとしたが、その割わりに体からだ全体ぜんたいで行おこなわず手先てさきだけで行おこなっていたため、軽かるく負まけてしまうこともあった。この有様ありさまに見みかねた太刀たち山さん峯みね右みぎエ門もんが助言じょげんしようとしていたが一切いっさい聞きく耳みみを持もたなかったことで、もしきちんと聞きいて修正しゅうせいしたら長ながく活躍かつやくできたと思おもわれる。

現役げんえき引退いんたい

1938年ねん5月場所ばしょ千秋楽せんしゅうらくでは武藏むさし山さんと対戦たいせんするが、両者りょうしゃとも横綱よこづなでありながら6勝しょう6敗はい同士どうしで勝かち越こしと負まけ越こしを掛かけた一番いちばんという対戦たいせんとなった。男女だんじょノ川かわはこれに敗やぶれて皆勤かいきん負まけ越こしという不名誉ふめいよな記録きろくを作つくってしまうが、この時ときのショックからか奇行きこうが目立めだつようになり、ダットサンを運転うんてんして場所ばしょ入いりしたり、戦局せんきょく悪化あっかによる燃料ねんりょう統制とうせいで運転うんてんできなくなると自転車じてんしゃで場所ばしょ入いりしたり、早稲田大学わせだだいがくの聴講生ちょうこうせいとなったりした。1941年ねん5月場所ばしょ2日にち目めには新しん入幕にゅうまくだった双そう見山みやま又五郎またごろうとの対戦たいせんで敗やぶれ、1942年ねん1月がつ場所ばしょを最後さいごに引退いんたいした。

男女だんじょノ川かわは帰参きさん後ご、「勝敗しょうはいなど無関係むかんけい、1番ばん強つよいのはワシだ」と周囲しゅういに言いっていた。流石さすがに双葉ふたば山さんが横綱よこづなに昇進しょうしんするとこのような発言はつげんは無なくなったが、今度こんどは逆ぎゃくに「双葉ふたばを強つよくしたのはワシだ」と言いうようになった。確たしかに男女だんじょノ川かわは若わかい頃ころの双葉ふたば山さんにとって重要じゅうような稽古けいこ相手あいてだったことは否いなめないが、少すくなくとも69連勝れんしょうを達成たっせいして戦前せんぜんを代表だいひょうする大だい横綱よこづなとなった双葉ふたば山さんに対たいして幕内まくうち最高さいこう優勝ゆうしょうが僅わずか2回かい、さらに皆勤かいきん負まけ越こしも記録きろくし、現役げんえき時代じだい末期まっきには東西とうざい制せい第だい2期きの取組とりくみ編成へんせいに助たすけられて平幕ひらまく2ケタ台だいの力士りきしとの対戦たいせんが組くまれたことでやっと2ケタ白星しろぼし（当時とうじ15日にち制せい）に漕こぎ着つけた男女だんじょノ川かわの発言はつげんは信憑しんぴょう性せいに欠かける。

廃業はいぎょう～晩年ばんねん

引退いんたい後ごは一いち代だい年寄としより制度せいどで年寄としより・男女だんじょノ川かわを襲名しゅうめいし、日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい理事りじに就任しゅうにんした。しかし自宅じたくの庭にわに開墾かいこんした農園のうえん経営けいえいに熱中ねっちゅうするあまり協会きょうかいに関心かんしんが無なくなっていき、理事りじ会かいにも出席しゅっせきをしない日ひが続つづいた結果けっか、理事りじを辞任じにんして協会きょうかい自体じたいも1945年ねん6月がつ場所ばしょを最後さいごに廃業はいぎょうした。廃業はいぎょう後ごは農園のうえん経営けいえいに集中しゅうちゅうする傍かたわら、中島なかじま飛行機ひこうき会社かいしゃの青年せいねん学校がっこうの教官きょうかんを務つとめ、日本にっぽん勤労きんろう大衆たいしゅう党とうから第だい22回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょ（東京とうきょう都と第だい2区く）に出馬しゅつばするも落選らくせん、その後ご行おこなわれた第だい24回かい衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総そう選挙せんきょにも出馬しゅつばして落選らくせんした。二に度どの落選らくせんで農園のうえんと貯金ちょきんの大半たいはんを失うしない、サラリーマンから保険ほけん外交がいこう員いん・土建どけん業ぎょう・金融きんゆう業ぎょう・私立しりつ探偵たんていも務つとめたが、私立しりつ探偵たんていといっても身長しんちょう193cmの巨体きょたいだったゆえに尾行びこうもままならず、即座そくざに廃業はいぎょうした。宮本みやもと徳蔵とくぞうは探偵たんてい業ぎょうに就ついた男女だんじょノ川かわについて「彼かれの深層しんそう意識いしきには人目ひとめに立たたない、ちっぽけな人間にんげんに変身へんしんしたいとの願望がんぼうが棲すみついていたに違ちがいない」と分析ぶんせきしている。1953年ねん時点じてんでは西村にしむら金融きんゆう緑町みどりちょう支店してんに勤務きんむしていたが倒産とうさんするなど仕事しごとが長続ながつづきせず、間まもなく妻子さいしに捨すてられ、一人暮ひとりぐらしを始はじめた。母親ははおやの死後しごは風来坊ふうらいぼうのような生活せいかつを行おこない、一時期いちじき演技えんぎの素人しろうとながら悪漢あっかん面めんを買かわれてアクション映画えいがに出演しゅつえんしていたという。

千代田生命保険第二支社支社長補となった矢先やさきに脳卒中のうそっちゅうで倒たおれた。すぐに発見はっけんされて一命いちめいを取とり留とめたものの杖つえ無なしでは歩あるくこともままならないほど衰弱すいじゃくしたため、東京とうきょう・保谷ほやの養老ようろう院いん尚なお和わ園えんに入所にゅうしょした。しかし、男女だんじょノ川かわが養老ようろう院いんへ入所にゅうしょしたことだけで新聞しんぶんダネになるなど不遇ふぐうな晩年ばんねんを過すごすことになり、雑誌ざっしのインタビューでは記者きしゃに「酒さけを飲のむ金かねも無なくてね…」と弱音よわねを吐はいていたところ、その記者きしゃが一升瓶いっしょうびんを差さし出だすと満面まんめんの笑えみを見みせたほどである。あまりの境遇きょうぐうに、1965年ねんには現役げんえき時代じだいに対戦たいせん経験けいけんがある時津風ときつかぜや高砂たかさごの提案ていあんで日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいが募金ぼきんによって援助えんじょしたことさえあるが、その金かねも選挙せんきょに立候補りっこうほする資金しきんを作つくろうとして競艇きょうていで負まけ、手元てもとには1円えんも残のこらなかった。1968年ねん12月25日にちには時津風ときつかぜの相撲すもう協会きょうかい葬そうが蔵前くらまえ国技こくぎ館かんで行おこなわれて男女だんじょノ川かわも参列さんれつしたが、前述ぜんじゅつのように脳卒中のうそっちゅうで倒たおれて以降いこうは歩行ほこう時じに杖つえが欠かかさなくなったため、杖つえをついてフラフラに歩あるき、色褪いろあせたつぎはぎだらけの喪服もふくで参列さんれつした大おおきな男女だんじょノ川かわにその場ばに居合いあわせた者ものは哀あわれみを憶おぼえたという。1963年ねんには還暦かんれきを迎むかえたが、脳卒中のうそっちゅうで歩行ほこうすら困難こんなんな状況じょうきょうでもあったため還暦かんれき土俵入どひょういりは実現じつげんできず、還暦かんれき土俵入どひょういりで用もちいられる赤あかい綱つなを受うけ取とったかも不明ふめいである。

最さい晩年ばんねんは武蔵村山むさしむらやま市しの料亭りょうてい「村山むらやま砦とりで」に引ひき取とられ下足げそく番ばんをしていた。この料亭りょうていは相撲すもうファンの一人ひとりが経営けいえいしていた店みせで、歩あるくのもままならない元もと横綱よこづなのために一肌脱ひとはだぬいだものである。当初とうしょ、男女だんじょノ川かわは「このままの生活せいかつでいい」と断ことわったが熱心ねっしんな勧誘かんゆうに最後さいごは折おれ、店舗てんぽ近ちかくの社宅しゃたくに住すんで店みせの法被はっぴを着用ちゃくようし、終おわりの棲家として生活せいかつを送おくっていた。

男女だんじょノ川かわは1971年ねん1月がつ20日はつか、脳出血のうしゅっけつのため東京とうきょう都内とないの病院びょういんで死去しきょした。67歳さい没ぼつ。店みせの関係かんけい者しゃが男女だんじょノ川かわの自宅じたくを訪おとずれたところ、男女だんじょノ川かわが部屋へやの中なかで倒たおれていたという。引退いんたい後ごも相撲すもう協会きょうかいの理事りじ長ちょうとして大おおきな足跡あしあとをしるした双葉ふたば山さんに比くらべ、末路まつろは天てんと地ちほどの差さであった。男女だんじょノ川かわの葬儀そうぎは会葬かいそう者しゃが30人にん足たらずという寂さびしさであった。この日ひは、奇くしくものちに貴乃花たかのはな光司こうじと共ともに「若貴わかたか兄弟きょうだい」として爆発ばくはつ的てきな人気にんきを呼よび、自身じしんも横綱よこづなへと昇進しょうしんする若乃花わかのはな勝かち（現げん・花田はなた虎とら上じょう）が生うまれた日ひでもあった。男女だんじょノ川かわには当時とうじ33歳さいになる長男ちょうなんがいたが、墓所はかしょは不明ふめいである。

2020年ねん秋あき、佐倉さくら市し内うちに住すむ村山むらやま砦とりでの元もと従業じゅうぎょう員いん宅たくから男女だんじょノ川かわのスケッチブックやアルバム帳ちょうなど遺品いひん数すう点てんが発見はっけんされた。2022年ねんには、当時とうじ84歳さいになっていた男女だんじょノ川かわの一人ひとり息子むすこのインタビューが掲載けいさいされた。

エピソード

• ジャガイモが大だい好物こうぶつで、毎日まいにち一いち貫目かんめ（約やく3.75kg）を塩茹しおゆでにしておやつにしていた。その減へりには極きわめて敏感びんかんで箱はこ一いち杯はいの中なかから一いち個こだけ無なくなってもすぐに見抜みぬいたと言いわれ、付つき人びとをしていた東ひがし富士ふじ欽壹はよく「こらキン坊ぼう、一ひとつ食くっただろ!?」と怒おこられたという。
• 太刀たち山さん峯みね右みぎエ門もんの真似まねをして、稽古けいこ土俵どひょうの中なかに丸まるを描えがいて「この丸まるからワシを押おし出だしたら賞金しょうきんを出だすぞ」と言いって稽古けいこを付つけたが、簡単かんたんに押おし出だされたためにすぐに財布さいふが空そらになって中止ちゅうしした。男女だんじょノ川かわの稽古けいこ不足ふそくを見みかねたかつての大だい横綱よこづなが稽古けいこに気持きもちを集中しゅうちゅうさせるために考案こうあんした自みずからのやり方かたを伝つたえた物ものであるが、全まったくの逆ぎゃく効果こうかとなってしまった。
• 中根なかね駒こま十じゅう郎ろうや菊池きくち寛ひろしが後援こうえんしていた。
• 一いち代だい年寄としより制度せいどは男女だんじょノ川かわを引退いんたいさせるために師匠ししょうの佐渡さどヶ嶽だけ(元もと幕内まくうち・阿久津あくつ川がわ)が世話せわの一環いっかんとして作つくった制度せいどといわれる。また、男女だんじょノ川かわを理事りじに推薦すいせんしたのも佐渡さどヶ嶽だけであった。しかし男女だんじょノ川かわはそうした恩義おんぎを弁わきまえず、最終さいしゅう的てきに親方おやかたを廃業はいぎょうしている。
• 早稲田大学わせだだいがくには聴講生ちょうこうせいから専門せんもん部ぶに入はいり卒業そつぎょうしたが、その為ために神経痛しんけいつうと偽いつわり地方ちほう巡業じゅんぎょうを休やすんでいたという。
• 独特どくとくの顔立かおだちが特徴とくちょうで、長谷川はせがわ町子まちこの漫画まんが「サザエさん」で名前なまえが挙あがったこともある。また海軍かいぐん大将たいしょうの永野ながの修身しゅうしんは男女だんじょノ川かわに容貌ようぼうが似にていたことから「男女だんじょ川がわ」と渾名あだなされていた。
• 明治めいじ生うまれの元もと横綱よこづなとしては最後さいごの存命ぞんめい者しゃであった。

主おもな成績せいせき

通算つうさん成績せいせき

• 通算つうさん成績せいせき：294勝しょう155敗はい1分ふん33休きゅう 勝率しょうりつ.655
• 幕内まくうち成績せいせき：247勝しょう136敗はい1分ふん33休きゅう 勝率しょうりつ.645
• 横綱よこづな成績せいせき：87勝しょう55敗はい22休きゅう 勝率しょうりつ.613
• 現役げんえき在位ざいい：45場所ばしょ
• 幕内まくうち在位ざいい：35場所ばしょ（幕内まくうち格別かくべつ席せき1場所ばしょ、春秋しゅんじゅう園えん事件じけんの1場所ばしょ（1932年ねん1月がつ場所ばしょ）を含ふくまず）
• 横綱よこづな在位ざいい：12場所ばしょ
• 大関おおぜき在位ざいい：4場所ばしょ
• 三さん役やく在位ざいい：8場所ばしょ（関脇せきわけ5場所ばしょ、小結こむすび3場所ばしょ）
• 金星かなぼし：2個こ（常つねノ花はな寛ひろし市し・玉たま錦にしき三右衛門さんえもん）

各かく段だん優勝ゆうしょう

• 幕内まくうち最高さいこう優勝ゆうしょう：2回かい（全勝ぜんしょう1回かい）

優勝ゆうしょう同点どうてん：4回かい（1929年ねん3月がつ場所ばしょ・9月場所ばしょ、1930年ねん10月がつ場所ばしょ、1931年ねん1月がつ場所ばしょ）

• 三さん段だん目め優勝ゆうしょう：1回かい（1926年ねん1月がつ場所ばしょ）

場所ばしょ別べつ成績せいせき

男女だんじょノ川登かわのぼり三さん

	春場所はるばしょ	三さん月がつ場所ばしょ	夏場所なつばしょ	秋場所あきばしょ
1924年ねん （大正たいしょう13年ねん）	（前ぜん相撲すもう）	x	西にし序ノ口じょのくち16枚まい目め 4–2	x
1925年ねん （大正たいしょう14年ねん）	東ひがし序じょ二に段だん30枚まい目め 5–1	x	東ひがし三さん段だん目め48枚まい目め 5–1	x
1926年ねん （大正たいしょう15年ねん）	西にし三さん段だん目め12枚まい目め 優勝ゆうしょう 6–0	x	東ひがし幕下まくした10枚まい目め 4–2	x
1927年ねん （昭和しょうわ2年ねん）	東ひがし十じゅう両りょう8枚まい目め 5–1	東ひがし十じゅう両りょう8枚まい目め 4–5	東ひがし十じゅう両りょう筆頭ひっとう 5–5	東ひがし十じゅう両りょう6枚まい目め 9–2
1928年ねん （昭和しょうわ3年ねん）	西前にしまえ頭あたま14枚まい目め 6–5	東ひがし前頭まえがしら13枚まい目め 8–3	東ひがし前頭まえがしら10枚まい目め 7–4	東ひがし前頭まえがしら10枚まい目め 5–6
1929年ねん （昭和しょうわ4年ねん）	西前にしまえ頭あたま4枚まい目め 5–5 1分ふん	西前にしまえ頭あたま4枚まい目め 9–2	西前にしまえ頭あたま2枚まい目め 6–5	西前にしまえ頭あたま2枚まい目め 8–3 旗手きしゅ
1930年ねん （昭和しょうわ5年ねん）	西にし小結こむすび 8–3	西にし小結こむすび 6–5	西前にしまえ頭あたま筆頭ひっとう 6–5 ★	西前にしまえ頭あたま筆頭ひっとう 9–2 旗手きしゅ
1931年ねん （昭和しょうわ6年ねん）	東ひがし関脇せきわけ 9–2	東ひがし関脇せきわけ 8–3	西にし関脇せきわけ 0–0–11	西にし関脇せきわけ 1–10
1932年ねん （昭和しょうわ7年ねん）	東ひがし前頭まえがしら3枚まい目め – 脱退だったい	x	x	x
1933年ねん （昭和しょうわ8年ねん）	前頭まえがしら 11–0 ★	x	西にし小結こむすび 8–3	x
1934年ねん （昭和しょうわ9年ねん）	西にし関脇せきわけ 9–2	x	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 5–6	x
1935年ねん （昭和しょうわ10年ねん）	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–2	x	西にし大関おおぜき 8–3	x
1936年ねん （昭和しょうわ11年ねん）	東大とうだい関せき 9–2	x	東ひがし横綱よこづな大関おおぜき 6–5	x
1937年ねん （昭和しょうわ12年ねん）	西にし横綱よこづな 7–4	x	西にし横綱よこづな 0–0–13	x
1938年ねん （昭和しょうわ13年ねん）	東ひがし横綱よこづな大関おおぜき 7–6	x	東ひがし張ちょう出いずる横綱よこづな 6–7	x
1939年ねん （昭和しょうわ14年ねん）	東ひがし張ちょう出いずる横綱よこづな 11–2	x	西にし横綱よこづな 9–6	x
1940年ねん （昭和しょうわ15年ねん）	西にし横綱よこづな 10–5	x	西にし横綱よこづな 10–5	x
1941年ねん （昭和しょうわ16年ねん）	東ひがし横綱よこづな 10–5	x	東ひがし横綱よこづな 2–4–9	x
1942年ねん （昭和しょうわ17年ねん）	西にし横綱よこづな 引退いんたい 9–6–0	x	x	x
各かく欄らんの数字すうじは、「勝かち-負まけ-休場きゅうじょう」を示しめす。    優勝ゆうしょう 引退いんたい 休場きゅうじょう 十じゅう両りょう 幕下まくした 三さん賞しょう：敢=敢闘かんとう賞しょう、殊こと=殊勲賞しゅくんしょう、技わざ=技能ぎのう賞しょう     その他た：★=金星かなぼし 番付ばんづけ階級かいきゅう：幕内まくうち - 十じゅう両りょう - 幕下まくした - 三さん段だん目め - 序じょ二に段だん - 序ノ口じょのくち 幕内まくうち序列じょれつ：横綱よこづな - 大関おおぜき - 関脇せきわけ - 小結こむすび - 前頭まえがしら（「#数字すうじ」は各位かくい内ないの序列じょれつ）

主おもな力士りきしとの幕内まくうち対戦たいせん成績せいせき

力士りきし名めい	勝かち数すう	負数ふすう	力士りきし名めい	勝かち数すう	負数ふすう	力士りきし名めい	勝かち数すう	負数ふすう
安藝あきノ海うみ節男せつお	2	0	五ごツ嶋しま奈良なら男おとこ	2	0	大だいノ里さと萬まん助すけ	5	6
鏡岩かがみいわ善四郎ぜんしろう	13	2	佐賀さがノ花はな勝巳かつみ	2	2	清水しみず川がわ元吉もとよし	6	5
玉たま錦にしき三さん右みぎエ門もん	5	12	常つねノ花はな寛ひろし市し	2	4	照國てるくに万藏まんぞう	2	2
名寄岩なよろいわ静男しずお	4	4	能代のしろ潟かた錦にしき作さく	5	0	羽黒山はぐろさん政司せいじ	1	5
常陸ひたち岩いわ英太郎えいたろう	6	2	双そう葉山はやま定次さだじ	5	10	武藏むさし山武さんぶ	5	10

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