朝あさ潮うしお太郎たろう (4代だい)

朝あさ潮うしお 太郎たろう
基礎きそ情報じょうほう
四股しこ名めい	朝あさ潮うしお 太郎たろう
本名ほんみょう	長岡ながおか 末まつ弘ひろし
愛称あいしょう	大だいちゃん 角界かくかいの江川えがわクン
生年月日せいねんがっぴ	(1955-12-09) 1955年ねん12月9日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ	(2023-11-02) 2023年ねん11月2日にち（67歳さい没ぼつ）
出身しゅっしん	日本にっぽん・高知こうち県けん安芸あき郡ぐん （現げん：室戸むろと市し）
身長しんちょう	183cm
体重たいじゅう	183kg
BMI	54.64
所属しょぞく部屋へや	高砂たかさご部屋へや
得意とくい技わざ	突つき、押おし
成績せいせき
現在げんざいの番付ばんづけ	引退いんたい
最高さいこう位い	東ひがし大関おおぜき
生涯しょうがい戦歴せんれき	564勝しょう382敗はい33休きゅう（67場所ばしょ）
幕内まくうち戦歴せんれき	531勝しょう371敗はい33休きゅう（63場所ばしょ）
優勝ゆうしょう	幕内まくうち最高さいこう優勝ゆうしょう1回かい 幕下まくした優勝ゆうしょう1回かい
賞しょう	殊勲賞しゅくんしょう10回かい 敢闘かんとう賞しょう3回かい 技能ぎのう賞しょう1回かい
データ
初はつ土俵どひょう	1978年ねん3月がつ場所ばしょ（幕下まくした付づけ出で）
入幕にゅうまく	1978年ねん11月場所ばしょ
引退いんたい	1989年ねん3月がつ場所ばしょ
引退いんたい後ご	若松わかまつ部屋へや→高砂たかさご部屋へや師匠ししょう 日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい理事りじ（4期き） 2000年ねん2月がつ - 2008年ねん1月がつ
備考びこう
金星かなぼし5個こ（北きたの湖うみ4個こ、輪島わじま1個いっこ）
2013年ねん4月がつ11日にち現在げんざい ■テンプレート  ■プロジェクト 相撲すもう

朝あさ潮うしお 太郎たろう（あさしお たろう、1955年ねん〈昭和しょうわ30年ねん〉12月9日にち - 2023年ねん〈令れい和わ5年ねん〉11月2日にち）は、高知こうち県けん安芸あき郡ぐん（現げん：高知こうち県けん室戸むろと市し）出身しゅっしんで高砂たかさご部屋へや所属しょぞくの元もと大相撲おおずもう力士りきし。最高さいこう位いは東ひがし大関おおぜき。本名ほんみょうは長岡ながおか 末まつ弘ひろし（ながおか すえひろ）、現役げんえき時代じだいの体格たいかくは身長しんちょう183cm、体重たいじゅう183kg。得意とくい手しゅは突つき、押おし。星座せいざは射手しゃしゅ座ざ、血液けつえき型がたはB型がた。1990年ねんから2002年ねんまで若松わかまつ部屋へや、2002年ねんから2020年ねんまで高砂たかさご部屋へやの師匠ししょうを務つとめた。

来歴らいれき

近畿大学きんきだいがく3年生ねんせいの1976年ねんから翌よく1977年ねんにかけて2年ねん連続れんぞくで学生がくせい横綱よこづなとアマチュア横綱よこづなの2つを同どう年度ねんどに獲得かくとくする活躍かつやくを果はたし、1977年ねん12月7日にち、高砂たかさご部屋へやを訪問ほうもんし、入門にゅうもんする意思いしを伝つたえた。1978年ねん（昭和しょうわ53年ねん）3月がつ場所ばしょ幕下まくした付づけ出で（60枚まい目め格かく）に本名ほんみょう「長岡ながおか」で初はつ土俵どひょう。同年どうねん7月がつ場所ばしょ新しん十じゅう両りょう、11月場所ばしょ新しん入幕にゅうまく。1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）3月がつ場所ばしょ「朝あさ汐しお太郎たろう」と改名かいめい。1982年ねん（昭和しょうわ57年ねん）11月場所ばしょ「朝あさ潮しお」に改名かいめい。1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）3月がつ場所ばしょ後ご大関おおぜき昇進しょうしん。1989年ねん3月がつ場所ばしょ引退いんたい。

入門にゅうもんから幕内まくうち上位じょうい

高知こうち小津おつ高だか時代じだいから本格ほんかく的てきに相撲すもうを始はじめた。小学校しょうがっこう時代じだいは常つねに成績せいせきが学年がくねんトップであり、太ふとっていて苦手にがてであった体育たいいくの評定ひょうじょうが「2」であった以外いがいはほとんどが「5」であった。一方いっぽうで小学校しょうがっこう卒業そつぎょう時じには体重たいじゅうが80㎏を超こえる巨漢きょかんであった。当時とうじの佐喜浜さきはま町まちは人口じんこう3000人にんの小ちいさな町まちで、「勉強べんきょうするなら大おおきな町まちで」と、中学ちゅうがく時代じだいから高知こうち市しに越境えっきょう入学にゅうがくした。12歳さいにして下宿げしゅく生活せいかつを送おくり、中学ちゅうがく時じに体重たいじゅうは100キロを超こえたという。体からだが大おおきいことで無理矢理むりやりに相撲すもう部ぶに誘さそわれたのが、相撲すもうを始はじめるきっかけとなった。当時とうじ人前ひとまえで廻まわし姿すがたになって尻しりを見みせるのが嫌いやで仕方しかたが無なかったが、この頃ころから「大だいちゃん」と呼よばれるようになった。中学ちゅうがく2年生ねんせい次つぎに相撲すもう部ぶ監督かんとくから勝手かってに登録とうろくされ出場しゅつじょうした高知こうち県けん大会たいかいで2位い。高校こうこうはアパートでの1人ひとり暮くらしをしながら通かよい、決けっして強豪きょうごうではない相撲すもう部ぶで気楽きらくに過すごした。高校こうこう3年ねんで国体こくたい出場しゅつじょう、高校こうこう選抜せんばつハワイ遠征えんせいで補欠ほけつに入はいる。進学しんがく先さきの近畿大学きんきだいがくの相撲すもう部ぶへは強つよかった選手せんしゅのおまけで勧誘かんゆうされた。

近畿大学きんきだいがくで2年ねん連続れんぞくしてアマチュア横綱よこづなのタイトルを獲得かくとく。当時とうじのエリートぶりから「角界かくかいの江川えがわクン」と呼よばれた。進路しんろについて悩なやんでいたが、相撲すもうに関かかわらない学生がくせいたちとの食事しょくじ会かいが切きっ掛かけで自分じぶんにはビッグタイトルを取とった相撲すもうがあることを再さい認識にんしきし、角界かくかい入いりを志こころざすに至いたった。

最終さいしゅうタイトル8冠かんというその好成績こうせいせきから幕下まくした付づけ出でが認みとめられ、1978年ねん3月がつ「今度こんどはプロの横綱よこづなを目指めざします」と当時とうじ古参こさん幕下まくした力士りきしの少すくなかった高砂たかさご部屋へやに入門にゅうもん。後のちに本人ほんにんが語かたるところによると、5代だい高砂たかさごは長岡ながおかの両親りょうしんに対たいしては「息子むすこさんをくれ」の一言ひとことしか言いわなかったそうであるが、両親りょうしんは「離島りとう（徳之島とくのしま）出身しゅっしんの朴訥ぼくとつなものいが、私わたしら高知こうちの田舎いなか者しゃには合あうのではないか」と評ひょうしていた。新人しんじんをいじめるのは古参こさんの幕下まくしたと相場そうばが決きまっていたため相撲すもう部ぶのマネージャーに所属しょぞく幕下まくした力士りきしの数かずを調しらべさせ、結果けっか当時とうじの高砂たかさご部屋へやには幕下まくした力士りきし2人にんしかいないと知しって「これなら大丈夫だいじょうぶだ」と決意けついした。当時とうじすでに高齢こうれいであった高見山たかみやまや富士ふじ櫻さくら等とう関取せきとりに古参こさんが多おおかったのですぐに自分じぶんが部屋へや頭あたまになれると思おもいきや、2人ふたりが30代だい後半こうはんまで関取せきとりとして土俵どひょうに上あがり続つづけたため大変たいへんだったと話はなしていたという。同時どうじに、当時とうじ珍めずらしかった大卒だいそつ力士りきしをその2人ふたりが周囲しゅういのやっかみなどから守まもってくれたと感謝かんしゃしている。また、『多た国籍こくせき企業きぎょうについて』という卒業そつぎょう論文ろんぶんを書かいた長岡ながおかとしては、外国がいこく人じん力士りきしのいる高砂たかさご部屋へやは自分じぶんに合あっていると判断はんだんすることができたようである。 なお、学生がくせい時代じだいは相撲すもう以外いがいにも数学すうがく系けいを得意とくいとし成績せいせき優秀ゆうしゅうであり教師きょうしを志こころざしていたというが、相撲すもう部ぶの活動かつどうを優先ゆうせんして教育きょういく実習じっしゅうへの出席しゅっせきを泣なく泣なく諦あきらめたという。高砂たかさご部屋へやの他ほかにも時津風ときつかぜ部屋へや、出羽海でわのうみ部屋へやからも勧誘かんゆうを受うけていたとのこと。他ほかにも、春日野かすがの部屋へや、二子山ふたごやま部屋へやなどからも勧誘かんゆうがあり、合計ごうけい10部屋へやによる争奪そうだつ戦せんとなっていた。

初はつ土俵どひょうから所要しょよう2場所ばしょで十じゅう両りょう昇進しょうしん。昇進しょうしんの際さいに兄弟子あにでしの高見山たかみやまから彼かれのタニマチである丸八真綿まるはちまわたの布団ふとんを贈おくられた。初はつ土俵どひょうから5場所ばしょ目めで入幕にゅうまく。入幕にゅうまく2場所ばしょ目めで大関おおぜき・貴たかノ花はなを破やぶり、初はつの敢闘かんとう賞しょうを獲得かくとく。この場所ばしょで初はつ土俵どひょうから初はじめての幕内まくうち2ケタ勝利しょうりまでの最速さいそくタイ記録たいきろくを果はたした格好かっこうとなった（年とし6場所ばしょ制度せいど下か、所要しょよう6場所ばしょ）。最速さいそくタイ記録たいきろくに当初とうしょは本名ほんみょうで取とることを希望きぼうしていたが先代せんだい朝あさ潮うしお太郎たろうだった師匠ししょうから高砂たかさご部屋へやでは最高さいこうの四股しこ名めいである「朝あさ汐しお太郎たろう」を受うけ、襲名しゅうめいする。4代目だいめの朝あさ汐しお誕生たんじょうである。しかし早はやくもプロの壁かべにぶつかり、翌よく1979年ねん3月がつ場所ばしょ、上位じょうい陣じんとの連日れんじつの対戦たいせんで初日しょにちから8連敗れんぱいを喫きっする大だい不振ふしんに陥おちいり、やっと手てにした白星しろぼしは、9日にち目めの大関おおぜき・旭あさひ國こく休場きゅうじょうによる不戦勝ふせんしょうだった。結局けっきょくこの場所ばしょは5勝しょう10敗はいに終おわり、それから数すう場所ばしょも負まけ越こしの連続れんぞくで幕内まくうち下位かいに低迷ていめいし、影かげが薄うすい存在そんざいと化かしていた。この頃ころ、相撲すもうに自信じしんをなくし廃業はいぎょうしてたこ焼やき屋やでもやろうか、と考かんがえていたところを兄弟子あにでしの富士ふじ櫻さくらに叱咤しったされてもいる。

その後ご、徐々じょじょに幕内まくうち上位じょういに返かえり咲ざき、1980年ねん（昭和しょうわ55年ねん）3月がつ場所ばしょ11日にち目め、横綱よこづな・北きたの湖うみとの2度目どめの対戦たいせんで、朝あさ汐しおは北きたの湖うみが出でたところを豪快ごうかいな引ひき落おとしで破やぶり初はつ金星かなぼしを挙あげ、この場所ばしょは10勝しょう5敗はいで殊勲賞しゅくんしょうを獲得かくとく。これを皮切かわきりに朝あさ汐しおは上位じょうい陣じんから恐おそれられることになる。以後いご朝あさ汐しおは輪島わじま、三重みえノ海うみ、若乃花わかのはな、千代ちよの富士ふじといった横綱よこづな陣じんとの対戦たいせんでは度々たびたび土どをつけ、特とくに当時とうじの実力じつりょく第一人者だいいちにんしゃである北きたの湖うみとの対戦たいせんでは、仕切しきりから横綱よこづなの計算けいさんを狂くるわせ、ファンはおろか当とうの上位じょうい力士りきしでさえも驚おどろくばかりの強つよさを発揮はっきし、当時とうじの幕内まくうち力士りきしでは唯一ゆいいつ北きたの湖うみに通算つうさん13勝しょう7敗はい（不戦勝ふせんしょう1含ふくむ）と歴然れきぜんとした差さで勝かち越こしたことで話題わだいを呼よんだ。1981年ねん5月場所ばしょ8日にち目めの北きたの湖うみ戦せんでも全勝ぜんしょうの北きたの湖みずうみに土どをつける活躍かつやくを見みせ、この時ときのNHK大相撲おおずもう中継ちゅうけいの視聴しちょう率りつは夏場所なつばしょのものとしては2017年ねん3月がつ場所ばしょ終了しゅうりょう時点じてんで最高さいこうとなる38.2%であった（ビデオリサーチ調しらべ）。同年どうねん11月がつ場所ばしょは12勝しょう3敗はいの好成績こうせいせきで千代ちよの富士ふじと優勝ゆうしょう決定けってい戦せんに出場しゅつじょうするが、敗やぶれて初はつ優勝ゆうしょうを逃のがした。翌よく1982年ねん1月がつ場所ばしょは大関おおぜき挑戦ちょうせんの場所ばしょであったが、6勝しょう9敗はいと負まけ越こし、失敗しっぱいに終おわった。1982年ねん5月場所ばしょは13勝しょう2敗はいの好成績こうせいせきで再ふたたび千せん代だいの富士ふじと優勝ゆうしょう決定けってい戦せんに出場しゅつじょうし、敗やぶれてまたしても優勝ゆうしょうを逃のがした。翌よく1982年ねん7月がつ場所ばしょは再度さいど大関おおぜき挑戦ちょうせんの場所ばしょであったが、8勝しょう7敗はいに終おわり、またしても失敗しっぱいに終おわった。このように素晴すばらしい成績せいせきを挙あげながらも優勝ゆうしょう・大関おおぜきには手てが届とどかず、3度どあった優勝ゆうしょう決定けってい戦せんではあと一いち歩ほのところで及およばず、勝敗しょうはいの差さが激はげしく連勝れんしょうか連敗れんぱいが目立めだついわゆる「連れん（ツラ）相撲すもう」も特徴とくちょうであった。この頃ころは大関おおぜき挑戦ちょうせんの場所ばしょを迎むかえては負まけ越こし（あるいは最小さいしょうの勝かち越こし）て失敗しっぱい、数かず場所ばしょ後ごに大だい勝かちして再さい（々）度ど大関おおぜき挑戦ちょうせんの繰くり返かえしであった。

特筆とくひつすべき点てんは、1983年ねん1月がつ場所ばしょである。この場所ばしょの朝あさ潮しおは破竹はちくの勢いきおいに乗のり、北きたの湖うみを掬すくい投なげでひっくり返かえし、若乃花わかのはなを土俵どひょう下したに突つき飛とばして引退いんたいに追おい込こみ、千代ちよの富士ふじも押おし出だして横綱よこづなを総そうなめにし、琴きん風ふう以外いがいの大関おおぜきも倒たおす大だい活躍かつやくを見みせつけた。結果けっかは琴きん風ふうとの優勝ゆうしょう決定けってい戦せんとなり敗北はいぼくが、大物おおもの同士どうしがひしめき合あったこの場所ばしょで14勝しょう1敗はいという優勝ゆうしょう同然どうぜんの成績せいせきを挙あげた朝あさ潮しおの活躍かつやくは、相撲すもう内容ないようも優勝ゆうしょうした琴きん風ふう以上いじょうのもので、横綱よこづなキラー朝あさ潮しおの強つよさをまざまざと見みせつけた場所ばしょであった。関脇せきわけ以下いかの力士りきしが横綱よこづなを3人にん倒たおすという快挙かいきょは当時とうじでは非常ひじょうに稀まれで、歴史れきしを辿たどっても過去かこに4人にん（初代しょだい若乃花わかのはな：1953年ねん1月がつ場所ばしょ、先代せんだい朝あさ潮しお：1955年ねん1月がつ、富士ふじ櫻さくら：1974年ねん1月がつ場所ばしょ、栃とち赤城せきじょう：1979年ねん11月場所ばしょ）しかいなかった。

翌よく3月がつ場所ばしょ、東ひがし関脇せきわけの地位ちいで再ふたたび大関おおぜき獲えりとなったが3場所ばしょ前まえの1982年ねん11月場所ばしょが平幕ひらまく（東ひがし前頭まえがしら筆頭ひっとう・9勝しょう6敗はい）の地位ちいだった為ため、先さき場所ばしょの同年どうねん1月がつと同様どうように終盤しゅうばんまで優勝ゆうしょう争あらそいに加くわわる好条件こうじょうけんが求もとめられた。同どう場所ばしょは7日にち目めに出羽でわの花はなに敗やぶれ1敗はい。その後ご終盤しゅうばんまで横綱よこづな千せん代だいの富士ふじと優勝ゆうしょうを争あらそったが、13日にち目め千せん代だいの富士ふじに敗やぶれて2敗はい、14日にち目め北きた天佑てんゆうにも連敗れんぱいし3敗はいに。そして千秋楽せんしゅうらく、「隆りゅうの里さと（当時とうじ大関おおぜき）戦せんで敗やぶれたら大関おおぜきは見送みおくり」との報道ほうどうも流ながれる中なか、なんとか勝利しょうりして結果けっか12勝しょう3敗はいの成績せいせきを挙あげ、ようやく遅咲おそざきながら大関おおぜきの座ざをついに射止いとめた。都合つごう6度どの大関おおぜき挑戦ちょうせんを経験けいけんし、高砂たかさごから思おもうように大関おおぜき昇進しょうしんを果はたせないことを指さして「朝あさ潮しおという四股しこ名めいをやったのは大だい失敗しっぱい。黒潮くろしおにしておけばよかった」と嘆なげかれたこともあったがその末すえに昇進しょうしんを果はたし、まさに朝あさ潮しおは最もっとも脂あぶらの乗のった時期じきに差さし掛かかった。

大関おおぜき時代じだい

大関おおぜき在位ざいい3場所ばしょ目めの1983年ねん9月がつ場所ばしょは、7日にち目めまで6勝しょう1敗はいと好調こうちょうだった。しかし8日にち目めの横綱よこづな・隆たかしの里さと戦せんで上手じょうず捻ねじりで敗やぶれた際さい、「右みぎ膝ひざ内側うちがわ側がわ副ふく靱帯じんたい損傷そんしょう」の大だい怪我けがを負おい途中とちゅう休場きゅうじょう、翌よく11月がつ場所ばしょは全休ぜんきゅう。通常つうじょうならば大関おおぜきで2場所ばしょ連続れんぞく負まけ越こしすれば関脇せきわけへ陥落かんらくとなるが、同どう1983年ねん5月がつ場所ばしょから公傷こうしょう制度せいどが大関おおぜきにも適用てきようされる（その後ご2003年ねん11月場所ばしょ限かぎりで公傷こうしょう制度せいどは廃止はいし）事ことが決きまっており、朝あさ潮しおの11月場所ばしょの全休ぜんきゅうは公傷こうしょうが認みとめられたため、運うん良よく陥落かんらくは免まぬかれた。また、大関おおぜきの地位ちいで公傷こうしょう制度せいどが適用てきようされたのも、朝あさ潮しおが第だい1号ごうである。初はつの大関おおぜき角番かどばんとなった1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん）1月がつ場所ばしょは、10勝しょう5敗はいと勝かち越こして角番かどばんを脱だっした。

大関おおぜきでも連れん相撲すもうぶりが目立めだっていたが、1984年ねん頃ごろより従来じゅうらいの突つき押おし主体しゅたいから、左ひだり四よっつ右みぎ上手じょうずで寄よる相撲すもうに変かわっていき取とり口くち的てきにも安定あんていするようになった。1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）3月がつ場所ばしょでは、6日にち目めから連勝れんしょうを重かさねて勢いきおいに乗のり、千秋楽せんしゅうらくで大関おおぜき若わか嶋津しまづとの12勝しょう2敗はい同士どうしの相あい星ほし決戦けっせんを制せいし、13勝しょう2敗はいの成績せいせきで第だい二にの故郷こきょう大阪おおさかでようやく悲願ひがんの幕内まくうち優勝ゆうしょうを果はたした。その若わか嶋津しまづ戦せんでは、当あたって右みぎ上手じょうずを十分じゅうぶんに引ひいた朝あさ潮しおが、正面しょうめんからグイグイ寄より進すすみ、上手じょうず投なげから186㎏の体重たいじゅうを預あづけるように寄より倒たおす会心かいしんの取とり口くちで若わか嶋津しまづを撃破げきは。この1985年ねん3月がつ場所ばしょを最後さいごに現役げんえき引退いんたいを表明ひょうめいした兄弟子あにでしの富士ふじ櫻さくらへの餞はなむけとなった。この時期じきには、相手あいてに当あたった衝撃しょうげきで額がくから血ちを流ながすことがしばしば見受みうけられ、流血りゅうけつも顔かおを二分にぶん化かするかのような凄すさまじいものであった。本人ほんにんは「白星しろぼし欲ほしさに」だというが後のちに「あんなことしても痛いたいだけなんですけどね」と苦笑くしょうしながらコメントしている。その優勝ゆうしょうした場所ばしょでも、流血りゅうけつして勝かちを取とったかのような勢いきおいがあり、この頃ころの朝あさ潮しおは横綱よこづなも正面しょうめんから打うち負まかすほどの、最強さいきょうの強つよさを発揮はっきしていた。朝あさ潮しおは最後さいごの餞はなむけにと富士ふじ櫻さくらを優勝ゆうしょうパレードの旗手きしゅに指名しめいしている。旗手きしゅは通常つうじょうなら幕内まくうち力士りきしが務つとめるが、引退いんたい時じの富士ふじ櫻さくらは十じゅう両りょうであったため、十じゅう両りょう力士りきしが幕内まくうち優勝ゆうしょうパレードの旗手きしゅを務つとめるのは異例いれいであった。なお、朝あさ潮しおの幕内まくうち優勝ゆうしょうは後述こうじゅつの通とおり、この1985年ねん3月がつ場所ばしょが唯一ゆいいつである。

しかし優勝ゆうしょう場所ばしょ以後いご、10勝しょう以上いじょうを挙あげたのはわずか2度どで、14日にち目めか千秋楽せんしゅうらくに勝かち越こしを懸かける場所ばしょが多おおくなっていった。大関おおぜき時代じだいの後半こうはんの成績せいせきも8勝しょうや9勝しょうがほとんどで、「クンロク大関おおぜき」と皮肉ひにくられた。それでもライバルとして横綱よこづなでは隆たかしの里さとや千代ちよの富士ふじ（但ただし千代ちよの富士ふじの関脇せきわけ昇進しょうしん後ごは差さが開ひらいた）、大関おおぜきでは琴きん風ふう、若わか嶋津しまづ、北きた天佑てんゆうなどがいた。

また、上記じょうきのように、14日にち目めを終おえ7勝しょう7敗はいで迎むかえた場所ばしょの勝率しょうりつが高たかいこともあり、やくみつるも昭和しょうわ63年ねんの「おちゃんこクラブ」のネタとして「横綱よこづな四よん態たい」の表題ひょうだいで、千代ちよの富士ふじを「実力じつりょく横綱よこづな」大だい乃国を「番付ばんづけ横綱よこづな」鳳凰ほうおうを「稽古けいこ場じょう横綱よこづな」と描えがいたオチに朝あさ潮しおを「千秋楽せんしゅうらく7勝しょう7敗はい横綱よこづな」と皮肉ひにくと揶揄やゆを込こめて描えがいているが、引退いんたいの前ぜん場所ばしょ、カド番かどばんとして最後さいごに勝かち越こした場所ばしょは前半ぜんはん、6勝しょう1敗はいと好調こうちょうながら中盤ちゅうばん以降いこう連敗れんぱいし、14日にち目めに勝かち越こしを決きめたが、千秋楽せんしゅうらくに敗やぶれて8勝しょう7敗はいに終おわっている。

稽古けいこ不足ふそくの影響えいきょうからか、大関おおぜき晩年ばんねんは押おし相撲すもうには必須ひっすの出足であしが鈍にぶり、引びきや叩はたきに対たいして脆もろく、前まえに落おちやすくなっていた。そしてそれが顕著けんちょに現あらわれたのが、当時とうじは突つき押おしのみが得意とくいだった100kgを僅わずかに上回うわまわる程度ていどの幕内まくうち最さい軽量けいりょう級きゅうの若手わかて力士りきし寺尾てらおとの取とり組くみで、寺尾てらおにがっぷり四よっつに組くまれ電車でんしゃ道どうの横綱よこづな相撲すもうを取とられる失態しったいを犯おかした。これはある意味いみ朝あさ潮しおの致命ちめい的てきな弱点じゃくてんで、受うけに回まわるとあっけなく寄より切きられるという巨漢きょかん力士りきしに似合にあわぬものであった。

元号げんごうが昭和しょうわから平成へいせいへ変かわったわずか2場所ばしょ目めの、1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）3月がつ場所ばしょは大関おおぜき角番かどばんでは無なかったものの、初日しょにちから4連敗れんぱいを喫きっし体力たいりょくの限界げんかいを理由りゆうに、4日にち目めの寺尾てらお戦せんを最後さいごに現役げんえき引退いんたいを表明ひょうめい。なお当初とうしょ、朝あさ潮しお自身じしんは「5日にち目めの孝こう乃富士し戦せんを現役げんえき最後さいごの一番いちばんにしたい」と申もうし出でたものの、相撲すもう協会きょうかいからは「死しに体たいで土俵どひょうに上あがる事ことは許ゆるされない」と認みとめられず、5日にち目めの孝こう乃富士し戦せんは結局けっきょく不戦敗ふせんぱいとなった。また、大関おおぜき在位ざいい数すう36場所ばしょは、当時とうじ貴たかノ花はな（初代しょだい）の50場所ばしょに次つぐ史上しじょう2位いだった（現在げんざい史上しじょう8位い）。

成績せいせきは大関おおぜき止とまりであったが、当時とうじの横綱よこづな大関おおぜき陣じんの優勝ゆうしょう、番付ばんづけ昇進しょうしんは朝あさ潮しおの活躍かつやくが大おおきく作用さようしている点てんも見逃みのがせず、対戦たいせん力士りきしにとって優勝ゆうしょうや昇進しょうしんにおいてベンチマーク的てき存在そんざいとなっていた。北きたの湖うみは前述ぜんじゅつの通とおり、朝あさ潮しおに再三さいさん敗やぶれたために、連勝れんしょうを何なん度ども止とめられている上うえ、千代ちよの富士ふじにも幾度いくども優勝ゆうしょうを譲ゆずっている。1981年ねん（昭和しょうわ56年ねん）1月がつ場所ばしょでは関脇せきわけ・千代ちよの富士ふじは全勝ぜんしょうで千秋楽せんしゅうらくを迎むかえた。北きたの湖うみは朝あさ汐しおに負まけて13勝しょう1敗はい、千秋楽せんしゅうらくの北きたの湖うみ対たい千せん代だいの富士ふじは北きたの湖うみが勝かったが決定けってい戦せんで千代ちよの富士ふじが本ほん割わりのお礼れいとばかりに横綱よこづなを這はわせ初はつ優勝ゆうしょう、場所ばしょ後ご大関おおぜきに昇進しょうしんした。同年どうねん7月がつ場所ばしょで横綱よこづな昇進しょうしんを決きめたのも、全勝ぜんしょうの北きたの湖うみが朝あさ汐しおに突つき倒たおされて、千秋楽せんしゅうらくに相あい星ほし決戦けっせんとなった伏線ふくせんがあり、これもまさしく朝あさ潮しおの暗躍あんやくの結果けっかである。

現役げんえき引退いんたい後ご

若松わかまつ部屋へや・高砂たかさご部屋へや師匠ししょう時代じだい

現役げんえき引退いんたい後ごの暫しばらくは、年寄としより・山やま響ひびきを襲名しゅうめいして高砂たかさご部屋へやの部屋へや付つき親方おやかたとして後進こうしんの指導しどうにあたっていた。しかし、10代若松わかまつ親方おやかた（関脇せきわけ・房ぼう錦にしき）が病気びょうきで廃業はいぎょうしたことに伴ともない、1990年ねん（平成へいせい2年ねん）3月がつに11代だい若松わかまつを襲名しゅうめいして若松わかまつ部屋へやを継承けいしょうした。山やま響ひびき親方おやかた、若松わかまつ親方おやかた時代じだいには、『クイズ世界せかいはSHOW by ショーバイ!!』などのバラエティ番組ばんぐみにも積極せっきょく的てきに出演しゅつえんし、独特どくとくのキャラクターで視聴しちょう者しゃを笑わらわせていた。

師匠ししょうである6代だい高砂たかさご（小結こむすび・富士ふじ錦にしき）の停年ていねんが近ちかづくと、当初とうしょ後継こうけい者しゃとみられていた高砂たかさご部屋へや付つきの錦戸にしきど親方おやかた（関脇せきわけ・水戸みと泉いずみ）が、諸しょ事情じじょうにより継つげなくなってしまったため、2002年ねん（平成へいせい14年ねん）2月がつ5日にち付づけで6代だい高砂たかさごと年寄としより名跡みょうせきの交換こうかんを行おこない、7代だい高砂たかさごを襲名しゅうめいするとともに、若松わかまつ部屋へやの力士りきし全員ぜんいんが高砂たかさご部屋へやに移籍いせきした。この間あいだ、幕内まくうち・朝あさ乃若、朝あさ乃翔、十じゅう両りょう・朝あさ乃涛などの関取せきとりを育そだてた。

引退いんたいから日ひが浅あさかった頃ころは自みずから胸むねを出だして指導しどうしていた。指導しどう者しゃとしては突つき押おしの指導しどうを徹底てっていし、弟子でしの朝あさ乃山に関かんしては「朝あさ乃山は正攻法せいこうほうで真まっすぐ来くることを前提ぜんていに相撲すもうを取とられる」としつつも「相手あいてに読よまれようとも小細工こざいくや駆かけ引ひきなどしない力士りきしに育そだてたい」という育成いくせい方針ほうしんを持もっている。若松わかまつ部屋へやを継承けいしょうして以降いこう「現役げんえき時代じだいに嫌いやだったことは、弟子でしにはしない」というポリシーを掲かかげており、自身じしんが5代だい高砂たかさごから宴席えんせきに連つれ回まわされたり稽古けいこ中ちゅうに竹刀しないで殴なぐられたりした経験けいけんを踏ふまえ、弟子でしを極力きょくりょく宴席えんせきへ連つれ出だすことはせず、弟子でしを殴なぐることもしていない。2017年ねんの夏なつ合宿がっしゅくでは力士りきし達たちにのびのびしてほしいということで、自分じぶんは敢あえて稽古けいこ場じょうを離はなれて部屋へや付つきに指導しどうを任まかせるという一いち面めんを見みせている。

さらに、2000年ねん（平成へいせい12年ねん）2月がつから2008年ねん（平成へいせい20年ねん）1月がつまで、4期き8年ねんにわたり日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい理事りじの要職ようしょくを務つとめる一方いっぽう、朝あさ青あお龍りゅうを横綱よこづなに育そだて、素質そしつや人気にんきから期待きたいされながら果はたせなかった自みずからの横綱よこづな昇進しょうしんの夢ゆめを、愛弟子まなでしが実現じつげんした。本場所ほんばしょ開催かいさい中ちゅう（偶数ぐうすう日付ひづけ）は日刊にっかんスポーツの相撲すもう担当たんとう評論ひょうろん家かとして、同誌どうしに解説かいせつ「大だいちゃん 大だい分析ぶんせき」を連載れんさいしている（奇き数日すうじつ付づけは納谷なや幸喜ゆきよし＝元もと横綱よこづな大鵬たいほうの「土ど評ひょう」）。2010年ねん（平成へいせい22年ねん）1月がつ場所ばしょまで、役員やくいん待遇たいぐう委員いいんの職位しょくいで審判しんぱん部ぶ副ふく部長ぶちょうを務つとめていた。

しかしながら、横綱よこづな昇進しょうしん後ごも絶たえることの無ない朝あさ青あお龍りゅうの問題児もんだいじぶりは、朝あさ青あお龍りゅう本人ほんにんの責任せきにんもさることながら、自身じしんの管理かんり能力のうりょくの低ひくさに起因きいんするとの指摘してきがあり、ノンフィクション作家さっかの塩澤しおざわ実みのる信しんもTVでコメントを求もとめられた際さいにその点てんを指摘してきしている。2008年ねん（平成へいせい20年ねん）7月がつに、弁明べんめいも兼かねた自著じちょ『親方おやかたはつらいよ』（文春ぶんしゅん新書しんしょ）にて、思おもいのたけを明あかしている。なお、巻末かんまつには朝あさ青あお龍りゅうのお詫わび文ぶんが掲載けいさいされた。さらに、結果けっか的てきに事実じじつ上じょうの解雇かいことも言いうべき引退いんたいにつながった2010年ねん初頭しょとうの暴行ぼうこう事件じけんを巡めぐっては、改あらためて指導しどう者しゃとしての資質ししつが問とわれた。弟子でしの力士りきし生命せいめいに関かかわる問題もんだいに師匠ししょうとしての毅然きぜんとした態度たいどを示しめせず、弁明べんめいに終始しゅうしし、対応たいおうの不手際ふてぎわが批判ひはんされるようになった。この事ことから同年どうねん2月がつ、朝あさ青あお龍りゅうが暴行ぼうこう事件じけんの影響えいきょうで引退いんたいした事ことに関連かんれんして監督かんとく責任せきにんを問とわれ、役員やくいん待遇たいぐうから主任しゅにんへ2階かい級きゅう降格こうかく処分しょぶんになることが決定けっていされた。朝あさ青あお龍りゅうの暴行ぼうこう事件じけんの際さいはすでに朝あさ青あお龍りゅうを擁護ようごするつもりはなかったが、断髪だんぱつ式しきでは親方おやかたとして丁重ていちょうに見送みおくっている。2011年ねん（平成へいせい23年ねん）1月がつ31日にちに委員いいんに復帰ふっきし、監察かんさつ委員いいんを経へて、2013年ねん2月がつに役員やくいん待遇たいぐう委員いいんへ再さい昇格しょうかく、生活せいかつ指導しどう部ぶ副ふく部長ぶちょうに就任しゅうにんした。2014年ねん（平成へいせい26年ねん）7月がつ場所ばしょには貴乃花たかのはなが検査けんさ入院にゅういんのため場所ばしょを全休ぜんきゅうしたことを受うけて監察かんさつ委員いいん長ちょうを代行だいこうした。後年こうねん高砂たかさごは「同おなじモンゴル人じんで同おなじように指導しどうしていても、朝あさ赤あか龍りゅうは穏おだやか。やはり、これはもう持もって生うまれた性格せいかくの違ちがいだったとしか言いいようがないんです」と話はなしている。

13代だい東関ひがしせきが死去しきょして東関ひがしせき部屋へやが八角はっかく部屋へやの一時いちじ預あずかりとなった際さい、芝田しばた山さん広報こうほう部長ぶちょうは「八角はっかく部屋へやが一門いちもんの長ちょう」と説明せつめいし、事実じじつ上じょう一門いちもんの名前なまえを冠かんする自身じしんが総帥そうすいではないことが示しめされた。

2020年ねん3月がつ場所ばしょ前まえ、高砂たかさご部屋へやの師匠ししょうとして最後さいごとなる大阪おおさか場所ばしょ激励げきれい会かいが2019新型しんがたコロナウイルス感染かんせん拡大かくだいの影響えいきょうで中止ちゅうしになった。

自身じしん定年ていねん前まえの最後さいごの本場所ほんばしょである11月場所ばしょを控ひかえた11月4日にち、オンライン記者きしゃ会見かいけんで「いい師匠ししょう人生じんせい。個性こせいを発揮はっきできる力士りきしになってほしい」と大関おおぜき朝あさ乃山ら弟子でしの成長せいちょうを願ねがった。現役げんえき時代じだいの一番いちばんの思おもい出でには、1985年ねん3月がつ場所ばしょに果はたした唯一ゆいいつの優勝ゆうしょうを挙あげた。2010年ねんには弟子でしの朝あさ青あお龍りゅうが暴行ぼうこう問題もんだいの引責いんせきで引退いんたいするなど不祥事ふしょうじの対応たいおうに追おわれたこともあったが「問題もんだいを起おこす横綱よこづなもいた。落おち着ついてきたら朝あさ乃山がタケノコのように伸のびてきた。いろんな意味いみでついている人生じんせい」と振ふり返かえり、自身じしんが育そだてた部屋へやの横綱よこづなの朝あさ青あお龍りゅうに関かんしては「あれだけのことをやった。かばうにもかばいきれない。自業自得じごうじとく。本人ほんにんにそう言いっておいて」と切きり捨すてた。

停年ていねん・再さい雇用こよう

停年ていねんを間近まぢかに控ひかえた2020年ねん11月26日にち、日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいの理事りじ会かいで、元もと関脇せきわけ・朝あさ赤あか龍りゅうが襲名しゅうめいしていた錦にしき島とうと名跡みょうせきの交換こうかんが承認しょうにんされ、18代だい錦にしき島とうとして高砂たかさご部屋へやの部屋へや付つき親方おやかたとなった。元もと大関おおぜき以上いじょうの再さい雇用こよう制度せいど利用りようは史上しじょう初はつ。この師匠ししょう交代こうたいの際さいに「高砂たかさごという重おもい看板かんばんを背負せおうことになるが、そんなプレッシャーを感かんじる必要ひつようはない。自分じぶんを、そして周まわりを信しんじてノビノビと指導しどうにあたってほしい。これまで同様どうよう、協力きょうりょくは惜おしまない」と話はなした。参与さんよ（再さい雇用こよう）は通例つうれいで「生活せいかつ指導しどう部ぶ（礼儀れいぎ作法さほう教育きょういく係がかり）」を担当たんとうするが、直近ちょっきんまで役員やくいん待遇たいぐう委員いいんであった元もと大関おおぜきであることを考慮こうりょされてか、相撲すもう博物館はくぶつかんの副ふく館長かんちょうを務つとめた。

『文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう』2021年ねん1月がつ号ごうでは師匠ししょう退任たいにんに際さいして「現役げんえき、指導しどう者しゃとしての約やく40年ねんを振ふり返かえってみて、何なにか悔くいがあるとすれば、やはり横綱よこづなになれなかったことです」と吐露とろした。

再さい雇用こよう途中とちゅうの日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい退職たいしょく

「朝あさ乃山広こう暉あきら#新型しんがたコロナウイルス対応たいおうガイドライン違反いはん」も参照さんしょう

再さい雇用こよう任期にんき中ちゅうの2021年ねん6月がつ1日にち、18代だい錦にしき島とうは日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいに退職たいしょく届とどけを提出ていしゅつし、同月どうげつ10日にち付づけで受理じゅりされ退職たいしょくした。

同年どうねん6月がつ11日にち、日本にっぽん相撲すもう協会きょうかいは新型しんがたコロナウイルス（COVID-19）対応たいおうのガイドラインに違反いはんしたとして、弟子でしである朝あさ乃山に対たいする処分しょぶん（6場所ばしょ出場しゅつじょう停止ていし・50％の減給げんきゅう6ヶ月かげつ）の発表はっぴょうに併あわせ、18代だい錦にしき島とうに懲戒ちょうかい処分しょぶんを行おこなわず退職たいしょくとした経緯けいいについて発表はっぴょうした。18代だい錦にしき島とうのガイドライン違反いはんは相撲すもう協会きょうかいコンプライアンス委員いいん会かい（青沼あおぬま隆之たかゆき委員いいん長ちょう＝元もと名古屋なごや高検こうけん検事けんじ長ちょう）が朝あさ乃山の調査ちょうさをしていく過程かていで判明はんめいし、同どう委員いいん会かいの聴取ちょうしゅを受うけたときに本人ほんにんは認みとめたという。これを受うけて同どう委員いいん会かいは5月25日にちまでに同伴どうはんした付つけ人びとの聴取ちょうしゅを行おこない、以下いかの事実じじつが認定にんていされたという。

• 2020年ねん7月がつ場所ばしょ中ちゅう、同年どうねん11月がつ場所ばしょ中ちゅう、2021年ねん1月がつ場所ばしょ中ちゅう、3月がつ場所ばしょ中ちゅうに知人ちじんらと飲酒いんしゅを伴ともなう会食かいしょく(付つけ人びとの力士りきし養成ようせい員いんも同席どうせき）
• 2020年ねん7月がつ場所ばしょ以降いこうは付つけ人びとの力士りきし養成ようせい員いんを同席どうせきさせ、部屋へや近隣きんりんで週しゅう2～3回かいの飲食いんしょく
• 2020年ねん末まつには、家族かぞくらとの会食かいしょくに朝あさ乃山を同席どうせきさせた

度重たびかさなる違反いはん行為こういについて、同どう委員いいん会かいは「指導しどう者しゃとしての資質ししつが欠かけている。無自覚むじかくな振ふる舞まいが弟子でしらの意識いしきを麻痺まひさせ朝あさ乃山の不ふ行状ぎょうじょうを生うんだ」と断罪だんざいした。また部屋へやの師匠ししょうを8代だい高砂たかさご（朝あさ赤あか龍りゅう）に禅譲ぜんじょうした後のちも高砂たかさご部屋へやの建物たてものに住すみ続つづけ、この影響えいきょうで8代だい高砂たかさごが部屋へやへの通かよい親方おやかたの形かたちとなったことも「監督かんとく不行ふゆき届とどきとなった原因げんいん」と批判ひはんしている。同どう委員いいん会かいは「報酬ほうしゅう減額げんがくの懲戒ちょうかい処分しょぶんとすることが相当そうとう」と判断はんだんし、補足ほそくとして「停年ていねん再さい雇用こよう後ごの参与さんよという立場たちばを鑑かんがみ、退職たいしょく願ねがいを受理じゅりすることも検討けんとうすべき」と処分しょぶん意見いけんを答申とうしんしていた。

本人ほんにんはルール違反いはんが指摘してきされると「俺おれがやめて丸まるく収おさまるなら」と、ためらいなく退職たいしょく届とどけに筆ふでを走はしらせたという。同月どうげつ4日にちには8代だい高砂たかさごと同どう委員いいん会かいに呼よばれ、部屋へや施設しせつの家主やぬしを早急そうきゅうに8代だい高砂たかさごに変更へんこうすることを確認かくにんしている。

この退職たいしょくの顛末てんまつに関かんしては、豪放磊落ごうほうらいらくで行ゆき当あたりばったりな性格せいかくが災わざわいしたと評ひょうされた。

7月がつ場所ばしょまで務つとめていた日刊にっかんスポーツの評論ひょうろんは、9月場所ばしょより花田はなた虎とら上じょうが引ひき継ついだ。

死去しきょ

死去しきょする前年ぜんねん末まつに100万まん人にんに6人にんの確かく率りつで発症はっしょうするとされる希少きしょうがんの一種いっしゅである小腸しょうちょうがんを発症はっしょうし、晩年ばんねんはリハビリ生活せいかつを送おくっていた。ただし病気びょうきについては親したしい人物じんぶつ以外いがいは知しらさなかったという。2023年ねんに入はいると体調たいちょうが悪化あっかし、病床びょうしょうに伏ふして動うごけない状態じょうたいが続つづき、家族かぞくには余命よめい宣告せんこくもされていた。また、定年ていねん間際まぎわの時期じきには足あしの状態じょうたいが悪わるく、車椅子くるまいす生活せいかつを余儀よぎなくされていた。

2023年ねん11月2日にち、小腸しょうちょうがんのため、東京とうきょう都と墨田すみだ区くの自宅じたくで死去しきょした。67歳さい没ぼつ。訃報ふほうは翌よく3日にち、一部いちぶメディアの日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい関係かんけい者しゃへの取材しゅざいにより明あきらかになり、翌よく4日にちに妻つまがメディアの取材しゅざいに応おうじ、死去しきょを公表こうひょうした。葬儀そうぎは家族かぞく葬そうで行おこない、11月場所ばしょ終了しゅうりょう後ごにお別わかれの会かいを実施じっしする方向ほうこうで調整ちょうせいしている。

2024年ねん2月がつ5日にち、都内とないのホテルでお別わかれの会かいが開催かいさいされた。協会きょうかいの八角はっかく理事りじ長ちょう（元もと横綱よこづな・北勝海ほくとうみ）や、弟子でしの朝あさ乃山ら約やく350人にんが参列さんれつし、角界かくかい外部がいぶからは石毛いしげ宏典ひろのりや赤井あかい英和ひでかずなどが参列さんれつ。弟子でしの元朝がんちょう青あお龍りゅうも来賓らいひん扱あつかいではないが姿すがたを見みせた。

人物じんぶつ

• 本場所ほんばしょで支度したく部屋へやでの朝あさ潮しおは面白おもしろいキャラクターそのもので、その日ひの勝敗しょうはいについてよくマスコミと冗談じょうだんも交まじえて談笑だんしょうして雰囲気ふんいきを盛もり上あげたものであった。のちに相撲すもう協会きょうかいの広報こうほう部長ぶちょうに就ついたのも、持もち前まえの話術わじゅつをうまく生いかしていたものと言いえた。「高砂たかさご部屋へやの芸能げいのう部長ぶちょう」を自認じにんし、CMにも出演しゅつえん、また1984年ねんにはラジオシティレコードから「ほたる川がわ」で歌手かしゅデビューするなどの活動かつどうもあった。現役げんえき時代じだいは稽古けいこ嫌ぎらいなどと一部いちぶからは指摘してきされていたが、実際じっさいには富士ふじ櫻さくらや高見山たかみやまに半殺はんごろしに近ちかい猛もう稽古けいこを付つけられており、大関おおぜき昇進しょうしん後ごも5代だい高砂たかさごから稽古けいこ中ちゅうに当あたり前まえのように竹刀しないで叩たたかれていたところを見みた後援こうえん者しゃが親方おやかたに「朝あさ潮しおはもう大関おおぜきなんだから竹刀しないで叩たたくのをやめろよ」と意見いけんしたこともある。
• 子供こどもの頃ころから大おおきかったため「大だいちゃん」と呼よばれ、相撲すもうを知しらない人ひとでも名前なまえだけは聞きいたことがあるという人ひとが多おおかったほどの人気にんきを博はくした大関おおぜきであった。

家族かぞく

• 父ちちは元もと漁師りょうし・捕鯨ほげい船せん砲手ほうしゅ。父ちちは捕鯨ほげい船せんの砲手ほうしゅとして長ながい航海こうかいに出でる生活せいかつで、父ちちと邂逅かいこうするのは年としに2回かいだけだったという。仕事しごと柄がら上じょう父親ちちおやが一度いちど出港しゅっこうすると何なんヶ月かげつも帰かえって来こないため、長岡ながおか少年しょうねんは心配しんぱいする家族かぞくを思おもい子供こどもの時ときから明あかるく振ふる舞まい、そのまま大人おとなになった。

エピソード

大学だいがく時代じだい

• 近大きんだい1年生ねんせいの頃ころにひよっこ部員ぶいんであった長岡ながおかは大学だいがくのコーチの吉村よしむら道明みちあきを稽古けいこ場じょうで負まかし、吉村よしむらはショックを受うけてすぐにコーチを辞やめてしまった。
• 近大きんだいに入学にゅうがくした時とき、当時とうじはハラスメントという概念がいねんがない時代じだいであったが、相撲すもう部ぶのしごきの中なかでも最さい難関なんかんは「セミ」というしごきで、下級生かきゅうせいが巨体きょたいで木きにしがみつきながらそのまま木きから落おちないように大声おおごえで「ミーン・ミン」とセミの鳴なき真似まねをするものである。1年生ねんせいだった長岡ながおかは木きにしがみつき「ツクツクボウシ、ツクツクボウシ」と叫さけび、その場ばの全員ぜんいんが大笑おおわらいで、それ以来いらい近大きんだいの夏なつの風物詩ふうぶつしでもあった「セミしごき」はなくなったという。「どんな状況じょうきょうでも相手あいてを笑わらわせて場ばを和なごませることが大事だいじなんだ」とのことで、朝あさ青あお龍りゅう騒動そうどうの時ときも「ダブル虹にじを見みた」など、場違ばちがいの発言はつげんをしてひんしゅくを買かった。その夜よる記者きしゃが「なんで?」と聞きいたら「怒おこられると分わかってたけど、それがオレのキャラなんだよ」と豪快ごうかいに笑わらった。

同どう世代せだいの力士りきしとの関かかわり

• 2016年ねん7月がつ31日にち、高砂たかさごと同どう学年がくねん（1955年ねん生うまれ）で「昭和しょうわの大だい横綱よこづな」と呼よばれた元もと横綱よこづな・千代ちよの富士ふじの九重ここのえが61歳さいで死去しきょ。その訃報ふほうに接せっし高砂たかさごは「最後さいごに会あったのは5月がつ場所ばしょの初日しょにち。監察かんさつ室しつで余あまりに細ほそくなった顔かおを見みて『痩やせたねえ』と声こえ掛かけたら『健康けんこう管理かんりの為ためにダイエットしてるんだよ』と強つよがって返かえした。治療ちりょうしてる事ことを一切いっさい言いわず、弱よわみを見みせたくなかったのだろう。そうやって我がを張はって生いきたのがマイナスになったかも知しれないが、我がを張はらなかったらアイツじゃない。千代ちよの富士ふじらしい生いきざまを、最後さいごまで貫つらぬいてくれたと思おもう」と追悼ついとうのコメントを述のべていた。目線めせんを下さげるのが苦手にがてで今こん一ひとつ人望じんぼうに恵めぐまれなかった九重ここのえにとって高砂たかさごは角界かくかいにおける数少かずすくない理解りかい者しゃであったという。

親方おやかたとして

• 弟子でしの朝あさ青あお龍りゅうについては自著じちょ『親方おやかたはつらいよ』で「一番いちばん手てこずらされた弟子でし」と評ひょうしており、「取組とりくみ後ごの感情かんじょうがコントロールが上手うまくない、すぐに泣なく、騒動そうどう時じはショックで放心ほうしん状態じょうたいだったりと、感情かんじょうの起伏きふくが激はげしく繊細せんさい」と分析ぶんせきしている。同どう著ちょでは「品格ひんかく」という実態じったいのないものの中なかに横綱よこづなを押おし込こめるのは良よくないとも主張しゅちょうしている。
• 朝あさ青あお龍りゅうが起おこした2007年ねん（平成へいせい19年ねん）夏なつ以降いこうの一連いちれんの出場しゅつじょう停止ていし騒動そうどうの際さいは、療養りょうようのためモンゴルに帰国きこくする朝あさ青あお龍りゅうに同行どうこうし、行動こうどうに全ぜん責任せきにんを持もつと神妙しんみょうに話はなしていたのにもかかわらず、数日すうじつで日本にっぽんに戻もどってきた際さいには朝あさ青あお龍りゅうの療養りょうよう先さきの温泉おんせんについて、記者きしゃ会見かいけんで「肌はだがツルツル」と感想かんそうを語かたり、「ダブルアーチの虹にじを見みた」などと場違ばちがいな発言はつげんまでして、記者きしゃは騒然そうぜんとした。あまりにも深刻しんこくな雰囲気ふんいきに、親方おやかたは笑わらいを取とらねばと思おもったという
• 2015年ねん12月9日にち、満まん60歳さいとなる還暦かんれきを迎むかえ、同年どうねん12月21日にちには高砂たかさごの還暦かんれきを祝いわうパーティーを開催かいさい、その際さいに親方おやかたは赤あかい羽織はおりと帽子ぼうしを着用ちゃくようして現あらわれた。そのパーティーの席上せきじょうで、高砂たかさご自みずから「朝あさ青あお龍りゅうという強つよくて困こまった横綱よこづなを作つくりましたが、今後こんごは和製わせい（横綱よこづな）を作つくりたい。これが定年ていねんまでの残のこされた5年ねんの私わたしの夢ゆめ。至いたらぬ親方おやかた、出来できの悪わるい弟子でしですが宜よろしくお願ねがいします」と苦笑にがわらいしつつ関係かんけい者しゃらに挨拶あいさつした。

停年ていねん退職たいしょくに際さいして

• 『FLASH』2020年ねん12月22日にち号ごうのインタビューでは、角界かくかい入いりしてから「打倒だとう・北きたの湖うみ」を目標もくひょうに掲かかげていたこと、輪島わじまを打倒うちたおすべき目標もくひょうとしていた北きたの湖うみとは違ちがう「同おなじ学生がくせい相撲すもう出身しゅっしん者しゃとしての憧あこがれ」と位置付いちづけていたこと、1989年ねん3月がつ場所ばしょは角番かどばんでもなかったが第だい二にの故郷こきょうで行おこなわれる特別とくべつな場所ばしょである大阪おおさか場所ばしょだからこそ引退いんたい場所ばしょとして選えらんだことなどを語かたった。引退いんたい後ごに出演しゅつえんした『なるほど!ザ・ワールド』は本人ほんにん曰いわく準じゅんレギュラーであったとのこと。

弟子でしとの関かかわり

• 停年ていねん退職たいしょくの際さいに、朝あさ青あお龍りゅうとは「もし、メールを送おくってきても、読よまずに消けすよ!」と絶縁ぜつえん状態じょうたいであることを示しめした。部屋へやを継承けいしょうした朝あさ赤あか龍りゅうを同どうインタビューで「(朝あさ青あお龍りゅうと)同おなじモンゴル人じんなのに、まったくタイプが違ちがうね。彼かれほど、おとなしい人ひとは珍めずらしいよ。とにかく人当ひとあたりがいいんだ。親方おやかたとしてのポリシー?まあ、嘘うそをつかない、人ひとを騙だまさないってことですよ。人ひとの生いき方かたとまったく同おなじだよ」と前向まえむきに評価ひょうかしていた。
• 朝あさ青あお龍りゅうが不祥事ふしょうじを受うけて引退いんたいしたのちは、朝あさ青あお龍りゅうの話題わだいは自身じしんの前まえではタブーとなったが、「稽古けいこは一番いちばんやっていた。自分じぶんでやらなきゃいけないことが、よく分わかっていた」と朝あさ青あお龍りゅうを認みとめていたことが、自身じしんの死去しきょの際さいに明あきらかになっている。

フィクション作品さくひんとの関かかわり

• いしいひさいちの4コマ漫画まんがでも主人公しゅじんこうとなり、『ワイはアサシオや』という単行本たんこうぼんになったほど。なお、彼かれ自身じしんこの漫画まんがのファンで、いつも読よんでは爆笑ばくしょうしていたという。また、木村きむらえいじの漫画まんが『達磨だるま』の、達磨だるま親方おやかた役やくも本人ほんにんの公認こうにん済ずみ。

私生活しせいかつ

• 1985年ねん6月がつにコノミヤの社長しゃちょう令嬢れいじょうである芋いも縄なわ恵めぐみと婚約こんやくした。恵めぐみが朝あさ潮しおのファンで、今宮戎いまみやえびす神社じんじゃの福ぶく娘むすめに選えらばれたときのテレビのインタビューでそのことを話はなしていたのを、たまたま朝あさ潮しおの両親りょうしんが見みていた。恵めぐみの父ちち・純じゅん市しも同おなじ近大きんだい卒そつであることから縁えんがつながり、お見合みあいにこぎつけた。お見合みあいをはしごして有馬ありま温泉おんせんから遅刻ちこくも、待まっていた夫人ふじんに「ピンときた」と後のちは押おしの一いち手てであった。1986年ねん1月がつに挙式きょしきした。

その他た

• 現役げんえき最さい末期まっきの1989年ねん（平成へいせい元年がんねん）頃ごろ、「人気にんきはあっても歯応はごたえのないもの」を漫画まんが家かのいわみせいじは当時とうじ連載れんさい中ちゅうの『まんがスポーツ』（芳文社ほうぶんしゃ、現在げんざい休刊きゅうかん）で「阪神はんしん・朝あさ潮しお・ハンバーグ」と取とり上あげていた。

主おもな成績せいせき

• 通算つうさん成績せいせき：564勝しょう382敗はい33休きゅう　勝率しょうりつ.596
• 幕内まくうち成績せいせき：531勝しょう371敗はい33休きゅう　勝率しょうりつ.589
• 大関おおぜき成績せいせき：294勝しょう203敗はい33休きゅう　勝率しょうりつ.592
• 幕内まくうち在位ざいい：63場所ばしょ
• 大関おおぜき在位ざいい：36場所ばしょ（引退いんたい当時とうじ貴たかノ花はなの50場所ばしょに次ついで歴代れきだい2位い、現在げんざいは歴代れきだい8位い）
• 三さん役やく在位ざいい：13場所ばしょ (関脇せきわけ9場所ばしょ、小結こむすび4場所ばしょ)
• 対たい横綱よこづな戦せん勝利しょうり：40勝しょう（歴代れきだい4位い・最高さいこう位いが大関おおぜき以下いかの力士りきしの中なかでは歴代れきだい1位い、不戦勝ふせんしょう(対たい北きたの湖うみ戦せんの1勝しょう)を除のぞく）
• 三さん賞しょう：14回かい
  • 殊勲賞しゅくんしょう：10回かい(1980年ねん3月がつ場所ばしょ、1980年ねん5月がつ場所ばしょ、1980年ねん7月がつ場所ばしょ、1981年ねん5月がつ場所ばしょ、1981年ねん7月がつ場所ばしょ、1981年ねん11月場所ばしょ、1982年ねん5月がつ場所ばしょ、1982年ねん7月がつ場所ばしょ、1983年ねん1月がつ場所ばしょ、1983年ねん3月がつ場所ばしょ)(最多さいた受賞じゅしょう回数かいすう)
  • 敢闘かんとう賞しょう：3回かい（1979年ねん1月がつ場所ばしょ、1979年ねん9月がつ場所ばしょ、1982年ねん5月がつ場所ばしょ）
  • 技能ぎのう賞しょう：1回かい（1983年ねん1月がつ場所ばしょ）
• 金星かなぼし：5個こ（北きたの湖うみ4個こ、輪島わじま1個いっこ）
• 通算つうさん（幕内まくうち）連続れんぞく勝かち越こし記録きろく：26場所ばしょ（歴代れきだい7位いタイ・1984年ねん1月がつ場所ばしょ〜1988年ねん3月がつ場所ばしょ）
• 各かく段だん優勝ゆうしょう
  • 幕内まくうち最高さいこう優勝ゆうしょう：1回かい（1985年ねん3月がつ場所ばしょ）
  • 幕下まくした優勝ゆうしょう：1回かい (1978年ねん3月がつ場所ばしょ)

場所ばしょ別べつ成績せいせき

朝あさ潮うしお太郎たろう（4代目だいめ）

	一いち月がつ場所ばしょ 初場所はつばしょ（東京とうきょう）	三さん月がつ場所ばしょ 春場所はるばしょ（大阪おおさか）	五月ごがつ場所ばしょ 夏場所なつばしょ（東京とうきょう）	七なな月がつ場所ばしょ 名古屋なごや場所ばしょ（愛知あいち）	九月場所くがつばしょ 秋場所あきばしょ（東京とうきょう）	十一月じゅういちがつ場所ばしょ 九州きゅうしゅう場所ばしょ（福岡ふくおか）
1978年ねん （昭和しょうわ53年ねん）	x	幕下まくした付づけ出で60枚まい目め 優勝ゆうしょう 7–0	西にし幕下まくした6枚まい目め 6–1	西にし十じゅう両りょう13枚まい目め 10–5	東ひがし十じゅう両りょう5枚まい目め 10–5	西前にしまえ頭あたま13枚まい目め 9–6
1979年ねん （昭和しょうわ54年ねん）	東ひがし前頭まえがしら6枚まい目め 10–5 敢	東ひがし前頭まえがしら筆頭ひっとう 5–10	東ひがし前頭まえがしら6枚まい目め 6–9	東ひがし前頭まえがしら10枚まい目め 6–9	東ひがし前頭まえがしら14枚まい目め 10–5 敢	西前にしまえ頭あたま6枚まい目め 7–8
1980年ねん （昭和しょうわ55年ねん）	東ひがし前頭まえがしら7枚まい目め 8–7	西前にしまえ頭あたま2枚まい目め 10–5 殊こと★	東ひがし小結こむすび 10–5 殊こと	西にし関脇せきわけ 11–4 殊こと	東ひがし関脇せきわけ 6–9	西前にしまえ頭あたま2枚まい目め 7–8
1981年ねん （昭和しょうわ56年ねん）	東ひがし前頭まえがしら3枚まい目め 8–7 ★★	東ひがし前頭まえがしら筆頭ひっとう 8–7	西にし小結こむすび 9–6 殊こと	東ひがし張ちょう出いずる関脇せきわけ 11–4 殊こと	西にし関脇せきわけ 7–8	西にし張ちょう出いずる小結こむすび 12–3 殊こと
1982年ねん （昭和しょうわ57年ねん）	西にし関脇せきわけ 6–9	西前にしまえ頭あたま筆頭ひっとう 8–7 ★	西にし小結こむすび 13–2 殊こと敢	西にし関脇せきわけ 8–7 殊こと	西にし張ちょう出いずる関脇せきわけ 7–8	東ひがし前頭まえがしら筆頭ひっとう 9–6 ★
1983年ねん （昭和しょうわ58年ねん）	西にし関脇せきわけ 14–1 殊こと技わざ	東ひがし関脇せきわけ 12–3 殊こと	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき2 9–6	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 6–3–6	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 休場きゅうじょう 0–0–15
1984年ねん （昭和しょうわ59年ねん）	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 10–5	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 10–5	西にし大関おおぜき 8–7	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 11–4	西にし大関おおぜき 10–5
1985年ねん （昭和しょうわ60年ねん）	西にし大関おおぜき 9–6	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 13–2	東大とうだい関せき 11–4	東大とうだい関せき 9–6	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6
1986年ねん （昭和しょうわ61年ねん）	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 10–5	西にし大関おおぜき 9–6	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	西にし大関おおぜき 8–7
1987年ねん （昭和しょうわ62年ねん）	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 8–7	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 8–7	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 8–7
1988年ねん （昭和しょうわ63年ねん）	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 8–7	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 1–2–12	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 8–7	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 9–6	西にし大関おおぜき 4–11
1989年ねん （平成へいせい元年がんねん）	西にし張ちょう出いずる大関おおぜき 8–7	東ひがし張ちょう出いずる大関おおぜき 引退いんたい 0–5–0	x	x	x	x
各かく欄らんの数字すうじは、「勝かち-負まけ-休場きゅうじょう」を示しめす。    優勝ゆうしょう 引退いんたい 休場きゅうじょう 十じゅう両りょう 幕下まくした 三さん賞しょう：敢=敢闘かんとう賞しょう、殊こと=殊勲賞しゅくんしょう、技わざ=技能ぎのう賞しょう     その他た：★=金星かなぼし 番付ばんづけ階級かいきゅう：幕内まくうち - 十じゅう両りょう - 幕下まくした - 三さん段だん目め - 序じょ二に段だん - 序ノ口じょのくち 幕内まくうち序列じょれつ：横綱よこづな - 大関おおぜき - 関脇せきわけ - 小結こむすび - 前頭まえがしら（「#数字すうじ」は各位かくい内ないの序列じょれつ）

対戦たいせん

主おもな力士りきしとの幕内まくうち対戦たいせん成績せいせき

力士りきし名めい	勝かち数すう	負数ふすう	力士りきし名めい	勝かち数すう	負数ふすう	力士りきし名めい	勝かち数すう	負数ふすう	力士りきし名めい	勝かち数すう	負数ふすう
青葉あおば城じょう	8	3	青葉山あおばやま	0	1	安芸乃島あきのしま(安芸あきノ島しま)	1	2	旭あさひ國こく	1(1)	0
旭あさひ富士ふじ	5	22	天てんノ山やま	6	3	荒あら勢ぜい	8	1	板井いたい	10	1
岩波いわなみ(照あきらの山やま)	3	0	恵那櫻えなざくら	1	1	大潮おおしお	6	1	巨きょ砲ほう	25	11(1)
大だい錦にしき	4	2	大豊たいほう	2	1	魁輝かいき	4	4	魁さきがけ傑すぐる	1	0
北きた瀬せ海うみ	1	0	北きたの湖うみ	13(1)	7	騏ノ嵐あらし	1	1	霧島きりしま	6	0
起利錦きりにしき	2	0	麒麟児きりんじ	20	9	蔵ぞう間あいだ	17	3	黒瀬川くろせがわ	8	4
黒姫山くろひめさん	2	3	高こう望のぞむ山さん	8	1	琴稲妻こといなづま	0	1	琴きんヶ梅うめ	5	10
琴きん風ふう	10	16*	琴きん千せん歳さい	0	1	琴富士ことふじ	1	0	琴きん若わか	4	1
斉ひとし須	2	0	蔵玉くらだま錦にしき	5	4	逆鉾さかほこ	18	11(1)	佐田さたの海うみ	17	3
薩洲洋さっしゅうなだ	1	0	嗣子しし鵬おおとり	3	1	陣岳じんだけ	10	2	大だい旺	1	0
大だい觥	1	0	太ふとし寿山ことぶきやま	20	3	大だい徹てっ	5	0	隆りゅうの里さと	14	12
貴たかノ花はな	4(1)	5	孝こう乃富士し	3	2(1)	隆三りゅうぞう杉すぎ	3	0	多賀たが竜りゅう	8	0
谷たに嵐あらし	1	1	玉たま輝山てらしやま	0	1	玉たまノ富士ふじ	0	2	玉たま龍りゅう	4	1
千代ちよの富士ふじ	15	31**	寺尾てらお	7	4	出羽でわの花はな	28	12	闘たたかえ竜りゅう	8	5
栃とち赤城せきじょう	6	3	栃とち司つかさ	10	2	栃とち剣けん	2	2	栃とち乃和歌か	3	5
栃とち光ひかり	5	7	花はな乃湖	6	6	花はなノ国くに	2	1	播竜山やま	2(1)	0
飛騨ひだ乃花	4	0	藤ノ川ふじのかわ	2	1	双そう津つ竜りゅう	1	1	双そう羽黒はぐろ	4	12
鳳凰ほうおう	9	5	北きた天佑てんゆう	25(1)	16	北勝海ほくとうみ	11	15	前ぜん乃臻	1	0
増ぞう位山くらいやま	5	7	舛田ますだ山さん	8	8	益えき荒あら雄つよし	2	3	三重みえノ海うみ	1	3
三杉みすぎ磯いそ(東洋とうよう)	3	2	三杉里みすぎさと	1	0	豊山とよやま	2	3	両国りょうこく	6	3
若わか嶋津しまづ	13	20	若わか瀬川せかわ	4	0	若乃花わかのはな(若わか三さん杉すぎ)	6	9	若わかの富士ふじ	3	0
輪島わじま	2	6	鷲羽山わしゅうざん	5	1

（カッコ内ないは勝敗しょうはい数すうの中なかに占しめる不戦勝ふせんしょう・不戦敗ふせんぱいの数かず）

• 他たに優勝ゆうしょう決定けってい戦せんで千代ちよの富士ふじに2敗はい、琴きん風ふうに1敗はいがある。

隆りゅうの里さととは通算つうさんで2勝しょう勝かち越こしのほぼ互角ごかくの成績せいせきで、勝かったと思おもったら、翌よく場所ばしょは負まけるといった勝敗しょうはいの繰くり返かえしが目立めだち、因縁いんねんめいた対決たいけつが見物けんぶつであった。北きた天佑てんゆうは朝あさ潮しおが引退いんたいするまで、同おなじ大関おおぜきとして名めい勝負しょうぶを繰くり広ひろげていた。

但ただし、苦手にがて力士りきしも多々たた存在そんざいした。琴きん風ふうとは優勝ゆうしょうを争あらそったこともあり、成績せいせきでは負まけ越こしたものの、時々ときどき豪快ごうかいに勝かつこともありファンを湧わかせ、苦手にがてというよりはむしろライバル的てきな顔合かおあわせであった。だが、「昭和しょうわの大だい横綱よこづな」千代ちよの富士ふじが大関おおぜき昇進しょうしんして以降いこうは、殆ほとんど勝かてなくなった。また、後ごから出でてきて横綱よこづな昇進しょうしんを果はたした北勝海ほくとうみ・大だい乃国には2人ふたりが大関おおぜき時代じだい辺あたりから力ちから関係かんけいが逆転ぎゃくてんされ、さらに双そう羽黒はぐろ・近畿大学きんきだいがくの後輩こうはい旭あさひ富士ふじの2人ふたりには共ともに大おおきく引ひき離はなされてしまい、双そう羽黒はぐろには初はつ顔かおで敗やぶれてから分ぶんが悪わるく、旭あさひ富士ふじにはその柔やわらかさを苦手にがてにした。この4人にん全員ぜんいん揃そろって年齢ねんれい差さや体格たいかくの違ちがいからも勝かつことが難むずかしかったようだ。他ほかにも下位かい力士りきしに不覚ふかくを取とることが日常にちじょう茶飯事さはんじで、元もと関脇せきわけ・琴きんヶ梅うめには5勝しょう10敗はい、元もと関脇せきわけ・栃とち乃和歌かには3勝しょう5敗はいと負まけ越こすなど、成績せいせきも安定あんてい感かんに欠かける面めんがあり、優勝ゆうしょうも1回かいだけで2桁けた勝利しょうりは意外いがいと少すくなかった。

対たい千せん代だいの富士ふじ戦せんの幕内まくうち15勝しょうは勝かち越こした隆たかしの里さとに次ついで多おおい。

対たい横綱よこづな北きたの湖うみ

対戦たいせん成績せいせき

場所ばしょ	朝あさ潮しお	決きまり手しゅ	北湖きたこ	勝敗しょうはい	解説かいせつ
昭和しょうわ54年ねん3月がつ	●	寄より切きり	○	0–1	初はつ対決たいけつは先輩せんぱいの意地いじを見みせた北きたの湖うみが先制せんせい。北きたの湖うみ「オレに勝かつのはまだ3年ねん早はやい」。朝あさ汐しおはこの場所ばしょ初日しょにちから8連敗れんぱいで初はつの負まけ越ごし。
昭和しょうわ55年ねん3月がつ	○	引ひき落おとし	●	1–1	立合たちあいから突つっ張ぱり合あいとなり、朝あさ汐しおが突進とっしんする北きたの湖うみの僅わずかな隙すきを突ついて土俵際どひょうぎわで右みぎに回まわって叩たたき込こむ。横綱よこづな戦せんに初はつ勝利しょうりした朝あさ汐しおは初はつの殊勲賞しゅくんしょう受賞じゅしょう。
昭和しょうわ55年ねん5月がつ	○	押おし出だし	●	2–1	北きたの湖うみまさかの連敗れんぱいで「どうした北きたの湖うみ」とファンを心配しんぱいさせた一番いちばん。同おなじ相手あいてに対たいしての連敗れんぱい癖へきも露呈ろてい。
昭和しょうわ55年ねん7月がつ	●	寄より切きり	○	2–2	北きたの湖うみ、朝あさ汐しおに土俵際どひょうぎわまで攻せめ込こまれたが、凄すさまじい形相ぎょうそうで反撃はんげきし辛勝しんしょう。この場所ばしょの北きたの湖うみは全勝ぜんしょう優勝ゆうしょうを飾かざる充実じゅうじつ振ふり、朝あさ汐しおも北きたの湖うみには勝かてなかったものの他ほかの上位じょうい陣じんに勝かったことから3場所ばしょ連続れんぞく殊勲賞しゅくんしょうを受賞じゅしょう。
昭和しょうわ55年ねん9月がつ	●	寄より切きり	○	2–3	再ふたたび圧倒的あっとうてきな強つよさで北きたの湖うみが朝あさ汐しおに勝かち越こす。これを最後さいごに以後いご北きたの湖うみが朝あさ汐しおに勝かち越こすことはなかった。
昭和しょうわ56年ねん1月がつ	○	突つき落おとし	●	3–3	朝あさ汐しおが引ひき技わざで北きたの湖うみの連勝れんしょうに待まったを掛かける。この後のち北きたの湖うみは14勝しょう1敗はいで千代ちよの富士ふじとの優勝ゆうしょう決定けってい戦せんに臨のぞみ敗やぶれている。
昭和しょうわ56年ねん5月がつ	○	引ひき落おとし	●	4–3	またも朝あさ汐しおの引びきに北きたの湖うみが不覚ふかく。北きたの湖うみは14勝しょう1敗はいで優勝ゆうしょうしたものの、この頃ころから朝あさ汐しおを苦手にがてとするようになる。朝あさ汐しおは当時とうじ現役げんえき力士りきしで唯一ゆいいつ北きたの湖うみに勝かち越こし。
昭和しょうわ56年ねん7月がつ	○	突とっき倒だおし	●	5–3	北きたの湖うみが初日しょにちから13連勝れんしょうで14日にち目めに組くまれた一番いちばん。立合たちあい北きたの湖うみは反射はんしゃ的てきに苦手にがて意識いしきを露呈ろてい、突つっ張はり合あいの末すえに朝あさ汐しおに突つかれ、尻餅しりもちをついて土俵どひょう下かまで転落てんらく。
昭和しょうわ56年ねん9月がつ	○	寄より切きり	●	6–3	朝あさ汐しおはこの場所ばしょ負まけ越こしながらも、14日にち目め北きたの湖みずうみに勝利しょうり。この一番いちばんにより北きたの湖うみと優勝ゆうしょうを争あらそっていた琴きん風ふうが初はつ優勝ゆうしょうとなったが、翌日よくじつ千秋楽せんしゅうらくで朝あさ汐しおはその琴きん風ふうにも土どをつけている。
昭和しょうわ56年ねん11月	□	不戦ふせん	■	7–3	それまで皆勤かいきんだった北きたの湖うみが初はつ休場きゅうじょうし朝あさ汐しおが不戦勝ふせんしょう。この場所ばしょの朝あさ汐しおは12勝しょう3敗はいで優勝ゆうしょう同点どうてん。
昭和しょうわ57年ねん1月がつ	●	寄より倒たおし	○	7–4	北きたの湖うみが朝あさ汐しおを堂々どうどうと寄より倒たおし久々ひさびさに雪辱せつじょくを果はたす。北きたの湖うみはそのまま千秋楽せんしゅうらくまで連勝れんしょうを重かさね、13勝しょう2敗はいで優勝ゆうしょう。
昭和しょうわ57年ねん3月がつ	○	押おし出だし	●	8–4	また朝あさ汐しおが先さき場所ばしょ以来いらい続つづいていた北きたの湖うみの連勝れんしょうにストップをかける。
昭和しょうわ57年ねん5月がつ	○	押おし出だし	●	9–4	北きたの湖うみあっけない負まけ方かた、曰いわく「なぜか知しらないけど、あららという間あいだに負まけちゃう」。朝あさ汐しおは13勝しょう2敗はいで優勝ゆうしょう同点どうてんと優勝ゆうしょう争あらそいでも健闘けんとう。
昭和しょうわ57年ねん9月がつ	●	寄より切きり	○	9–5	横綱よこづならしい堂々どうどうたる取とり口くちで北きたの湖うみが快勝かいしょう。この頃ころから両者りょうしゃの対戦たいせんは新聞しんぶんのスポーツ欄らんのトップを飾かざるようになる。
昭和しょうわ57年ねん11月	○	押おし出だし	●	10–5	北きたの湖うみが初日しょにちからいきなり敗やぶれる。
昭和しょうわ58年ねん1月がつ	○	掬すくい投なげ	●	11–5	立合たちあいから北きたの湖うみが優勢ゆうせいで思おもい切きって朝あさ潮しおを追おい込こんだが、土俵際どひょうぎわで逆転ぎゃくてんされ、受うけに回まわると朝あさ潮しおに攻せめ込こまれた。
昭和しょうわ59年ねん1月がつ	○	寄より切きり	●	12–5	1年ねんぶりの対戦たいせんだったが朝あさ潮しおが圧勝あっしょう。朝あさ潮しおはこの場所ばしょ千せん代だいの富士ふじと隆たかしの里さとの二に横綱よこづなも破やぶって「横綱よこづなキラー」の異名いみょうをとる。
昭和しょうわ59年ねん3月がつ	○	寄より切きり	●	13–5	北きたの湖うみにとっては幕内まくうち通算つうさん1000回かい出場しゅつじょうという記念きねんすべき日ひだったが、またも朝あさ潮しおに敗やぶれて、曰いわく、「どうしてオレの時ときだけ強つよいんだ」。朝あさ潮しおはこの場所ばしょも三さん横綱よこづなを総そうなめ。
昭和しょうわ59年ねん5月がつ	●	寄より切きり	○	13–6	朝あさ潮しおが優勢ゆうせいで北きたの湖うみを追おい込こんだが、土俵際どひょうぎわで体からだが入いれ替かわり、北きたの湖うみがそのまま寄より切きる。北きたの湖うみはこの場所ばしょ最後さいごの全勝ぜんしょう優勝ゆうしょう。
昭和しょうわ59年ねん7月がつ	●	寄より切きり	○	13–7	北きたの湖うみ、万全ばんぜんの相撲すもうで朝あさ潮しおに連勝れんしょう。北きたの湖うみにとっては15日間にちかん出場しゅつじょうした場所ばしょで最後さいごの白星しろぼしとなった一番いちばん。

対戦たいせん分析ぶんせき

現役げんえき時じには最強さいきょうの名なをほしいままにした横綱よこづな・北きたの湖うみが何故なぜ朝あさ潮しおを苦手にがてとしていたのか? これには様々さまざまな説せつがあるが、集約しゅうやくしてみると次つぎの通とおりである。

• 朝あさ潮しおのゆっくりした仕切しきりに、北きたの湖うみの気持きもちが焦じらされた（時間じかん的てきに見みると、普通ふつうの力士りきしの倍ばい以上いじょう掛かかっている）。
• 引びき技わざ・いなしを得意とくいとした朝あさ潮しおに思おもい切きって出でて行いけず、そこを朝あさ潮しおに攻せめられた。
• 朝あさ潮しおの引びき技わざに相撲すもう勘かんが働はたらきにくかった。
• 高見山たかみやまとの稽古けいこで身みにつけた朝あさ潮しおのぶちかましが、横綱よこづなをも後退こうたいさせるほど強烈きょうれつだった（実力じつりょく的てきな面めんでの見解けんかい）。
• 朝あさ潮しおの顔かおを見みると思おもわず笑わらいそうになりそれを堪こたえ切きれず負まけてしまう（ビートたけしの発言はつげん）。

北きたの湖うみ本人ほんにんも「何故なぜそうなったのか分わからない」と言いうほど、朝あさ潮しおの攻せめは計算けいさん出来できないものだったらしいが、全体ぜんたい的てきに見みると、上記じょうきの要因よういんがそれぞれ複雑ふくざつに作用さようして結果けっかに現あらわれたと推察すいさつされる。朝あさ潮しおの取とり口くちの工夫くふうなどもあり、「苦手にがて意識いしき」「考かんがえすぎ」といわれるようなマイナスの心しん的てき要因よういんが働はたらいて、北きたの湖うみが出足であしを鈍なまらされたことはほぼ間違まちがいないと言いっていいだろう。このような心理しんりが起因きいんして予想よそう外がいの結果けっかを生うむことは、他たのスポーツ界かいでも見みられるものである。

北きたの湖うみが朝あさ潮しおに連勝れんしょうを止とめられたケース

北きたの湖うみは6度どに渡わたって朝あさ潮しおに初日しょにちからの連勝れんしょうを止とめられている。そのうち3度どは朝あさ潮しおからの黒星くろぼしのみの14勝しょう1敗はい、3度どは優勝ゆうしょう同点どうてんまたは優勝ゆうしょう次点じてんに終おわっており、そのいずれも千秋楽せんしゅうらくの対たい千せん代だいの富士ふじ戦せんに敗やぶれ、千代ちよの富士ふじに優勝ゆうしょうをさらわれる結果けっかとなっている。

場所ばしょ	対戦たいせん日び	北きたの湖うみの成績せいせき	備考びこう
昭和しょうわ55年ねん3月がつ	11日にち目め	13勝しょう2敗はい 優勝ゆうしょう
昭和しょうわ55年ねん5月がつ	9日にち目め	14勝しょう1敗はい 優勝ゆうしょう
昭和しょうわ56年ねん1月がつ	10日とおか目め	14勝しょう1敗はい 優勝ゆうしょう同点どうてん	本ほん割わりでは14戦せん全勝ぜんしょうの関脇せきわけ千せん代だいの富士ふじを破やぶったが、優勝ゆうしょう決定けってい戦せんで敗北はいぼく。
昭和しょうわ56年ねん5月がつ	8日にち目め	14勝しょう1敗はい 優勝ゆうしょう	前ぜん場所ばしょからの連勝れんしょうが15でストップ
昭和しょうわ56年ねん7月がつ	14日にち目め	13勝しょう2敗はい 優勝ゆうしょう次点じてん	前ぜん場所ばしょからの連勝れんしょうが20でストップ。1敗はい同士どうしの相あい星ほし決戦けっせんで大関おおぜき千代ちよの富士ふじに敗北はいぼく。
昭和しょうわ57年ねん3月がつ	7日にち目め	11勝しょう4敗はい 優勝ゆうしょう次点じてん	前ぜん場所ばしょからの連勝れんしょうが16でストップ。2敗はいの横綱よこづな千せん代だいの富士ふじに敗北はいぼく（勝利しょうりすれば決定けってい戦せんだった）。

改名かいめい歴れき

• 長岡ながおか 末まつ弘ひろし（ながおか すえひろ）1978年ねん3月がつ場所ばしょ-1979年ねん1月がつ場所ばしょ
• 朝あさ汐しお 太郎たろう（あさしお たろう）1979年ねん3月がつ場所ばしょ-1982年ねん9月がつ場所ばしょ
• 朝あさ潮うしお 太郎たろう（あさしお たろう）1982年ねん11月場所ばしょ-1989年ねん3月がつ場所ばしょ

年寄としより変遷へんせん

• 山やま響ひびき 末まつ弘ひろし（やまひびき すえひろ）1989年ねん3月がつ-1990年ねん3月がつ
• 若松わかまつ 末まつ弘ひろし（わかまつ -）1990年ねん3月がつ-2002年ねん2月がつ
• 髙砂 浦うら五ご郎ろう（たかさご うらごろう）2002年ねん2月がつ-2020年ねん11月
• 錦にしき島とう 末まつ弘ひろし（にしきじま すえひろ）2020年ねん11月-2021年ねん6月がつ

関連かんれん項目こうもく

• 大関おおぜき一覧いちらん
• 大相撲おおずもう優勝ゆうしょう力士りきし一覧いちらん
• 高知こうち県けんの高校こうこう相撲すもう部ぶ出身しゅっしんの一覧いちらん
• 朝あさ青あお龍りゅう明徳あきのり

外部がいぶリンク

• 朝あさ潮うしお 太郎たろう - 日本にっぽん相撲すもう協会きょうかい