はな

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
から転送てんそう
さくらはな
いろいろなはな

はな(はな、はなともく。花卉かき-かき=漢字かんじ制限せいげんのため、「き」とかれることがおおい)とは、植物しょくぶつ成長せいちょうしてつけるもので、おおくは綺麗きれいはなびらにかざられる。はなれると果実かじつができて、種子しゅしができる。おおくのものが観賞かんしょうようもちいられる。生物せいぶつがくまとには種子しゅし植物しょくぶつ生殖せいしょく器官きかんである。また、植物しょくぶつ代表だいひょうてき器官きかんとして、「植物しょくぶつたね)」そのものの代名詞だいめいしてき使つかわれることもおお[1]植物しょくぶつはな生花せいか(せいか)、かみぬの金属きんぞくなどでつくられたはな造花ぞうか(ぞうか)という。

生物せいぶつがくてきはな[編集へんしゅう]

はな定義ていぎ[編集へんしゅう]

はな雌蕊めしべ雄蕊おしべふくむ(ないものもある)、いち有限ゆうげんくきいただき胞子ほうしはな)とみのり付属ふぞくぶつなどから構成こうせいされた、種子しゅし植物しょくぶつ生殖せいしょく器官きかんである。

しかし、その厳密げんみつ定義ていぎについては複数ふくすうかんがかた存在そんざいする。

  1. 被子植物ひししょくぶつ生殖せいしょく器官きかんはなとするかんがかた
  2. 胚珠はいしゅのある生殖せいしょく器官きかんはなとするかんがかた被子植物ひししょくぶつ裸子植物らししょくぶつ
  3. 生殖せいしょく器官きかん密集みっしゅうしたものをはなとするかんがかた

はなは、胞子ほうしえださきかたまった構造こうぞうからしょうじたとられるが、この意味いみひろかんがえれば、普通ふつう被子植物ひししょくぶつはな以外いがいに、裸子植物らししょくぶつにおけるまつぼっくりなどのもとになる構造こうぞうや、さらにはスギナ胞子ほうしであるツクシのようなものまでがはなえてしまう。2は、まつぼっくりまでははなだというもので、3は、ツクシもはなだという立場たちばえる。

1はアメリカの研究けんきゅうしゃおおく、2はヨーロッパの研究けんきゅうしゃおおい。19世紀せいきは3のかんがかた主流しゅりゅうだったが、現在げんざいでは一番いちばん合理ごうりてきとされる2が主流しゅりゅうになりつつある。

構造こうぞう[編集へんしゅう]

はな全体ぜんたい構造こうぞうは、1ほんえだに、先端せんたんほうからだい胞子ほうししょう胞子ほうし不実ふじつならんだ構造こうぞうが、ごくみじかくつまったものとなせる。

典型てんけいてきはなは、えだからびたさきにつき、中心ちゅうしん雌蕊めしべをもち、その周囲しゅうい雄蕊おしべかこむ。その周囲しゅういには、はなびらがくなどが配置はいちする。雄蕊おしべでは花粉かふんつくられ、雌蕊めしべには胚珠はいしゅはいっている。この両者りょうしゃはたらきで種子しゅしつくられる。

裸子植物らししょくぶつにおいては、雌雄しゆうはな普通ふつうで、じく中心ちゅうしん胞子ほうし由来ゆらい鱗片りんぺんじょう構造こうぞうならんだかたちるのが普通ふつうである。

被子植物ひししょくぶつでは、はなびらやがくといった装飾そうしょくてき構造こうぞう多数たすうくわわることがおおい。したがって、その構造こうぞう中心ちゅうしんだい胞子ほうし由来ゆらい雌蕊めしべ、その外側そとがわしょう胞子ほうし由来ゆらい雄蕊おしべ、そしてその外側そとがわ由来ゆらい花弁はなびら、そしていち番外ばんがいがわにやはり由来ゆらいがくくというかたちになる。花弁はなびらがくはまとめてはなばれる。ただし、すべてのはながこのような構造こうぞうっているわけではなく、はなびらやがくなどがないはなおおい。とくに、風媒花ふうばいかなどでは、はなびらの欠損けっそん退化たいかられるものがおおい。イネ場合ばあいこのようなはなしょうという。

1つのはな雄蕊おしべ雌蕊めしべそなえるはなおおいが、どちらかだけをつ、雌雄しゆうはなのものもある[2]雄蕊おしべ雌蕊めしべ両方りょうほうそなわっていても、片方かたがた機能きのうしていないれいや、どちらかがさきじゅくし、同時どうじにはこなさないようになっているれいおおい。

はな配列はいれつ状態じょうたい花序かじょという。花序かじょはなによってことなるが、ある一定いってい方式ほうしき沿ってならぶ。

つとは、はな花序かじょ基部きぶにつくのことをいう。つつみともいう。通常つうじょうは、小型こがたであるが花弁はなびらじょうになるものもある。

はな進化しんか[編集へんしゅう]

既知きち植物しょくぶつもっとふるいとされる被子植物ひししょくぶつ化石かせきアルカエフルクトゥス
ドクダミはな
にははなならび、個々ここはなしべめすしべ1ほんずつから
モクレンはな
中央ちゅうおう穂状すいじょうのものは外側そとがわしべ内側うちがわめすしべ、いずれも多数たすうあってらせんじょうなら

種子しゅし植物しょくぶつシダ植物しょくぶつから進化しんかするにともない、雄蕊おしべしょう胞子ほうしのうをつける胞子ほうしが、雌蕊めしべだい胞子ほうしのうをつける胞子ほうし各々おのおの変化へんかしてできたとかんがえられる。また、はなびら、がく起源きげんのものとかんがえられる。

被子植物ひししょくぶつはなが、どのようにして進化しんかしたかについては、おおきく2せつがある。

  1. 1雄蕊おしべ1雌蕊めしべ1はな1のはな原始げんしてきなものとなし、次第しだい複雑ふくざつ構造こうぞうのものが出現しゅつげんしたとするせつで、しんエングラー体系たいけい根拠こんきょとなっている。
  2. じく中心ちゅうしん多数たすう雄蕊おしべ雌蕊めしべはな螺旋らせんじょうならんだはな原始げんしてきなものとなし、次第しだいにそのかたち整理せいりされてきたとなすもので、クロンキスト体系たいけいはこれを基礎きそとする。

クロンキスト体系たいけいでは、そう子葉しよう植物しょくぶつつなではキクもっと進化しんかしたものとし、たん子葉しよう植物しょくぶつつなではランもっと進化しんかしたものとする。

生殖せいしょく様式ようしき[編集へんしゅう]

花粉かふんにより受粉じゅふんをさせ、生殖せいしょくおこなう。受粉じゅふん様式ようしきは、はな構造こうぞうにより自家じか受粉じゅふん他家たけ受粉じゅふんけられる。通常つうじょう他家たけ受粉じゅふんきることがのぞましいので、種類しゅるいによっては自家じか受粉じゅふんさまたげるような仕組しくみがられる。たとえば、雄蕊おしべ雌蕊めしべのどちらかさき成熟せいじゅくするようになっているのもそのひとつである。どちらがさきかでゆうせいさきじゅくまたはめすせいさきじゅくとよばれる[3]

また、花粉かふんはそのままでは移動いどうできないため、受粉じゅふんおこなうためにはなんらかの媒介ばいかい必要ひつようとなる。おもに媒介ばいかいしゃとなるのはふう動物どうぶつであり、ふう媒介ばいかいするものは風媒花ふうばいかばれる。動物どうぶつ媒介ばいかいするものはその媒介ばいかいしゃによって虫媒花ちゅうばいかとりなかだちはなコウモリなかだちはななどにかれる。動物どうぶつなかだちなかではとくむしによる媒介ばいかいおお[4]もっとふる媒介ばいかい方式ほうしきふうなかだちであるが、のちにより確実かくじつせいたかまる動物どうぶつなかだち発展はってんした。しかしながらひやたい地域ちいきにおいては単一たんいつじゅしゅによる樹林じゅりんおおいことや媒介ばいかいしゃとなる動物どうぶつ不足ふそくから、ふたたふうなかだちもどるものがおおく、かなりの樹木じゅもく風媒花ふうばいかとなっている[5]ぎゃく媒介ばいかい動物どうぶつおお熱帯ねったい地域ちいきにおいては動物どうぶつなかだち圧倒的あっとうてきで、熱帯ねったい樹木じゅもくの95%をめる[4]ふうなかだちちがい、むしとりなど動物どうぶつ受粉じゅふん媒介ばいかいさせる場合ばあいはな動物どうぶつせる必要ひつようがあるため、おおくのはなみつせんからみつ分泌ぶんぴつし、動物どうぶつはなおとずれるようにさせる。こうしたみつしょく動物どうぶつにとってはなみつ重要じゅうよう食料しょくりょうであるが、花粉かふんそのものを食糧しょくりょうとする昆虫こんちゅうおお存在そんざいする[6]。また、ナツメヤシなどの一部いちぶ作物さくもつにおいては、人間にんげんはな花粉かふんりつける人工じんこう授粉おこなわれているが、これは人間にんげん花粉かふん媒介ばいかいしゃとなっていることをしめしている[7]

希少きしょうれいとしては、地中ちちゅう開花かいか結実けつじつするものもあり、ヤシPinanga subterraneaランリザンテラぞく発見はっけんされているが、受粉じゅふん様式ようしき不明ふめいである。ミゾソバ匍匐ほふくくき閉鎖へいさはなけることがられている。

はなうつくしいわけ[編集へんしゅう]

はな人目ひとめ魅力みりょくがある。一般いっぱんてき概念がいねんはなは、それ以外いがい部分ぶぶんみどりなどの地味じみなかにあって、それとは対照たいしょうてきあざやかな色合いろあいの花弁はなびらなどをならべてよく目立めだつようになっている。これは、そもそもはな存在そんざいが、他者たしゃくことを目的もくてきとしているからである。ただし、本来ほんらいヒトではなく、昆虫こんちゅうとりなどのくためのものである。顕著けんちょれいとしてミツバチ可視かし領域りょういき紫外線しがいせんふくみ、ミツバチのはなるとみつのある中央ちゅうおうしろ反射はんしゃするはながあることなどがられる。これは、植物しょくぶつ固着こちゃくせい生活せいかつ様式ようしきつため、繁殖はんしょく生殖せいしょく細胞さいぼう具体ぐたいてきには花粉かふん輸送ゆそう他者たしゃちからりなければならないためである。被子植物ひししょくぶつおおくがその対象たいしょう昆虫こんちゅうとりなどのしょう動物どうぶつとし、かれらをさそうためにうつくしいはなびらでかざられたはな構造こうぞう発達はったつした[8]。またおな目的もくてきで、虫媒花ちゅうばいかおおくはつよかおりをつ。そのかおりは媒介ばいかいしゃこのみのかおりであるため、人間にんげんにとって素晴すばらしいかおりとはかぎらない[9]。またとり嗅覚きゅうかくよわいため、とりなかだちはなおおくはつよかおりをたない[10]

他方たほう無生物むせいぶつによって花粉かふん運搬うんぱんする植物しょくぶつはな目立めだ必要ひつようがないため、はないろ地味じみなものでかおりもよわ[5]現生げんなま裸子植物らししょくぶつ一部いちぶ例外れいがいのぞくほとんどすべてがふうなかだちなので、花弁はなびらなどをたない。被子植物ひししょくぶつでもイグサイネなどは虫媒花ちゅうばいかから進化しんかしててきふうなかだちとなったもので、イグサでは花弁はなびらはあるがきわめて地味じみになっており、イネでは花弁はなびら完全かんぜん退化たいかし、開花かいかにもまった目立めだたない。

はないろ[編集へんしゅう]

成分せいぶんによって様々さまざまいろアジサイ
花色はないろ変異へんい英語えいごばん源平げんぺいき)をしているハナモモはな群馬ぐんまけんみどり

はな発色はっしょくさせる色素しきそは、開花かいか細胞さいぼう内部ないぶ酵素こうそもちいた化学かがく反応はんのうこり生成せいせいされる。元来がんらいはないろおくこなしゃきつけるためにけるもので、つぼみときには必要ひつようい。おも色素しきそフラボノイドカロテノイドベタレインクロロフィルのグループであり、総数そうすうすうせんにもなる。さらに水素すいそイオン指数しすう(pH)や存在そんざいするイオン影響えいきょういろ変化へんかすることもあり、多様たよういろられるアジサイ場合ばあいアルミニウムイオン濃度のうど左右さゆうされる[11]

色素しきそはなびらはしろえる。はなびらの材質ざいしつ本来ほんらい透明とうめいだが、なか気泡きほうがあるためにしろえる。はなびらが色素しきそたないメカニズムには、つくられた色素しきそべつ酵素こうそ破壊はかいされる場合ばあいと、色素しきそつく酵素こうそ機能きのう阻害そがいされた場合ばあいがある。前者ぜんしゃれいしろキクで、はなにはカロテノイドを分解ぶんかいする酵素こうそ存在そんざいし、つくられた色素しきそこわされる。後者こうしゃにはアサガオがあり、フラボノイドの一種いっしゅアントシアニンつく酵素こうそDNAうちトランスポゾンがあり色素しきそ生成せいせい阻害そがいする。このトランスポゾンが開花かいかちゅうにDNAじょうべつ場所ばしょ移動いどうすると酵素こうそ色素しきそつくれるようになる。これによってひとつのはななか色素しきそがある細胞さいぼう細胞さいぼう混在こんざいし、アサガオの模様もようつくられる。トランスポゾンのうごかた一定いっていではなく、それぞれの頻度ひんどやタイミングによってはな模様もようことなってくる。トランスポゾンをふくむアサガオは江戸えど時代じだい偶然ぐうぜん発見はっけんされ、品種ひんしゅ改良かいりょうひろまった[11]

人工じんこうてきはないろえるこころみには、品種ひんしゅ改良かいりょう遺伝子いでんし技術ぎじゅつまたはDNAを変質へんしつさせる突然変異とつぜんへんい利用りようなどがある。品種ひんしゅ改良かいりょうでは、色素しきそつく酵素こうそかったり色素しきそ破壊はかいする酵素こうそ存在そんざいするため、たとえばあおバラ黄色きいろアサガオなどはつくれない。はなから色素しきそをつくる酵素こうそのDNAをれるこころみでは、あおいバラ生産せいさんされたれいもあるが、pHなど条件じょうけんことなるためもとはなおな発色はっしょくむずかしい[11]

用語ようご[編集へんしゅう]

はな構成こうせい要素ようそかんして[編集へんしゅう]

はな構成こうせい要素ようそ
柱頭ちゅうとう
はなばしら
子房しぼう
そとたまがわ
うちたまがわ
はい
はないと
花冠かかん
がく
はなゆか
はながら
雄蕊おしべ
雌蕊めしべ
はな
きょ
花冠かかん基部きぶうしろにたもの。スミレツタバウンランなど。
ふく花冠かかん
花冠かかん雄蕊おしべあいだにある花冠かかんたもの。ふくかんむりともいう。スイセンなど。

雌雄しゆうかんして[編集へんしゅう]

両性りょうせいはな
ひとつのはな雌蕊めしべ雄蕊おしべ両方りょうほうあるもの。
たんせいはな
ひとつのはな雌蕊めしべ雄蕊おしべ一方いっぽうしかないもの。雌蕊めしべだけのはな雌花めばな雄蕊おしべだけのはな雄花おばなという。
中性ちゅうせいはな
おしべとめしべが退化たいかしたみのりせいはなアジサイやキクなど。それではやくにたないので、普通ふつう完全かんぜんかたちはなとのわせでられる。たとえばアジサイでは装飾そうしょくはな中性ちゅうせいはなになっている。

はな形態けいたいかんして[編集へんしゅう]

完全かんぜんはな
がく花弁はなびら雌蕊めしべ雄蕊おしべ全部ぜんぶそろっているはな両性りょうせいはな意味いみ使つかうこともある。
不完全ふかんぜんはな
がく花弁はなびら雌蕊めしべ雄蕊おしべ のひとつ以上いじょうけているはなたんせいはな意味いみ使つかうこともある。
はなはな
はなはなはだかはなともいう。ヤナギドクダミなど。
たんはなはな
がくはあるが花冠かかんはながく花冠かかんえるものがおおい。シュウメイギクなど。なお、「がくいが花冠かかんはある」ということはかんがえない。がく雌蕊めしべまたは雄蕊おしべあいだにあるものを花冠かかんかんがえるのがただしい。このため「がくいが花冠かかんはある」とえるはながあれば、「花冠かかんのようにえるのががくで、花冠かかん存在そんざいしない。」ということになる。(はな基部きぶみどりのところががくで、その内側うちがわのカラフルな部分ぶぶん花冠かかんかんがえてはならない。)
りょうはなはな
がく花冠かかんのあるはなおおくのはながこれにあたる。
合弁ごうべんはな
花弁はなびら同士どうし全部ぜんぶまたは一部いちぶくっついているはなアサガオツツジなど。
はなれべんはな
花弁はなびら同士どうしがくっついていないはなバラナタネなど。
どうはなはな
がく花冠かかん区別くべつがつきにくいはなチューリップなど。普通ふつうのチューリップのはな基部きぶ観察かんさつすると、がくへん相当そうとうする外花とばなへん3まい花弁はなびら相当そうとうする内花うちはなへん3まいとわかる。しかし、おおくのひと花弁はなびら6まいかんがえる。
閉鎖へいさはな
花冠かかんひらかずにわるはなたとえばホトケノザはなはその一部いちぶ閉鎖へいさはな
開放かいほうはな
花冠かかんひらはな。ほとんどのはながそうである。
異形いぎょうはな
同一どういつたね複数ふくすうはなかたちがあることをいう。たとえば、雄花おばな雌花めばなのある植物しょくぶつなどが典型てんけいれいである。はなかたち個数こすうにより二形ふたなりはなさんかたちはななどということがある。
装飾そうしょくはな
花弁はなびらなどだけがおおきく発達はったつしたはなのことで、ちいさい両性りょうせいはなかこむように存在そんざいし、昆虫こんちゅう誘引ゆういんのためとわれている。アジサイなど。
八重咲やえざ
一種いっしゅ奇形きけいである。しべしべが花弁はなびらし、花弁はなびらがよけいにかさなっている花形はながた
くちびるがたはな
花弁はなびら上下じょうげかれて発達はったつしたはなしたがわける花弁はなびらくちびるべんという。
ちょうはな
マメはな

利用りよう[編集へんしゅう]

献花けんか札幌さっぽろ円山まるやま動物どうぶつえんカンガルー、2011ねん

はな魅力みりょくてき姿すがたをしているため、それを鑑賞かんしょうすることは世界中せかいじゅうふるくからおこなわれており、そこからさまざまな利用りようほうしょうじてきた。

儀礼ぎれい装飾そうしょく[編集へんしゅう]

はなあつめて装飾そうしょくとする風習ふうしゅう世界中せかいじゅうひろられる。ポリネシアなどでは、はなかみにさしてかみかざとすることもひろおこなわれている[12]くきからったはなばなといい、これをはな方向ほうこうをそろえてたばねたものを花束はなたばブーケ)、わせてにしたものを花輪はなわという。こうしたはな結婚式けっこんしき葬儀そうぎ[13] といった冠婚葬祭かんこんそうさいにおける装飾そうしょくひろもちいられ、キリスト教きりすときょうけい献花けんか仏教ぶっきょうにおけるふつはななど、死者ししゃとむらうためのそなものにももちいられる。

またはなは、贈答ぞうとうひんとしても一般いっぱんてきなものである。はな贈答ぞうとうひんとする場合ばあいかけのうつくしさ以外いがいに、そのかおりを重視じゅうしする場合ばあいもある。ヨーロッパやアメリカではバレンタインデーおくものにははな、とくにバラがおおもちいられ[14]、またははにはカーネーションおもおくられるなど、はなおくることが一般いっぱんてき祭日さいじつ存在そんざいする。

はな装飾そうしょく多用たようされ、日本にっぽん華道かどう、いわゆるばなもこの方向ほうこう高度こうど発達はったつしたものである。またばなだけでなく、はな乾燥かんそうさせたドライフラワー装飾そうしょく使用しようされる。

庭園ていえん観光かんこう[編集へんしゅう]

京都きょうと賀茂川かもがわさくら花見はなみ日本にっぽんはる風物詩ふうぶつしである

はなそだててたのしむこともふるくからおこなわれた。庭園ていえんかざるためにはなそだてるれいひろられる。はな中心ちゅうしんとするにわ花園はなぞの花畑はなはたなどといい、ようかべ煉瓦れんがなどでかこまれたスペースにはなうえ栽したものを花壇かだんぶ。観賞かんしょうよう植物しょくぶつ栽培さいばい園芸えんげいうが、とくくさはな目的もくてきとする栽培さいばい花卉かき園芸えんげいという。なが歴史れきしなかで、おおくの観賞かんしょうようはな選別せんべつ栽培さいばいされ、のちには人工じんこう交配こうはいなどによる品種ひんしゅ改良かいりょうおこなわれた[15]

はなはしばしばひろ地域ちいきうえ栽され、地域ちいき住民じゅうみんながしたしまれているところもおおい。オランダのキューケンホフ公園こうえんなど、世界せかい各所かくしょはな名所めいしょ存在そんざいし、近隣きんりんのみならず世界中せかいじゅうから観光かんこうきゃくおとずれるところもある。こうした名所めいしょかならずしも花園はなぞのうえ栽されたものだけではなく、たとえばみなみアフリカ北西ほくせいナマクワランド英語えいごばんのように、いちめん荒野あらのみじか雨季うき到来とうらいとともに地平線ちへいせんまで野生やせいはなくされるところも存在そんざいする[16]日本にっぽんではさくら国土こくどひろ地域ちいきうえ栽され[17]はるには花見はなみたのしむためにおおくの観光かんこうきゃくおとずれるが、そのほかにもスイセンうめシバザクラフジチューリップアジサイラベンダーコスモスキクなど様々さまざまはな名所めいしょ存在そんざいし、観光かんこうきゃくあつめている。

こうした庭園ていえんづくりは公共こうきょうだけではなく、個人こじんたくにわ花壇かだんなどをつくってさまざまなはなそだてるガーデニングたのしまれている。

料理りょうり[編集へんしゅう]

はなびらをあしらったサラダ

はな食用しょくようとすることは、よう東西とうざいわずふるくからおこなわれてきた。はな食用しょくようとする場合ばあいはほとんどは野菜やさい分類ぶんるいされ、はなさい通称つうしょうされる[18]日本にっぽんでは食用しょくようはなとしては、キクナノハナシュンランフキノトウなどがもちいられてきた。一方いっぽう欧米おうべいエディブル・フラワーとしてナスタチウムコーンフラワーバラパンジーキンセンカキンギョソウなどがげられる[19]上記じょうき食用しょくようはな食味しょくみ同様どうよううつくしさやかざりとしての役割やくわり重視じゅうしされるが、一方いっぽうブロッコリーカリフラワーミョウガアーティチョークのようにかざりにはあまり使用しようされず、食味しょくみ重視じゅうしして食用しょくようとされるはな存在そんざいする。生花せいかだけでなく、スミレやパンジーのように砂糖さとうけにしたり[20]さくらはなのように塩漬しおづけにしてから[21] かざりとされる場合ばあいもある。

直接的ちょくせつてき食用しょくようのほか、虫媒花ちゅうばいかむしをおびきせるために分泌ぶんぴつするはなみつミツバチによって採集さいしゅうされ、なか蜂蜜はちみつへと変化へんかする[22]蜂蜜はちみつ人類じんるい最古さいこ甘味あまみりょうともばれ、現代げんだいにおいても甘味あまみりょうとして重要じゅうよう地位ちいめている。ミツバチは同一どういつみつげん植物しょくぶつからみつ採取さいしゅする傾向けいこうつよいため、そのミツバチのれが採取さいしゅするはな種類しゅるいによってさまざまなあじかおりの蜂蜜はちみつができる。さまざまなみつげん植物しょくぶつからまんべんなくみつあつめることもまれにあり、この場合ばあい百花ひゃっかみつばれる。代表だいひょうてきみつげん植物しょくぶつとしては、日本にっぽんではレンゲソウアカシアなどがげられる。

その[編集へんしゅう]

バラやラベンダー、ジャスミンなど魅力みりょくてきかおりをはなはなから精油せいゆなどでかお成分せいぶんし、そのまま利用りようしたり香水こうすい原料げんりょうとすることもおこなわれている[23]一方いっぽうスギヒノキイネ植物しょくぶつブタクサシラカバなどがばす花粉かふんは、一部いちぶ人間にんげん花粉かふんしょうばれるアレルギー症状しょうじょうこす。こうした花粉かふんしょうおも風媒花ふうばいか花粉かふんによるものであるが、虫媒花ちゅうばいかとりなかだちはなでも一部いちぶはなでは花粉かふんしょうこされる場合ばあいがある[24]

花卉かき産業さんぎょう[編集へんしゅう]

世界せかい最大さいだいはな市場いちばであるオランダのアールスメールはな市場いちば

上記じょうきのような広範こうはん用途ようと存在そんざい旺盛おうせい需要じゅよう期待きたいできるため、現在げんざいでは、はな生産せいさんすることが産業さんぎょうとして成立せいりつしている。ばなはかつてはだい消費しょうひちかくで生産せいさんされており、ヨーロッパはオランダ、アメリカや日本にっぽん国内こくないおも生産せいさんおこなわれていた。しかしばな商品しょうひん価値かちたか比較的ひかくてき重量じゅうりょうかるいため、1980年代ねんだい以降いこうだい消費しょうひからはなれた土地とち生産せいさん消費しょうひまで空輸くうゆすることがさかんになってきている。ヨーロッパけの輸出ゆしゅつおもとするケニア[25]エチオピア、アメリカけの輸出ゆしゅつはしらとするコロンビアエクアドルなどはこのばな産業さんぎょうきゅう成長せいちょうしており、重要じゅうよう産業さんぎょうのひとつに成長せいちょうしつつある[26]。この国際こくさいによって従来じゅうらいばな産地さんち衰退すいたいし、とくにアメリカ国内こくない生産せいさん激減げきげんした[27]。オランダのばな生産せいさんも2007ねん以降いこうだい打撃だげきけた[28] ものの、世界せかい最大さいだい花卉かき園芸えんげい市場いちばであるアールスメールはな市場いちばなどでのはな取引とりひきはいまだ非常ひじょうさかんであり、世界せかい花卉かき市場いちば中心ちゅうしんとなっている[29]。ただし鉢植はちうえにかんしては必要ひつようとするため、重量じゅうりょう検疫けんえき関係かんけい貿易ぼうえきがほとんどおこなわれておらず、いまだだい消費しょうひ国内こくないでの生産せいさん主流しゅりゅうである[27]。なお、花卉かき園芸えんげい実際じっさいあつか対象たいしょうはなかぎらず、いわゆるえだもの、じつものもふくむ。

こうして生産せいさんされたはなは、小売こうり業者ぎょうしゃ直接ちょくせつ販売はんばいされることもあるが、日本にっぽんでは80%ちかく(2012ねん)は卸売おろしう生花せいか市場いちばとおして小売こうり業者ぎょうしゃ花屋はなや)へととどき、一般いっぱん消費しょうひしゃ販売はんばいされる。はな流通りゅうつう卸売おろしう経由けいゆ大半たいはんめることが特徴とくちょうで、おろし割合わりあい急激きゅうげき減少げんしょうしている青果せいか水産物すいさんぶつとはおおきくことなっている[30]

品種ひんしゅ改良かいりょうがおこなわれる場合ばあい、それをささえる市場いちば要求ようきゅうたか場合ばあいがある。ヨーロッパにおいても、日本にっぽんにおいても、はな栽培さいばい歴史れきしなかではなん特定とくていはなのブームがあり、しん品種ひんしゅかんがえられないような高値たかね取引とりひきされたことがある。ヨーロッパではチューリップが17世紀せいきオランダだいブームをこし、このチューリップ・バブルではひどいときは球根きゅうこんいち豪邸ごうていよりたかかったとつたえられる。

はな消費しょうひかんしては、日本にっぽんでは1970年代ねんだいには、葬式そうしき結婚式けっこんしき店内てんない装飾そうしょくなどに使用しようされる業務ぎょうむようばななどに使用しようされる稽古けいこよう、そしてふつはな贈答ぞうとう個人こじん消費しょうひなどに使つかわれる家庭かていようの3用途ようとがほぼ等量とうりょうとなっていた[31]。その稽古けいこよう消費しょうひ割合わりあい減少げんしょうする一方いっぽう経済けいざい成長せいちょうともなって業務ぎょうむよう贈答ぞうとうよう需要じゅようきゅう拡大かくだいし、1990年代ねんだい前半ぜんはんにはピークにたっした。しかしそのきょうによって業務ぎょうむよう消費しょうひ急減きゅうげんし、はな消費しょうひりょう減少げんしょう傾向けいこうかった[32]家庭かていよう消費しょうひ減少げんしょうしたもののほか用途ようとくら減少げんしょうゆるやかだったため比率ひりつ拡大かくだいし、2007ねんには消費しょうひの6わり家庭かていようとなった[31]

文化ぶんか[編集へんしゅう]

ゴッホの「ひまわり」

言語げんごてき文化ぶんかとしては、漢字かんじ文化ぶんかけんでは「はな」と日本語にほんごには「はなやか」「社交しゃこうかいはな」「はながある」などは肯定こうていてき表現ひょうげんとしてもちいられている。「きれいな薔薇ばらにはとげがある(Every rose has its thorn.There's no rose without a thorn.)」=美人びじんうらがある、といった外国がいこく慣用かんよう単純たんじゅん肯定こうていではないが、ヒトの感性かんせいにおいてうつくしいと認識にんしきする人間にんげんはなたとえている。つよ色彩しきさい観賞かんしょうよう火薬かやく爆発ばくはつに「花火はなび」というてるのは漢字かんじ文化ぶんかけん共通きょうつうである(ただし、中国ちゅうごくでは「けむり」がおも)。自然しぜん現象げんしょうによるものとしては、「ゆきはな」は形状けいじょうはなていることに由来ゆらいするである。温泉おんせん成分せいぶんあつまることで発生はっせいする「はな」や、うつくしい結晶けっしょう薔薇ばらはなたとえた "desert rose (砂漠さばく薔薇ばら)" など、「はな」を美的びてき存在そんざい代名詞だいめいしとしてあつかきは日本にっぽんでも外国がいこくでもられる。

日本人にっぽんじん特有とくゆう価値かちかんではすこちがった意味合いみあいをけられることもあり、もののあはれなどといった無常むじょうかん四季しき変化へんかのもとでそのはかなでられてきた。それは戦死せんし意味いみする「散華さんげなどにも近似きんじするが、生命せいめいりょく矛盾むじゅんするわけでもない。みじかいのちであるからこそ、つか栄華えいがはなやかさがうつくしくかんじられるということである。これは平家ひらか伊勢いせたいら)の栄華えいがとその没落ぼつらくえがいた古典こてん文学ぶんがく平家ひらか物語ものがたり』などにもてとることができる。「すこしずついていって全体ぜんたいではながあいだつづける、うめはな」から「いっせいにいてすぐにってゆく、さくらはな」へと「日本人にっぽんじんもっとこのはな」および「はな代名詞だいめいし」がうつろったことは、民族みんぞく特有とくゆう美意識びいしき確立かくりつ物語ものがた事象じしょうひとつにも位置付いちづけられる。「様々さまざまはないろ」あるいは「いろとりどりにはな様子ようす」を日本語にほんごでは千紫万紅せんしばんこう千紫萬紅せんしばんこう、せんしばんこう)とう。

日本にっぽんでは、奈良なら時代じだいから平安へいあん時代じだい初期しょきまでは中国ちゅうごく文化ぶんか影響えいきょうつよけてうめはなが、平安へいあん時代じだい初期しょき以降いこうさくらはなもっとさかんにでられるはなであり、日本にっぽん花見はなみえば一般いっぱんてきにはこれらのはな観賞かんしょうすることを意味いみする[33]

芸術げいじゅつ[編集へんしゅう]

はなはそのうつくしさから、様々さまざま芸術げいじゅつのモチーフとなってきた。すでに古代こだいエジプト絵画かいがにもスイレンがえがかれており[34]、17世紀せいきオランダ黄金おうごん時代じだい絵画かいがでは静物せいぶつ題材だいざいとしてはな非常ひじょうこのまれていた[35]。そのはな絵画かいが題材だいざいとしてこのまれることにはわりがなく、ゴッホひまわりなどのような名画めいがされた。にもふるくからうたわれ、よう東西とうざいわず数々かずかずだい詩人しじんはなんだつくっている[36]

信仰しんこう象徴しょうちょう[編集へんしゅう]

じゅうろくはちじゅうひょうきく皇室こうしつ紋章もんしょうであり、日本にっぽん事実じじつじょうくにあきらとなっている

石器せっき時代じだい遺跡いせきからは、葬儀そうぎはな副葬品ふくそうひんにするという文化ぶんか発見はっけんされている[37][38]

また、はな古来こらいよりアニミズム対象たいしょうとなっている。万葉集まんようしゅうではあたまはなかざり、はな霊力れいりょくのものとする挿頭かざしはな(かざし)の風習ふうしゅううたわれている。また、平安へいあん時代じだいには現在げんざい今宮いまみや神社じんじゃおこなわれるやすらいさいのように、はなれいおよぼすわざわいをしずめる鎮花さいさかんにおこなわれた[39]

世界せかいおおくのくににおいて、そのくに国民こくみんもっと愛好あいこうされるはな国花こっかとして当該とうがいこく象徴しょうちょうとすることがおこなわれている[40]正式せいしき国花こっか制定せいていしていないくにおおいが、日本にっぽんサクラキクのように非公式ひこうしき国花こっかとみなされているはな存在そんざいするくにもある。またくにあきらはな絵柄えがらもちいているくにおおく、日本にっぽん正式せいしきくにしょうではないものの、皇室こうしつ菊花きっか紋章もんしょうじゅうろくはちじゅうひょうきく)が事実じじつじょうくにしょうとしてあつかわれ、パスポートにもデザインはすこわっているもののこの紋章もんしょうがあしらわれている。また、日本にっぽん政府せいふきりもんもちいている。

その[編集へんしゅう]

世界せかい各地かくち古今ここん東西とうざい遺跡いせき壁画へきがにおいても、はな絵柄えがら普遍ふへんてきかけられるもののひとつである。文様もんようとしてもはなおおもちいられ[41]日本にっぽん家紋かもんにもはなをモチーフとしたものは多数たすう存在そんざいする。このほか、硬貨こうかのデザインや切手きってなどにもはな絵柄えがら多用たようされる[42]

はな種類しゅるいによってそれぞれに意味いみたせることもよくおこなわれ、日本にっぽんでは葬式そうしきにキクのはなもちいられるというような定番ていばんがある。また、それをもっとすすめてそれぞれのはなにいくつかの意味いみあたえる花言葉はなことばも、19世紀せいきヨーロッパでさかんになりひろまった[43]

はなにわ花畑はなはた[編集へんしゅう]

イギリス、マージーサイドしゅう、サウスポート、チャーチタウン植物しょくぶつえんのフラワーガーデン
ノルウェー・ベルゲンにある樹木じゅもくえんうちのフラワーガーデン
フラワーガーデンはたかさ、いろ質感しつかんかおりのことなる植物しょくぶつわせ、面白おもしろさを演出えんしゅつ五感ごかんたのしませる

はなにわ[44]花畑はなはたはなかせる植物しょくぶつ花壇かだん花圃かほなどを利用りようして栽培さいばいさらには展示てんじし、訪問ほうもんしゃをもてなす庭園ていえんまたはその一部いちぶ一角いっかくである。

ほかフラワーガーデン(flower garden)[45] またはフローラルガーデン(floral garden)[46]などとばれる。

花畑はなはた実際じっさい育苗いくびょうえん・ナーサリーをすものはもとより、はなほこはなはたけコスモス花畑はなはた北海道ほっかいどうガーデン街道かいどうにもふくまれるラベンダーはたけなど、場所ばしょいちめんいているもしくはかせているはな群生ぐんせい花畑はなはた呼称こしょうされる。すくなくとも日本語にほんご花畑はなばたけ場合ばあい自生じせい天然てんねん植物しょくぶつ群落ぐんらく人為じんい花卉かき栽培さいばいうえ栽群かどうかはわないが、フラワーガーデンを意味いみするところは後者こうしゃであり、景観けいかん審美しんびえうるよう維持いじ整備せいびがなされている。

日本にっぽんでの「花畑はなはた」には、たとえばうめきたガーデン「10まんかぶ花畑はなばたけ」、なばなのさとひかりのお花畑はなばたけ」、葛西かさい臨海りんかい公園こうえん花畑はなばたけたね水仙すいせんはな、コスモス)、茶臼山ちゃうすやま (愛知あいちけん長野ながのけん)/茶臼山ちゃうすやま高原こうげんシバザクラの花畑はなはた小清水こしみず原生花園げんせいかえん こしみずリリーパーク(ユリの花畑はなばたけ)、四季しきあやおか正式せいしき名称めいしょうは「展望てんぼう花畑はなばたけ 四季しきいろどりおか」)などがあり、マザー牧場ぼくじょう山梨やまなしけん笛吹川ふえふきがわフルーツ公園こうえん白野江しらのえ植物しょくぶつ公園こうえん北海道ほっかいどうりつサンピラーパークなどの施設しせつにも、花畑はなはたもうけられている。また日本語にほんご表現ひょうげんでは綿めんはたけも、綿めんはたけのほかに綿花めんかはたけともばれる。

類似るいじ用語ようご江戸えど時代じだい使用しようされていた花屋敷はなやしき花園はなぞのがあるが、花園はなぞの一般いっぱんにフラワーガーデンをかたり使用しようというよりも、使用しようれいはもっぱら地名ちめいなどがおもである[47]

植物しょくぶつえん植物しょくぶつ公園こうえんはなうえ栽されている庭園ていえんではあるが、それぞれ各国かっこく法的ほうてき定義ていぎがなされている。はなにわ花畑はなばたけはそうした定義ていぎとはべつの、たとえば日本にっぽん明治めいじ時代じだい以前いぜんからの寺社じしゃ境内けいだいなどにもうけた(たとえば桃園ももぞの梅園うめぞのつつじえんなど)、明治めいじ時代じだい以後いご西洋せいよう植物しょくぶつ主体しゅたいとした(たとえばバラえんチューリップはたけなど)、はないちめんかせるある施設しせつ場所ばしょあじさいてらあじさいのさとクレマチスのおかなど)などがられる。

はなにわ花畑はなばたけでは通常つうじょう低木ていぼくウッドランド・ガーデン (woodland gardenうち優位ゆういはなかせる木本もくほん植物しょくぶつ[48] (Woody_plantではなく、草本そうほん植物しょくぶつ庭園ていえん群生ぐんせいすことがおおいが、この両者りょうしゃにわのどの領域りょういきでもうえ一部いちぶとなりうる。

だいたいの草花くさばなとくいちねんくさは、定期ていきてきこし、有機物ゆうきぶつ肥料ひりょう補充ほじゅうした花壇かだんみにえることで、もっともよくそだつ。はなは1ねんつうじてさまざまな時期じきにそれぞれがくが、植物しょくぶつによっては1ねんくさ毎年まいとしふゆれてしまうため、花壇かだん設計せっけいでは通常つうじょう四季しきつうじてはな順序じゅんじょ一貫いっかんしたいろわせを維持いじすることを考慮こうりょする必要ひつようがある。いちねんくさ多年草たねんそう花壇かだん限定げんていして花壇かだん整理せいり (bedding-outおこなうほか、労働ろうどう時間じかんはないろがら考慮こうりょして慎重しんちょう設計せっけいされている。

はないろ草本そうほんのボーダー低木ていぼく草本そうほん植物しょくぶつふくむミックスボーダーの重要じゅうよう特徴とくちょうである。フラワーガーデンはノットガーデンハーブガーデンなどの、草花くさばな主体しゅたいとしたべつ種類しゅるいにわ機能きのうてきむすびついていることもある。

装飾そうしょく花弁はなびらとされる植物しょくぶつおおくは、そのほとんどが雑草ざっそうとして発生はっせいしたもので、十分じゅうぶん魅力みりょくてきであれば、その魅力みりょくゆえに農民のうみん許容きょようすることもあった。その結果けっか人為じんいてき淘汰とうたこり、人間にんげんにとってよりうつくしいはなつくられるようになった。これは農耕のうこう歴史れきしなかでずっとつづいてきたことだとみられるが、このことは、おおくのはながより有用ゆうよう農作物のうさくもつコンパニオンプランツとして機能きのうする理由りゆうにもなる。どちらの植物しょくぶつ家畜かちくされるまでに食用しょくよう植物しょくぶつ共生きょうせい関係かんけい進化しんかさせていたため、おな地域ちいき生息せいそくし、魅力みりょくある植物しょくぶつとしてえらばれるのに便利べんりだったのである。

植物しょくぶつがいったん家畜かちくされると、ほとんどのはな単独たんどくで、あるいは機能きのうそなえる庭園ていえん一部いちぶとしてそだてられるようになった。西洋せいようでは、にわ一部いちぶ花壇かだんにするという発想はっそうは、おそらく16世紀せいきになってから一般いっぱんてきになったとみられる。

花壇かだんは、とくだい企業きぎょうだい組織そしきでは、色彩しきさい一定いっていたもつために、ぶしごとにおおきな花壇かだんこわし、すべてえるということもあるし、マルチングなどの技術ぎじゅつもちいれば、その育成いくせい労力ろうりょく軽減けいげんすることができるほか、en:Rhinanthusなどの寄生きせい植物しょくぶつえることでくさ成長せいちょうおだやかにすることもできる[49][50][51]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 新聞しんぶんでの使用しようれい。「皇居こうきょに3448しゅ 動植物どうしょくぶつ確認かくにん新種しんしゅはなも」日本経済新聞にほんけいざいしんぶん 2014ねん7がつ13にちづけ 1めん見出みだ
  2. ^ 樹木ききまなぶ」p126 ピーター・トーマス 築地つきじしょかん 2001ねん7がつ30にち初版しょはん発行はっこう
  3. ^ 樹木ききまなぶ」p125 ピーター・トーマス 築地つきじしょかん 2001ねん7がつ30にち初版しょはん発行はっこう
  4. ^ a b 樹木ききまなぶ」p105 ピーター・トーマス 築地つきじしょかん 2001ねん7がつ30にち初版しょはん発行はっこう
  5. ^ a b 樹木ききまなぶ」p117 ピーター・トーマス 築地つきじしょかん 2001ねん7がつ30にち初版しょはん発行はっこう
  6. ^ かんがえるはな 進化しんか園芸えんげい生殖せいしょく戦略せんりゃく」p8-10 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  7. ^ かんがえるはな 進化しんか園芸えんげい生殖せいしょく戦略せんりゃく」p93 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  8. ^ たね生物せいぶつ学会がっかいへん (2001) pp.1-6
  9. ^ かんがえるはな 進化しんか園芸えんげい生殖せいしょく戦略せんりゃく」p13-15 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  10. ^ かんがえるはな 進化しんか園芸えんげい生殖せいしょく戦略せんりゃく」p16 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  11. ^ a b c ニュートン (2012-6) pp.106-111 はないろとりどりなのはなぜ?
  12. ^ 服装ふくそう地理ちり かざ人間にんげん」p105 べつわざ篤彦あつひこ 玉川大学たまがわだいがく出版しゅっぱん 昭和しょうわ50ねん4がつ20日はつかだい1さつ
  13. ^ かんがえるはな 進化しんか園芸えんげい生殖せいしょく戦略せんりゃく」p146-147 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  14. ^ かんがえるはな 進化しんか園芸えんげい生殖せいしょく戦略せんりゃく」p192-193 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  15. ^ かんがえるはな 進化しんか園芸えんげい生殖せいしょく戦略せんりゃく」p167-170 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  16. ^ http://south-africa.jp/meetsouthafrica_lists/461/ 「はん砂漠さばく地帯ちたい出現しゅつげんする奇跡きせき花園はなぞの 野生やせいはな々が一斉いっせいみだれるナマクワランド」みなみアフリカ政府せいふ観光かんこうきょく 2019ねん3がつ9にち閲覧えつらん
  17. ^ 観光かんこうがく景観けいかん」p95 溝尾みぞお良隆よしたか 古今ここん書院しょいん 2011ねん6がつ10日とおか初版しょはんだい1さつ
  18. ^ 『FOOD'S FOOD 新版しんぱん 食材しょくざいてん 生鮮せいせん食材しょくざいへん』p216 2003ねん3がつ20日はつか初版しょはんだい1さつ 小学館しょうがくかん
  19. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p9-11 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  20. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p8 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  21. ^ 飲食いんしょく事典じてん本山もとやま荻舟てきしゅう 平凡社へいぼんしゃ p223 昭和しょうわ33ねん12月25にち発行はっこう
  22. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p19 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  23. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p38-43 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  24. ^ 植物しょくぶつ気候きこうがく」p36-38 福岡ふくおか義隆よしたかへん 古今ここん書院しょいん 2010ねん3がつ10日とおか初版しょはんだい1さつ発行はっこう
  25. ^ 「ケニアをるための55しょう」pp132 松田まつだもと津田つだみわ編著へんちょ 明石書店あかししょてん 2012ねん7がつ1にち初版しょはんだい1さつ
  26. ^ 日本にっぽん花卉かき園芸えんげい ひかりかげ 歴史れきし文化ぶんか産業さんぎょう」p60 今西いまにし英雄ひでお福井ふくい博一ひろかず内藤ないとう重之しげゆき柴田しばた道夫みちお土井どいもとあきら宇田うだあきら田中たなか孝幸たかゆき西川にしかわ照子てるこちょ ミネルみねるァ書房ぁしょぼう 2016ねん3がつ15にち初版しょはんだい1さつ
  27. ^ a b 日本にっぽん花卉かき園芸えんげい ひかりかげ 歴史れきし文化ぶんか産業さんぎょう」p46 今西いまにし英雄ひでお福井ふくい博一ひろかず内藤ないとう重之しげゆき柴田しばた道夫みちお土井どいもとあきら宇田うだあきら田中たなか孝幸たかゆき西川にしかわ照子てるこちょ ミネルみねるァ書房ぁしょぼう 2016ねん3がつ15にち初版しょはんだい1さつ
  28. ^ 日本にっぽん花卉かき園芸えんげい ひかりかげ 歴史れきし文化ぶんか産業さんぎょう」p62 今西いまにし英雄ひでお福井ふくい博一ひろかず内藤ないとう重之しげゆき柴田しばた道夫みちお土井どいもとあきら宇田うだあきら田中たなか孝幸たかゆき西川にしかわ照子てるこちょ ミネルみねるァ書房ぁしょぼう 2016ねん3がつ15にち初版しょはんだい1さつ
  29. ^ かんがえるはな 進化しんか園芸えんげい生殖せいしょく戦略せんりゃく」p188-189 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  30. ^ 日本にっぽん花卉かき園芸えんげい ひかりかげ 歴史れきし文化ぶんか産業さんぎょう」p71-73 今西いまにし英雄ひでお福井ふくい博一ひろかず内藤ないとう重之しげゆき柴田しばた道夫みちお土井どいもとあきら宇田うだあきら田中たなか孝幸たかゆき西川にしかわ照子てるこちょ ミネルみねるァ書房ぁしょぼう 2016ねん3がつ15にち初版しょはんだい1さつ
  31. ^ a b はな園芸えんげい事典じてん」p214 今西いまにし英雄ひでおこしおか政二まさじ柴田しばた道夫みちお土井どいもとしょうへん 朝倉書店あさくらしょてん 2014ねん9がつ20日はつか初版しょはんだい1さつ
  32. ^ 日本にっぽん花卉かき園芸えんげい ひかりかげ 歴史れきし文化ぶんか産業さんぎょう」p79 今西いまにし英雄ひでお福井ふくい博一ひろかず内藤ないとう重之しげゆき柴田しばた道夫みちお土井どいもとあきら宇田うだあきら田中たなか孝幸たかゆき西川にしかわ照子てるこちょ ミネルみねるァ書房ぁしょぼう 2016ねん3がつ15にち初版しょはんだい1さつ
  33. ^ 家族かぞくたのしむ日本にっぽん行事ぎょうじとしきたり」p68 石田いしだ繁美しげみへん ポプラ社ぽぷらしゃ 2005ねん8がつだい1さつ
  34. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p91 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  35. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p94-95 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  36. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p70-90 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  37. ^ Paul Pettitt (August 2002). “When Burial Begins”. British Archaeology. オリジナルの15 June 2016時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160615142318/http://www.archaeologyuk.org/ba/ba66/feat1.shtml 2016ねん6がつ28にち閲覧えつらん. 
  38. ^ 墓地ぼちはなかざった最古さいこれい、イスラエル(ナショナルジオグラフィック
  39. ^ 村井むらい康彦やすひこはなちゃ世界せかい伝統でんとう文化ぶんか史論しろんさんいち書房しょぼう、1990ねんISBN 4380902447 pp.108-109
  40. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p63 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  41. ^ 服装ふくそう地理ちり かざ人間にんげん」p125 べつわざ篤彦あつひこ 玉川大学たまがわだいがく出版しゅっぱん 昭和しょうわ50ねん4がつ20日はつかだい1さつ
  42. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p105-106 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  43. ^ かんじるはな 薬効やっこう芸術げいじゅつ・ダーウィンのにわ」p52-57 スティーブン・バックマン 片岡かたおか夏実なつみやく 築地つきじしょかん 2017ねん8がつ21にち初版しょはん発行はっこう
  44. ^ たとえば北野きたの天満てんまみや梅苑うめぞのはなにわ
  45. ^ 江戸川えどがわフラワーガーデン小田原おだわらフラワーガーデンなど
  46. ^ たとえば京王けいおうフローラルガーデンANGE刈谷かりやフローラルガーデンよさみフローラルガーデンおぶせなど
  47. ^ なお国語こくご辞典じてんたとえば『花園はなぞの』 - コトバンク解説かいせつ地名ちめいのほかは、精選せいせんばん 日本にっぽん国語こくごだい辞典じてん花園はなぞの」の解説かいせつでは「はな草木くさきおおえてあるえん。」、『花園はなぞのはなえん』 - コトバンクでは 「はなじゅ花卉かき(かき)をえたえん(その)。はなぞの。はなばたけ。花圃かほ。」で、花畑はなはた(『花畑はなはた』 - コトバンクで「草花くさばな栽培さいばいしているはたけ。また、草花くさばなのたくさんいている場所ばしょ。」)でもあることを解説かいせつしている
  48. ^ 木本きもと植物しょくぶつ』 - コトバンク
  49. ^ Een - Groenland - Natuurlijk aangelegde tuinen - Een”. 2015ねん6がつ26にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん6がつ26にち閲覧えつらん
  50. ^ natuurtuinen.be/natuurtuinen.aspx Natuurtuinen door Groenvoorziening Geys te Mol”. www.natuurtuinen.be. 2015ねん6がつ26にち閲覧えつらん
  51. ^ Het ratelaar-experiment - de theorie - AnneTannes Tuin”. annetanne.be. 2015ねん6がつ26にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • たね生物せいぶつがく へんはな生態せいたいがく最前線さいぜんせん うつくしさの進化しんかてき背景はいけいさぐる』 ぶんいち総合そうごう出版しゅっぱん、2001ねん
  • 編集へんしゅうちょう竹内たけうちひとしニュートン2012ねん6がつごう雑誌ざっし07047-06」、ニュートンプレス、2010ねん 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

総覧そうらん[編集へんしゅう]

生物せいぶつ関連かんれん[編集へんしゅう]

文化ぶんか関連かんれん[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]