H&K MP5

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H&K MP5
後期こうきがたハンドガードにSEFトリガー構成こうせいのMP5A3。
概要がいよう
種類しゅるい たん機関きかんじゅう
製造せいぞうこく ドイツの旗 ドイツ
設計せっけい製造せいぞう ヘッケラー&コッホしゃ
性能せいのう
口径こうけい 9 mm
銃身じゅうしんちょう 225 mm
ライフリング 6じょうみぎまわ
使用しよう弾薬だんやく 9x19mmパラベラムだん
装弾そうだんすう 10, 15, 20, 30, 32はつ
作動さどう方式ほうしき ローラー遅延ちえんしきブローバック
全長ぜんちょう 550 mm(ストック展開てんかい: 700 mm)
重量じゅうりょう 3.08 kg
発射はっしゃ速度そくど 800はつ/ぶん
銃口じゅうこう初速しょそく 400 m/s
有効ゆうこう射程しゃてい 200 m
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H&K MP5は、ドイツヘッケラー&コッホ(H&K)しゃ設計せっけいしたたん機関きかんじゅうだい世界せかい大戦たいせんのち設計せっけいされたたん機関きかんじゅうとしてはもっと成功せいこうした製品せいひんひとつであり[1]命中めいちゅう精度せいどたかさからたいテロ作戦さくせん部隊ぶたいなどでは標準ひょうじゅんてき装備そうびとなっている[2][3]

来歴らいれき[編集へんしゅう]

技術ぎじゅつてきには、MP5の起源きげんは、だい世界せかい大戦たいせん末期まっきモーゼルしゃ設計せっけいした機材きざい06(Gerät 06)までさかのぼりうる。ガスピストンをはぶいて反動はんどう利用りようしきとした改良かいりょうがたStG45(M)としてドイツ国防こくぼうぐん採用さいようされたものの、量産りょうさんまえ終戦しゅうせんむかえた。そのルートヴィヒ・フォルグリムラーふく同社どうしゃ技術ぎじゅつしゃじんは、まずフランスCEAM英語えいごばん、ついでスペインCETMEドイツばん転職てんしょくして、StG45(M)をもとにした小銃しょうじゅう開発かいはつ継続けいぞくしていた。当初とうしょ中間ちゅうかん弾薬だんやく使用しようするように設計せっけいされていたが、のちに、やはりモーゼルしゃ出身しゅっしんしゃによって西にしドイツ設立せつりつされたHKしゃ協力きょうりょくのもと、7.62x51mm NATOだん使用しようするように設計せっけい変更へんこうされ、1958ねん、スペインはこのセトメ・ライフル制式せいしき採用さいようした。また西にしドイツもはやくからセトメ・ライフルに着目ちゃくもくしており、1959ねん1がつドイツ連邦れんぽうぐんは、H&Kしゃがセトメをもと開発かいはつしたMD3をG3として制式せいしきした[4]

これと並行へいこうして、連邦れんぽうぐんではたん機関きかんじゅう選定せんていおこなっていたが、この時点じてんでは政治せいじてき思惑おもわくもあり、イスラエルせいUZI採択さいたくされた[2]。そのの1954ねんごろに西にしドイツ開始かいししたたん機関きかんじゅう研究けんきゅう一環いっかんとしてHKしゃHK54試作しさくし、それの量産りょうさんがたとしてMP5シリーズが開発かいはつされ、販売はんばいされた。

設計せっけい[編集へんしゅう]

かく構成こうせい要素ようそ[編集へんしゅう]

動作どうさ機構きこう[編集へんしゅう]

ローラー遅延ちえんしきブローバック機構きこう断面だんめん

上記じょうき経緯けいいより、基本きほんてきにはG3をもとに、9×19mmパラベラムだん仕様しよう[ちゅう 1]縮小しゅくしょうした設計せっけいとなっている。G3では、StG45んだのと同様どうようローラー遅延ちえんしきブローバック(ローラーロッキング)機構きこう採用さいようされており、これはほんじゅうでも踏襲とうしゅうされた。この方式ほうしきでは、圧力あつりょく低下ていかしてから閉鎖へいさ解除かいじょされてボルトがひらくことから、反動はんどうすくなく、軽量けいりょうのボルトでも9×19mmパラベラムだん安全あんぜん射撃しゃげきできるようになったほか、ボルト閉鎖へいさした状態じょうたいからげきはつサイクルがスタートする、いわゆるクローズドボルトげきはつとなったこともあり、当時とうじ一般いっぱんてきだったシンプルブローバック方式ほうしきオープンボルトげきはつたん機関きかんじゅうして命中めいちゅう精度せいどたかいというメリットがあった[2][3][ちゅう 2]警察けいさつ部隊ぶたいにおいては簡易かんい狙撃そげきじゅうとしても位置付いちづけられており、命中めいちゅう精度せいどについては、100 m以内いない近距離きんきょり射撃しゃげきであればライフルにも匹敵ひってきするとされ[6]建物たてものかくから銃口じゅうこうだけをのぞかせるテロリスト眼球がんきゅうくことが可能かのうともしょうされた[7]

しかし一方いっぽうで、この機構きこうによってボルトの構造こうぞう複雑ふくざつになり、単価たんか上昇じょうしょうにもつながった[2][3]。また繊細せんさい整備せいび必要ひつようとし、たますう発射はっしゃにはヘッドスペース(つつみ底面ていめんから薬莢やっきょう位置決いちぎまでの間隔かんかく)の点検てんけんをしなければじゅう作動さどう不良ふりょうこすこともある。点検てんけん方法ほうほうボルトじてハンマーをとした状態じょうたいマガジン挿入そうにゅうこうからなかにあるボルトヘッドとボルトキャリアの隙間すきまにシックネスゲージを差込さしこみ、隙間すきまがどのくらいひらいているか調しらべる。隙間すきまはメーカーで指定していしている範囲はんいないである0.25 mmから0.45 mmのあいだおさまっていなければならない。隙間すきま許容きょよう範囲はんいえるとローラーをおおきいものに交換こうかんする必要ひつようがある。そして、交換こうかん可能かのう範囲はんい(最大さいだいでも0.25 mmから0.5 mm)をえたじゅうはそのまま使用しようするとローラー遅延ちえん効果こうか十分じゅうぶん発揮はっきされるまえにボルトが開放かいほうされる早期そうき開放かいほうによる暴発ぼうはつなどの危険きけんがあるため、H&Kしゃおくって修理しゅうりするか破棄はきされる[8]

1992ねん発売はつばいのMP5/10などだい口径こうけいモデルでは、ボルトキャリアやボルトヘッドなどは標準ひょうじゅんてきなMP5シリーズと互換ごかんせいがなく、リコイル・スプリングはHK53のものが流用りゅうようされている。また9×19mmパラベラムだんモデルでも、1998ねん発売はつばいのMP5Fではつよ装弾そうだん使用しよう対応たいおうして内部ないぶ構造こうぞう強化きょうかしており、おなじリコイル・スプリングを導入どうにゅうしたほか、ボルト・グループを強化きょうかした。この改良かいりょうは、のちすべての生産せいさんがた導入どうにゅうされた[9]

マガジン[編集へんしゅう]

元々もともとは、ダブルカラムしきでストレートがたボックスマガジン使用しようしていた。その、1977ねん以降いこうは、やや湾曲わんきょくしたバナナがたマガジンに変更へんこうされたが、これはBAT(Blitz Action Trauma)などの特殊とくしゅ弾薬だんやくおくたま対応たいおうした設計せっけい変更へんこうだったとわれている[5]

一般いっぱんてきには30はつりの弾倉だんそうもちいられる。またMP5Kシリーズでは、本体ほんたい小型こがたあわせて、装弾そうだんすう15はつとして短縮たんしゅくした弾倉だんそうこのまれる傾向けいこうがある。一方いっぽうだい容量ようりょうマガジンも開発かいはつされており、アメリカ海軍かいぐん一時期いちじき、MP5シリーズのための50連発れんぱつのドラムマガジンに関心かんしんせていたとわれている。また1980年代ねんだい後半こうはんには、100連発れんぱつのダブル・ドラムマガジン (Beta C-Mag開発かいはつされた[9]

MP5/10とMP5/40では、ストレート・ボックスがたマガジンが採用さいようされており、ざんだん確認かくにんができるようにはん透明とうめい合成ごうせい樹脂じゅしせいとされている。だい口径こうけいともな弾薬だんやく重量じゅうりょう増加ぞうかしたのをおぎなうため、マガジンの重量じゅうりょうは、従来じゅうらい金属きんぞくせいマガジンとくらべて30%軽量けいりょうされている[9]

銃床じゅうしょう[編集へんしゅう]

バイザー・ストックとフラッシュライト装着そうちゃくがたハンドガードを装着そうちゃくしたMP5

銃床じゅうしょうには、MP5A2/MP5A4でもちいられる固定こていしきと、MP5A3/MP5A5でもちいられる伸縮しんしゅくしきがあり、クロススプリングピンでレシーバーに固定こていされる。伸縮しんしゅくしき銃床じゅうしょうには、元々もともと金属きんぞくせいじゅう装着そうちゃくされていたが、MP5NやMP5F/MP5E2ではゴムせいじゅう装着そうちゃくされ、のちにこれは標準ひょうじゅん装備そうびとなった[9]。またヘルメットにバイザーを装着そうちゃくする場合ばあいそなえて、ブリュガー・アンド・トーメ(B&T)しゃなどでは、バイザーをけるように湾曲わんきょくした銃床じゅうしょう製造せいぞうしている。

もともとMP5Kシリーズは銃床じゅうしょう装備そうびしておらず、スリングスイベルきキャップそこばん装着そうちゃくしていた。その、1991ねんには、右側みぎがわりたたむプラスチックせい銃床じゅうしょうがオプションで追加ついかされた。当初とうしょはこちらもB&Tしゃせいだったが、のちにHKしゃ自身じしん生産せいさんするようになった。アメリカ陸軍りくぐんだい160特殊とくしゅ作戦さくせん航空こうくう連隊れんたいでは、MP5K-Nをもとにこの銃床じゅうしょう装備そうびしたモデルをMP5K-PDWとして装備そうびしており、のちには同様どうようのモデルが一般いっぱん市場いちばにも投入とうにゅうされた[9]

レシーバー[編集へんしゅう]

当初とうしょ射撃しゃげきモードのセレクターは、S-E-F(ドイツの"安全あんぜん"(Sicher)、"たん"(Einzelfeuer)、"ぜん自動じどう射撃しゃげき"(unbegrenzter Feuerstoß)の頭文字かしらもじ)と表示ひょうじされており、「S」はしろ、「E」「F」はあか塗装とそうされていた。またアメリカぐんけなどの輸出ゆしゅつモデルは、言語げんごえらばないビジュアル表示ひょうじあらためられた[9][ちゅう 3]

リアサイトは、HK54ではフリップアップしきだったが、MP5ではピープサイトをもうけたドラムマガジン回転かいてんしき変更へんこうされた。4つのピープサイトはひかり条件じょうけんによって使つかけられる。またMP5Kシリーズでは、迅速じんそく照準しょうじゅんできるように、回転かいてんしきリアサイトのあきらもん部分ぶぶんは、まるあなえんあなあきらもんからVがたあきらもん変更へんこうされた。

ハンドガード[編集へんしゅう]

銃身じゅうしんをカバーして、ねつからまも部品ぶひんであり、当初とうしょ細身ほそみにぎりやすいスリムラインがたもちいられていたが、のちに、幅広はばひろでバレルの冷却れいきゃく効果こうかたかいトロピカルがた変更へんこうされた。ガラス繊維せんい強化きょうかプラスチックせいとされている[9]。オプションとして、先端せんたんフラッシュライト装着そうちゃくしたシュアファイアしゃせいのハンドガードを使用しようする部隊ぶたいおお[9]

またMP5Kシリーズでは、銃身じゅうしんにあわせて短縮たんしゅくしたほか、下部かぶにはフォアグリップが追加ついかされている。また下方かほう先端せんたんには、フォアグリップをにぎった銃口じゅうこうまえないようにするハンドストップがもうけられている[9]

銃身じゅうしん[編集へんしゅう]

だいいち改良かいりょうがたであるMP5A2/MP5A3では、銃身じゅうしんをフローティングバレルに改良かいりょうして、命中めいちゅう精度せいど向上こうじょうさせており[2]、バレルエクステンションに圧入あつにゅうされてクロスピンめされる。MP5A2では225ミリちょう、またMP5Kでは114ミリちょう、MP5K-Nでは140ミリちょうとされている[9]

銃口じゅうこう外側そとがわには3つの突起とっきされており、ブランクアダプターやマズルコンペンセイター、サプレッサーなどの付属ふぞくひんをバイヨネットしきけることができる。アメリカ海軍かいぐんモデルでは、さらにバレル先端せんたんにもサプレッサーを装着そうちゃくするねじやまられている[9]

またMP5SDの銃身じゅうしんには、根本ねもと部分ぶぶん周囲しゅうい直径ちょっけい2.5ミリのあなが30けられている。その外側そとがわをケーシングがおおっており、後部こうぶにガス拡散かくさんしつ前方ぜんぽう漏斗ろうとじょうのバッフルが内蔵ないぞうされており、内蔵ないぞうしきサプレッサーとして機能きのうする。通常つうじょうちょう音速おんそく弾薬だんやく使用しよう想定そうていして設計せっけいされたが、弾頭だんとう147グレインの音速おんそく弾薬だんやくでも問題もんだいなく動作どうさする。ただしこの場合ばあいマンストッピングパワー不足ふそくする懸念けねんがあり、通常つうじょう弾薬だんやく使用しよう推奨すいしょうされている[9]

ただしこのサプレッサーは密閉みっぺい固定こていしきであるため、分解ぶんかい掃除そうじむずかしいという問題もんだいがある。バッフルが漏斗ろうとじょうであることで、火薬かやく燃焼ねんしょうガスからしょうじるカーボンはある程度ていど自動的じどうてき排出はいしゅつされるものの、やはり内部ないぶよごれやすく、サプレッサーをはずして後端こうたん木材もくざいかるたた方法ほうほうや、油性ゆせい溶剤ようざいひた方法ほうほうがある。またHKしゃからはクリーニングキットも供給きょうきゅうされている[9]

派生はせいがた[編集へんしゅう]

HKしゃせい軍用ぐんようモデル[編集へんしゅう]

通常つうじょうシリーズ[編集へんしゅう]

HK54[編集へんしゅう]

1954ねんごろに西にしドイツ開始かいししたたん機関きかんじゅう研究けんきゅう一環いっかんとしてHKしゃ試作しさくしたたん機関きかんじゅう。54というナンバリングはHKしゃ命名めいめい規則きそくにより5はアサルトカービン、4は9×19mmだん使用しようすることをあらわしている。

HKしゃくに要求ようきゅうこたえるべくプロジェクト64始動しどう開発かいはつ主任しゅにん設計せっけいはティロ・メーラー、助手じょしゅをマンフレート・グーリンク、ゲオルク・ザイドル、ヘルムート・バロイターが担当たんとうした。この開発かいはつによってセトメライフル小型こがたし9×19mmだん適合てきごうさせたHK54完成かんせいした。固定こてい銃床じゅうしょうモデルと伸縮しんしゅくワイヤー銃床じゅうしょうの2しゅ存在そんざいする。またリアサイト現行げんこうモデルのようなドラム回転かいてんしきではなくフリップアップしきのものであり、位置いち前方ぜんぽうっている。マガジン湾曲わんきょくしているものではなくストレートタイプのものを使用しようする。

G3正式せいしき小銃しょうじゅうとして選定せんていされるまでHK54はながあいだ放置ほうちされている状態じょうたいだったが、1965ねんについに公開こうかいされドイツぐん国境警備隊こっきょうけいびたいしゅう警察けいさつけて提供ていきょうされた。1966ねんあきごろにはMP5仕様しようあらためられたモデルが国境警備隊こっきょうけいびたい運用うんよう開始かいしした。

MP5[編集へんしゅう]

前述ぜんじゅつした1966ねんあきごろ国境警備隊こっきょうけいびたい運用うんよう開始かいしした最初さいしょ量産りょうさんがたおもわれるモデル。画像がぞうなど明確めいかく外見がいけん判断はんだんできる要素ようそ存在そんざいしないため不明ふめい部分ぶぶんおおいが、ハンドガードをセトメライフルベースのあなひらいたものから前期ぜんきがたハンドガードに変更へんこうしたモデルとされている。

MP5A1[編集へんしゅう]

1960年代ねんだい後半こうはん開発かいはつされたMP5の改良かいりょうがた。MP5同様どうよう画像がぞう存在そんざいせず情報じょうほう希薄きはくなため明確めいかく仕様しよう不明ふめいである。

MP5A2[編集へんしゅう]
前期ぜんきがたハンドガードとSEFトリガー構成こうせいのMP5A2。

1970ねんより発表はっぴょう販売はんばいされたMP5およびMP5A1の改良かいりょうモデルで、MP5A2は固定こてい銃床じゅうしょうそなえたモデルである

このモデルからリアサイト現行げんこうモデルと同様どうようのドラム回転かいてんしきのものに変更へんこうされ位置いち射手しゃしゅがわせられた。銃身じゅうしんがG3A3のようにフリーフロートされ精度せいどがさらに向上こうじょうした。マガジン初期しょきではHK54のストレートマガジンが現役げんえきだったが1977ねんごろには現行げんこう湾曲わんきょくマガジンに変更へんこうした。初期しょきがたではHK54からMP5A1のSEFトリガーだったが、のちによりにぎりやすくセレクター表記ひょうき変更へんこう・アンビ設計せっけい変更へんこうしたネイビートリガーばれる新型しんがたのものに変更へんこうしていった。おなじくハンドガードも初期しょきがたではMP5の前期ぜんきがたハンドガードだったが1980年代ねんだい中頃なかごろには幅広はばひろふとにぎりやすい後期こうきがたハンドガードに変更へんこうされた。またハンドガードのバリエーションも展開てんかいされ、ライト内蔵ないぞうがたのものや下部かぶ左右さゆうの3めんピカティニーレールそなえたもの、アダプタを装着そうちゃくすることでM203可能かのうHKしゃ独自どくじISL-2000というアンダーバレルランチャーも開発かいはつされMP5A2/MP5A3とMP7シリーズに可能かのうである。

MP5A3[編集へんしゅう]

1970ねんより発表はっぴょう販売はんばいされたMP5およびMP5A1の改良かいりょうモデルで、MP5A3は伸縮しんしゅくワイヤー銃床じゅうしょうそなえたモデルである。

初期しょきがた銃床じゅうしょうはHK54のものだったがのちにじゅう拡大かくだいされた新型しんがた変更へんこうされていった。銃床じゅうしょう以外いがいにMP5A2と明確めいかくちがいはない。

MP5A4[編集へんしゅう]
MP5A4/MP5A5の3てんバースト射撃しゃげき機能きのうそなわったトリガーグループ。

1985ねん発表はっぴょう販売はんばいされたMP5A2に3てんバースト射撃しゃげき機能きのう追加ついかしたモデル。

このモデルよりすべてが後期こうきがたハンドガードにネイビートリガーという構成こうせい生産せいさんされた。基本きほんてきにはフルオート・3てんバースト・セミオートという構成こうせいだが3てんバーストとセミオートのみのモデルも存在そんざいする。

MP5A5[編集へんしゅう]

1985ねん発表はっぴょう販売はんばいされたMP5A3に3てんバースト射撃しゃげき機能きのう追加ついかしたモデル。

ほとんどのモデルがMP5A3と同様どうよう銃床じゅうしょうけているが近年きんねんはMP5E2(MP5F)やMP5 MLI同様どうようあついゴムせいじゅうそなえた最新さいしん銃床じゅうしょうけたモデルを販売はんばいしている。銃床じゅうしょう以外いがいにMP5A4と明確めいかくちがいはない。

MP5F/MP5E2[編集へんしゅう]

フランス国家こっか憲兵けんぺいたいけモデル。つよ装弾そうだん(+Pだん)に対応たいおうして内部ないぶ構造こうぞう強化きょうか伸縮しんしゅくしきストックにはゴムせいゆかばん装着そうちゃくしている。「過去かこ25年間ねんかんもっとおおきな設計せっけい変更へんこう」として1998ねん発売はつばいされたが、MP5Fはセールスじょう呼称こしょうであり、社内しゃないでの識別しきべつ呼称こしょうMP5E2とされる。同様どうよう設計せっけい変更へんこうは、のち製造せいぞうされたモデルすべてに適用てきようされた[9]

MP5 MLI[編集へんしゅう]

2014ねん発表はっぴょうされた現在げんざい最新さいしんのMP5。

標準ひょうじゅん左右さゆう下部かぶの3めんピカティニーレールとレシーバー上面うわつらにピカティニーレールが追加ついかされておりおおくのアタッチメントに対応たいおうした。銃床じゅうしょうはMP5Fのものがけられており標準ひょうじゅんでFDE塗装とそうがされている。

HK54A1[編集へんしゅう]

1980ねん4がつにアメリカ海軍かいぐん兵器へいき支援しえんセンターの要求ようきゅうによって開発かいはつされたMP5、MP5SD、MP5K3しゅ統合とうごう目指めざしたモデル。

アメリカ海軍かいぐん兵器へいき支援しえんセンターが提出ていしゅつしたNOO 164-80-R-0052もとづいてアメリカ陸軍りくぐん海軍かいぐん空軍くうぐんの3ぐん共同きょうどう使用しようする特殊とくしゅ部隊ぶたいもちいたん機関きかんじゅう開発かいはつする計画けいかくJSSAPのもと始動しどうした。この計画けいかく発足ほっそくした要因よういんは1970年代ねんだいのテロ事件じけん対抗たいこうするためたいテロ、人質ひとじち救出きゅうしゅつつよ意識いしきした銃器じゅうき需要じゅようしょうじたためである。おも目的もくてきはMP5、MP5SD、MP5Kの3しゅ統合とうごうであり、これが実現じつげんすれば訓練くんれん効率こうりつ汎用はんようせいおおきく向上こうじょうする。

以下いか改良かいりょう変更へんこうほどこされた。

  • 比較的ひかくてき環境かんきょう変化へんかよわいMP5をこう気温きおん砂塵さじんおお砂漠さばくからてい気温きおん極地きょくちまで問題もんだいなく作動さどうするよう改良かいりょう
  • 全体ぜんたいてき耐久たいきゅうせい向上こうじょう
  • ボルトフォワードアシストの追加ついか
  • 銃身じゅうしんサプレッサー耐久たいきゅうせい向上こうじょう。(やく10000はつ向上こうじょう)
  • どんな姿勢しせい射撃しゃげきしても射手しゃしゅ発射はっしゃガスがかからないよう改良かいりょう
  • 消音しょうおんせいたかめるため通常つうじょう弾薬だんやく使用しようしても音速おんそくにまでがるように。
  • 自動じどうサイクルのしないよう可能かのう
  • 連射れんしゃ速度そくどまいぶん1000はつにまで高速こうそく
  • 50れんドラムマガジンが使用しよう可能かのう
  • .45 ACPだんへのえが可能かのう

このようにさまざまな改良かいりょうほどこされたがJSSAPの要件ようけんたせなかった。1983ねんグレナダ侵攻しんこうさいNavy SEALs:チーム6にて試験しけん運用うんようされたが作動さどう停止ていしするなどのトラブルが報告ほうこくされた。

SMG[編集へんしゅう]

HK54A1の開発かいはつのちアメリカ海軍かいぐんがMP5の改良かいりょう要求ようきゅうしたため1981ねん開発かいはつされたMP5の大幅おおはば改良かいりょうモデル。

全長ぜんちょうはMP5Kにちかながさにまで短縮たんしゅくされ、作動さどう機構きこうもよりシンプルなシンプルブローバッククローズドボルト閉鎖へいさ変更へんこうされた。内部ないぶ機構きこうにはスプリングと油圧ゆあつ機構きこう併用へいようしたふくあい緩衝かんしょう機構きこう追加ついかされておりこれによりセレクターを操作そうさすることで射撃しゃげき速度そくど調整ちょうせい可能かのうになった。アイアンサイト、ハンドガードの形状けいじょう変更へんこうし、セレクター表記ひょうき記号きごうから30/1の数字すうじ変更へんこうしている。銃身じゅうしん簡単かんたんはず可能かのう内蔵ないぞうがたサプレッサーみも容易よういにできる設計せっけいになっている。そしてサプレッサーはHK54A1同様どうよう空気くうきべんにより自動じどう初速しょそく音速おんそくいきまで低下ていかするようになっている。

このモデルをアメリカ海軍かいぐん兵器へいき支援しえんセンターへ提出ていしゅつしたが要件ようけんたせずさらなる改良かいりょう必要ひつようという評価ひょうかけた。その評価ひょうかのちにハンドガードの形状けいじょう変更へんこうしフォアグリップをけ、左利ひだりききでも問題もんだいなく操作そうさできるようコッキングレバーを上面うわつら移動いどうさせた改良かいりょうモデルを提出ていしゅつしたが評価ひょうかくつがえることはなかった。

SMG ll[編集へんしゅう]

SMGの評価ひょうか開発かいはつされたSMGの改良かいりょうモデル。

HK54A1とSMGの集大成しゅうたいせいえるモデルで、銃床じゅうしょう収納しゅうのうするとMP5Kにちか全長ぜんちょうになり、サプレッサーけるとMP5SDとして運用うんようができるすぐれた汎用はんようせいっている。SMGの連射れんしゃ速度そくど調整ちょうせい機能きのうさい設計せっけい調整ちょうせいをハンドガード基部きぶのセレクターでおこない、こうあつ高速こうそくH低圧ていあつ低速ていそくL表記ひょうきするようになった。またSMGでは省略しょうりゃくされていた3てんバースト射撃しゃげき機能きのうふたた追加ついかされている。

このようにさまざまな改良かいりょうほどこされたが1てい値段ねだんが2800ドルにまでふくがったため採用さいようはされなかった。量産りょうさんはされずいままでで60ていほどしか生産せいさんされていない。

MP5Nシリーズ[編集へんしゅう]

1986ねんアメリカ海軍かいぐん採用さいようされたアメリカ海軍かいぐん仕様しようのMP5シリーズ。SMGの採用さいよう希望きぼうしていたが頓挫とんざしたため特別とくべつ設計せっけいのMP5シリーズをふたた採用さいようした。

  • 海水かいすいにさらされても問題もんだいなく運用うんようできるようたい腐食ふしょく処理しょり追加ついか
  • 銃口じゅうこうのネジりをアメリカ海軍かいぐん仕様しよう変更へんこう
  • トリガーグループをSEFトリガーからネイビートリガーに変更へんこう
  • フロントサイトトリチウム蛍光けいこうするよう変更へんこう

おもにMP5N仕様しよう存在そんざいするのはMP5A2とMP5A3だがMP5KA2やMP5SD2、MP5SD3などのモデルもおなじくMP5N仕様しよう存在そんざいしている。

MP2000[編集へんしゅう]

1988ねん開発かいはつ開始かいし、1999ねん完成かんせいした部品ぶひんモジュラー軽量けいりょうポリマー使用しよう重視じゅうしした試作しさくがた

SMG/SMG ll同様どうよう機能きのうったままおおくの部品ぶひん軽量けいりょうポリマーで構成こうせいしている。ロアレーバー、マガジンなども形状けいじょう変更へんこうされている。ハンドガードにははず可能かのうなフォアグリップがあり、照準しょうじゅんけも可能かのうである。

アメリカ海軍かいぐん提出ていしゅつしたがまたしても採用さいようとなった。

MP5 PIP[編集へんしゅう]

HK36UMP開発かいはつ経験けいけんかし構想こうそうされたMP5。模型もけいのみの製造せいぞう構想こうそうだけで中止ちゅうしとなった。

MP5SDシリーズ[編集へんしゅう]

MP5SD[編集へんしゅう]

1960年代ねんだい開発かいはつ始動しどう、1968ねん完成かんせいしたMP5およびMP5A1からMP5A2/MP5A3のサプレッサー内蔵ないぞうがたモデル。

ハンドガードいち体型たいけい金網かなあみがたのサプレッサーを内蔵ないぞうしていたが試験しけんではわずか70はつほどの射撃しゃげき過度かど加熱かねつするオーバーヒート状態じょうたいになったため採用さいようはされずさらなる開発かいはつつづけられた。

MP5SD1[編集へんしゅう]

1970〜1972ねん開発かいはつされたMP5SDの改良かいりょうモデル。

サプレッサー構造こうぞうを30直径ちょっけい3mmのあなと2つのガス膨張ぼうちょうしつそなえるよりMP5SDとくら複雑ふくざつなものの、より実用じつようてきなものに変更へんこうし、ハンドガードから独立どくりつした設計せっけいとなった。サプレッサーの追加ついかによってハンドガードはあらたに開発かいはつしたこまかいセレーションがたてはいったものに変更へんこうされた。また銃床じゅうしょうはずされレシーバーはしにはカバーとスリングスイベルがけられている。

サプレッサーの効果こうかによりやく70dBでしべるまで銃声じゅうせい減少げんしょうさせているが、銃口じゅうこう初速しょそくは285 m/sに低下ていかし、それにともな有効ゆうこう射程しゃていは200mから135mに減少げんしょうしている。

MP5SD2[編集へんしゅう]

MP5A2のサプレッサー内蔵ないぞうがたモデル。MP5A2同様どうよう時期じきによって仕様しよう変化へんかがある。

MP5SD3[編集へんしゅう]

MP5A3のサプレッサー内蔵ないぞうがたモデル。MP5A3同様どうよう時期じきによって仕様しよう変化へんかがある。

MP5SD4[編集へんしゅう]

MP5SD5/MP5SD6の銃床じゅうしょうはずしたモデル。

レシーバーはしにはカバーとスリングスイベルがけられている。MP5SD1の3てんバースト射撃しゃげき機能きのう追加ついかしたモデルにあたる。

MP5SD5[編集へんしゅう]

MP5A4のサプレッサー内蔵ないぞうがたモデル。

MP5SD6[編集へんしゅう]

MP5A5のサプレッサー内蔵ないぞうがたモデル。

MP5Kシリーズ[編集へんしゅう]

MP5K[編集へんしゅう]

1970年代ねんだいヨーロッパでのテロ事件じけん増加ぞうか対応たいおうするため1976ねん試作しさくしたMP5A2/MP5A3の小型こがたモデル。

このモデルはおも要人ようじん警護けいご想定そうていした設計せっけいであり銃身じゅうしん大幅おおはば短縮たんしゅく、ハンドガードをはず独特どくとく形状けいじょうのフォアグリップをけている。銃床じゅうしょうおなじくはずされカバーではなくスリングスイベルのみが追加ついかされている。全長ぜんちょう短縮たんしゅくのためにマズルカバーまでもはずされているため銃口じゅうこう装置そうちけはできない。またレシーバーはしにアダプタを装着そうちゃくすることでMP5K-PDW同様どうようりたたみしき銃床じゅうしょうけることも可能かのうである。

ボルト周辺しゅうへん大幅おおはば短縮たんしゅく軽量けいりょうによりまいぶん900はつ連射れんしゃ速度そくど向上こうじょうしている。

MP5KA1[編集へんしゅう]

MP5Kのアイアンサイトはずしたモデル。暗視装置あんしそうち搭載とうさいでの運用うんよう前提ぜんていである。このモデルからフォアグリップはよりシンプルな形状けいじょう改良かいりょうされぜんはしにはハンドストップが追加ついかされている。またMP5KではHK54のストレートマガジン使用しようしていたがMP5KA1からは湾曲わんきょくマガジンを使用しようしている。

MP5KA2[編集へんしゅう]

MP5KA1に従来じゅうらいどおアイアンサイトけたモデル。MP5A2/MP5A3同様どうよう初期しょきがたではSEFトリガーだったがのちにネイビートリガーへと変更へんこうされた。

MP5KA4[編集へんしゅう]
MP5KA4

MP5KA2に3てんバースト射撃しゃげき機能きのう追加ついかしたモデル。MP5A4/MP5A5同様どうようこのモデルからすべてネイビートリガーで生産せいさんされるようになった。

MP5KA5[編集へんしゅう]

MP5KA1に3てんバースト射撃しゃげき機能きのう追加ついかしたモデル。MP5A4/MP5A5同様どうようこのモデルからすべてネイビートリガーで生産せいさんされるようになった。

MP5K スペシャルケース/コッファー[編集へんしゅう]
FA-MAS(左側ひだりがわ)とはこがたのMP5K スペシャルケース(右側みぎがわ)。

MP5Kシリーズよりもさらに要人ようじん警護けいごとくしたモデル。

専用せんようのバックのなかにMP5KA2と予備よびマガジン1つがおさめられておりバックの取手とってないのトリガーを操作そうさすることで外部がいぶから射撃しゃげき可能かのうである。外見がいけんから銃器じゅうき判断はんだんするのはむずかしく射撃しゃげき薬莢やっきょうすべてバックないちる設計せっけいのため秘匿ひとくせい非常ひじょうたかい。このMP5KA2はして通常つうじょうどお使用しようすることも可能かのうである。

はこがたのものとかわなどのやわらかい素材そざいでできたアタッシュケースのものの2しゅ存在そんざいする。

MP5K-PDW[編集へんしゅう]

1989ねん開発かいはつされたMP5KA2のPDW仕様しよう

レシーバーはしプラスチックせいりたたみしき銃床じゅうしょうけ、銃口じゅうこうにはネジりのほどこされたマズルが追加ついかされ、標準ひょうじゅんでは三又みつまた形状けいじょうフラッシュハイダーけられているがはずすことでサプレッサーなども使用しよう可能かのうである。近年きんねんではりたたみしき銃床じゅうしょうではなくUMP銃床じゅうしょうけたMP5K-PDWも登場とうじょうしている。

だい口径こうけいモデル

1980年代ねんだい後半こうはんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく警察けいさつでは9x19mmパラベラムだんストッピングパワー不足ふそくかんじていたことから、より強力きょうりょく実包じっぽう使用しようした拳銃けんじゅう市場いちば投入とうにゅうされつつあった。これに対応たいおうして、MP5でも、これらの実包じっぽう使用しようする派生はせいがた開発かいはつされた[9]

MP5/10(MP10)

10mmオートだん使用しようするモデル。だい口径こうけいともなって内部ないぶ構造こうぞう強化きょうかしたほか、ボルトストップを装備そうびした。またマガジンは、弾薬だんやく重量じゅうりょう増加ぞうかおぎなうため合成ごうせい樹脂じゅしせいとして軽量けいりょうしたほか、ざんだん確認かくにんできるようにはん透明とうめいになっている。1992ねん発売はつばいされ、FBIが5000てい調達ちょうたつしたものの、需要じゅよう低迷ていめいのために生産せいさん終了しゅうりょうとなり、予備よび部品ぶひん供給きょうきゅう終了しゅうりょうしている[9]

MP5/40

.40S&Wだん使用しようするモデル。設計せっけいはMP5/10と同様どうようで、やはり同時どうじに1992ねん発売はつばいされた[9]

MP5/357

.357SIGだん使用しようするモデル。基本きほんてきにはMP5/40のバレルを交換こうかんしたのみのものである[9]

MP5 .224 ボズ[編集へんしゅう]

1990年代ねんだい開発かいはつされた.224 ボズだんというPDWだん使用しようするMP5。イギリスぐん試験しけんされたが採用さいようされることはなかった。

民間みんかんけモデル[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどの民間みんかん市場いちばけに、セミオート限定げんていのモデルが開発かいはつされた。HK94からSP5Kまでのモデルはパドルしきのマガジンキャッチレバーがはいされている[10]

HK94A2

1983ねん発売はつばいされたMP5A2のはん自動じどうカービンモデル[11]

銃身じゅうしんちょうが420ミリメートルにばされているが、このながぎる銃身じゅうしん不格好ぶかっこうであり不評ふひょうだったため、円筒えんとうがた銃身じゅうしんおおいを装着そうちゃくしてだけMP5SDシリーズせる方法ほうほうと、ATF申請しんせいして「短銃たんじゅうライフル」として登録とうろくし、合法ごうほうてき銃身じゅうしんめる方法ほうほうなどさまざまな方法ほうほう軍用ぐんようモデルに仕様しようちかづける工夫くふうがされたが1989ねん輸入ゆにゅう禁止きんし措置そちにともない製造せいぞう終了しゅうりょう[11]した。またおおくのHK94は、ATFへの登録とうろくオートマチックシアむことで、合法ごうほうてきにフルオート射撃しゃげき可能かのうなように改造かいぞうされた[9]。またレバーしきのマガジンキャッチボタンがなくなっている。

HK94A3[編集へんしゅう]

HK94A2の銃床じゅうしょうをMP5A3同様どうよう伸縮しんしゅくしきワイヤー銃床じゅうしょう変更へんこうしたモデル。銃床じゅうしょう以外いがいにHK94A2と明確めいかくちがいはない。

HK94SG/1[編集へんしゅう]

1986ねんにHKしゃのカタログに掲載けいさいされていたHK94のマークマンライフル仕様しよう都市とし戦闘せんとうなどで短距離たんきょり狙撃そげきよう開発かいはつされたとわれている。アメリカへ50ていほどが輸出ゆしゅつされている。

MP5SFA2[編集へんしゅう]

1986ねん以降いこう販売はんばいされたMP5A2のセミオートオンリーモデル。民間みんかんけではあるがおもなターゲットはほう執行しっこう機関きかんであり、ほう執行しっこう機関きかんでさえフルオート銃器じゅうき所持しょじできない規制きせいきびしいしゅう地域ちいきけて販売はんばいされている。このような背景はいけいから1991ねん12がつ以降いこう生産せいさんされたモデルはフルオート射撃しゃげき可能かのう容易ようい改造かいぞうできるように変更へんこうされた。

MP5SFA3[編集へんしゅう]

1986ねん以降いこう販売はんばいされたMP5A3のセミオートオンリーモデル。銃床じゅうしょう以外いがいにMP5SFA2と明確めいかくちがいはない。

SP89

銃床じゅうしょうはずしレシーバーはしにスリングスイベルをけたセミオートオンリーピストルモデル[12]法的ほうてきにピストルとして販売はんばいするため、銃床じゅうしょうやフォアグリップは装着そうちゃくできず、わりに、あやまって銃口じゅうこうまえないように拡大かくだいされたマズルガードがされている[11]。1989ねんからアサルトウェポン規制きせい英語えいごばん制定せいていされるまでの5年間ねんかんアメリカに輸入ゆにゅう販売はんばいされていた[12]が、そのおおくは、HK94A2/HK94A3と同様どうようにオートマチックシアをんで、フルオート射撃しゃげき可能かのうなように改造かいぞうされた[9]。2016ねんにマイナ―チェンジをほどこしたSP5Kを発売はつばいした[12]。2020ねん時点じてんでSP5Kの製造せいぞう終了しゅうりょうしているが、2020ねんにハンドガードのデザインを変更へんこうしたSP5K-PDWが限定げんてい販売はんばいされた[13]

SP5

ピストルモデル[14]。SP89とことなりMP5シリーズ同様どうようの225mmの銃身じゅうしんになっている。2019ねんより販売はんばいされ[15]SP89と同様どうよう法的ほうてきにピストルとするため銃床じゅうしょうやフォアグリップは装着そうちゃくできないが、アームブレースをけることは可能かのう[15]これにともないHK94と同様どうよう使用しようであるSP5Lが発売はつばいされた。

訓練くんれんようモデル[編集へんしゅう]

1970ねん、H&Kしゃは、訓練くんれんようとして.22LRだんへの転換てんかんキットを発売はつばいしたが、使用しようかんことなるうえ信頼しんらいせい問題もんだいがあり、400セットも生産せいさんされずに販売はんばい終了しゅうりょうとなった。かわりに1984ねんには、模擬もぎせんようとして、プラスチックだん専用せんようのMP5Tが発売はつばいされた。実包じっぽう射撃しゃげきできず、レシーバーの左右さゆう側面そくめん青色あおいろで「プラスチックだんのみ」とかれており、コッキングハンドルも青色あおいろになっている[9]

おおくの警察けいさつ組織そしきでは、訓練くんれんにしか使つかえないMP5Tではなく、既存きそんのMP5をもとにペイントだん発射はっしゃできるようにしたシミュニッション転換てんかんキットがもちいられている[9]

HK社外しゃがいせいモデル[編集へんしゅう]

SWA5
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのスペシャルウエポンしゃがライセンス生産せいさんしたもの。MP5Kに相当そうとうするMP-10(および民間みんかんようのSP-10)が製造せいぞうされている。
PTR 9
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのPTRインダストリーズがコピー生産せいさんしたもの。
EBO MP5[ちゅう 4]
ギリシャのヘラニック・アームズ・インダストリー(EBO)しゃがライセンス生産せいさんしたもの。MP5A3、MP5A4、MP5Kが製造せいぞうされている[17]
トンダール 9mm SMG
イランでライセンス生産せいさんされたもの。パフラヴィーあさ時代じだい王立おうりつモサルサシ造兵ぞうへいしょう製造せいぞうはじまったが、イラン革命かくめいのち解体かいたいされ、あらたに設立せつりつされたD.I.Oサンガフザルサジ・インダストリーズで製造せいぞうされている[18]
POF MP5
パキスタン国立こくりつパキスタン・オーディナンス・ファクトリーズ(POF)がライセンス生産せいさんするもの。パキスタンぐん警察けいさつ制式せいしき採用さいようされ、1980年代ねんだいより生産せいさん開始かいしされた。また海外かいがいとくアフリカへの輸出ゆしゅつおこなっている[19]
Tihraga
スーダンのミリタリー・インダストリー・コーポレーション(MIC)しゃが、イランのトンダール 9mmをライセンス生産せいさんしたタイプ。
MIC MP5
サウジアラビアの国営こくえい軍需ぐんじゅ産業さんぎょう会社かいしゃであるMICしゃのライセンス生産せいさんモデル[16]
MKEK シラーサン MP5
トルコのマキナ・ベ・キミヤー・エンデュストリシ・クルム(MKEK)が1983ねんから生産せいさんはじめたMP5。MP5A2、MP5A3、MP5Kが製造せいぞうされている。MKEKのロゴが刻印こくいんされているのが識別しきべつてん
NR-08
中国ちゅうごく中国ちゅうごく北方ほっぽう工業こうぎょう公司こうし(NORINCO)がコピーしたタイプ[16]

しょもと性能せいのう[編集へんしゅう]

MP5A4[20] MP5A5[20] MP5SD6[21] MP5KA4[22] MP5K PDW[22]
口径こうけい 9×19 mm
全長ぜんちょう 675 mm 690 mm
最小さいしょう550 mm)
800 mm
最小さいしょう660 mm)
320 mm 570 mm
最小さいしょう330 mm)
銃身じゅうしんちょう 225 mm 146 mm 115 mm 148 mm
重量じゅうりょう
装弾そうだん
2,895 g 3,100 g 3,400 g 2,000 g 2,530 g
装弾そうだんすう 15/30はつ
連射れんしゃ速度そくど 800はつ/ぶん 900はつ/ぶん

運用うんよう[編集へんしゅう]

MP5Nを装備そうびしたNavy SEALs隊員たいいん。マガジンをジャングルスタイル改造かいぞうしている
シュアファイアM628ウェポンライトを装着そうちゃくしたMP5をかまえるSAT隊員たいいん
MP5をGIGN隊員たいいん右側みぎがわ)。バイザーストックを装着そうちゃくしている

まず1966ねん西にしドイツ連邦れんぽう国境警備隊こっきょうけいびたい採用さいようされたほか、同国どうこくしゅう警察けいさつでもおおくが採用さいようされた。単価たんかたかさから、西にしドイツ国外こくがいへの普及ふきゅうすすまなかったが[2]イギリス陸軍りくぐん特殊とくしゅ空挺くうてい部隊ぶたい(SAS)は、連邦れんぽう国境警備隊こっきょうけいびたいGSG-9との共同きょうどう訓練くんれん経験けいけんから、1970年代ねんだい後半こうはんごろよりMP5を導入どうにゅうした[23]

そしてMP5を一躍いちやく有名ゆうめいにしたのが1977ねんルフトハンザ航空こうくう181便びんハイジャック事件じけんである。この事件じけんでは西にしドイツ政府せいふがテロリストの要求ようきゅうおうじず、GSG-9が人質ひとじち救出きゅうしゅつ作戦さくせん敢行かんこうし、人質ひとじち被害ひがいさずにわずか5分間ふんかんでテロリスト全員ぜんいん無力むりょくして解決かいけつした。せま機内きないでの作戦さくせんのぞむにたり、GSG-9隊員たいいんおおくはS&W M19・M66回転かいてんしき拳銃けんじゅうH&K P9S自動じどう拳銃けんじゅう携行けいこうしており、MP5をった隊員たいいん比較的ひかくてき少数しょうすうだったが、拳銃けんじゅうでは瞬間しゅんかん制圧せいあつりょくひくくテロリストを無力むりょくするのに手間てまがかかったのにたいし、MP5のたん連射れんしゃけたテロリストは即座そくざ行動こうどう不能ふのうになり、MP5の威力いりょくつよ印象いんしょうけられた。このため、GSG-9は、その作戦さくせんでMP5を愛用あいようするようになっていった[24]。そしてまた、作戦さくせん記者きしゃ会見かいけんのさいに、GSG-9隊長たいちょうウェグナー大佐たいさがMP5SDをにしており、この写真しゃしんぜん世界せかい紙面しめんかざったことで、その知名度ちめいど飛躍ひやくてき向上こうじょうし、世界中せかいじゅうたいテロ作戦さくせん部隊ぶたいきそってMP5を導入どうにゅうすることになった[25]

これらの特殊とくしゅ部隊ぶたいがMP5に期待きたいしていたのは、たん連射れんしゃ複数ふくすうだん正確せいかく精度せいどと、拳銃けんじゅうだん貫通かんつうりょくひくさによる付随ふずいてき損害そんがい抑制よくせい両立りょうりつであった[ちゅう 5]。これにたいし、こう精度せいどのセミオートマチック・カービンとして導入どうにゅうしたほう執行しっこう機関きかんもあった。たとえばロンドン警視庁けいしちょうは、突入とつにゅう作戦さくせん担当たんとうするSWATにあたる専門せんもん射手しゃしゅ(SFO)にはフルオート射撃しゃげき対応たいおうモデルを配備はいびする一方いっぽう普段ふだんから街頭がいとう警邏けいらする武装ぶそう応召おうしょうしゃ(ARV)にはセミオート射撃しゃげき限定げんていしたMP5-SFを配備はいびした[24]日本にっぽん警察けいさつでも、警備けいび銃器じゅうき対策たいさく部隊ぶたいにはMP5Fにじゅんじたフルオート射撃しゃげき対応たいおうモデルを配備はいびする一方いっぽう[26]刑事けいじ特殊とくしゅはん捜査そうさがかり(SIT)にはMP5K PDWにじゅんじたセミオート限定げんていモデルを配備はいびしており、MP5SFKとしょうされる[27]

運用うんようこく[編集へんしゅう]

など

登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ イギリスぐんでは、テストよう.224 ボズだん使用しようするよう対応たいおう改造かいぞうほどこされたもの存在そんざいした。
  2. ^ クローズドボルト方式ほうしきのフルオート射撃しゃげき火器かきには、コックオフ現象げんしょう加熱かねつによる暴発ぼうはつきやすいという欠点けってんがあるが、9 mmパラベラムだん実用じつようてき連射れんしゃではコックオフをしょうじるほどの高温こうおんしょうじないことが実証じっしょうされており、訓練くんれん通常つうじょう試験しけんでの連続れんぞく発射はっしゃで、MP5がコックオフをこした記録きろくはない[5]
  3. ^ 弾丸だんがんのアイコンによってしめされるもので、安全あんぜん位置いちしろ弾丸だんがんにX、たんしゃあか弾丸だんがん1つ、てんしゃあか弾丸だんがん2つもしくは3つ、連射れんしゃあか弾丸だんがん7つ、という表示ひょうじとなっている[9]
  4. ^ ギリシャのEU加盟かめいにあわせて、EBOはヘレニック・ディフェンス・システムズ(EAS)に改称かいしょうした[16]
  5. ^ 近年きんねんでは、ボディアーマー普及ふきゅうもあって、より貫通かんつうりょくたか射程しゃてい距離きょりながアサルトカービン使用しようする機関きかんえているが[24]、この場合ばあい過剰かじょう貫通かんつうとべだんによる付随ふずいてき損害そんがい問題もんだいがあるため、着弾ちゃくだん粉砕ふんさいする特殊とくしゅ弾丸だんがん (Frangible bulletなども使用しようされる[23]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ トンプソン 2019, pp. 2–10.
  2. ^ a b c d e f ゆか 2000, pp. 18–25.
  3. ^ a b c ゆか 2005, pp. 200–202.
  4. ^ トンプソン 2019, pp. 14–29.
  5. ^ a b トンプソン 2019, pp. 76–89.
  6. ^ Satoshi Maoka (2007ねん12月18にち). “HK Universal Machine Pistol”. 2012ねん9がつ24にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2022ねん1がつ21にち閲覧えつらん
  7. ^ 小峯こみね & 坂本さかもと 2005, p. 87.
  8. ^ Morohoshi, Etsuo「アメリカ・マシンガン事情じじょう17・MP5雑学ざつがくノート」『月刊げっかんGun』、国際こくさい出版しゅっぱん、2007ねん11月。 
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w トンプソン 2019, pp. 30–75.
  10. ^ E.Morohoshi 2020, p. 10.
  11. ^ a b c E.Morohoshi 2020, p. 14.
  12. ^ a b c E.Morohoshi 2020, p. 13.
  13. ^ E.Morohoshi 2020, pp. 12, 15.
  14. ^ E.Morohoshi 2020, p. 6.
  15. ^ a b E.Morohoshi 2020, p. 18.
  16. ^ a b c トンプソン 2019, pp. 156–174.
  17. ^ ゆか 2000, p. 190.
  18. ^ ゆか 2000, p. 200.
  19. ^ ゆか 2000, p. 235.
  20. ^ a b ヘッケラー&コッホ. “Heckler&Koch - Technical Data - MP5” (英語えいご). 2016ねん2がつ20日はつか閲覧えつらん
  21. ^ ヘッケラー&コッホ. “Heckler&Koch - Technical Data - MP5SD” (英語えいご). 2016ねん2がつ20日はつか閲覧えつらん
  22. ^ a b ヘッケラー&コッホ. “Heckler&Koch - Technical Data - MP5K” (英語えいご). 2016ねん2がつ20日はつか閲覧えつらん
  23. ^ a b トンプソン 2019, pp. 120–155.
  24. ^ a b c トンプソン 2019, pp. 90–119.
  25. ^ トンプソン 2019, 監訳かんやくしゃのことば.
  26. ^ ストライクアンドタクティカルマガジン 2017, pp. 60–63.
  27. ^ ストライクアンドタクティカルマガジン 2017, pp. 46–51.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 柿谷かきだに, 哲也てつや菊池きくち, 雅之まさゆき最新さいしん 日本にっぽんたいテロ特殊とくしゅ部隊ぶたい三修社さんしゅうしゃ、2008ねんISBN 978-4384042252 
  • ストライクアンドタクティカルマガジン へん日本にっぽん特殊とくしゅ部隊ぶたい』2017ねん3がつNCID BB01834038 
  • ゆか, 雅美まさみ最新さいしんサブ・マシンガン図鑑ずかん徳間書店とくましょてん、2000ねんISBN 978-4198913427 
  • ゆか, 雅美まさみ『オールカラー軍用ぐんようじゅう事典じてん並木なみき書房しょぼう、2005ねんISBN 978-4890631872 
  • トンプソン, リーロイ『MP5サブマシンガン』ゆか 雅美まさみ (監修かんしゅう), 加藤かとうたかし (翻訳ほんやく)、並木なみき書房しょぼうOsprey Weapon Series〉、2019ねんISBN 978-4890633821 
  • E.Morohoshi「H&K SP5 & HK94」『Gun Professionals』2020ねん11月、6-25ぺーじ 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]