出典 しゅってん は列挙 れっきょ するだけでなく、脚注 きゃくちゅう などを用 もち いてどの記述 きじゅつ の情報 じょうほう 源 げん であるかを明記 めいき してください。記事 きじ の信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう にご協力 きょうりょく をお願 ねが いいたします。(2014年 ねん 7月 がつ )
印欧語 いんおうご 族 ぞく の拡散 かくさん
インド・ヨーロッパ祖語 そご (インド・ヨーロッパそご、英 えい : Proto-Indo-European 、PIE )は、インド・ヨーロッパ語族 ごぞく (印欧語 いんおうご 族 ぞく )の諸 しょ 言語 げんご に共通 きょうつう の祖先 そせん (祖語 そご )として理論 りろん 的 てき に構築 こうちく された仮説 かせつ 上 じょう の言語 げんご である。印 しるし 欧 おう 祖語 そご (いんおうそご、いんのうそご)とも称 しょう される。
この言語 げんご の成立 せいりつ から崩壊 ほうかい までの期間 きかん は先史 せんし 時代 じだい に当 あ たり、文字 もじ が存在 そんざい せず、全 すべ て口伝 くでん により子孫 しそん へと受 う け継 つ がれたため、直接 ちょくせつ の記録 きろく が一切 いっさい 残 のこ っていない。そのため、派生 はせい した言語 げんご からの推定 すいてい により再 さい 構 が進 すす められている。
クルガン仮説 かせつ によれば6000年 ねん 前 まえ にロシア 南部 なんぶ で、アナトリア仮説 かせつ によれば9000年 ねん 前 まえ にアナトリア で、原 はら 印 しるし 欧 おう 系 けい 民族 みんぞく によって話 はな されていた。(インド・ヨーロッパ祖 そ 族 ぞく #源 みなもと 郷 きょう についての研究 けんきゅう を参照 さんしょう )
ラテン語 らてんご ・ギリシア語 ご ・サンスクリット などの各 かく 古典 こてん 言語 げんご をはじめ、英語 えいご ・フランス語 ふらんすご ・ドイツ語 ご ・ロシア語 ご などヨーロッパ で話 はな されている言語 げんご の大 だい 部分 ぶぶん や[注釈 ちゅうしゃく 1] 、トルコ 東部 とうぶ からイラン 、インド亜 あ 大陸 たいりく 、スリランカ にわたるクルド語 ご ・ペルシア語 ご ・ウルドゥー語 ご ・ヒンディー語 ご ・シンハラ語 ご などの言語 げんご は、いずれもこの印 しるし 欧 おう 祖語 そご から派生 はせい して成立 せいりつ したとされる。
崩壊 ほうかい 期 き の印 しるし 欧 おう 祖語 そご は豊富 ほうふ な接尾 せつび 辞 じ をもつ屈折 くっせつ 語 ご であったとされる。これは印欧語 いんおうご 族 ぞく の諸 しょ 言語 げんご 同士 どうし の比較 ひかく 再 さい 構 による推定 すいてい による。印欧語 いんおうご 族 ぞく の言語 げんご は、屈折 くっせつ 的 てき 語形 ごけい 変化 へんか の大 だい 部分 ぶぶん を失 うしな ったものも多 おお いが、英語 えいご も含 ふく めて依然 いぜん 全 すべ て屈折 くっせつ 語 ご である。しかし近年 きんねん の内的 ないてき 再 さい 構 とその形態素 けいたいそ 解析 かいせき により、より古 ふる い段階 だんかい の印 しるし 欧 おう 祖語 そご ではセム祖語 そご のように語幹 ごかん 内 うち の母音 ぼいん 交替 こうたい を伴 ともな う屈折 くっせつ が起 お こっていた可能 かのう 性 せい が極 きわ めて高 たか いことが判明 はんめい した。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご は18世紀 せいき に、ラテン語 らてんご ・古典 こてん ギリシア語 ご ・サンスクリット といった、当時 とうじ 知 し られていたインド およびヨーロッパ の諸 しょ 言語 げんご の共通 きょうつう の起源 きげん をなすものとして提案 ていあん された。当初 とうしょ 、他 た の言語 げんご から隔 へだ たっていたアナトリア語 ご 派 は とトカラ語 ご 派 は は印欧語 いんおうご に含 ふく められず、喉 のど 音 おん 理論 りろん も考慮 こうりょ されていなかった。しかし両 りょう 語 かたり 派 は の存在 そんざい が明 あき らかになり、またヒッタイト語 ご に喉 のど 音 おん の存在 そんざい が確認 かくにん されると、崩壊 ほうかい 期 き の1000年 ねん 程 ほど 前 まえ にまずアナトリア語 ご 派 は が、続 つづ いてトカラ語 ご 派 は が分化 ぶんか したという形 かたち で理論 りろん 的 てき に組 く み込 こ まれることになった。現在 げんざい では印 しるし 欧 おう 祖語 そご の性質 せいしつ 、歴史 れきし 、原郷 はらごう を再建 さいけん する際 さい 、これら2語 ご 派 は の存在 そんざい も考慮 こうりょ されている。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご は文字 もじ を持 も たなかったため直接 ちょくせつ の証拠 しょうこ は存在 そんざい せず、音韻 おんいん および語形 ごけい は全 すべ て娘 むすめ 言語 げんご をもとにした比較 ひかく 再 さい 構と内的 ないてき 再 さい 構によるものである。なお、印 しるし 欧 おう 祖語 そご の単語 たんご には、それが再建 さいけん された形 かたち であることを示 しめ すために「*」(アステリスク )が付 ふ される。印欧語 いんおうご 族 ぞく に属 ぞく する言語 げんご の単語 たんご の多 おお くは、祖語 そご のひとつの祖 そ 形 がた をもとに一定 いってい の音韻 おんいん 変化 へんか の法則 ほうそく によって派生 はせい したものと考 かんが えられている。
単語 たんご の例 れい : *wódr̥ (水 みず )、*k̑wṓn (犬 いぬ )、*tréyes (3、男性 だんせい 形 がた )
他 た の語族 ごぞく との関連 かんれん [ 編集 へんしゅう ]
印 しるし 欧 おう 祖語 そご と他 た の語族 ごぞく との関係 かんけい については諸説 しょせつ あるものの、印 しるし 欧 おう 祖語 そご よりもさらに時代 じだい を遡 さかのぼ るためにいずれも推測 すいそく による部分 ぶぶん が大 おお きく、従 したが ってこれらの仮説 かせつ の妥当 だとう 性 せい が問題 もんだい となる。インド・ヨーロッパ語族 ごぞく と他 た 語族 ごぞく との類似 るいじ 点 てん として、以下 いか が挙 あ げられる。
ここから、以下 いか のような仮説 かせつ がある。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご から娘 むすめ 言語 げんご が分化 ぶんか する際 さい 、娘 むすめ 言語 げんご に応 おう じた音韻 おんいん 変化 へんか の法則 ほうそく により音韻 おんいん 体系 たいけい が変化 へんか した。
主要 しゅよう な音韻 おんいん 変化 へんか の法則 ほうそく には以下 いか のものがある。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご は以下 いか のような音素 おんそ 体系 たいけい を有 ゆう していたと推測 すいそく されている。娘 むすめ 言語 げんご において祖語 そご の音素 おんそ がどのように変化 へんか したかは、インド・ヨーロッパ語族 ごぞく の音韻 おんいん 法則 ほうそく (英語 えいご 版 ばん ) 及 およ びインド・ヨーロッパ語族 ごぞく の各 かく 言語 げんご の項目 こうもく を参照 さんしょう されたい。
この表 ひょう では、近年 きんねん の出版 しゅっぱん 物 ぶつ において最 もっと も一般 いっぱん 的 てき な表記 ひょうき 法 ほう を採用 さいよう した。上 うえ 付 つ きのʰ は有 ゆう 気 き 音 おん を示 しめ す。また喉 のど 音 おん 理論 りろん では、上表 じょうひょう の有 ゆう 声 ごえ 閉鎖 へいさ 音 おん は咽頭 いんとう 化 か 音 おと もしくは放出 ほうしゅつ 音 おん で、有 ゆう 声 ごえ 有 ゆう 気 き 音 おん は無声 むせい 有 ゆう 気 き 音 おん だった可能 かのう 性 せい もあるとしている。
ケルト祖語 そご 、バルト・スラヴ祖語 そご 、アルバニア語 ご 、イラン祖語 そご では、有 ゆう 声 ごえ 有 ゆう 気 き 閉鎖 へいさ 音 おん (bʰ 、dʰ 、ǵʰ 、gʰ 、gʷʰ )は有 ゆう 声 ごえ 無 む 気 き 音 おん (b 、d 、ǵ 、g 、gʷ )と同化 どうか した。(注 ちゅう : ケルト祖語 そご ではgʷʰ とgʷ は同化 どうか せず、gʷʰ はg に、gʷ はb に同化 どうか した。)
ゲルマン祖語 そご ではグリムの法則 ほうそく により、無声 むせい 閉鎖 へいさ 音 おん は摩擦音 まさつおん に、有 ゆう 声 ごえ 無 む 気 き 音 おん は無声 むせい 無 む 気 き 音 おん に、有 ゆう 声 ごえ 有 ゆう 気 き 音 おん は無声 むせい 有 ゆう 気 き 音 おん に変化 へんか した。
印欧語 いんおうご 族 ぞく のうち特 とく に古 ふる い幾 いく つかの言語 げんご では、グラスマンの法則 ほうそく 、バルトロマエの法則 ほうそく により、特定 とくてい の状況 じょうきょう 下 か で帯 おび 気 き の位置 いち が変化 へんか した。
両 りょう 唇音 しんおん はp 、b 、bʰ の3つとされ、包括 ほうかつ 記号 きごう P で表 あらわ されるが、両 りょう 唇音 しんおん の出現 しゅつげん 頻度 ひんど は極 きわ めて低 ひく い。放出 ほうしゅつ 音 おん をもつ言語 げんご は両 りょう 唇 くちびる 放出 ほうしゅつ 音 おん を持 も たない傾向 けいこう があるため、両 りょう 唇音 しんおん の出現 しゅつげん 頻度 ひんど の低 ひく さは喉 のど 音 おん 理論 りろん の論拠 ろんきょ とされる。
再建 さいけん により、t , d , dʰ の3つの歯音 しおん が一般 いっぱん に同定 どうてい されている。これらの子音 しいん は包括 ほうかつ 記号 きごう T で表 あらわ される。
ある研究 けんきゅう 者 しゃ は、子音 しいん クラスターTK が祖語 そご の段階 だんかい で音 おと 位 い 転換 てんかん を経 へ てKþ となっていると主張 しゅちょう している。根拠 こんきょ は以下 いか の通 とお り。
「大地 だいち 」を意味 いみ する語 かたり はヒッタイト語 ご で"dagan "、ギリシア語 ご で"khthōn "である。祖語 そご では*ǵʰðōm 、その古形 こけい は*dʰǵʰoms と再建 さいけん される。
「怪物 かいぶつ 」を意味 いみ する語 かたり はヒッタイト語 ご で"hartagas "、ギリシア語 ご で"arktos "である。祖語 そご では*hrkþos 、その古形 こけい は*hrtgos と再建 さいけん される。
一方 いっぽう 、*dʰégʷʰ (「焼 や く」の意 い 、ゲルマン祖語 そご で昼 ひる を表 あらわ す"*dagaz "と同根 どうこん )のサンスクリット語 ご での語形 ごけい は、「彼 かれ は焼 や く」とするときkṣā́yat (< *dʰgʷʰ‐éh₁‐ )なのに対 たい し、「焼 や かれている」とするときdáhati (< *dʰégʷʰ‐e‐ )である。これについては、母音 ぼいん 交替 こうたい の程度 ていど によって音 おと 位 い 転移 てんい を経 へ る語形 ごけい と経 へ ない語形 ごけい が存在 そんざい するとしている。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご の舌 した 背 せ 音 おん として、軟口蓋 なんこうがい 硬 かた 口蓋 こうがい 化 か 音 おと 、軟口蓋 なんこうがい 音 おん 、軟口蓋 なんこうがい 円 えん 唇 くちびる 化 か 音 おと の3系統 けいとう が再建 さいけん されている。これはケントゥム語 ご 派 は とサテム語 ご 派 は の比較 ひかく により発見 はっけん された。
軟口蓋 なんこうがい 硬 かた 口蓋 こうがい 化 か 音 おん (ḱ 、ǵ 、ǵʰ の3種 しゅ 。「k' 、g' 、g'ʰ 」、「k̑ 、g ̑、g̑ʰ 」、「k 、ĝ 、ĝʰ 」とも表記 ひょうき される)は、口蓋 こうがい 化 か した軟口蓋 なんこうがい 閉鎖 へいさ 音 おん ([kʲ] 、[gʲ] )と推定 すいてい され、サテム語 ご 派 は では摩擦音 まさつおん となっている。
軟口蓋 なんこうがい 音 おん (k 、g 、gʰ )
軟口蓋 なんこうがい 円 えん 唇 くちびる 化 か 音 おん (kʷ 、gʷ 、gʷʰ 。「ku ̯、gu ̯、gu̯h 」とも)。
上 うえ 付 つ きのʷ は、円 えん 唇 くちびる 化 か 、つまり軟口蓋 なんこうがい 閉鎖 へいさ 音 おん を調音 ちょうおん する際 さい に唇 くちびる を丸 まる めることを示 しめ している([kʷ] は、英語 えいご のqueen のqu の部分 ぶぶん に見 み られる音 おと に似 に た音 おと である)。ケントゥム語 ご 派 は では軟口蓋 なんこうがい 硬 かた 口蓋 こうがい 化 か 音 おと が軟口蓋 なんこうがい 音 おん に同化 どうか したのに対 たい し、サテム語 ご 派 は では軟口蓋 なんこうがい 円 えん 唇 くちびる 化 か 音 おと が軟口蓋 なんこうがい 音 おん に同化 どうか した。
普通 ふつう の軟口蓋 なんこうがい 音 おん (k 、g 、gʰ )と口蓋 こうがい 化 か 音 おと や円 えん 唇 くちびる 化 か 音 おと との関係 かんけい について、この普通 ふつう の軟口蓋 なんこうがい 音 おん が他 た の2種 しゅ の軟口蓋 なんこうがい 音 おん からいつ独立 どくりつ した音素 おんそ となったかが議論 ぎろん の的 まと となっている。ある音声 おんせい 的 てき 条件下 じょうけんか では前者 ぜんしゃ は後者 こうしゃ に中和 ちゅうわ するため、結果 けっか ほとんどの場合 ばあい で普通 ふつう の軟口蓋 なんこうがい 音 おん は異 い 音 おと として出現 しゅつげん するのである。この異 い 音 おと 化 か がいつ起 お こるのかは正確 せいかく には特定 とくてい されていないが、sまたはuの後 のち 、もしくはrの前 まえ で中和 ちゅうわ が起 お こることが広 ひろ く認 みと められている。さて、印欧語 いんおうご 学 がく 者 もの の多数 たすう は崩壊 ほうかい 期 き 直前 ちょくぜん には既 すで に3つの軟口蓋 なんこうがい 音 おん の系統 けいとう が認 みと められていたとするが、一方 いっぽう コルトラントを含 ふく む少数 しょうすう 学派 がくは は、普通 ふつう の軟口蓋 なんこうがい 音 おん はサテム語 ご 派 は の分岐 ぶんき 後 ご 、その一部 いちぶ から発展 はってん したとしている。これは1894年 ねん 、アントワーヌ・メイエ により唱 とな えられた説 せつ である。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご の時点 じてん で既 すで に3系統 けいとう の軟口蓋 なんこうがい 音 おん が弁別 べんべつ されていたとする説 せつ の証拠 しょうこ としては、アルバニア語 ご とアルメニア語 ご 、ルウィ語 ご がしばしば言及 げんきゅう される。アルメニア語 ご とアルバニア語 ご では普通 ふつう の軟口蓋 なんこうがい 音 おん が軟口蓋 なんこうがい 円 えん 唇 くちびる 化 か 音 おと と一定 いってい 状 じょう 況 きょう 下 か では弁別 べんべつ され、またルウィ語 ご には3系統 けいとう の軟口蓋 なんこうがい 音 おん が反映 はんえい されたとみられる3種類 しゅるい の音素 おんそ z (<*ḱ 、おそらく[ts] )、k (<*k )、ku (<*kʷ 、おそらく[kʷ] )が存在 そんざい するのである。しかし、一方 いっぽう コルトラントはこの証拠 しょうこ の重要 じゅうよう 性 せい に疑問 ぎもん を呈 てい している[2] 。普通 ふつう の軟口蓋 なんこうがい 音 おん が単独 たんどく の音素 おんそ となった時期 じき については、音素 おんそ 分析 ぶんせき された種々 しゅじゅ の異 い 音 おと が本来 ほんらい どのように分布 ぶんぷ していたかが類推 るいすい 展開 てんかい では不明瞭 ふめいりょう になるうえ、またこの問題 もんだい に確固 かっこ とした結論 けつろん を出 だ せるほど直近 ちょっきん の事例 じれい ではなく、また証拠 しょうこ も十分 じゅうぶん に存在 そんざい しない。そのため、この論争 ろんそう が終局 しゅうきょく 的 てき に解決 かいけつ する見込 みこ みはない。
s 、および有声音 ゆうせいおん の異 い 音 おと としてのz 。喉 のど 音 おん 理論 りろん によれば、いくつかの摩擦音 まさつおん があったとされるが、実際 じっさい の音 おと 価 か については意見 いけん の対立 たいりつ がある。また、t およびd 音 おと の異 い 音 おと としての摩擦音 まさつおん þ 、ð も存在 そんざい していた。
「h₁ 、h₂ 、h₃ 」、これらの包括 ほうかつ 記号 きごう としてのH (もしくは「ə₁ 、ə₂ 、ə₃ 」とə )は、理論 りろん 上 じょう の喉 のど 音 おん の音素 おんそ である。これらの音 おと 価 か については意見 いけん の分 わ かれるところだが、h₁ はʔ とh の同化 どうか したものである証拠 しょうこ が幾 いく つか見 み つかっているほか、h₂ が口蓋垂 こうがいすい 摩擦音 まさつおん または咽頭 いんとう 摩擦音 まさつおん で、h₃ が円 えん 唇 くちびる 化 か を伴 ともな っていたことは一般 いっぱん に認 みと められ、「ʔ 、ʕ 、ʕʷ 」、または「x 、χ かい ~ħ 、xʷ 」がしばしば候補 こうほ として挙 あ げられている。「印欧語 いんおうご のシュワー 」として知 し られるə は、子音 しいん 間 あいだ の喉 のど 音 おん について広 ひろ く用 もち いられる。
鼻音 びおん と流 ながれ 音 おん [ 編集 へんしゅう ]
r 、l 、m 、n の4種 しゅ と、その母音 ぼいん 化 か した異 い 音 おと のr̥ 、l̥ 、m̥ 、n̥ が知 し られている。包括 ほうかつ 記号 きごう はR 。
w 、y (u̯ 、i̯ とも表記 ひょうき される)の2種 しゅ と、その母音 ぼいん 化 か した異 い 音 おと のu 、i が知 し られている。
短 たん 母音 ぼいん : a 、e 、i 、o 、u
長 ちょう 母音 ぼいん : ā 、ē 、ō :(コロン )がマクロン に代 か わって母音 ぼいん の長短 ちょうたん を示 しめ すために使 つか われることもある。(例 れい :a: 、e: 、o: ).
二 に 重母音 じゅうぼいん : ai 、au 、āi 、āu 、ei 、eu 、ēi 、ēu 、oi 、ou 、ōi 、ōu
子音 しいん 音素 おんそ の母音 ぼいん 化 か した異 い 音 おと : u 、i 、r̥ 、l̥ 、m̥ 、n̥ 代償 だいしょう 延長 えんちょう のため、他 た にī 、ū 、r̥̄ 、l̥̄ 、m̥̄ 、n のような長 ちょう 母音 ぼいん も祖語 そご 形 がた 中 ちゅう に現 あらわ れる。
a (長短 ちょうたん ともに)はh₂ がeの前 ぜん または後 のち に続 つづ いた語形 ごけい から変化 へんか したものであることがしばしば示 しめ されている。マイヤホーファー は印 しるし 欧 おう 祖語 そご においてa およびā が実際 じっさい はh₂ を必 かなら ず伴 ともな っていたのではないかとしている。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご には、同 おな じ語根 ごこん から母音 ぼいん の音素 おんそ /o/ //e/ //Ø/ を対比 たいひ する特有 とくゆう の母音 ぼいん 交替 こうたい 法則 ほうそく が存在 そんざい している。
名詞 めいし は三 みっ つの性 せい (男性 だんせい 、女性 じょせい 、中性 ちゅうせい )と三 みっ つの数 かず (単数 たんすう 、複数 ふくすう 、双 そう 数 すう )をもち、また八 やっ つの格 かく (主格 しゅかく 、対格 たいかく 、属 ぞく 格 かく 、与格 よかく 、具 ぐ 格 かく 、奪 だつ 格 かく 、処 しょ 格 かく 、呼 よび 格 かく )をとる。
屈折 くっせつ により母音 ぼいん 幹 みき 名詞 めいし と非 ひ 母音 ぼいん 幹 みき 名詞 めいし の二 に 種類 しゅるい に大別 たいべつ される。母音 ぼいん 幹 みき 名詞 めいし の語幹 ごかん は接尾 せつび 辞 じ "‐o‐ "(呼 よび 格 かく では「"‐e‐ ")によって形成 けいせい され、母音 ぼいん 交替 こうたい を伴 ともな わない。非 ひ 母音 ぼいん 幹 みき 名詞 めいし は母音 ぼいん 幹 みき 名詞 めいし より起源 きげん が古 ふる く、母音 ぼいん 交替 こうたい の様態 ようたい 、および早期 そうき 祖語 そご においてはアクセント の位置 いち でさらに分類 ぶんるい される。
(Beekes 1995) [3]
(Ramat 1998)
非 ひ 母音 ぼいん 幹 みき 名詞 めいし
母音 ぼいん 幹 みき 名詞 めいし
通性 つうせい
中性 ちゅうせい
通性 つうせい
中性 ちゅうせい
男性 だんせい
中性 ちゅうせい
単数 たんすう
複数 ふくすう
双 そう 数 すう
単数 たんすう
複数 ふくすう
双 そう 数 すう
単数 たんすう
複数 ふくすう
双 そう 数 すう
単数 たんすう
複数 ふくすう
単数 たんすう
複数 ふくすう
双 そう 数 すう
単数 たんすう
主格 しゅかく
-s、Ø
-es
-h₁(e)
-m、Ø
-h₂、Ø
-ih₁
-s
-es
-h₁e?
Ø
-(e)h₂
-os
-ōs
-oh₁(u)?
-om
対格 たいかく
-m
-ns
-ih₁
-m, Ø
-h₂, Ø
-ih₁
-m̥
-m̥s
-h₁e?
Ø
-om
-ons
-oh₁(u)?
-om
属 ぞく 格 かく
-(o)s
-om
-h₁e
-(o)s
-om
-h₁e
-es、-os、-s
-ōm
-os(y)o
-ōm
与格 よかく
-(e)i
-mus
-me
-(e)i
-mus
-me
-ei
-ōi
具 ぐ 格 かく
-(e)h₁
-bʰi
-bʰih₁
-(e)h₁
-bʰi
-bʰih₁
-bʰi
-ō
-ōjs
奪 だつ 格 かく
-(o)s
-ios
-ios
-(o)s
-ios
-ios
処 しょ 格 かく
-i, Ø
-su
-h₁ou
-i, Ø
-su
-h₁ou
-i, Ø
-su, -si
-oi
-oisu, -oisi
呼 よび 格 かく
Ø
-es
-h₁(e)
-m, Ø
-h₂, Ø
-ih₁
-es
-(e)h₂
印 しるし 欧 おう 祖語 そご の代名詞 だいめいし は娘 むすめ 言語 げんご において著 いちじる しく多様 たよう 化 か しているため、再建 さいけん は難 むずか しいとされる。また一 いち 人称 にんしょう 、二人称 ににんしょう では人称 にんしょう 代名詞 だいめいし が存在 そんざい するものの、三人称 さんにんしょう には人称 にんしょう 代名詞 だいめいし の代 か わりに指示 しじ 代名詞 だいめいし が使 つか われていたことも再建 さいけん を困難 こんなん にする一因 いちいん となっている。
人称 にんしょう 代名詞 だいめいし はそれぞれ固有 こゆう の屈折 くっせつ 語形 ごけい をもち、複数 ふくすう の語幹 ごかん を持 も つものも存在 そんざい する。一人称 いちにんしょう 単数 たんすう が好例 こうれい で、この区別 くべつ は現代 げんだい 英語 えいご においても"I "と"me "として残 のこ されている。また、印 しるし 欧 おう 祖語 そご には代名詞 だいめいし のみにみられる屈折 くっせつ 語尾 ごび が存在 そんざい し、娘 むすめ 言語 げんご では普通 ふつう 名詞 めいし でもその活用 かつよう 語尾 ごび が採用 さいよう された。
他 た の代名詞 だいめいし は、ビークスによれば以下 いか の通 とお りである。
人称 にんしょう 代名詞 だいめいし 一覧 いちらん (Beekes 1995)[3]
一人称 いちにんしょう
二人称 ににんしょう
単数 たんすう
複数 ふくすう
単数 たんすう
複数 ふくすう
主格 しゅかく
h₁eǵ(oH/Hom)
wei
tuH
yuH
対格 たいかく '
h₁mé, h₁me
nsmé, nōs
twé
usmé, wōs
属 ぞく 格 かく
h₁méne, h₁moi
ns(er)o-, nos
tewe, toi
yus(er)o-, wos
与格 よかく '
h₁méǵʰio, h₁moi
nsmei, ns
tébʰio, toi
usmei
具 ぐ 格 かく
h₁moí
?
toí
?
奪 だつ 格 かく
h₁med
nsmed
tued
usmed
処 しょ 格 かく
h₁moí
nsmi
toí
usmi
他 ほか にもSihlerによるものもある。
人称 にんしょう 代名詞 だいめいし 一覧 いちらん (Sihler 1995)[4]
一人称 いちにんしょう
二人称 ににんしょう
単数 たんすう
双 そう 数 すう
複数 ふくすう
単数 たんすう
双 そう 数 すう
複数 ふくすう
主格 しゅかく
*eǵoH
*weh₁
*we-i
*tī̆ (*tū̆)
*yuh₁ (*yūh₁?)
*yūs (*yuHs?)
対格 たいかく
強 つよ 形 がた
*m-mé (> *mé)
*n ̥h₁-wé
*n̥smé
*twé
*uh₁-wé
*usmé
弱 じゃく 形 かたち
*me
*nō̆h₁
*nō̆s
*te
*wō̆h₁
*wō̆s
属 ぞく 格 かく
強 つよ 形 がた
*mé-me
*n̥sóm
*té-we
*usóm
弱 じゃく 形 かたち
*mos (adj. )
*nō̆s
*tos (adj. )
*wō̆s
与格 よかく
強 つよ 形 がた
*mébhi
*n̥sm-éy
*tébhi
*usm-éy
弱 じゃく 形 かたち
*mey, *moy?
*nō̆s
*tey, *toy
*wō̆s
奪 だつ 格 かく
*mm-ét (> *mét)
*n̥sm-ét
*tw-ét
*usm-ét
例 たと えばFortson(2004)[5] のように、BeekesとSihlerのもの以外 いがい はほとんどの場合 ばあい 、少 すこ ししか異 こと ならない。
印欧語 いんおうご 族 ぞく 諸 しょ 言語 げんご の動詞 どうし 体系 たいけい は一般 いっぱん に複雑 ふくざつ で、またゲルマン語 ご 派 は に多数 たすう 散見 さんけん されるように母音 ぼいん 交替 こうたい を持 も つものも多 おお い。これらのうち、古典 こてん ギリシア語 ご とヴェーダ語 ご の二 に 言語 げんご は、崩壊 ほうかい 期 き 直後 ちょくご の娘 むすめ 言語 げんご の動詞 どうし 体系 たいけい を最 もっと もよく保存 ほぞん しているとされる。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご の動詞 どうし は、以下 いか のような法 ほう 、態 たい 、時制 じせい 、数 かず 、人称 にんしょう に従 したが い屈折 くっせつ する。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご では、動詞 どうし は豊 ゆた かな派生 はせい 形 がた をもつ。高度 こうど に発達 はったつ した分詞 ぶんし は法 ほう と時制 じせい ごとに個別 こべつ に存在 そんざい し、また使役 しえき 形 かたち 、強 つよ 意 い 形 がた 、願望 がんぼう 形 がた のような二 に 次 じ 的 てき 語形 ごけい も用 もち いられる。ただし正確 せいかく には、この二 に 次 じ 的 てき 語形 ごけい は屈折 くっせつ ではなく、派生 はせい である。事実 じじつ 、二 に 次 じ 的 てき 語形 ごけい は一部 いちぶ の動詞 どうし にしか存在 そんざい せず、また元 もと になった語 かたり の意味 いみ とは規則 きそく 的 てき に対応 たいおう しない。さらに派生 はせい の一部 いちぶ としては、動詞 どうし 的 てき 名詞 めいし や動詞 どうし 的 てき 形容詞 けいようし の生成 せいせい もあげられる。これは、英語 えいご でいえば、動詞 どうし に接尾 せつび 辞 じ -tion や-ence 、-al を伴 ともな って生成 せいせい される名詞 めいし をさす派生 はせい のことである。この派生 はせい は分詞 ぶんし と異 こと なり、異 こと なった時制 じせい についても同形 どうけい の語 かたり が用 もち いられたようだ。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご の動詞 どうし 語幹 ごかん は、各 かく 時制 じせい ごとに異 こと なった接尾 せつび 辞 じ を語根 ごこん に後 のち 接 せっ することで作 つく られる。この接尾 せつび 辞 じ の語形 ごけい はそれぞれ大 おお きく異 こと なっており、接尾 せつび 辞 じ 相互 そうご の関係 かんけい はほとんど存在 そんざい しなかったとされる。以下 いか 、古典 こてん ギリシア語 ご 、ヴェーダ語 ご 、ラテン語 らてんご を例 れい に説明 せつめい する。古典 こてん ギリシア語 ご およびヴェーダ語 ご の現在 げんざい 時制 じせい は、動詞 どうし の語根 ごこん に接尾 せつび 辞 じ を後 あと 接 せっ することでつくられるが、接尾 せつび 辞 じ は複数 ふくすう あり(ヴェーダ語 ご では10以上 いじょう 、古典 こてん ギリシア語 ご では6以上 いじょう )、またどの接尾 せつび 辞 じ を用 もち いるかは不規則 ふきそく である。アオリストと完了 かんりょう 時制 じせい も同様 どうよう で、アオリスト語幹 ごかん の生成 せいせい にはヴェーダ語 ご で7種類 しゅるい 、古典 こてん ギリシア語 ご で3種類 しゅるい の接尾 せつび 辞 じ が使 つか われる。同様 どうよう にラテン語 らてんご の完了 かんりょう 語幹 ごかん 派生 はせい には6種類 しゅるい の方式 ほうしき があるが、どの方式 ほうしき で作 つく られるかに規則 きそく 性 せい は存在 そんざい しない。また、現在 げんざい 幹 みき と完了 かんりょう 幹 みき の生成 せいせい にあたって、複数 ふくすう の接尾 せつび 辞 じ が同一 どういつ の語根 ごこん に後 こう 接 せっ される例 れい が存在 そんざい するが、時制 じせい の差 さ 以上 いじょう に意味 いみ が異 こと なるものも存在 そんざい する。古典 こてん ギリシア語 ご の代表 だいひょう 例 れい をあげると、以下 いか のようになる。
histēmi (立 た たす)と、hestēka (立 た っている)
mimnēiskō (思 おも い出 だ させる)と、memnēmai (思 おも い出 だ す)
peithō (説得 せっとく する)、pepoitha (従 したが う)と、pepeika (説得 せっとく された)
phūō (生 う む)と、pephūka (生 しょう ずる)
後代 こうだい 、これらの種々 しゅじゅ の方式 ほうしき は一式 いっしき の屈折 くっせつ 変化 へんか に合流 ごうりゅう したが、早期 そうき の言語 げんご 、とくにヴェーダ語 ご では活用 かつよう 変化 へんか が不規則 ふきそく なままで、古典 こてん ギリシア語 ご でも無秩序 むちつじょ なシステムが散見 さんけん される。結果 けっか として、ヴェーダ語 ご の動詞 どうし は一見 いっけん 、高 たか い冗長 じょうちょう 性 せい と説明 せつめい 不能 ふのう な欠陥 けっかん を併 あわ せ持 も つ、非常 ひじょう に複雑 ふくざつ で混沌 こんとん とした体系 たいけい のように見 み えるのであり、印 しるし 欧 おう 祖語 そご においては、ヴェーダ語 ご をこえる無秩序 むちつじょ 性 せい が見出 みいだ されるであろう。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご の動詞 どうし には名詞 めいし の屈折 くっせつ と同様 どうよう 、母音 ぼいん 幹 みき 形式 けいしき ō 類 るい と非 ひ 母音 ぼいん 幹 みき 形式 けいしき mi 類 るい の2種類 しゅるい が存在 そんざい する。従 したが って動詞 どうし の語幹 ごかん の判別 はんべつ も、これらの形式 けいしき によって異 こと なることになる。母音 ぼいん 幹 みき 形式 けいしき 類 るい では語尾 ごび の前 まえ の幹 みき 母音 ぼいん o またはe を基準 きじゅん とし、非 ひ 母音 ぼいん 幹 みき 形式 けいしき 類 るい では語根 ごこん に直接 ちょくせつ 付 つ けられた語尾 ごび を基準 きじゅん として、語幹 ごかん が判別 はんべつ される。語幹 ごかん に付 ふ せられる屈折 くっせつ 語尾 ごび は、少 すく なくとも一人称 いちにんしょう 単数 たんすう ではō とmi のような異 こと なった語形 ごけい をとる。幹 みき 母音 ぼいん の存在 そんざい または不 ふ 存在 そんざい を除 のぞ けば、伝統 でんとう 的 てき 解釈 かいしゃく では語尾 ごび の異 こと なる例 れい はこれだけだとされるが、若手 わかて の研究 けんきゅう 者 しゃ には根本 こんぽん 的 てき に異 こと なる活用 かつよう 語尾 ごび を示 しめ す者 もの もいる。例 たと えばビークスは、古典 こてん ギリシア語 ご とリトアニア語 ご をもとに、母音 ぼいん 幹 みき 動詞 どうし の活用 かつよう 語尾 ごび について新 あたら しい解釈 かいしゃく を提案 ていあん しているが、これらの説 せつ には依然 いぜん 議論 ぎろん の余地 よち が存在 そんざい する。
Buck 1933 [6]
Beekes 1995 [3]
非 ひ 母音 ぼいん 幹 みき 動詞 どうし
母音 ぼいん 幹 みき 動詞 どうし
非 ひ 母音 ぼいん 幹 みき 動詞 どうし
母音 ぼいん 幹 みき 動詞 どうし
単数 たんすう
一人称 いちにんしょう
-mi
-ō
-mi
-oH
二人称 ににんしょう
-si
-esi
-si
-eh₁i
三人称 さんにんしょう
-ti
-eti
-ti
-e
複数 ふくすう
一人称 いちにんしょう
-mos/mes
-omos/omes
-mes
-omom
二人称 ににんしょう
-te
-ete
-th₁e
-eth₁e
三人称 さんにんしょう
-nti
-onti
-nti
-o
印 しるし 欧 おう 祖語 そご における過去 かこ 時制 じせい (アオリスト、完了 かんりょう 、未 み 完了 かんりょう 過去 かこ )の役割 やくわり については、古典 こてん ギリシア語 ご の過去 かこ 時制 じせい と同様 どうよう の役割 やくわり を持 も っていたとする説 せつ と、それを否定 ひてい する説 せつ の両方 りょうほう が存在 そんざい しているが、ここでは古典 こてん ギリシア語 ご とサンスクリット語 ご における過去 かこ 時制 じせい の役割 やくわり について述 の べるにとどめる。
古典 こてん ギリシア語 ご では、過去 かこ 時制 じせい は以下 いか のような性質 せいしつ を持 も つ。
アオリスト - 他 た の関連 かんれん のない独立 どくりつ した事象 じしょう として過去 かこ の出来事 できごと を捉 とら え、それを独立 どくりつ 的 てき に行 い ったことを表 あらわ す
未 み 完了 かんりょう 過去 かこ - 過去 かこ における反復 はんぷく された行動 こうどう や継続 けいぞく された行動 こうどう を表 あらわ す
完了 かんりょう 時制 じせい - 過去 かこ の行動 こうどう の結果 けっか としての現在 げんざい の状態 じょうたい を表 あらわ す
この区別 くべつ は英語 えいご で言 い うところの過去 かこ 形 がた 、過去 かこ 進行 しんこう 形 がた 、現在 げんざい 完了 かんりょう 形 がた の区別 くべつ にほぼ一致 いっち する。ただし古典 こてん ギリシア語 ご では、完了 かんりょう 時制 じせい は過去 かこ の行為 こうい そのものよりもそれによる現在 げんざい の状態 じょうたい に焦点 しょうてん を当 あ てており、この完了 かんりょう 時制 じせい の役割 やくわり は後 のち に現在 げんざい 時制 じせい へと変質 へんしつ していくことになる。
ちなみに古典 こてん ギリシア語 ご での現在 げんざい 時制 じせい 、アオリスト、完了 かんりょう 時制 じせい の違 ちが いは、直 ちょく 説法 せっぽう 以外 いがい (接続 せつぞく 法 ほう 、希求 ききゅう 法 ほう 、命令 めいれい 法 ほう 、不定 ふてい 法 ほう 、分詞 ぶんし )では専 せん ら相 しょう の違 ちが いであって、時制 じせい の問題 もんだい ではない。すなわち、アオリストは単純 たんじゅん な行為 こうい に、現在 げんざい 時制 じせい は現在 げんざい 進行 しんこう 中 ちゅう の行動 こうどう に、完了 かんりょう 時制 じせい は以前 いぜん の行為 こうい による現在 げんざい の状態 じょうたい に関係 かんけい している。命令 めいれい 法 ほう や不定 ふてい 法 ほう において、アオリストは過去 かこ の行為 こうい に用 もち いられない(これらの法 ほう では、「殺 ころ す」のような一部 いちぶ の動詞 どうし はアオリストのほうが現在 げんざい 時制 じせい よりも一般 いっぱん 的 てき に用 もち いられる)。また分詞 ぶんし において、アオリストは時制 じせい か相 しょう のいずれかの役割 やくわり を果 は たす。直 ちょく 説法 せっぽう 以外 いがい での相 そう の区別 くべつ は、印 しるし 欧 おう 祖語 そご における時制 じせい の区別 くべつ に遡 さかのぼ るものとされ、さらに古 ふる くは中国 ちゅうごく 語 ご のような副詞 ふくし の使用 しよう を起源 きげん とするとされている。しかし祖語 そご 崩壊 ほうかい 期 き までに、それぞれの時制 じせい を表 あらわ す副詞 ふくし 表現 ひょうげん は時制 じせい としての用法 ようほう を獲得 かくとく し、後 ご の印欧語 いんおうご において、支配 しはい 的 てき となったように考 かんが えられている。
一方 いっぽう ヴェーダ語 ご の時制 じせい は古典 こてん ギリシア語 ご の各 かく 時制 じせい と比 ひ して、
未 み 完了 かんりょう 過去 かこ が古典 こてん ギリシア語 ご のアオリストに相当 そうとう
アオリストが古典 こてん ギリシア語 ご の完了 かんりょう 時制 じせい に相当 そうとう
完了 かんりょう 時制 じせい がしばしば現在 げんざい 時制 じせい と区別 くべつ されない
といった特徴 とくちょう を有 ゆう していた(ホイットニー 1924)。また直 ちょく 説法 せっぽう 以外 いがい では、現在 げんざい 時制 じせい 、アオリスト、完了 かんりょう 時制 じせい は殆 ほとん ど区別 くべつ されていない。
ちなみに、文語 ぶんご において異 こと なる文法 ぶんぽう 形式 けいしき が意味 いみ 論 ろん 的 てき に区別 くべつ されないとき、その形式 けいしき の一部 いちぶ が口語 こうご では用 もち いられなくなることはしばしば指摘 してき されるとおりである。ヴェーダ語 ご の娘 むすめ 言語 げんご である古典 こてん サンスクリット語 ご では、接続 せつぞく 法 ほう が消滅 しょうめつ し、希求 ききゅう 法 ほう と命令 めいれい 法 ほう で現在 げんざい 以外 いがい の時制 じせい が全 すべ て失 うしな われた。また直 ちょく 説法 せっぽう でも過去 かこ の3時 じ 制 せい は広 ひろ く交換 こうかん 可能 かのう になり、さらに後代 こうだい には過去 かこ の3時 じ 制 せい が分詞 ぶんし の使用 しよう で区別 くべつ されなくなった。この変化 へんか はプラークリット の分化 ぶんか の過程 かてい を反映 はんえい しているとみられる。過去 かこ 時制 じせい のうち、プラークリットまで存続 そんぞく したものはアオリストだけであり、これすらも最終 さいしゅう 的 てき に分詞 ぶんし による過去 かこ 時制 じせい に取 と って変 か わられた。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご の数詞 すうし は、一般 いっぱん に以下 いか のように再建 さいけん されている。
Sihler 1995, 402–24[7]
Beekes 1995[3] , 212–16
1
*Hoi-no-/*Hoi-wo-/*Hoi-k(ʷ)o-; *sem-
*Hoi(H)nos
2
*d(u)wo-
*duoh₁
3
*trei- /*tri- (母音 ぼいん 交替 こうたい )
*treies
4
*kʷetwor- /*kʷetur- (母音 ぼいん 交替 こうたい )参考 さんこう : en:kʷetwóres rule
*kʷetuōr
5
*penkʷe
*penkʷe
6
*s(w)eḱs 、または*weḱs が古形 こけい か
*(s)uéks
7
*septm̥
*séptm
8
*oḱtō 、*oḱtou か*h₃eḱtō 、*h₃eḱtou
*h₃eḱteh₃
9
*(h₁)newn̥
*(h₁)néun
10
*deḱm̥(t)
*déḱmt
20
*wīḱm̥t- 、または*widḱomt- が古形 こけい か
*duidḱmti
30
*trīḱomt- 、または*tridḱomt- が古形 こけい か
*trih₂dḱomth₂
40
*kʷetwr̥̄ḱomt- 、または*kʷetwr̥dḱomt- が古形 こけい か
*kʷeturdḱomth₂
50
*penkʷēḱomt- 、または*penkʷedḱomt- が古形 こけい か
*penkʷedḱomth₂
60
*s(w)eḱsḱomt- 、または*weḱsdḱomt- が古形 こけい か
*ueksdḱomth₂
70
*septm̥̄ḱomt- 、または*septm̥dḱomt- が古形 こけい か
*septmdḱomth₂
80
*oḱtō(u)ḱomt- 、または*h₃eḱto(u)dḱomt- が古形 こけい か
*h₃eḱth₃dḱomth₂
90
*(h₁)newn̥̄ḱomt- 、または*h₁newn̥dḱomt- が古形 こけい か
*h₁neundḱomth₂
100
*ḱm̥tom 、または*dḱm̥tom が古形 こけい か
*dḱmtóm
1000
*ǵheslo- 、*tusdḱomti
*ǵʰesl-
レーマンは10より大 おお きい数 かず は祖語 そご 中 ちゅう には存在 そんざい せず、祖語 そご 内 ない の幾 いく つかのグループで独自 どくじ に生 う み出 だ されたとし、*ḱm̥tóm の意味 いみ は100というより「大 おお きい数 かず 」だろうとしている。
印 しるし 欧 おう 祖語 そご は先史 せんし 時代 じだい の言語 げんご であるため当時 とうじ の文例 ぶんれい は存在 そんざい しないが、19世紀 せいき 以来 いらい 、例証 れいしょう のため言語 げんご 学者 がくしゃ によって様々 さまざま な試 こころ みがなされてきた。しかし実際 じっさい 作 つく られた例文 れいぶん は憶測 おくそく レベルであり、ワトキンス (英語 えいご 版 ばん ) は150年間 ねんかん に及 およ ぶこの試 こころ みを批判 ひはん して、比較 ひかく 言語 げんご 学 がく は印 しるし 欧 おう 祖語 そご の例文 れいぶん を再建 さいけん するのは現時点 げんじてん では不可能 ふかのう だと述 の べている。いずれにせよ、会話 かいわ の中 なか で印 しるし 欧 おう 祖語 そご がどのような響 ひび きを持 も っていたのか知 し る程度 ていど には役立 やくだ つかもしれない。公開 こうかい されている印 しるし 欧 おう 祖語 そご の文章 ぶんしょう を以下 いか に示 しめ す。
シュライヒャーの寓話 ぐうわ (Avis akvasas ka )アウグスト・シュライヒャー が1868年 ねん に公表 こうひょう した。研究 けんきゅう の進展 しんてん に伴 ともな った幾 いく つかの改稿 かいこう が存在 そんざい する。代表 だいひょう として、1939年 ねん のヒルト によるもの、1979年 ねん のレーマンとズグスタによるものがある。
王 おう と神 かみ (rēḱs deiwos-kʷe ) センが1993年 ねん に公表 こうひょう した。
インド・ヨーロッパ祖語 そご を話 はな していた人々 ひとびと は、何 なん らかの共同 きょうどう 体 たい を作 つく っていたと考 かんが えられる。これを原 はら インド・ヨーロッパ民族 みんぞく (原 はら 印 しるし 欧 おう 民族 みんぞく )ということもあるが、単一 たんいつ の民族 みんぞく あるいは人種 じんしゅ であったという保証 ほしょう はない。19世紀 せいき 後半 こうはん 以降 いこう 、特 とく にナチス の時代 じだい には、これが「アーリア民族 みんぞく 」(本来 ほんらい は原 はら インド・イラン民族 みんぞく のことであるが)の名 な で呼 よ ばれ、ドイツ人 じん などがその直系 ちょっけい の子孫 しそん であるかのように喧伝 けんでん された(アーリアン学説 がくせつ )。
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^ a b c d Beekes, Robert S. P. (1995). Comparative Indo-European Linguistics: An Introduction . Amsterdam : John Benjamins. ISBN 90-272-2150-2 (Europe), ISBN 1-55619-504-4 (U.S.)
^ Sihler (1995 :389)
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^ Sihler, Andrew L. (1995). New Comparative Grammar of Greek and Latin . Oxford: Oxford University Press. ISBN 0-19-508345-8
Pooth (2004): "Ablaut und autosegmentale Morphologie: Theorie der uridg. Wurzelflexion", in: Arbeitstagung "Indogermanistik, Germanistik, Linguistik" in Jena, Sept. 2002
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Whitney, William Dwight (1924). Comparative Grammar of Greek and Latin . Delhi: Motilal Banarsidass Publishers Private Limited (reprint). ISBN 81-208-0621-2 (India), ISBN 0-48643-136-3 (Dover, US)