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メイドふく

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
フレンチメイドがたメイドふくいちれいコスプレよう

メイドふく(メイドふく、英語えいご: Maid clothes[1] とは、メイド仕事しごと、またはそれをしてつくられた女性じょせいよう衣装いしょう俗称ぞくしょう

かつて19世紀せいきすえイギリス実在じつざいした家事かじ使用人しようにんハウスキーパーたちが着用ちゃくようした、特定とくてい傾向けいこう範囲はんいないエプロンドレスを、現代げんだい日本にっぽんにおいては、もっぱらこのように[注釈ちゅうしゃく 1]

本来ほんらい女中じょちゅうとしてのメイドの仕事しごと日本にっぽんでは「仕着しき」とんでいた。

概要がいよう

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現在げんざい一般いっぱんに「メイドふく」とばれているものは、えりとカフスだけがしろで、それ以外いがい全体ぜんたいくろまたは濃紺のうこんワンピースフリルいたしろエプロンわせたエプロンドレスに、おなじくしろいフリルのいたカチューシャわせが基本きほんである。

このタイプのメイドふくは、19世紀せいき後半こうはん英国えいこくにおいては本来ほんらい午後ごごようのものであり、午前ごぜんなかプリントふくしろいエプロンと、帽子ぼうし着用ちゃくようするのが本来ほんらい姿すがたであった。

元来がんらい、メイドふくというものは存在そんざいしなかったが、「貴婦人きふじんってあるいていたら、うしろをある女性じょせい(メイド)にこえをかけてはいけない」というマナーがあったために、おんな主人しゅじんとメイドを明確めいかく区別くべつするために必要ひつようとされた経緯けいいがある。ダニエル・デフォーは「女中じょちゅうはそれにふさわしい制服せいふくにつけるべき」とのこしているので、18世紀せいき前半ぜんはんしていなかったことになる。

デザイン

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エプロンドレス

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エプロンドレス自体じたいはメイドの制服せいふくとして限定げんていされるものではない。

ふくのデザインの一部いちぶエプロン使用しようされたふく。メイドふく場合ばあい、エプロンはかたからストラップをまわし、ウエストでめるものがおおい。また1まいぬの切替きりかせん工夫くふうして、エプロンふうにしたものや、フリルはいったスカートにエプロンじょうぜんかざりをけたもの(エプロンスカート)がもちいられることもある。

エプロンドレスはふるくから民族みんぞくふく子供こどもふくのデザインによくみられ、現在げんざいでもベビべびふくなどに使用しようされている。エプロンのデザインはピナフォア[注釈ちゅうしゃく 2]サロンエプロンなど形状けいじょう様々さまざまで、おおくはフリル、フリルよりもおおきめにつくられたラッフルフラウンスレースプリーツなどの装飾そうしょくほどこされている。18世紀せいきには貴婦人きふじんあいだ流行りゅうこうしたファッションであったが、現在げんざいでは仕事しごととして認識にんしきされている。

ホワイトブリム

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メイドのあたまかざ。レースきのカチューシャなどがもちいられる。作業さぎょうちゅうかみ邪魔じゃまにならないようにさえる目的もくてきがある。キャップや、シニヨンにカバーをかぶせたものがれられることもある。「プリム」「プリル」とう誤用ごようおおいが、ブリムは本来ほんらい帽子ぼうしのつば」を意味いみし、初期しょきのメイドがこうむっていた室内しつないぼう衰退すいたいしてヘッドドレス代用だいようされるようになり、名前なまえのみがのこったものである。

メイドふく

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メイドの仕事しごとした衣装いしょうおおまかなデザインはもと仕事しごとであること重視じゅうししたシンプルなヴィクトリアンメイドがたせい風俗ふうぞく関連かんれんでのコスプレ意識いしきしたフレンチメイドがたけられる。

ヴィクトリアンメイド

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ロングドレス場合ばあいおおい。シンプルで装飾そうしょくすくない。客層きゃくそうにオタクではない一般人いっぱんじん重視じゅうししたメイド喫茶きっさ使用しようされる場合ばあいおおい。

フレンチメイド

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イギリスじん主観しゅかんからたフレンチ(フランスふう)とは下品げひん性的せいてき劣情れつじょうさそうデザインという意味いみもちいられているところに由来ゆらいしている。レザー製品せいひん着用ちゃくようするボンデージ・ファッションの一種いっしゅそでノースリーブかパフ・スリーブ、スカートたけマイクロミニというスタイルをしている。ペチコートミニクリノリンをスカートのなかかさちゃくしてボリュームをだしている。アニメや漫画まんがとうおおえがかれるのはこのタイプで、基本きほんてき装飾そうしょく過多かたで「仕事しごと」としての機能きのうよりデザインせい派手はでさを重視じゅうししたものがおおい。

近年きんねんでは日本にっぽんのメイド文化ぶんか日本にっぽん国外こくがい輸出ゆしゅつされたことからゴシックロリータ漫画まんが要素ようそざったメイドふくはフレンチメイドではなく「Japanese maid」とばれることがおおくなっている[いつ?]

ゴシック・アンド・ロリータとの関係かんけい

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ゴスロリと混同こんどうされやすいタイプのメイドふく顕著けんちょれい。メイドふくメイド喫茶きっさ店員てんいんみせビラ配布はいふしている様子ようす頭部とうぶかざりにメイドふく定番ていばんしろいカチューシャ[2] ではなく、くろいリボンのアクセサリー[3]けている。また、ボーダーの―ソックス[4]がねがたふくらんだひざたけのスカート[5] などはロリータファッションの定番ていばんであり、共通きょうつうてん多々たたられる。
(2006ねんサトームセン秋葉原あきはばらえきまえ

ゴシック・アンド・ロリータロリータ・ファッション衣服いふくモノトーンであること・エプロンドレスをもちいることもあること・19世紀せいきてき装飾そうしょくせいち、両者りょうしゃともフリフリした派手はで服装ふくそうであるなどの共通きょうつうこうからメイドふく混同こんどうされやすい[6][7]

実際じっさいに『不思議ふしぎくにのアリス』などのイメージもあって、ゴシック・アンド・ロリータやロリータファッションのコーディネートに、このスタイル(エプロンドレス)が「メイド」としょうしてれられる場合ばあいもある。しかし、あくまでもコスプレとはまたちが装飾そうしょくせい一環いっかんとしてあつかわれる場合ばあいほとんどで[2]、メイドふくとゴスロリの混同こんどうきらわれる場合ばあいおお[7]

それぞれのモデルもちがう。ロリータ・ファッションは「MILK」などの少女しょうじょてきファッションブランド[8]オリーブ少女しょうじょなどのルーツを様々さまざまなスタイルに変化へんかしていき、うまれた服装ふくそうであるといえるが[9]、メイド喫茶きっさなどのメイドは19世紀せいきイギリスの仕事しごとをベースにしている[10]

装飾そうしょくおおいデザインは衣服いふくとしてはこのまれるが、2006ねんごろのメイドカフェブーム[10] 以降いこう、ゴシックロリータの愛好あいこうあいだではゴシックロリータてきなデザインのメイドふく批判ひはんされている[2][7]。ゴスロリとメイドの混同こんどうきらわれている原因げんいんは、2006ねん当時とうじメイドカフェがブームになったさいにきた「せいかけ」によるものと推測すいそくされる[7]。また、大抵たいていのロリータファッションユーザーはコスプレと混同こんどうされることをきらうが[11]、ロリータにコスプレとファッション両方りょうほう側面そくめんがあると指摘してきした松浦まつうらもものような愛好あいこうやメイドのコスプレをたのしむロリータファッションユーザーもいる。しかし、松浦まつうらももはロリータファッションは嬢様じょうさま服装ふくそうであるからという理由りゆうで、メイドと間違まちがえられるのはゆるせないとコメントしている[6]。しかし、2000ねん連載れんさいされていた三原みはらミツカズ漫画まんがDOLL』はゴスロリユーザーに人気にんきたか作品さくひんであるが、これに登場とうじょうするアンドロイドはゴシックロリータ調ちょうのメイドふく頻繁ひんぱんており、メイドカフェブーム以前いぜんはそこまできらわれていなかった可能かのうせいもある[6]

日本にっぽんのメイドふく実情じつじょう

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現代げんだい日本にっぽんではもっぱらウェイトレス制服せいふくコスプレよう衣装いしょうなどとしてフレンチメイド・タイプをアレンジしたものを中心ちゅうしんもちいられ、家政かせいなどが実際じっさい着用ちゃくようすることはまれで、なかにはメイドふくでコスプレしたスタッフを派遣はけんすることをりとした家政かせい・ヘルパーとう人材じんざい派遣はけんぎょう存在そんざいするが、これは特殊とくしゅれいだとえる。

コスプレ衣装いしょう専門せんもんてんで、「メイドふく」としてられているものの大半たいはん上記じょうき写真しゃしんにも紹介しょうかいされているタイプだが、フリルやレースなどの過剰かじょう装飾そうしょくがなされたために仕事しごととしての機能きのううしなわれているものもすくなくない。また、ボンデージなどの性的せいてき装飾そうしょくやアニメ・ゲームとうのキャラクターを意識いしきしたアレンジがほどこされている場合ばあいもある。

一方いっぽうで、本職ほんしょく家政かせい通常つうじょう仕事しごととしてあつか場合ばあいは、華美かび派手はで)さをはい機能きのうせい追求ついきゅうしたシンプルなものを着用ちゃくようする場合ばあいおおい。

メーカー・ブランド

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脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ とくサブカルチャーてき文脈ぶんみゃく
  2. ^ フランス語ふらんすごでサロペットエプロンという意味いみ

出典しゅってん

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 松浦まつうらもも『セカイとわたしとロリータファッション』2007ねんISBN 978-4787232755 
  • たつみ孝之たかゆき人造じんぞう美女びじょ可能かのうか』慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく出版しゅっぱんかい、2006ねんISBN 978-4766413014 
  • 植田うえだ裕子ゆうこ『ロリータ 衣装いしょう道楽どうらく (マーブルブックス)』マーブルトロン、2005ねんISBN 978-4123900867 
  • たけほんばら『パッチワーク』文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2010ねんISBN 978-4167773861 
  • 早川はやかわきよし『メイド喫茶きっさいましょう』アールズ出版しゅっぱん、2008ねんISBN 978-4862040787 

関連かんれん項目こうもく

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