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包丁ほうちょう

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包丁ぼうちょうから転送てんそう
世界せかい各地かくち包丁ほうちょう
1ばん跺刀という中華ちゅうか包丁ぼうちょう
ひだりから2番目ばんめは、中華ちゅうか包丁ぼうちょうをドイツのゾーリンゲンにある Güdeしゃ製造せいぞうしたモデル。
3番目ばんめ日本にっぽんの「三徳さんとく包丁ぼうちょう文化ぶんか包丁ぼうちょう」で日本にっぽん吉田よしだ金属きんぞく工業こうぎょうの Global G46 というモデル。
4番目ばんめたい20 cmでフランス料理りょうりドイツ料理りょうりのシェフがもちいるもので、ゾーリンゲンのヘンケルスしゃせい
5番目ばんめは「ペアリングナイフ」とばれ、ぶりで、こまかな作業さぎょうてきしていて、西洋せいよう料理りょうりかわむきやフルーツの加工かこうなどに頻繁ひんぱん使つかわれるもの。
包丁ほうちょうてん
東京とうきょう築地つきじ市場いちば場外じょうがいにある包丁ほうちょうてん店頭てんとう包丁ぼうちょうよう包丁ぼうちょう中華ちゅうか包丁ぼうちょうあつかっている。日本にっぽんがたなつちかわれた金属きんぞく加工かこうのノウハウがかされている包丁ぼうちょう情報じょうほう国際こくさいおおきく進捗しんちょくした21世紀せいき初頭しょとうあたりから欧米おうべいでも注目ちゅうもくがっており、合羽かっぱきょう築地つきじ包丁ぼうちょうもとめる来日らいにち観光かんこうきゃくおおい。2005ねん撮影さつえい

包丁ほうちょう(ほうちょう、庖丁ほうちょう[1])は、多義たぎであるが (cf. wikt)、ひとつには「包丁ほうちょうがたな/庖丁ほうちょうがたな(ほうちょうがたな)」の略称りゃくしょう[2][3][4]調理ちょうりもちいる刃物はもの総称そうしょう[5][6][7][8][9][3][4](その日本語にほんご名称めいしょう)であり、かか語意ごいにおいてはつつみがたな/庖刀(ほうとう)ともいう[10]

英語えいごでは "kitchen knife" がもっとちかかたりで、日本語にほんごにはこれをおとうつしした外来がいらいキッチンナイフ[11]」もあってひろもちいられているが、「包丁ほうちょう」とはややニュアンスがことなり、たとえばきびしい料理りょうり修業しゅうぎょうおさめたひと愛用あいようひんを「キッチンナイフ」とはばない。

かたり

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庖丁ほうちょう

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いまむかし漢語かんご中国ちゅうごく)で「」は「台所だいどころ」を意味いみする。一方いっぽう古代こだい漢語かんごにおける「ちょう」は、担税たんぜいすることに由来ゆらいして、「召使めしつかいとしての成年せいねん男性だんせい(※古代こだい中国ちゅうごく律令制りつりょうせい成年せいねん男性だんせい該当がいとうするのは、かぞどしで21さいから60さいまでの男性だんせい)」を意味いみし、「園丁えんてい」や「馬丁ばてい」という熟語じゅくごがあるように「その職場しょくばはたら成年せいねん召使めしつかい男性だんせい」の意味合いみあいでもちいられていた。したがって、「庖」と「ひのと」の合成ごうせいである「庖丁ほうちょう拼音páodīng)」は「台所だいどころはたら成年せいねん召使めしつかい男性だんせい」をすものであった。日本語にほんご庖丁ほうちょう包丁ほうちょう」の語義ごぎひとつにはいまむかしも「料理人りょうりにん」「料理りょうりやく」「料理りょうりばん」があるが、刃物はものではなくもっとふる漢語かんご語義ごぎながれをいでいるとえる。

また、『そう』の「養生ようじょうぬしへん」に、とある庖丁ほうちょう台所だいどころはたら成年せいねん召使めしつかい男性だんせい)がたかしめぐみおう御前ごぜん見事みごとかたなさばきを披露ひろうし、うしいちとう素早すばや解体かいたいしてせ、おう感銘かんめいさせたといういいつたえがある[12][ちゅう 1]。この“庖丁ほうちょう料理人りょうりにん)”の使用しようした調理ちょうりがたなを、のちに「庖丁ほうちょう」とぶようになったという。

日本語にほんごにもこのかたり移入いにゅうされ、当初とうしょみは漢音かんおんの「ハウテイ(現代げんだい仮名遣かなづか:ホウテイ)」か呉音ごおんの「ベウチャウ(現代げんだい仮名遣かなづか:ビョウチョウ)」とされていたが、いつしか転訛てんかして「ハウチャウ(現代げんだい仮名遣かなづか:ホウチョウ)」となった。

日本にっぽん調理ちょうりがたな料理人りょうりにん

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奈良なら時代じだいから平安へいあん時代じだい初期しょきにかけての日本にっぽんでは、調理ちょうりよう刃物はもの区別くべつされることなく大和言葉やまとことばで「かたな全般ぜんぱん意味いみする「かたな」のばれていた[14]。この時期じき漢語かんごたようなもので、区別くべつされることなく「雑用ざつようこがたな(※小刀こがたな全般ぜんぱん意味いみする「かたなタウス現代げんだい仮名遣かなづか:トウス)」[15][14]ばれていた。

日本語にほんごにおいて、庖(台所だいどころ厨房ちゅうぼう)ではたらせんもん職人しょくにんを「庖丁ほうちょうしゃはうちゃうじゃ現代げんだい仮名遣かなづか:ほうちょうじゃ)」または「庖丁人ほうちょうにんはうちゃうにん現代げんだい仮名遣かなづか:ほうちょうにん)」とぶようになったのは、平安へいあん時代じだい末期まっきごろとかんがえられている[16][17][18]鎌倉かまくら時代ときよ末期まっき南北なんぼくあさ時代じだい完成かんせいした『徒然草つれづれぐさ』のだい231だんには、えん別当べっとう入道にゅうどうその の べつとう にゅうどう藤原ふじわら基氏もとうじえん基氏もとうじ)のはなしとして「えん別当べっとう入道にゅうどう さうなき庖丁ほうちょうしゃなり〔りゃく〕(解釈かいしゃくえん別当べっとう入道にゅうどうならもの料理人りょうりにんである)」としるされている[16][17]他方たほう、「庖丁ほうちょうはうちゃうし現代げんだい仮名遣かなづか:ほうちょうし)」も「庖丁ほうちょうしゃ」「庖丁人ほうちょうにん」の同義語どうぎごではあるが[19]あかりおう9ねん1500ねんごろ戦国せんごく時代じだい中期ちゅうき)に成立せいりつした『ななじゅういちばん職人しょくにん歌合うたあわせ』の57ばんられる「はうちゃうし(庖丁ほうちょう)」をんだ和歌わか「おほこいのかしらをさんにきりかねて かたわれしたるありあかりつきりゃく〕(おろだいこいあたまみっつにりかねて、片割かたわれしたるざいあかりつき。〔りゃく解釈かいしゃくおおきなこいあたまさんまいにおろしそこねて。[おろしそこねたおおきなこいあたまのように]半分はんぶんれた有明ありあけつきよ。〔りゃく〕)」がれいげられているように[19]ぜん2しゃよりおくれてあらわれたとおもわれる。

庖丁ほうちょうしゃ庖丁人ほうちょうにんもちいるかたなを「庖丁ほうちょうがたなはうちゃうがたな現代げんだい仮名遣かなづかほうちょうがたな)」とぶようになったのも「庖丁ほうちょうしゃ」および「庖丁人ほうちょうにん」が成立せいりつしたのとおなごろで、この時期じきまれた『今昔こんじゃく物語ものがたりしゅう』のまき26にられる一節いっせつたかしなる遣戸やりど庖丁ほうちょうがたなゆびたりけるを見付みつけて」あたりが初出しょしゅつとされている[2]。さらに「庖丁ほうちょうがたな」の略語りゃくごとしての「庖丁ほうちょう」がもちいられはじめたのもおなじ『今昔こんじゃく物語ものがたりしゅう』のまき28にられる一節いっせつさやなる庖丁ほうちょう」あたりからとされている[18][ちゅう 2]

現代げんだい

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常用漢字じょうようかんじ制定せいていされて以来いらい現在げんざい日本にっぽんでは、「庖」は常用漢字じょうようかんじがいのため、「つつみ」を代用だいようとしてもちいることが、どちらかとえばおおい。一方いっぽう現代げんだい中国語ちゅうごくごでは「庖丁ほうちょう」というかたりは、日本にっぽん庖丁ほうちょうかたり以外いがいの、旧来きゅうらい意味いみでは死語しごになっており、「さいがたな」または「廚刀簡体字かんたいじくりやがたな)」とばれている。

kitchen knife

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歴史れきし

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年表ねんぴょう

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分類ぶんるい

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材質ざいしつ基準きじゅん

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アシュレアン石器せっき
グラヴェット文化ぶんかのナイフがた石器せっき

いし包丁ほうちょう

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包丁ほうちょうという道具どうぐ概念がいねんとしてとらえた場合ばあい究極きゅうきょく起源きげん人類じんるい広義こうぎ人類じんるい)がせい石器せっき調理ちょうりもちいた瞬間しゅんかんもとめられる。考古学こうこがくナイフがた石器せっきばれる遺物いぶつはこの部類ぶるいふくまれる。また、セクション「だい包丁ほうちょう」で解説かいせつする英語えいご "cleaver" の概念がいねんふくまれる最古さいこきゅうのものまで「包丁ほうちょう」にふくめるとなると、既知きち最古さいこ包丁ほうちょうアシュール文化ぶんか石器せっき(アシュレアン石器せっき)ということになり、使用しようしゃホモ・エレクトゥスということになる。ただ、英語えいご "cleaver" と日本語にほんごだい包丁ほうちょう」はことなるかたりである。アシュレアン石器せっきたしかに cleaver であるが、日本語にほんご話者わしゃかんがえる「包丁ほうちょう」からは除外じょがいすべきかもれない。それとうのも、ここまでふる時代じだいの cleaver は形状けいじょうてきに「手斧ちょうな(ハチェット、cf. en)」であって、包丁ほうちょうのイメージからはややはなれているからである。

稲作いなさくなどととも発達はったつしてきたいし包丁ぼうちょう(いしぼうちょう)は、そのはんして穀物こくもつ農具のうぐおも用途ようとであってかまちかいものの、包丁ほうちょうにも流用りゅうようされていた可能かのうせいはある。いし包丁ぼうちょうすりせい石器せっきであることがおおいとはえ、せい石器せっきにもそれはある。

金属きんぞく包丁ぼうちょう

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金属きんぞく時代じだい包丁ほうちょうのほとんどは金属きんぞくせいである。現在げんざいてつおもざいとした合金ごうきんせい主流しゅりゅうで、そのほとんどはステンレスせいであるが、チタン合金ごうきんせいなどもいくらか普及ふきゅうしてきた。金属きんぞくせい包丁ほうちょうは、日本語にほんごでは「金属きんぞく包丁ぼうちょう(きんぞくぼうちょう)」または「金属きんぞくせい包丁ぼうちょう(きんぞくせいぼうちょう、 - ほうちょう)」とばれている。

窯業ようぎょう製品せいひん包丁ほうちょう

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きょうセラのセラミック包丁ぼうちょう

窯業ようぎょう製品せいひん包丁ほうちょうは、ファインセラミックス(※粘土ねんどなどを成形せいけい焼成しょうせいしてつくられる陶磁器とうじきガラスといったセラミックスをさらに精製せいせいした製品せいひん[20])がきょうセラ開発かいはつされ、以降いこうこの素材そざいもちいた製品せいひん次第しだい普及ふきゅうするようになった。

旧来きゅうらい金属きんぞく包丁ぼうちょう陶製とうせい包丁ぼうちょう(※太平洋戦争たいへいようせんそうなか金属きんぞくるい回収かいしゅうれい発布はっぷ以降いこう日本にっぽんもちいられた事実じじつがある)と区別くべつして、これを「ファインセラミックス包丁ぼうちょう( - ぼうちょう)」「セラミック包丁ぼうちょう」などという。ファインセラミックスではないただの陶磁器とうじきでできた包丁ほうちょういわけではないので、本来ほんらいは「ファインセラミックス包丁ぼうちょう」とぶのが正確せいかくではあるが、用例ようれい数少かずすくない。英語えいごでは "ceramic knife" といい、日本語にほんごにもこれをおとうつしした外来がいらいセラミックナイフ」がある。

なお、1984ねん昭和しょうわ59ねん)にきょうセラが発売はつばいして以降いこう、ファインセラミック包丁ぼうちょう最大手さいおおて成長せいちょうした[20][21]きょうセラの市販しはんひんやプレスリリース情報じょうほうからは、「ファインセラミックス包丁ぼうちょう」「セラミック包丁ぼうちょう」「セラミックナイフ」「ファインセラミックナイフ」が用例ようれいとして確認かくにんできる。

製法せいほう基準きじゅん

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形状けいじょう基準きじゅん

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標準ひょうじゅんてきなことでその包丁ほうちょう特別とくべつ名称めいしょうあたえられることはいが、かたちおおきさが特殊とくしゅなものには名称めいしょうあたえられている場合ばあいがある。また、包丁ほうちょうわくではなくひろ刃物はものわくでその特徴とくちょうとらえた名称めいしょうも、包丁ほうちょう名称めいしょうとしてもちいられるれいがある。これらの用語ようごについては文化ぶんかけんによるしばりもい。

だい包丁ほうちょう(だいほうちょう)
上下じょうげいずれもだい包丁ほうちょう(クリーバー)でかたあたまがたなうえ中華ちゅうか料理りょうりもちいるもの(中華ちゅうか包丁ぼうちょう)で、したきたアメリカでかつてもちいられていたもの。
手斧ちょうな(ておの、ハチェット、cf. en,wikt)におもおおきな包丁ほうちょうのこと。英語えいごでは "cleaver" (日本語にほんごめいクリーバー、クレーバー」がるい世界せかい各地かくち精肉せいにくてんにくりに使つかうような重量じゅうりょうのある包丁ほうちょうがこれにあたり、中華ちゅうか包丁ぼうちょう代名詞だいめいしてき存在そんざいであるほうあたまがたなかた包丁ほうちょうもその一種いっしゅである。はばひろ長方形ちょうほうけいゆうするもの、すなわちはかたあたまがたながた通例つうれいのため、これを定義ていぎふくめるとらかた常識じょうしきてき
ほうあたまがたな(ほうとうとう)
方形ほうけい四角形しかっけい)の頭部とうぶを「ほうあたま」といい、ほうあたまゆうするかたな日本語にほんごで「ほうあたまがたな(ほうとうとう)」、中国ちゅうごくで「ほうあたまがたな拼音fāngtóudāo; ファントォゥダァォ)」という。このことから、ほうあたまがたなかたちをしているだい包丁ほうちょう(クリーバー)タイプの中華ちゅうか包丁ぼうちょうをこのぶ。しかし、言葉ことば定義ていぎじょう中華ちゅうか包丁ぼうちょうだけにもちいられるものではない。右側みぎがわ表示ひょうじした画像がぞうひとつのれいである。また、

聖俗せいぞくべつ

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儀式ぎしきよう
日本にっぽんでは奈良なら時代じだい高貴こうきひとまえ音楽おんがくわせてこいづるなどめでたいさかなとりける「庖丁ほうちょうしき」とばれる儀式ぎしきおこなわれた[22]日本にっぽん最古さいことされる包丁ほうちょうせいくらいん収蔵しゅうぞうされているものであり、これは儀式ぎしきよう包丁ほうちょうとされている[22]
調理ちょうりよう
調理ちょうりよう包丁ほうちょう

文化ぶんかけんべつ

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あくまで日本にっぽん視点してんでの分類ぶんるいではあるが、日本にっぽん料理りょうり西洋せいよう料理りょうり区別くべつしてそれぞれがもちいる包丁ほうちょうを「包丁ぼうちょう」「よう包丁ぼうちょう」とんで区別くべつした。「東洋とうよう庖丁ぼうちょう」などという用語ようご存在そんざいせず、日本にっぽん以外いがい東洋とうよう料理りょうりもちいられる包丁ほうちょう特別とくべつ名称めいしょうをもつのは「中華ちゅうか庖丁ぼうちょう」のみである。

包丁ぼうちょう(わぼうちょう)
日本にっぽん料理りょうりもちいる包丁ほうちょう総称そうしょう[23]
中華ちゅうか包丁ぼうちょう(ちゅうかぼうちょう)
中華ちゅうか料理りょうりもちいる包丁ほうちょう[24]を、日本語にほんごではそのように総称そうしょうする。
よう包丁ぼうちょう(ようぼうちょう)
おも西洋せいよう料理りょうりもちいられる包丁ほうちょう[25]を、日本語にほんごではそのように総称そうしょうする[25]

包丁ぼうちょう

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様々さまざまおおきさの出刃包丁でばぼうちょう
日本にっぽん包丁ほうちょう専門せんもんてんならぶ、現代げんだいふう金属きんぞくがら包丁ほうちょうぐん日本にっぽんのプロけの包丁ほうちょうは、さまざまな食材しょくざい調理ちょうりほうおうじて、非常ひじょうおおくの種類しゅるいがつくられている。

包丁ぼうちょう(わぼうちょう)とは、日本にっぽん料理りょうりもちいる包丁ほうちょう総称そうしょうである[23]技術ぎじゅつめんでは、日本にっぽん古来こらいはがね軟鉄なんてつ接合はぎあわしてつくられた包丁ほうちょう定義ていぎされる[22]軟鉄なんてつ地金じがねはがねきたえせっした構造こうぞうのものがおおい。片刃かたはのものがおお[23]みぎよう片刃かたは包丁ぼうちょう場合ばあい右手みぎて包丁ほうちょうつと刃先はさき左側ひだりがわかたよ特徴とくちょうがある[26]砥石といしぐとき軟鉄なんてつさきって自然しぜんするどくのも特徴とくちょう[22]。また、んであるため、腐蝕ふしょくしても簡単かんたんえることができる[22]菜切なき包丁ぼうちょう出刃包丁でばぼうちょう刺身さしみ包丁ぼうちょうなど、おおくの種類しゅるいがある[23]包丁ぼうちょう構造こうぞうてき接合せつごう強度きょうどよわい。これは日本にっぽんがたな同様どうよう湿潤しつじゅん気候きこうびやすいてつ製品せいひんゆえ分解ぶんかい整備せいびせい優先ゆうせんしたことや、近代きんだい以前いぜん高価こうかだったてつ使用しようりょう削減さくげんするためだが、獣肉じゅうにくしょく普及ふきゅうとともにかたけん(スジ)やふとほねなどを性能せいのうおとてんからよう包丁ぼうちょう普及ふきゅうつながった。現代げんだいでは包丁ぼうちょう伝統でんとう製法せいほう形式けいしきに、よう包丁ぼうちょう構造こうぞうれるなど改良かいりょう形態けいたいつくられている。

菜切包丁なきりぼうちょう/菜切なき包丁ぼうちょう(なきりぼうちょう、なっきりぼうちょう。英語えいごnakiri knife
さいがたな(ながたな)ともいう。家庭かていけの四角しかく両刃りょうば包丁ほうちょう。かつて一般いっぱん家庭かていようとしてひろ普及ふきゅうした。
薄刃うすば包丁ぼうちょう(うすばぼうちょう。英語えいご: usuba knife
おも野菜やさいるための包丁ほうちょう片刃かたはで、関東かんとうがたひがしがた)は形状けいじょう長方形ちょうほうけい関西かんさいがた先端せんたんみねがわまるくなっており「かまがた」ともぶ。日本にっぽん料理りょうりではかつらきや野菜やさいきょくりなど非常ひじょう用途ようとひろい。小型こがた薄刃うすば包丁ぼうちょうとくに「かわむき包丁ぼうちょう」とぶこともある。
出刃包丁でばぼうちょう(でばぼうちょう。英語えいご: deba knife
さかなのほか、すっぽん、にわとりなどのさばきに使用しようする。さかな調理ちょうりではしばしばおこなわれる「(さかなを)さんまいにおろす」と表現ひょうげんされる作業さぎょうをするとき非常ひじょう便利べんり包丁ほうちょうである。ほね切断せつだんするときなどにおおきなちかられても刃先はさきしなったりがったりしないようにあつおもくつくられ、をそぐのにもてきした片刃かたは包丁ほうちょうで、形状けいじょうさんまいおろしにてきした三角形さんかっけい。10 cmから30 cmほどまで様々さまざまおおきさのものがある。「江戸えど時代じだい泉州せんしゅうさかい鍛冶たんや開発かいはつしたことから、出刃包丁でばぼうちょうという名前なまえがついた」というせつがある。出刃包丁でばぼうちょう変種へんしゅとして、大型おおがたうすさけきり包丁ぼうちょう中型ちゅうがたうすはばせまあい出刃でば舟行しゅうこう包丁ぼうちょう小型こがたうすあじきり包丁ぼうちょうなどがある。
刺身さしみ包丁ぼうちょう(さしみぼうちょう。英語えいご: sashimi knife
刺身さしみるための包丁ほうちょう刺身さしみさい往復おうふくすると素材そざい切断せつだんめんいたむことから一方向いちほうこうにのみることができるようにたいながい。関西かんさいがたさきとがり、その形状けいじょうからやなぎ(やなぎば)とぶ。「柳葉やなぎば」のをあてることもあり、また、菖蒲しょうぶにもていることから「菖蒲しょうぶ」「正夫まさお」とぶこともある。関東かんとうがただこ(たこひき)とぶが、直線ちょくせんてき先端せんたんたいらに切落きりおとしたような形状けいじょうになっており、やなぎよりもややうすい。まるまっただこあしるのにてきしたものなのでだこ引とぶとするせつがある。先端せんたんとがっていないのは喧嘩けんかはや江戸えど喧嘩けんか使つかいにくいようにしたためだともいう。先端せんたん細工ざいくりがしやすいなどの理由りゆうで、近時きんじやなぎ関東かんとうふく全国ぜんこくてき主流しゅりゅうとなっている。うらにはうらすき、しくは决り(しゃくり)とばれるへこみがある。河豚ふぐようには専用せんようとくうすくて鋭利えいり河豚ふぐがある。てっぽう(関西かんさい方面ほうめんでの河豚ふぐ通称つうしょうようという意味いみてっさ包丁ぼうちょうともぶ。 

うなぎきれ/うなぎ(うなぎさき。英語えいご: eel knife
うなぎさばさいもちいる。地方ちほうにより様々さまざま形状けいじょうのものがある。
穴子あなご包丁ぼうちょう(あなごぼうちょう)
穴子あなご(あなご)さばくのにもちいる。うなぎきれとほぼおな形状けいじょうのものである。
はもきり/はも(はもきり)
はも(はも)さばくのにもちいる。はも小骨こぼね非常ひじょうおおく、いちいちいてはいられないため、かわいちまいのこしてごと小骨こぼね小刻こきざみに必要ひつようがあり、これをほねせつという。
どじょうきり/どじょう(どじょうきり)
どじょう/泥鰌どじょう(どじょう)さばくのにもちいるちいさな包丁ほうちょう
まぐろ包丁ぼうちょう(まぐろぼうちょう。英語えいご: tuna knife
魚市場うおいちばなどでまぐろ(まぐろ)解体かいたいするさい使つか包丁ほうちょうたいは45 cmから150 cmほどのものまであり、とくながいものは若干じゃっかんしなるようにつくられている。
かつお包丁ぼうちょう(かつおぼうちょう)
かつお(かつお)るための包丁ほうちょう刃先はさき三角さんかくにとがった諸刃もろはになっておりかつお容易よういにさばくことが出来できる。
ずしきり/ずしり/[27]寿司すしきり/寿司すし(すしきり)[27]
ずしずしるための包丁ほうちょう[27]蒲鉾かまぼこかたちで、めしつぶさずにることができる[27]
めんきり包丁ぼうちょう/めん包丁ぼうちょう(めんきりぼうちょう。英語えいごnoodle knife
めんるための包丁ほうちょう饂飩うどん(うどん)よう饂飩うどんきり包丁ぼうちょう/うどん包丁ぼうちょう蕎麦そば(そば)よう蕎麦そばきり包丁ぼうちょう/蕎麦切そばき包丁ぼうちょうともいう。めんきり包丁ぼうちょうもちいるときには、めんふとさを一定いっていにするためにしょうあいだばん駒板こまいた)がもちいられることがおおい。
もちきり/もち(もちきり)
もちるための包丁ほうちょう両手りょうてがたのものもある。部分ぶぶん若干じゃっかんまるしている。
豆腐とうふきり/豆腐とうふ(とうふきり)
豆腐とうふるための包丁ほうちょう形状けいじょうめんきり包丁ぼうちょうている。
寒天かんてんきり/寒天かんてん(かんてんきり)
寒天かんてんるための包丁ほうちょう部分ぶぶんよこ方向ほうこう波状はじょうになっている。
西瓜すいかきり/西瓜すいか(すいかきり)
スイカるための包丁ほうちょう大型おおがたうす両刃りょうば包丁ほうちょう
菓子かしきり/菓子かし(かしきり)
羊羹ようかんるための包丁ほうちょう
包丁ぼうちょう(つけぼうちょう)
蒲鉾かまぼこ包丁ぼうちょう(かまぼこぼうちょう)ともいう。蒲鉾かまぼこ成型せいけいするための包丁ほうちょうさかなのすりいたへらへら

中華ちゅうか包丁ぼうちょう

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中華ちゅうか料理りょうりもちいるかたあたまがたな俎板まないたしたにあるまるかぶ俎板まないた。そのうえ四角しかく包丁ほうちょうが「中華ちゅうか包丁ぼうちょう」とばれることのおおほうあたまがたなかただい包丁ほうちょう

中華ちゅうか料理りょうりもちいられる包丁ほうちょうは、現代げんだい中国ちゅうごくで「さいがたな」もしくは「廚刀簡体字かんたいじくりやがたな)」という。古代こだい漢語かんごでは「庖丁ほうちょう」とばれていたが、日本語にほんご伝播でんぱしたのちのいつのころかに死語しごとなった。基本きほんてきには、「だい包丁ほうちょう(クリーバー。長方形ちょうほうけいゆうする、手斧ちょうな大型おおがた包丁ほうちょう)」の一種いっしゅであるほうあたまがたな(※後述こうじゅつがた身幅みはばおおきくて四角しかく万能ばんのう包丁ぼうちょうし、おおくはこのタイプを意味いみするが、実際じっさいにはそれ以外いがいかたち包丁ほうちょう存在そんざいする(※後述こうじゅつ)。

日本語にほんごでは「中華ちゅうか包丁ぼうちょう(ちゅうかぼうちょう)」という。また、ほうあたまゆうするかたな中国ちゅうごくでも日本語にほんごでも「ほうあたまがたな」ということから、ひろられているほうあたまがたながた中華ちゅうか包丁ぼうちょうをこのぶこともある。なお、中華ちゅうか包丁ぼうちょうには戦後せんごだい世界せかい大戦たいせん)に普及ふきゅうした日本にっぽんせい存在そんざいする[28]かたち中国ちゅうごくほうあたまがたながた似通にかよっているが、包丁ぼうちょう特有とくゆう鍛造たんぞう技術ぎじゅつかした日本にっぽん独自どくじのものとして開発かいはつされてきた[28]

英語えいごでは、中華ちゅうか包丁ぼうちょう全般ぜんぱんを "Chinese chef's knife" といい、だい包丁ほうちょう(クリーバー)分類ぶんるいされるかたあたまがたながたは "Chinese cleaver(チャーニーズ クリーバー)" とばれる。

中華ちゅうか包丁ぼうちょうは、あつさを基準きじゅんあつなかあつし薄刃うすばの3種類しゅるいけることができる[28][29]あつ職人しょくにん使つか分厚ぶあつおもいタイプで、ほねにくさかなかたほねはたることができ[28]間違まちがえばゆびとしかねない威力いりょくがある[29]ちゅうあつとりほねやちょっとしたさかなほねならることができる万能ばんのうがた[28][29]薄刃うすばやわらかいにく野菜やさいさかななどをるのにいており、かざりなどにももちいられる[28]

ながらく中華ちゅうか料理りょうりではかたあたまがたな主流しゅりゅうであったが、[いつ?]ごろ以降いこうさかな料理りょうりおお上海しゃんはい料理りょうりではさかなおろしようさきゆうする三角形さんかっけい包丁ほうちょうもちいるようになった[よう出典しゅってん]中華ちゅうか料理りょうりではほとんどの食材しょくざい中華ちゅうか包丁ぼうちょうのみで処理しょりする。

形状けいじょうべつ

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ほうあたまがたな拼音以下いか同様どうようfāngtóudāo; ファントォゥダァォ。日本語にほんご:ほうとうとう)
中華ちゅうか包丁ぼうちょう代名詞だいめいしてき存在そんざいとなっている長方形ちょうほうけい包丁ほうちょう広東かんとん料理りょうり四川しせん料理りょうり系統けいとう使用しようされている。
馬頭めずがたなtóudāo; マァートォゥダァォ。日本語にほんご:ばとうとう)
刃先はさきのほうがひろもとのほうがせまくなっており、みねあつめで、重量じゅうりょうかんがある。北京ぺきん料理りょうり系統けいとう使用しようされている。

用途ようとべつ

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かたかたなpiàndāo; ピェンダァォ)
重量じゅうりょうやく500 g。かるくてうすい。へんpiàn薄切うすぎり)のほか、いと; スー:細切こまぎり)、ちょうdīng; ディン:サイのり)、じょうtiáo; ティアォ:拍子木ひょうしぎり)などにもちいる。ほねきのかた素材そざいには不向ふむき。
きりがたなqièdāo; チェダァォ)
重量じゅうりょう600 g – 800 g。かたかたなよりあつみがある。たたくようにひのとdīng; ディン:サイのり)、かたまりdīng; クァイ:ぶつり)、すえ; モー:みじんり)などにもちいる。軟骨なんこつ程度ていどならほねれる。
ぜんへんかたなqiánpiànhòuzhǎndāo; チィェンピェンホォゥヂァンダァォ)
重量じゅうりょう1 kg前後ぜんこうさきのほうがかたかたなちかく、手元てもとのほうがかたなのようになっている。へん薄切うすぎり)ができるほか、にわとり家鴨あひるほねにくであればかたまり(ぶつり)も可能かのうで、ようとは幅広はばひろい。文武ぶんぶがたなwéndāo; ウェンウーダァォ)ともいう。
かたなzhǎndāo; ヂァンダァォ)
重量じゅうりょう1 kg以上いじょうみね)があつく、おののようにかってうすくなっている。ほね食材しょくざい専用せんよう包丁ほうちょうである。
様々さまざまよう包丁ぼうちょう
牛刀ぎゅうとう

よう包丁ぼうちょう

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おも西洋せいよう料理りょうりもちいられる包丁ほうちょうを、日本語にほんごではよう包丁ぼうちょう(ようぼうちょう)[25]、あるいは、西洋せいよう包丁ぼうちょうという。おおくが両刃りょうばである。刀身とうしんすべてがはがねつくられている[22]ものが基本形きほんけいはがねいたプレスいて製造せいぞうするのが一般いっぱんてきである[22]近年きんねんは、ステンレスせいや、ファインセラミックスせいのものもある。

牛刀ぎゅうとう(ぎゅうとう。英語えいご: chef's knife
本来ほんらい食肉しょくにく(枝肉えだにく)の仕分しわようの、うすく、たいながおおきいにく包丁ぼうちょう。サイズのはばひろく、家庭かていようとして野菜やさいやパンりなど様々さまざま用途ようとにも使つかいやすい6すんやく18 cm)や7すんから、1とううしさばようの40 cmちかだい包丁ほうちょうまで市販しはんされている。
すじ(すじびき)
枝肉えだにく解体かいたいで、いわゆる「ヒレにく」(fillet meat) は、周囲しゅういを「スジ」とばれる不要ふよう部分ぶぶんおおっている。これをはなす、「すじき」とばれる作業さぎょうのための、なが細身ほそみ包丁ほうちょう海外かいがいの「フィレ・ナイフ」に相当そうとうする。
よう出刃でば(ようでば)
スープよううしこつくだいたりするための、あつ頑丈がんじょう包丁ほうちょう
ペティナイフ
料理りょうり本場ほんばフランスのフランス語ふらんすごで「petit プチ」は「ちいさな」という意味いみ英語えいごでそれを借用しゃくようすると「ペティ」と英語えいごふう発音はつおんされる。英語えいごではParing knifeペアリングナイフとばれることが近年きんねんでは一般いっぱんてき。「ペティナイフ」とうと和製わせい英語えいごてき前述ぜんじゅつ理由りゆうによりプチナイフともいう。
小型こがたのキッチンナイフで、野菜やさい果物くだものかわむき、カクテルやケーキようフルーツのかざりなど用途ようとひろ頻用ひんようされる、小型こがた万能ばんのうナイフ。
三徳さんとく包丁ぼうちょう(さんとくぼうちょう。英語えいご: Santoku knife
日本にっぽん家庭かてい一般いっぱんてき使つかわれている万能ばんのう包丁ぼうちょう牛刀ぎゅうとうよりみじかめでややはばひろい。野菜やさいにくさかな一本いっぽん処理しょりできることから「三徳さんとく」という。文化ぶんか包丁ぼうちょう(ぶんかぼうちょう)ともよばれる。
カービングナイフ英語えいご: carving knife
おもにカービングフォークと一緒いっしょにローストビーフなどのにくかたまりけるのに使つかわれるナイフ。
スライサー英語えいご: SlicerまたはSlicing knife
おも薄切うすぎにく刺身さしみ、ハムなどスライスするときもちい、刃先はさきにはまるみがあり牛刀ぎゅうとう細身ほそみにしたような形状けいじょうをしている。語弊ごへいがあることもあって、スライシングナイフともばれる。
クリーバー/クレーバー英語えいご: cleaver
動物どうぶつ解体かいたいするとき関節かんせつはたるなどのように使つかう。たたきつけても刃先はさきがまくれたり、がらずに使つかえるようにあつおもく、形状けいじょう四角形しかっけい
ボーニングナイフ英語えいご: boning knife
ほねからにくがすためにもちいる。やわらかくしなるようにつくられており、日本にっぽん独特どくとくよう包丁ぼうちょうほねすき」とはそのてんことなる。
ほねすき(ほねすき)
ほねからにくがすためにもちいる日本にっぽん独特どくとくよう包丁ぼうちょうさば包丁ぼうちょう/さばき包丁ぼうちょうさば/さばきともいう。
がらすき
にわとりなどまるとり解体かいたいもちいる。軟骨なんこつ関節かんせつ切断せつだんするため、ほねスキと同型どうけいだがあつくまたながくなっている。
フィレナイフ英語えいご: fillet knife
とくなま魚類ぎょるいさばきやすくつくられた包丁ほうちょう細長ほそながったつ。
パン包丁ぼうちょう英語えいご: bread knife
多孔たこうしつやわらかいパンをりやすいように、波形はけいになっているものがあり、切断せつだんめんちかくの組織そしきをつぶさないように、あつうすはばせまい。ブレッドナイフ、パンスライサーなどの名称めいしょう販売はんばいされている場合ばあいもある。しょくパンなどを均等きんとうあつさにスライスする場合ばあいには専用せんようのガイドをもちいる。
冷凍れいとう包丁ぼうちょう
冷凍れいとうした食材しょくざいをスライスするさいもちい、刃先はさきがギザギザのなみになっている。部分ぶぶんあつみは2 mm程度ていど冷凍れいとうナイフともばれる。

構造こうぞう

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よう包丁ぼうちょうは、全体ぜんたいはがねつくられているもの(ぜんはがね)と、はがね刃物はものこう)のりょう側面そくめん軟鉄なんてつはさんだ割込わりこみ(ないしさんまい構造こうぞうのものが一般いっぱんてきである。包丁ぼうちょうは、軟鉄なんてつ地金じがねはがねきたえせっしたそう構造こうぞうものおおい。そう構造こうぞう包丁ほうちょうぐと地金じがね部分ぶぶんしろくもるため「かすみ」とばれる。一方いっぽうで、はがねのみでつくられた包丁ぼうちょうもある。みねがわに"き”することでマルテンサイト変態へんたい阻害そがいして硬軟こうなんをつけたものが「ほんき」とばれるもので、高級こうきゅうひんである。包丁ぼうちょうのなかでも菜切包丁なきりぼうちょうのような両刃りょうばのものはよう包丁ぼうちょう同様どうように「み」構造こうぞうをもつ。

各部かくぶ名称めいしょう

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各部かくぶ名称めいしょうは、日本語にほんご場合ばあい日本にっぽんがたなはじめとする古来こらいかたなのそれとほとんどの部分ぶぶん共通きょうつうしている、ひるがえってえば、すべ一致いっちするわけではない。

刀身とうしん(とうしん)
(ハンドル)でない部分ぶぶんほこさききっさきからまちまでの部分ぶぶん英語えいごでいう "blade"。外来がいらいでいう「ブレード/ブレイド」。【図説ずせつ1】では「さき」から「マチ」までの部分ぶぶん。【図説ずせつ2】では "Blade" の部分ぶぶん
たい(はたい)[30]
銃砲じゅうほう刀剣とうけんるい所持しょじとう取締とりしまりほう銃刀じゅうとうほう)における「刀剣とうけんるい以外いがい刃物はものながさ」[30]一般いっぱんには「体長たいちょう」ともいう。これにたいして刀剣とうけんるいながさは「刃渡はわたり/刃渡はわたり(はわたり)」という[30]
包丁ほうちょうたい体長たいちょう)は、ほこさききっさきと、ほこさきもっとちかいちてんとの水平すいへい直線ちょくせん距離きょりである。【図説ずせつ2】では、Aのいちてんと、Hがある位置いちとの水平すいへい直線ちょくせん距離きょり。このしめしてある "Blade" のはば結果けっかてきおなながさになる。
刃渡はわたり/刃渡はわた(はわたり)[31][32]
銃刀じゅうとうほうにおいては「刀剣とうけんるいながさ」。やりのぞ刀剣とうけんるいの「ちょう」と、やりの「ちょう」との総称そうしょう
一般いっぱんには「刃渡はわたり」というかたり包丁ほうちょうたいしてもちいられているが、上記じょうきのとおり、銃刀じゅうとうほうしたではただしくない。ただし、時代じだいげき外国がいこくなど銃刀じゅうとうほう法外ほうがいもちいるぶんには「刃渡はわたり」で問題もんだいない。
まちのある包丁ほうちょう刃渡はわたりは、ほこさききっさきと、がある位置いちとの水平すいへい直線ちょくせん距離きょり包丁ほうちょう刃渡はわたりは、ほこさきあごあごがある位置いちとの水平すいへい直線ちょくせん距離きょり
blade face(ブレードフェース、ブレイドフェイス)
刀身とうしんめん意味いみする英語えいご
図説ずせつ1】包丁ぼうちょう各部かくぶ名称めいしょう
図説ずせつ2】よう包丁ぼうちょう各部かくぶ名称めいしょう
ほこさき/切先きっさき/さき(きっさき)
先端せんたん。「ほこさき」の字義じぎ原義げんぎ)は「ほこ先端せんたん」。英語えいごめいは "point(ポイント)"、"tip(チップ)"。【図説ずせつ2】のA。
刃先はさき(はさき)
出刃包丁でばぼうちょう刀身とうしんのようにのある場合ばあいは、せんのうち、ほこさききっさきからりがくなる箇所かしょまでの部分ぶぶんをいう。菜切包丁なきりぼうちょう刀身とうしんのようにりの場合ばあいは、刀身とうしんながさとたい体長たいちょう)と刃先はさきながさはおおよそひとしい。【図説ずせつ2】のAとBあたり。
(そり)
せんなか曲線きょくせんほこさききっさきからせん全体ぜんたいさんふんぐらいまでに位置いちする場合ばあいおおい。【図説ずせつ2】のB。
せん(はせん)
いたがわ部分ぶぶん
どう(はみち)
せん同義どうぎほこさききっさきからあごあごいたれる部分ぶぶん全体ぜんたい名称めいしょう
ちゅう(はちゅう)
切断せつだん使つか部分ぶぶん英語えいごでいう "edge"、"cutting edge" 。外来がいらいでいう「エッジ」「カッティングエッジ」。【図説ずせつ2】のC。
もと(はもと)
せんのうち、ちか部分ぶぶん英語えいごでいう "heelヒール)"。【図説ずせつ2】のD。
しょう(こば)しょう
どうさいにわずかにけられる角度かくどおおきい斜辺しゃへん。よりちいさくけられるものを「いと」という。あじをあまりそこなわずながれする(あじ低下ていかしにくいこと)ようにするためにける。しょうけることを「しょうわせ」「いとわせ」という。
あご(あご)
からしている部分ぶぶん西洋せいよう刀剣とうけん用語ようごでは英語えいごめいで "choil(チョイル)"。日本語にほんごめい意訳いやくした英語えいごめいは "chin(チン)"。【図説ずせつ2】のH。
まち)
もと中子なかご/くきなかごさかいとなるだんものもある。
(はまち)
いたがわ
むね(むねまち)
むねむね)ともいうみね/みね)のがわいていないがわ)の
みね/みね)
たいのうち、いていないがわ部分ぶぶん。「むね(むね)」ともいう。英語えいごでいう "spine(スパイン)"。【図説ずせつ2】のE。
だいむね(おおむね)
みね/みね)のちか部分ぶぶん
ひらたひら)
たい平面へいめん部分ぶぶんきりづくりの包丁ほうちょうではひょうみねから鎬(しのぎ)までの平面へいめん部分ぶぶん英語えいごめい日本語にほんごめい意訳いやくした "flat(フラット)"。
きり/(きりは)
きりづくりの包丁ほうちょうにおける鎬からせんいた傾斜けいしゃした平面へいめん部分ぶぶん
鎬筋(しのぎすじ;しのぎすじ
たいらきり境目さかいめかくになるすじたんに「(しのぎ)」ともいう。
さかい(はさかい)
かすみ包丁ぼうちょうられる地金じがねはがね境目さかいめ日本にっぽんがたなもん混同こんどうされがちであるが、もんきという方法ほうほうによってしょうじる硬軟こうなんによってあらわれる紋様もんようであるのにたいし、さかいせんわされた異種いしゅこう硬軟こうなんによってしょうじる。ほんきの包丁ほうちょうられる紋様もんよう日本にっぽんがたな同様どうようきによってしょうじるもんである。
裏漉うらごし(うらすき)
裏側うらがわのえぐれ。裏漉うらごしきがあると、うら押をつくさい砥石といしにあたる面積めんせきるためぎやすい。また、うら平面へいめんにならないので食材しょくざいきにくい。
うら押/うら(うらおし)
裏側うらがわの、裏漉うらごしきのあたりえん部分ぶぶん平面へいめん。「うら(はうら)」ともいう。うら押をつく作業さぎょうすこともある。
中子なかご/くき(なかご)
なかおさまっている根元ねもと部分ぶぶん英語えいごめいは "tang(タング)"、"shank(シャンク)"。くき裏表うらおもていたったつくりで、全体ぜんたいくきとおる「本通ほんどおりし(フル・タング)」が強度きょうど耐久たいきゅうせいとももっとすぐれるが、現代げんだい工業こうぎょう量産りょうさんされる包丁ほうちょうでも、相対そうたいてき高価こうか金属きんぞく縮減しゅくげんするため、安価あんか包丁ほうちょうではとおし、はん中子なかご包丁ぼうちょうちかい挿込がたなどくきちいさくした構造こうぞうおおい。
中子なかごしり/くきしり(なかごじり)
中子なかご/くき末端まったん
finger guard(フィンガーガード)
blade の基部きぶと bolster の接点せってん付近ふきんにあって、ゆびすべってれることのいようほどこされた部分ぶぶん。【図説ずせつ2】のGからHまでの部分ぶぶん
かつら(かつら)
かたなにおける「鎺/鈨はばき)」に相当そうとうする。中子なかご/くきなかごがわれをふせぐためにけたっか(くち)。英語えいごでいうところの "bolster(ボルスター)"。ステンレスこう真鍮しんちゅうなど金属きんぞくせいのものを口金くちがね(くちがね。英語えいごめい "ferrule〈フェルール〉")、水牛すいぎゅうかくつくられたものを角巻かくまき(つのまき)とぶ。特注とくちゅう高級こうきゅうひんぎん真珠貝しんじゅがい使用しようする場合ばあいもある一方いっぽう廉価れんか普及ふきゅうひんでは合成ごうせい樹脂じゅしエボナイトせいおおく、「PCかつら」「プラスチックかつら」などとぶ。なお、「かつら」はである。【図説ずせつ2】のF。
(え)
にぎ部分ぶぶん英語えいごめいは "handle"。外来がいらいでは「ハンドル」という。刀身とうしん一体いったい構造こうぞうになっているタイプと、刀身とうしんべつ構造こうぞうべつ素材そざいになっているタイプとに大別たいべつされる。後者こうしゃ場合ばあい内部ないぶ中子なかご/くきなかご固定こていしておさめている。分離ぶんり構造こうぞう包丁ほうちょうであればかつらからしりまでの部分ぶぶんであり、一体いったい構造こうぞう包丁ほうちょうでも同様どうよう部分ぶぶんす。
しり(えじり)
末端まったん英語えいごめいは "handle end(ハンドル エンド)"。
butt(バット)
さい末端まったん英語えいご対応たいおうする日本語にほんごめい確認かくにんできない。【図説ずせつ2】のN。
handle guard(ハンドルガード)
末端まったんにあるすべ防止ぼうしようのわずかな突起とっき英語えいご。それに由来ゆらいする外来がいらい「ハンドルガード」は通用つうようしているかもれない。【図説ずせつ2】のM。
びょう(びょう)
中子なかご/くきなかご固定こていするためにまれる英語えいごめいは "rivet"。外来がいらいでは「リベット」。
ディンプル
表面ひょうめんたかさのひく凸面とつめん複数ふくすうほどこしたもので、ったもの刀身とうしんにくっついてしまうのをかなりふせぐことができる。
づち(つちめ)
鍛造たんぞうときたい表面ひょうめんづち(ハンマー)でたたいたあと。ディンプルと同様どうよう効果こうか場合ばあいもある。21世紀せいき前期ぜんき前半ぜんはん市場いちばでは見栄みばえをくするデザインとしてわざと工作こうさくされているものがおおくなった。
めい(めい)
英語えいごめいは「署名しょめい」をする "signature(シグネチャー)"。製造せいぞう責任せきにんしゃめい商標しょうひょうロゴタイプ物品ぶっぴん所持しょじしゃめいなど、固有名詞こゆうめいし固有こゆう意匠いしょうおもとする特定とくてい情報じょうほう刀身とうしんもしくはかつらきざ場合ばあいがあり、それが製造せいぞう責任せきにんしゃめい商標しょうひょうであれば保証書ほしょうしょひとしい役割やくわりたしている場合ばあいがある。物品ぶっぴん所有しょゆうしゃわり、購入こうにゅう情報じょうほう所有しょゆうしゃがわうしなってしまったとしても、めい手掛てがかりに製造せいぞうしゃ販売はんばいしゃさがてることも可能かのうとなる。包丁ぼうちょう刀身とうしん十分じゅうぶんあつさがあるものもおおいので、そういったものに日本にっぽんがたなほどこすのとおな技術ぎじゅつめいきざむ。きざめるスペースもひろいため、ロゴタイプ、商標しょうひょう製造せいぞう責任せきにんしゃめい所有しょゆうしゃめいなどといったおおくの情報じょうほうすべきざむこともめずらしくない。一方いっぽうよう包丁ぼうちょう刀身とうしんあつさがりないため、かつらきざむこととなるが、スペースがいのですう文字もじしかきざめない。

素材そざい

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炭素たんそこう
びやすく手入ていれになんがあるが、あじすぐれ、また、ぎやすいため愛用あいようしゃおおい。包丁ぼうちょう素材そざいとしては日立金属ひたちきんぞく刃物はものよう鋼材こうざいである安来やすぎこう白紙はくしあお)が有名ゆうめい。「かみ」とは、工場こうじょう鋼材こうざい判別はんべつようったラベルのいろによる。
ステンレスこう
武生たけふ特殊とくしゅ鋼材こうざいのVG10こう日立金属ひたちきんぞく銀紙ぎんがみこうなど。ステンレスはびにくく手入ていれが簡単かんたんなため家庭かていよう普及ふきゅうした反面はんめんはがねよりあじおとるため、業務ぎょうむようには敬遠けいえんされてきたが、近年きんねん[いつ?]高性能こうせいのうなステンレス包丁ぼうちょうおおい。
ファインセラミックス
おもジルコニアけいのファインセラミックスが使用しようされる。びない。炭素たんそこうやステンレスよりかたく、長期間ちょうきかんあじ持続じぞくする。一方いっぽうで、ねばりがいため、としたときれたりけたりしやすい、ぐことが困難こんなん刃先はさきをあまりするどくできない、といった欠点けってんがある。

材質ざいしつは、包丁ぼうちょう場合ばあいほうほおのき一般いっぱんてきであるが、ほかにさくらざい紫檀したん黒檀こくたんなどもある。楕円だえんや、ききておうじてぐりかたちけずられるが、八角はっかく断面だんめん成型せいけいされる場合ばあいもある。よう包丁ぼうちょう合成ごうせい樹脂じゅし強化きょうかせいおおく、ローズウッドマホガニーざいのものもある。

かつらるタイプといタイプがある。よう包丁ぼうちょうでは刀身とうしん一体いったい構造こうぞうとなったものもおおい。

包丁ぼうちょう木製もくせいさやもちいる場合ばあいがある。さやおさめる場合ばあいは、完全かんぜん乾燥かんそうさせてからでないと、なかさび進行しんこうする可能かのうせいがある。

手入てい

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使用しようみずなどでよごれをあらながし、水分すいぶん完全かんぜんっておく。水分すいぶんのこすと、腐蝕ふしょくする金属きんぞくでできているものや木製もくせいがあるものでは腐朽ふきゅう(※腐蝕ふしょく素材そざいいたみ)がこる。しばらく使つかわない場合ばあいは、完全かんぜんかわかし、新聞しんぶんなどあぶらふくんだかみ(※新聞紙しんぶんしインクあぶらふくむ)でつつんでおく。

かた

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両刃りょうばよう包丁ぼうちょう場合ばあい角度かくどは20から40程度ていど[よう出典しゅってん]であり、砥石といしたいする角度かくどはその半分はんぶんとなる。角度かくど鋭角えいかくであるほどあじくなるが、耐久たいきゅうせい低下ていかする。さいには包丁ほうちょう右手みぎて砥石といしたる角度かくど一定いってい保持ほじすることが重要じゅうようである。左手ひだりて指先ゆびさき箇所かしょ砥石といしさえつける。さきから根本こんぽんにかけてさえる場所ばしょをずらしつつ全体ぜんたい満遍まんべんなくいでいく。一方いっぽうめん十分じゅうぶんとぎげた場合ばあい裏面りめんからさわるとがえりがていることが確認かくにんできる。反対はんたいがわめんからも同様どうよういで、その両面りょうめんすこしづついでいき、どちらのめんにもがえりがないようになればぎは完了かんりょうである。

片刃かたは包丁ぼうちょう場合ばあいは鎬があるため角度かくどめやすいが、漫然まんぜんぐとやわらかい地金じがね部分ぶぶんりやすいため角度かくどてしまいがちである。はがね部分ぶぶん意識いしきしてぎ、それにわせるように地金じがねぐようにするとい。はがね地金じがねでは砥石といしうえでの抵抗ていこうちがうため、がれている箇所かしょ感触かんしょくから判別はんべつできる。裏側うらがわはあまりがずがえりを程度ていどにする。うらぎすぎるとはがねうすくなり、包丁ほうちょう寿命じゅみょうちぢめるため、注意ちゅういしなければならない

砥石といしあらさにより、荒砥あらと中砥なかと仕上しあとぎ大別たいべつされる。荒砥あらとけをるなどおおきな修正しゅうせい必要ひつよう場合ばあい使用しようされ、中砥なかと基本きほんてきとぎぎをおこない、より繊細せんさいあじるためにはその仕上しあとぎ使用しようされる。合成ごうせい砥石といし場合ばあいつぶ数値すうちおおきいほどきめのこまかいものになる。砥石といし表面ひょうめんたいらであることが重要じゅうようである。砥石といし使用しようにつれ中央ちゅうおう部分ぶぶんってへこみがちであるが、そのような状態じょうたいではただしい角度かくどることはむずかしい。へこんだ砥石といし砥石といし同士どうしわせてたいらに修正しゅうせいしなければならない。

よう包丁ぼうちょう手入ていれにはスチールぼう (en:Honing steel) が使用しようされることがあるが、これは刃先はさき微細びさい鋸歯きょしなおしてあじ回復かいふくさせるものである[33]比較的ひかくてきやわらかい鋼材こうざい包丁ほうちょう有効ゆうこうで、刃先はさきすうかいこすりつけてぐように使用しようするが、砥石といしとはことなりあまりけずらない[33]。セラミックせいやダイヤモンドの粒子りゅうしをコーティングしたものもあり、使用しようほう同様どうようであるが、これらは伝統でんとうてきなスチールぼうとは作用さようがややことなり、砥石といし同様どうようけずるものである[33]

衛生えいせい管理かんり

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包丁ほうちょうはまないたとともに、食中毒しょくちゅうどくきん汚染おせんされやすい。ふきんで包丁ほうちょうをぬぐっただけでは、にはきれいでも、細菌さいきん大量たいりょう発生はっせいしていることもある。まただけでなく、食品しょくひんをさわったにぎるので、意外いがい汚染おせんされている。こまめに洗浄せんじょうし、熱湯ねっとうをかけて消毒しょうどくする[34]

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和式わしき包丁ほうちょうでは、んである部分ぶぶんみずがしみみ、細菌さいきんとなりやすい[34]長年ながねんのうちには中子なかご腐蝕ふしょくしてくることもある。そこでこう隙間すきまろうをたらしてめ、みずひたみをふせぐ「め」という処理しょりで、これらをふせぐ。

ブランド

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ここでは、おおきな流通りゅうつう実績じっせきのあるブランドげる。包丁ほうちょうのブランドは、いち企業きぎょうぞくするものもあれば、生産せいさんあるいは企業きぎょう複数ふくすうげたものや、有名ゆうめいデザイナーのかんしたものなどもある。

生産せいさん

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ヨーロッパ

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日本にっぽん

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おも産地さんち
その地域ちいき

台湾たいわん

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特殊とくしゅ刃物はもの

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調理ちょうりよう刃物はもの以外いがいにも日本語にほんごで「包丁ほうちょう/庖丁ほうちょう」のをもつ特殊とくしゅ刃物はもの複数ふくすうある。それらは調理ちょうりよう刃物はもの意味いみするかたり包丁ほうちょう/庖丁ほうちょう」からの派生はせいである。

まるたっ包丁ぼうちょう/まる包丁ほうちょう(まるたちぼうちょう)
表装ひょうそうなどでかみぬの裁断さいだんするための刃物はもの[35]まる包丁ほうちょう(まるぼうちょう)ともいう。そのは、刀身とうしん幅広はばひろく、えがくことに由来ゆらいする。おおきさを基準きじゅんに、標準ひょうじゅんがたを「ほんそう(ほんそう)」、小型こがたを「あいそう(そうそう)」とけることがある[35]
かわさい包丁ぼうちょう/かわ包丁ほうちょう/かわさい包丁ぼうちょう/かわ包丁ほうちょう(かわだちぼうちょう)
皮革ひかく裁断さいだんするための刃物はもの総称そうしょうかわ包丁ぼうちょう/かわさい包丁ぼうちょう(かわぼうちょう)、かわだん包丁ぼうちょう/かわだん包丁ぼうちょう[35](かわたちぼうちょう)、かわりつ(かわたち)[35]ともいう。英語えいごでいう "leathercraft knife" に相当そうとうし、そのおとうつしがたレザークラフトナイフ」は外来がいらいとして通用つうようする。形状けいじょう多様たよう
塗師屋ぬしや包丁ぼうちょう(ぬしやぼうちょう)
うるしこう工程こうていで、塗師ぬりしもちいるじきがたな
畳屋たたみや包丁ぼうちょう(たたみやぼうちょう)[35]
たたみ製造せいぞう工程こうていたたみ職人しょくにん裁断さいだんもちいる刃物はもの
煙草たばこ包丁ぼうちょう(たばこぼうちょう)
きざ煙草たばこ(きざみたばこ)の製造せいぞう工程こうてい煙草たばこきざむのにもちいる刃物はもの刀身とうしんあつはばひろい。
収穫しゅうかく包丁ぼうちょう(しゅうかくぼうちょう)
農作物のうさくもつ収穫しゅうかくもちいる刃物はもの総称そうしょうおおくは菜切包丁なきりぼうちょう三徳さんとく包丁ぼうちょうかたちであるが、まるたっ包丁ぼうちょうによくかたちなた)のようなかたちペティナイフかたちぎゃく湾曲わんきょくがたなのようなかたちなど、農作物のうさくもつ種類しゅるい用途ようとべつ様々さまざまなタイプがある。

転用てんよう

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ひと包丁ほうちょう[36]/ひと包丁ほうちょう[37]ひときりばうちゃう現代げんだい仮名遣かなづか:ひときりぼうちょう)[36][37][38]
武士ぶしかたな日本にっぽんがたな)をあざけったり、こわれたりしていうかたり[36][37]かたり構成こうせいja: ひと/ひとり(ひところすこと)+ 包丁ほうちょう ]。「」は「きり」ともしる[38]。「包丁ほうちょう」は「庖丁ほうちょう」ともしるす。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ そう養生ようじょうぬしへん」についてははなちん論文ろんぶん養生ようじょうぬしへんにおける思想しそうおよびその影響えいきょういち考察こうさつ[13]解説かいせつあり。
  2. ^ なお、奥村おくむらぴょうせいは、『和漢わかんさんさい図会ずえ』で「わりがたな」の俗称ぞくしょうを「庖丁ほうちょう」と記述きじゅつしていることをれいげて、江戸えど時代じだい中頃なかごろになって食材しょくざいきざむための刃物はものをも「庖丁ほうちょう」とぶようになった[14]としており、上述じょうじゅつせつ日立ひたちデジタル平凡社へいぼんしゃ世界せかいだい百科ひゃっか事典じてんだい2はん記述きじゅつ[18])と相剋そうこくする。

出典しゅってん

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  1. ^ 同音どうおん漢字かんじによるきかえ
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参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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