天文てんもん遺産いさん

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天文てんもん遺産いさん(てんもんいさん、Astronomical Heritage)は、国際こくさい連合れんごう教育きょういく科学かがく文化ぶんか機関きかん(UNESCO)が国際こくさい記念きねんぶつ遺跡いせき会議かいぎ(ICOMOS)や国際こくさい天文学てんもんがく連合れんごう(IAU)と共同きょうどう世界せかい遺産いさんひとし分野ぶんやにおいて、天文学てんもんがく関係かんけいする文化ぶんかてき資産しさん環境かんきょう保全ほぜん目的もくてき提唱ていしょうしたもの。2010ねんと2017ねん主題しゅだい研究けんきゅう(Thematic study)がおこなわれているが、独自どくじ保護ほご登録とうろく制度せいどもうけられていない[1]

遺産いさん一覧いちらん[編集へんしゅう]

個別こべつ天文てんもん遺産いさん詳細しょうさい天文てんもん遺産いさん一覧いちらん参照さんしょう

経緯けいい[編集へんしゅう]

21世紀せいきはいり、ユネスコの活動かつどう理念りねんのひとつである科学かがく分野ぶんや担当たんとうする科学かがくきょく 環境かんきょう地球ちきゅう科学かがく 宇宙うちゅう観測かんそくおよ地球ちきゅう科学かがくにおける能力のうりょく開発かいはつが、科学かがく技術ぎじゅつとりわけ宇宙うちゅう科学かがく足跡あしあと顕彰けんしょうはじめたことを[ちゅう 1]、2003ねんに「テーマべつイニシアチブ 天文学てんもんがく世界せかい遺産いさん」(AWHI)をげ、2004ねん世界せかい遺産いさんセンター主催しゅさいイタリアヴェネツィアにおいて「天文てんもん世界せかい遺産いさんとモニュメントにかんする専門せんもん会議かいぎ」を開催かいさいし、その結果けっか同年どうねん中国ちゅうごく蘇州そしゅう開催かいさいされただい28かい世界せかい遺産いさん委員いいんかい報告ほうこくして継続けいぞく議題ぎだいとなった。

その2007ねんだい31かい世界せかい遺産いさん委員いいんかいでの検討けんとうで、「そら天体てんたい星明ほしあかり(大気たいきこう)などのEmpyreal landscape(天空てんくう景観けいかん不安定ふあんてい借景しゃっけい[ちゅう 2]所有しょゆうけん不明瞭ふめいりょう保護ほご根拠こんきょ曖昧あいまいであり、世界せかい遺産いさん対象たいしょうがいである」といち否決ひけつされた。

しかし、2008ねんイギリスロンドン開催かいさいされた世界せかい遺産いさんへの推薦すいせんへの脈絡みゃくらくでの科学かがく技術ぎじゅつ専門せんもんによる作業さぎょう部会ぶかい(Science and Technology Expert Working Group in the context of World Heritage Nominations)のなか宇宙うちゅう技術ぎじゅつげられた[2]

2008ねん10がつにユネスコとIAUは、天文学てんもんがく世界せかい遺産いさんかんする覚書おぼえがき(Memorandum of Understanding)に調印ちょういん。IAUは「天文学てんもんがく世界せかい遺産いさん作業さぎょう部会ぶかい」(Working Group on Astronomy and World Heritage)を設置せっちした[3][2]

2009ねんには、ユネスコとIAUによる世界せかい天文てんもんねんロシアカザン開催かいさいされた「天文学てんもんがく世界せかい遺産いさん時間じかん大陸たいりくえて」とだいする国際こくさい会議かいぎ(International Conference on "Astronomy and World Heritage: across time and continents")でも宇宙うちゅう開発かいはつ顕彰けんしょう必要ひつようせいかれた[ちゅう 3]

ICOMOSとIAUによって、すでに世界せかい遺産いさんリストや暫定ざんていリストに登録とうろくされた物件ぶっけんふく事例じれい対象たいしょう主題しゅだい研究けんきゅう(Thematic study)がおこなわれ、その結果けっかは2010ねん6がつ30にちに41れいのケーススタディーからなる「世界せかい遺産いさん条約じょうやく脈絡みゃくらくにおける天文学てんもんがくおよ天文てんもん考古学こうこがく遺産いさん主題しゅだい研究けんきゅう」(Heritage Sites of Astronomy and Archaeoastronomy in the context of the World Heritage Convention: A Thematic Study)という報告ほうこくしょとしてとりまとめられた。この報告ほうこくしょ同年どうねん7がつだい34かい世界せかい遺産いさん委員いいんかい報告ほうこくされ、ユネスコ加盟かめいこく各国かっこく天文学てんもんがくてき資産しさん保護ほごするさいのガイドラインとして有用ゆうようであるとして承認しょうにんけた[4]。また、この世界せかい遺産いさん委員いいんかいでは、天文学てんもんがく関連かんれんする2けん世界せかい遺産いさん中国ちゅうごく天地てんち中央ちゅうおう」にあるとうふう史跡しせきぐんインドジャンタル・マンタル登録とうろくされた[2]

2011ねん9月には、パリで開催かいさいされた「天文学てんもんがくてき遺産いさん保護ほご」(Protection of Heritage of Astronomy)とだいする国際こくさいセミナーにおいて参加さんかしゃにより「天文てんもん遺産いさんかんするパリ宣言せんげん」(Paris Declaration on astronomical heritage)が採択さいたくされ[5]2012ねん2がつにフランスのユネスコ国内こくない委員いいんかいから世界せかい遺産いさん委員いいんかい議長ぎちょう報告ほうこくされた[6]

2015ねん国際こくさい連合れんごう国際こくさい光年こうねん[7]け、天文てんもん遺産いさん推進すいしんすることがだい39かい世界せかい遺産いさん委員いいんかい確認かくにんされた。

2017ねん6がつには、ICOMOSとIAUによる2かい主題しゅだい研究けんきゅう報告ほうこく発行はっこうされた。今後こんご宇宙うちゅう遺産いさん(space heritage)に焦点しょうてんわせた3かい主題しゅだい研究けんきゅう将来しょうらいてき予定よていされている[8]

2019ねんだい43かい世界せかい遺産いさん委員いいんかいにおいて、イギリスのジョドレルバンク天文台てんもんだい電波でんぱ天文台てんもんだい)が世界せかい遺産いさん登録とうろくされた。

対象たいしょう[編集へんしゅう]

天文てんもん遺産いさん選定せんていするにあたり対象たいしょうとなる分野ぶんやとして天文てんもん考古学こうこがく暦学れきがく時間じかん天文てんもん時計とけいなど)、宗教しゅうきょう民俗みんぞくがく文学ぶんがくてき領域りょういき文化ぶんかてき空間くうかん文化ぶんかてき環境かんきょう)、天文台てんもんだい宇宙うちゅう基地きち天体てんたい物理ぶつりがく星空ほしぞら気象きしょう現象げんしょうなどがげられた。

その適用てきよう範囲はんい世界せかい遺産いさんまらず、生物せいぶつけん保護ほごラムサール条約じょうやく指定していにも反映はんえいされる。

また、世界せかい遺産いさん前提ぜんていである不動産ふどうさん有形ゆうけいざい構築こうちくぶつ以外いがいに、天体てんたい人々ひとびと伝統でんとう文化ぶんか生活せいかつ精神せいしん信仰しんこうなどに介在かいざいした証拠しょうことしての無形むけい文化ぶんか遺産いさん太陽たいようしん祭祀さいしなど)、天文てんもんかんする記録きろくぶつ彗星すいせい日食にっしょく)や可動かどう文化財ぶんかざい望遠鏡ぼうえんきょうなど)、機械きかい設備せつびのような稼働かどう遺産いさん対象たいしょうとなる。

自然しぜん遺産いさんとしての天文てんもん[編集へんしゅう]

天体てんたい星空ほしぞら気象きしょう条件じょうけん自然しぜん遺産いさんぞくし、その評価ひょうか登録とうろく基準きじゅんは「Ⅶ.最上級さいじょうきゅう自然しぜん現象げんしょうまたはるいまれ自然しぜん美的びてき価値かちゆうする地域ちいき包括ほうかつする」に該当がいとうし、代表だいひょうてきなものとしてオーロラげられるが天文てんもん遺産いさん登録とうろくにはいたっていない。

また、「Ⅷ.地球ちきゅう歴史れきしじょう主要しゅよう段階だんかいしめ顕著けんちょ見本みほん地形ちけい発達はったつにおける重要じゅうよう地学ちがくてき進行しんこう過程かてい重要じゅうよう地形ちけいてき特性とくせい自然しぜん地理ちりてき特性とくせい」として、隕石いんせきによるクレーターかんがえられる。

Ecosystemastronomy(天文てんもん生態せいたいけいという造語ぞうご提唱ていしょうし、今後こんご潮汐ちょうせき月齢げつれい影響えいきょうされる生態せいたいけい視野しやふくまれる。

星空ほしぞら保護ほご[編集へんしゅう]

ユネスコではMAB(Man and the Biosphere)計画けいかく英語えいごばんにおいて、2007ねんラ・パルマとう開催かいさいしたアーバンエコロジー英語えいごばんプログラムで、Starlight reserve(星空ほしぞら保護ほご提唱ていしょう試験しけんてきに5かしょ認定にんていした。

ひかり保護ほご[編集へんしゅう]

自然しぜん遺産いさん学術がくじゅつてき価値かち評価ひょうかする国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごう(IUCN)は、2009ねんに 「ダークスカイ諮問しもんグループ」(DSAG)を発足ほっそくさせ、Light reserve(ひかり保護ほご[ちゅう 4]制定せいていしている。

ひかり保護ほご用途ようと程度ていどおうじて6種類しゅるい分類ぶんるいされる。

ダークスカイ保護ほご[編集へんしゅう]

国際こくさいダークスカイ協会きょうかいという民間みんかん団体だんたいがDark-Sky ReserveとDark-Sky Parkを認定にんていしており[ちゅう 5]、2018ねん西表いりおもて石垣いしがき国立こくりつ公園こうえん石垣いしがき竹富たけとみまち)が日本にっぽんでははじめてDark-sky Placeランク(パーク部門ぶもん)に認定にんていされ[9]2020ねん伊豆諸島いずしょとう神津島こうづしまむらが(パーク部門ぶもん[10]、2021ねんには岡山おかやまけん井原いはら美星びせいまち地区ちく認定にんてい(コミュニティ部門ぶもん[11]

選定せんてい基準きじゅん[編集へんしゅう]

天文てんもん遺産いさん世界せかい遺産いさん同様どうように「顕著けんちょ普遍ふへんてき価値かち」(Outstanding Universal Value)があり、「真正しんせいせい英語えいごばん」がともなわなければならないが、法的ほうてき保護ほご根拠こんきょなどの「完全かんぜんせい(インテグリティ)」はもとめられず、おなじインテグリティでも本来ほんらい目的もくてき沿った「整合せいごうせい」(たとえば遺跡いせき以外いがいきん現代げんだい天文台てんもんだいがその役割やくわりえていれば天文てんもん遺産いさんとしての価値かちはないとなされる)が重視じゅうしされる。こうしたことから、天文てんもん遺産いさんにおいてはリビングヘリテージ優遇ゆうぐうし、アダプティブユースみとめない傾向けいこうがある。

現在げんざい天文てんもん遺産いさんのための評価ひょうか基準きじゅん作成さくせいちゅうである(以下いかかり抄訳しょうやく)。

  1. 天文台てんもんだい望遠鏡ぼうえんきょうなどにおける最先端さいせんたん唯一ゆいいつ科学かがく技術ぎじゅつ反映はんえいしたもの
  2. 天体てんたい観測かんそく知識ちしき技法ぎほう記録きろく証言しょうげん
  3. 観測かんそくしょ宇宙うちゅう開発かいはつにおけるしん素材そざい
  4. 気象きしょう気候きこう特異とくいせいそら背景はいけいやみ)や大気たいき密度みつど透明とうめいなどの自然しぜん条件じょうけん

選定せんてい方法ほうほう[編集へんしゅう]

天文てんもん遺産いさん選定せんていは、世界せかい遺産いさんのような条約じょうやく締結ていけつ義務ぎむもなければ、申請しんせい制度せいどもない。ICOMOSがすんで登録とうろく世界せかい遺産いさん暫定ざんていリスト掲載けいさい物件ぶっけんなかから天文てんもん遺産いさん要素ようそがあるものを、IAUは会員かいいん推挙すいきょにより選出せんしゅつし、ユネスコをまじえての専門せんもん会議かいぎ審査しんさし、承認しょうにんする。選定せんてい作業さぎょう不定期ふていき開催かいさい

展望てんぼう[編集へんしゅう]

これまでの各種かくしゅ会合かいごう天文てんもん遺産いさん目指めざうごきをしめしたものとして、ロシアのほしまちカザフスタンとの共同きょうどう所有しょゆうとなるバイコヌール宇宙うちゅう基地きちオランダ世界せかい最古さいこアイゼ・アイジンガーによるプラネタリウムスイスフランスにまたがる欧州おうしゅう原子核げんしかく研究けんきゅう機構きこう(CERN)でビッグバンなど宇宙うちゅう進化しんかろん探求たんきゅうする大型おおがたハドロン衝突しょうとつがた加速器かそくき(LHC)などがある。

ユネスコでは、記憶きおく遺産いさんから、ポーランドの「ニコラウス・コペルニクス代表だいひょうさく天体てんたい回転かいてんについて』」、イランの「『占星術せんせいじゅつ教程きょうていしょ』」と「ガージャールあさ時代じだいのイランの選抜せんばつ地図ちずコレクション[1193-1344ねん太陰暦たいいんれきカレンダー/1779-1926ねんグレゴリオれきカレンダー]」、ドイツネブラ・ディスク、アメリカの「ランドサット計画けいかく記録きろく:マルチスペクトル・スキャン・センサー」などを検討けんとうしている。

文芸ぶんげい分野ぶんやでは、ノーベル文学ぶんがくしょう作家さっかハリー・マーティンソンんだ宇宙うちゅうアニアラスウェーデンばん』がげられている。

日本にっぽんにおいては文部もんぶ科学かがくしょう宇宙うちゅう開発かいはつ利用りよう部会ぶかいによる「科学かがく技術ぎじゅつ学術がくじゅつ分野ぶんやにおける国際こくさい活動かつどう戦略せんりゃくてき推進すいしん」や内閣ないかく宇宙うちゅう政策せいさく委員いいんかい牽引けんいんやくとなるとおもわれるが、現時点げんじてんでは天文てんもん学会がっかいこよみ学会がっかいによる懇談こんだんかい旧暦きゅうれき2033ねん問題もんだい考察こうさつ顛末てんまつりまとめてあんされているほか、ニュートリノ研究けんきゅうノーベルしょうとして評価ひょうかされていることから内閣ないかく特命とくめい担当たんとう大臣だいじん宇宙うちゅうしょう関係かんけいすじスーパーカミオカンデ推薦すいせんしてはと示唆しさしている。

課題かだい[編集へんしゅう]

星空ほしぞら鑑賞かんしょうするためにはひかりがいがないこと、んだ空気くうき安定あんていした気象きしょう条件じょうけん必須ひっすだが、この条件じょうけん審査しんさする指針ししん曖昧あいまいである。光度こうどであればボートル・スケール大気たいき汚染おせんはかるなら世界せかい気象きしょう機関きかん(WMO)の指標しひょうもちいることがかんがえられるが、そうした環境かんきょう維持いじつづける持続じぞく可能かのうせい世界せかい遺産いさん委員いいんかいもとめる。

星空ほしぞら横切よこぎ人工じんこう衛星えいせいやゴミといった人工じんこうぶつ簡単かんたん解決かいけつほうはなく、とくスペースデブリ地上ちじょうから観測かんそくできるものだけでも2まんもあり、機関きかんあいだスペースデブリ調整ちょうせい委員いいんかい設立せつりつされているが、宇宙うちゅう条約じょうやく解釈かいしゃく必要ひつようになるとの指摘してきもある。

日本にっぽん天文台てんもんだいもあるマウナ・ケアは、先住民せんじゅうみん天測てんそく航法こうほうハワイ諸島しょとうへたどりいたさい目標もくひょうとなりほしあがめる場所ばしょとした聖域せいいきであり、天文台てんもんだい建設けんせつ反対はんたいする運動うんどうがあるが[12]、いずれも天文てんもん遺産いさんとしての要素ようそであり、きが注目ちゅうもくされる。

アメリカでは月面げつめん着陸ちゃくりく地球ちきゅうがい不動産ふどうさん)を国立こくりつ公園こうえんにしようという法案ほうあん提出ていしゅつされたが[13]、これを天文てんもん遺産いさん応用おうようすることで宇宙うちゅう開発かいはつ競争きょうそう拍車はくしゃがかかるおそれもある。

世界せかい遺産いさん航空こうくう分野ぶんや空港くうこうなど)の登録とうろくおこなわれていない段階だんかいで、宇宙うちゅう裾野すそのひろげるのは拙速せっそくではないかとの意見いけんもある[よう出典しゅってん]

ユネスコでは天文てんもん遺産いさんをアストロツーリズムとして活用かつようする遺産いさん商品しょうひん推進すいしんしているが、宇宙うちゅう旅行りょこう容易よういでなく、天体てんたい観測かんそく場所ばしょ観光かんこうすれば観光かんこう公害こうがい観光かんこうこうがい)も懸念けねんされる。

天文てんもん遺産いさん現時点げんじてんでは法的ほうてき保護ほご根拠こんきょもとめていないが、将来しょうらいてきには必須ひっすとなりうる。ニュージーランドのテカポみずうみ星空ほしぞら景観けいかんでの世界せかい遺産いさんへの推薦すいせんこころみたさい人造湖じんぞうこ)であるため国立こくりつ公園こうえんによる保護ほご困難こんなんで、断念だんねんした経緯けいいがある[ちゅう 6]。また、天空てんくう景観けいかん範囲はんい確定かくてい保護ほごするには、領空りょうくうけん環境かんきょうけんから派生はせいする空間くうかんけん都市とし土地とち利用りようともな上空じょうくう容積ようせきりつあらわ空中くうちゅうけん)を応用おうようするなどのこころみも必要ひつようとなる。

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天文台てんもんだい周辺しゅうへんでの屋外おくがい照明しょうめい規制きせいする条例じょうれい各国かっこくにあるが、総体そうたいてきひかりがいたいする対処たいしょほう導入どうにゅうしている事例じれいすくなく、1988ねんのラ・パルマとうと1989ねん岡山おかやまけんきゅう美星びせいまち制定せいていしたひかりがい防止ぼうし条例じょうれい先駆せんくてきなもので、現在げんざいでも国際こくさいてきたか評価ひょうかけており、2000ねんニューメキシコしゅうと2003ねんコネチカットしゅうユタしゅうアーカンソーしゅうインディアナしゅうにおける州法しゅうほうとしての公害こうがい防止ぼうしほう、2002ねんチェコよる環境かんきょう保護ほごほうなどが追従ついしょうしている。

同様どうよう電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう周辺しゅうへんでは電波でんぱほう応用おうようもとめられる。

個人こじんでできることとしては、家屋かおくないひかりそとらさないようにする灯火ともしび管制かんせい夜間やかん自動車じどうしゃぜんあきらとう使用しよう制限せいげん自動車じどうしゃ利用りよう制限せいげん排気はいきガスらし大気たいき汚染おせん軽減けいげんにもつながる)、必要ひつようなときにだけかりがともるモーションセンサーの普及ふきゅうキャンドルナイトによる啓蒙けいもうなどがげられる。

日本にっぽん天文てんもん遺産いさん[編集へんしゅう]

2020ねん前期ぜんき日本にっぽん天文てんもん遺産いさん認定にんていされた電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう錦江湾きんこうわん公園こうえん

日本にっぽん天文てんもん学会がっかいは2019ねん日本にっぽん天文てんもん遺産いさん制度せいど創設そうせつし、会津あいづはん藩校はんこうにち新館しんかん付属ふぞくした天文台てんもんだいあとと、超新星ちょうしんせいやオーロラとおもわれる天文てんもん現象げんしょうめた藤原ふじわら定家さだいえ日記にっき明月めいげつ』を認定にんていした[14]

いで2020年度ねんど前期ぜんき)には、7~8世紀せいきつくられたとされ現存げんそんする最古さいこ本格ほんかくてき星図せいずえがかれたキトラ古墳こふん天井てんじょう壁画へきが奈良ならけん明日香あすかむら)、1887ねん日本にっぽんはつ近代きんだいてき日食にっしょく観測かんそく成功せいこうした「明治めいじ20ねん皆既かいき日食にっしょく観測かんそくおよび観測かんそく日食にっしょく」(新潟にいがたけん三条さんじょう)、1993ねん設置せっちされた直径ちょっけい6メートルのミリ電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう鹿児島かごしまけん鹿児島かごしま)を[15][16]後期こうき仙台せんだいはん伊達だてつたわる渾天など「仙台せんだいはん天文学てんもんがく器機きき」(宮城みやぎけん仙台せんだい)、1899ねん設置せっちされた天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょう収納しゅうのう施設しせつなどからなる「臨時りんじ緯度いど観測かんそくしょ天頂てんちょうおよ関連かんれん建築けんちくぶつ」(岩手いわてけん奥州おうしゅう)、1903ねん建設けんせつされ現存げんそんする日本にっぽん最古さいこのドームがた天体てんたい観測かんそくしつがある「商船しょうせん学校がっこう天体てんたい観測かんそくしょ」(東京とうきょう江東こうとう)を認定にんてい[17]

日本にっぽん天文てんもん遺産いさん認定にんてい一覧いちらん[18]
回数かいすう 登録とうろく年度ねんど 認定にんてい 認定にんてい対象たいしょう 所在地しょざいち 認定にんてい理由りゆう カテゴリ
1 2018 2019ねん3がつ16にち 明月めいげつ 京都きょうと京都きょうと 3けん超新星ちょうしんせい日食にっしょく月食げっしょく、オーロラなどの天文てんもん現象げんしょうについての記載きさいがある。 文献ぶんけん
会津あいづにち新館しんかん天文台てんもんだいあと 福島ふくしまけん会津若松あいづわかまつ 江戸えど時代じだい天文台てんもんだい露台ろだい)の遺構いこうとして、現存げんそん唯一ゆいいつのものである。 史跡しせき建造けんぞうぶつ
2 2019 2020ねん3がつ17にち キトラ古墳こふん天井てんじょう壁画へきが 奈良ならけん明日香あすかむら 石室いしむろ天井てんじょう現存げんそんする最古さいこ本格ほんかくてき星図せいずにちぞうつきぞうがある。 物品ぶっぴん
明治めいじ20ねん皆既かいき日食にっしょく観測かんそくおよ観測かんそく日食にっしょく 新潟にいがたけん三条さんじょう 日本にっぽんにおける最初さいしょ近代きんだいてき皆既かいき日食にっしょく観測かんそくおよびその観測かんそく記念きねん 史跡しせき建造けんぞうぶつ
6mミリ電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう 東京とうきょう三鷹みたか 日本にっぽん宇宙うちゅう電波でんぱ観測かんそくいしずえである6mミリ電波でんぱ望遠鏡ぼうえんきょう(1970ねん完成かんせい)、国立こくりつ天文台てんもんだいうち保存ほぞん公開こうかいされている。
1984ねん〜1993年間ねんかん長野ながのけん野辺山のべやま、1993ねん〜2018年間ねんかん鹿児島かごしま錦江湾きんこうわん公園こうえんにあった。
物品ぶっぴん
3 2020 2021ねん3がつ18にち 仙台せんだいはん天文学てんもんがく器機きき 宮城みやぎけん仙台せんだい 18〜19世紀せいき仙台せんだいはん天文学てんもんがくしゃたちが製作せいさく使用しようした渾天象限しょうげん大小だいしょう2天球儀てんきゅうぎの4てん器機きき 物品ぶっぴん
臨時りんじ緯度いど観測かんそくしょ天頂てんちょうおよ関連かんれん建築けんちくぶつ 岩手いわてけん奥州おうしゅう 天頂てんちょう緯度いど変化へんかかんする国際こくさい共同きょうどう研究けんきゅうのため、1899ねん臨時りんじ緯度いど観測かんそくしょげん水沢みずさわVLBI観測かんそくしょ)に設置せっちされ、1927ねんまで緯度いど測定そくてい使用しようされた。 物品ぶっぴん史跡しせき建造けんぞうぶつ
商船しょうせん学校がっこう天体てんたい観測かんそくしょ 東京とうきょう江東こうとう 商船しょうせん学校がっこう天体てんたい観測かんそくしょ赤道あかみちただししつおようましつは、1903ねん建設けんせつされた煉瓦れんがづくり天文台てんもんだい建築けんちくであり 、東京とうきょう海洋かいよう大学だいがく越中島えっちゅうじまキャンパスにほぼ建築けんちく当時とうじのままでのこされている。
赤道あかみちただししつだいいち観測かんそくだい):現存げんそんする日本にっぽん最古さいこドーム屋根やね形状けいじょう天体てんたい観測かんそくしつ回転かいてん可能かのうまる屋根やねつ。
うましつだい観測かんそくだい):はち角錐かくすいがた固定こてい屋根やねつ。
史跡しせき建造けんぞうぶつ
4 2021 2022ねん3がつ4にち 明治めいじ7ねん金星かなぼし太陽たいようめん通過つうか英語えいごばん観測かんそく 長崎ながさきけん長崎ながさき兵庫ひょうごけん神戸こうべ神奈川かながわけん横浜よこはま 1874ねん12月9にち金星きんぼし太陽たいようめん通過つうか外国がいこく観測かんそくたいにより観測かんそくされ、3地点ちてん当時とうじ観測かんそくだい記念きねんのこされている。
長崎ながさき:フランスたい金比羅山こんぴらさん)、アメリカたい大平山おおひらやま[ちゅう 7]
神戸こうべ:フランス分隊ぶんたい諏訪山すわやま[ちゅう 8]
横浜よこはま:メキシコたい野毛のげさん[ちゅう 9]および山手やまて本村ほんそん[ちゅう 10]
史跡しせき建造けんぞうぶつ
小山こやまひさ太陽たいよう黒点こくてんスケッチぐん 茨城いばらきけんつくば 小山こやまが1945ねん〜1996ねんった太陽たいよう黒点こくてんのスケッチの記録きろくであり、現在げんざい筑波つくば国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかん研究けんきゅう施設しせつ保存ほぞん保管ほかんされている。 物品ぶっぴん
5 2022 2023ねん3がつ15にち 大阪おおさか市立しりつ電気でんき科学かがくかんプラネタリウム 大阪おおさか大阪おおさか 1937ねん日本にっぽん最初さいしょ設置せっちされ、1989ねんまで稼働かどうした近代きんだいてき光学こうがくしきプラネタリウム 物品ぶっぴん
仁科にしながた電離でんりばこ 埼玉さいたまけん和光わこう 理化学研究所りかがくけんきゅうしょ仁科にしな芳雄よしお研究けんきゅうしつ開発かいはつされた宇宙うちゅうせん検出けんしゅつ。1935ねん〜1941ねん製作せいさくされたけい5だいのうち、2号機ごうきたる。 物品ぶっぴん
6 2023 2024ねん3がつ11にち レプソルドうまおよびレプソルドうましつ 東京とうきょう三鷹みたか 1880ねんドイツ製作せいさくされ、1963ねんまで稼働かどうした天体てんたい観測かんそく装置そうち現在げんざい国立こくりつ天文台てんもんだい三鷹みたかキャンパス保管ほかん公開こうかいされている。 史跡しせき建造けんぞうぶつ物品ぶっぴん
ほしあいだちり合成ごうせい実験じっけん装置そうち 東京とうきょう三鷹みたか 坂田さかたあきららが製作せいさくした終焉しゅうえん恒星こうせい質量しつりょう放出ほうしゅつにおける固体こたいちり粒子りゅうし合成ごうせいマイクロ放電ほうでんによるプラズマもちいて再現さいげんする実験じっけん装置そうち 物品ぶっぴん
倉敷くらしき天文台てんもんだい関連かんれん遺産いさん 岡山おかやまけん倉敷くらしき 市民しみんへの公開こうかい目的もくてきとして1926ねん11月21にち日本にっぽんはじめて設立せつりつされた民間みんかん天文台てんもんだい大正たいしょう時代じだい市民しみんへの天文学てんもんがく普及ふきゅう熱心ねっしんいた山本やまもと一清かずきよ水野みずの千里せんりらの理念りねん啓発けいはつされ、倉敷くらしきまちちょうつとめた実業じつぎょうはらきよし私財しざいとうじて設立せつりつした。 史跡しせき建造けんぞうぶつ物品ぶっぴん

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ きっかけは1997ねんに「宇宙うちゅう開発かいはつちち」とばれるコンスタンチン・ツィオルコフスキーによる世界せかいはつロケット理論りろんであるツィオルコフスキーの公式こうしき発表はっぴょうひゃく周年しゅうねん記念きねんしてのこと。
  2. ^ たとえば「天空てんくうきょう」と形容けいようされ星空ほしぞらうつウユニしおみずうみは12月~4がつ雨季うきのみの現象げんしょうで、とくよるくもふうきやすく不安定ふあんてい
  3. ^ 冷戦れいせん時代じだい宇宙うちゅう開発かいはつをリードしてきたロシアは天文てんもん遺産いさん積極せっきょくてき[よう出典しゅってん]
  4. ^ 本来ほんらいは「人工じんこうこうからの保護ほご」だが、「(人工じんこう)ひかり保護ほご」と誤解ごかいされるおそれがあるため、日本にっぽんでは「ひかり保留ほりゅう」などとやくれいもある[よう出典しゅってん]
  5. ^ ダークスカイを中国ちゅうごくではくらてんやくしている。中国語ちゅうごくごばんWikipedia國際こくさいくらてん協會きょうかい参照さんしょう
  6. ^ 現在げんざいマオリによる天体てんたい神話しんわ占星術せんせいじゅつ中心ちゅうしんとした文化ぶんかてき景観けいかん保護ほご根拠こんきょとしている
  7. ^ げん星取ほしとりさん
  8. ^ げん諏訪山すわやま公園こうえん
  9. ^ げん個人こじん宅内たくない
  10. ^ げんフェリス女学院じょがくいん高等こうとう学校がっこう

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ What is astronomical heritage?”. UNESCO Astronomy and World Heritage Webportal. 2018ねん5がつ28にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c Astronomy and World Heritage Thematic Initiative”. UNESCO. 2018ねん5がつ7にち閲覧えつらん
  3. ^ UNESCO and the IAUえーゆー sign key agreement on Astronomy and World Heritage Initiative”. The International Year of Astronomy 2009. 2018ねん5がつ7にち閲覧えつらん
  4. ^ Thematic Study 1”. UNESCO Astronomy and World Heritage Webportal. 2018ねん5がつ7にち閲覧えつらん
  5. ^ Paris Declaration on astronomical heritage (PDF) ICOMOS[出典しゅってん無効むこう]
  6. ^ Report on the World Heritage Thematic Programmes” (PDF). WORLD HERITAGE COMMITTEE Thirty-sixth session (2012ねん5がつ11にち). 2018ねん5がつ28にち閲覧えつらん
  7. ^ 国際こくさい光年こうねん – IYL2015
  8. ^ Thematic Studies”. UNESCO Astronomy and World Heritage Webportal. 2018ねん5がつ28にち閲覧えつらん
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ほんこうはユネスコのAstronomy and World Heritage Thematic InitiativeとIAUのPortal to the Heritage of AstronomyおよびドイツはんWikipediaLichtschutzgebiet基調きちょうとしている

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