西海にしうみ道みち

西海にしうみ道みち（さいかいどう、にしのみち）は、五ご畿七道どうの一ひとつ。九州きゅうしゅうとその周辺しゅうへんの島々しまじまの行政ぎょうせい区分くぶん、および同所どうしょを通とおる幹線かんせん道路どうろ（古代こだいから中世ちゅうせい）を指さす。

沿革えんかく

7世紀せいき末すえ、国境こっきょう調査ちょうさ事業じぎょうが成なされた時期じき（690年ねん頃ころ）に、それまで筑紫つくし・肥こえ・豊ゆたかと呼よばれていた地域ちいきの前ぜん・後ごの分割ぶんかつが確定かくていし、筑前ちくぜん国こく・筑後ちくご国こく・肥前ひぜん国こく・肥後ひご国こく・豊前ぶぜん国こく・豊後ぶんご国こくの北部ほくぶ九州きゅうしゅう六ろく国こくが誕生たんじょうした。残のこる南みなみ九州きゅうしゅうは、大宝たいほう2年ねん（702年ねん）に薩麻（薩摩さつま）国こくが成立せいりつし、そして和銅わどう6年ねん（713年ねん）に日向ひなた国こくから大隅おおすみ国こくが分立ぶんりつした。これで九州きゅうしゅう島内とうないに九きゅう国こくが成立せいりつした。そのころ壹いち伎・対馬つしま・多た褹の三島みしまが、国くにに並ならぶ一ひとつの行政ぎょうせい単位たんいとして位置いちづけられた。これらの島々しまじまには現地げんち採用さいようの郡司ぐんじの上うえに中央ちゅうおう派遣はけんの島しま司しを派遣はけんして辺あたり要地ようちの監視かんしに充あてた。こうして、九州きゅうしゅう島とうと三島みしまは、太宰府だざいふが中央ちゅうおう政府せいふとの間あいだに位置いちして全体ぜんたいを管轄かんかつする一ひとつの行政ぎょうせい管区かんく（西海にしうみ道みち）となった。

さらに天てん長ちょう元年がんねん（824年ねん）に多た褹島を廃止はいしして大隅おおすみ国こくに併合へいごうし、また貞さだ観かん18年ねん（876年ねん）には五島列島ごとうれっとうと平戸島ひらどしま地域ちいきを値ね嘉島かしま（ちかのしま）という行政ぎょうせい区画くかくとして島しま司しを置おいた。基本きほん的てきには奈良なら・平安へいあん時代じだいを通つうじて存続そんぞくした。これらの国くに・島しまには国府こくふや島しま府ふが設置せっちされた。

行政ぎょうせい区画くかくとしての西海にしうみ道みち

令れい制せい国こく一覧いちらん > 西海にしうみ道みち

以下いかの十じゅう二にヶ国かこく一いち島とうが含ふくまれる。

筑前ちくぜん国こく（現在げんざいの福岡ふくおか県けん西部せいぶ）
筑後ちくご国こく（現在げんざいの福岡ふくおか県けん南部なんぶ）
豊前ぶぜん国こく（現在げんざいの福岡ふくおか県けん東部とうぶ、大分おおいた県けん北部ほくぶ）
豊後ぶんご国こく（現在げんざいの大分おおいた県けん中央ちゅうおう部ぶから南部なんぶ）
肥前ひぜん国こく（現在げんざいの佐賀さが県けん、壱岐いき・対馬つしまを除のぞく長崎ながさき県けん）
- 値ね嘉島かしま（876年ねんに肥前ひぜん国こくより分立ぶんりつ。数すう年ねん後ごに再さい編入へんにゅう。現在げんざいの長崎ながさき県けん平戸島ひらどしま及および江島えじま・平島ひらしまを除のぞく五島列島ごとうれっとう）
肥後ひご国こく（現在げんざいの熊本くまもと県けん）
日向ひなた国こく（現在げんざいの宮崎みやざき県けん、鹿児島かごしま県けん東部とうぶのうち志布志しぶし市し及および大崎おおさき町まちの大だい部分ぶぶん）
大隅おおすみ国こく（現在げんざいの志布志しぶし市し及および大崎おおさき町まちの大だい部分ぶぶんを除のぞく鹿児島かごしま県けん東部とうぶ）
- 多た禰国（702年ねんから824年ねんまで、現在げんざいの鹿児島かごしま県けん大隅おおすみ諸島しょとう）
薩摩さつま国こく（現在げんざいの鹿児島かごしま県けん西部せいぶ）
壱岐いき国こく（現在げんざいの長崎ながさき県けん壱岐いき）
対馬つしま国こく（現在げんざいの長崎ながさき県けん対馬つしま）