(Translated by https://www.hiragana.jp/)
TOI-700 - Wikipedia コンテンツにスキップ

TOI-700

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
TOI-700[1]
TOI-700の惑星の軌道とハビタブルゾーンの位置を示した画像 (提供: NASA's Goddard Space Flight Center)
TOI-700の惑星わくせい軌道きどうとハビタブルゾーンの位置いちしめした画像がぞう
提供ていきょう: NASA's Goddard Space Flight Center
かり符号ふごう別名べつめい TOI 700[2]
星座せいざ かじき[2]
かけの等級とうきゅう (mv) 13.08[3]
分類ぶんるい 赤色あかいろ矮星[1]
位置いち
もと:J2000.0[3]
あかけい (RA, αあるふぁ)  06h 28m 23.2287828000s[3]
あかぬき (Dec, δでるた) −65° 34′ 45.521569925″[3]
あか方偏かたへんうつり -0.000019[3]
視線しせん速度そくど (Rv) -5.756 km/s[3]
固有こゆう運動うんどう (μみゅー) あかけい: -102.750 ミリびょう/とし[3]
あかぬき: 161.805 ミリびょう/とし[3]
とししゅう視差しさ (πぱい) 32.0980 ± 0.0211ミリびょう[3]
誤差ごさ0.1%)
距離きょり 101.61 ± 0.07 光年こうねん[ちゅう 1]
(31.15 ± 0.02 パーセク[ちゅう 1]
絶対ぜったい等級とうきゅう (MV) 10.6[ちゅう 2]
TOI-700の位置いち
軌道きどう要素ようそ性質せいしつ
惑星わくせいかず 4
物理ぶつりてき性質せいしつ
半径はんけい 0.420 ± 0.031 R[1]
質量しつりょう 0.416 ± 0.010 M[1]
平均へいきん密度みつど 8.0 ± 1.8 g/cm3[1]
表面ひょうめん重力じゅうりょく 4.81 ± 0.06 (log g)[1]
自転じてん周期しゅうき 54.0 ± 0.8 [1]
スペクトル分類ぶんるい M1V - M3V[1]
光度こうど 0.0233 ± 0.0011 L[1]
表面ひょうめん温度おんど 3,480 ± 135 K[1]
いろ指数しすう (B-V) 1.44[3]
いろ指数しすう (V-R) 0.42[3]
金属きんぞくりょう[Fe/H] -0.07 ± 0.11[1]
年齢ねんれい >15おくねん[1]
カタログでの名称めいしょう
Gaia DR2 5284517766615492736[3]
TESS 150428135[1]
UCAC4 123-010026[3]
2MASS J06282325-6534456[3]
Template (ノート 解説かいせつ■Project

TOI-700かじき方向ほうこうやく100光年こうねんはなれた位置いちにある恒星こうせいである[1][2]TOI 700表記ひょうきされることもある[2][4]周囲しゅういを4つの太陽系たいようけいがい惑星わくせい公転こうてんしていることがられている。

特徴とくちょう

[編集へんしゅう]
おおきさの比較ひかく
太陽たいよう TOI-700
太陽 Exoplanet

TOI-700は太陽たいようやく4わり質量しつりょう半径はんけい典型てんけいてき赤色あかいろ矮星であり、スペクトル分類ぶんるいはM1VがたからM3Vがたあいだとされている[1]光度こうど太陽たいようの2.3%しかない[1]

形成けいせいされてからすくなくとも15おくねん経過けいかしているとられている[1]。11ヶ月かげつあいだおよ観測かんそくでは、TOI-700の表面ひょうめんフレアなどの活発かっぱつ恒星こうせい活動かつどう確認かくにんされていない[1][4]

当初とうしょ、TOI-700は実際じっさいよりもはるかに高温こうおん恒星こうせいであるとかんがえられていたが、のちにその観測かんそくデータがあやまりであることが判明はんめいしている[5]

TOI-700という名称めいしょうの「TOI」は、太陽系たいようけいがい惑星わくせい探索たんさく衛星えいせいであるTESSの観測かんそくにより惑星わくせい存在そんざいする可能かのうせいしめされた天体てんたいがリストアップされるカタログ(TESS Objects of Interest)を意味いみし、ドップラー分光ぶんこうほう直接ちょくせつ観測かんそくほうといったほか観測かんそく方法ほうほうによる追加ついか観測かんそく実施じっしされる対象たいしょうとなる[6]。TOI-700はほかにも「TIC 150428135」や「2MASS J06282325-6534456」ともばれ[1][3]、またガイア計画けいかく観測かんそく対象たいしょうでもあったことから「Gaia DR2 5284517766615492736」という名称めいしょうあたえられている[3]

惑星わくせいけい

[編集へんしゅう]
TOI-700 dの想像そうぞう
TOI-700 eの想像そうぞう
TOI-700の動画どうが

2020ねん1がつ、TOI-700の周囲しゅういを3つの太陽系たいようけいがい惑星わくせい公転こうてんしていることが太陽系たいようけいがい惑星わくせい探索たんさく衛星えいせいTESSによるトランジットほうしょく検出けんしゅつほう)での観測かんそくデータから判明はんめいしたと発表はっぴょうされた[1][2]。これらの惑星わくせいはいずれも潮汐ちょうせき固定こていけて自転じてん公転こうてん同期どうき発生はっせいしているとかんがえられている[4]。このうち、もっと外側そとがわ公転こうてんしている惑星わくせいTOI-700 d(TOI 700 d)は地球ちきゅうやく1.2ばいおおきさを岩石がんせき惑星わくせいとされ、みず液体えきたい形態けいたい存在そんざいできる領域りょういきであるハビタブルゾーンうち公転こうてんしているとされている[1][2]。TESSがハビタブルゾーンない公転こうてんしている地球ちきゅう規模きぼ惑星わくせい発見はっけんしたのはこれがはじめてである[1][2][ちゅう 3]

のこる2つの惑星わくせいのうち、もっと内側うちがわ公転こうてんしているTOI-700 b(TOI 700 b)は地球ちきゅうとほぼおなおおきさを岩石がんせき惑星わくせい、その1つ外側そとがわ公転こうてんしているTOI-700 c(TOI 700 c)は地球ちきゅう海王星かいおうせい中間ちゅうかん規模きぼつガス惑星わくせいである可能かのうせいたか[1][2][5]。この2つの惑星わくせいもっと外側そとがわ惑星わくせいdよりも急速きゅうそく形成けいせいされたされたことにより、おおくのガスを大気たいきとしてまとっている可能かのうせいがあるが、一番いちばん外側そとがわ惑星わくせいdはゆっくりと形成けいせいされたため、それほど大量たいりょうのガスを大気たいきとしてまとわなかったとかんがえられている。また、なかにある惑星わくせいcだけの2つより規模きぼおおきいことから、この惑星わくせいけい長期ちょうきてき惑星わくせい移動いどう発生はっせいした可能かのうせいしめされている[1]

これらの惑星わくせい発見はっけんハワイホノルルおこなわれたアメリカ天文てんもん学会がっかいだい235かい会合かいごう発表はっぴょうされた[2][4]

また、2021ねん11月にはあらたにやく27.8にち公転こうてん周期しゅうきつ、おおきさが地球ちきゅうやく0.95ばい惑星わくせい候補こうほ「TOI-700.04」が存在そんざいする可能かのうせいしめされている[7]。この惑星わくせい候補こうほは、2023ねん1がつ9にち確認かくにんされ、TOI-700 e(TOI 700 e)と指定していされた。惑星わくせいeはcとdのあいだ公転こうてんしており、楽観らっかんてきなハビタブルゾーンない位置いちしている地球ちきゅうがた惑星わくせいとされる。これにより、TOI-700の周囲しゅういにはハビタブルゾーンない存在そんざいする惑星わくせいが2存在そんざいすることが判明はんめいした[8]

TOI-700の惑星わくせい[8]
名称めいしょう
恒星こうせいちかじゅん
質量しつりょう 軌道きどうちょう半径はんけい
天文てんもん単位たんい
公転こうてん周期しゅうき
()
軌道きどうはなれしんりつ 軌道きどう傾斜けいしゃかく 半径はんけい
b 1.07+0.80
−0.43
[1] M
0.0677+0.0011
−0.0011
9.977219+0.000041
−0.000038
0.075+0.093
−0.054
89.60+0.27
−0.29
°
0.914+0.053
−0.049
 R
c 7.48+5.89
−3.30
[1] M
0.0929+0.0015
−0.0015
16.051137+0.000020
−0.00020
0.068+0.070
−0.049
88.903+0.071
−0.087
°
2.60+0.14
−0.13
 R
e 0.845+0.67
−0.34
予測よそく M
0.1340+0.0022
−0.0022
27.80978+0.00046
−0.00040
0.059+0.057
−0.042
89.60+0.21
−0.16
°
0.953+0.089
−0.075
 R
d 1.72+1.29
−0.63
[1] M
0.1633+0.0027
−0.0027
37.42396+0.00039
−0.00035
0.042+0.045
−0.030
89.80+0.12
−0.10
°
1.073+0.059
−0.054
 R

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b パーセクは1 ÷ とししゅう視差しさびょう)より計算けいさん光年こうねんは1÷とししゅう視差しさびょう)×3.2615638より計算けいさん
  2. ^ 等級とうきゅう + 5 + 5×log(とししゅう視差しさびょう))より計算けいさん小数しょうすうだい1まで表記ひょうき
  3. ^ 日本にっぽん国内こくないでは「はじめて発見はっけんされた生命せいめい存在そんざいできるとられる地球ちきゅう規模きぼ惑星わくせい」と報道ほうどうしたメディアもあったが[5]実際じっさいにはこのような太陽系たいようけいがい惑星わくせい過去かこにもなん発見はっけんされているので、この表現ひょうげん厳密げんみつにはあやまりである。

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa Gilbert, Emily A.; Barclay, Thomas; Schlieder, Joshua E.; et al. "The First Habitable Zone Earth-sized Planet from TESS. I: Validation of the TOI-700 System". arXiv:2001.00952v1 [astro-ph.EP]。
  2. ^ a b c d e f g h i NASA Planet Hunter Finds its 1st Earth-size Habitable-zone World”. NASA. 2020ねん1がつ7にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p Results for UCAC3 49-21611”. SIMBAD Astronomical Database. CDS. 2019ねん1がつ7にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d Mike Wall (2020ねん1がつ7にち). “NASA's TESS Planet Hunter Finds Its 1st Earth-Size World in 'Habitable Zone'”. Space.com. 2020ねん1がつ7にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c 地球ちきゅうから100光年こうねん生命せいめい存在そんざいしうる惑星わくせいNASAなさ探査たんさ衛星えいせいはつ発見はっけん”. CNN (2020ねん1がつ7にち). 2020ねん1がつ8にち閲覧えつらん
  6. ^ TFOP Overview”. TESS. MIT. 2020ねん1がつ7にち閲覧えつらん
  7. ^ TESS Project Candidates”. NASA. 2021ねん11月20にち閲覧えつらん
  8. ^ a b A Second Earth-Sized Planet in the Habitable Zone of the M Dwarf, TOI-700”. arXiv. 2023ねん1がつ11にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]
  • Rodriguez, Joseph E.; Vanderburg, Andrew; Zieba, Sebastian; et al. "The First Habitable Zone Earth-Sized Planet From TESS II: Spitzer Confirms TOI-700 d". arXiv:2001.00954v1 [astro-ph.EP]。
  • Suissa, Gabrielle; Wolf, Eric T.; Kopparapu, Ravi kumar; et al. "The First Habitable Zone Earth-sized Planet from TESS. III: Climate States and Characterization Prospects for TOI-700 d". arXiv:2001.00955v1 [astro-ph.EP]。