TOI-1452 b

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TOI-1452 b
星座せいざ りゅう[1]
分類ぶんるい 太陽系たいようけいがい惑星わくせい
スーパーアース[1][2]
発見はっけん
発見はっけんねん 2022ねん[3]
発見はっけんしゃ Charles Cadieux et al.[2]
TESS
発見はっけん方法ほうほう トランジットほう[3]
現況げんきょう 確認かくにん[3]
天文学てんもんがくじょう意義いぎ
観測かんそくられたデータから海洋かいよう惑星わくせいである可能かのうせい
しめされた太陽系たいようけいがい惑星わくせい
位置いち
もと:J2000.0[4]
あかけい (RA, αあるふぁ)  19h 20m 41.7258970920s[4]
あかぬき (Dec, δでるた) +73° 11′ 43.537714476″[4]
固有こゆう運動うんどう (μみゅー) あかけい: 7.800 ミリびょう/とし[4]
あかぬき: -74.076 ミリびょう/とし[4]
とししゅう視差しさ (πぱい) 32.7823 ± 0.014ミリびょう[4]
誤差ごさ0%)
距離きょり 99.49 ± 0.04 光年こうねん[ちゅう 1]
(30.5 ± 0.01 パーセク[ちゅう 1]
軌道きどう要素ようそ性質せいしつ
軌道きどうちょう半径はんけい (a) 0.061 ± 0.003 au[2]
(9,125,470 ± 448,794 km
はなれしんりつ (e) 0仮定かてい[2]
公転こうてん周期しゅうき (P) 11.06201 ± 0.00002 [2]
軌道きどう傾斜けいしゃかく (i) 89.77 ± 0.16°[2]
きんてん引数ひきすう (ωおめが) 90°仮定かてい[2]
通過つうか時刻じこく BJD 2,458,691.5321 ± 0.0015[2]
じゅん振幅しんぷく (K) 3.50 ± 0.94 m/s[2]
TOI-1452惑星わくせい
物理ぶつりてき性質せいしつ
直径ちょっけい 21,328 ± 906 km
半径はんけい 1.672 ± 0.071 R[2]
表面積ひょうめんせき 1.426×109 km2
体積たいせき 5.063×1012 km3
質量しつりょう 4.82 ± 1.30 M[2]
平均へいきん密度みつど 5.6+1.8
−1.6
g/cm3[2]
平衡へいこう温度おんど (Teq) 326 ± 7 Kアルベドを0と仮定かてい[2]
298 ± 6 K(アルベドを0.3と仮定かてい[2]
226 ± 5 K(アルベドを0.77と仮定かてい[2]
カタログでの名称めいしょう
TIC 420112589 b
2MASS J19204172+7311434 b
Template (ノート 解説かいせつ■Project

TOI-1452 b は、地球ちきゅうからりゅう方向ほうこうやく100光年こうねんはなれた位置いちにある赤色あかいろ矮星 TOI-1452公転こうてんしている太陽系たいようけいがい惑星わくせいである。

現時点げんじてんでは不明ふめいてんおおいことから、今後こんご詳細しょうさい観測かんそく必要ひつようとされるが、観測かんそくられたデータの解析かいせきから、表面ひょうめん大量たいりょうみず存在そんざいしている海洋かいよう惑星わくせいである可能かのうせいしめされている。

発見はっけん観測かんそく[編集へんしゅう]

TOI-1452 b は、2018ねんげられたTESS観測かんそくデータの解析かいせきから発見はっけんされた。TESSは、惑星わくせい恒星こうせい手前てまえ周期しゅうきてき通過つうか(トランジット)する様子ようす観測かんそくするトランジットほうもちいて太陽系たいようけいがい惑星わくせい発見はっけんしている。以前いぜんから「TIC 420112589」などの名称めいしょう呼称こしょうされていたしゅほしは、2019ねん7がつ18にちから2020ねん7がつ4にちまでのほとんどの期間きかんと、2021ねん6月25にちから8がつ20日はつかまで、12月31にちから2022ねん1がつ27にちまでというかなりなが期間きかんにおいてTESSによる観測かんそく区域くいきない存在そんざいしていた[2]。2019ねん観測かんそく期間きかんられたしゅほし光度こうど曲線きょくせんデータの解析かいせきから周囲しゅうい惑星わくせい存在そんざいする可能かのうせい浮上ふじょうし、同年どうねん10月26にちしゅほしTOI-1452惑星わくせい候補こうほTOI-1452.01 という TESS object of interest (TOI) における名称めいしょう付与ふよされて、TESS Science Office より惑星わくせい候補こうほとして発表はっぴょうされた[2]。そののTESSの観測かんそく期間きかんないで30かい以上いじょう通過つうか確認かくにんされ、モントリオール大学だいがく研究けんきゅうしゃなどによる研究けんきゅうチームにより TOI-1452 b の発見はっけん報告ほうこく論文ろんぶんが2022ねん8がつアストロノミカルジャーナル掲載けいさいされた[2]。また、TESSによる観測かんそくデータのほかにも、カナダにあるモンメガンティク天文台てんもんだいハワイとうにあるすばる望遠鏡ぼうえんきょうなどによる地上ちじょうからのフォローアップ観測かんそくでも TOI-1452 b の存在そんざい確認かくにんされており、日本にっぽん研究けんきゅうチームによる観測かんそくでも TOI-1452 b の存在そんざい確認かくにんされた[2][5]低質ていしつりょう恒星こうせい観測かんそくてきしているカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡ぼうえんきょう搭載とうさいされている近赤外線きんせきがいせん分光ぶんこうへんこうけい SPIRou をもちいた50時間じかん以上いじょうおよ観測かんそくでは、TOI-1452 b の質量しつりょう決定けっていおこなわれた[5]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

おおきさの比較ひかく
地球ちきゅう TOI-1452 b
地球 Exoplanet

TESSによる観測かんそくデータから、TOI-1452 b のおおきさは地球ちきゅうの1.67ばいで、惑星わくせいからの重力じゅうりょく影響えいきょう変化へんかするしゅほし視線しせん速度そくど分析ぶんせきから質量しつりょう地球ちきゅうの4.82ばいとされている。これをもと計算けいさんするとその密度みつどは 5.6 g/cm3 となり、かなり地球ちきゅう(5.515 g/cm3[6])と類似るいじしたになる。密度みつどたかいことから、TOI-1452 b は岩石がんせき構成こうせいされた地球ちきゅうよりも大型おおがた地球ちきゅうがた惑星わくせいであるスーパーアース分類ぶんるいされる[1][2]しゅほしからはわずか 0.061 auやく913まん km)しかはなれておらず、公転こうてん周期しゅうきやく11にちしかないが、しゅほしである TOI-1452 が太陽たいようよりも小型こがた赤色あかいろ矮星であるため、TOI-1452 b がこれほどの至近しきん距離きょり公転こうてんしているにもかかわらず、しゅほしからける放射ほうしゃエネルギーりょう地球ちきゅうの 1.8 ± 0.2 ばいとどまっており[2]、これは金星かなぼし太陽たいようからける放射ほうしゃエネルギーりょう地球ちきゅうやく1.91ばい)と同等どうとうである[1]。そのため、TOI-1452 b は表面ひょうめん液体えきたいみず存在そんざいできる可能かのうせいがあるハビタブルゾーンうち位置いちしており[7]惑星わくせい平衡へいこう温度おんど英語えいごばん大気たいき存在そんざい考慮こうりょしないとき表面ひょうめん温度おんど)は、アルベド反射はんしゃのう)を0と仮定かていすると 326 K(53 )、地球ちきゅうボンドアルベドちかい0.3と仮定かていすると 298 K(25 ℃)と推定すいていされている[2]

海洋かいよう惑星わくせい可能かのうせい[編集へんしゅう]

海洋かいよう惑星わくせい想像そうぞう

TOI-1452 b のおおきさと質量しつりょうから計算けいさんされる密度みつど地球ちきゅうちか数字すうじとなっているが、金属きんぞく岩石がんせきなどで構成こうせいされている通常つうじょう地球ちきゅうがた惑星わくせいであるとするにはかなり密度みつどちいさい計算けいさんになる。そのため、TOI-1452 b の組成そせいには岩石がんせきなどよりも密度みつどちいさい物質ぶっしつ大量たいりょうふくまれている可能かのうせい浮上ふじょうした[2][7]もとめられたおおきさと質量しつりょうから、かんがえられる TOI-1452 b の組成そせいについて以下いかの3とおりが推測すいそくされている[2]

かりに TOI-1452 b が海洋かいよう惑星わくせいである場合ばあいしゅほし組成そせい分析ぶんせきによる惑星わくせい内部ないぶ構造こうぞう制約せいやく条件じょうけんすと惑星わくせい全体ぜんたい質量しつりょうたいして 22+21
−13
 % をみずめている可能かのうせいがある[2]。それにたいして、地球ちきゅうにおけるみず質量しつりょう全体ぜんたいの1%もめておらず、この割合わりあいは、こおり出来でき地殻ちかくしたふか内部ないぶうみつとかんがえられているガニメデタイタンといったいくつかの太陽系たいようけいこおり衛星えいせいちかいとされている[1][5][7][8]。TOI-1452 b が本当ほんとう海洋かいよう惑星わくせいなのかを明確めいかく決定けっていづけるにはこれからのより詳細しょうさい観測かんそく必要ひつようとなるが、これまで発見はっけんされてきた太陽系たいようけいがい惑星わくせいなかではもっと有力ゆうりょく海洋かいよう惑星わくせい候補こうほであると研究けんきゅうチームをひきいた Charles Cadieux はべている[7][8]。TOI-1452 b は2021ねんげられたジェイムズ・ウェッブ宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによる観測かんそくがほぼ年間ねんかんとおしておこなえる方向ほうこう位置いちしており、さらに地球ちきゅうから比較的ひかくてき近距離きんきょりにあることから大気たいき組成そせい仮説かせつ検証けんしょう容易よういおこなえることが期待きたいされている[1][7][8]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ とししゅう視差しさびょう)より計算けいさん光年こうねんは1÷とししゅう視差しさびょう)×3.2615638より計算けいさん

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f Pat Brennan (2022ねん8がつ24にち). “Discovery Alert: Intriguing New ‘Super-Earth' Could Get a Closer Look”. Exoplanet Exploration. NASA. 2022ねん9がつ2にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y Cadieux, Charles; Doyon, René; Plotnykov, Mykhaylo et al. (2022). “TOI-1452 b: SPIRou and TESS Reveal a Super-Earth in a Temperate Orbit Transiting an M4 Dwarf”. The Astronomical Journal 164 (3): 28. arXiv:2208.06333. Bibcode2022AJ....164...96C. doi:10.3847/1538-3881/ac7cea. 96. 
  3. ^ a b c Jean Schneider (2022ねん8がつ15にち). “Planet TOI-1452 b”. The Extrasolar Planet Encyclopaedia. Paris Observatory. 2022ねん9がつ2にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d e f Results for 2MASS J19204172+7311434”. SIMBAD Astronomical Database. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022ねん9がつ2にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c An Extrasolar World Covered in Water?”. www.cfht.hawaii.edu. Canada-France-Hawaii Telescope (2022ねん8がつ24にち). 2022ねん9がつ2にち閲覧えつらん
  6. ^ David R. Williams (2021ねん12月21にち). “Earth Fact Sheet”. nssdc.gsfc.nasa.gov. NASA. 2022ねん8がつ31にち閲覧えつらん
  7. ^ a b c d e Sophie Lewis (2022ねん8がつ26にち). “Astronomers discover potential "water world" exoplanet nearby Earth that could support life”. CBS News. 2022ねん9がつ2にち閲覧えつらん
  8. ^ a b c Natali Anderson (2022ねん8がつ24にち). “Water-World Super-Earth Found in Nearby Binary System”. Sci News. 2022ねん9がつ2にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]