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TOI-712 とは、地球 ちきゅう からかじき座 ざ の方向 ほうこう に約 やく 191光年 こうねん (約 やく 58.6パーセク )離 はな れた位置 いち に存在 そんざい する恒星 こうせい である。TESS によって観測 かんそく されたデータを使用 しよう して、2021年 ねん に周囲 しゅうい を公転 こうてん する3個 こ の太陽系 たいようけい 外 がい 惑星 わくせい が発見 はっけん された。そのうちの1つの惑星 わくせい は、ハビタブルゾーン の内側 うちがわ の縁 えん 付近 ふきん に存在 そんざい している[ 1] 。
TOI-712は比較的 ひかくてき 若 わか い恒星 こうせい であり、その年齢 ねんれい は太陽 たいよう の約 やく 47億 おく 年 ねん と比較 ひかく して、約 やく 5~11億 おく 年 ねん と推定 すいてい されている。質量 しつりょう は太陽 たいよう の0.73倍 ばい 、半径 はんけい は太陽 たいよう の0.67倍 ばい で、有効 ゆうこう 温度 おんど は4622ケルビン のスペクトル分類 ぶんるい がK4.5Vの低温 ていおん の恒星 こうせい である。TOI-712の金属 きんぞく 量 りょう は太陽 たいよう の金属 きんぞく 量 りょう と似 に ており、僅 わず かに低 ひく い(太陽 たいよう の95%)。TIC 150151262 等 ひとし の別名 べつめい も持 も つ[ 1] 。
大 おお きさの比較 ひかく
太陽 たいよう
TOI-712
TOI-712の惑星 わくせい [ 1]
名称 めいしょう (恒星 こうせい に近 ちか い順 じゅん )
質量 しつりょう
軌道 きどう 長 ちょう 半径 はんけい (天文 てんもん 単位 たんい )
公転 こうてん 周期 しゅうき (日 ひ )
軌道 きどう 離 はなれ 心 しん 率 りつ
軌道 きどう 傾斜 けいしゃ 角 かく
半径 はんけい
.05 (候補 こうほ )
—
0.04679+0.00041 −0.0004
4.321298+0.000093 −0.000069
0.0
87.09+1.1 −0.3 °
0.81±0.11 R ⊕
b
5.6+2.0 −1.3 M ⊕
0.07928+0.00096 −0.00091
9.531361+0.000018 −0.000017
0.54+0.26 −0.20
88.22+1.1 −0.53 °
2.049+0.12 −0.080 R ⊕
c
8.7+3.1 −1.9 M ⊕
0.2447+0.0030 −0.0028
51.69906±0.00017
0.089+0.083 −0.056
89.78+0.14 −0.11 °
2.701+0.092 −0.082 R ⊕
d
7.5+2.7 −1.7 M ⊕
0.3405+0.0041 −0.0039
84.83960+0.00043 −0.00040
0.073+0.064 −0.049
89.817+0.11 −0.066 °
2.474+0.090 −0.082 R ⊕
TOI-712には、TESSによるトランジット法 ほう を用 もち いた観測 かんそく で2019年 ねん 5月に「TOI-712.01」「TOI-712.02」「TOI-712.03」の3個 こ の惑星 わくせい 候補 こうほ が存在 そんざい する可能 かのう 性 せい が示 しめ されていた。それぞれの公転 こうてん 周期 しゅうき は約 やく 10日 とおか 、約 やく 51日 にち 、約 やく 54日 にち であるが、2個 こ の惑星 わくせい (TOI-712.02とTOI-712.03)は動的 どうてき に安定 あんてい しないとされていた。その後 ご に行 おこな われたフォローアップ観測 かんそく で、TOI-712.03とその後 ご に惑星 わくせい 候補 こうほ として加 くわ えられていた「TOI-712.04」は公転 こうてん 周期 しゅうき が約 やく 84.8日 にち の惑星 わくせい に対応 たいおう していることが判明 はんめい した。そして、3個 こ の惑星 わくせい の存在 そんざい が確認 かくにん され、2021年 ねん 11月3日 にち にその発見 はっけん を示 しめ す論文 ろんぶん がarXiv に投稿 とうこう された。
発見 はっけん ・確認 かくにん された3個 こ の太陽系 たいようけい 外 がい 惑星 わくせい はどれもミニ・ネプチューン であり、半径 はんけい は地球 ちきゅう の2~2.7倍 ばい 、質量 しつりょう は5.6~8.7倍 ばい である。最 もっと も内側 うちがわ を公転 こうてん する惑星 わくせい TOI-712 b は主 しゅ 星 ほし から約 やく 0.079天文 てんもん 単位 たんい 離 はな れており、公転 こうてん 周期 しゅうき は僅 わず か約 やく 9日間 にちかん である。主 しゅ 星 ほし に非常 ひじょう に近 ちか いため、その平衡 へいこう 温度 おんど は約 やく 650ケルビンと非常 ひじょう に高温 こうおん である。2個 こ 目 め の惑星 わくせい TOI-712 c は主 しゅ 星 ほし からやや離 はな れた位置 いち を公転 こうてん しており、公転 こうてん 周期 しゅうき は約 やく 52日 にち である。その平衡 へいこう 温度 おんど は約 やく 370ケルビンで、すなわち97℃と地球 ちきゅう の気圧 きあつ では水 みず の沸点 ふってん に近 ちか い。
3番目 ばんめ の惑星 わくせい である TOI-712 d は、主 しゅ 星 ほし から約 やく 0.34天文 てんもん 単位 たんい 離 はな れた軌道 きどう を約 やく 85日 にち の公転 こうてん 周期 しゅうき で周回 しゅうかい している。この惑星 わくせい は内側 うちがわ の縁 えん に非常 ひじょう に近 ちか いものの、TOI-712のハビタブルゾーン内 ない にある。TOI-712のハビタブルゾーンは0.339~0.844天文 てんもん 単位 たんい の範囲 はんい であり、公転 こうてん 周期 しゅうき では82.7~325.3日 にち の範囲 はんい となる。その平衡 へいこう 温度 おんど は約 やく 40℃であるが、これは大気 たいき の存在 そんざい によって引 ひ き起 お こされる温室 おんしつ 効果 こうか を考慮 こうりょ していない。この惑星 わくせい はいわゆる「Venus Zone」に位置 いち しており、その領域 りょういき では金星 かなぼし のように暴走 ぼうそう 温室 おんしつ 効果 こうか が発生 はっせい する可能 かのう 性 せい が非常 ひじょう に高 たか い、非常 ひじょう に楽観 らっかん 的 てき なハビタブルゾーンである。実際 じっさい に、金星 きんぼし の平衡 へいこう 温度 おんど は地球 ちきゅう の平衡 へいこう 温度 おんど より低 ひく い(地球 ちきゅう の255ケルビンに対 たい して227ケルビン)にもかかわらず、表面 ひょうめん 温度 おんど は737ケルビン(464℃)となっている[ 2] 。
この惑星 わくせい は、そのような若 わか い惑星 わくせい 系 けい のハビタブルゾーン内 ない で発見 はっけん された最初 さいしょ の太陽系 たいようけい 外 がい 惑星 わくせい であり、TOI-712 cと共 とも に、主 しゅ 星 ほし からある程度 ていど 離 はな れた位置 いち を公転 こうてん しているミニ・ネプチューンの稀 まれ な例 れい である。若 わか い惑星 わくせい 系 けい に関 かん する過去 かこ の研究 けんきゅう は、そうでない惑星 わくせい 系 けい と比較 ひかく して、おそらくまだ不十分 ふじゅうぶん な大気 たいき 散逸 さんいつ のために、若 わか い恒星 こうせい の周囲 しゅうい に存在 そんざい する惑星 わくせい の半径 はんけい が大 おお きく見 み えることを示唆 しさ している。時間 じかん の経過 けいか とともに、水素 すいそ やヘリウム といった揮発 きはつ 性 せい 元素 げんそ が宇宙 うちゅう 空間 くうかん に分散 ぶんさん する。しかし、TOI-712の惑星 わくせい は、同 おな じように若 わか い惑星 わくせい 系 けい で見 み られるものと比較 ひかく して比較的 ひかくてき 小 ちい さく見 み え、それらが実際 じっさい にこのように形成 けいせい されたのか、それとも既 すで にかなりの大気 たいき 散逸 さんいつ を受 う けているのかは不明 ふめい である。この研究 けんきゅう の著者 ちょしゃ は、恒星 こうせい の年齢 ねんれい が実際 じっさい に10億 おく 年 ねん 未満 みまん であった場合 ばあい 、惑星 わくせい はまだ大気 たいき 質量 しつりょう の大 おお きな損失 そんしつ を被 こうむ っていないと考 かんが えており、それらの特性 とくせい はまだ派生 はせい したものである[ 1] 。
TOI-712 bは、地球 ちきゅう の約 やく 2倍 ばい の大 おお きさを持 も ち、スーパー・アース とミニ・ネプチューン を区別 くべつ する境界 きょうかい を僅 わず かに超 こ えており、恒星 こうせい の放射 ほうしゃ に最 もっと もさらされているため、大気 たいき 散逸 さんいつ が発生 はっせい すると、将来 しょうらい 地球 ちきゅう 型 がた 惑星 わくせい になる可能 かのう 性 せい が最 もっと も高 たか くなる[ 1] 。
また、それら3個 こ の惑星 わくせい 以外 いがい に別 べつ の太陽系 たいようけい 外 がい 惑星 わくせい 候補 こうほ が発見 はっけん され、「TOI-712.05 」と指定 してい された。TOI-712.05は、地球 ちきゅう の約 やく 0.81倍 ばい の半径 はんけい を持 も ち、TOI-712 bよりも内側 うちがわ に位置 いち する地球 ちきゅう 型 がた 惑星 わくせい である。公転 こうてん 周期 しゅうき は4.2日 にち であるが、恒星 こうせい の活動 かつどう に由来 ゆらい する不 ふ 確実 かくじつ 性 せい のため、まだ確認 かくにん されていない。今後 こんご のTESSの観測 かんそく で、TOI-712.05が実際 じっさい に存在 そんざい するか否 ひ かを判断 はんだん できる可能 かのう 性 せい がある[ 1] 。
TOI-712系 けい は、長 ちょう 周期 しゅうき の惑星 わくせい を持 も つ惑星 わくせい 系 けい の中 なか では最 もっと も明 あか るいものの1つである。長 ちょう 周期 しゅうき の惑星 わくせい が発見 はっけん されている惑星 わくせい 系 けい は少 すく なく、長 ちょう 周期 しゅうき の惑星 わくせい が存在 そんざい する惑星 わくせい 系 けい はほとんどがケプラー宇宙 うちゅう 望遠鏡 ぼうえんきょう によって発見 はっけん された暗 くら い恒星 こうせい の惑星 わくせい 系 けい である。また、小 ちい さな惑星 わくせい によって構成 こうせい されている惑星 わくせい 系 けい はそれぞれの惑星 わくせい が互 たが いに近 ちか い距離 きょり を公転 こうてん する傾向 けいこう があるため、TOI-712 bとTOI-712 cの間 あいだ に未知 みち の惑星 わくせい が存在 そんざい する可能 かのう 性 せい もある[ 1] 。
^ a b パーセクは1 ÷ 年 とし 周 しゅう 視差 しさ (秒 びょう )より計算 けいさん 、光年 こうねん は1÷年 とし 周 しゅう 視差 しさ (秒 びょう )×3.2615638より計算 けいさん
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