ダメ

ダメ（駄目だめ、だめ）は、囲碁いご用語ようごのひとつ。

主おもに以下いかの二ふたつの意味いみで用もちいられる。

1. どちらから着手ちゃくしゅしても1目もくにもならない、価値かちのない着ちゃく点てん。
2. 石いしが取とられるまでに必要ひつような手数てかずのこと。「呼吸こきゅう点てん」とも言いう。

また、上記じょうきの 1. の意味いみから転てんじて、「効果こうかがない」「役立やくだたない」などを意味いみする日常にちじょう用語ようごとしても使用しようされる。囲碁いご用語ようごとしてはもっぱら片仮名かたかな（もしくは漢字かんじ）で記載きさいされるが、日常にちじょう用語ようごとしては平仮名ひらがな、片仮名かたかな、漢字かんじいずれの表記ひょうきも見みられる。

価値かちのない場所ばしょ

どちらの地ちでもない着ちゃく点てんで、終局しゅうきょく前まえにここへ打うったとしても、1目もくの価値かちをも有ゆうしていない点てん。例たとえば下したのような終局しゅうきょく図ずがあった場合ばあい、aの点てんが「ダメ」となる。終局しゅうきょくの際さいは、このダメを交互こうごに全すべて埋うめる。その後ご死活しかつの認識にんしきに双方そうほうの不一致ふいっちが無なければ整地せいちの作業さぎょうに移うつり、勝敗しょうはいが決定けっていされる。

ダメを埋うめる作業さぎょうは「ダメ詰づめ」あるいは「ダメ押だめおし」と言いう。「ダメ押だめおし」は、「念ねんのためにダメを押おして勝敗しょうはいを確認かくにんする作業さぎょう」から転てんじ、「既すでに勝負しょうぶが決きまっている時ときに、さらに勝負しょうぶを確実かくじつにするために念ねんを押おすこと」を意味いみする日常にちじょう語ごとしても用もちいられる。

なお、かつてはダメ詰づめは終局しゅうきょく後ごに行おこなわれるものであったが、1989年ねん改定かいてい後ごの日本にっぽんルールでは、ダメ詰づめの完了かんりょうをもって終局しゅうきょくとなるようにルールが改定かいていされた。ダメ詰づめを終おえる前まえに「終おわりですね」などと口くちにして双方そうほうが終局しゅうきょくに合意ごういするのは、「仮かり終局しゅうきょく」として区別くべつされる。

この仮かり終局しゅうきょくをめぐって議論ぎろんとなったのが、2002年ねんの棋聖きせい戦せん七なな番ばん勝負しょうぶ第だい5局きょくである。ダメ詰づめの最中さいちゅうの着手ちゃくしゅが有効ゆうこうであるかが問題もんだいとなり、ビデオ判定はんていの末すえに仮かり終局しゅうきょくの合意ごういは成立せいりつしていないことが確認かくにんされ、対局たいきょく再開さいかい後ごに柳やなぎ時じ熏が投了とうりょうし終局しゅうきょくとなった。この騒動そうどう以降いこう、日本にっぽんのプロ棋戦きせんでは、ダメ詰づめに入はいっても何なにも言いわずに双方そうほうが最後さいごまでダメを詰つめ切きるようになったという。詳細しょうさいは柳やなぎ時じ熏#2002年ねん棋聖きせい戦せん第だい5局きょくを参照さんしょう。

関連かんれんする用語ようご

どちらから打うってもほとんど地ちが増ふえないような、価値かちの低ひくい場所ばしょのことは「ダメ場じょう」と呼よばれる。自分じぶんがダメ場じょうに打うたされるのを避さけ、相手あいてにダメ場じょうを打うたせるように仕向しむけるのは囲碁いごの戦術せんじゅつの一ひとつである。

石いしの呼吸こきゅう点てん

ある石いしに隣接りんせつした空そら点てんのこと。この点てん（呼吸こきゅう点てん）が全すべて埋うまる、すなわちダメが全すべて詰つまった石いしは相手あいてに取とられる（囲碁いごのルール参照さんしょう）。

例たとえば、下図したずの左上ひだりうえの黒石くろいしは、周囲しゅういの4点てんを白しろに囲かこまれると打うち抜ぬかれる。この場合ばあい「黒くろにはダメが4つ空あいている」というい方いかたをする。

右みぎ上じょうの黒石くろいしは3子しが繋つながっており、ダメは6つである。

左下ひだりしたの黒石くろいしは2子しが繋つながっているが、周囲しゅういに白石しらいしが位置いちしており、ダメは1つしか空あいていない。白しろにaと打うたれると左下ひだりしたの黒石くろいしは2子しとも取とられる。このように、ダメが1つしか空あいていない石いしのことを「アタリ」と言いう。

ダメがいくつ空あいているかは、攻せめ合あいが発生はっせいした時ときなどに重要じゅうようになる。

また、ダメが多おおく詰つまると様々さまざまな面めんで不利益ふりえきを生しょうじることがあるため、一般いっぱんになるべく無駄むだなダメは詰つめない方ほうがよいとされる。この不利益ふりえきを生しょうじる状態じょうたいは「ダメヅマリ」と呼よばれる。