心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 学 がく (しんぞうけっかんげかがく、英語 えいご :cardiovascular surgery)とは、心臓 しんぞう や血管 けっかん などを中心 ちゅうしん に扱 あつか う外科 げか 学 がく の一 いち 分野 ぶんや である。
欧米 おうべい では一般 いっぱん に、心臓 しんぞう 疾患 しっかん を扱 あつか う「心臓 しんぞう 外科 げか 学 がく (cardiac surgery )」と血管 けっかん 疾患 しっかん を扱 あつか う「血管 けっかん 外科 げか 学 がく (vascular surgery )」という2つの分野 ぶんや に分 わ かれている。しかし日本 にっぽん では多 おお くの場合 ばあい 、心臓 しんぞう 、大 だい 血管 けっかん 、末梢 まっしょう 血管 けっかん を含 ふく めて循環 じゅんかん 器 き 系統 けいとう の疾患 しっかん を対象 たいしょう する統合 とうごう された外科 げか 学 がく 領域 りょういき として心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 学 がく としている。また、共 とも に胸部 きょうぶ の臓器 ぞうき を扱 あつか う心臓 しんぞう 外科 げか 学 がく と呼吸 こきゅう 器 き 外科 げか 学 がく を合 あ わせて胸部 きょうぶ 外科 げか 学 がく または胸部 きょうぶ 心臓 しんぞう 外科 げか 学 がく としていることもある。また、診療 しんりょう 科 か としては同 おな じ循環 じゅんかん 器 き 系統 けいとう の疾患 しっかん を扱 あつか う循環 じゅんかん 器 き 内科 ないか と共 とも に循環 じゅんかん 器 き センターを設置 せっち している施設 しせつ もある[1] 。
心 こころ 膜 まく に対 たい する最初 さいしょ 期 き の手術 しゅじゅつ としては、19世紀 せいき にフランシスコ・ロメロ (英語 えいご 版 ばん ) 、ドミニク=ジャン・ラレー (英語 えいご 版 ばん ) 、ヘンリー・ダルトン (英語 えいご 版 ばん ) 、ダニエル・ヘイル・ウィリアムズ (英語 えいご 版 ばん ) らによって行 おこな われた心 こころ 膜 まく 縫合 ほうごう 術 じゅつ がある[2] [3] 。また心臓 しんぞう そのものに対 たい する最初 さいしょ の手術 しゅじゅつ は、1895年 ねん 9月 がつ 4日 にち にノルウェー の外科 げか 医 い であるアクセル・カペレン (英語 えいご 版 ばん ) によってクリスチャニア(現在 げんざい のオスロ )で行 おこな われ、左 ひだり の腋窩 えきか を刺 さ され重度 じゅうど のショック に陥 おちい った24歳 さい の男性 だんせい に対 たい して、左 ひだり 開 ひらき 胸 むね で出血 しゅっけつ している冠動脈 かんどうみゃく を結紮 けっさつ した。男性 だんせい は覚醒 かくせい し、術後 じゅつご 24時 じ 間 あいだ は経過 けいか 良好 りょうこう であったが、最終 さいしゅう 的 てき には術後 じゅつご 第 だい 3病 びょう 日 び に縦 たて 隔 へだた 炎 ほのお で死亡 しぼう した[4] [5] 。
合併症 がっぺいしょう 無 な く成功裏 せいこうり に行 おこな われた最初 さいしょ の心臓 しんぞう 手術 しゅじゅつ は、1896年 ねん 9月 がつ 7日 にち にドイツ ・フランクフルト の外科 げか 医 い であるルートヴィッヒ・レーン (英語 えいご 版 ばん ) によって行 おこな われた右 みぎ 室 しつ 刺 とげ 創 そう の修復 しゅうふく 術 じゅつ である[6] [7] 。
大動脈 だいどうみゃく に対 たい する手術 しゅじゅつ (大動脈 だいどうみゃく 縮 ちぢみ 窄症修復 しゅうふく 術 じゅつ 、ブラロック・タウジッヒシャント 作成 さくせい 術 じゅつ 、動脈 どうみゃく 管 かん 閉鎖 へいさ 術 じゅつ )は、厳密 げんみつ には心臓 しんぞう 自体 じたい に対 たい する手術 しゅじゅつ ではないが、20世紀 せいき 以降 いこう より心臓 しんぞう 外科 げか 領域 りょういき の手術 しゅじゅつ として一般 いっぱん 的 てき になった。
第 だい 二 に 次 じ 大戦 たいせん 後 ご より、患者 かんじゃ の心臓 しんぞう を切開 せっかい し直視 ちょくし 下 か に心臓 しんぞう の内部 ないぶ に対 たい して手術 しゅじゅつ 操作 そうさ を行 おこな う開 ひらき 心術 しんじゅつ が発展 はってん していった。トロント大学 だいがく の心臓 しんぞう 外科医 げかい ウィルフレッド・G・ビゲロー (英語 えいご 版 ばん ) が1950年 ねん に発表 はっぴょう した全身 ぜんしん 低 てい 体温 たいおん 法 ほう [8] をもとに、1952年 ねん にF・ジョン・ルイス (英語 えいご 版 ばん ) らが世界 せかい 初 はつ の開 ひらき 心術 しんじゅつ として心房 しんぼう 中 ちゅう 隔 へだた 欠損 けっそん 症 しょう 閉鎖 へいさ 術 じゅつ を行 おこな った[9] 。
当時 とうじ の低 てい 体温 たいおん 法 ほう を用 もち いた手術 しゅじゅつ では、時間 じかん を要 よう する複雑 ふくざつ な心 しん 内 ない 修復 しゅうふく 術 じゅつ の場合 ばあい 、全身 ぜんしん の諸 しょ 臓器 ぞうき 、特 とく に虚 きょ 血 ち による低 てい 酸素 さんそ に弱 よわ い脳 のう への血液 けつえき 灌流が不足 ふそく するため、その点 てん において限界 げんかい があった。そのため患者 かんじゃ の心肺 しんぱい 機能 きのう を人工 じんこう 的 てき に代替 だいたい する手法 しゅほう が望 のぞ まれていたが、1953年 ねん にジェファーソン医科 いか 大学 だいがく の外科医 げかい ジョン・ヘイシャム・ギボン により、最初 さいしょ の人工 じんこう 心肺 しんぱい を用 もち いた体外 たいがい 循環 じゅんかん による開 ひらき 心術 しんじゅつ が行 おこな われた。しかしながら、その後 ご に続 つづ く人工 じんこう 心肺 しんぱい による手術 しゅじゅつ 成績 せいせき は芳 かんば しいものではなかった。1954年 ねん にC・ウォルトン・リレヘイ (英語 えいご 版 ばん ) により、患者 かんじゃ の父親 ちちおや または母親 ははおや を「人工 じんこう 心肺 しんぱい 」として使 つか う交叉 こうさ 循環 じゅんかん 法 ほう (cross circulation)が発表 はっぴょう され[10] 、人工 じんこう 心肺 しんぱい 装置 そうち による体外 たいがい 循環 じゅんかん 法 ほう は一時 いちじ 断念 だんねん されたが、その後 ご メイヨー・クリニック のジョン・カークリン (英語 えいご 版 ばん ) らによりギボン型 がた の人工 じんこう 心肺 しんぱい が改良 かいりょう されて良好 りょうこう な手術 しゅじゅつ 成績 せいせき をおさめたことにより、以後 いご 人工 じんこう 心肺 しんぱい は世界中 せかいじゅう の心臓 しんぞう 外科 げか 手術 しゅじゅつ で幅広 はばひろ く使用 しよう されるようになった。
1990年代 ねんだい より、人工 じんこう 心肺 しんぱい を使用 しよう せずに行 おこな う冠動脈 かんどうみゃく バイパス術 じゅつ (CABG)である、人工 じんこう 心肺 しんぱい 非 ひ 使用 しよう 冠動脈 かんどうみゃく バイパス術 じゅつ (OPCAB: off-pump CABG )が行 おこな われるようになった。この場合 ばあい 心臓 しんぞう は拍 はく 動 どう させたままで、スタビライザーを使用 しよう してターゲットとなる冠動脈 かんどうみゃく の周囲 しゅうい を固定 こてい することにより静止 せいし 状態 じょうたい に近 ちか い術 じゅつ 野 の でグラフトを吻合 ふんごう することが可能 かのう となる。
血管 けっかん 外科 げか は血管 けっかん (動脈 どうみゃく ・静脈 じょうみゃく )の疾患 しっかん に対 たい する外科 げか 的 てき 治療 ちりょう を行 おこな う専門 せんもん 領域 りょういき であり、欧米 おうべい などでは加 くわ えて血管 けっかん 内 ない 治療 ちりょう も含 ふく まれることがある。血管 けっかん 外科 げか は一般 いっぱん 外科 げか や心臓 しんぞう 外科 げか 、および画像 がぞう 下 か 治療 ちりょう による低 てい 侵 おかせ 襲 かさね 治療 ちりょう の技術 ぎじゅつ を基礎 きそ にして発展 はってん してきた。
アレクシス・カレル は血管 けっかん 吻合 ふんごう 法 ほう の基礎 きそ を確立 かくりつ し、血管 けっかん 外科 げか の研究 けんきゅう に多 おお くの業績 ぎょうせき を残 のこ した[11] 。その他 た この領域 りょういき における先駆 せんく 者 しゃ として、初期 しょき の外科 げか 的 てき 技術 ぎじゅつ を考案 こうあん したロシア の外科 げか 医 い であるニコライ・コロトコフ 、低 てい 侵 おかせ 襲 かさね 血管 けっかん 形成 けいせい 術 じゅつ を開発 かいはつ したアメリカ のチャールズ・ドッター (英語 えいご 版 ばん ) 、そして血管 けっかん 外科 げか の専門 せんもん 領域 りょういき としての認知 にんち 度 ど の確立 かくりつ に尽力 じんりょく したオーストラリア のロバート・パトン(Robert Paton)らが挙 あ げられる。
血管 けっかん 外科医 げかい の扱 あつか う対象 たいしょう は心臓 しんぞう ・脳 のう を除 のぞ く体 からだ の全 すべ ての部位 ぶい の血管 けっかん に及 およ ぶ。心臓 しんぞう および胸部 きょうぶ 大動脈 だいどうみゃく までは心臓 しんぞう 外科医 げかい の扱 あつか う領域 りょういき である[注釈 ちゅうしゃく 1] 。また脳 のう 動脈 どうみゃく 瘤 こぶ など脳 のう 血管 けっかん 疾患 しっかん に関 かん しては脳神経 のうしんけい 外科 げか の扱 あつか う領域 りょういき である。
心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 学 がく 領域 りょういき で行 おこな われる代表 だいひょう 的 てき な手術 しゅじゅつ 術 じゅつ 式 しき は以下 いか の通 とお り。
開 ひらき 心術 しんじゅつ
非 ひ 開 ひらき 心術 しんじゅつ
大動脈 だいどうみゃく 人工 じんこう 血管 けっかん 置換 ちかん 術 じゅつ
胸部 きょうぶ 大動脈 だいどうみゃく 置換 ちかん 術 じゅつ (上 うえ 行 こう 大動脈 だいどうみゃく ・弓 ゆみ 部 ぶ 大動脈 だいどうみゃく ・下 した 行 ぎょう 大動脈 だいどうみゃく )
腹部 ふくぶ 大動脈 だいどうみゃく 置換 ちかん 術 じゅつ
胸 むね 腹部 ふくぶ 大動脈 だいどうみゃく 置換 ちかん 術 じゅつ
ステントグラフト内 ない 挿術(EVAR (英語 えいご 版 ばん ) ・TEVAR)
大動脈 だいどうみゃく 基部 きぶ 置換 ちかん 術 じゅつ
末梢 まっしょう 動脈 どうみゃく 血行 けっこう 再建 さいけん 術 じゅつ
解剖 かいぼう 学 がく 的 てき バイパス術 じゅつ
非 ひ 解剖 かいぼう 学 がく 的 てき バイパス術 じゅつ
大腿 だいたい 動脈 どうみゃく -大腿 だいたい 動脈 どうみゃく バイパス(F-F bypass)
腋窩 えきか 動脈 どうみゃく -大腿 だいたい 動脈 どうみゃく バイパス(Ax-F bypass)
末梢 まっしょう 静脈 じょうみゃく 血行 けっこう 再建 さいけん 術 じゅつ
静脈 じょうみゃく ストリッピング(英語 えいご 版 ばん )
静脈 じょうみゃく 血栓 けっせん 摘除 てきじょ 術 じゅつ
内 うち シャント作成 さくせい 術 じゅつ
心臓 しんぞう 外科 げか 手術 しゅじゅつ は、開 ひらき 心術 しんじゅつ と非 ひ 開 ひらき 心術 しんじゅつ に大 おお きく分類 ぶんるい される。開 ひらき 心術 しんじゅつ は人工 じんこう 心肺 しんぱい を使用 しよう して体外 たいがい 循環 じゅんかん を行 おこな いながら心臓 しんぞう を直接 ちょくせつ 切開 せっかい して行 おこな う手術 しゅじゅつ であり、通常 つうじょう は心 しん 停止 ていし 下 か に心臓 しんぞう 内部 ないぶ の手術 しゅじゅつ 操作 そうさ を行 おこな う。一方 いっぽう 、非 ひ 開 ひらき 心術 しんじゅつ は人工 じんこう 心肺 しんぱい を使用 しよう せず、心拍 しんぱく 動 どう 下 か に手術 しゅじゅつ を行 おこな う方法 ほうほう である。
開 ひらき 心術 しんじゅつ の詳細 しょうさい については同 どう 項目 こうもく を参照 さんしょう 。
本 ほん 項目 こうもく では一般 いっぱん 的 てき な外科 げか 系 けい 手術 しゅじゅつ の周 しゅう 術 じゅつ 期 き 管理 かんり と比較 ひかく して、心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 手術 しゅじゅつ において特 とく に留意 りゅうい すべき点 てん を中心 ちゅうしん に述 の べる[12] 。
冠動脈 かんどうみゃく バイパス術 じゅつ で体外 たいがい 循環 じゅんかん を使用 しよう しない予定 よてい の場合 ばあい なども含 ふく めて、常 つね に体外 たいがい 循環 じゅんかん を用 もち いるという想定 そうてい のもとに術 じゅつ 前 ぜん 検査 けんさ を行 おこな う必要 ひつよう がある。具体 ぐたい 的 てき には以下 いか の様 よう な項目 こうもく を中心 ちゅうしん に術 じゅつ 前 ぜん 検査 けんさ を行 おこな うが、ヘマトクリット や血小板 けっしょうばん の値 ね によって輸血 ゆけつ 準備 じゅんび の量 りょう を検討 けんとう する。そして心 こころ 機能 きのう ・呼吸 こきゅう 機能 きのう とともに、肝 きも 機能 きのう ・腎 じん 機能 きのう の評価 ひょうか も行 おこな い、臓器 ぞうき 不全 ふぜん のリスクを評価 ひょうか する。大動脈 だいどうみゃく 遮断 しゃだん 予定 よてい 部位 ぶい や送 おく 脱 だつ 血管 けっかん 挿入 そうにゅう 予定 よてい 部位 ぶい の血管 けっかん の石灰 せっかい 化 か 、血管 けっかん 径 みち の確認 かくにん も必須 ひっす である。
一般 いっぱん 検査 けんさ : 血 ち 算 さん ,生化学 せいかがく ,凝固 ぎょうこ 機能 きのう ,動脈血 どうみゃくけつ ガス分析 ぶんせき ,等 とう
心 しん 機能 きのう ・循環 じゅんかん 動態 どうたい の評価 ひょうか : 胸部 きょうぶ X線 せん 検査 けんさ ,心電図 しんでんず ,心臓 しんぞう 超 ちょう 音波 おんぱ 検査 けんさ ,心臓 しんぞう カテーテル検査 けんさ (冠動脈 かんどうみゃく 造影 ぞうえい ,左 ひだり 室 しつ 造影 ぞうえい ,等 とう ),心筋 しんきん シンチグラフィー
中枢 ちゅうすう 神経 しんけい 系 けい の評価 ひょうか : 頭部 とうぶ CT ,頚部 けいぶ 血管 けっかん エコー ,頭 とう 頸部MRA
大動脈 だいどうみゃく 遮断 しゃだん 部位 ぶい ,送 おく 脱 だつ 血 ち 部位 ぶい の評価 ひょうか ,: 胸 むね 腹部 ふくぶ CT
心臓 しんぞう 手術 しゅじゅつ の術中 じゅっちゅう 管理 かんり は循環 じゅんかん 器 き 系 けい ・呼吸 こきゅう 器 き 系 けい の管理 かんり が中心 ちゅうしん となる。術中 じゅっちゅう に必要 ひつよう なモニターのうち代表 だいひょう 的 てき なものを下 した に記 しる す。体 からだ 血圧 けつあつ は撓 たわわ 骨 こつ 動脈 どうみゃく 圧 あつ をモニターすることが多 おお いが、その他 た 大腿 だいたい 動脈 どうみゃく 圧 あつ なども使用 しよう される[注釈 ちゅうしゃく 2] 。動脈 どうみゃく 圧 あつ ラインからは適宜 てきぎ 動脈血 どうみゃくけつ ガス分析 ぶんせき を行 おこな う。肺 はい 動脈 どうみゃく カテーテル (スワンガンツカテーテル®)心拍 しんぱく 出 で 量 りょう 、肺 はい 動脈 どうみゃく 圧 あつ など様々 さまざま なパラメーターを測定 そくてい 出来 でき る。パルスオキシメーター により酸素 さんそ 飽和 ほうわ 度 ど の変化 へんか を迅速 じんそく に知 し ることが出来 でき る。経 けい 食道 しょくどう 心 しん エコーは術中 じゅっちゅう の心 しん 機能 きのう の評価 ひょうか 、体外 たいがい 循環 じゅんかん 離脱 りだつ 時 じ の心 しん 腔内の空気 くうき の有無 うむ の評価 ひょうか などに用 もち いる。ダイレクトエコーは上 うえ 行 ぎょう 大動脈 だいどうみゃく の送 おく 血管 けっかん の位置 いち や遮断 しゃだん が可能 かのう かどうかの検討 けんとう のために術 じゅつ 者 しゃ が術 じゅつ 野 の で直接 ちょくせつ 施行 しこう する。ダイレクトエコー以外 いがい のモニター・検査 けんさ は麻酔 ますい 科 か 医 い が行 おこな うが、術中 じゅっちゅう の術 じゅつ 者 しゃ との密 みつ な意思 いし 疎通 そつう に基 もと づいた管理 かんり が重要 じゅうよう である。
術中 じゅっちゅう に必要 ひつよう なモニター・検査 けんさ
心電図 しんでんず
血圧 けつあつ : 非 ひ 侵 おかせ 襲 かさね 的 てき 血圧 けつあつ 測定 そくてい (NIBP),観 かん 血 ち 的 てき 動脈 どうみゃく 圧 あつ 測定 そくてい (ABP)
スワンガンツカテーテル: 心拍 しんぱく 出 で 量 りょう (CO),中心 ちゅうしん 静脈 じょうみゃく 圧 あつ (CVP),肺 はい 動脈 どうみゃく 圧 あつ (PAP),右 みぎ 房 ぼう 圧 あつ (RAP),肺 はい 動脈 どうみゃく 楔 くさび 入 にゅう 圧 あつ (PCWP),混合 こんごう 静脈 じょうみゃく 血 ち 酸素 さんそ 飽和 ほうわ 度 ど (SvO2),等 とう
経 けい 皮 がわ 酸素 さんそ 飽和 ほうわ 度 ど (SpO2)
経 けい 食道 しょくどう 心 しん エコー
深部 しんぶ 体温 たいおん : 直腸 ちょくちょう 温 あつし ,膀胱 ぼうこう 温 ぬる
ダイレクトエコー(術 じゅつ 者 しゃ が行 おこな う)
術後 じゅつご のICU ないしCCUでの代表 だいひょう 的 てき なモニタリング項目 こうもく は下 した に記 しる した通 とお りで、概 おおむ ね手術 しゅじゅつ 室 しつ と同様 どうよう である。術 じゅつ 直後 ちょくご 数 すう 時 じ 間 あいだ から1~2日 にち の間 あいだ は呼吸 こきゅう 循環 じゅんかん 動態 どうたい が不安定 ふあんてい になりやすいため、変化 へんか に即応 そくおう した厳密 げんみつ な管理 かんり が必要 ひつよう である。また、深 ふか 鎮静 ちんせい ・挿管 下 した に手術 しゅじゅつ 室 しつ からICUに入室 にゅうしつ するか、手術 しゅじゅつ 室 しつ で覚醒 かくせい ・抜管してからICUに入室 にゅうしつ するかで管理 かんり は大 おお きく変 か わる。前者 ぜんしゃ の場合 ばあい は鎮静 ちんせい 剤 ざい や麻薬 まやく を用 もち いて人工 じんこう 呼吸 こきゅう 管理 かんり を行 おこな い、覚醒 かくせい のタイミングを図 はか ることになる。
術後 じゅつご の呼吸 こきゅう ・循環 じゅんかん 系 けい モニター
心電図 しんでんず モニター
血圧 けつあつ : NIBP,ABP,CVP
スワンガンツカテーテル
SpO2
深部 しんぶ 体温 たいおん
人工 じんこう 心肺 しんぱい を使用 しよう した開 ひらく 心術 しんじゅつ における術中 じゅっちゅう ・術後 じゅつご には全体 ぜんたい の水分 すいぶん 量 りょう は著 ちょ 明 あかり に増加 ぞうか していることが多 おお く、また抗 こう 利尿 りにょう ホルモン の活性 かっせい 化 か や副腎 ふくじん 皮質 ひしつ ホルモン の分泌 ぶんぴつ 増加 ぞうか などの影響 えいきょう でナトリウム の貯留 ちょりゅう とカリウム の喪失 そうしつ が起 お こるため、術後 じゅつご 早期 そうき は特 とく に水分 すいぶん 管理 かんり ・カリウムの管理 かんり が重要 じゅうよう であり、前 ぜん 負荷 ふか の軽減 けいげん のために一般 いっぱん 的 てき にはマイナスバランスを保 たも つ必要 ひつよう がある。上記 じょうき のモニタリング項目 こうもく を参考 さんこう にしながら、輸液、輸血 ゆけつ 、強心剤 きょうしんざい の調整 ちょうせい する。
スワンガンツカテーテルにより測定 そくてい した心 こころ 係数 けいすう (CI)の低下 ていか は低 てい 心拍 しんぱく 出 で 量 りょう 症候群 しょうこうぐん (英 えい : Low cardiac output syndrome 、LOS )を示 しめ す重要 じゅうよう な所見 しょけん である。LOSの徴候 ちょうこう を認 みと める場合 ばあい 、まずは出血 しゅっけつ などの手術 しゅじゅつ による合併症 がっぺいしょう に対 たい して対処 たいしょ を行 おこな う。また術 じゅつ 前 まえ より使用 しよう しているβ べーた ブロッカー の影響 えいきょう や内因 ないいん 性 せい 因子 いんし で徐 じょ 脈 みゃく になることもあり、必要 ひつよう に応 おう じて心房 しんぼう ペーシング や心室 しんしつ ペーシングで管理 かんり する。低 てい 血圧 けつあつ 時 とき にはPCWPが低 ひく ければ容量 ようりょう 負荷 ふか を行 おこな い、高 たか ければドパミン などのカテコラミン を使用 しよう し(場合 ばあい によりドブタミン やアドレナリン も考慮 こうりょ する)、血圧 けつあつ が上昇 じょうしょう し始 はじ めたら少量 しょうりょう の血管 けっかん 拡張 かくちょう 薬 やく を使用 しよう する。正常 せいじょう 血圧 けつあつ でPCWP、PAP、RAPが高 たか い時 とき はニトログリセリン やミルリノン などの血管 けっかん 拡張 かくちょう 薬 やく を使用 しよう する。
心臓 しんぞう 外科 げか 手術 しゅじゅつ を受 う ける患者 かんじゃ は術 じゅつ 前 まえ に抗 こう 凝固 ぎょうこ 療法 りょうほう を受 う けていることが多 おお く、また体外 たいがい 循環 じゅんかん を用 もち いる手術 しゅじゅつ が多 おお いため、術後 じゅつご の凝固 ぎょうこ 機能 きのう に異常 いじょう が見 み られることがある。ヘパリン の影響 えいきょう による凝固 ぎょうこ 機能 きのう 異常 いじょう に対 たい してはプロタミン で対処 たいしょ し、血小板 けっしょうばん 減少 げんしょう に対 たい しては必要 ひつよう に応 おう じ血小板 けっしょうばん 輸血 ゆけつ を行 おこな う。ドレーンからの出血 しゅっけつ 量 りょう によっては止血 しけつ 再開 さいかい 胸 むね を考慮 こうりょ する必要 ひつよう がある。逆 ぎゃく にドレーンの排 はい 液 えき が少 すく ない時 とき でも凝血 ぎょうけつ 塊 かたまり でドレーンが閉塞 へいそく して心 こころ タンポナーデ に陥 おちい ることがあり、頻 しき 脈 みゃく ・低 てい 血圧 けつあつ ・SvO2の低下 ていか などが見 み られタンポナーデと判断 はんだん されたら躊躇 ちゅうちょ せず速 すみ やかに再開 さいかい 胸 むね 止血 しけつ 術 じゅつ を行 おこな う。
術後 じゅつご に心 しん 機能 きのう の抑制 よくせい が見 み られる時 とき には心臓 しんぞう の収縮 しゅうしゅく 力 りょく を高 たか めるために各種 かくしゅ の循環 じゅんかん 作動 さどう 薬 やく を使用 しよう する。カテコラミンにはアドレナリン ・ノルアドレナリン ・ドパミン ・ドブタミン 等 ひとし 、また非 ひ カテコラミンではカルシウム 製剤 せいざい ・ジゴキシン ・アムリノン ・ミルリノン等 とう があり、これらを状況 じょうきょう に応 おう じ使用 しよう する。薬剤 やくざい を使用 しよう してもCI 2.0L/min/m2 以下 いか が持続 じぞく する時 とき には大動脈 だいどうみゃく 内 ない バルーンパンピング を使用 しよう することにより、拡張 かくちょう 期 き の冠 かんむり 血 ち 流量 りゅうりょう を増大 ぞうだい させ(diastolic augmentation)、収縮 しゅうしゅく 期 き 圧 あつ 負荷 ふか を減 げん 弱 じゃく させる(systolic unloading)。
挿管鎮静 ちんせい 下 か にICUに入室 にゅうしつ した場合 ばあい 、覚醒 かくせい が十分 じゅうぶん で動脈 どうみゃく ガスデータが適切 てきせつ な範囲 はんい にあることを確認 かくにん したら人工 じんこう 呼吸 こきゅう 器 き からの離脱 りだつ を開始 かいし する。但 ただ し血行 けっこう 動態 どうたい が不安定 ふあんてい であったり、未 いま だ術後 じゅつご の出血 しゅっけつ が続 つづ いており再開 さいかい 胸 むね の可能 かのう 性 せい が残 のこ っている時 とき は安定 あんてい するまで鎮静 ちんせい ・人工 じんこう 呼吸 こきゅう 管理 かんり を継続 けいぞく する。喀痰 かくたん 排出 はいしゅつ 困難 こんなん な時 とき にはトラヘルパーやミニトラックなども使用 しよう し、長期 ちょうき の呼吸 こきゅう 管理 かんり が必要 ひつよう になる時 とき は気管 きかん 切開 せっかい も考慮 こうりょ する。
日本 にっぽん での心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 領域 りょういき における一定 いってい 水準 すいじゅん の知識 ちしき ・技量 ぎりょう を認定 にんてい する専門医 せんもんい 資格 しかく として、心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 専門医 せんもんい の制度 せいど が設置 せっち されている。
日本 にっぽん 胸部 きょうぶ 外科 げか 学会 がっかい ・日本 にっぽん 心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 学会 がっかい ・日本 にっぽん 血管 けっかん 外科 げか 学会 がっかい からなる3学会 がっかい 構成 こうせい 心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 専門医 せんもんい 認定 にんてい 機構 きこう により、経験 けいけん 手術 しゅじゅつ 症例 しょうれい 、論文 ろんぶん ・学会 がっかい 発表 はっぴょう 等 とう の業績 ぎょうせき などに基 もと づいて資格 しかく 認定 にんてい の審査 しんさ が行 おこな われている。心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 専門医 せんもんい 取得 しゅとく の条件 じょうけん の一 ひと つとして「外科 げか 専門医 せんもんい であること」が要求 ようきゅう されているため、心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科医 げかい を志 こころざ す若手 わかて 医師 いし は、初期 しょき 研修 けんしゅう 終了 しゅうりょう 後 ご に消化 しょうか 器 き 外科 げか ・呼吸 こきゅう 器 き 外科 げか ・乳腺 にゅうせん 外科 げか といった一般 いっぱん 外科 げか の経験 けいけん を2-3年 ねん 程度 ていど 積 つ むことが必須 ひっす となる。
心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 手術 しゅじゅつ データベース[ 編集 へんしゅう ]
心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 領域 りょういき における手術 しゅじゅつ リスクの評価 ひょうか に用 もち いることの出来 でき る臨床 りんしょう データベース に基 もと づいたリスク解析 かいせき モデルとして、EuroSCORE (英語 えいご 版 ばん ) やSTS scoreなど様々 さまざま なものが存在 そんざい する。日本 にっぽん では20世紀 せいき まで心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 手術 しゅじゅつ の全国 ぜんこく 規模 きぼ でのリスク調査 ちょうさ がなされていなかったが、2000年 ねん に日本 にっぽん 成人 せいじん 心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 手術 しゅじゅつ データベース(JACVSD )が発足 ほっそく し、翌年 よくねん より実際 じっさい にインターネットを介 かい してデータ入力 にゅうりょく が開始 かいし 。2007年 ねん 10月 がつ よりデータ解析 かいせき 機能 きのう (JapanSCORE )が設置 せっち された[13] [14] 。小児 しょうに 心臓 しんぞう 外科 げか においても同様 どうよう に、日本 にっぽん 先天 せんてん 性 せい 心臓 しんぞう 血管 けっかん 外科 げか 手術 しゅじゅつ データベース(JCCVSD )が構築 こうちく されている。
^ 実際 じっさい には大動脈 だいどうみゃく 疾患 しっかん は心臓 しんぞう 外科 げか と血管 けっかん 外科 げか が一部 いちぶ オーバーラップする領域 りょういき となっているが、横隔膜 おうかくまく の上下 じょうげ (胸部 きょうぶ と腹部 ふくぶ 大動脈 だいどうみゃく )で分 わ けられることが多 おお い。
^ この場合 ばあい IABP(大動脈 だいどうみゃく 内 ない バルーンパンピング)を緊急 きんきゅう で挿入 そうにゅう する必要 ひつよう がある場合 ばあい にも即座 そくざ に対応 たいおう できる。
^ 昭和大学 しょうわだいがく 横浜 よこはま 市 し 北部 ほくぶ 病院 びょういん 循環 じゅんかん 器 き センター
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