外見 がいけん
無色 むしょく 、ロウ状 じょう 白色 はくしょく 、黄色 おうしょく 、真紅 しんく 色 しょく 、赤色 あかいろ 、紫色 むらさきいろ 、黒色 こくしょく 左 ひだり から白 はく リン(黄 き リン)、赤 あか リン、紫 むらさき リン、黒 くろ リン
一般 いっぱん 特性 とくせい
名称 めいしょう , 記号 きごう , 番号 ばんごう
リン, P, 15
分類 ぶんるい
非金属 ひきんぞく
族 ぞく , 周期 しゅうき , ブロック
15 , 3 , p
原子 げんし 量 りょう
30.973762 (2)
電子 でんし 配置 はいち
[Ne ] 3s2 3p3
電子 でんし 殻 から
2, 8, 5(画像 がぞう )
物理 ぶつり 特性 とくせい
密度 みつど (室温 しつおん 付近 ふきん )
(白 はく リン)1.823、(赤 あか リン)≈ 2.2 – 2.34、(紫 むらさき リン)2.36、(黒 くろ リン)2.69 g/cm3
融点 ゆうてん
(白 はく リン)44.2 °C 、(黒 くろ リン)610 °C
昇華 しょうか 点 てん
(赤 あか リン)≈ 416 – 590 °C 、(紫 むらさき リン)620 °C
沸点 ふってん
(白 はく リン)280.5 °C
融解 ゆうかい 熱 ねつ
(白 はく リン)0.66 kJ/mol
蒸発 じょうはつ 熱 ねつ
(白 はく リン)12.4 kJ/mol
熱容量 ねつようりょう
(25 °C ) (白 はく リン)23.824 J/(mol·K)
蒸気 じょうき 圧 あつ (白 はく リン)
圧力 あつりょく (Pa)
1
10
100
1 k
10 k
100 k
温度 おんど (K)
279
307
342
388
453
549
蒸気 じょうき 圧 あつ (赤 あか リン、bp. 431 °C )
圧力 あつりょく (Pa)
1
10
100
1 k
10 k
100 k
温度 おんど (K)
455
489
529
576
635
704
原子 げんし 特性 とくせい
酸化 さんか 数 すう
5 , 4, 3, 2[ 1] , 1[ 2] , −1, −2, −3 (弱 じゃく 酸性 さんせい 酸化 さんか 物 ぶつ )
電気 でんき 陰性 いんせい 度 ど
2.19(ポーリングの値 ね )
イオン化 いおんか エネルギー
第 だい 1: 1011.8 kJ/mol
第 だい 2: 1907 kJ/mol
第 だい 3: 2914.1 kJ/mol
共有 きょうゆう 結合 けつごう 半径 はんけい
107±3 pm
ファンデルワールス半径 はんけい
180 pm
その他 た
結晶 けっしょう 構造 こうぞう
立方 りっぽう 晶 あきら 系 けい (白 はく リン)
磁性 じせい
(白 はく リン、赤 あか リン、紫 むらさき リン、黒 くろ リン)反 はん 磁性 じせい [ 3]
熱 ねつ 伝導 でんどう 率 りつ
(300 K) (白 はく リン)0.236、(黒 くろ リン)12.1 W/(m⋅K)
体積 たいせき 弾性 だんせい 率 りつ
(白 はく リン)5、(赤 あか リン)11 GPa
CAS登録 とうろく 番号 ばんごう
7723-14-0
主 おも な同位 どうい 体 たい
詳細 しょうさい はリンの同位 どうい 体 たい を参照 さんしょう
リン (燐 りん 、英 えい : phosphorus 、新 しん ラテン語 らてんご : phosphorus [ 4] )は原子 げんし 番号 ばんごう 15番 ばん の元素 げんそ である。元素 げんそ 記号 きごう はP 。原子 げんし 量 りょう は30.97。窒素 ちっそ 族 ぞく 元素 げんそ (15族 ぞく )のひとつ。周期 しゅうき は3。
ギリシャ語 ご で「光 ひかり を運 はこ ぶもの」という意味 いみ の「phosphoros 」から命名 めいめい された。phos が「光 ひかり 」、phoros が「運 はこ ぶもの」の意 い 。
白 はく リン(黄 き リン)・赤 あか リン・紫 むらさき リン・黒 くろ リンなどの同素体 どうそたい が存在 そんざい する。+III(例 れい :六 ろく 酸化 さんか 四 よん リン 、P4 O6 )、+IV(例 れい :八 はち 酸化 さんか 四 よん リン 、P4 O8 )、+V(例 れい :五 ご 酸化 さんか 二 に リン 、P2 O5 )などの酸化 さんか 数 すう をとる。
リンは数種類 すうしゅるい の同素体 どうそたい をもつことが古 ふる くから知 し られている。白 はく リン以外 いがい の同素体 どうそたい は、安定 あんてい でほぼ無毒 むどく である。
白 はく リン (P4 )は四面 しめん 体形 たいけい の分子 ぶんし からなり、比重 ひじゅう が1.82、融点 ゆうてん が44.1 °C、沸点 ふってん が280 °Cの、常温 じょうおん 常 つね 圧 あつ で白色 はくしょく ロウ状 じょう の固体 こたい である。発火 はっか 点 てん は約 やく 44 °Cで些細 ささい なことで自然 しぜん 発火 はっか するため、水中 すいちゅう で保存 ほぞん する。空気 くうき 中 ちゅう で室温 しつおん でも徐々 じょじょ に酸化 さんか され、熱 あつ および青白 あおじろ い光 ひかり を発 はっ する。現在 げんざい 、燐光 りんこう は別 べつ の発光 はっこう 現象 げんしょう の意味 いみ で用 もち いられているが、その語源 ごげん でもある。ベンゼン 、二硫化炭素 にりゅうかたんそ (CS2 )などの有機 ゆうき 溶媒 ようばい によく溶 と ける。強 つよ い毒性 どくせい を持 も ち[ 5] 、ニンニク のような臭 にお いがある。日光 にっこう にあたると赤 あか リンに変化 へんか する。
黒 くろ リン は比重 ひじゅう が2.69の固体 こたい である。黄 き リンを約 やく 12000気圧 きあつ で加圧 かあつ し、約 やく 200 °Cで加熱 かねつ すると得 え られる。リンの同素体 どうそたい 中 ちゅう でもっとも安定 あんてい である。半導体 はんどうたい であり鉄 てつ 灰色 はいいろ の金属 きんぞく 光沢 こうたく を持 も ち、β べーた 金属 きんぞく リン とも呼 よ ばれる。空気 くうき 中 ちゅう ではなかなか発火 はっか しない。
紫 むらさき リン は比重 ひじゅう が2.36の固体 こたい である。褐色 かっしょく を帯 お びた暗紫色 あんししょく で金属 きんぞく 光沢 こうたく を持 も ち、α あるふぁ 金属 きんぞく リン とも呼 よ ばれる。白 はく リンを鉛 なまり に溶 と かして密閉 みっぺい して加熱 かねつ し、再 さい 結晶 けっしょう させることで得 え られる。電気 でんき 伝導 でんどう 性 せい は小 ちい さい。1865年 ねん にヴィルヘルム・ヒットルフ が発見 はっけん したのでヒットルフの金属 きんぞく リンと呼 よ ばれることもある。
赤 あか リン は比重 ひじゅう が2.05~2.34。紫 むらさき リンを主成分 しゅせいぶん とする白 はく リンとの混 こん 合体 がったい で、融点 ゆうてん 590 °C、発火 はっか 点 てん 260 °Cの赤褐色 せきかっしょく の粉末 ふんまつ である。二硫化炭素 にりゅうかたんそ に不溶 ふよう 。マッチ の材料 ざいりょう に使 つか われる。密閉 みっぺい した容器 ようき で白 はく リンを約 やく 250 °Cで加熱 かねつ すると得 え られる。
紅 べに リン は比重 ひじゅう が1.88の深紅 しんく 色 しょく の粉末 ふんまつ である。微細 びさい な粒子 りゅうし からなる赤 あか リンと考 かんが えられている。
二 に リン (P2 、P≡P)は、リン同士 どうし が三重 みえ 結合 けつごう して二 に 原子 げんし 分子 ぶんし になったものである。
結晶 けっしょう 構造 こうぞう
白 はく リンの結晶 けっしょう 構造 こうぞう
黒 くろ リンの結晶 けっしょう 構造 こうぞう
黒 くろ リンの結晶 けっしょう 構造 こうぞう
黄 き リン は同素体 どうそたい とされていたが、実際 じっさい には不純物 ふじゅんぶつ (赤 あか リンなど)を含 ふく む粗製 そせい 白 しろ リンであり同素体 どうそたい ではない。リン鉱石 こうせき (リン酸カルシウム りんさんかるしうむ )をケイ砂 すな 、コークス とともに混合 こんごう 強 きょう 熱 ねっ して得 え られる淡 あわ 黄色 きいろ 蝋 ろう 状 じょう 固体 こたい である。黄色 おうしょく は白 はく リンの表面 ひょうめん が微量 びりょう の赤 あか リンの膜 まく で覆 おお われたもので、融点 ゆうてん 沸点 ふってん などの物理 ぶつり 的 てき 性質 せいしつ は白 はく リンに準 じゅん じる。19世紀 せいき にマッチの材料 ざいりょう として使用 しよう されたが、自然 しぜん 発火 はっか 事故 じこ や健康 けんこう 被害 ひがい (白 はく リン顎 あご )により20世紀 せいき 初頭 しょとう に使用 しよう が禁止 きんし された。赤 あか リンの乾留 かんりゅう でも得 え られる。
燃焼 ねんしょう すると十 じゅう 酸化 さんか 四 よん リン (五 ご 酸化 さんか 二 に リン )が生成 せいせい する。
4
P
+
5
O
2
⟶
P
4
O
10
{\displaystyle {\ce {4P + 5O2 ->P4O10}}}
白 はく リンは強 つよ 塩基 えんき の水溶液 すいようえき と反応 はんのう するとホスフィン を生成 せいせい する。
P
4
+
4
OH
−
+
2
H
2
O
⟶
2
HPO
3
2
−
+
2
PH
3
{\displaystyle {\ce {P4 + 4OH^- + 2 H2O -> 2HPO3^2- + 2 PH3}}}
[ 6]
1669年 ねん にヘニッヒ・ブラント が、錬金術 れんきんじゅつ の実験 じっけん としてバケツ60杯 はい の尿 にょう を蒸発 じょうはつ させていたところ、尿 にょう の残留 ざんりゅう 物 ぶつ からリンを発見 はっけん した[ 7] 。
2023年 ねん 、日米 にちべい 欧 おう の研究 けんきゅう 者 しゃ チームは、土星 どせい の衛星 えいせい エンケラドゥス の海 うみ に、高 こう 濃度 のうど のリンが含 ふく まれていることを発表 はっぴょう した[ 8] 。
DNAなどの核酸 かくさん におけるホスホジエステル結合 けつごう
生体 せいたい 内 ない では、遺伝 いでん 情報 じょうほう の要 よう であるDNA やRNA のポリリン酸 さん エステル鎖 くさり として存在 そんざい するほか、生体 せいたい エネルギー代謝 たいしゃ に欠 か かせないATP 、細胞 さいぼう 膜 まく の主要 しゅよう な構成 こうせい 要素 ようそ であるリン脂質 ししつ など、重要 じゅうよう な働 はたら きを担 にな う化合 かごう 物 ぶつ 中 ちゅう に存在 そんざい している。また、脊椎動物 せきついどうぶつ ではリン酸カルシウム りんさんかるしうむ が骨格 こっかく の主要 しゅよう 構成 こうせい 要素 ようそ としての役割 やくわり も持 も つ。このため、あらゆる生物 せいぶつ にとっての必須 ひっす 元素 げんそ であり、地球 ちきゅう 上 じょう におけるリンの存在 そんざい 量 りょう が、地球 ちきゅう 生態 せいたい 系 けい のバイオマス の限界 げんかい 量 りょう を決定 けってい すると言 い われている。農業 のうぎょう においてはリン酸 さん が、カリウム ・窒素 ちっそ などとともに肥料 ひりょう の主要 しゅよう 成分 せいぶん である。
リンの原子 げんし が地上 ちじょう に現 あらわ れるおもな循環 じゅんかん システムは、植物 しょくぶつ を起点 きてん として考 かんが えた場合 ばあい 、
植物 しょくぶつ が枯死 こし するか、その植物 しょくぶつ を食 た べた動物 どうぶつ が死 し ぬ
微生物 びせいぶつ に分解 ぶんかい され土壌 どじょう に戻 もど る
再 ふたた び植物 しょくぶつ の根 ね から吸 す い上 あ げられる
となる[ 9] 。この循環 じゅんかん は短期間 たんきかん で一巡 いちじゅん する場合 ばあい もあるが、10年 ねん 単位 たんい の時間 じかん を要 よう する場合 ばあい もある。雨 あめ や風 ふう によってループから外 はず れ、海 うみ に流出 りゅうしゅつ してしまうリンもあり、そうしたリンが海底 かいてい で堆積 たいせき してできるのがリン灰 はい 石 せき である。
海底 かいてい で生成 せいせい されたリン灰 はい 石 せき がプレートテクトニクス で運 はこ ばれて地表 ちひょう に現 あらわ れるまでには100万 まん 年 ねん 以上 いじょう の年月 としつき がかかる[ 9] 。
海洋 かいよう においては浅 あさ い地域 ちいき に多 おお く、元素 げんそ の中 なか では偏在 へんざい 性 せい が強 つよ い。メキシコ、コンゴ、南米 なんべい 付近 ふきん の海底 かいてい には大 だい 規模 きぼ なリンの鉱床 こうしょう がある[ 10] 。
多 おお くの食品 しょくひん にはリンが含 ふく まれ、その存在 そんざい 形態 けいたい には無機 むき リンと有機 ゆうき リンがある。無機 むき リンの例 れい としてはリン酸 さん があり、牛乳 ぎゅうにゅう に比較的 ひかくてき 多 おお く含 ふく まれる。加工 かこう 食品 しょくひん によっては無機 むき リンがpH調整 ちょうせい 剤 ざい として添加 てんか されることもある。有機 ゆうき リンはタンパク質 たんぱくしつ や糖 とう 、脂質 ししつ とリン酸 さん とが結合 けつごう している。肉 にく ではその多 おお くが有機 ゆうき リンであり、たとえば、キナーゼ によりリン酸化 さんか されたタンパク質 たんぱくしつ であったり、ホスファチジルコリン などのリン脂質 ししつ として存在 そんざい している。一方 いっぽう 、穀類 こくるい や豆類 まめるい などではリンは糖 とう と結合 けつごう していることが多 おお く、例 れい としてはフィチン酸 さん を挙 あ げることができる[ 11] 。
体内 たいない での存在 そんざい
骨 ほね に一番 いちばん 多 おお くヒドロキシアパタイト として存在 そんざい する。血液 けつえき 中 ちゅう では7割 わり が有機 ゆうき リンとして存在 そんざい している[ 11] 。
摂取 せっしゅ 基準 きじゅん
リンの食事 しょくじ 摂取 せっしゅ 基準 きじゅん (2015年 ねん )[ 12]
年齢 ねんれい
男性 だんせい (目安 めやす 量 りょう )
女性 じょせい (目安 めやす 量 りょう )
18歳 さい 以上 いじょう
1000 mg
800 mg
資源 しげん としてのリンの原料 げんりょう は主 おも にリン鉱石 こうせき である。
用途 ようと としては、化学 かがく 肥料 ひりょう の原料 げんりょう として使 つか われるものがもっとも大 おお きい。近年 きんねん では、過 か リン酸 さん 石灰 せっかい の生産 せいさん が落 お ち込 こ んでいるのに加 くわ え、従来 じゅうらい の重 じゅう 過 か リン酸 さん 石灰 せっかい の生産 せいさん 量 りょう は減少 げんしょう し、代 か わりにリン酸 さん アンモニウム 肥料 ひりょう がその重要 じゅうよう 性 せい を増 ま している。リン酸 さん は金属 きんぞく の表面 ひょうめん 加工 かこう や工業 こうぎょう 用 よう 触媒 しょくばい に用 もち いられるほか、食品 しょくひん 添加 てんか 物 ぶつ としてコーラ などにも少量 しょうりょう 添加 てんか されている。
代表 だいひょう 的 てき なリン酸 さん の関連 かんれん 化合 かごう 物 ぶつ の用途 ようと については、農薬 のうやく や殺虫 さっちゅう 剤 ざい としての利用 りよう も多 おお く、化学 かがく 兵器 へいき として研究 けんきゅう されるほど強力 きょうりょく な毒性 どくせい を持 も った製品 せいひん も開発 かいはつ されたが、その多 おお くは使用 しよう が中止 ちゅうし されている。現在 げんざい はリン酸 さん エステル 系 けい の殺虫 さっちゅう 剤 ざい が主力 しゅりょく になっている。
同 おな じくリン酸 さん 化合 かごう 物 ぶつ であるリン酸 さん ナトリウム 水溶液 すいようえき は強 つよ 塩基 えんき 性 せい を示 しめ すため、単独 たんどく で金属 きんぞく の洗浄 せんじょう 剤 ざい として使 つか われるほか、次 つぎ 亜 あ 塩素 えんそ 酸 さん と混合 こんごう することで強力 きょうりょく な洗剤 せんざい となるため、三 さん リン酸 さん ナトリウム は洗剤 せんざい として広 ひろ く利用 りよう されていたが、排水 はいすい に高 こう 濃度 のうど のリンが含 ふく まれるために微生物 びせいぶつ の異常 いじょう な繁殖 はんしょく の原因 げんいん となり、赤潮 あかしお などの公害 こうがい を引 ひ き起 お こした。それゆえ、環境 かんきょう への配慮 はいりょ から日本 にっぽん 国内 こくない での使用 しよう はほとんどなくなってきている。リン酸 さん 水素 すいそ カルシウム は研磨 けんま 剤 ざい として歯磨 はみが きなどに含 ふく まれ、フッ素 ふっそ を含 ふく む歯磨 はみが きには二 に リン酸カルシウム りんさんかるしうむ など、口腔 こうくう 衛生 えいせい に関 かか わる場面 ばめん でもリン酸 さん 化合 かごう 物 ぶつ が数多 かずおお く配合 はいごう されている。
そのほかにも、コーンフレーク やベーキングパウダー 、飼料 しりょう にもリン酸 さん 化合 かごう 物 ぶつ が含 ふく まれるほか、ハム やチーズ などの製造 せいぞう 時 じ にも使用 しよう されている。燃料 ねんりょう の不凍液 ふとうえき にリン酸 さん 化合 かごう 物 ぶつ が加 くわ えられたり、繊維 せんい 製品 せいひん の難 なん 燃 もえ 加工 かこう にも利用 りよう されたりしている。製紙 せいし 工業 こうぎょう では消 しょう 泡 あわ 剤 ざい として、核 かく 燃料 ねんりょう の再 さい 処理 しょり ではウラン ・プルトニウム 抽出 ちゅうしゅつ の際 さい の溶剤 ようざい としてなど、多様 たよう なリン酸 さん 化合 かごう 物 ぶつ が開発 かいはつ され、さまざまな場面 ばめん で利用 りよう がある。
一般 いっぱん 的 てき に工業 こうぎょう 用 よう の材料 ざいりょう として使用 しよう されるものは、無機 むき 被覆 ひふく または樹脂 じゅし 被覆 ひふく 処理 しょり を行 おこな った被覆 ひふく リンとして流通 りゅうつう している。被覆 ひふく されることによって有毒 ゆうどく なホスフィン の発生 はっせい を抑制 よくせい して自然 しぜん 発火 はっか が起 お きないようにすることで取 と り扱 あつか いを容易 ようい にしている。販売 はんばい されている被覆 ひふく リンは保存 ほぞん に特別 とくべつ な設備 せつび を必要 ひつよう とせず、常温 じょうおん の空気 くうき 中 ちゅう に保存 ほぞん することができる。
潤滑 じゅんかつ 用途 ようと ではさまざまな種類 しゅるい のリン系 けい 添加 てんか 剤 ざい が使用 しよう されており、特 とく に耐 たい 摩耗 まもう 性 せい 、極 ごく 圧 あつ 性 せい に優 すぐ れたものが多 おお く存在 そんざい する。ジチオリン酸 さん 亜鉛 あえん などは磨耗 まもう 防止 ぼうし 、酸化 さんか 防止 ぼうし 、腐食 ふしょく 防止 ぼうし といった機能 きのう を持 も つ多 た 機能 きのう 添加 てんか 剤 ざい であるため昔 むかし から潤滑油 じゅんかつゆ 用途 ようと で多用 たよう され、現在 げんざい でも一般 いっぱん 的 てき な4ストローク 用 よう エンジンオイル のほとんどに添加 てんか されている。
煙幕 えんまく として白 はく リン弾 だん や赤 あか リン発煙 はつえん 弾 だん が使 つか われている。
リンは細胞 さいぼう の不可欠 ふかけつ な構成 こうせい 要素 ようそ であるため、環境 かんきょう 中 なか に過剰 かじょう に存在 そんざい すると微生物 びせいぶつ の大量 たいりょう 増殖 ぞうしょく を導 みちび いてしまう。赤潮 あかしお などの公害 こうがい が多発 たはつ した1960年代 ねんだい 以降 いこう 、合成 ごうせい 洗剤 せんざい の洗浄 せんじょう 助 すけ 剤 ざい としての使用 しよう が禁止 きんし されるなどの対策 たいさく が講 こう じられ、その後 ご も閉鎖 へいさ 性 せい 水域 すいいき を中心 ちゅうしん に、環境 かんきょう 基準 きじゅん の項目 こうもく として定番 ていばん となっている。
ガソリンエンジンの排 はい ガスを浄化 じょうか する三 さん 元 げん 触媒 しょくばい はエンジンオイルに含 ふく まれるリンによって被 ひ 毒 どく する。そのためILSACなどのエンジンオイル規格 きかく においてリンの含有 がんゆう 量 りょう 規制 きせい が存在 そんざい する。ただしリンは磨耗 まもう 防止 ぼうし などさまざまな機能 きのう を担 にな っている重要 じゅうよう な要素 ようそ であり、現状 げんじょう では潤滑 じゅんかつ 性能 せいのう を維持 いじ する観点 かんてん から最低 さいてい 含有 がんゆう 量 りょう も同時 どうじ に設定 せってい されている。
白 はく リン(黄 き リン)への習慣 しゅうかん 的 てき 曝露 ばくろ によりリン中毒 ちゅうどく 性 せい 顎骨 がっこつ 壊死 えし を生 しょう じ、これは1880年代 ねんだい から1910年代 ねんだい にかけてマッチ工場 こうじょう の労働 ろうどう 者 しゃ の職業病 しょくぎょうびょう であった。1906年 ねん のベルヌ条約 じょうやく によりマッチへの白 はく リンの使用 しよう を禁 きん じる取 と り組 く みが始 はじ まり、日本 にっぽん では1921年 ねん の黄燐 おうりん 燐 りん 寸 すん 製造 せいぞう 禁止 きんし 法 ほう とそれを受 う け継 つ いで戦後 せんご 制定 せいてい された労働 ろうどう 安全 あんぜん 衛生 えいせい 法 ほう 、毒物 どくぶつ 及 およ び劇 げき 物 ぶつ 取締 とりしまり 法 ほう により黄 き リンマッチの製造 せいぞう ・使用 しよう ・譲渡 じょうと 等 とう が禁止 きんし されている。
リンのオキソ酸 さん は慣用 かんよう 名 めい を持 も つ。次 つぎ にそれらを挙 あ げる。
リンのオキソ酸 す およびホスフィンの命名 めいめい 法 ほう 。互変異性 いせい 体 たい の関係 かんけい にあるものは両 りょう 矢印 やじるし で示 しめ した
オキソ酸 さん の名称 めいしょう
化学 かがく 式 しき (酸化 さんか 数 すう )
オキソ酸 さん 塩 しお の名称 めいしょう
備考 びこう
ホスフィン酸 さん (phosphinic acid)
HPH2 O2 (+I)
ホスフィン酸 さん 塩 しお ( - phosphinate)
水素 すいそ 原子 げんし のうち2個 こ がリンに直接 ちょくせつ 結合 けつごう しているため、リンの原子 げんし 価 か は5価 か 。
ホスホン酸 さん (phosphonic acid)
H2 PHO3 (+III)
ホスホン酸 さん 塩 しお ( - phosphonate)
亜 あ リン酸 さん の互変異性 いせい 体 たい 。水素 すいそ 原子 げんし のうち1個 いっこ がリンに直接 ちょくせつ 結合 けつごう しているため、リンの原子 げんし 価 か は5価 か 。
亜 あ リン酸 さん (phosphorous acid)
H3 PO3 (+III)
亜 あ リン酸 さん 塩 しお ( - phosphite)
詳 くわ しくは亜 あ リン酸 さん 、三 さん 酸化 さんか 二 に リン を参照 さんしょう 。
リン酸 さん (phosphoric acid)
H3 PO4 (+V)
リン酸 さん 塩 しお ( - phosphate)
詳 くわ しくはリン酸 さん 、五 ご 酸化 さんか 二 に リン を参照 さんしょう 。
ペルオキソ一 いち リン酸 さん (peroxomonophosphoric acid)
H3 PO5 (+V)
ペルオキソ一 いち リン酸 さん 塩 しお ( - peroxomonophosphorate)
水溶液 すいようえき としてのみ得 え られ、強 つよ い酸化 さんか 力 りょく がある。
※オキソ酸 さん 塩 しお 名称 めいしょう の '-' にはカチオン種 しゅ の名称 めいしょう が入 はい る。
ダン・イーガン『肥料 ひりょう 争奪 そうだつ 戦 せん の時代 じだい ―希少 きしょう 資源 しげん リンの枯渇 こかつ に脅 おび える世界 せかい 』(原 はら 書房 しょぼう 、2023年 ねん )
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