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コイ - Wikipedia

コイ

コイコイ淡水魚たんすいぎょ
こいから転送てんそう

コイこい学名がくめいCyprinus carpio)は、コイ分類ぶんるいされるさかな一種いっしゅ比較的ひかくてきながれがゆるやかなかわいけぬまみずうみ用水路ようすいろなどにもひろ生息せいそくする大型おおがた淡水魚たんすいぎょ

コイ
コイ(Cyprinus carpio)
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
: コイ Cypriniformes
: コイ Cyprinidae
ぞく : コイぞく Cyprinus
たね : コイ C. carpio
学名がくめい
Cyprinus carpio
Linnaeus1758
和名わみょう
コイ(こい
英名えいめい
Eurasian carp
European carp
common carp
      自然しぜん分布ぶんぷ       移入いにゅう分布ぶんぷ
コイ飼育しいくがた
コイ飼育しいくがたとソウギョ(中央ちゅうおうはニシキゴイ)

コイの語源ごげんからだえていることまたはあじえていることに由来ゆらいするという[2]別名べつめいはマゴイ、ノゴイ(後述こうじゅつのように体高たいこうひくいコイのグループがありノゴイはその呼称こしょうでもある)[3]

分類ぶんるい

編集へんしゅう

2亜種あしゅ存在そんざいする。

ひがしアジア原産げんさんの3つ亜種あしゅC. c. haematopterus(Amur carp)は過去かこみとめられていたが[5]近年きんねん出典しゅってんはこれをC. rubrofuscus学名がくめいした別種べっしゅとしてあつかっている[1][6]純粋じゅんすいかたのヨーロッパのコイと様々さまざまなアジアのきんえんしゅは、計数形けいすうがたしつ英語えいごばんによって分類ぶんるいできるが、それらは異種いしゅ交配こうはいできる[1][7]。ヨーロッパのコイはキンギョとも異種いしゅ交配こうはい可能かのうである[8][9]日本にっぽんにおいてもコイフナ英語えいごばんばれる雑種ざっしゅ確認かくにんされている[10]

名称めいしょうているニゴイはコイではなくカマツカでありどう関係かんけいである。

生態せいたい

編集へんしゅう

コイは外見がいけんどうぞくフナるがあたまからだたいしてちいさい。吻はフナよりもながしんさせることができる[2][3]。また上顎じょうがく後方こうほうおよ口角こうかくに1ついずつ触覚しょっかく味覚みかく感知かんちするくちひげがある[2][3]体長たいちょうやく60センチメートルで、130センチメートル以上いじょうたっするものもある[2][3]飼育しいくされたり養殖ようしょくされてきた系統けいとう個体こたい体高たいこうたかく、うごきもおそいが、野生やせい個体こたい体高たいこうひく細身ほそみからだつきで、うごきもわりあいはやい。雌雄しゆう外観がいかん判断はんだんすることはむずかしいが、からだめすのほうがおおきくぎゃくゆうほうあたまおおきい、ゆうのほうがからだがややほそくてむねひれおおきく角張かくばっているなどの特徴とくちょうがある[2]。まためすむねひれまるがたをしている。

しょくせい雑食ざっしょくせい水草みずくさ貝類かいるいイトミミズなどをべる[3]。その昆虫こんちゅうるい甲殻こうかくるいさかなたまごしょうさかなべいつぶトウモロコシいもふすまパンカステラうどんカエルなど、くちはいるものならたいていなんでもべる。くちはないが、のど咽頭いんとうというがあり、これでタニシなどのかた貝殻かいがらなどもくだってのみこむ[2][3]。さらにくちひらくとしたき、湖底こていえさをついばんでべやすくなっている。なお、コイにはがない。コイ特徴とくちょうとして、ウェーバー器官きかんち、おと敏感びんかんである。またひげにはにおいやあじかんじる器官きかん沢山たくさんあつまっており、この感覚かんかくを「あじつぼみ」と[11]

産卵さんらんはるから初夏しょかにかけてで、この時期じきになるとおおきなコイが浅瀬あさせあつまり、バシャバシャと水音みずおとてながら水草みずくさ産卵さんらんせいをおこなう。いち産卵さんらんすうは20まん-60まんほどもある[2]たまご直径ちょっけいやく2ミリメートルで水草みずくさなどに付着ふちゃくし、水温すいおんが20あれば4-5にちのうちに孵化ふかする[2]稚魚ちぎょはしばらく浅場あさばごすが、成長せいちょうにつれふかじょう移動いどうする。

寿命じゅみょうは15-20ねん[2]生命せいめいりょくきわめてつよく、さかなにしては長寿ちょうじゅ部類ぶるいで、まれに100ねん個体こたいもある。うろこ年輪ねんりんから推定すいていされたさい長命ちょうめい記録きろくは、岐阜ぎふけん東白川ひがししらかわむらわれていた「花子はなこ」とばれる個体こたいの226ねんだが、これは信憑しんぴょうせい疑問ぎもんされている。長寿ちょうじゅであることのほか、よごれたみずにも対応たいおうする環境かんきょう適応てきおう能力のうりょくたかく、しかもみずからげてしばらくみずのないところでいていても、さかなくらべて長時間ちょうじかんきられるようである。低温ていおんにもつよい。

かわ中流ちゅうりゅう下流かりゅういけみずうみなどの淡水たんすいいき生息せいそくする。飼育しいくされたコイはながれのある浅瀬あさせでもおよぎまわるが、野生やせいのコイはながれのあまりないふかみにひそんでおり、産卵さんらん以外いがいはあまり浅瀬あさせがってこない。たきのぼるということがよくわれるがこれは中国ちゅうごく神話しんわ伝説でんせつるい由来ゆらいするいいつたえであって、普通ふつう程度ていどおおきさのコイがたきのぼることは通常つうじょうい。コイはジャンプが下手へたであり、『モジリ』という水面すいめんまでがって反転はんてんする行動こうどう一般いっぱんにはジャンプと誤認ごにんされていることもおおい。ただし小型こがたのコイはまれに2メートル程度ていどたかさまでジャンプすることがあり、この場合ばあいたきのぼることがありうるものの、格別かくべつに「たきのぼる」という習性しゅうせいがコイにあるわけではない。

 
ノゴイ(滋賀しが県立けんりつ琵琶湖びわこ博物館はくぶつかん飼育しいく個体こたい

漁師りょうしじんなどから、養殖ようしょくされ、放流ほうりゅうもよくおこなわれている体高たいこうたかいコイと、琵琶湖びわこなどのみずうみ四万十川しまんとがわのようなおおきな河川かせんられる体高たいこうひくいコイの性質せいしつが、いちじるしくことなることがふるくから指摘してきされていた。後者こうしゃは「ノゴイ」(こい)とばれて前者ぜんしゃ系統けいとう野生やせい繁殖はんしょくしているものと区別くべつされており、シーボルトなど従来じゅうらいよりこの相違そうい注目ちゅうもくする研究けんきゅうしゃ多少たしょうはいた。21世紀せいきになってコイヘルペスウイルスによる感染かんせんしょう流行りゅうこう捕獲ほかくしにくいノゴイの死体したい多数たすうられたことから、これをもちいて遺伝子いでんし解析かいせきした研究けんきゅう2006ねんになって報告ほうこくされた[12]。それによると、外来がいらい体高たいこうたかいコイとノゴイはたねレベルに相当そうとうする遺伝子いでんしがあることが報告ほうこくされ、日本にっぽん列島れっとう在来ざいらい別種べっしゅとして新種しんしゅ記載きさい必要ひつようせい指摘してきされている[13]

コイ本来ほんらい分布ぶんぷ

編集へんしゅう

もともとはユーラシア大陸たいりく自然しぜん分布ぶんぷいきだったが、移植いしょくによって世界せかい温帯おんたい亜熱帯あねったいいきひろ分布ぶんぷしている[2]日本にっぽんでも全国ぜんこくてき分布ぶんぷ[2]

 
コイ(大分おおいたけん飼育しいくがた)のCTスキャンモデル

日本にっぽんのコイは大昔おおむかし中国ちゅうごくから移入いにゅうされた(まえ帰化きか動物どうぶつ)とかんがえられ、縄文じょうもん時代じだい貝塚かいづかからも化石かせき発見はっけんされている[2]。しかし、関東平野かんとうへいや琵琶湖びわこ野生やせいのコイが分布ぶんぷすることや、ふる地層ちそうから化石かせき発見はっけんされていることから、日本にっぽんにももともと自然しぜん分布ぶんぷしていたが中国ちゅうごくからの移入いにゅうがありそれがひろまったとされる[2]シーボルトの『日本にっぽん動物どうぶつ』においても、Cyprinus conirostrisCyprinus melanotusCyprinus haematopterus の3しゅ紹介しょうかいされているが[14]学術がくじゅつてきにさほど注目ちゅうもくもされず今日きょういたっている。 欧米おうべいでもドイツなどではさかんに養殖ようしょくされ、食用しょくよう飼育しいく品種ひんしゅされている。

 
北大東島きただいとうじま異様いよう細長ほそながいコイ

コイによる生態せいたいけい破壊はかい問題もんだい

編集へんしゅう
 
野生やせいのコイ、中津なかつ大陸たいりくからの外来がいらい系統けいとうおもわれる。

コイは都市とし河川かせんなどでかわをきれいにする目的もくてき河川かせん環境かんきょう保護ほご一環いっかんとして放流ほうりゅうされるたねでもある[2]。しかし、コイの本来ほんらい生息せいそくいきだい河川かせんしも流域りゅういきおおきなみずうみで、中小ちゅうしょう河川かせん放流ほうりゅうされるとさかなたまご稚魚ちぎょ大量たいりょう捕食ほしょくしてしまうことがある[2]。こうした放流ほうりゅうについて、地元じもと固有こゆうしゅとの交雑こうざつこってなにまんねんもかけてきずかれてきた固有こゆうしゅ絶滅ぜつめつ懸念けねんする(遺伝子いでんし汚染おせんこえもあるが[15]当事とうじしゃにはまった意識いしきされていないのが現状げんじょうである[ちゅう 1]。また、ニシキゴイの放流ほうりゅう原因げんいん推測すいそくされるコイヘルペスウイルスによる感染かんせんしょう地元じもとのコイに蔓延まんえん大量たいりょうする事件じけんもある。

また、コイはそこせい生物せいぶつ水生すいせい植物しょくぶつなどをこそぎべてしまうという影響えいきょうもある[2]

おなじことは飼養しようしゅでないコイについてもえる。コイはからだおおきくて見栄みばえがするため、「コイがめるほどきれいな水域すいいき」というきわめて安直あんちょく趣旨しゅし自治体じちたいレベルでかわダムなどに放流ほうりゅうされることがおおい。しかしコイはもともとBODたか湖沼こしょう河川かせんこのんで住処すみかとするしゅで、てい酸素さんそ環境かんきょうたいするたかたいせいがある。これは、生物せいぶつかいにおける一般いっぱんてき基準きじゅんからすると、生物せいぶつきら水質すいしつわる水域すいいきにしか生息せいそくできないことを意味いみする。実際じっさいぎゃく水質すいしつがよい小川おがわせき内部ないぶ放流ほうりゅうしたニシキゴイがえさ問題もんだいから大量たいりょう餓死がしするれい報告ほうこくされており[15]、「コイがめる=きれいな水域すいいき」という図式ずしき成立せいりつないことがわかる。

市街地しがいちよごれた河川かせんうえからながめれば、ボラ放流ほうりゅうされたコイばかりがにつくということが多々たたある。しかもコイは各種かくしゅ水生すいせい生物せいぶつ貪欲どんよくべてしまうので、往々おうおうにして河川かせん環境かんきょう単純たんじゅんまねきかねない[15]生物せいぶつ多様たようせい観点かんてんからすれば、もともとコイがいない水域すいいきにコイを放流ほうりゅうするのは有害ゆうがいですらある。

日本にっぽんでは外来がいらいぎょであるブラックバス問題もんだいがたびたびいにされるが、上述じょうじゅつしたようなコイの放流ほうりゅうはブラックバスの放流ほうりゅう同様どうよう問題もんだいかかえている。ほんしゅには低温ていおんたいするたいせい雑食ざっしょくせい、さらに60センチメートルをえるおおきさにまでそだち、おおきくなると天敵てんてきがほとんどいなくなるといった特徴とくちょうがある。こうした特徴とくちょうはいずれも侵略しんりゃくてき外来がいらい生物せいぶつ共通きょうつうするものであり、実際じっさい国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごうでは、コイを世界せかい侵略しんりゃくてき外来がいらいしゅワースト100のうちの1しゅかぞえている。北緯ほくい30せん以南いなんにはもともとコイは生息せいそくしていなかったが、奄美あまみ大島おおしまでは繁殖はんしょくした。

とくにコイをしょく習慣しゅうかんのないきたアメリカでは、在来ざいらい水生すいせい生物せいぶつ圧迫あっぱくするまでに繁殖はんしょくしている。人為じんいてき放流ほうりゅうきんじているしゅうもあるほどで、きたアメリカ以外いがいでも猛威もういるっているれい報告ほうこくされている。アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、中国ちゅうごく原産げんさんのコイであるハクレンコクレン五大ごだいみずうみ周辺しゅうへん進出しんしゅつしており、これが五大ごだいみずうみながんだ場合ばあい五大ごだいみずうみ固有こゆうさかな駆逐くちくされる可能かのうせい指摘してきされている[16]

保全ほぜん状態じょうたい

編集へんしゅう
 
アレクサンダー・フランシス・ライドンによるコイ。

野生やせいしゅ本来ほんらい分布ぶんぷいき生息せいそくする個体こたいぐんは、河川かせん改修かいしゅうにともなう生態せいたいけい破壊はかいや、地方ちほうからの移入いにゅう個体こたいとの交雑こうざつによる遺伝子いでんし汚染おせんによる在来ざいらい個体こたいぐん絶滅ぜつめつ危惧きぐされており、2008ねん国際こくさい自然しぜん保護ほご連合れんごうにより危急ききゅう(Vulnerable)に指定していされている。

食材しょくざい

編集へんしゅう
コイの栄養えいよう代表だいひょう
コイ(せい
100 gあたりの栄養えいよう
エネルギー 531 kJ (127 kcal)
0 g
糖類とうるい 0 g
食物しょくもつ繊維せんい 0 g
5.6 g
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 1.083 g
一価いっか飽和ほうわ 2.328 g
あたい飽和ほうわ 1.431 g
17.83 g
トリプトファン 0.2 g
トレオニン 0.782 g
イソロイシン 0.822 g
ロイシン 1.449 g
リシン 1.638 g
メチオニン 0.528 g
シスチン 0.191 g
フェニルアラニン 0.696 g
チロシン 0.602 g
バリン 0.919 g
アルギニン 1.067 g
ヒスチジン 0.525 g
アラニン 1.078 g
アスパラギンさん 1.826 g
グルタミン酸ぐるたみんさん 2.662 g
グリシン 0.856 g
プロリン 0.631 g
セリン 0.728 g
ビタミン
ビタミンA相当そうとうりょう
(1%)
9 µg
(0%)
0 µg
0 µg
チアミン (B1)
(10%)
0.115 mg
リボフラビン (B2)
(5%)
0.055 mg
ナイアシン (B3)
(11%)
1.64 mg
パントテンさん (B5)
(15%)
0.75 mg
ビタミンB6
(15%)
0.19 mg
葉酸ようさん (B9)
(4%)
15 µg
ビタミンB12
(64%)
1.53 µg
コリン
(13%)
65 mg
ビタミンC
(2%)
1.6 mg
ビタミンD
(165%)
988 IU
ビタミンE
(4%)
0.63 mg
ビタミンK
(0%)
0.1 µg
ミネラル
ナトリウム
(3%)
49 mg
カリウム
(7%)
333 mg
カルシウム
(4%)
41 mg
マグネシウム
(8%)
29 mg
リン
(59%)
415 mg
鉄分てつぶん
(10%)
1.24 mg
亜鉛あえん
(16%)
1.48 mg
マンガン
(2%)
0.042 mg
セレン
(18%)
12.6 µg
成分せいぶん
水分すいぶん 76.31 g
%はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける
成人せいじん栄養えいよう摂取せっしゅ目標もくひょう (RDI割合わりあい
出典しゅってん: USDA栄養えいようデータベース英語えいご
コイ(100gなか)のおも脂肪酸しぼうさん種類しゅるい[17]
項目こうもく 分量ぶんりょう(g)
脂肪しぼう 5.6
飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 1.083
一価いっか飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 2.328
16:1(パルミトレインさん 0.655
18:1(オレインさん 1.15
20:1 0.071
22:1 0.402
あたい飽和ほうわ脂肪酸しぼうさん 1.431
18:2(リノールさん 0.517
18:3(αあるふぁ-リノレンさん 0.27
18:4(ステアリドンさん 0.058
20:4(同定どうてい 0.152
20:5 n-3(エイコサペンタエンさん(EPA)) 0.238
22:5 n-3(ドコサペンタエンさん(DPA)) 0.082
22:6 n-3(ドコサヘキサエンさん(DHA)) 0.114

コイはりょう養殖ようしょくともさかんで、世界中せかいじゅうおおくの地域ちいきべられている。

日本にっぽん

編集へんしゅう

食材しょくざいとしてのこいは、福島ふくしまけんからの出荷しゅっかりょう最多さいた[18]で、こいこくきをしない味噌みそ仕立したてのしる)、うま砂糖さとう醤油じょうゆ甘辛あまから煮付につけたもの)、甘露煮かんろににする。まれうろこ唐揚からあし、スナック菓子すなっくがしのようにべることもある。また、あらにして酢味噌すみそ山葵わさび醤油じょうゆけてべるれいもある。しかし、生食なましょく加熱かねつ不完全ふかんぜん調理ちょうり状態じょうたいもの摂食せっしょくすると、かん吸虫[19]ゆうとげあごこうむし (Gnathostoma spinigerum) による寄生虫きせいちゅうびょう発症はっしょうする可能かのうせいがある[20][21]捕獲ほかくしたこいは、調理ちょうりさいしきれいなみずれたバケツのなか半日はんにち-数日すうじつほどれてどろにおいをく。さばくときはれた布巾ふきんとうふさぐとおとなしくなる。

あいゲオスミンや2-メチルイソボルネオールをつくり、これがさかな皮膚ひふ血合ちあいにく濃縮のうしゅくされる。このゲオスミンが、こいナマズなど水底みなそこ淡水魚たんすいぎょ泥臭どろくさいにおいのもとでもある。ゲオスミンは酸性さんせい条件じょうけん分解ぶんかいするので、など酸性さんせい調味ちょうみりょう調理ちょうり使つかえば泥臭どろくささをおさえることができる。

うみからはなれた地域ちいきではふるくから貴重きちょう動物どうぶつせいタンパクげんとして重用じゅうようされ、将軍しょうぐん天皇てんのうされる正式せいしき饗応きょうおう料理りょうり日常にちじょうてきにも慶事けいじ祝事いわいごとせきなどでも利用りようされてきた[22]たまごをもつ子持こもちのうまやあらいのからめすのほうが重宝ちょうほうされる[3]

かつてサケブリ入手にゅうしゅ困難こんなんであった内陸ないりく地域ちいきでは、御節おせち料理りょうり食材しょくざいなどとして今日きょうでも利用りようされている。山形やまがたけん米沢よねざわでは米沢よねざわ上杉うえすぎ藩政はんせい時代じだいの9だい藩主はんしゅ上杉うえすぎ治憲はるのり鷹山ようざん1802ねん相馬そうまからこい稚魚ちぎょせ、冬期とうきあいだのタンパクげんなどとしてこいうことを奨励しょうれいした。かく家庭かていうらにある台所だいどころ排水はいすいようちいさなめで台所だいどころからべいつぶ野菜やさいはしえさにして蓄養した。同様どうよう条件じょうけん養蚕ようさんさかんだった福島ふくしまけん郡山こおりやまではかいこさなぎえさとされ、やがては生産せいさんりょう日本一にっぽんいちにまで成長せいちょうした[23]現在げんざい養殖ようしょくでは、おも農業のうぎょうよう利用りようされるほか、長野ながのけん佐久さく地域ちいきでは稲作いなさくよう水田すいでん利用りようされている。食生活しょくせいかつ変化へんかから需要じゅよう減少げんしょう[24]とも全国ぜんこく生産せいさんがく年々ねんねん減少げんしょうし、1998ねんには3おく6000まんえんほどであったが2008ねんには1おく5000まんえんあまりまで減少げんしょうしている[25]

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく

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中華ちゅうか料理りょうりでは、山東さんとうしょうこい1まるごとからにして甘酢あまずあんをかけた料理りょうりとうこいぎょ」(タンツウリイユィ)があり、日本にっぽんでも代表だいひょうてき宴会えんかいメニューの1つとなっている。

中国ちゅうごくでは年始ねんしそなものものとしてかわぎょもちいることがおおく、もっともポピュラーなさかなこいである[26]

こいちゅうおう東欧とうおうでは、ふるくからよくべられている。とくスラヴじんにとってはこいせいなる食材しょくざいとされ、ウクライナポーランドチェコスロバキアドイツベラルーシなどでは伝統でんとうてきクリスマス・イヴ夕食ゆうしょくにはかせないものである。東欧とうおうけいユダヤ教徒きょうと安息日あんそくびべるさかな料理りょうりゲフィルテ・フィッシュ」の素材そざいとしても、こいがよくもちいられた。しかし北米ほくべいでは、こい水底みなそこでえさをあさるために泥臭どろくさいとして敬遠けいえんされており、遊漁ゆうぎょ)の対象たいしょうぎょとはされても食材しょくざいとしてあつかわれることはきわめてまれである。ヨーロッパでは、かがみこいから食用しょくよう品種ひんしゅ改良かいりょうされ家畜かちくされたうろこのないこいかわこい(Leather carp)とばれるこい使つかわれる。

食中毒しょくちゅうどく

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コイの胆嚢たんのうだま)はにがく、解体かいたいにこれをつぶすと苦味にがみまわる。胆嚢たんのうにはコイどく毒性どくせい物質ぶっしつ胆汁たんじゅうさん5-αあるふぁチブリノールスルフェノール)がふくまれている場合ばあいがあり、摂食せっしょくにより下痢げり嘔吐おうと腎不全じんふぜんきも機能きのう障害しょうがい痙攣けいれん麻痺まひ意識いしき不明ふめいこすほか、まれに死亡しぼうれいもある[27][28]。その反面はんめん視力しりょく低下ていかやかすみなどに効果こうかがあるとされ、こいきも(りたん)という生薬きぐすりめい錠剤じょうざいにしたものが販売はんばいされている。

観賞かんしょうぎょ錦鯉にしきごい

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伝承でんしょう

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月岡つきおか芳年よしとし:『金太郎きんたろうこいぎょ

中国ちゅうごくでは、こいたきのぼりきるとりゅうになる登龍門とうりゅうもんといういいつたえがあり、古来こらいたっとばれた。その概念がいねん日本にっぽんにもつたわり、江戸えど時代じだい武家ぶけでは子弟してい立身出世りっしんしゅっせのため、武士ぶし庭先にわさき端午たんご節句せっく旧暦きゅうれき5月5にち)あたりの梅雨つゆあめこいしたこいのぼりかざ風習ふうしゅうがあった。明治めいじはいって四民しみん平等びょうどう政策せいさくにより武家ぶけ身分みぶん廃止はいしされ、こいのぼりは一般いっぱん普及ふきゅうした。現在げんざいでは、グレゴリオれき新暦しんれき5月5にちつづおこなわれている。 また比喩ひゆてき表現ひょうげんとして、将来しょうらい有能ゆうのう有名ゆうめい政治せいじ芸術げいじゅつ役者やくしゃになるため最初さいしょとおるべき関門かんもん登龍門とうりゅうもんしてうこともしばしばある。

日本書紀にほんしょきだいななかんには、けいぎょう天皇てんのう美濃みの岐阜ぎふ)に行幸ぎょうこうしたとき美女びじょそめて求婚きゅうこんしたが、彼女かのじょじてかくれてしまったため、こいいけはなして彼女かのじょこいてくるのをった、という説話せつわてくる。

日本にっぽんではふるくから女性じょせい健康けんこう体力たいりょくづくり)のためにこいくえしたと伝説でんせつ伝承でんしょうがあり、にんっぱいこいべて健康けんこうになり、無事ぶじ安産あんざんできたと伝説でんせつもある。また、御産おさんのちこいべると母乳ぼにゅうがよくると伝承でんしょうられる。こうしたはなし東西とうざいわず内陸ないりくにはおお伝承でんしょうである。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 同様どうよう問題もんだいメダカ金魚きんぎょぼたるかんしてもいえることではある。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c Freyhof, J. & Kottelat, M. (2008). “Cyprinus carpio”. IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T6181A12559362. doi:10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T6181A12559362.en. https://www.iucnredlist.org/species/6181/12559362 2023ねん10がつ12にち閲覧えつらん. 
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