小早川こばやかわ秀しげる包つつみ

凡例はんれい 小早川こばやかわ 秀しげる包つつみ / 毛利もうり 秀しげる包つつみ
絹本けんぽん着色ちゃくしょく毛利もうり秀しげる包つつみ像ぞう（玄げん済ずみ寺てら所蔵しょぞう）
時代じだい	安土あづち桃山ももやま時代じだい
生誕せいたん	永えい禄ろく10年ねん1月がつ18日にち（1567年ねん2月がつ26日にち）
死没しぼつ	慶長けいちょう6年ねん3月22日にち（1601年ねん4月がつ24日にち）
改名かいめい	才ざい菊丸きくまる（幼名ようみょう）→大田おおた元もと綱つな→小早川こばやかわ元もと総そう →秀しゅう包つつみ→秀直ひでなお→毛利もうり秀しげる兼けん
別名べつめい	諱いみな：行あるき包つつみ 通称つうしょう：藤四郎とうしろう 受領じゅりょう名めい：市し正ただし、内記ないき
戒名かいみょう	瑞光ずいこう院いん殿どの玄げん済ずみ道どう叱しか大だい居士こじ
霊れい名めい	シマオ・フィンデナオ
墓所はかしょ	普賢寺ふげんじ（山口やまぐち県けん下関しものせき市し）
官位かんい	従したがえ四よん位い下か、筑後ちくご守まもる、侍従じじゅう
主君しゅくん	毛利もうり輝元てるもと→豊臣とよとみ秀吉ひでよし→毛利もうり輝元てるもと
藩はん	長州ちょうしゅう藩はん士し
氏族しぞく	毛利もうり氏し→大田おおた氏し→小早川こばやかわ氏し→毛利もうり氏し
父母ちちはは	父ちち：毛利もうり元就もとなり、母はは：乃美のみ大方おおがた 養父ようふ：大田おおた英えい綱つな、小早川こばやかわ隆景たかかげ
兄弟きょうだい	毛利もうり隆たかし元もと、五龍ごりゅう局きょく（宍戸ししど隆たかし家か正室せいしつ） 吉川よしかわ元春もとはる、小早川こばやかわ隆景たかかげ、穂ほ井田いだ元もと清きよし、 毛利もうり元もと秋あき、出羽でわ元もと倶、天野あまの元もと政せい、 末次すえつぐ元康もとやす、小早川こばやかわ秀しげる包つつみ 養子ようし兄弟きょうだい：小早川こばやかわ秀秋ひであき
妻つま	正室せいしつ：桂かつら姫ひめ（大友おおとも宗麟そうりんの娘むすめ）
子こ	元もと鎮（吉敷よしき毛利もうり家か継嗣けいし）、元げん貞さだ、 小早川こばやかわ能久よしひさ（小早川こばやかわ家か継嗣けいし）、 女おんな（井原いはら元もと以正室せいしつ）、女おんな（毛利もうり元もと景けい正室せいしつ）、 於佐手しゅ（黒田くろだ長政ながまさ養女ようじょ、黒田くろだ家臣かしん吉田よしだ重成しげなり継室けいしつ）

小早川こばやかわ 秀しげる包つつみ（こばやかわ ひでかね）／毛利もうり 秀しげる包つつみ（もうり ひでかね）は、戦国せんごく時代じだいから安土あづち桃山ももやま時代じだいにかけての武将ぶしょう。筑後ちくご久留くる米よねの大名だいみょう。安芸あき国こくの戦国せんごく大名だいみょう・毛利もうり元就もとなりの九きゅう男なんで、異母いぼ兄けいである小早川こばやかわ隆景たかかげの養子ようしとなる。

生涯しょうがい

誕生たんじょうから養子ようし時代じだいまで

永えい禄ろく10年ねん（1567年ねん）1月がつ18日にち、毛利もうり元就もとなりの九きゅう男おとことして生うまれる。母ははは乃美のみ大方おおがたで、同母どうぼ兄けいに穂ほ井田いだ元もと清きよしと天野あまの元もと政せいがいる。秀しゅう包つつみが生うまれた時点じてんで長兄ちょうけい（異母いぼ兄けい）の隆りゅう元はじめは既すでに死去しきょしており、父ちちの元就もとなりは71歳さい、甥おいの輝元てるもとは14歳さいだった。

元もと亀かめ2年ねん（1571年ねん）1月がつ、元就もとなりの意向いこうによって安芸あき国こく戸坂とさか氏しの75貫かんの遺のこ領りょうと遺臣いしんを与あたえられるが、同年どうねん5月がつに同おなじ備後びんご国こくの国人くにびとの大田おおた英えい綱つなが死去しきょし、その遺臣いしんである平ひら対馬つしま守もりと渡辺わたなべ河内かわうち守まもるに懇願こんがんされて大田おおた氏しの後継こうけいとなり、大田おおた元もと綱つな（おおた もとつな）と名乗なのった。この時ときから白井しらい景けい俊しゅんが家老がろうを務つとめている。

天正てんしょう7年ねん（1579年ねん）に母ははの乃美のみ大方おおがたが小早川こばやかわ氏し庶流の乃美のみ氏しの出身しゅっしんであるという縁えんもあり、兄あにの小早川こばやかわ隆景たかかげの養子ようしとなり、元服げんぷくした後のちは小早川こばやかわ元もと総そう（こばやかわ もとふさ）を名乗なのる。小早川こばやかわ氏しに入はいった際さいには、隆景たかかげより椋梨むくなし景けい家か・亀かめ門かど景信かげのぶ・横山よこやま景義かげよしなど多おおくの家臣かしんを付つけられている。

天正てんしょう11年ねん（1583年ねん）10月がつ、人質ひとじちとして甥おいの吉川よしかわ広ひろ家かと共ともに大坂おおさかの羽柴はしば秀吉ひでよしの下したに送おくられた際さいに「秀しゅう」の字じを賜たまわり、秀しゅう包つつみ（ひでかね）と改名かいめいする。人質ひとじちでありながらもその行動こうどうは制限せいげんされたものではなく、翌よく天正てんしょう12年ねん（1584年ねん）3月がつの小牧こまき・長久手ながくての戦たたかいや5月がつの竹鼻たけはな城しろ水みず攻おさむにも秀吉ひでよしに従したがい出陣しゅつじんしている。秀吉ひでよしの下したにある秀しゅう包つつみを母ははの乃美のみ大方おおかたは大変たいへん心配しんぱいし、早期そうきの帰還きかんが叶かなうよう秀吉ひでよしに働はたらきかけてほしいと毛利もうり輝元てるもとに訴うったえている。

大名だいみょう取立とりたてて

秀しゅう包つつみは容姿ようしに秀ひいでていたとされ、秀吉ひでよしに優遇ゆうぐうされた。天正てんしょう13年ねん（1585年ねん）1月がつに河内かわうちで1万まん石せき、3月に紀州きしゅう雑賀さいか征伐せいばつに参戦さんせん、次ついで6月がつの四国しこく征伐せいばつの氷見ひみ原げんの戦たたかいで金子かねこ元もと宅たくを撃退げきたいし、高尾たかお城じょうを攻せめる際さいに自みずから長宗我部ちょうそかべ元親もとちかの家臣かしんの花房はなふさ親ちかし兵衛ひょうえを討うち取とり、金子かねこ元春もとはるの守まもる伊い予よ金子かねこ城じょうを攻略こうりゃくした戦功せんこうにより伊い予よ宇和うわ郡ぐん大津おおつ城じょうで3万まん5千せん石せきを与あたえられた。天正てんしょう14年ねん（1586年ねん）から始はじまった九州きゅうしゅう征伐せいばつでは養父ようふの隆景たかかげに従したがって豊前ぶぜん小倉こくら城じょう・宇留津うるづ城じょう・香春嶽かわらだけ城じょうを攻略こうりゃくした。特とくに高橋たかはし元種もとだねが守まもる香春嶽かわらだけ城じょうを攻せめる際さい、秀しゅう包つつみは鉄砲てっぽう隊たいを率ひきいて敵てきと激戦げきせんとなって、一番乗いちばんのりの戦功せんこうを挙あげて敵てき将しょう三さん人にんを討うち取とって城門じょうもんを破やぶる大だい活躍かつやくと伝つたわる。

また、筑後ちくごの国人くにびと豪族ごうぞくの草野くさの鎮永（草野くさの家か清きよし）が秀吉ひでよしの九州きゅうしゅう仕置しおきに反発はんぱつして発心ほっしん嶽だけ城じょうに立たて籠こもった。秀しゅう包つつみに攻せめられて下山げざん、善導寺ぜんどうじに逃にげ込こんだ鎮永は秀吉ひでよしに謀はかられ木塚きづかの里さとで自害じがいしたという。

戦後せんごに隆景たかかげが筑前ちくぜん・筑後ちくごを領りょうすると、筑後ちくご3郡ぐん7万まん5千せん石せきを領りょうした。天正てんしょう15年ねん（1587年ねん）には久留くる米べい城じょうを築きずき、居城きょじょうとした。

肥後ひご国人くにびと一揆いっきの際さいは討伐とうばつ軍ぐんの総そう大将たいしょうとして出陣しゅつじんし、和かず仁ひとし親実ちかざねら兄弟きょうだいが籠城ろうじょうした田中たなか城しろを攻略こうりゃくし、立花たちばな宗茂むねしげと共ともに戦功せんこうを挙あげた。この際さいに宗そう茂しげると意気投合いきとうごうし、義兄弟ぎきょうだいの契ちぎりを結むすんだ。この2人ふたりは天正てんしょう16年ねん（1588年ねん）7月がつ、秀吉ひでよしにより羽柴はしば氏しを名乗なのることが許ゆるされた。この時とき、宗そう茂しげるには豊臣とよとみ姓せいが下賜かしされたが、翌年よくねんの天正てんしょう17年ねん（1589年ねん）7月がつ13日にち、秀しゅう包つつみが侍従じじゅうに任官にんかんすると同時どうじに秀しゅう包つつみにも豊臣とよとみ姓せいが下賜かしされた。これ以降いこう、秀しゅう包つつみは「羽柴はしば久留くる米べい侍従じじゅう」と呼よばれるようになった。

久留くる米まいを居城きょじょうとした後のちは大友おおとも宗麟そうりんの娘むすめを妻つまとした縁えんもあり、受洗じゅせん。洗礼せんれい名めいをシマオ（Simao）とした。以後いごはキリシタン大名だいみょうとしての活動かつどうが目立めだつようになり、天正てんしょう19年ねん（1591年ねん）には大友おおとも家かの依頼いらいにより高良山こうらさん座主ざすの麟圭（りんけい）・了りょう巴ともえ（りょうは）父子ふしを鴻おおとり門もんの会かいのような計けい策さくで誘さそえ殺ころし、城下じょうかに天主堂てんしゅどうを建設けんせつ、キリスト教きょう信者しんじゃは7,000人にんと言いわれる。もっとも麟圭を滅ほろぼしたのは宗教しゅうきょう対立たいりつからではなく、純粋じゅんすいな武力ぶりょく抗こう争そうの結果けっかである。後のちに慶長けいちょう元年がんねん（1596年ねん）、秀しゅう包つつみは麟圭の末子まっしの秀しゅう虎丸とらまるを召めし出だして高良山こうらさん座主ざす尊みこと能のうとしている。

文禄・慶長ぶんろくけいちょうの役えき

天正てんしょう20年ねん（1592年ねん）から始はじまる文ぶん禄ろくの役やくでは1,500の兵士へいしを率ひきいて朝鮮ちょうせんに出兵しゅっぺい。全羅道ぜんらどう攻略こうりゃくの際さい、大だい鼓こ城じょうの攻おさむ城じょうでも一番いちばん旗はたの戦功せんこうを挙あげた。碧あお蹄館の戦たたかいでは明あきら将すすむ・李平すももだい胡えびすの襲撃しゅうげきを受うけても、隆景たかかげ・立花たちばな宗茂むねしげと共ともに明あかり軍ぐんを撃破げきはしている。のち幸さいわい州しゅう山城やましろの戦たたかいにも参戦さんせんした。それらの戦功せんこうにより筑後ちくご久留くる米べいのまま5万まん5千せん石せきを加増かぞうされて13万まん石せきとなり、筑後ちくご守まもるに叙任じょにんされた。

また第だい二に次じ晋すすむ州しゅう城じょう攻おさむ防戦ぼうせんでは、攻おさむ城じょう戦前せんぜん、晋すすむ州しゅう城東じょうとう北方ほっぽうの星ほし州しゅうに明あきら副ふく総そう兵へい劉りゅう綎ら約やく三さん万まん余あまりの明あかり軍ぐんを各地かくちに駐屯ちゅうとんした。6月14日にち、宜むべ寧やすしに集結しゅうけつしていた朝鮮ちょうせん都と元帥げんすい金きむ命いのち元もと・平安へいあん巡じゅん辺あたり使し李り薲・全ぜん羅ら巡察じゅんさつ使し権けん慄・全ぜん羅ら兵へい使し宣せん居きょ怡・防禦ぼうぎょ使し李り福男ふくお・助じょ防ぼう将しょう李り継つぎ鄭てい・鄭てい名めい世よ・慶けい尚なお左ひだり兵へい使し高こう彦伯・右みぎ兵へい使し崔ちぇ慶けい会かい・忠清ただきよ兵へい使し黄き進すすむ・京畿けいき助じょ防ぼう将しょう洪ひろし季き男おとこ・星ほし州しゅう牧まぎ使し郭かく再さい祐ゆう・倡義使し金かね千せん鎰・義兵ぎへい高こう従したがえ厚あつなどの朝鮮ちょうせん軍ぐん5万まん余あまりは咸安に到着とうちゃくして日本にっぽん軍ぐんの進軍しんぐんを止とめさせたが、日本にっぽん軍ぐん先鋒せんぽう隊たいの立花たちばな宗茂むねしげ、高橋たかはし統みつる増ぞう、小早川こばやかわ秀しげる包つつみと共ともに兵へい4千せんで釣つり野の伏ぶせ戦法せんぽうを連携れんけいしてこれを敗走はいそうさせた。朝鮮ちょうせん軍ぐんの一部いちぶは15日にちに全ぜん州しゅうへ撤退てったいし、金かね千せん鎰を主おもに一部いちぶの朝鮮ちょうせん軍ぐんは晋すすむ州しゅう城じょうに入はいった。このため日本にっぽん軍ぐんは昌あきら原はらより咸安・宜むべ寧やすしを通過つうかして晋すすむ州しゅう城じょうへ進軍しんぐんした。

• 『問とい註所家か譜ふ』により文ぶん禄ろく2年ねん（1593年ねん）9月2日にち、問とい註所統すべ景けい・問とい註所正せい白しろ兄弟きょうだいは小早川こばやかわ秀しげる包つつみの先鋒せんぽうになって明あかりの劉りゅう綎と晋すすむ州しゅう城ぐすく外がい西南せいなん方かた二に十じゅう里さとの河東かとう郡ぐんに遭遇そうぐうし以下いか数すう百ひゃく兵へいは戦死せんしした、立花たちばな宗茂むねしげは敗やぶれた小早川こばやかわ軍ぐんを救援きゅうえんのため劉りゅう綎と対戦たいせんし、劉りゅう綎は敗やぶれて晋すすむ州しゅう城じょうに返かえる。

文ぶん禄ろく3年ねん（1594年ねん）、秀吉ひでよしの養子ようしである木下きのした秀俊ひでとし（後ごの小早川こばやかわ秀秋ひであき）が隆景たかかげの養子ようしとなったために廃嫡はいちゃくされ、別家べっけを創設そうせつする。

慶長けいちょう2年ねん（1597年ねん）から始はじまる慶長けいちょうの役やくにおいても参戦さんせん。竹島たけしま城しろと星ほし州しゅう谷たに城じょうで防戦ぼうせんし、大おおいに手柄てがらを立たてた。

慶長けいちょう3年ねん（1598年ねん）11月18日にち、秀吉ひでよしが死去しきょすると朝鮮ちょうせんに派遣はけんされていた日本にっぽん軍ぐんに撤退てったい命令めいれいが下くだったが、順じゅん天てん倭やまと城じょうで小西こにし行長ゆきながらが海上かいじょう封鎖ふうさを受うけ撤退てったいを阻はばまれていることを知しると、秀しゅう包つつみは立花たちばな宗茂むねしげ・高橋たかはし直次なおじ・島津しまつ義弘よしひろ・宗義しゅうぎ智さとし・寺沢てらさわ広高ひろたか・筑紫つくし広ひろ門もん (主おも水すい正ただし)らと共ともに水軍すいぐんを編成へんせいして救援きゅうえんに向むかい、陳ちん璘率ひきいる明あきら水軍すいぐんや李り舜臣しゅんしん率ひきいる朝鮮ちょうせん水軍すいぐんと戦たたかい（露ろ梁はり海戦かいせん）、自みずから愛用あいようの鉄砲てっぽうを持もって敵てきと激戦げきせんした。

慶長けいちょう4年ねん（1599年ねん）頃ごろに秀直ひでなお（ひでなお）、慶長けいちょう5年ねん（1600年ねん）には秀しゅう兼けん（ひでかね）と改名かいめいした。

関ヶ原せきがはらの戦たたかい

慶長けいちょう5年ねん（1600年ねん）の関ヶ原せきがはらの戦たたかいでは西にし軍ぐんに加くわわり、8月がつに大だい坂城さかき玉造たまつくり口こうを守備しゅびした。9月3日にちには京極きょうごく高次こうじの籠こもる大津おおつ城じょうを兄あにの末次すえつぐ元康もとやすや立花たちばな宗茂むねしげらと共ともに攻せめ、6人にんの部将ぶしょうを失うしない3人にんの重臣じゅうしんが重傷じゅうしょうを負おう痛手いたでを蒙こうむりながらも落城らくじょうさせた。しかし小早川こばやかわ秀秋ひであきや吉川よしかわ広ひろ家かの内応ないおう、吉川よしかわ広ひろ家かが邪魔じゃましたことで毛利もうり秀しげる元もとは動うごけず西にし軍ぐんが敗やぶれたため、大津おおつ城じょうを撤退てったいして大だい坂城さかきに帰還きかんする。

この時とき、国許くにもとでも戦せんが起おこっており、10月14日にちに久留くる米べい城じょうは黒田くろだ如水じょすい・鍋島なべしま直ただし茂しげる率ひきいる37,000の軍ぐんに攻撃こうげきを受うけていた。城中じょうちゅうには宿老しゅくろうの桂かつら広ひろ繁しげる・白井しらい景けい俊しゅん以下いかわずか500の兵へいしか残のこっていなかったが、数日すうじつ城じょうは持もちこたえた後のち、両人りょうにんは開城かいじょう勧告かんこくに応おうじて城しろを明あけ渡わたした。秀しゅう包つつみの娘むすめの於佐手しゅが黒田くろだ家かの人質ひとじちに、桂かつら広ひろ繁しげるの四よん男なんの黒くろ寿ことぶき丸まる（後ごの桂かつら包つつみ政せい）が鍋島なべしま家かの人質ひとじちとされ、秀しゅう包つつみの正室せいしつの桂かつら姫ひめや嫡男ちゃくなんの毛利もうり元もと鎮らは長門ながと国こく豊浦とようら郡ぐん川棚かわたなへと移うつった。

関ヶ原せきがはらの戦たたかい後ごは改易かいえきされ、毛利もうり輝元てるもとより長門ながと国こく内うちに所領しょりょうを与あたえられる。その頃ころ、小早川こばやかわ秀秋ひであきの裏切うらぎりへの謗そしりを避さけるため、小早川こばやかわ姓せいを捨すてて毛利もうり姓せいに復ふくし、大徳寺だいとくじで剃髪ていはつして玄げん済ずみ道どう叱しかと称しょうした。

秀しゅう包つつみは大坂おおさかから帰国きこくする途上とじょうで発病はつびょうし、長門ながと赤あか間あいだ関せきの宮元みやもと二郎じろうの館かんで療養りょうようしたが、翌よく慶長けいちょう6年ねん（1601年ねん）3月22日にちに喀血かっけつし35歳さいで病没びょうぼつ。遺体いたいは当時とうじの秀しゅう包つつみの知行ちぎょう地ちで、館かんがあったと伝つたえられる現在げんざいの山口やまぐち県けん下関しものせき市し豊北とよきた町まち滝部たきべに安置あんちされ、吉敷よしき毛利もうり家かの菩提寺ぼだいじである玄げん済ずみ寺てらに供養くよう塔とうが建たてられた。この秀しゅう包つつみの墓はかの横よこには殉死じゅんしした筆頭ひっとう家老がろう・白井しらい景けい俊しゅんの墓はかが寄より添そうように建たっている。また、後のちに久留くる米べい城じょうには秀しゅう包つつみを祀まつる小早川こばやかわ神社じんじゃが建たてられている。

嫡男ちゃくなんの元もと鎮が後ごを継つぎ、後のちに吉敷よしき毛利もうり家かの始祖しそとなった。

人物じんぶつ

• 毛利もうり一族いちぞくの中なかでは目立めだたない人物じんぶつであるが、隆景たかかげが秀しゅう包つつみを養子ようしとしたのは、その父ちちの武勇ぶゆうを兄あにの吉川よしかわ元春もとはると並ならび最もっとも受うけ継ついでいたためだと言いわれている。秀しゅう包つつみはその期待きたいを裏切うらぎる事ことなく、毛利もうり氏しの一族いちぞくとして朝鮮ちょうせんに渡わたり、立花たちばな宗茂むねしげとも並ならぶ抜群ばつぐんの武勇ぶゆうを誇ほこり、小早川こばやかわの名跡みょうせきを汚けがすことなく活躍かつやくした。
• 容儀ようぎ端正たんせいの美少年びしょうねんにして勇猛ゆうもう壮健そうけんと評ひょうされた。
• 鉄砲てっぽう術じゅつに長たけていたとされ、毛利もうり秀しげる包つつみ略伝りゃくでんには「秀しゅう包つつみ銃じゅうヲ善ぜんクス其銃ヲ雨夜あまよ手拍子てびょうしト云うんフ」と記しるされている。

肖像しょうぞう画が

束帯そくたいを着用ちゃくようして右手みぎてに笏しゃくを持もち、高麗こうらい縁えんの上うえ畳たたみに座すわる秀しゅう包つつみを描えがいた「絹本けんぽん着色ちゃくしょく毛利もうり秀しげる包つつみ像ぞう」は、慶安けいあん3年ねん（1650年ねん）頃ごろに吉敷よしき毛利もうり家かお抱かかえの雲谷うんこく派はの絵師えしによって作成さくせいされ、上部じょうぶに奇き雲くも玄げん勛による賛さんが記しるされている。寸法すんぽうは縦たて96.7cm、横よこ34.2cm。現在げんざいも吉敷よしき毛利もうり家かの菩提寺ぼだいじである玄げん済ずみ寺てらに所蔵しょぞうされており、平成へいせい19年ねん（2007年ねん）12月7日にちに山口やまぐち市しの有形ゆうけい文化財ぶんかざいに指定していされている。

偏へん諱いみなを与あたえた人物じんぶつ

• 白井しらい包つつみ俊しゅん（前述ぜんじゅつの白井しらい景けい俊しゅんの子こ、通称つうしょうは忠助ちゅうすけ）
• 椋梨むくなし包つつみ祐ゆう（椋梨むくなし氏し一門いちもん・椋梨むくなし景けい家いえの子こ、通称つうしょうは越前えちぜん守まもる、主しゅ殿しんがり）
• 林はやし包つつみ次つぎ（元もとの名なは林はやし長早ながはや、通称つうしょうは大蔵おおくら、次郎じろう兵衛ひょうえ）
• 桂かつら包つつみ政せい（桂かつら広ひろ繁しげるの四よん男なん・黒くろ寿ことぶき丸まる）

登場とうじょう作品さくひん

• 『葵あおい 徳川とくがわ三さん代だい』（NHK大河たいがドラマ、2000年ねん、演えんじ：仲恭ちゅうきょう司つかさ）
• 『軍師ぐんし官兵衛かんべえ』（NHK大河たいがドラマ、2014年ねん、演えんじ：宮坂みやさか健太けんた）

参考さんこう文献ぶんけん

• 光成みつなり準じゅん治ち『ミネルヴァ日本にっぽん評伝ひょうでん選せん 小早川こばやかわ隆景たかかげ・秀秋ひであき―消きえ候そうろわんとて、光ひかり増ますと申もうし候こう―』ミネルみねるヴァ書房ぁしょぼう、2019年ねん