まちづくり

まちづくりとは、身近みぢかな居住きょじゅう環境かんきょうを改善かいぜんし、地域ちいきの魅力みりょくや活力かつりょくを高たかめることであり^[1]、住民じゅうみんの生活せいかつの質しつを高たかめるために身近みぢかな居住きょじゅう環境かんきょうに対たいして働はたらきかける持続じぞく的てきな活動かつどう^[1]。まちづくりは、地域ちいき社会しゃかいにすでに存在そんざいしている施設しせつや建物たてものなどの資源しげんをできるだけ活用かつようする形かたちで進すすめられるものであり^[1]、住民じゅうみん、様々さまざまな団体だんたい、各かく機関きかんや自治体じちたいなどが連携れんけいや協力きょうりょくをして進すすめるのが特徴とくちょうの活動かつどうである。国くにや自治体じちたいが行おこなう都市とし計画けいかくとは異ことなるものを指さしており、都市とし計画けいかくとは意思いし決定けっていの流ながれも異ことなる^[1]。一部いちぶで「街まちづくり」「町まちづくり」と表記ひょうきされることはあるが、ひらがな表記ひょうきの「まちづくり」が最もっとも多おおく使つかわれ標準ひょうじゅん的てきである。

まちづくりは住民じゅうみんが主体しゅたいとなるものか、あるいは住民じゅうみんと行政ぎょうせいの協議きょうぎによるものを指さす。行政ぎょうせいが一方いっぽう的てきに意思いし決定けっていしその結果けっかを住民じゅうみんに押おし付つけるようなものはまちづくりとは呼よばれない。また、「まち」と「つくる」を組くみ合あわせた造語ぞうごだが、新あらたに街まち・町まちを建設けんせつするようなことは指ささない。

まちづくりはハードとソフトの両方りょうほうが関連かんれんし、論ろんじる人ひとによって論ろんじ方かた、どこに重おもきをおくかが異ことなる。#ハード面めんとソフト面めん

合意ごうい形成けいせいのプロセス[編集へんしゅう]

一般いっぱんにまちづくりにおいては、地域ちいきの合意ごうい形成けいせいが重視じゅうしされる。上記じょうきのような課題かだいを共通きょうつうで認識にんしきするために、ワークショップなどの手法しゅほうが用もちいられることも多おおい。ワークショップは住民じゅうみんの合意ごうい形成けいせいを図はかるため有効ゆうこうな一ひとつの手段しゅだんであるが、全すべての住民じゅうみんが参加さんかすることは（ほとんどの場合ばあい）不可能ふかのうであり、参加さんかしなかった住民じゅうみんが後こうから異議いぎを唱となえる事例じれいも見みられる。

そこで、多おおくの住民じゅうみんの声こえをより、まちづくりに反映はんえいさせるために、インターネット上じょうでの議論ぎろんを可能かのうとするICTの活用かつようや、まちづくりの議論ぎろんに参加さんかしていない、あるいはできなかった人々ひとびとのところに出向でむき、意見いけんを聴取ちょうしゅするアウトリーチなど様々さまざまなまちづくり技術ぎじゅつの組くみ合あわせによって、多おおくの意見いけんを汲くみ、住民じゅうみん間あいだの合意ごうい形成けいせいが期待きたいされる。

まちづくりの課題かだいの例れい[編集へんしゅう]

地域ちいきの課題かだいには様々さまざまなものがあり、地域ちいきごとの特色とくしょくが現あらわれる。たとえば次つぎのようなものがある。

商店しょうてん・家屋かおく・道路どうろが、長ながい期間きかんにより劣化れっかし、時代じだいにそぐわなくなっている。
高層こうそう建築けんちく物ぶつなどによる日照ひでりや、多量たりょうの交通こうつう量りょうによる公害こうがいなど環境かんきょうが悪化あっかしている。
障害しょうがい者しゃや高齢こうれい者しゃに向むけた、交通こうつう施設しせつや建築けんちく物ぶつの配慮はいりょが不十分ふじゅうぶんである。
防犯ぼうはん対策たいさくが不十分ふじゅうぶんである。
企業きぎょう統廃合とうはいごうによる空地くうちの有効ゆうこう利用りよう。
公園こうえんや病院びょういんなど、健康けんこうに寄与きよする施設しせつ整備せいび。
芸術げいじゅつ・遺跡いせきなど、文化ぶんかの保護ほご。
居住きょじゅう地域ちいき・商業しょうぎょう地域ちいき・工場こうじょう地域ちいき・文化ぶんか地域ちいき・緑化りょくか地域ちいきなど、ゾーニング。
建築けんちく物ぶつ・広告こうこくなどの高たかさや色いろによる景観けいかん。
既存きそんのライフラインの老朽ろうきゅう化か

これらの課題かだいでキーワードは、主権しゅけん者しゃの権利けんり及および責任せきにんとしての参画さんかくの必要ひつよう性せいから「住民じゅうみん主体しゅたい」または「協きょう働はたらけ」、今後こんごも安定あんてい的てきな地域ちいき社会しゃかいの存続そんぞくを図はかる必要ひつよう性せいから「持続じぞく可能かのう性せい」、衰退すいたいしている状況じょうきょうからの脱却だっきゃくという意味いみで「地域ちいき再生さいせい」或あるいは「地域ちいき活性かっせい化か」・「地域ちいき振興しんこう」という事柄ことがらが核かくとなることが多おおい。

ハード面めんとソフト面めん[編集へんしゅう]

ハード面めんでは住宅じゅうたく、建物たてもの、街並まちなみ、道路どうろやそれに付随ふずいする街路がいろ樹じゅ・街路がいろ灯とう等とう、公園こうえん、施設しせつなどの改善かいぜん、ソフト面めんでは、ボランティアの育成いくせいや活動かつどう、住民じゅうみん同士どうしが連絡れんらく・交流こうりゅうするコミュニティの編成へんせいや活動かつどう、自治体じちたい職員しょくいんの配置はいちや職務しょくむ、条例じょうれいの制定せいてい、まちづくりに関かんする広報こうほう活動かつどうなどが関係かんけいする。

たとえば「福祉ふくしのまちづくり」といった場合ばあい、バリアフリー化か、ユニバーサルデザインなどのハード志向しこうの話はなしが出でる場合ばあいと、ボランティア育成いくせいなどのソフト面めんの話はなしになる場合ばあいがある。なお、これは現代げんだい日本にっぽんのニュータウンの抱かかえる問題もんだいそのものであり、若者わかものもいずれは高齢こうれい者しゃになるので長ながい目めで見みると全員ぜんいんにとって切実せつじつな課題かだいである。

ソフト面めんの重要じゅうよう性せい

高層こうそうマンションの建設けんせつ計画けいかくや自然しぜん環境かんきょうを破壊はかいする開発かいはつ計画けいかくが明あきらかになった際さいの反対はんたい運動うんどうなどをきっかけに住民じゅうみんがまちづくりについて真剣しんけんに考かんがえ始はじめることも多おおい。建築けんちく基準きじゅん法ほうや都市とし計画けいかく法ほうだけでは、住すみやすい町まちをつくることができないのではないか、という反省はんせいにつながり、自治体じちたい独自どくじの自然しぜん保護ほご条例じょうれい・景観けいかん条例じょうれいなどが検討けんとうされる場合ばあいもある。

歴史れきし的てき建造けんぞう物ぶつの保存ほぞんも、単たんに美術びじゅつ的てきに優すぐれている、という観点かんてんだけでなく、町まちの個性こせいを作つくったり、コミュニティの核かくになる、というまちづくりの観点かんてんから捉とらえられることが多おおくなってきている。（必かならずしも芸術げいじゅつ的てきに優すぐれている建物たてものでなくとも、地域ちいきで親したしまれている建物たてものであれば保存ほぞんする価値かちがある）

広報こうほう活動かつどうも重要じゅうようで、都市とし部ぶにおいては近年きんねん転入てんにゅうしてきたばかりという人ひとも多おおいので、まず住民じゅうみんに自分じぶんが住すんでいる地域ちいきを知しってもらう活動かつどうも行おこなわれている（杉並すぎなみ区くの「知しる区くロード」など) 。

自治体じちたいや公共こうきょう機関きかんの側がわからの協力きょうりょく[編集へんしゅう]

まちづくりは住民じゅうみんが主体しゅたいとなるかあるいは住民じゅうみんが合意ごうい形成けいせいにかかわるものであり、自治体じちたいが一方いっぽう的てきに進すすめてはまちづくりではなくなってしまうが、住民じゅうみんの暮くらしやすい町まち・街まちを作つくることは自治体じちたいにとっても重要じゅうような課題かだいなので自治体じちたい側がわからも協力きょうりょくする努力どりょくが行おこなわれている。

地方ちほう議会ぎかいの議員ぎいんも地域ちいき住民じゅうみんの声こえに耳みみを傾かたむける必要ひつようを感かんじており、地方ちほう議会ぎかいではまちづくりに関かかわる条例じょうれい（名称めいしょうはズバリ「まちづくり条例じょうれい」のほか「自治じち基本きほん条例じょうれい」「まちづくり基本きほん条例じょうれい」「行政ぎょうせい基本きほん条例じょうれい」などさまざま）を作つくる例れいが増ふえている。内訳うちわけを見みると、自治体じちたい行政ぎょうせいへの市民しみんの参加さんかを規定きていするもの、景観けいかんを規制きせいしようとするもの、地区ちく計画けいかく作づくりを支援しえんしようというもの、開発かいはつ許可きょかの際さいに周辺しゅうへん住民じゅうみんが関与かんよできるようにするもの、自治体じちたい独自どくじの開発かいはつ・建築けんちく規制きせいを行おこなうものなど、様々さまざまなものが見みられる。

役所やくしょでも部署ぶしょ名めい、政策せいさく名めい、事業じぎょう名めい、役職やくしょく名めいに「まちづくり」を掲かかげたり、職員しょくいん募集ぼしゅうの際さいに「まちづくり職人しょくにん」募集ぼしゅうと謳うたうことがある。

アンケート調査ちょうさやき取きとり調査ちょうさや集会しゅうかいなどでき出きだした住民じゅうみんの考かんがえを記録きろく・集計しゅうけいして自治体じちたい職員しょくいんが把握はあくし、地域ちいき特性とくせいも考慮こうりょした上うえで自治体じちたいとして町まちの将来しょうらい像ぞうを描えがき「都市とし計画けいかく」を作成さくせいしたり、建物たてものの新築しんちくや改築かいちく・改装かいそうの際さいの審査しんさ・許可きょかの際さいにもそれを考慮こうりょするなど自治体じちたいとしてできることを行おこなう。

まちづくり公社こうしゃ

詳細しょうさいは「タウンマネージメント機関きかん」を参照さんしょう

近年きんねん、地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの公おおやけ企業きぎょうで都市とし開発かいはつ公社こうしゃや都市とし整備せいび公社こうしゃを解散かいさんし、まちづくりを冠かんした名称めいしょうを有ゆうするタウンマネージメント機関きかんを設立せつりつする例れいが増ふえている。山形やまがた県けんすまい・まちづくり公社こうしゃ、神戸こうべすまいまちづくり公社こうしゃなど。ほか一いち例れいは以下いかの通とおり。都市とし再生さいせい特別とくべつ措置そち法ほうにおいて、かつて時限じげん的てきに都市とし再生さいせい機構きこうにまちづくり業務ぎょうむの特例とくれいが規定きていされていた。