(Translated by https://www.hiragana.jp/)
西遊記 : 八戒大戰流沙河　木叉奉法收悟淨 - Chinese Text Project
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《八戒はっかい大戰たいせん流りゅう沙すな河かわ　木き叉また奉たてまつ法ほう收おさむ悟さとる淨きよし》

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1 八戒はっかい大戰たいせん... :
話はなし說せつ唐から僧そう師し徒と三さん眾脫難なん前まえ來らい，不ふ一日行過了黃風嶺，進しん西にし卻是一脈平陽之地。光陰こういん迅速じんそく，歷れき夏なつ經けい秋あき，見み了りょう些寒蟬鳴敗はい柳やなぎ，大火たいか向こう西にし流りゅう。正行まさゆき處しょ，只見ただみ一道いちどう大水おおみず狂瀾きょうらん，渾波湧ゆう浪なみ。三藏在馬上忙呼道：「徒弟とてい，你看那な前ぜん邊あたり水勢すいせい寬闊かんかつ，怎不見み船せん隻せき行ぎょう走はし，我わが們從那な裡うら過去かこ？」八はち戒見了りょう道どう：「果はて是ぜ狂瀾きょうらん，無む舟ふね可か渡わたり。」那な行者ぎょうじゃ跳とべ在ざい空中くうちゅう，用よう手しゅ搭涼篷而看み，他た也心驚おどろき道どう：「師父しふ啊，真個しんこ是ぜ難なん，真個しんこ是ぜ難なん。這條河かわ若わか論ろん老ろう孫まご去さ時とき，只ただ消けし把わ腰こし兒じ扭一扭，就過去かこ了りょう；若わか師父しふ，誠まこと千せん分ふん難なん渡わたり，萬ばん載の難行なんぎょう。」三藏さんぞう道どう：「我わが這裡一望いちぼう無邊むへん，端はし的てき有ゆう多少たしょう寬闊かんかつ？」行者ぎょうじゃ道どう：「經過けいか有ゆう八はち百ひゃく里さと遠近えんきん。」八戒はっかい道どう：「哥哥怎的定てい得とく個こ遠近えんきん之の數かず？」行者ぎょうじゃ道どう：「不ふ瞞賢弟けんてい說せつ，老ろう孫まご這雙眼め，白日はくじつ裡うら常つね看み得え千里せんり路上ろじょう的てき吉凶きっきょう。卻才在ざい空中くうちゅう看み出で，此河上下じょうげ不知ふち多おお遠とお，但ただし只見ただみ這經過足よぎあし有ゆう八はち百ひゃく里さと。」長老ちょうろう憂ゆう嗟煩惱ぼんのう，兜かぶと回かい馬ば，忽ゆるがせ見み岸上きしがみ有ゆう一いち通つう石碑せきひ。三さん眾齊來らい看み時じ，見上みかみ有ゆう三さん個こ篆字てんじ，乃「流ながれ沙すな河かわ」；腹ばら上じょう有ゆう小しょう小しょう的てき四よん行ぎょう真しん字じ云うん：
八はち百ひゃく流りゅう沙すな界かい，三さん千せん弱じゃく水深すいしん。
鵝毛飄不起おこり，蘆花ろか定てい底そこ沉。

2 八戒はっかい大戰たいせん... :
師し徒と們正看み碑文ひぶん，只ただ聽得那な浪なみ湧ゆう如山，波は翻こぼし若わか嶺みね，河かわ當とう中ちゅう滑すべり辣的鑽出一いち個こ妖精ようせい，十分じゅうぶん兇醜：
一頭紅燄髮蓬鬆，兩りょう隻せき圓えん睛亮似に燈とう。
不ふ黑くろ不ふ青あお藍あい靛臉，如雷如鼓老ろう龍りゅう聲ごえ。
身み披一領鵝黃氅，腰こし束たばね雙そう攢露白藤しらふじ。
項こう下か骷髏懸九きゅう個こ，手持てもち寶たから杖つえ甚崢嶸。

3 八戒はっかい大戰たいせん... :
那な怪かい一いち個こ旋風せんぷう，奔上岸がん來らい，徑みち搶唐僧そう。慌得行者ぎょうじゃ把わ師父しふ抱だき住じゅう，急きゅう登高とうこう岸がん，回かい身み走はし脫だっ。那な八戒はっかい放下ほうか擔子，掣出釘くぎ鈀；望もち妖精ようせい便びん築ちく。那な怪かい使し寶たから杖つえ架か住じゅう。他た兩個りゃんこ在ざい流りゅう沙すな河岸かわぎし，各かく逞たくまし英雄えいゆう。這一場じょう好こう鬥：
九きゅう齒は鈀，降くだ妖杖，二人ふたり相しょう敵てき河岸かわぎし上じょう。這個是ぜ總督そうとく大だい天てん蓬ほおけ，那な個こ是ぜ謫下捲めく簾すだれ將しょう。昔年せきねん曾會在ざい靈れい霄，今日きょう爭そう持じ賭と猛もう壯たけし。這一個鈀去探爪龍，那な一個杖架磨牙象。伸しん開ひらき大だい四よん平ひらめ，鑽入迎むかえ風ふう戧。這個沒頭ぼっとう沒ぼつ臉抓，那な個こ無む亂らん無む空そら放ひ。一個是久占流沙界吃人精，一個是秉教迦持修行將。

4 八戒はっかい大戰たいせん... :
他た兩個りゃんこ來らい來らい往往おうおう，戰せん經けい二に十じゅう回かい合あい，不ふ分ぶん勝負しょうぶ。

5 八戒はっかい大戰たいせん... :
那な大聖たいせい護まもる了りょう唐から僧そう，牽著馬ば，守もり定てい行李こうり。見み八はち戒與那な怪かい交戰こうせん，就恨得とく咬牙切きり齒ぱ，擦こす掌てのひら磨すり拳けん，忍しのぶ不ふ住じゅう要よう去さ打だ他た，掣出棒ぼう來らい道どう：「師父しふ，你坐著ちょ，莫怕。等とう老ろう孫まご和わ他た耍耍兒じ來らい。」那な師父しふ苦く留とめ不ふ住じゅう。他た打だ個こ唿哨，跳とべ到いた前ぜん邊あたり。原はら來らい那な怪かい與あずか八戒正戰到好處，難解なんかい難なん分ぶん。被ひ行者ぎょうじゃ掄起鐵棒てつぼう，望もち那な怪かい著ちょ頭あたま一いち下か，那な怪かい急きゅう轉身てんしん，慌忙躲過，徑みち鑽入流りゅう沙すな河かわ裡うら。氣き得とく個こ八はち戒亂跳とべ道どう：「哥啊，誰だれ著ちょ你來的てき？那な怪かい漸やや漸やや手て慢，難なん架か我わが鈀，再さい不ふ上うえ三さん五ご合ごう，我わが就擒住じゅう他た了りょう。他見たけん你兇險けん，敗はい陣じん而逃，怎生是ぜ好こう？」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「兄弟きょうだい，實じつ不ふ瞞你說せつ，自じ從したがえ降ぶ了りょう黃き風ふう怪かい，下山げざん來らい，這個把わ月つき不ふ曾耍棍，我見がけん你和他た戰せん的てき甜美，我わが就忍不ふ住じゅう腳癢，故こ就跳將來しょうらい耍耍的てき。那知なち那な怪かい不ふ識耍，就走了りょう。」

6 八戒はっかい大戰たいせん... :
他た兩個りゃんこ攙著手しゅ，說せつ說せつ笑わらい笑わらい，轉回てんかい見み了りょう唐から僧そう。唐から僧そう道どう：「可か曾捉得とく妖怪ようかい？」行者ぎょうじゃ道どう：「那な妖怪ようかい不ふ奈戰，敗はい回かい鑽入水じゅすい去さ也。」三藏さんぞう道どう：「徒弟とてい，這怪久住くじゅう于此，他た知道ともみち淺あさ深ふか。似に這般しゃはん無邊むへん的てき弱じゃく水すい，又また沒ぼっ了りょう舟ぶね楫かじ，須是得とく個こ知ち水性すいせい的てき引領引領才ざい好こう哩まいる。」行者ぎょうじゃ道どう：「正せい是ぜ這等說せつ。常つね言道ことみち：『近きん硃者赤あか，近きん墨ぼく者しゃ黑くろ。』那な怪かい在ざい此，斷だん知ち水性すいせい。我わが們如今こん拿住他た，且不要ふよう打だ殺ころせ，只ただ教きょう他た送おく師父しふ過か河かわ，再さい做理會かい。」八戒はっかい道どう：「哥哥不ふ必遲疑ちぎ，讓ゆずる你先去さ拿他，等ひとし老ろう豬看守かんしゅ師父しふ。」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「賢弟けんてい呀，這樁兒じ我わが不ふ敢說嘴くちばし，水みず裡うら勾當こうとう，老ろう孫まご不ふ大だい十分じゅうぶん熟じゅく。若わか是ぜ空むなし走はし，還かえ要よう捻ねじ訣，又また念念ねんねん避水咒，方ぽう才走さいばし得とく；不ふ然しか，就要變化へんか做甚麼いんも魚ぎょ蝦蟹えびがに鱉之類るい，我わが才ざい去さ得う。若わか論ろん賭と手段しゅだん，憑你在ざい高山こうざん雲くも裡うら，幹みき甚麼いんも蹊蹺異樣いよう事ごと兒じ，老ろう孫まご都會とかい；只ただ是ぜ水すい裡うら的てき買かい賣うり，有ゆう些兒榔杭。」八戒はっかい道どう：「老ろう豬當年ねん總督そうとく天てん河かわ，掌てのひら管かん了りょう八はち萬まん水兵すいへい大だい眾，倒たおせ學がく得知とくち些水性せい。卻只怕那水すい裡うら有ゆう甚麼いんも眷族けんぞく老ろう小しょう，七なな窩八はち代だい的てき都と來らい，我わが就弄他た不ふ過か，一時不被他撈去耶？」行者ぎょうじゃ道どう：「你若到いた他た水中すいちゅう與あずか他た交戰こうせん，卻不要よう戀こい戰せん，許もと敗はい不ふ許もと勝かち，把わ他た引將出來でき，等ひとし老ろう孫まご下手へた助じょ你。」八戒はっかい道どう：「言げん得とく是ぜ，我わが去さ耶。」說せつ聲ごえ去さ，就剝了りょう青あお錦にしき直ちょく裰，脫だつ了りょう鞋，雙手そうしゅ舞まい鈀，分ふん開ひらけ水路すいろ，使つかい出で那な當年とうねん舊きゅう手段しゅだん，躍おど浪なみ翻こぼし波は，撞將進しん去さ，徑みち至いたり水底みなそこ之の下した，往前正ただし走はし。

7 八戒はっかい大戰たいせん... :
卻說那な怪かい敗はい了りょう陣じん回かい，方ぽう才ざい喘定，又また聽得有人ゆうじん推得水すい響ひびき。忽ゆるがせ起おこり身み觀かん看み，原はら來らい是ぜ八戒執了鈀推水。那な怪かい舉杖當面とうめん高だか呼よび道どう：「那な和尚おしょう，那な裡うら走はし？仔細しさい看み打だ。」八戒使鈀架住道：「你是個こ甚麼いんも妖精ようせい，敢在此間擋路？」那な妖道：「你是也不認みとめ得え我わが。我わが不ふ是ぜ那な妖魔ようま鬼おに怪かい，也不是ぜ少しょう姓せい無名むめい。」八戒はっかい道どう：「你既不ふ是ぜ妖魔ようま鬼おに怪かい，卻怎生せい在ざい此傷生せい？你端的てき甚麼いんも姓名せいめい，實じつ實說じっせつ來らい，我わが饒にょう你性命いのち。」那な怪かい道どう：「我わが：
自じ小しょう生來せいらい神氣しんき壯たけし，乾坤けんこん萬まん里さと曾遊そうゆう蕩とろけ。
英雄えいゆう天下でんか顯あらわ威名いめい，豪傑ごうけつ人家じんか做模樣さま。
萬國ばんこく九州きゅうしゅう任にん我わが行くだり，五湖四海從吾撞。
皆みな因いん學がく道どう蕩とろけ天涯てんがい，只ただ為ため尋ひろ師し遊ゆう地ち曠。
常つね年とし衣ころも缽謹隨身ずいじん，每日まいにち心神しんしん不可ふか放ひ。
沿地雲くも遊ゆう數すう十じゅう遭，到いた處しょ閑行百ひゃく餘あまり趟。
因いん此才得とく遇ぐう真人しんじん，引開大道だいどう金光かねみつ亮あきら。
先さき將はた嬰兒えいじ姹女收おさむ，後こう把わ木き母はは金きん公おおやけ放ひ。
明あかり堂どう腎じん水すい入にゅう華はな池ち，重じゅう樓ろう肝きも火ひ投とう心臟しんぞう。
三さん千せん功こう滿まん拜はい天顏てんがん，志こころざし心しん朝禮ちょうれい明あかり華はな向むこう。
玉たま皇すめらぎ大帝たいてい便びん加か陞，親おや口こう封ふう為ため捲めく簾すだれ將しょう。
南天なんてん門もん裡うら我わが為ため尊みこと，靈れい霄殿前ぜん吾われ稱しょう上じょう。
腰間ようかん懸かか掛かけ虎とら頭あたま牌ぱい，手て中執ちゅうしつ定じょう降くだ妖杖。
頭頂とうちょう金きん盔晃日光にっこう，身み披鎧甲きのえ明霞めいか亮あきら。
往來おうらい護まもる駕が我わが當とう先さき，出入でいり隨ずい朝あさ予よ在ざい上うえ。
只ただ因いん王おう母はは降くだ蟠わだかま桃もも，設しつらえ宴えん瑤よう池いけ邀眾將しょう。
失しつ手しゅ打破だは玉だま玻璃はり，天神てんじん個個ここ魂たましい飛ひ喪も。
玉たま皇すめらぎ即そく便びん怒いか生なま嗔，卻令掌てのひら朝あさ左ひだり輔相：
卸おろし冠かんむり脫だつ甲かぶと摘官銜，將はた身み推在殺ころせ場じょう上じょう。
多た虧赤腳大天仙てんせん，越えつ班はん啟けい奏そう將はた吾われ放ひ。
饒にょう死し回生かいせい不ふ點てん刑けい，遭貶流りゅう沙すな東岸とうがん上じょう。
飽時困こま臥が此山中ちゅう，餓かつえ去ざ翻こぼし波は尋ひろ食しょく餉。
樵きこり子こ逢吾命いのち不ふ存そん，漁りょう翁おきな見み我身わがみ皆みな喪も。
來らい來往らいおう往吃人じん多た，翻こぼし翻こぼし覆くつがえ覆くつがえ傷きず生せい瘴。
你敢行かんこう兇到我わが門もん，今日きょう肚皮有ゆう所望しょもう。
莫言粗そ糙不堪ふかん嘗，拿住消きえ停とま剁鮓醬。」

8 八戒はっかい大戰たいせん... :
八戒聞言大怒，罵ののし道みち：「你這潑物！全ぜん沒ぼつ一いち些兒眼め色しょく。我わが老ろう豬還掐出水沫すいまつ兒じ來らい哩まいる，你怎敢說我わが粗そ糙，要よう剁鮓醬？看み起おこり來らい，你把我わが認みとめ做個老ろう走はし硝哩。休きゅう得どく無禮ぶれい，吃ども你祖宗そそう這一鈀。」那な怪かい見み鈀來，使つかい一いち個こ「鳳おおとり點頭てんとう」躲過。兩個りゃんこ在ざい水中すいちゅう打出うちいで水面すいめん，各人かくじん踏浪登とう波は。這一場じょう賭と鬥，比ひ前ぜん不同ふどう，你看那な：
捲めく簾すだれ將はた，天てん蓬よもぎ帥そち，各かく顯あらわ神通じんずう真しん可愛かわい。那な個こ降くだ妖寶杖つえ著ちょ頭あたま輪わ，這個九齒釘鈀隨手快。躍おど浪なみ振ふ山川やまかわ，推波昏世界かい。兇如太ふとし歲とし撞幢幡はた，惡あく似に喪も門もん掀寶蓋ぶた。這一個赤心凜凜保唐僧，那な一個犯罪滔滔為水怪。鈀抓一いち下か九きゅう條じょう痕こん，杖つえ打だ之これ時じ魂魄こんぱく敗はい。努力どりょく喜き相しょう持じ，用心ようじん要よう賭と賽さい。算さん來らい只ただ為ため取と經けい人じん，怒氣どき沖天ちゅうてん不ふ忍耐にんたい。攪得那な鯁鮊鯉こい鱖退鮮鱗，龜かめ鱉黿鼉傷嫩蓋；紅べに蝦えび紫むらさき蟹かに命いのち皆みな亡ほろび，水府すいふ諸しょ神かみ朝あさ上じょう拜はい。只ただ聽得波は翻こぼし浪なみ滾たぎ似に雷かみなり轟とどろき，日月じつげつ無む光ひかり天地てんち怪かい。

9 八戒はっかい大戰たいせん... :
二人整鬥有兩個時辰，不ふ分ぶん勝敗しょうはい。這才是ぜ銅どう盆ぼん逢鐵帚，玉たま磬かおる對たい金かね鐘がね。

10 八戒はっかい大戰たいせん... :
卻說那な大聖たいせい保ほ著ちょ唐から僧そう，立たて於左右さゆう，眼め巴ともえ巴ともみ的てき望のぞむ著ちょ他た兩個りゃんこ在ざい水上すいじょう爭そう持じ，只ただ是ぜ他た不ふ好こう動どう手しゅ。只見ただみ那な八戒虛幌一鈀，佯輸詐いつわり敗はい，轉回てんかい頭あたま往東岸がん上じょう走はし。那な怪かい隨ずい後ご趕來，將はた近ちか到いた了りょう岸邊きしべ。這行者しゃ忍耐にんたい不ふ住じゅう，撇了師父しふ，掣鐵棒ぼう，跳とべ到いた河邊かわべ，望もち妖精ようせい劈頭へきとう就打。那な妖物不ふ敢相迎むかえ，颼的又また鑽入河かわ內。八戒はっかい嚷道：「你這弼馬溫あつし，徹とおる是ぜ個こ急きゅう猴子！你再緩なる緩なる些兒，等とう我わが哄他到いた了りょう高だか處しょ，你卻阻住河邊かわべ，教きょう他た不能ふのう回かい首くび啊，卻不拿住他た也？他た這進去さ，幾いく時じ又また肯出來でき？」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「獃子，莫嚷，莫嚷。我わが們且回かい去さ見み師父しふ去來きょらい。」

11 八戒はっかい大戰たいせん... :
八戒卻同行者到高岸上，見み了りょう三藏さんぞう。三藏さんぞう欠かけ身み道どう：「徒弟とてい辛苦しんく呀。」八戒はっかい道どう：「且不說せつ辛苦しんく，只ただ是これ降くだ了りょう妖精ようせい，送おく得う你過河かわ，方ぽう是ぜ萬まん全ぜん之これ策さく。」三藏さんぞう道どう：「你才與あずか妖精ようせい交戰こうせん何なん如？」八戒はっかい道どう：「那な妖的手段しゅだん，與あずか老ろう豬是個こ對たい手しゅ。正せい戰せん處しょ，使つかい一いち個こ詐いつわり敗はい，他た才ざい趕到岸上きしかみ。見み師し兄けい舉著棍子，他た就跑了りょう。」三藏さんぞう道どう：「如此怎生奈何いかん？」行者ぎょうじゃ道どう：「師父しふ放心ほうしん，且莫焦こげ惱。如今天てん色しょく又また晚ばん，且坐在ざい這崖岸がん之の上うえ，待まち老ろう孫まご去さ化か些齋飯めし來らい，你吃了りょう睡ねむ去ざ，待まち明日あした再さい處しょ。」八戒はっかい道どう：「說得せっとく是ぜ，你快去さ快かい來らい。」

12 八戒はっかい大戰たいせん... :
行者ぎょうじゃ急きゅう縱たて雲くも跳とべ起おこ去ざ，正せい到いた直ちょく北下きたしも人家じんか化か了りょう一いち缽素齋とき，回かい獻けんじ師父しふ。師父しふ見み他た來らい得とく甚快，便びん叫さけべ：「悟空ごくう，我わが們去化か齋とき的てき人家じんか，求もとめ問とい他た一個過河之策，不ふ強つよ似に與あずか這怪爭そう持じ？」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「這家子こ遠とお得え狠哩，相去あいさり有ゆう五ご七なな千里せんり之の路みち，他た那な裡うら得知とくち水性すいせい？問とい他た何なん益えき？」八戒はっかい道どう：「哥哥又また來らい扯謊了りょう，五ご七なな千せん里さと路ろ，你怎麼這等とう去來きょらい得とく快かい？」行者ぎょうじゃ道どう：「你那裡うら曉あかつき得え，老ろう孫まご的てき觔斗雲くも，一いち縱たて有ゆう十じゅう萬まん八はち千里せんり。像ぞう這五七なな千せん路ろ，只ただ消けし把わ頭あたま點てん上じょう兩りょう點てん，把わ腰こし躬上一いち躬，就是個こ往回，有ゆう何なん難なん哉？」八戒はっかい道どう：「哥啊，既すんで是ぜ這般しゃはん容易ようい，你把師父しふ背せ著ちょ，只ただ消けし點てん點頭てんとう，躬躬腰こし，跳とべ過去かこ罷やめ了りょう，何なに必苦苦く的てき與あずか這怪廝戰？」行者ぎょうじゃ道どう：「你不會かい駕が雲くも？你把師父しふ馱過去かこ不ふ是ぜ？」八戒はっかい道どう：「師父しふ的てき凡胎肉にく骨こつ，重じゅう似に泰山たいざん，我わが這駕雲くも的てき，怎稱得とく起おこり？須是你的觔斗方かた可か。」行者ぎょうじゃ道どう：「我が的てき觔斗，好こう道也みちや是ぜ駕が雲くも，只ただ是これ去さ的てき有ゆう遠近えんきん些兒。你是馱不動ふどう，我わが卻如何なん馱得動どう？自じ古道ふるみち：『遣や泰山たいざん輕けい如芥子こ，攜凡夫ぼんぷ難なん脫だつ紅べに塵ちり。』像ぞう這潑魔ま毒どく怪かい，使つかい攝と法ほう，弄ろう風頭かざがしら，卻是扯扯拉ひしげ拉ひしげ，就地而行，不能ふのう帶たい得とく空中くうちゅう而去。像ぞう那な樣さま法ほう兒じ，老ろう孫まご也會使し會かい弄ろう。還かえ有ゆう那な隱かくれ身み法ほう、縮ちぢみ地ち法ほう，老ろう孫まご件けん件けん皆みな知ち。但ただし只ただ是ぜ師父しふ要よう窮きゅう歷れき異邦いほう，不能ふのう夠超脫ちょうだつ苦海くかい，所以ゆえん寸すん步ふ難行なんぎょう也。我わが和わ你只做得個こ擁護ようご，保たもて得え他た身み在ざい命いのち在ざい，替がえ不ふ得とく這些苦惱くのう，也取不ふ得とく經けい來らい；就是有能ゆうのう先さき去さ見み了りょう佛ふつ，那な佛ふつ也不肯把經けい善ぜん與あずか你我。正せい叫さけべ做『若わか將はた容易ようい得え，便びん作さく等閑なおざり看み』。」那な獃子聞言，喏喏聽受。遂とげ吃ども了りょう些無菜さい的てき素もと食しょく，師し徒と們歇在ざい流りゅう沙すな河東かとう崖がけ次じ之の下した。

13 八戒はっかい大戰たいせん... :
次じ早はや，三藏さんぞう道どう：「悟空ごくう，今日きょう怎生區處くしょ？」行者ぎょうじゃ道どう：「沒ぼつ甚區處くしょ，還かえ須八戒はっかい下水げすい。」八戒はっかい道どう：「哥哥，你要圖ず乾いぬい淨きよし，只ただ作成さくせい我わが下水げすい。」行者ぎょうじゃ道どう：「賢弟けんてい，這番我わが再さい不急ふきゅう性せい了りょう，只ただ讓ゆずる你引他た上うえ來らい，我わが攔住河かわ沿，不ふ讓ゆずる他た回かい去さ，務つとむ要よう將しょう他た擒とりこ了りょう。」

14 八戒はっかい大戰たいせん... :
好こう八戒はっかい，抹抹臉，抖擻精神せいしん，雙手そうしゅ拿鈀，到いた河かわ沿，分ふん開ひらけ水路すいろ，依然いぜん又また下しも至いたり窩巢。那な怪あや方かた才ざい睡ねむ醒，忽ゆるがせ聽推得とく水すい響ひびき，急きゅう回かい頭あたま睜睛觀かん看み，見み八戒執鈀來至。他た跳とべ出來でき，當とう頭あたま阻住，喝かつ道どう：「慢來，慢來，看み杖つえ。」八戒舉鈀架住道：「你是個こ甚麼いんも哭喪杖つえ，斷だん叫さけべ你祖宗そそう看み杖つえ？」那な怪かい道どう：「你這廝甚不ふ曉あかつき得とく哩まいる。我わが這：
寶たから杖つえ原ばら來らい名譽めいよ大だい，本ほん是これ月がつ裡うら梭羅派は。
吳ご剛つよし伐き下しも一いち枝えだ來らい，魯班製造せいぞう工夫くふう蓋ぶた。
裡うら邊べ一いち條じょう金きん趁心，外そと邊べ萬まん道みち珠たま絲いと玠。
名稱めいしょう寶たから杖つえ善ぜん降くだ妖，永えい鎮靈霄能伏ふく怪かい。
只ただ因いん官かん拜はい大將軍だいしょうぐん，玉たま皇すめらぎ賜たまもの我わが隨身ずいじん帶たい。
或ある長なが或ある短たん任にん吾われ心しん，要よう細ほそ要よう粗そ憑意態たい。
也曾護まもる駕が宴えん蟠わだかま桃もも，也曾隨ずい朝あさ居きょ上うえ界かい。
值殿曾經眾聖參さん，捲めく簾すだれ曾見諸しょ仙せん拜はい。
養成ようせい靈れい性せい一いち神かみ兵へい，不ふ是ぜ人間にんげん凡器械きかい。
自じ從したがえ遭貶下か天てん門もん，任意にんい縱橫じゅうおう遊ゆう海外かいがい。
不當ふとう大膽だいたん自稱じしょう誇ほこ，天下てんか槍やり刀がたな難なん比ひ賽さい。
看み你那個こ鏽釘鈀，只ただ好こう鋤すき田た與あずか築ちく菜さい。」

15 八戒はっかい大戰たいせん... :
八はち戒笑道どう：「我が把わ你少打だ的てき潑物，且莫管かん甚麼いんも築ちく菜さい，只ただ怕蕩了りょう一いち下した兒じ，教きょう你沒處しょ貼は膏藥こうやく，九きゅう個こ眼め子こ一齊いっせい流血りゅうけつ。縱たて然しか不死ふし，也是個こ到いた老ろう的てき破傷風はしょうふう。」那な怪かい丟開架か手しゅ，在ざい那な水底みなそこ下か，與八よはち戒依然しか打出うちで水面すいめん。這一いち番ばん鬥，比ひ前ぜん果はて更さら不同ふどう，你看他た：
寶たから杖つえ掄，釘くぎ鈀築，言語げんご不通ふつう非ひ眷屬けんぞく。只ただ因いん木き母はは剋刀圭とうけい，致令兩りょう下相おりあい戰せん觸さわ。沒ぼつ輸贏ゆえい，無む反覆はんぷく，翻こぼし波は淘よなげ浪なみ不ふ和睦わぼく。這個怒氣どき怎含容よう，那な個こ傷心しょうしん難なん忍辱にんにく。鈀來杖つえ架か逞たくまし英雄えいゆう，水みず滾たぎ流りゅう沙すな能のう惡あく毒どく。氣き昂のぼる昂のぼる，勞ろう碌碌ろくろく，多た因いん三藏さんぞう朝あさ西域せいいき。釘くぎ鈀老大兇だいきょう，寶たから杖つえ十じゅう分ふん熟じゅく。這個揪住要よう往岸上じょう拖，那な個こ抓つめ來らい就將水すい裡うら沃。聲こえ如霹靂動魚ぎょ龍りゅう，雲くも暗くら天てん昏神鬼伏おにぶし。

16 八戒はっかい大戰たいせん... :
這一場じょう，來き來らい往往おうおう，鬥經三さん十じゅう回かい合あい，不ふ見み強弱きょうじゃく。八戒又使個佯輸計，拖了鈀走。那な怪かい隨ずい後ご又また趕來，擁よう波は捉浪，趕至崖がけ邊べ。八はち戒罵道どう：「我が把わ你這個こ潑怪，你上來らい，這高處しょ，腳踏實地じっち好このみ打だ。」那な妖罵道どう：「你這廝哄我が上じょう去さ，又また教きょう那な幫手來らい哩まいる。你下來らい，還かえ在ざい水みず裡うら相しょう鬥。」原はら來らい那な妖乖了りょう，再さい不ふ肯上岸がん，只ただ在ざい河かわ沿與八戒はっかい鬧吵。

17 八戒はっかい大戰たいせん... :
卻說行者ぎょうじゃ見み他た不ふ肯上岸がん，急きゅう得とく他心たしん焦こげ性せい爆ばく，恨不得とく一いち把捉はそく來らい。行者ぎょうじゃ道どう：「師父しふ，你自坐すわ下しも，等とう我わが與あずか他た個こ『餓かつえ鷹たか叼食』。」就縱觔斗，跳とべ在ざい半はん空そら，刷さつ的てき落下らっか來らい，要よう抓つめ那な妖。那な妖正與あずか八戒はっかい嚷鬧，忽ゆるがせ聽得風ふう響ひびき，急きゅう回かい頭あたま，見み是ぜ行者ぎょうじゃ落下らっか雲來うんらい，卻又收おさむ了りょう那な杖つえ，一いち頭とう淬下水すい，隱かくれ跡あと潛せん蹤，渺びょう然しか不ふ見み。行者ぎょうじゃ佇立ちょりつ岸がん上じょう，對たい八はち戒說：「兄弟きょうだい呀，這妖也弄得とく滑すべり了りょう，他た再さい不ふ肯上岸がん，如之奈何いかん？」八戒はっかい道どう：「難なん，難なん，難なん，戰せん不ふ勝かち他た。就把吃ども奶的氣力きりょく也使盡つき了りょう，只ただ繃得個こ手平てびら。」行者ぎょうじゃ道どう：「且見師父しふ去さ。」

18 八戒はっかい大戰たいせん... :
二人ふたり又また到いた高岸たかぎし，見み了りょう唐から僧そう，備言難なん捉。那な長老ちょうろう滿まん眼下がんか淚なみだ道どう：「似に此艱難なん，怎生得とく渡わたり？」行者ぎょうじゃ道どう：「師父しふ莫要煩惱ぼんのう。這怪深ふか潛水せんすい底そこ，其實難行なんぎょう。──八戒はっかい，你只在ざい此保守ほしゅ師父しふ，再さい莫與他た廝斗，等ひとし老ろう孫まご往南海なんかい走はし走はし去來きょらい。」八戒はっかい道どう：「哥哥，你去南海なんかい何なん幹みき？」行者ぎょうじゃ道どう：「這取經けい的てき勾當こうとう，原はら是ただし觀音かんのん菩薩ぼさつ；及脫解かい我が等とう，也是觀音かんのん菩薩ぼさつ。今日きょう路ろ阻流沙すな河かわ，不能ふのう前進ぜんしん，不ふ得とく他た，怎生處しょ治ち？等ひとし我わが去さ請他，還かえ強つよ如和這妖精ようせい相しょう鬥。」八戒はっかい道どう：「也是，也是。師し兄けい，你去時じ，千萬與我上覆一聲：向日むこう多た承うけたまわ指教しきょう。」三藏さんぞう道どう：「悟空ごくう，若わか是ぜ去さ請菩薩ぼさつ，卻也不ふ必遲疑ちぎ，快かい去さ快かい來らい。」

19 八戒はっかい大戰たいせん... :
行者ぎょうじゃ即そく縱たて觔斗雲くも，徑みち上じょう南海なんかい。咦！那な消けし半はん個こ時じ辰たつ，早さ望見ぼうけん普ふ陀山境さかい。須臾しゅゆ間あいだ，墜下觔斗，到いた紫竹しちく林外りんがい，又また只見ただみ那な二に十じゅう四路諸天上前迎著道：「大聖たいせい何なん來らい？」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが師し有難ありがた，特とく來らい謁見えっけん菩薩ぼさつ。」諸しょ天道てんとう：「請坐，容よう報ほう。」那な輪わ日び的てき諸しょ天てん徑みち至いたり潮しお音おん洞口ほらぐち報道ほうどう：「孫悟空そんごくう有事ゆうじ朝見ちょうけん。」菩薩ぼさつ正ただし與あずか捧ささげ珠たま龍りゅう女おんな在ざい寶たから蓮れん池畔ちはん扶欄看み花はな，聞報，即そく轉うたて雲くも巖いわお，開門かいもん喚入。大聖たいせい端はし肅皈依參拜さんぱい。

20 八戒はっかい大戰たいせん... :
菩薩ぼさつ問とい曰：「你怎麼不保ほ唐から僧そう，為ため甚事又また來見くるみ我が？」行者ぎょうじゃ啟上けいじょう道どう：「菩薩ぼさつ，我わが師父しふ前ぜん在高ありだか老ろう莊そう，又また收おさむ了りょう一いち個こ徒弟とてい，喚名豬八戒はっかい，多た蒙こうむ菩薩ぼさつ又また賜たまもの法ほう諱いみな悟さとる能のう。才ざい行ぎょう過か黃き風ふう嶺みね，今こん至いたり八はち百ひゃく里さと流りゅう沙すな河かわ，乃是弱じゃく水すい三さん千せん，師父しふ已やめ是ぜ難なん渡わたり；河中かわなか又また有ゆう個こ妖怪ようかい，武藝ぶげい高だか強きょう，甚虧了りょう悟さとる能のう與あずか他た水面すいめん上じょう大戰たいせん三さん次じ，只ただ是ぜ不ふ能取のとろ勝かち，被ひ他た攔阻，不能ふのう渡河とか。因よし此，特とく告つげ菩薩ぼさつ，望もち垂たれ憐憫れんびん，濟すみ渡わたり他た一いち濟すみ渡わたり。」菩薩道ぼさつどう：「你這猴子，又また逞たくまし自じ滿まん，不ふ肯說出で保ほ唐から僧そう的てき話ばなし來き麼？」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが們只是ぜ要よう拿住他た，教きょう他た送おく我わが師父しふ渡河とか。水みず裡うら事ごと，我わが又また弄ろう不ふ得とく精細せいさい。只ただ是ぜ悟さとる能のう尋ひろ著ちょ他た窩巢，與あずか他た打だ話ばなし，想そう是ぜ不ふ曾說出で取ど經けい的てき勾當こうとう。」菩薩道ぼさつどう：「那な流りゅう沙すな河かわ的てき妖怪ようかい，乃是捲めく簾すだれ大將たいしょう臨凡，也是我わが勸化かんげ的てき善信よしのぶ，教きょう他た保護ほご取と經けい之の輩やから。你若肯說出で是ぜ東ひがし土取つちとり經けい人じん時じ，他た決けつ不ふ與あずか你爭持じ，斷然だんぜん歸順きじゅん矣。」行者ぎょうじゃ道どう：「那な怪かい如今怯おびえ戰せん，不ふ肯上崖がけ，只ただ在ざい水みず裡うら潛せん蹤，如何いか得え他た歸順きじゅん？我が師し如何いか得とく渡わたり弱じゃく水すい？」菩薩ぼさつ即そく喚惠岸がん，袖そで中ちゅう取出とりで一いち個こ紅べに葫にんにく蘆あし兒じ，吩咐道どう：「你可將はた此葫蘆あし，同どう孫まご悟空ごくう到いた流りゅう沙すな河水こうすい面めん上じょう，只ただ叫さけべ『悟さとる淨きよし』，他た就出來でき了りょう。先さき要よう引他歸依きえ了りょう唐から僧そう。然しか後ご把わ他た那な九個骷髏穿在一處，按九宮みや佈列，卻把這葫蘆あし安在あんざい當とう中なか，就是法ほう船せん一いち隻せき，能のう渡わたり唐から僧そう過か流りゅう沙すな河かわ界かい。」

21 八戒はっかい大戰たいせん... :
惠めぐみ岸きし聞言，謹遵師し命いのち，與あずか大聖たいせい捧ささげ葫にんにく蘆あし出で了りょう潮しお音おん洞ほら，奉たてまつ法ほう旨むね辭じ了りょう紫竹しちく林りん。有ゆう詩し為ため證しょう。
五ご行ぎょう匹ひき配合はいごう天真てんしん，認みとめ得え從前じゅうぜん舊きゅう主人しゅじん。
煉ねり已やめ立たて基もと為ため妙みょう用よう，辨明べんめい邪よこしま正せい見原みはら因いん。
金きむ來らい歸き性せい還かえ同類どうるい，木き去さ求もとめ情じょう共ども復ふく淪。
二土全功成寂寞，調和ちょうわ水火すいか沒ぼつ纖塵。

22 八戒はっかい大戰たいせん... :
他た兩個りゃんこ不ふ多た時じ，按落雲くも頭あたま，早來はやきた到いた流りゅう沙すな河岸かわぎし。豬八戒認得是木叉行者，引師父上ちちうえ前ぜん迎接げいせつ。那な木き叉また與三よそう藏ぞう禮れい畢，又また與八よはち戒相見み。八戒はっかい道どう：「向こう蒙こうむ尊者そんじゃ指示しじ，得とく見み菩薩ぼさつ，我わが老ろう豬果遵法じゅんぽう教きょう，今こん喜き拜はい了りょう沙門しゃもん。這一向いっこう在ざい途中とちゅう奔碌，未み及致謝しゃ，恕じょ罪ざい，恕じょ罪ざい。」行者ぎょうじゃ道どう：「且莫敘闊，我わが們叫喚きょうかん那な廝去來きょらい。」三藏さんぞう道どう：「叫さけべ誰だれ？」行者ぎょうじゃ道どう：「老ろう孫まご見み菩薩ぼさつ，備陳前ぜん事こと。菩薩ぼさつ說せつ，這流沙すな河かわ的てき妖怪ようかい，乃是捲めく簾すだれ大將たいしょう臨凡，因いん為ため在天ざいてん有罪ゆうざい，墮落だらく此河，忘形作さく怪かい。他た曾被菩薩ぼさつ勸化かんげ，願ねがい歸き師父しふ往西天てん去さ的てき。但ただし是ぜ我わが們不曾說出で取ど經けい的てき事情じじょう，故こ此苦苦く爭そう鬥。菩薩ぼさつ今いま差さ木き叉また將はた此葫蘆あし，要よう與あずか這廝結ゆい作法さほう船せん，渡わたり你過去かこ哩まいる。」三藏さんぞう聞言，頂いただき禮れい不盡ふじん，對たい木き叉また作さく禮れい道どう：「萬まん望もち尊者そんじゃ作さく速そく一いち行ぎょう。」那な木き叉また捧ささげ定じょう葫にんにく蘆あし，半はん雲くも半はん霧きり，徑みち到いた了りょう流りゅう沙すな河水こうすい面めん上じょう，厲聲高だか叫さけべ道どう：「悟さとる淨きよし，悟さとる淨きよし，取と經けい人じん在ざい此久矣，你怎麼還不ふ歸順きじゅん？」

23 八戒はっかい大戰たいせん... :
卻說那な怪かい懼怕猴王，回かい於水底そこ，正せい在ざい窩中歇息，只ただ聽得叫さけべ他た法名ほうみょう。情じょう知ち是ぜ觀音かんのん菩薩ぼさつ；又また聞得說せつ「取と經けい人じん在ざい此」：他た也不懼斧鉞ふえつ，急きゅう翻こぼし波は伸しん出頭しゅっとう來らい，又また認みとめ得え是ぜ木き叉また行者ぎょうじゃ。你看他た笑わらい盈みつる盈みつる，上前うわまえ作さく禮れい道どう：「尊者そんじゃ失しつ迎むかえ。菩薩ぼさつ今こん在ざい何處どこ？」木き叉また道どう：「我わが師し未來みらい，先さき差さ我わが來らい吩咐你早跟唐僧そう做個徒弟とてい。叫さけべ把わ你項下か掛かけ的てき骷髏與這個葫にんにく蘆あし，按九宮結做一隻法船，渡わたり他た過か此弱水すい。」悟さとる淨きよし道どう：「取と經けい人じん卻在那な裡うら？」木き叉また用よう手指しゅし道どう：「那な東岸とうがん上じょう坐すわ的てき不ふ是ぜ？」悟さとる淨きよし看み見み了りょう八はち戒道：「他た不知ふち是ぜ那な裡うら來らい的てき個こ潑物，與あずか我わが整せい鬥了這兩日び，何なに曾言著ちょ一個取經的字兒？」又また看み見み行者ぎょうじゃ，道みち：「這個主ぬし子こ，是ぜ他た的てき幫手，好こう不ふ利害りがい，我わが不ふ去さ了りょう。」木き叉また道どう：「那な是ぜ豬八戒はっかい，這是孫まご行者ぎょうじゃ，俱是唐から僧そう的てき徒弟とてい，俱是菩薩ぼさつ勸化かんげ的てき，怕他怎的？我わが且和你見唐から僧そう去さ。」

24 八戒はっかい大戰たいせん... :
那な悟さとる淨きよし才ざい收おさむ了りょう寶たから杖つえ，整せい一整黃錦直裰，跳とべ上岸かみきし來らい，對たい唐とう僧そう雙そう膝ひざ跪下道どう：「師父しふ，弟子でし有ゆう眼め無む珠たま，不ふ認みとめ得え師父しふ的てき尊容そんよう，多た有ゆう衝撞，萬まん望もち恕じょ罪ざい。」八戒はっかい道どう：「你這膿うみ包つつめ，怎的早はや不ふ皈依，只管ひたすら要よう與あずか我わが打だ？是ぜ何なん說話せつわ？」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「兄弟きょうだい，你莫怪あや他ほか，還かえ是これ我わが們不曾說出で取ど經けい的てき事情じじょう與あずか姓名せいめい耳みみ。」長老ちょうろう道どう：「你果肯誠心こころ皈依吾われ教きょう麼？」悟さとる淨きよし道どう：「弟子でし向こう蒙こうむ菩薩ぼさつ教化きょうか，指ゆび沙すな為ため姓せい，與あずか我わが起おこり個こ法名ほうみょう，喚做沙悟淨さごじょう，豈あに有ゆう不ふ從したがえ師父しふ之の理り？」三藏さんぞう道どう：「既すんで如此，」叫さけべ：「悟空ごくう，取と戒刀來らい，與あずか他た落了髮かみ。」大聖たいせい依よ言げん，即そく將はた戒刀與あずか他た剃そ了りょう頭あたま。又また來らい拜はい了りょう三藏さんぞう，拜はい了りょう行者ぎょうじゃ與八よはち戒，分ふん了りょう大小だいしょう。三藏見他行禮真像個和尚家風，故こ又また叫さけべ他た做沙和尚おしょう。木き叉また道どう：「既すんで秉了迦持，不ふ必絮煩はん，早はや與作よさく法ほう船せん去來きょらい。」

25 八戒はっかい大戰たいせん... :
那な悟さとる淨きよし不ふ敢怠慢たいまん，即そく將はた頸項下か掛かけ的てき骷髏取下か，用よう索さく子こ結ゆい作さく九きゅう宮みや，把わ菩薩ぼさつ葫にんにく蘆あし安在あんざい當とう中なか，請師父ちち下か岸がん。那な長老ちょうろう遂とげ登とう法ほう船せん，坐すわ於上面めん，果然かぜん穩似輕けい舟ふね。左ひだり有ゆう八戒はっかい扶持ふち，右みぎ有ゆう悟さとる淨きよし捧ささげ托たく；孫まご行者ぎょうじゃ在ざい後ご面めん牽了龍馬りょうま，半はん雲くも半はん霧きり相しょう跟；頭あたま直上ちょくじょう又また有木ありき叉また擁護ようご。那な師父しふ才ざい飄然ひょうぜん穩渡流りゅう沙すな河かわ界かい，浪なみ靜せい風ふう平ひらた過か弱じゃく河かわ。真個しんこ也如飛ひ似に箭や，不ふ多た時じ，身み登とう彼岸ひがん，得とく脫だつ洪ひろし波なみ；又また不ふ拖泥帶たい水すい，幸喜こうき腳乾手しゅ燥，清淨せいじょう無為むい，師し徒と們腳踏實地ち。那な木き叉また按祥雲くも，收おさむ了りょう葫にんにく蘆あし。又また只見ただみ那な骷髏一時解化作九股陰風，寂然じゃくねん不ふ見み。三藏拜謝了木叉，頂いただき禮れい了りょう菩薩ぼさつ。正せい是ぜ：
木き叉また徑みち回かい東洋とうよう海うみ，三藏さんぞう上馬かみうま卻投西にし。

26 八戒はっかい大戰たいせん... :
畢竟ひっきょう不知ふち幾いく時じ才ざい得とく正せい果はて求もとめ經けい，且聽下か回かい分解ぶんかい。

《李り卓たく吾われ先生せんせい批評ひひょう西にし游ゆう記き》
《李り卓たく吾われ先生せんせい批評ひひょう西にし游ゆう記き》
URN: ctp:xiyouji/ch22