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西遊記 : 陳光蕊赴任逢災 江流僧復讎報本 - Chinese Text Project
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ちんひかりしべ赴任ふにん逢災 こうりゅうそう復讎ふくしゅうほうほん

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1 ちんひかりしべ赴... :
はなしひょう陝西せんせい大國たいこくちょう安城あき,乃歷だい帝王ていおう建都けんとしゅうはたかん以來いらいさんしゅうはなにしきはちみずにょうじょうりゅう真個しんこ名勝めいしょうくにかれだいとうふとそう皇帝こうていのぼりはじめ改元かいげんさだかんやめ登極とうきょくじゅうさんねんさいざいおのれ天下てんか太平たいへい八方はっぽう進貢しんこう四海しかいしょうしん

2 ちんひかりしべ赴... :
ゆるがせいちにちふとしそうのぼる,聚集文武ぶんぶ眾官,あさ拜禮はいれい畢,ゆうちょう丞相じょうしょうはんそうどう:「方今ほうこん天下でんか太平たいへい八方はっぽうやすしせいおうほう開立かいりゅうせんじょう,招取けん,擢用人材じんざい,以資。」ふとし宗道そうどう:「けんきょうしょそう有理ゆうり。」就傳招賢ぶん榜,頒布はんぷ天下でんかかくしゅうけんかかわ軍民ぐんみんじんとうただしゆう讀書どくしょ儒流,ぶん義明よしあきとおるさんじょう精通せいつうしゃぜん赴長やすおうためし

3 ちんひかりしべ赴... :
此榜ぎょういたりうみしゅう地方ちほうゆういちにんせいひねめいがくおもてこうしべりょう此榜,即時そくじかいたいははちょうどう:「朝廷ちょうてい頒下榜,みことのりひらきみなみしょうかんがえ賢才けんさい孩兒がいじ意欲いよくまえおうためし。倘得いちかんはんしょくあらわおやあげめいふうつまかげ光耀こうようもん閭,乃兒こころざし也。とく此稟つげ母親ははおやまえ。」ちょうどう:「わが讀書どくしょじん,『よう而學,たけし而行』,せい該如此。ただし赴舉,路上ろじょう須要しゅよう小心しょうしんとくりょうかん早早そうそうかいらい。」

4 ちんひかりしべ赴... :
ひかりしべ便びん吩咐收拾しゅうしゅう行李こうりそく拜辭はいじ母親ははおや,趲程前進ぜんしんいたりょう長安ながやすせい大開おおひらきせんじょうひかりしべ就進じょうこう畢,ちゅうせん。及廷ためしさんさく唐王とうのうふでおやたまものじょうもとまたがうまゆうがいさんにち

5 ちんひかりしべ赴... :
ゆういた丞相じょうしょういん開山かいさんもんくびゆう丞相じょうしょう所生しょせいいちじょめい喚溫嬌,まためい滿堂まんどう嬌,曾婚はいせいだかゆい綵樓,拋打繡毬ぼく婿むこてき值陳こうしべざいろう經過けいかしょうあね一見光蕊人材出眾,しんじょうもとこころじゅうふん歡喜かんき,就將繡毬拋下,恰打ちょこうしべてきがらすしゃぼうもう聽得一派笙簫細樂,十數個婢妾走下樓來,こうしべ馬頭めず挽住,むかいじょうもと入相いりあい成婚せいこん丞相じょうしょう夫人ふじん即時そくじどう,喚賓じんさんれいはたしょうあねはいあずかひかりしべはいりょう天地てんち夫妻ふさい交拜畢,またはいりょうだけたけたけはは丞相じょうしょう吩咐やすはい酒席しゅせき,歡飲いちよい二人ふたりどう攜素しゅきょういれらんぼう

6 ちんひかりしべ赴... :
つぎ五更ごこうさんてんふとしそうすわきむ鑾寶殿どの文武ぶんぶ眾臣趨朝。ふとしそうといどう:「しんじょうもとちんひかりしべおう授何かん?」ちょう丞相じょうしょうそうどう:「しん所屬しょぞくしゅうぐん有江ありえしゅうかけかん,乞我ぬし授他此職。」ふとしそう就命ためしゅうしゅうぬしそくれい收拾しゅうしゅうおこり,勿誤げんひかりしべ謝恩しゃおんあさかいいたあいあずかつま商議しょうぎ拜辭はいじだけたけたけははどうつまぜん赴江しゅうにんはなれりょうちょう安登あと

7 ちんひかりしべ赴... :
せい暮春ぼしゅん天氣てんきかず風吹ふぶきやなぎみどり細雨さいうてんはなべにひかりしべ便びんどうかいどうつま交拜母親ははおやちょうちょうどう:「きょう,且又めとしんかいらい。」ひかりしべどう:「孩兒がいじ叨賴母親ははおやぶくひさしかたじけななかじょうもと,欽賜ゆうがい經過けいか丞相じょうしょういん門前もんぜぐう拋打繡毬適中てきちゅうこうむ丞相じょうしょうそくはたしょうあね招孩ため婿むこ朝廷ちょうていじょ孩兒がいじためしゅうしゅうぬし今來こんらいせっ母親ははおやどう赴任ふにん。」ちょう大喜だいぎ收拾しゅうしゅう行程こうてい

8 ちんひかりしべ赴... :
ざいみち數日すうじつぜんいたり萬花店劉小二家安下。ちょう身體しんたいゆるがせしかしみびょうあずかひかりしべどう:「わが身上しんじょう不安ふあん,且在てんちゅう調ちょうやしなえ兩日りょうじつさい。」ひかりしべ遵命。いたりはや晨,てん門前もんぜんゆう一人提著個金色鯉魚叫賣,ひかりしべそくはた一貫いっかんぜにかいりょうよくまち烹與母親ははおやども只見ただみこいぎょ閃閃䁪眼。ひかりしべ驚異きょういどう:「聞說きくならくさかなへび䁪眼,必不等閑とうかんもの。」とげといりょう人道じんどう:「這魚うららいてき?」りょう人道じんどう:「はなれじゅう五里洪江內打來的。」ひかりしべ就把ぎょおくざいひろしこううらりょうせいかいてんたい母親ははおやどう此事。ちょうどう:「放生ほうじょう好事こうじわがしん甚喜。」ひかりしべどう:「此店やめじゅうさんにちりょう,欽限緊急きんきゅう孩兒がいじ意欲いよく明日あしたおこり不知ふち母親ははおや身體しんたいこう?」ちょうどう:「我身わがみ不快ふかい,此時路上ろじょうえんねつおそれ添疾びょう。你可這裡ちんあいだぼうあずかわが暫住,づけ些盤まといざい此。你兩こうさきじょうにんこう秋涼しゅうりょう卻來せっ。」ひかりしべあずかつま商議しょうぎ,就租りょう宇,づけりょうばんまといあずか母親ははおやどうつま拜辭はいじまえ

9 ちんひかりしべ赴... :
艱苦かんくあかつきぎょうよる宿やど不覺ふかくやめいたひろし江渡えとくち只見ただみこずえりゅうひろしぴょう二人ふたり,撐船いたきし迎接げいせつ。也是こうしべ前生ぜんしょうあいとうゆう此災なん,撞著這冤ひかりしべれい僮將行李こうり上船じょうせん夫妻ふさいただしひとしひとし上船じょうせんりゅうひろし睜眼いんしょうあねめん如滿がつ秋波しゅうは櫻桃おうとう小口こぐちみどりやなぎ蠻腰,真個しんこゆう沉魚落雁らくがんよう,閉月羞花貌,陡起おおかみしんとげあずかぴょう設計せっけいはたふね撐至ぼつ人煙じんえんしょこういたりよるせい三更さんこうさき將家しょうか僮殺はたひかりしべしかばね首都しゅと推在すいうらりょうしょうあねりょう丈夫じょうぶ,也便はた赴水。りゅうひろしいちだき住道すみのどう:「你若したがえわが萬事ばんじみなきゅうわかしたがえ一刀兩斷いっとうりょうだん。」しょうあねひろおもえけいただとくけんおううけたまわじゅんりょうりゅうひろしぞく船渡ふなといた南岸なんがんはたふね付與ふよぴょうかん就穿りょうこうしべ衣冠いかんおびりょうかん憑,同小どうしょうあね往江しゅうじょうにんりょう

10 ちんひかりしべ赴... :
卻說りゅうひろしころせてき僮屍くびじゅん水流すいりゅうおもんみゆうちんひかりしべてきかばねくび,沉在水底みなそこ不動ふどうゆうひろし江口えぐちじゅんうみ夜叉やしゃりょうほし飛報ひほうにゅう龍宮りゅうぐうせい值龍おうます殿どの夜叉やしゃ報道ほうどう:「いまひろし江口えぐち不知ふち甚人いち讀書どくしょはたかばね撇在水底みなそこ。」龍王りゅうおうさけべはたかばねもたげらいざい面前めんぜん仔細しさいいちどう:「此人せいすくいてき恩人おんじん如何いかひとはかりごとつね言道ことみち:『おんはたおんほう。』わが今日きょう須索すくいせいいのち,以報前之まえのおん。」そくうつし牒文一道いちどう夜叉やしゃみち往洪しゅうぐすく隍、土地とちしょ投下とうかよう秀才しゅうさい魂魄こんぱくらいすくいてきせいいのちしろ隍、土地とちとげ喚小おにちんひかりしべてき魂魄こんぱく交付こうふあずか夜叉やしゃ夜叉やしゃたいりょう魂魄こんぱくいた水晶すいしょうみや,稟見りょう龍王りゅうおう

11 ちんひかりしべ赴... :
龍王りゅうおうといどう:「你這秀才しゅうさいせい甚名だれ何方どなたじんいん甚到此,ひと?」ひかりしべほどこせれいどう:「小生しょうせいひねがくおもてこうしべかかりうみしゅうひろのう縣人けんじんかたじけな中新ちゅうしんじょうもと,叨授しゅうしゅうぬしどうつま赴任ふにんくだりいたり江邊えべ上船じょうせんりょうこずえりゅうひろしむさぼはかりごと我妻あづまはたわが拋屍。乞大おうすくえわがいちすくい。」龍王りゅうおう聞言どう:「はららい如此。先生せんせい,你前しゃしょ金色きんいろこいぎょそくわが也。你是すくいてき恩人おんじん,你今有難ありがたわがあにゆうすくい你之?」就把こうしべかばね安置あんちいちかべくち內含いち顆定がおたまきゅうきょう損壞そんかいりょうにちこうかえたましいほうかたきまたみち:「なんじこんたましいけん且在わがみず府中ふちゅう做個りょう。」ひかりしべ叩頭こうとうはいしゃ龍王りゅうおうしつらええんしょうまちだい

12 ちんひかりしべ赴... :
卻說いんしょうあね痛恨つうこんりゅうぞく,恨不食肉しょくにくがわただいんふところゆう孕,未知みち男女だんじょまんとくやめけん勉強べんきょうしょうしたがえてん盼之あいだ不覺ふかくやめいたしゅう。吏書もん皂,俱來迎接げいせつ所屬しょぞく官員かんいんおおやけどうしつらええんしょう敘。りゅうひろしどう:「學生がくせいいた此,ちょんよりゆき諸公しょこう大力だいりきただし。」屬官ぞっかんこたえどう:「どう尊大そんだいさきがけだかざい自然しぜんみん如子,訟簡けいきよしわがとうごうぞくゆうよりゆきなに必過けん?」おおやけえんやめやめ,眾人かく

13 ちんひかりしべ赴... :
光陰こういん迅速じんそくいちにちりゅうひろし公事こうじ遠出とおでしょうあねざい思念しねんばばばば丈夫じょうぶざいはなていじょう感嘆かんたんゆるがせしか身體しんたいこま倦,はら內疼つうかさもだえ在地ざいち不覺ふかくせいいちみみ有人ゆうじんしょく曰:「滿堂まんどう嬌,聽吾叮囑:われ南極なんきょくぼしくんたてまつ觀音かんのん菩薩ぼさつほうむねとくおく此子あずか你。にち聲名せいめい遠大えんだい等閑とうかんりゅうぞくわかかい,必害此子,なんじ用心ようじん保護ほごなんじおっとやめ龍王りゅうおうしょうすくいにち夫妻ふさいしょうかいははだんえん雪冤せつえんほうかたきゆう也。謹記われごとかい醒,かい醒。」げん訖而去。

14 ちんひかりしべ赴... :
しょうあね醒來,はた子抱こだきじょうけいほどこせゆるがせしかりゅうひろしかいらい一見いっけん此子,便びんよう淹殺。しょうあねどう:「今日きょうてんしょくやめばんようまち明日あした拋去江中えなか。」さいわい喜次よしつぐりゅうひろしゆるがせゆう緊急きんきゅう公事こうじ遠出とおでしょうあねくらおもえ:「此子わかまちぞくじんかいらいせいいのちきゅう矣。如及拋棄江中えなか,聽其生死せいし。倘或すめらぎ天見あまみ憐,有人ゆうじんすくえおさむやしなえ此子,他日たじつかえとくしょう逢。」ただしこわなん以識みとめそく咬破手指しゅしうつし血書けっしょいちはた父母ちちはは姓名せいめい、跟腳緣由えんゆ,備細ひらけまたはた此子ひだり腳上いち小指こゆびようこう咬下,以為けんあせいちけんつつみ裹此じょうそらだき衙門。幸喜こうき官衙かんがはなれこうとおしょうあねいたりょう江邊えべだい哭一じょうせいよく拋棄,ゆるがせこうきしきしがわ飄起いち片木かたぎいたしょうあねそくあさてんはい禱,はた此子安在あんざいいたじょうようたいばくじゅう血書けっしょ繫在むねまえ,推放江中えなか,聽其しょしょうあね含淚かい衙不だい

15 ちんひかりしべ赴... :
卻說此子ざいばんじょうじゅん水流すいりゅう,一直流到金山寺腳下停住。金山寺きんざんじ長老ちょうろうさけべ做法明和めいわなおおさむ悟道ごどうやめなまみょう訣。正當せいとうすわ參禪さんぜんゆるがせ聞得小兒しょうに啼哭こえ一時いちじこころどうきゅういた江邊えべかん只見ただみ涯邊いちへんばんじょうねむしるいち嬰兒えいじ長老ちょうろう慌忙すくいおこりりょう懷中かいちゅう血書けっしょぽう知來ちらいれきちちめいさけべ做江りゅうたくじん撫養むや血書けっしょ緊緊收藏しゅうぞう

16 ちんひかりしべ赴... :
光陰こういん日月じつげつ如梭。不覺ふかくりゅう年長ねんちょういちじゅうはちさい長老ちょうろう就叫そぎかみ修行しゅぎょう法名ほうみょうためげん奘,いただき受戒じゅかいけんしん修道しゅうどう

17 ちんひかりしべ赴... :
いちにち暮春ぼしゅん天氣てんき,眾人どうざい松陰まつかげしたこうけい參禪さんぜんだんせつおくみょう酒肉しゅにく和尚おしょう恰被げん奘難たおせ和尚おしょうだいいかののしみち:「你這ぎょう畜,姓名せいめい不知ふち父母ちちはは也不識,かえざい此搗甚麼いんもおに?」げん奘被ののし這般しゃはん言語げんごにゅうてら跪告師父しふなみだそうりゅうどう:「人生じんせい於天あいだ,稟陰而資ぎょうつきよしちち生母せいぼやしなえあに有為ゆういじん在世ざいせい而無父母ちちははしゃ乎?」再三さいさんあいつげもとめとい父母ちちはは姓名せいめい長老ちょうろうどう:「你真個しんこようひろ父母ちちははしたがえわがいた方丈ほうじょううららい。」げん奘就跟到方丈ほうじょう長老ちょうろういたじゅうはりうえしもいちしょうくしげ打開だかいらい取出とりで血書けっしょいちあせいちけん付與ふよげん奘。げん奘將血書けっしょ拆開讀之,さい備細あかつきとく父母ちちはは姓名せいめいなみ冤仇事跡じせき

18 ちんひかりしべ赴... :
げん奘讀やめ不覺ふかく哭倒在地ざいちどう:「父母ちちははかたき不能ふのう報復ほうふくなに以為じんじゅうはち年來ねんらい生身なまみ父母ちちははいたり今日きょうかたゆう母親ははおや。此身わか師父しふ撈救撫養むやあんゆう今日きょうよう弟子でし尋見たずみ母親ははおやしかこう頭頂とうちょうぼんじゅうけん殿宇でんうほうこたえ師父しふふかおん也。」師父しふどう:「你要ひろははたい血書けっしょあずかあせ衫前ただ做化えんみち往江しゅうわたし衙,さいとく母親ははおやしょう。」

19 ちんひかりしべ赴... :
げん奘領りょう師父しふ言語げんご,就做えんてき和尚おしょうみちいたりしゅうてき值劉ひろし有事ゆうじ出外ではずれ,也是てんさけべ母子ぼししょうかいげん奘就ちょくいたりわたし衙門こうしょういんしょうあねばららい夜間やかんとくりょういちゆめ夢見ゆめみがつかけさいえんくらそうどう:「わがばばばば不知ふち音信いんしんわが丈夫じょうぶ這賊謀殺ぼうさつてき拋在江中えなか,倘若有人ゆうじんおさむやしなえさんらいゆうじゅうはちさい矣,ある今日きょうてんきょうしょうかいまた可知かち。」せい沉吟あいだゆるがせ聽私衙前有人ゆうじんねんけいれんさけべしょう」,しょうあねまたじょう便びん出來できといどう:「你是何處どこてき?」げん奘答どう:「ひんそう乃是金山寺きんざんじほうあきら長老ちょうろうてき徒弟とてい。」しょうあねどう:「你既金山寺きんざんじ長老ちょうろうてき徒弟とていさけべすすむ衙來,はたときめしあずかげん奘吃。仔細しさい舉止げんだんこうあずか丈夫じょうぶ一般いっぱん

20 ちんひかりしべ赴... :
しょうあねはたしたがえ婢打はつひらけもんどう:「你這しょう師父しふかえよう出家しゅっけてきかえ中年ちゅうねん出家しゅっけてきせい甚名だれゆう父母ちちはは?」げん奘答どう:「わが也不よう出家しゅっけわが也不中年ちゅうねん出家しゅっけわがせつおこりらい,冤有天來てんらいだいかたき有海ありうみさまふかわがちちひとはかりごとわがはは卻被ぞくじんうらないりょうわが師父しふほうあきら長老ちょうろうきょうわが在江あるえしゅう衙內ひろ母親ははおや。」しょうあねといどう:「你母せい甚?」げん奘道:「わがははせいいんめい喚溫嬌。わがちちせいひねめいこうしべわが小名しょうみょうさけべ做江りゅうほう名取なとりためげん奘。」しょうあねどう:「ゆたか嬌就ただし你今ゆうなん憑據?」げん奘聽せつ母親ははおやそうひざ跪下,あいあいだい哭:「わがむすめわか不信ふしんゆう血書けっしょあせ衫為しょう。」あつし嬌取いち果然かぜんしん母子ぼししょうだき而哭。就叫:「わがかい。」げん奘道:「じゅう八年不識生身父母,今朝けさ才見さいみ母親ははおやきょう孩兒がいじ如何いかわり捨?」しょうあねどう:「わが,你火そく抽身まえりゅうぞくわかかい必害你性いのちわが明日あした假裝かそういちびょうただせつ先年せんねん曾許捨ひゃくそうそう鞋,らい你寺ちゅうかえねがい時節じせつわがゆうばなしあずか你說。」げん奘依げんはいべつ

21 ちんひかりしべ赴... :
卻說しょうあねこれこころ內一いちゆるがせいちにち推病,茶飯ちゃめしども於床じょうりゅうひろし衙,もん其原そのはらゆえしょうあねどう:「わが幼時ようじ曾許いちねがいもと捨僧鞋一ひゃくそうさくにちまえ夢見ゆめみ和尚おしょうしゅ利刃りじんようさくそう鞋,便びんさとし不快ふかい。」りゅうひろしどう:「這些小事しょうじなにはやせつ?」ずいますどう,吩咐おうひだり衙、みぎ衙:しゅうぐすく百姓ひゃくしょうまいいえよう辦僧鞋一雙いっそうげんにち完納かんのう。百姓俱依派完納訖。しょうあねたいりゅうひろしどう:「そう鞋做かん,這裡ゆう甚麼いんも寺院じいんこうかえねがい?」りゅうひろしどう:「這江しゅうゆう金山寺きんざんじこげ山寺やまでら,聽你ざいてらうら。」しょうあねどう:「ひさ聞金山寺やまでら好個こうこ寺院じいんわが就往金山寺きんざんじ。」りゅうひろしそく喚王、衙辦下船げせんせきしょうあねたいりょう心腹しんぷくじん同上どうじょうりょうせんこずえはたふね撐開,就投金山寺きんざんじ

22 ちんひかりしべ赴... :
卻說げん奘回てらほうあきら長老ちょうろう前項ぜんこうせつりょういちへん長老ちょうろう甚喜。つぎ只見ただみ一個丫鬟先到,せつ夫人ふじんらいてらかえねがい。眾僧都そうずてら迎接げいせつしょうあねみちしん寺門てらかどまいりりょう菩薩ぼさつだいしつらえとき襯。喚丫鬟將そう鞋暑襪托於盤內,いたほうどうしょうあねふくひねこころこう禮拜れいはい,就教ほうあきら長老ちょうろうぶんたわらあずか眾僧訖。げん奘見眾僧りょうほう堂上どうじょうさらいちにん卻近ぜん跪下。しょうあねさけべだつりょう鞋襪ひだり腳上果然かぜんしょうりょういちしょう指頭しとう當時とうじ兩個りゃんこまただきじゅう而哭,はいしゃ長老ちょうろう養育よういくおんほう明道あけみち:「なんじこん母子ぼししょうかいおそれ奸賊かんぞく知之ともゆきそくそく抽身かい,庶免其禍。」しょうあねどう:「わがわがあずかいちせきたまき,你徑いたひろししゅう西北にしきた地方ちほうやくゆういちせんひゃくほどうらゆうまんはなてん當時とうじとめばばばばちょうざいうら父親ちちおや生身なまみははわがさいうつし一封書與你,みちいた唐王とうのうすめらぎじょう內,きむ殿どの左邊さへんいん開山かいさん丞相じょうしょう你母生身なまみ父母ちちはは。你將てきしょ遞與がいおおやけさけべがいおおやけ奏上そうじょう唐王とうのうみつるりょう人馬じんばとりこころせ此賊,あずかちちほうかたきざいすくえろうむすめてき出來できわがいま敢久とままことおそれぞくかん怪我けがおそ。」便びんてらとうぶね而去。

23 ちんひかりしべ赴... :
げん奘哭かいてらちゅうつげ師父しふ即時そくじはいべつみち往洪しゅういたまんはなてんもん店主てんしゅりゅうしょう二道ふたみち:「昔年せきねんしゅうひねきゃく官有かんゆう一母親住在你店中,如今こう麼?」りゅうしょう二道ふたみち:「はらざいてんちゅう後來こうらい昏了さん四年並無店租還我。如今ざいみなみもんあたま一個破瓦窰裡,每日まいにちうえがいさけべきゃくかんいちもとひさしいた如今杳無しんいき不知ふちためなに。」げん奘聽やめ即時そくじとえいたみなみもんあたまやぶかわら窰,ひろちょばばばばばばばばどう:「你聲おんこうわがちんひかりしべ。」げん奘道:「わがちんひかりしべわがちんひかりしべてきゆたか嬌小あねてきむすめ。」ばばばばどう:「你爹むすめ怎麼?」げん奘道:「わが爹爹強盜ごうとうりょうわがむすめ強盜ごうとう霸占ためつま。」ばばばばどう:「你怎麼曉どくらいひろ?」げん奘道:「わがむすめちょわがらいひろばばばばわがむすめゆうしょざい此,また有香ゆかたまきいちせき。」ばばばばせっりょうしょなみたまきこえ痛哭つうこくどう:「わがため功名こうみょういた此,わがただどう忘恩ぼうおん那知なちひとはかりごと。且喜とくすめらぎてん憐念,ぜっこれ今日きょうかえゆう孫子まごこらいひろ。」げん奘問:「ばばばばてき如何いか昏了?」ばばばばどう:「わがいん思量しりょう父親ちちおや終日しゅうじつかかもちいん此上哭得りょう昏了。」

24 ちんひかりしべ赴... :
げん奘便跪倒むかいたかし禱告どう:「こんげん奘一じゅうはちさい父母ちちははかたき不能ふのう報復ほうふく今日きょうりょうははいのちらいひろばばばば天若あまわか憐鑒弟子でし誠意せいいたもてわがばばばば雙眼そうがんふくあかり。」しゅくやめ,就將舌尖ぜっせんあずかばばばば舔眼。須臾しゅゆあいだ雙眼そうがん舔開,仍復如初。ばばばば覷了しょうかず尚道なおみち:「你果てき孫子まごこ,恰和こうしべ形容けいよう無二むに。」ばばばば又喜またきまた悲。げん奘就りょうばばばばりょう窰門,かえいたりゅうしょうてん內。はた些房ぜにちんいちあいだあずかばばばば棲身。またはたばんまといあずかばばばばどう:「わが此去,ただ月餘げつよ就回。」

25 ちんひかりしべ赴... :
したがえそくりょうばばばばみち往京じょうひろいたすめらぎ城東じょうとうがいいん丞相じょうしょうじょうあずかもん上人しょうにんどう:「小僧こぞう親戚しんせきらいさがせしょうこう。」もん上人しょうにん稟知丞相じょうしょう丞相じょうしょうどう:「わがあずか和尚おしょう並無ならびなしん眷。」夫人ふじんどう:「わが昨夜さくや夢見ゆめみわが女兒じょじ滿堂まんどう嬌來,莫不女婿じょせいゆう書信しょしんかいらい也?」丞相じょうしょう便びんきょう請小和尚おしょうらいいたちょうじょうしょう和尚おしょうりょう丞相じょうしょうあずか夫人ふじん,哭拜在地ざいち,就懷ちゅう取出とりでいち封書ふうしょらい,遞與丞相じょうしょう丞相じょうしょう拆開,したがえあたま讀罷,こえ痛哭つうこく夫人ふじんといどう:「あいおおやけゆうなん事故じこ?」丞相じょうしょうどう:「這和なおわがあずか你的外孫そとまご女婿じょせいちんひかりしべぞくはかりごと滿堂まんどう嬌被ぞくきょううらないためつま。」夫人ふじん聽罷,また痛哭つうこくとめ丞相じょうしょうどう:「夫人ふじんきゅうとく煩惱ぼんのう來朝らいちょうそう主上しゅじょうおやすべへいていようあずか女婿じょせいほうかたき。」

26 ちんひかりしべ赴... :
つぎ丞相じょうしょう入朝にゅうちょうけいそう唐王とうのう曰:「こんゆうしん婿むこじょうもとちんひかりしべおび領家りょうけ小江こえしゅう赴任ふにんこずえりゅうひろしうらないおんなためつまかりおかせしん婿むこためかん多年たねんことぞく異變いへん,乞陛下立おりたてはつ人馬じんば,剿除ぞく寇。」唐王とうのうみるそうだいいか,就發はやしぐんろくまんちょいん丞相じょうしょうとくへいまえ丞相じょうしょうりょうむねあさそく往教じょう內點りょうへいみち往江しゅう進發しんぱつあかつきぎょうよる宿やどほし落鳥不覺ふかくやめいたしゅういん丞相じょうしょう兵馬へいば俱在北岸ほくがんりょう營寨。星夜せいやれい金牌きんぱい下戶げこ喚到しゅうどうしゅうばんにん丞相じょうしょうたいせつ此事,さけべひさげへいしょうすけ一同いちどうこう而去。てんひさし未明みめい,就把りゅうひろし衙門かこえりょうりゅうひろしせいざい夢中むちゅう,聽得炮一ひびききむひとし,眾兵ころせすすむわたし衙,りゅうひろし措手及,はやとりこじゅう丞相じょうしょうでん軍令ぐんれいはたりゅうひろし一干人犯綁赴法場,れい眾軍俱在じょうがいやす營去りょう

27 ちんひかりしべ赴... :
丞相じょうしょう直入なおいり衙內せいちょうすわした,請小あね出來できしょうしょうあねよくまちよう,羞見父親ちちおや,就要縊。げん聞知ぶんちきゅうきゅうしょうははかいすくえそうひざ跪下,たいははどう:「あずかそとこうすべへいいたり此,あずかちちほうかたき今日きょうぞくやめとりこ捉,母親ははおや何故なぜはんようひろ母親ははおや若死わかじに孩兒がいじあにのうそん乎?」丞相じょうしょうまたすすむ衙勸かいしょうあねどう:「われ聞『婦人ふじんしたがえいち而終』。つうおっとやめぞくじんしょころせあに靦顏したがえぞくとめいんのこはらざいただとくにんはじ偷生。こんこうやめ長大ちょうだいまた老父ろうふひさげへいほうかたきため女兒じょじしゃゆうなん面目めんぼくしょうおもんみゆう一死いっし以報丈夫じょうぶみみ。」丞相じょうしょうどう:「此非我ひが盛衰せいすいあらためぶしみないん乎不とくやめなんとくためはじ?」父子ふししょうだき而哭,げん奘亦あいあいとめ丞相じょうしょうぬぐえなみだどう:「你にん且休煩惱ぼんのうわがいまやめとりこ捉仇ぞく,且去はつ去來きょらい。」そくおこりいたほうじょう恰好かっこうしゅうどうまた哨兵しょうへい拿獲すいぞくぴょうかいいた丞相じょうしょう大喜だいぎ,就令ぐんろう押過りゅうひろしぴょうまいひとつういちひゃくだい棍,りょうきょうじょう,招了先年せんねんごうはかりごとひねこうしべじょうゆかりさきはたぴょうくぎざいうさぎうまじょう,推去曹,剮了せんがたな梟首きょうしゅしめせ眾訖。りゅうひろし拿到ひろし江渡えとくち先年せんねんひねこうしべしょ丞相じょうしょうあずかしょうあねげんさんにんおやいた江邊えべもちそらさい奠,かつ剜取りゅうひろし心肝しんかんまつりりょうこうしべしょうりょう祭文さいぶん一道いちどう

28 ちんひかりしべ赴... :
さん人望じんぼうこう痛哭つうこくはややめおどろきどう水府すいふゆうじゅんうみ夜叉やしゃすすむ祭文さいぶんていあずか龍王りゅうおう龍王りゅうおうやめ,就差鱉元帥げんすい請光しべらいいたみち:「先生せんせいきょうきょうこんゆう先生せんせい夫人ふじん公子こうしどうたけたけ俱在江邊えべさい你。わがいまおく你還たましい也。さいゆう如意にょいたまいち顆、はしばんたま顆、しぼじゅうはしあきら珠玉しゅぎょくたいいちじょう奉送ほうそう。你今便びん夫妻ふさいははしょうかい也。」ひかりしべさい三拜さんぱいしゃ龍王りゅうおう就令夜叉やしゃすすむこうしべかばね送出そうしゅつ江口えぐちかえたましい夜叉やしゃりょういのち而去。

29 ちんひかりしべ赴... :
卻說いんしょうあね哭奠丈夫じょうぶいちばんまたよくすすむ赴水而死,慌得げん奘拚いのち扯住。せいざい倉皇そうこうさいゆるがせ水面すいめんじょういち死屍しし浮來,もたれ近江おうみがんはたしょうあねせわしこうまえみとめみとめ丈夫じょうぶてきかばねくび,一發嚎啕大哭不已。眾人俱來かん只見ただみひかりしべ舒拳しん腳,ややすすむてんどうゆるがせ爬將おこりらいすわした。眾人かちおどろき駭。ひかりしべ開眼かいがん早見はやみいんしょうあねあずか丈人たけといん丞相じょうしょうどうしるしょう和尚おしょう俱在身邊しんぺん啼哭。ひかりしべどう:「你們ためなんざい此?」しょうあねどう:「いんなんじぞくじん後來こうらいわらわせい此子,こうぐう金山寺きんざんじ長老ちょうろう撫養むや長大ちょうだいひろしょうかいわがきょうひろがいこう父親ちちおや得知とくち奏聞そうもん朝廷ちょうていみつるへいいた此,拿住ぞくじん適才てきさいせい心肝しんかんもちそらさい奠我おっと不知ふちわがおっと怎生またかえたましい?」ひかりしべどう:「みないんわがあずか你昔ねんざいまんはなてんかいりょう金色きんいろこいぎょだれこいぎょ就是此處ここ龍王りゅうおう後來こうらい逆賊ぎゃくぞくわが推在水中すいちゅうぜん虧得すくいかたざいまたたまわわがかえたましいおくわが寶物ほうもつ,俱在身上しんじょうさらそう你生這兒またとくだけたけためわがほうかたきつきあま莫大ばくだい。」

30 ちんひかりしべ赴... :
眾官聞知ぶんちらい丞相じょうしょう就令やすはい酒席しゅせきとうしゃ所屬しょぞく官員かんいん即日そくじつ軍馬ぐんばかいほどいたまんはなてん丞相じょうしょう傳令でんれいやす營。ひかりしべ便びんどうげん奘到りゅうてんひろばばばばばばばば當夜とうやとくりょういちゆめ夢見ゆめみ枯木かれき開花かいかかささぎ頻頻ひんぴん喧噪けんそうそうどう:「莫不わがまごらい也?」せつなお未了みりょう只見ただみてん門外もんがいひかりしべ父子ふしひとしいたしょう和尚おしょうゆびどう:「這不おればばばば?」ひかりしべりょう老母ろうぼれんせわしはいたおせ母子ぼしだきあたま痛哭つうこく一場いちじょうじょうこうごとせつりょういちへんさんかえりょうしょうてんぜにおこりほどかいいたきょうじょうすすむりょうしょうひかりしべ同小どうしょうあねあずかばばばばげん奘都來見くるみりょう夫人ふじん夫人ふじん勝之かつゆき,吩咐僮,だいはいむしろえん慶賀けいが丞相じょうしょうどう:「今日きょう此宴,めいためだんえんかい。」真正しんしょうごう歡樂かんらく

31 ちんひかりしべ赴... :
つぎ早朝そうちょうからおうのぼる殿どのいん丞相じょうしょうはんはた前後ぜんご事情じじょう備細けいそうなみこもこうしべざい大用おおゆう唐王とうのうじゅんそうそくいのち陞陳がくため學士がくししょくずいあさせいげん奘立やすぜんおくざいひろしぶくてら修行しゅぎょう後來こうらいいんしょうあね畢竟ひっきょう從容しょうよう自盡じじんげん奘自いた金山寺きんざんじちゅうむくいこたえほうあきら長老ちょうろう

32 ちんひかりしべ赴... :
不知ふち後來こうらいことからだわかなに,且聽かい分解ぶんかい

たくわれ先生せんせい批評ひひょう西にしゆう
たくわれ先生せんせい批評ひひょう西にしゆう
URN: ctp:xiyouji/ch9