西遊記 : 二僧蕩怪鬧龍宮　群聖除邪獲寶貝

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《二僧蕩怪鬧龍宮　群ぐん聖せい除じょ邪よこしま獲え寶貝ほうがい》

1 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	卻說祭さい賽さい國王こくおう與あずか大小だいしょう公卿くぎょう見み孫まご大聖たいせい與八よはち戒騰雲くも駕が霧きり，提ひさげ著ちょ兩個りゃんこ小しょう妖飄然ひょうぜん而去，一いち個個ここ朝あさ天てん禮拜れいはい道どう：「話はなし不ふ虛傳きょでん，今日きょう方かた知ち有ゆう此輩神仙しんせん活佛かつぶつ。」又また見み他た遠とお去さ無む蹤，卻拜謝しゃ三藏さんぞう、沙すな僧そう道どう：「寡人肉眼にくがん凡胎，只ただ知ち高だか徒と有力ゆうりょく量りょう，拿住妖賊便びん了りょう，豈あに知ち乃騰雲くも駕が霧きり之の上うえ仙せん也。」三藏さんぞう道どう：「貧ひん僧そう無む些法力りょく，一路上多虧這三個小徒。」沙すな僧そう道どう：「不ふ瞞陛下か說せつ，我わが大師だいし兄けい乃齊天てん大聖たいせい皈依，他た曾大鬧天宮てんぐう，使つかい一いち條じょう金きん箍たが棒ぼう，十じゅう萬まん天てん兵へい，無む一いち個こ對たい手て，只ただ鬧得太ふとし上じょう老ろう君くん害がい怕，玉たま皇すめらぎ大帝たいてい心しん驚おどろき。我わが二師兄乃天蓬元帥果正，他た也曾掌てのひら管かん天てん河かわ八はち萬まん水兵すいへい大だい眾。惟おもんみ我わが弟子でし無む法力ほうりき，乃捲簾すだれ大將たいしょう受戒じゅかい。愚弟ぐてい兄けい若わか幹みき別べつ事ごと無能むのう，若わか說せつ擒とりこ妖縛怪かい、拿賊捕と亡ほろび、伏ふく虎とら降くだ龍りゅう、踢天弄ろう井い，以至攪海翻こぼし江こう之これ類るい，略りゃく通どおり一いち二に。這騰雲くも駕が霧きり、喚雨呼よび風ふう，與那よな換かわ斗と移うつり星ぼし、擔山趕月，特とく餘事よじ耳みみ，何なん足そく道哉みちや！」國王こくおう聞說きくならく，愈いよいよ十分じゅうぶん加か敬けい，請唐僧上そうじょう坐すわ，口口くちぐち稱しょう為ため「老ろう佛ふつ」，將はた沙すな僧そう等とう皆みな稱しょう為ため「菩薩ぼさつ」。滿まん朝あさ文武ぶんぶ欣然きんぜん，一國黎民頂禮不題。
2 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	卻說孫まご大聖たいせい與八よはち戒駕著ちょ狂風きょうふう，把わ兩個りゃんこ小しょう妖攝到いた亂らん石山いしやま碧あおい波なみ潭，住じゅう定てい雲くも頭あたま。將しょう金きん箍たが棒ぼう吹了一いち口くち仙せん氣き，叫さけべ：「變へん！」變へん作さく一いち把わ戒刀，將はた一個黑魚怪割了耳朵，鮎あゆ魚ぎょ精せい割わり了りょう下か唇くちびる，撇在水すい裡うら，喝かつ道どう：「快かい早はや去さ對たい那な萬まん聖せい龍王りゅうおう報知ほうち，說せつ我わが齊ひとし天てん大聖たいせい孫まご爺じい爺じい在ざい此，著しる他ほか即そく送おく祭さい賽さい國こく金光こんこう寺てら塔とう上じょう的てき原げん寶たから出來でき，免めん他た一家いっか性せい命いのち；若わか迸ほとばし半はん個こ『不ふ』字じ，我わが將はた這潭水すい攪淨，教きょう他た一門いちもん兒じ老幼ろうよう遭誅。」
3 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	那な兩個りゃんこ小しょう妖得了りょう命いのち，負まけ痛つう逃生，拖著鎖くさり索さく，淬入水じゅすい內。諕得那な些黿鼉龜鱉，蝦蟹えびがに魚ぎょ精しらげ，都と來らい圍かこえ住じゅう問とい道どう：「你兩個りゃんこ為ため何なん拖繩帶たい索さく？」一いち個こ掩著耳みみ，搖ゆら頭あたま擺尾；一いち個こ侮あなど著しる嘴くちばし，跌腳搥胸。都と嚷嚷鬧鬧，徑みち上じょう龍王りゅうおう宮殿きゅうでん：「報ほう大王だいおう，禍事まがごと了りょう。」那な萬聖龍王正與九頭駙馬飲酒，忽ゆるがせ見み他た兩個りゃんこ來らい，即そく停とま杯はい問とい何なん禍事まがごと。那な兩個りゃんこ即そく告つげ道どう：「昨夜さくや巡じゅん探さがせ，被ひ唐から僧そう、孫まご行者ぎょうじゃ掃塔捉獲，用よう鐵索てっさく拴鎖。今こん早見はやみ國王こくおう，又また被ひ那な行者ぎょうじゃ與あずか豬八戒抓著我兩個，一個割了耳朵，一いち個こ割わり了りょう嘴くちばし唇くちびる，拋在水中すいちゅう，著しる我わが來報らいほう，要よう索さく那な塔とう頂いただき寶貝ほうがい。」遂とげ將はた前ぜん後事こうじ細說さいせつ了りょう一いち遍へん。那な老ろう龍りゅう聽說是ぜ孫まご行者ぎょうじゃ齊ひとし天てん大聖たいせい，諕得魂たましい不ふ附ふ體たい，魄たま散ち九きゅう霄，戰せん兢兢きょうきょう對たい駙馬道どう：「賢けん婿むこ啊，別個べっこ來らい還かえ好こう計けい較，若わか果はて是ぜ他た，卻不善ふぜん也。」駙馬笑わらい道どう：「太ふとし岳だけ放心ほうしん。愚ぐ婿むこ自じ幼よう學がく了りょう些武藝げい，四海しかい之の內，也曾會かい過か幾いく個こ豪傑ごうけつ，怕他做甚？等ひとし我わが出で去ざ與あずか他た交戰こうせん三さん合ごう，管かん取と那な廝縮首くび歸き降くだ，不ふ敢仰視し。」
4 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	好こう妖怪ようかい，急きゅう縱たて身み披掛了りょう，使つかい一般いっぱん兵器へいき，叫さけべ做月牙きば鏟，步ふ出で宮みや，分ふん開ひらけ水道すいどう，在ざい水面すいめん上じょう叫さけべ道どう：「是ぜ甚麼いんも齊ひとし天てん大聖たいせい？快かい上うえ來らい納おさめ命いのち。」行者ぎょうじゃ與八よはち戒立在ざい岸邊きしべ，觀かん看み那な妖精ようせい怎生打だ扮ふん：
Jump to dictionary		戴一頂爛銀盔，光ひかり欺白雪ゆき；貫ぬき一いち副ふく兜かぶと鍪甲，亮あきら敵てき秋霜しゅうそう。上うえ罩著錦にしき征せい袍ほう，真個しんこ是ぜ彩雲さいうん籠かご玉だま；腰こし束たば著ちょ犀さい紋もん帶たい，果然かぜん像ぞう花はな蟒纏金きん。手て執と著ちょ月がつ牙きば鏟，霞かすみ飛電ひでん掣；腳穿著ちょ豬皮靴くつ，水利すいり波分はぶ。遠とお看み時じ一いち頭とう一いち面めん，近きん睹處四よん面めん皆みな人じん：前ぜん有ゆう眼め，後ご有ゆう眼め，八方はっぽう通どおり見み；左ひだり也口，右みぎ也口，九きゅう口くち言論げんろん。一聲いっせい吆喝長ちょう空振からぶり，似に鶴づる飛ひ鳴な貫ぬき九きゅう宸。
5 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	他見たけん無人むじん對たい答こたえ，又また叫さけべ一聲いっせい：「那な個こ是ぜ齊ひとし天てん大聖たいせい？」行者ぎょうじゃ按一按金箍たが，理り一理いちり鐵棒てつぼう道どう：「老ろう孫まご便びん是ぜ。」那な怪かい道どう：「你家居かきょ何處どこ？身み出で何方どなた？怎生得え到いた祭さい賽さい國こく，與那國よなぐに王おう守まもる塔とう，卻大膽だいたん獲え我わが頭目とうもく，又また敢行かんこう兇，上うえ吾われ寶山たからやま索さく戰せん？」行者ぎょうじゃ罵ののし道みち：「你這賊ぞく怪かい，原はら來らい不ふ識你孫まご爺じい爺じい哩まいる。你上前まえ，聽我道どう：
Jump to dictionary		老ろう孫まご祖そ住じゅう花はな果はて山さん，大海たいかい之の間あいだ水すい簾すだれ洞ほら。自じ幼よう修成しゅうせい不壞ふえ身み，玉たま皇すめらぎ封ふうじ我わが齊ひとし天てん聖ひじり。只ただ因いん大だい鬧斗牛ぎゅう宮みや，天上てんじょう諸しょ神かみ難なん取と勝かち。當とう請如來にょらい展てん妙みょう高だか，無邊むへん智慧ちえ非凡ひぼん用よう。為ため翻こぼし觔斗賭と神通じんずう，手て化か為山いざん壓あつ我わが重じゅう。整せい到いた如今五ご百ひゃく年ねん，觀音かんのん勸すすむ解方ときかた逃命。大だい唐から三藏さんぞう上西かみにし天たかし，遠とお拜はい靈山りょうぜん求もとむ佛ふつ頌。解脫げだつ吾われ身み保護ほご他た，煉ねり魔ま淨きよし怪かい從したがえ修行しゅぎょう。路みち逢西域せいいき祭さい賽さい城じょう。屈こごめ害がい僧そう人じん三さん代だい命いのち。我わが等とう慈悲じひ問とい舊情きゅうじょう，乃因塔とう上じょう無む光ひかり映うつ。吾われ師し掃塔探さがせ分明ぶんめい，夜よる至いたり三更さんこう天籟てんらい靜せい。捉住妖精ようせい取と實じつ供きょう，他言たごん汝なんじ等とう偷寶貝かい。合ごう盤ばん為ため盜ぬすめ有ゆう龍王りゅうおう，公主こうしゅ連名れんめい稱しょう萬まん聖ひじり。血ち雨う澆淋塔とう上光かみみつ，將はた他た寶貝ほうがい偷來用よう。殿しんがり前ぜん供きょう狀じょう更さら無む虛きょ，我わが奉たてまつ君きみ言げん馳はせ此境。所以ゆえん相しょう尋ひろ索さく戰爭せんそう，不ふ須再問とい孫まご爺じい姓せい。快かい將しょう寶貝ほうがい獻けんじ還かえ他ほか，免めん汝なんじ老少ろうしょう全ぜん家いえ命いのち。敢若無知むち騁勝強きょう，教きょう你水涸山頹都蹭蹬。」
6 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	那な駙馬聞言，微微びび冷笑れいしょう道どう：「你原來らい是ぜ取と經けい的てき和尚おしょう，沒ぼつ要よう緊羅織お管かん事ごと。我わが偷他的てき寶貝ほうがい，你取佛ふつ的てき經文きょうもん，與あずか你何干ひ，卻來廝鬥？」行者ぎょうじゃ道どう：「這賊怪かい甚不達たち理り。我わが雖不受國王おう的てき恩惠おんけい，不ふ食しょく他た的てき水みず米まい，不ふ該與他た出力しゅつりょく；但ただし是ぜ你偷他た的てき寶貝ほうがい，污他的てき寶塔ほうとう，屢年屈こごめ苦く金光こんこう寺僧じそう人じん，他た是ぜ我わが一門いちもん同氣どうき，我わが怎麼不ふ與あずか他た出力しゅつりょく，辨明べんめい冤枉えんおう？」駙馬道どう：「你既如此，想そう是ぜ要かなめ行ゆき賭と鬥。常つね言道ことみち：『武たけ不善ふぜん作さく。』但ただし只ただ怕起手しゅ處しょ，不ふ得とく留とめ情じょう，一時間傷了你的性命，誤あやま了りょう你去取と經けい。」
7 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	行者ぎょうじゃ大だい怒いか，罵ののし道みち：「這潑賊ぞく怪かい，有ゆう甚強能のう，敢開大口おおぐち？走はし上うえ來らい，吃ども老ろう爺じい一いち棒ぼう。」那な駙馬更さら不ふ心しん慌，把わ月がつ牙きば鏟架住じゅう鐵棒てつぼう，就在那な亂らん石山いしやま頭あたま，這一場じょう真個しんこ好こう殺ころせ：
Jump to dictionary		妖魔ようま盜ぬすめ寶塔ほうとう無む光ひかり，行ぎょう者しゃ擒とりこ妖報國王こくおう。小しょう怪かい逃生回かい水すい內，老ろう龍りゅう破やぶ膽きも各かく商量しょうりょう。九きゅう頭とう駙馬施ほどこせ威武いぶ，披掛前まえ來らい展てん素もと強きょう。怒いか發はつ齊ひとし天孫てんそん大聖たいせい，金きむ箍たが棒ぼう起おこり十じゅう分ふん剛つよし。那な怪物かいぶつ，九きゅう個こ頭あたま顱十じゅう八はち眼め，前ぜん前後ぜんご後ご放ひ毫光；這行者しゃ，一雙いっそう鐵てつ臂ひじ千せん斤きん力りょく，藹藹あいあい紛紛ふんぷん並なみ瑞祥ずいしょう。鏟似一いち陽ひ初はつ現げん月つき，棒ぼう如萬まん里さと遍へん飛ひ霜しも。他た說せつ：「你無干ひ休きゅう把わ不平ふへい報ほう。」我わが道みち：「你有意ゆうい偷寶真ま不良ふりょう。那な潑賊，少しょう輕けい狂きょう，還かえ他た寶貝ほうがい得とく安康あんこう。」棒ぼう迎むかえ鏟架爭そう高下こうげ，不ふ見み輸贏ゆえい練ねり戰場せんじょう。
8 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	他た兩個りゃんこ往往おうおう來き來き，鬥經三さん十じゅう餘よ合ごう，不ふ分ぶん勝負しょうぶ。豬八戒立在ざい山やま前まえ，見み他た們戰到いた甜美之の處しょ，舉著釘くぎ鈀，從したがえ妖精ようせい背後はいご一いち築ちく。原はら來らい那な怪かい九きゅう個こ頭あたま，轉轉てんてん都と是ぜ眼睛がんせい，看み得え明白めいはく。見み八はち戒在背せ後來こうらい時じ，即そく使つかい鏟鐏架か著ちょ釘くぎ鈀，鏟頭抵著鐵棒てつぼう。又また耐たい戰せん五ご七なな合ごう，擋不得どく前後ぜんこう齊ひとし掄，他た卻打個こ滾たぎ，騰あが空そら跳とべ起おこり，現げん了りょう本ほん像ぞう，乃是一いち個こ九きゅう頭とう蟲ちゅう。觀かん其形像ぞう十じゅう分ふん惡あく，見み此身模も怕殺人じん。他た生得しょうとく：
Jump to dictionary		毛羽けば鋪しき錦にしき，團だん身み結ゆい絮。方圓ほうえん有ゆう丈たけ二に規模きぼ，長短ちょうたん似に黿鼉樣さま致。兩りょう隻せき腳尖利り如鉤，九きゅう個こ頭あたま攢環一いち處しょ。展開てんかい翅極善ぜん飛揚ひよう，縱たて大鵬たいほう無む他力たりき氣き；發起ほっき聲ごえ遠とお振ふ天涯てんがい，比ひ仙せん鶴づる還かえ能のう高だか唳。眼め多た閃灼晃あきら金光かねみつ，氣き傲不同どう凡鳥類るい。
9 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	豬八戒看見心驚道：「哥啊，我わが自じ為ため人じん，也不曾見這等個こ惡あく物ぶつ。是ぜ甚血氣き生せい此禽獸じゅう也？」行者ぎょうじゃ道どう：「真個しんこ罕有，真個しんこ罕有。等ひとし我わが趕上打だ去さ。」好こう大聖たいせい，急きゅう縱たて祥さち雲くも，跳とべ在ざい空中くうちゅう，使つかい鐵棒てつぼう照あきら頭あたま便びん打だ。那な怪物かいぶつ大だい顯あらわ身み，展翅てんし斜はす飛ひ，颼的打だ個こ轉身てんしん，掠かすめ到いた山やま前まえ，半はん腰こし裡うら又また伸しん出で一いち個こ頭あたま來らい，張ちょう開口かいこう如血盆ぼん相似そうじ，把わ八戒一口咬著鬃，半はん拖半扯，捉下碧あお波は潭水內而去。及至龍宮りゅうぐう外がい，還かえ變へん作さく前ぜん番ばん模樣もよう，將はた八はち戒擲之の於地，叫さけべ：「小しょう的てき們何在ざい？」那な裡うら面めん鯖さば鮊鯉鱖之魚ぎょ精しらげ，龜かめ鱉黿鼉之介かい怪かい，一いち擁よう齊ひとし來き，道みち聲ごえ：「有ゆう。」駙馬道どう：「把わ這個和尚おしょう綁在那な裡うら，與あずか我わが巡じゅん探さがせ的てき小しょう卒そつ報ほう仇かたき。」眾精推推嚷嚷，擡もたげ進すすむ八はち戒去時じ，那な老ろう龍王りゅうおう歡喜かんき，迎むかい出いずる道どう：「賢けん婿むこ有功ゆうこう，怎生捉他來らい也？」那な駙馬把わ上じょう項こう原はら故こ說せつ了りょう一いち遍へん。老ろう龍りゅう即そく命いのち排はい酒しゅ賀が功こう不ふ題だい。
10 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	卻說孫まご行者ぎょうじゃ見み妖精ようせい擒とりこ了りょう八戒はっかい，心中しんちゅうの懼道：「這廝恁般利害りがい。我わが待まち回かい朝見ちょうけん師し，恐おそれ那な國王こくおう笑わらい我わが；待まち要よう開ひらき言げん罵ののし戰たたかえ，曾奈我わが又また單身たんしん，況きょう水面すいめん之の事こと不ふ慣。且等我わが變化へんか了りょう進しん去さ，看み那な怪かい把わ獃子怎生擺佈。若わか得とく便びん，且偷他た出來でき幹事かんじ。」好こう大聖たいせい，捻ねじ著しる訣，搖ゆら身み一變いっぺん，還かえ變へん做一いち個こ螃蟹，淬於水すい內，徑みち至いたり牌ぱい樓ろう之の前まえ。原はら來らい這條路ろ是ぜ他た前ぜん番ばん襲かさね牛うし魔王まおう盜ぬすめ金きん睛獸走はし熟つくづく了りょう的てき。直ちょく至いたり那な宮みや闕之下か，橫よこ爬過去かこ，又また見み那な老ろう龍王りゅうおう與あずか九頭蟲合家兒歡喜飲酒。行者ぎょうじゃ不ふ敢相近すけちか，爬過東ひがし廊ろう之の下した，見み幾いく個こ蝦えび精せい蟹かに精せい紛紛ふんぷん紜紜耍子。行者ぎょうじゃ聽了一いち會かい言げん談だん，卻就學がく語學ごがく話ばなし，問もん道どう：「駙馬爺じい爺じい拿來的てき那な長ちょう嘴くちばし和尚おしょう，這會死し了りょう不ふ曾？」眾精道どう：「不ふ曾死，縛ばく在ざい那な西にし廊下ろうか哼的不ふ是ぜ？」
11 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	行者ぎょうじゃ聽說，又また輕輕けいけい的てき爬過西にし廊ろう，真個しんこ那な獃子綁在柱ばしら上じょう哼哩。行者ぎょうじゃ近ちか前ぜん道みち：「八戒はっかい，認みとめ得え我わが麼？」八戒はっかい聽得聲音こわね，知ち是ぜ行者ぎょうじゃ，道みち：「哥哥，怎麼了りょう？反はん被ひ這廝捉住我わが也。」行者ぎょうじゃ四顧しこ無人むじん，將はた拑咬斷だん索さく子こ叫さけべ走はし。那な獃子脫だつ了りょう手しゅ道どう：「哥哥，我が的てき兵器へいき被ひ他た收おさむ了りょう，又また奈何いかん？」行者ぎょうじゃ道どう：「你可知道ともみち收おさむ在ざい那な裡うら？」八戒はっかい道どう：「當とう被ひ那な怪かい拿上宮殿きゅうでん去さ了りょう。」行者ぎょうじゃ道どう：「你先去さ牌ぱい樓ろう下等かとう我が。」八はち戒逃生せい，悄悄しょうしょう的てき溜ため出で。行者ぎょうじゃ復ふく身み爬上宮殿きゅうでん觀かん看み。左ひだり首くび下か有ゆう光彩こうさい森森しんしん，乃是八戒的釘鈀放光。使つかい個こ隱かくれ身み法ほう，將はた鈀偷出で，到いた牌ぱい樓ろう下か，叫さけべ聲ごえ：「八戒はっかい，接せっ兵器へいき。」獃子得とく了りょう鈀，便びん道どう：「哥哥，你先走はし，等ひとし老ろう豬打進しん宮殿きゅうでん。若わか得とく勝しょう，就捉住じゅう他た一家いっか子こ；若わか不ふ勝かち，敗はい出來でき，你在這潭岸上きしかみ救すくい應おう。」行者ぎょうじゃ大喜だいぎ，只ただ教きょう仔細しさい。八戒はっかい道どう：「不ふ怕他，水みず裡うら本ほん事ごと，我わが略りゃく有ゆう些兒。」行者ぎょうじゃ丟了他た，負ふ出水しゅっすい面めん不ふ題だい。
12 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	這八戒束了皂直裰，雙手そうしゅ纏まとい鈀，一聲いっせい喊，打だ將はた進すすむ去さ。慌得那な大だい小水しょうすい族ぞく奔奔波なみ波は，跑上宮殿きゅうでん，吆喝道どう：「不ふ好こう了りょう，長ちょう嘴くちばし和尚おしょう掙斷繩なわ返かえし打だ進すすむ來らい了りょう。」那な老ろう龍りゅう與あずか九頭蟲並一家子俱措手不及，跳とべ起おこり來らい，藏ぞう藏ぞう躲躲。這獃子こ不ふ顧死活しかつ，闖上宮殿きゅうでん，一路いちろ鈀，築ちく破門はもん扇おうぎ，打破だは桌椅，把わ些吃酒しゅ的てき家か火ひ之の類るい盡つき皆みな打だ碎。有ゆう詩し為ため證しょう。詩し曰：
Jump to dictionary		木き母はは遭逢水すい怪かい擒とりこ，心しん猿ざる不ふ捨苦相しょう尋ひろ。暗くら施ほどこせ巧たくみ計けい偷開鎖くさり，大だい顯あらわ神威しんい怒いか恨深。駙馬忙せわし攜公主ぬし躲，龍王りゅうおう戰慄せんりつ絕ぜっ聲音こわね。水みず宮みや絳闕門もん窗まど損そん，龍子りゅうこ龍りゅう孫まご盡つき沒ぼつ魂たましい。
13 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	這一場じょう，被ひ八戒把玳瑁屏打得粉碎，珊瑚樹さんごじゅ摜得凋零。
14 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	那な九頭蟲將公主安藏在內，急きゅう取と月つき牙きば鏟，趕至前ぜん宮みや，喝かつ道どう：「潑夯豕いのこ彘！怎敢欺心驚おどろき吾われ眷族けんぞく？」八はち戒罵道どう：「這賊怪かい，你焉敢將我わが捉來？這場不ふ干ひ我わが事こと，是ぜ你請我わが來らい家いえ打だ的てき。快かい拿寶貝かい還かえ我わが，回かい見み國王こくおう了りょう事ごと；不ふ然しか，決けつ不ふ饒にょう你一家いっか命いのち也。」那な怪かい那な肯容情じょう，咬定牙きば齒ぱ，與八よはち戒交鋒ほこさき。那な老ろう龍りゅう才ざい定てい了りょう神しん思おもえ，領りょう龍子りゅうこ、龍りゅう孫まご各かく執と槍やり刀がたな，齊ひとし來らい攻おさむ取と。八戒見事體不諧，虛きょ幌ほろ一いち鈀，撤身便びん走はし。那な老ろう龍りゅう帥そち眾追來らい。須臾しゅゆ，攛出水中すいちゅう，都と到いた潭面上じょう翻こぼし騰あが。
15 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	卻說孫まご行者ぎょうじゃ立りつ於潭岸がん等とう候こう，忽ゆるがせ見み他た們追趕八戒はっかい，出離しゅつり水中すいちゅう，就半踏雲霧きり，掣鐵棒ぼう，喝かつ聲ごえ：「休きゅう走はし！」只ただ一いち下か，把わ個こ老ろう龍頭りゅうず打だ得とく稀まれ爛ただれ。可憐かれん血ち濺潭中ちゅう紅べに水すい泛，屍かばね飄浪上じょう敗はい鱗うろこ浮。諕得那な龍子りゅうこ、龍りゅう孫まご各各おのおの逃命，九頭駙馬收龍屍，轉てん宮みや而去。
16 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	行者ぎょうじゃ與八よはち戒且不ふ追つい襲かさね，回かい上岸かみきし，備言前ぜん事こと。八戒はっかい道どう：「這廝銳氣えいき挫くじけ了りょう，被ひ我わが那な一路鈀打進去時，打だ得とく落花らっか流水りゅうすい，魂たましい散ち魄たま飛ひ。正せい與那よな駙馬廝鬥，卻被老ろう龍王りゅうおう趕著，卻虧了りょう你打死し。那な廝們回かい去さ，一定停喪掛孝，決けつ不ふ肯出來でき。今いま又また天てん色しょく晚ばん了りょう，卻怎奈何いかん？」行者ぎょうじゃ道どう：「管かん甚麼いんも天てん晚ばん，乘じょう此機會かい，你還下か去さ攻おさむ戰せん。務つとむ必取出で寶貝ほうがい，方ぽう可か回かい朝あさ。」那な獃子意い懶ものぐさ情じょう疏，徉徉推托。行者ぎょうじゃ催逼道どう：「兄弟きょうだい不ふ必多疑うたぐ，還かえ像ぞう剛つよし才ざい引出來でき，等とう我わが打だ他た。」
17 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	兩人りょうにん正ただし自じ商量しょうりょう，只ただ聽得狂風きょうふう滾たぎ滾たぎ，慘むご霧きり陰陰いんいん，忽ゆるがせ從したがえ東方とうほう徑みち往南去さ。行者ぎょうじゃ仔細しさい觀かん看み，乃二に郎ろう顯あらわ聖きよし，領りょう梅山うめやま六ろく兄弟きょうだい，架か著ちょ鷹たか犬けん，挑著狐きつね兔うさぎ，擡もたげ著ちょ獐鹿，一個個腰挎彎弓，手持てもち利刃りじん，縱たて風ふう霧きり踴躍而來。行者ぎょうじゃ道どう：「八戒はっかい，那な是ぜ我わが七なな聖せい兄弟きょうだい，倒たおせ好こう留とめ請他們，與あずか我わが助すけ戰せん。若わか得とく成功せいこう，倒たおせ是ぜ一場いちじょう大だい機會きかい也。」八戒はっかい道どう：「既すんで是ぜ兄弟きょうだい，極ごく該留請。」行者ぎょうじゃ道どう：「但ただし內有顯あらわ聖きよし大だい哥，我わが曾受他た降伏ごうぶく，不ふ好こう見み他た。你去攔住雲くも頭あたま，叫さけべ道どう：『真しん君くん，且略住じゅう住じゅう，齊ひとし天てん大聖たいせい在ざい此進拜はい。』他た若わか聽見是ぜ我わが，斷然だんぜん住じゅう了りょう。待まち他た安やす下か，我わが卻好見み。」
18 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	那な獃子急きゅう縱たて雲くも頭あたま，上山うえやま攔住，厲聲高だか叫さけべ道どう：「真しん君くん，且慢車しゃ駕が，有ゆう齊ひとし天てん大聖たいせい請見哩まいる。」那な爺じい爺じい見み說せつ，即そく傳令でんれい，就停住じゅう六ろく兄弟きょうだい，與あずか八戒相見畢，問もん：「齊ひとし天てん大聖たいせい何なん在ざい？」八戒はっかい道どう：「現在げんざい山下やました聽呼喚。」二郎じろう道どう：「兄弟きょうだい們，快かい去さ請來しょうらい。」六ろく兄弟きょうだい乃是康やすし、張ちょう、姚、李り、郭かく、直ただし，各各おのおの出で營叫道どう：「孫悟空そんごくう哥哥，大だい哥有請。」行者ぎょうじゃ上前うわまえ，對たい眾作禮れい，遂とげ同どう上山かみのやま。二郎じろう爺じい爺じい迎むかえ見み，攜手相しょう攙，一いち同相どうしょう見み，道みち：「大聖たいせい，你去脫だつ大難だいなん，受戒じゅかい沙門しゃもん，刻こく日び功こう完かん，高こう登とう蓮はちす座ざ，可か賀が，可か賀が。」行者ぎょうじゃ道どう：「不ふ敢。向こう蒙こうむ莫大ばくだい之の恩おん，未ひつじ展てん斯須之の報むくい。雖然脫だっ難なん西行さいぎょう，未知みち功こう行ぎょう何なん如。今こん因いん路ろ遇ぐう祭さい賽さい國こく，答とう救すくい僧そう災わざわい，在ざい此擒妖索寶たから。偶見兄けい長ちょう車しゃ駕が，大膽だいたん請留うけどめ一助いちじょ。未み審しん兄けい長ちょう自じ何なん而來，肯見愛あい否ひ？」二郎じろう笑わらい道どう：「我わが因いん閑暇かんか無事ぶじ，同どう眾兄弟きょうだい採と獵りょう而回。幸こう蒙こうむ大聖たいせい不ふ棄留會かい，足あし感かん故舊こきゅう之の情じょう。若命わかめい挾はさみ力りょく降くだ妖，敢不如命。卻不知ふち此地是ぜ何なん怪かい賊ぞく？」六ろく聖ひじり道どう：「大だい哥忘了りょう？此間是ぜ亂らん石山いしやま，山下やました乃碧波は潭萬まん聖ひじり之の龍宮りゅうぐう也。」二郎驚訝道：「萬聖老龍卻不生事，怎麼敢偷塔とう寶たから？」行者ぎょうじゃ道どう：「他た近日きんじつ招了一いち個こ駙馬，乃是九きゅう頭とう蟲ちゅう成なり精せい。他た郎ろう丈たけ兩個りゃんこ做賊，將しょう祭さい賽さい國下こくが了りょう一場いちじょう血ち雨う，把わ金光かねみつ寺てら塔とう頂いただき舍利しゃり佛ふつ寶たから偷來。那な國王こくおう不ふ解かい其意，苦く拿著僧そう人じん拷打。是ぜ我わが師父しふ慈悲じひ，夜來やらい掃搭，當とう被ひ我わが在ざい塔とう上じょう拿住兩個りゃんこ小しょう妖，是ぜ他た差さ來らい巡じゅん探さがせ的てき。今こん早はや押赴朝あさ中ちゅう，實じつ實じつ供きょう招了。那な國王こくおう就請我が師し收おさむ降くだ，師し命いのち我わが等ひとし到いた此。先さき一場いちじょう戰せん，被ひ九頭蟲腰裡伸出一個頭來，把わ八戒啣了去。我わが卻又變化へんか下水げすい，解かい了りょう八戒はっかい。才ざい然しか大戰たいせん一場いちじょう，是ぜ我が把わ老ろう龍りゅう打だ死し，那な廝們收おさむ屍かばね掛かけ孝こう去さ了りょう。我わが兩個りゃんこ正せい議ぎ索さく戰せん，卻見兄けい長ちょう儀仗ぎじょう降臨こうりん，故こ此輕瀆也。」二郎じろう道どう：「既すんで傷きず了りょう老ろう龍りゅう，正せい好こう與あずか他た攻擊こうげき，使つかい那な廝不能ふのう措手，卻不連れん窩巢都と滅めつ絕ぜっ了りょう？」八戒はっかい道どう：「雖是如此，奈天晚ばん何なに？」二郎じろう道どう：「兵家へいか云うん：『征せい不ふ待まち時じ。』何なに怕天晚ばん？」
19 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	康かん、姚、郭かく、直道なおみち：「大だい哥莫忙せわし。那な廝家眷在此，料りょう無む處しょ去さ。孫まご二哥也是貴客，豬剛鬣たてがみ又また歸かえり了りょう正せい果はて，我わが們營內有隨ずい帶たい的てき酒さけ餚，教きょう小しょう的てき們取火ひ，就此鋪しき設しつらえ：一則與二位賀喜，二來也當敘情。且歡會かい這一いち夜や，待まち天明てんめい索さく戰せん何なに遲おそ？」二郎じろう大喜だいぎ道どう：「賢弟けんてい說得せっとく極ごく當とう。」卻命小しょう校こう安やす排はい。行者ぎょうじゃ道どう：「列れつ位い盛もり情じょう，不ふ敢固卻。但ただし自じ做和尚なお，都みやこ是ただし齋戒さいかい，恐おそれ葷素不便ふべん。」二郎じろう道どう：「有ゆう素もと果はて品ひん，酒さけ也是素的すてき。」眾兄弟きょうだい在ざい星ほし月光げっこう前まえ，幕まく天てん席せき地ち，舉杯敘舊。
20 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	正せい是ぜ寂寞せきばく更さら長ちょう，歡娛夜よる短たん。早はや不覺ふかく東方とうほう發はつ白しろ。那な八戒幾鍾酒吃得興抖抖的道：「天てん將はた明あきら了りょう，等ひとし老ろう豬下水すい去さ索さく戰せん也。」二郎じろう道どう：「元帥げんすい仔細しさい，只ただ要よう引他出來でき，我わが兄弟きょうだい們好下手へた。」八はち戒笑道どう：「我わが曉あかつき得え，我わが曉あかつき得とく。」你看他た斂衣纏まとい鈀，使つかい分水ぶんすい法ほう，跳とべ將しょう下か去さ，徑みち至いたり那な牌ぱい樓ろう下か。發聲はっせい喊，打だ入いれ殿どの內。此時那な龍子りゅうこ披了麻あさ，看み著ちょ龍りゅう屍かばね哭；龍りゅう孫まご與那よな駙馬，在ざい後ご面めん收拾しゅうしゅう棺かん材ざい哩まいる。這八戒罵上前うわまえ，手て起おこり處しょ，鈀頭著ちょ重じゅう，把わ個こ龍子りゅうこ夾腦連れん頭あたま，一鈀築了九個窟窿。諕得那な龍りゅう婆ばば與あずか眾往裡うら亂らん跑，哭道：「長ちょう嘴くちばし和尚おしょう又また把わ我わが兒こ打だ死し了りょう。」
21 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	那な駙馬聞言，即そく使つかい月がつ牙きば鏟，帶おび龍りゅう孫まご往外殺ころせ來らい。這八戒舉鈀迎敵てき，且戰且退，跳とべ出水しゅっすい中ちゅう。這岸上きしがみ齊ひとし天てん大聖たいせい與あずか七なな兄弟きょうだい一いち擁よう上前うわまえ，槍やり刀がたな亂らん扎，把わ個こ龍りゅう孫まご剁成幾いく斷だん肉にく餅もち。那な駙馬見み不ふ停とま當とう，在ざい山やま前ぜん打だ個こ滾たぎ，又また現げん了りょう本ほん像ぞう，展開てんかい翅，旋繞飛ひ騰あが。二郎即取金弓，安上あんじょう銀ぎん彈だん，扯滿弓ゆみ，往上就打。那な怪かい急きゅう鎩翅，掠かすめ到いた邊あたり前まえ，要よう咬二に郎ろう。半はん腰こし裡うら才ざい伸しん出で一いち個こ頭あたま來らい，被ひ那な頭あたま細ほそ犬いぬ攛上去さ，汪ひろし的てき一いち口くち，把わ頭あたま血ち淋淋的てき咬將下か來らい。那な怪物かいぶつ負まけ痛つう逃生，徑みち投とう北海ほっかい而去。八戒はっかい便びん要よう趕去，行ぎょう者しゃ止とめ住道すみのどう：「且莫趕他，正せい是ぜ『窮きゅう寇勿追おい』。他た被ひ細ほそ犬いぬ咬了頭あたま，必定ひつじょう是ぜ多た死し少しょう生せい。等ひとし我わが變へん做他的てき模樣もよう，你分開ひらき水路すいろ，趕我進しん去さ，尋ひろ那な宮みや主ぬし，詐いつわり他た寶貝ほうがい來らい也。」二郎じろう與六よろく聖ひじり道みち：「不ふ趕他倒たおせ也罷了りょう，只ただ是これ遺のこ這種類しゅるい在世ざいせい，必為後人こうじん之の害がい。」至いたり今こん有ゆう個こ九きゅう頭とう蟲ちゅう滴しずく血ち，是ぜ遺のこ種たね也。
22 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	那な八はち戒依言げん，分ふん開ひらけ水路すいろ。行者ぎょうじゃ變へん作さく怪かい像ぞう前まえ走はし，八戒吆吆喝喝後追。漸やや漸やや追つい至いたり龍宮りゅうぐう，只見ただみ那な萬まん聖せい宮みや主ぬし道どう：「駙馬，怎麼這等慌張？」行者ぎょうじゃ道どう：「那な八はち戒得勝かち，把わ我わが趕將進しん來らい，覺さとし道どう不能ふのう敵てき他た。你快把わ寶貝ほうがい好生よしお藏ぞう了りょう。」那な宮みや主ぬし急きゅう忙せわし難なん識真假かり，即そく於後殿どの裡うら取出とりで一いち個こ渾金匣くしげ子來こらい，遞與行者ぎょうじゃ道どう：「這是佛ふつ寶たから。」又また取出とりで一いち個こ白玉しらたま匣くしげ子こ，也遞與行者ぎょうじゃ道どう：「這是九きゅう葉よう靈れい芝しば。你拿這寶貝かい藏ぞう去さ，等とう我わが與あずか豬八戒鬥上じょう兩りょう三さん合ごう，擋住他た。你將寶貝ほうがい收おさむ好こう了りょう，再さい出來でき與あずか他た合戰かっせん。」行者ぎょうじゃ將はた兩個りゃんこ匣くしげ兒じ收おさむ在ざい身邊しんぺん，把わ臉一抹いちまつ，現げん了りょう本ほん像ぞう道どう：「宮みや主ぬし，你看我わが可か是ぜ駙馬麼？」宮みや主しゅ慌了，便びん要よう搶奪匣くしげ子こ。被ひ八戒跑上去，著ちょ背せ一いち鈀，築ちく倒たおせ在地ざいち。
23 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	還かえ有ゆう一個老龍婆撤身就走，被ひ八はち戒扯住じゅう，舉鈀才ざい築きずけ，行者ぎょうじゃ道どう：「且住，莫打死し他た，留とめ個こ活かつ的てき，好こう去さ國くに內見功こう。」遂とげ將はた龍りゅう婆ばば提出ていしゅつ水面すいめん。
24 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	行者ぎょうじゃ隨ずい後ご捧ささげ著ちょ兩個りゃんこ匣くしげ子こ上岸かみきし，對たい二に郎ろう道どう：「感かん兄けい長ちょう威力いりょく，得とく了りょう寶貝ほうがい，掃淨妖賊也。」二郎じろう道どう：「一則是那國王洪福齊天，二則是賢昆玉神通無量，我わが何なに功こう之の有ゆう？」兄弟きょうだい們俱道どう：「孫まご二哥既已功成，我わが們就此告別べつ。」行者ぎょうじゃ感謝かんしゃ不盡ふじん，欲よく留とめ同どう見み國王こくおう。諸公しょこう不ふ肯，遂とげ帥そち眾回灌口去さ訖。
25 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	行者ぎょうじゃ捧ささげ著ちょ匣くしげ子こ，八戒はっかい拖著龍りゅう婆ばば，半はん雲くも半はん霧きり，頃ごろ刻こく間あいだ到いた了りょう國こく內。原はら來らい那な金光こんこう寺てら解脫げだつ的てき和尚おしょう都と在ざい城しろ外がい迎接げいせつ。忽ゆるがせ見み他た兩個りゃんこ雲霧うんむ定時ていじ，近きん前ぜん磕頭禮拜れいはい，接せっ入城にゅうじょう中ちゅう。那な國王こくおう與あずか唐から僧正そうじょう在ざい殿上てんじょう講こう論ろん。這裡有ゆう先走さきばし的てき和尚おしょう，仗著膽きも，入朝にゅうちょう門もん奏そう道どう：「萬歲ばんざい，孫まご、豬二老爺擒賊獲寶而來也。」那な國王こくおう聽說，連れん忙せわし下殿しもとの，共きょう唐から僧そう、沙すな僧そう迎むかい著ちょ，稱しょう謝しゃ神功しんこう不盡ふじん，隨ずい命いのち排はい筵むしろ謝恩しゃおん。三藏さんぞう道どう：「且不須賜飲いん，著しる小しょう徒と歸き了りょう塔とう中ちゅう之の寶たから，方ぽう可か飲いん宴えん。」三藏さんぞう又また問とい行者ぎょうじゃ道どう：「汝なんじ等とう昨日きのう離はなれ國こく，怎麼今日きょう才ざい來らい？」行者ぎょうじゃ把わ那な戰せん駙馬，打だ龍王りゅうおう，逢真君くん，敗はい妖精ようせい，及變作さく詐いつわり寶貝ほうがい之の事こと，細說さいせつ了りょう一いち遍へん。三藏さんぞう與國よこく王おう、大小だいしょう文武ぶんぶ，俱喜之の不ふ勝かち。
26 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	國王こくおう又また問とい：「龍りゅう婆ばば能のう人じん言語げんご否ひ？」八戒はっかい道どう：「乃是龍王りゅうおう之の妻つま，生なま了りょう許多きょた龍子りゅうこ、龍りゅう孫まご，豈あに不ふ知人ちじん言ごと？」國王こくおう道どう：「既知きち人じん言げん，快かい早はや說せつ前後ぜんこう做賊之の事こと。」龍りゅう婆ばば道どう：「偷佛寶たから，我わが全ぜん不知ふち，都みやこ是ただし我わが那な夫君ふくん龍りゅう鬼おに與那よな駙馬九きゅう頭とう蟲ちゅう，知ち你塔上之うえの光こう乃是佛家ぶっけ舍しゃ利子りし，三年前下了血雨，乘じょう機き盜ぬすめ去ざ。」又また問とい：「靈れい芝草しばくさ是ただし怎麼偷的？」龍りゅう婆ばば道どう：「只ただ是ぜ小女こおんな萬聖宮主私入大羅天上靈霄殿前，偷的王おう母はは娘むすめ娘むすめ九きゅう葉よう靈れい芝草しばくさ。那な舍しゃ利子りし得とく這草的てき仙せん氣溫きおん養よう著ちょ，千せん年ねん不壞ふえ，萬ばん載の生なま光ひかり。去さ地下ちか或ある田中たなか掃一掃いっそう，即そく有ゆう萬まん道みち霞かすみ光こう，千せん條じょう瑞氣ずいき。如今被ひ你奪來らい，弄ろう得う我わが夫おっと死し子こ絕ぜっ，婿むこ喪も女おんな亡ほろび，千萬饒了我的命罷。」八戒はっかい道どう：「正せい不ふ饒にょう你哩。」行者ぎょうじゃ道どう：「家いえ無む全ぜん犯はん。我が便びん饒にょう你，只ただ便びん要よう你長遠どお替かえ我わが看み塔とう。」龍りゅう婆ばば道どう：「好こう死し不ふ如惡活かつ。但ただし留とめ我わが命いのち，憑你教きょう做甚麼いんも。」行者ぎょうじゃ叫さけべ取ど鐵索てっさく來らい。當とう駕が官かん即そく取と鐵索てっさく一いち條じょう，把わ龍りゅう婆ばば琵琶びわ骨こつ穿ほじ了りょう。教きょう沙すな僧そう：「請國王おう來らい看み我わが們安塔とう去さ。」
27 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	那な國王こくおう即そく忙せわし排はい駕が，遂とげ同どう三藏さんぞう攜手出で朝あさ，並なみ文武ぶんぶ多た官かん，隨ずい至いたり金光こんこう寺てら。行者ぎょうじゃ上うえ塔とう，將はた舍利しゃり子安こやす在ざい第だい十じゅう三層塔頂寶瓶中間，把わ龍りゅう婆ばば鎖くさり在ざい塔とう心しん柱ばしら上じょう。念ねん動どう真言しんごん，喚出本國ほんごく土地とち、城しろ隍與本寺ほんじ伽藍がらん們，命いのち三さん日にち送おく飲食いんしょく一いち餐，與あずか這龍婆ばば度ど口こう；少しょう有ゆう差さ訛なまり，即行そっこう處しょ斬き。眾神暗中あんちゅう領りょう諾だく。行者ぎょうじゃ卻將芝草しばくさ把わ十じゅう三さん層そう塔とう層そう層そう掃過そうか，安在あんざい瓶びん內，溫あつし養やしなえ舍しゃ利子りし。這才是ぜ整せい舊きゅう如新，霞かすみ光こう萬まん道みち，瑞氣ずいき千せん條じょう，依然いぜん八方はっぽう共ども睹，四國しこく同どう瞻。下した了りょう塔とう門もん，國王こくおう就謝道どう：「不ふ是ぜ老ろう佛ふつ與三よそう位い菩薩ぼさつ到いた此，怎生得とく明あかり此事也！」
28 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	行者ぎょうじゃ道どう：「陛下へいか，『金きむ光ひかり』二に字じ不ふ好このみ，不ふ是ぜ久住ひさずみ之これ物ぶつ：金きむ乃流動りゅうどう之の物もの，光ひかり乃閃灼之氣き。貧ひん僧そう為ため你勞碌ろく這場，將はた此寺改作かいさく伏ふく龍りゅう寺てら，教きょう你永遠えいえん常つね存そん。」那な國王こくおう即そく命いのち換かわ了りょう字じ號ごう，懸かか上新かみしん匾，乃是「敕建護國ごこく伏ふく龍りゅう寺てら」。一壁廂安排御宴；一壁廂召丹青寫下四眾生形，五ご鳳おおとり樓ろう註了名號みょうごう。國王こくおう擺鑾駕が，送おく唐から僧そう師し徒と，賜金しきん玉だま酬むくい答こたえ。師し徒と們堅辭やめ，一毫いちごう不ふ受。這真個しんこ是ぜ：
Jump to dictionary		邪よこしま怪かい剪除諸しょ境さかい靜せい，寶塔ほうとう回かい光こう大地だいち明あきら。
29 Jump to dictionary	二に僧そう蕩とろけ怪かい... :	畢竟ひっきょう不知ふち此去前まえ路ろ如何いか，且聽下か回かい分解ぶんかい。

《李り卓たく吾われ先生せんせい批評ひひょう西にし游ゆう記き》

URN: ctp:xiyouji/ch63

《二僧蕩怪鬧龍宮 群ぐん聖せい除じょ邪よこしま獲え寶貝ほうがい》

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