西遊記 : 盤絲洞七情迷本　濯垢泉八戒忘形

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《盤ばん絲いと洞ほら七なな情じょう迷本　濯垢泉いずみ八戒はっかい忘形》

1 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	話はなし表ひょう三藏別了朱紫國王，整頓せいとん鞍馬あんば西進せいしん。行くだり夠多少たしょう山原やまはら，歷れき盡つき無窮むきゅう水道すいどう，不覺ふかく的てき秋あき去さ冬ふゆ殘ざん，又また值春光こう明媚めいび。師し徒と們正在ざい路みち踏青玩景，忽ゆるがせ見み一座いちざ庵あん林りん。三藏さんぞう滾たぎ鞍くら下馬げば，站立大道だいどう之の傍はた。行者ぎょうじゃ問とい道どう：「師父しふ，這條路ろ平坦へいたん無む邪よこしま，因いん何なん不ふ走はし？」八戒はっかい道どう：「師し兄けい好こう不通ふつう情じょう。師父しふ在ざい馬うま上じょう坐すわ得え困こま了りょう，也讓他た下か來らい關かん關せき風ふう是ぜ。」三藏さんぞう道どう：「不ふ是ぜ關せき風ふう，我わが看み那な裡うら是ぜ個人こじん家か，意欲いよく自じ去さ化か些齋吃ども。」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「你看師父しふ說せつ的てき是ぜ那な裡うら話ばなし，你要吃ども齋とき，我わが自じ去さ化か。俗語ぞくご云うん：『一いち日にち為ため師し，終身しゅうしん為ため父ちち。』豈あに有為ゆうい弟子でし者しゃ高だか坐すわ，教師きょうし父ちち去さ化か齋とき之の理り？」三藏さんぞう道どう：「不ふ是ぜ這等說せつ。平日へいじつ間あいだ一望いちぼう無邊むへん無な際さい，你們沒ぼつ遠とお沒ぼっ近こん的てき去さ化か齋とき。今日きょう人家じんか逼近，可か以叫應おう，也讓我わが去さ化か一いち個こ來らい。」八戒はっかい道どう：「師父しふ沒ぼつ主張しゅちょう。常つね言道ことみち：『三さん人にん出外ではずれ，小しょう的てき兒じ苦く。』你況是これ個こ父ちち輩やから，我わが等とう俱是弟子でし。古書こしょ云うん：『有事ゆうじ弟子でし服ふく其勞。』等ひとし我わが老ろう豬去。」三藏さんぞう道どう：「徒弟とてい啊，今日きょう天氣てんき晴明せいめい，與那よな風雨ふうう之の時とき不同ふどう。那な時節じせつ，汝なんじ等とう必定ひつじょう遠とお去ざ。此個人家じんか，等とう我わが去さ，有ゆう齋とき無む齋とき，可か以就回かい走路そうろ。」沙すな僧そう在ざい傍はた笑わらい道どう：「師し兄けい，不ふ必多講こう，師父しふ的てき心性しんせい如此，不ふ必違拗こじれ。若わか惱了他た，就化將はた齋とき來らい，他た也不吃ども。」
2 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	八はち戒依言ごと，即そく取出とりで缽盂，與あずか他た換かわ了りょう衣ころも帽ぼう。拽開步ふ，直ちょく至いたり那な莊そう前まえ觀かん看み，卻也好こう座ざ住じゅう場じょう。但ただし見み：
Jump to dictionary		石橋いしばし高だか聳そびえ，古こ樹き森もり齊ひとし。石橋いしばし高だか聳そびえ，潺潺流水りゅうすい接せっ長ちょう溪けい；古こ樹き森もり齊ひとし，聒聒幽かそけ禽鳴遠どお岱。橋はし那な邊べ有數ゆうすう椽茅屋や，清清せいせい雅まさ雅みやび若わか仙せん庵あん；又また有ゆう那な一座いちざ蓬よもぎ窗まど，白白しらじら明あきら明あきら欺道院いん。窗まど前ぜん忽ゆるがせ見み四よん佳人かじん，都と在ざい那な裡うら刺とげ鳳おおとり描鸞做針線せん。
3 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	長老ちょうろう見み那な人家じんか沒ぼつ個こ男兒だんじ，只ただ有ゆう四よん個こ女子じょし，不ふ敢進去さ，將はた身み立りつ定じょう，閃在喬たかし林りん之の下した。只見ただみ那な女子じょし一いち個個ここ：
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4 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	少しょう停とま有半ゆうはん個こ時じ辰たつ，一發いっぱつ靜せい悄悄しょうしょう，雞犬無聲むせい。自家じか思慮しりょ道どう：「我わが若わか沒ぼつ本ほん事こと化か頓ひたすら齋とき飯めし，也惹那な徒弟とてい笑わらい我が：敢道為ため師し的てき化か不出ふしゅつ齋とき來らい，為ため徒と的てき怎能去さ拜はい佛ふつ？」
5 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	長老ちょうろう沒ぼつ計けい奈何いかん，也帶了りょう幾分いくぶん不ふ是ぜ，趨步上橋かみばし。又また走はし了りょう幾いく步ほ，只見ただみ那な茅屋ぼうおく裡うら面めん有ゆう一座木香亭子，亭ちん子こ下か又また有ゆう三個女子在那裡踢氣毬哩。你看那な三さん個こ女子じょし，比ひ那な四よん個こ又また生得しょうとく不同ふどう。但ただし見み那な：
Jump to dictionary		飄揚翠みどり袖そで，搖ゆら拽緗裙。飄揚翠みどり袖そで，低てい籠かご著ちょ玉だま筍たけのこ纖纖；搖ゆら拽緗裙，半はん露出ろしゅつ金きん蓮はちす窄窄。形容けいよう體勢たいせい十じゅう分ふん全ちょん，動靜どうせい腳跟千せん樣よう屣。拿頭過か論ろん有ゆう高低こうてい，張ちょう泛送來き真ま又また楷。轉身てんしん踢個出で牆花，退步たいほ翻こぼし成なり大過たいか海うみ。輕けい接せっ一いち團だん泥どろ，單たん槍やり急きゅう對たい拐。明あかり珠たま上じょう佛ふつ頭あたま，實じつ捏こね來らい尖とんが。窄磚偏へん會かい拿，臥が魚ぎょ將はた腳抷。平ひら腰折こしおれ膝ひざ蹲つくばい，扭頂翹跟屣。扳凳能のう喧やかまし泛，披肩甚脫灑。絞しぼ襠まち任にん往來おうらい，鎖くさり項こう隨ずい搖ゆら擺。踢的是ぜ黃河こうが水すい倒たおせ流りゅう，金魚きんぎょ灘なだ上うえ買かい。那な個こ錯認是ぜ頭あたま兒じ，這個轉身てんしん就打拐。端然たんぜん捧ささげ上じょう臁，周しゅう正ただし尖とんが來らい捽。提ひさげ跟潠草鞋わらじ，倒たおせ插回頭あたま採と。退步たいほ泛肩妝，鉤かぎ兒じ只ただ一いち歹。販簍下か來らい長ちょう，便びん把わ奪だつ門もん揣。踢到美び心しん時じ，佳人かじん齊ひとし喝采かっさい。一個個汗流粉膩透羅裳，興きょう懶ものぐさ情じょう疏方叫さけべ海うみ。
6 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	言げん不盡ふじん，又また有ゆう詩し為ため證しょう。詩し曰：
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7 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	三藏看得時辰久了，只ただ得え走はし上橋かみばし頭あたま，應おう聲高こわだか叫さけべ道どう：「女おんな菩薩ぼさつ，貧ひん僧そう這裡隨ずい緣えん佈施些兒齋とき吃ども。」那な些女子じょし聽見，一個個喜喜歡歡拋了針線，撇了氣き毬かさ，都みやこ笑えみ笑わらい吟ぎん吟ぎん的てき接せっ出で門もん來らい道どう：「長老ちょうろう，失しつ迎むかい了りょう。今いま到いた荒あら莊そう，決けつ不ふ敢攔路ろ齋とき僧そう，請裡面めん坐すわ。」三藏さんぞう聞言，心中しんちゅうの暗くら道どう：「善哉ぜんざい，善哉ぜんざい！西方にしかた正ただし是ぜ佛ふつ地ち，女流じょりゅう尚なお且注意ちゅうい齋とき僧そう，男子だんし豈あに不ふ虔けん心こころ向むかい佛ふつ？」
8 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	長老ちょうろう向こう前ぜん問とい訊了，相そう隨ずい眾女入にゅう茅屋ぼうおく。過か木き香が亭てい看み處しょ，呀！原はら來らい那な裡うら邊べ沒ぼつ甚房廊ろう。只見ただみ那な：
Jump to dictionary		巒頭高だか聳そびえ，地ち脈みゃく遙はるか長ちょう。巒頭高だか聳そびえ接せっ雲煙うんえん，地ち脈みゃく遙はるか長通ながどおり海かい岳だけ。門もん近きん石橋いしばし，九曲九灣流水顧；園えん栽桃李り，千株千顆斗穠華。藤ふじ薜掛懸かか三さん五ご樹き，芝しば蘭らん香が散ち萬まん千せん花はな。遠とお觀かん洞ほら府ふ欺蓬島とう，近きん睹山林りん壓あつ太華たいか。正せい是ぜ妖仙尋ひろ隱かくれ處しょ，更さら無む鄰舍獨どく成家なるいえ。
9 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	有ゆう一いち女子じょし上前うわまえ，把わ石頭いしあたま門もん推開兩りょう扇おうぎ，請唐僧そう裡うら面めん坐すわ。那な長老ちょうろう只ただ得とく進しん去さ。忽ゆるがせ擡頭たいとう看み時じ，鋪しき設しつらえ的てき都と是ぜ石せき桌、石いし凳，冷氣れいき陰陰いんいん。長老ちょうろう心しん驚おどろき，暗くら自じ思おもえ忖道：「這去處しょ少しょう吉きち多た凶きょう，斷然だんぜん不善ふぜん。」眾女子じょし喜き笑わらい吟ぎん吟ぎん，都道とどう：「長老ちょうろう請坐。」長老ちょうろう沒ぼつ奈何いかん，只ただ得え坐すわ了りょう。少時しょうじ間あいだ，打だ個こ冷ひや禁きん。眾女子じょし問とい道どう：「長老ちょうろう是ぜ何なん寶山たからやま？化か甚麼いんも緣えん？還かえ是ぜ修おさむ橋きょう補ほ路ろ，建けん寺てら禮れい塔とう，還かえ是ぜ造づくり佛ふつ印しるし經けい？請緣簿ぼ出來でき看み看み。」長老ちょうろう道どう：「我わが不ふ是ぜ化か緣えん的てき和尚おしょう。」女子じょし道どう：「既すんで不ふ化か緣えん，到いた此何幹みき？」長老ちょうろう道どう：「我わが是ぜ東ひがし土ど大だい唐とう差さ去さ西にし天たかし大だい雷かみなり音おと求もとむ經けい者しゃ。適てき過か寶たから方かた，腹はら間あいだ饑ひだる餒，特とく造づくり檀まゆみ府ふ，募つの化か一いち齋とき，貧ひん僧そう就行也。」眾女子道しどう：「好こう好こう好このみ。常つね言道ことみち：『遠來えんらい的てき和尚おしょう好こう看經かんきん。』妹いもうと妹いもうと們。不可ふか怠慢たいまん，快かい辦齋來らい。」
10 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	此時有ゆう三さん個こ女子じょし陪著，言こと來らい語ご去さ，論說ろんせつ些因緣えん。那な四個到廚中撩衣斂袖，炊火刷すり鍋なべ。你道他た安やす排はい的てき是ぜ些甚麼いんも東西とうざい？原はら來らい是ぜ人じん油あぶら炒い煉ねり，人にん肉にく煎せんじ熬い：熬い得う黑くろ糊のり充たかし作さく麵觔樣子ようす，剜的人じん腦のう煎せんじ作さく豆腐とうふ塊かたまり片へん。兩りょう盤ばん兒じ捧ささげ到いた石いし桌上放下ほうか，對たい長老ちょうろう道どう：「請了。倉卒そうそつ間あいだ，不ふ曾備得とく好こう齋とき，且將就吃些充腹はら。後こう面めん還かえ有ゆう添換來らい也。」那な長老ちょうろう聞了一いち聞，見み那な腥なまぐさ膻，不ふ敢開口こう，欠かけ身み合掌がっしょう道どう：「女おんな菩薩ぼさつ，貧ひん僧そう是ぜ胎裡素もと。」眾女子じょし笑わらい道どう：「長老ちょうろう，此是素的すてき。」長老ちょうろう道どう：「阿彌陀あみだ佛ふつ！若わか像ぞう這等素的すてき啊，我わが和尚おしょう吃ども了りょう，莫想見そうけん得とく世尊せそん，取得しゅとく經卷きょうかん。」眾女子道しどう：「長老ちょうろう，你出家人かじん，切きり莫揀人じん佈施。」長老ちょうろう道どう：「怎敢，怎敢。我わが和尚おしょう奉たてまつ大だい唐から旨むね意い，一路いちろ西にし來らい，微ほろ生なま不ふ損そん，見み苦く就救；遇ぐう穀こく粒つぶ手しゅ拈ひね入口いりくち，逢絲縷聯綴つづり遮さえぎ身み。怎敢揀主佈施？」眾女子じょし笑わらい道どう：「長老ちょうろう雖不揀人佈施，卻只有ゆう些上門もん怪人かいじん。莫嫌粗ほぼ淡あわ，吃ども些兒罷やめ。」長老ちょうろう道どう：「實じつ是ぜ不ふ敢吃，恐おそれ破やぶ了りょう戒。望もち菩薩ぼさつ養生ようじょう不ふ若わか放生ほうじょう，放ひ我わが和尚おしょう出で去ざ罷やめ。」
11 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	那な長老ちょうろう掙著要よう走はし，那な女子じょし攔住門もん，怎麼肯放，俱道：「上うえ門もん的てき買かい賣うり，倒たおせ不ふ好こう做。『放ひ了りょう屁へ兒じ，卻使手しゅ掩。』你往那な裡うら去さ？」他た一個個都會些武藝，手て腳又活かつ，把わ長老ちょうろう扯住，順じゅん手しゅ牽羊，撲なぐ的てき摜倒在地ざいち。眾人按住，將はた繩なわ子こ綑了，懸かか梁はり高だか吊つるし。這吊有ゆう個こ名色なしき，叫さけべ做「仙人せんにん指ゆび路ろ」。原はら來らい是ぜ一いち隻せき手向たむけ前まえ，牽絲吊つるし起おこり；一いち隻手せきしゅ攔腰綑住，將はた繩なわ吊つるし起おこり；兩りょう隻せき腳向後ご，一條いちじょう繩なわ吊つるし起おこり：三條繩把長老吊在梁上，卻是脊背朝あさ上じょう，肚皮朝あさ下か。那な長老ちょうろう忍しのぶ著ちょ疼，噙著淚なみだ，心中しんちゅうの暗くら恨道：「我わが和尚おしょう這等命いのち苦く，只ただ說せつ是ぜ好こう人家じんか化か頓ひたすら齋とき吃ども，豈あに知道ともみち落了火ひ坑あな。徒弟とてい啊，速そく來らい救すくえ我わが，還かえ得え見み面めん；但ただし遲おそ兩個りゃんこ時じ辰たつ，我わが命いのち休きゅう矣。」
12 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	那な長老ちょうろう雖然苦惱くのう，卻還留とめ心こころ看み著ちょ那な些女子じょし。那な些女子じょし把わ他た吊つるし得え停とま當とう，便びん去さ脫だつ剝衣服ふく。長老ちょうろう心しん驚おどろき，暗くら自じ忖道：「這一脫だつ了りょう衣服いふく，是ぜ要よう打だ我が的てき情じょう了りょう。或ある者もの夾生兒じ吃ども我わが的てき情じょう也有やゆう哩まいる。」原はら來らい那な女子じょし們只解かい了りょう上じょう身み羅ら衫，露出ろしゅつ肚腹，各かく顯あらわ神通じんずう：一個個腰眼中冒出絲繩，有ゆう鴨かも蛋粗細ほそ，骨ほね都みやこ都と的てき，迸ほとばし玉たま飛ひ銀ぎん時下じか把わ莊そう門もん瞞了不ふ題だい。
13 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	卻說那な行者ぎょうじゃ、八戒はっかい、沙すな僧都そうず在ざい大道だいどう之の傍はた，他た二人都放馬看擔，惟おもんみ行者ぎょうじゃ是ぜ個こ頑皮，他た且跳樹じゅ攀よじ枝えだ，摘葉尋ひろ果はて。忽ゆるがせ回かい頭あたま，只見ただみ一片いっぺん光こう亮あきら，慌得跳とべ下か樹じゅ來らい，吆喝道どう：「不ふ好このみ，不ふ好このみ，師父しふ造化ぞうか低てい了りょう。」行者ぎょうじゃ用よう手指しゅし道どう：「你看那な莊そう院いん如何いか？」八戒はっかい、沙すな僧そう共ども目視もくし之の，那な一片如雪又亮如雪，似に銀ぎん又また光ひかり似に銀ぎん。八戒はっかい道どう：「罷やめ了りょう，罷やめ了りょう，師父しふ遇ぐう著ちょ妖精ようせい了りょう，我わが們快去さ救すくい他た也。」行者ぎょうじゃ道どう：「賢弟けんてい莫嚷。你都不ふ見み怎的，等ひとし老ろう孫まご去來きょらい。」沙すな僧そう道どう：「哥哥仔細しさい。」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが自じ有ゆう處しょ。」
14 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	好こう大聖たいせい，束たば一いち束たば虎とら皮がわ裙，掣出金きん箍たが棒ぼう，拽開腳，兩りょう三さん步ほ跑到前まえ邊あたり，看み見み那な絲いと繩なわ纏まとい了りょう有ゆう千せん百ひゃく層そう厚あつし，穿ほじ穿ほじ道道みちみち，卻似經緯けいい之の勢いきおい。用よう手しゅ按了一いち按，有ゆう些粘軟沾人じん。行者ぎょうじゃ更さら不知ふち是ぜ甚麼いんも東西とうざい。他た即そく舉棒道どう：「這一棒ぼう，莫說是ぜ幾いく千せん層そう，就有幾いく萬まん層そう，也打斷だん了りょう。」正せい欲よく打だ，又また停とま住じゅう手しゅ道どう：「若わか是ぜ硬かた的てき便びん可か打だ斷だん，這個軟的，只ただ好こう打だ匾罷了りょう。假かり如驚了りょう他た，纏まとい住じゅう老ろう孫まご，反はん為ため不美ふみ。等ひとし我わが且問他た一いち問もん再さい打だ。」
15 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	你道他た問とい誰だれ？即そく捻ねじ一いち個こ訣，念ねん一いち個こ咒，拘かかわ得う個こ土地とち老ろう兒じ在ざい廟びょう裡うら似に推磨的てき一般いっぱん亂らん轉てん。土地とち婆ばば兒じ道どう：「老ろう兒じ，你轉怎的？好道よしみち是ぜ羊ひつじ兒じ風發ふうはつ了りょう。」土地とち道どう：「你不知ふち，你不知ふち。有ゆう一個齊天大聖來了，我わが不ふ曾接他た，他た那な裡うら拘かかわ我わが哩まいる。」婆ばば兒じ道どう：「你去見み他た便びん了りょう，卻如何なん在ざい這裡打だ轉てん？」土地とち道どう：「若わか去ざ見み他ほか，他た那な棍子好こう不ふ重じゅう，他た管かん你好歹就打だ哩まいる。」婆ばば兒じ道どう：「他見たけん你這等とう老ろう了りょう，那な裡うら就打你？」土地とち道どう：「他た一生好吃沒錢酒，偏へん打だ老年ろうねん人じん。」兩りょう口くち兒じ講こう一いち會かい，沒ぼつ奈何いかん，只ただ得とく走出はしりで去ざ，戰せん兢兢きょうきょう的てき跪在路傍ろぼう，叫さけべ道どう：「大聖たいせい，當とう境さかい土地とち叩頭こうとう。」行者ぎょうじゃ道どう：「你且起おこり來らい，不要ふよう假かり忙せわし。我わが且不打だ你，寄よせ下か在ざい那な裡うら。我わが問とい你，此間是ぜ甚地方ちほう？」土地とち道どう：「大聖たいせい從したがえ那な廂ひさし來らい？」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが自じ東ひがし土ど往西來らい的てき。」土地とち道どう：「大聖たいせい東ひがし來らい，可か曾在那な山嶺さんれい上じょう？」行者ぎょうじゃ道どう：「正せい在ざい那な山嶺さんれい上じょう。我わが們行李り、馬匹ばひつ還かえ歇在那な嶺みね上じょう不ふ是ぜ！」土地とち道どう：「那な叫さけべ做盤絲いと嶺みね。嶺みね下か有洞うとう，叫さけべ做盤絲いと洞ほら。洞ほら裡うら有ゆう七なな個こ妖精ようせい。」行者ぎょうじゃ道どう：「是ぜ男おとこ怪かい，是ぜ女おんな怪かい？」土地とち道どう：「是ぜ女おんな怪かい。」行者ぎょうじゃ道どう：「他た有ゆう多大ただい神通じんずう？」土地とち道どう：「小しょう神力しんりき薄うすき威たけし短たん，不知ふち他た有ゆう多大ただい手段しゅだん。只ただ知ち那な正南せいなん上じょう，離はなれ此有三さん里り之の遙はるか，有ゆう一座いちざ濯垢泉いずみ，乃天生せい的てき熱ねつ水すい，原はら是ただし上方かみがた七なな仙せん姑しゅうと的てき浴よく池ち。自じ妖精ようせい到いた此居住きょじゅう，占うらない了りょう他た的てき濯垢泉いずみ，仙せん姑しゅうと更さら不ふ曾與他た爭そう競きそえ，平ひら白地しろじ就讓與じょうよ他た了りょう。我見がけん天仙てんせん不ふ惹妖魔ようま怪かい，必定ひつじょう精靈せいれい有ゆう大能おおの。」行者ぎょうじゃ道どう：「占うらない了りょう此泉何なん幹みき？」土地とち道どう：「這怪占うらない了りょう浴よく池ち，一いち日にち三さん遭，出來でき洗あらい澡。如今巳み時じ已やめ過か，午うま時じ將來しょうらい啞。」行者ぎょうじゃ聽言道どう：「土地とち，你且回かい去さ，等とう我わが自家じか拿他罷やめ。」那な土地とち老ろう兒じ磕了一いち個こ頭あたま，戰せん兢兢きょうきょう的てき回かい本ほん廟びょう去さ了りょう。
16 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	這大聖きよし獨どく顯あらわ神通じんずう，搖ゆら身み一變いっぺん，變へん作さく個こ麻あさ蒼あお蠅はえ兒じ，釘くぎ在ざい路傍ろぼう草くさ梢こずえ上等じょうとう待まち。須臾しゅゆ間あいだ，只ただ聽得呼よび呼吸こきゅう吸之聲ごえ，猶なお如蠶食さんしょく葉ば，卻似海うみ生せい潮しお。只ただ好こう有半ゆうはん盞茶時じ，絲いと繩なわ皆みな盡つき，依然いぜん現出げんしゅつ莊しょう村むら，還かえ像ぞう當初とうしょ模樣もよう。又また聽得呀的一聲いっせい，柴しば扉とびら響ひびき處しょ，裡うら邊べ笑わらい語ご諠譁，走出はしりで七なな個こ女子じょし。行者ぎょうじゃ在ざい暗中あんちゅう細ほそ看み，見み他た一個個攜手相攙，挨肩執と袂たもと，有ゆう說せつ有ゆう笑わらい的てき走はし過か橋はし來らい，果はて是ぜ標しるべ致。但ただし見み：
Jump to dictionary		比ひ玉だま香が尤ゆう勝しょう，如花語ご更さら真しん。柳眉りゅうび橫よこ遠どお岫，檀まゆみ口こう破やぶ櫻さくら唇くちびる。釵頭翹翡翠かわせみ，金きむ蓮れん閃絳裙。卻似嫦娥じょうが臨下界かい，仙子せんこ落凡塵ちり。
17 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「怪かい不ふ得とく我わが師父しふ要よう來らい化か齋とき，原はら來らい是ぜ這一般いっぱん好物こうぶつ。這七なな個こ美人びじん兒じ，假かり若わか留とめ住じゅう我わが師父しふ，要よう吃ども也不夠一頓ひたすら吃ども，要用ようよう也不夠兩日用にちよう；要よう動どう手しゅ輪わ流りゅう，一擺佈就是死了。且等我わが去さ聽他一聽いっちょう，看み他た怎的算さん計けい。」
18 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	好こう大聖たいせい，嚶的一聲いっせい，飛ひ在ざい那な前面ぜんめん走はし的てき女子じょし雲くも髻たぶさ上じょう釘くぎ住じゅう。才ざい過か橋はし來らい，後こう邊あたり的てき走はし向こう前ぜん來らい呼よび道どう：「姐あね姐あね，我わが們洗了りょう澡，來らい蒸ふけ那な胖ゆたか和尚おしょう吃ども去ざ。」行者ぎょうじゃ暗くら笑わらい道どう：「這怪物ぶつ好こう沒ぼつ算さん計けい，煮に還かえ省しょう些柴，怎麼轉てん要よう蒸ふけ了りょう吃ども？」那な些女子じょし採と花はな鬥草向こう南みなみ來らい，不ふ多た時じ到いた了りょう浴よく池ち。但ただし見み一座いちざ門もん牆，十分じゅうぶん壯麗そうれい，遍へん地野ちの花香はなか豔豔，滿まん傍はた蘭らん蕙密森森しんしん。後こう面めん一いち個こ女子じょし走はし上前うわまえ，唿哨的てき一聲いっせい，把わ兩りょう扇おうぎ門もん兒じ推開，那な中間なかま果はて有ゆう一いち塘熱水すい。這水：
Jump to dictionary		自じ開闢かいびゃく以來いらい，太陽たいよう星原ほしはら貞さだ有ゆう十じゅう，後ご被ひ羿善開ひらき弓ゆみ，射しゃ落九烏がらす墜地，止とめ存そん金きん烏がらす一いち星ほし，乃太陽たいよう之の真ま火ひ也。天地あまち有ゆう九きゅう處しょ湯ゆ泉いずみ，俱是眾烏所しょ化か。那な九きゅう陽ひ泉いずみ，乃香冷泉れいせん、伴とも山泉やましみず、溫泉おんせん、東ひがし合あい泉いずみ、潢山泉いずみ、孝安たかやす泉いずみ、廣こう汾泉、湯ゆ泉いずみ──此泉乃濯垢あか泉いずみ。
19 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	有ゆう詩し為ため證しょう。詩し曰：
Jump to dictionary		一氣いっき無む冬ふゆ夏なつ，三さん秋永あきなが注ちゅう春はる。炎ほのお波は如鼎沸にえ，雪ゆき浪なみ似に湯ゆ新しん。分溜ぶんりゅう滋しげる禾稼，停とま流りゅう蕩とろけ俗塵ぞくじん。涓涓珠たま淚なみだ泛，滾たぎ滾たぎ玉生たまにゅう津つ。潤滑じゅんかつ原はら非ひ釀，清きよし平ひらめ還かえ自じ溫ゆたか。瑞祥ずいしょう本地ほんじ秀しゅう，造化ぞうか乃天真てんしん。佳人かじん洗あらい處しょ冰肌滑すべり，滌蕩塵ちり煩はん玉體ぎょくたい新しん。
20 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	那な浴よく池ち約やく有ゆう五ご丈餘じょうよ闊，十じゅう丈たけ多た長ちょう，內有四よん尺しゃく深淺しんせん，但ただし見み水すい清きよし徹底てってい。底そこ下水げすい一似滾珠泛玉，骨ほね都みやこ都と冒おかせ將しょう上じょう來き，四面有六七個孔竅通流。流ながれ去ざ二に三さん里り之の遙はるか，淌到田た裡うら，還かえ是ぜ溫水おんすい。池上いけがみ又また有ゆう三さん間あいだ亭てい子こ。亭ちん子中こなか近ちか後のち壁かべ放ひ著しる一張八隻腳的板凳。兩りょう山頭やまず放ひ著しる兩個りゃんこ彩いろどり漆うるし的てき衣ころも架か。行者ぎょうじゃ暗中あんちゅう喜き嚶嚶的てき，一翅飛在那衣架頭上釘住。
21 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	那な些女子じょし見み水すい又また清きよ又また熱ねつ，便びん要よう洗あらい浴よく，即そく一齊いっせい脫だつ了りょう衣服いふく，搭在衣ころも架か上じょう，一齊いっせい下か去さ。被ひ行者ぎょうじゃ看み見み：
Jump to dictionary		褪放紐ひも扣兒，解かい開ひらけ羅ら帶たい結ゆい。酥胸白しろ似に銀ぎん，玉體ぎょくたい渾如雪ゆき。肘ひじ膊賽冰鋪，香こう肩かた疑うたぐ粉こな捏こね。肚皮軟又綿めん，脊背光こう還かえ潔いさぎよ。膝ひざ腕うで半はん圍かこえ團だん，金きむ蓮れん三さん寸すん窄。中間ちゅうかん一いち段だん情じょう，露出ろしゅつ風流ふうりゅう穴あな。
22 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	那な女子じょし都と跳とべ下水げすい去さ，一個個躍浪翻波，負まけ水すい頑耍。行者ぎょうじゃ道どう：「我わが若わか打だ他た啊，只ただ消けし把わ這棍子こ往池中ちゅう一いち攪，就叫做滾湯ゆ潑老鼠ねずみ──一いち窩兒都と是ぜ死し。可憐かれん，可憐かれん！打だ便びん打だ死し他た，只ただ是ぜ低てい了りょう老ろう孫まご的てき名めい頭あたま。常つね言道ことみち：『男おとこ不ふ與あずか女じょ鬥。我わが這般しゃはん一いち個こ漢子かんし，打だ殺ころせ這幾いく個こ丫頭，著しる實じつ不ふ濟すみ。不要ふよう打だ他た，只ただ送おく他た一いち個こ絕後ぜつご計けい，教きょう他動たどう不ふ得とく身み，多少たしょう是ぜ好こう？」好こう大聖たいせい，捏こね著ちょ訣，念ねん個こ咒，搖ゆら身み一變いっぺん，變へん作さく一いち個こ餓かつえ老ろう鷹たか。但ただし見み：
Jump to dictionary		毛け猶なお霜雪そうせつ，眼め若わか明星みょうじょう。妖狐見處みどころ魂たましい皆みな喪も，狡ずる兔うさぎ逢時膽きも盡つき驚おどろき。鋼はがね爪つま鋒ほこさき芒すすき快かい，雄姿ゆうし猛もう氣き橫よこ。會かい使し老ろう拳こぶし供きょう口腹こうふく，不ふ辭じ親おや手しゅ逐飛騰あが。萬里ばんり寒空さむぞら隨ずい上下じょうげ，穿ほじ雲くも撿物任にん他行たぎょう。
23 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	呼よび的てき一いち翅，飛ひ向こう前まえ，掄開利り爪つめ，把わ他た那な衣ころも架か上じょう搭的七なな套衣服ふく，盡つき情じょう叼去，徑みち轉てん嶺みね頭あたま，現出げんしゅつ本ほん相しょう，來見くるみ八戒はっかい、沙すな僧そう。
24 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	你看那な獃子迎むかい著ちょ笑わらい道どう：「師父しふ原はら來らい是ぜ典てん當とう鋪しき裡うら拿了去さ的てき。」沙すな僧そう道どう：「怎見得とく？」八戒はっかい道どう：「你不見み師し兄けい把わ他た些衣服ふく都と搶將來しょうらい也？」行者ぎょうじゃ放下ほうか道どう：「此乃妖精ようせい穿ほじ的てき衣服いふく。」八戒はっかい道どう：「怎麼就有這許多きょた？」行者ぎょうじゃ道どう：「七なな套。」八戒はっかい道どう：「如何いか剝得這般しゃはん容易ようい，又また剝得乾いぬい淨きよし？」行者ぎょうじゃ道どう：「那な曾用剝。原はら來らい此處ここ喚做盤ばん絲いと嶺みね，那な莊しょう村むら喚做盤ばん絲いと洞ほら。洞ほら中有ちゅうう七なな個こ女おんな怪かい，把わ我わが師父しふ拿住，吊つるし在ざい洞ほら裡うら，都と向こう濯垢泉いずみ去さ洗あらい浴よく。那な泉いずみ卻是天地てんち產さん成なる的てき，一いち塘子熱ねつ水すい。他た都と算さん計けい著ちょ洗あらい了りょう澡，要よう把わ師父しふ蒸ふけ吃ども。是ぜ我わが跟到那な裡うら，見み他た脫だつ了りょう衣服いふく下水げすい，我わが要よう打だ他た，恐おそれ怕污了りょう棍子，又また怕低了りょう名めい頭あたま，是ぜ以不曾動棍，只ただ變へん做一いち個こ餓かつえ老ろう鷹たか，叼了他た的てき衣服いふく。他た都と忍辱にんにく含羞がんしゅう，不ふ敢出頭しゅっとう，蹲つくばい在ざい水中すいちゅう哩まいる。我わが等ひとし快かい去さ解かい下か師父しふ走路そうろ罷やめ。」八はち戒笑道どう：「師し兄けい，你凡幹事かんじ，只ただ要よう留とめ根ね。既すんで見み妖精ようせい，如何いか不ふ打だ殺ころせ他ほか，卻就去解かい師父しふ？他た如今縱たて然しか藏ぞう羞不出で，到いた晚ばん間あいだ必定ひつじょう出來でき。他家たけ裡うら還かえ有ゆう舊きゅう衣服いふく，穿ほじ上うえ一いち套，來らい趕我們。縱たて然しか不ふ趕，他た久住ひさずみ在ざい此，我わが們取了りょう經けい，還かえ從したがえ那な條じょう路ろ回かい去さ。常つね言道ことみち：『寧やすし少しょう路邊ろへん錢ぜに，莫少路邊ろへん拳けん。』那な時節じせつ，他た攔住了りょう吵鬧，卻不是ぜ個こ仇かたき人じん也？」行者ぎょうじゃ道どう：「憑你如何いか主張しゅちょう？」八戒はっかい道どう：「依よ我わが，先さき打だ殺ころせ了りょう妖精ようせい，再さい去さ解放かいほう師父しふ：此乃斬き草くさ除じょ根ね之の計けい。」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが是ぜ不ふ打だ他た，你要打だ，你去打だ他た。」
25 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	八戒はっかい抖擻精神せいしん，歡天喜き地ち，舉著釘くぎ鈀，拽開步ふ，徑みち直ちょく跑到那な裡うら。忽ゆるがせ的てき推開門もん看み時じ，只見ただみ那な七個女子蹲在水裡，口くち中ちゅう亂みだれ罵ののし那な鷹たか哩まいる，道みち：「這個匾毛畜生ちくしょう，貓嚼頭あたま的てき亡ほろび人じん，把わ我わが們衣服ふく都と叼去了りょう，教きょう我わが們怎的てき動どう手しゅ？」八戒忍不住笑道：「女おんな菩薩ぼさつ，在ざい這裡洗あらい澡哩？也攜帶たい我わが和尚おしょう洗あらい洗あらい，何なに如？」那な怪かい見み了りょう，作さく怒いか道みち：「你這和尚おしょう，十分じゅうぶん無禮ぶれい。我わが們是在家ありいえ的てき女流じょりゅう，你是個こ出家しゅっけ的てき男子だんし。古書こしょ云うん：『七なな年ねん男女だんじょ不ふ同席どうせき。』你好和わ我わが們同塘洗澡？」八戒はっかい道どう：「天氣てんき炎えん熱ねつ，沒ぼつ奈何いかん，將はた就容我わが洗あらい洗あらい兒じ罷やめ，那な裡うら調ちょう甚麼いんも書しょ擔兒，同席どうせき不ふ同席どうせき？」獃子不ふ容よう說せつ，丟了釘くぎ鈀，脫だつ了りょう皂錦直ちょく裰，撲なぐ的てき跳とべ下水げすい來らい。那な怪かい心中しんちゅうの煩惱ぼんのう，一齊いっせい上前うわまえ要よう打だ。不知ふち八戒はっかい水勢すいせい極ごく熟こなせ，到いた水みず裡うら搖ゆら身み一變いっぺん，變へん做一いち個こ鮎あゆ魚ぎょ精せい。那な怪かい就都摸魚，趕上拿他不ふ住じゅう：東ひがし邊べ摸，忽ゆるがせ的てき又また漬づけ了りょう西にし去さ；西にし邊べ摸，忽ゆるがせ的てき又また漬づけ了りょう東ひがし去さ。滑すべり扢虀的てき，只ただ在ざい那な腿もも襠まち裡うら亂らん鑽。原はら來らい那な水すい有ゆう攙胸之の深ふか，水上すいじょう盤ばん了りょう一いち會かい，又また盤ばん在ざい水底みなそこ，都と盤ばん倒たおせ了りょう，喘噓噓的，精神せいしん倦怠けんたい。
26 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	八戒卻才跳將上來，現げん了りょう本ほん相しょう，穿ほじ了りょう直ちょく裰，執と著しる釘くぎ鈀，喝かつ道どう：「我わが是ぜ那な個こ？你把我わが當とう鮎あゆ魚ぎょ精せい哩まいる。」那な怪かい見み了りょう，心しん驚おどろき膽きも戰せん，對たい八はち戒道：「你先來き是これ個こ和尚おしょう，到いた水みず裡うら變へん作さく鮎あゆ魚ぎょ，及拿你不住じゅう，卻又這般しゃはん打だ扮ふん，你端的てき是ぜ從したがえ何なに到いた此？是ぜ必留名めい。」八戒はっかい道どう：「這夥潑怪當とう真しん的てき不ふ認みとめ得え我わが。我わが是ぜ東ひがし土ど大だい唐とう取と經けい的てき唐から長老ちょうろう之の徒弟とてい，乃天蓬よもぎ元帥げんすい悟さとる能のう八戒はっかい是也これや。你把我わが師父しふ吊つるし在ざい洞ほら裡うら，算さん計けい要よう蒸ふけ他た受用じゅよう。我が的てき師父しふ，又また好こう蒸ふけ吃ども？快かい早はや伸しん過か頭あたま來らい，各かく築ちく一いち鈀，教きょう你斷根ね。」那な些妖聞此言ごと，魂たましい飛ひ魄たま散ち，就在水中すいちゅう跪拜きはい道どう：「望もち老爺ろうや方便ほうべん方便ほうべん！我わが等ひとし有ゆう眼め無む珠たま，誤あやま捉了你師父ちち，雖然吊つるし在ざい那な裡うら，不ふ曾敢加か刑けい受苦じゅく。望もち慈悲じひ饒にょう了りょう我が的てき性せい命いのち，情じょう願ねがい貼は些盤費ひ，送おく你師父ちち往西天てん去さ也。」八はち戒搖手しゅ道どう：「莫說這話。俗語ぞくご說得せっとく好こう：『曾著賣うり糖とう君子くんし哄，到いた今こん不信ふしん口こう甜人。』是ぜ便びん築ちく一いち鈀，各人かくじん走路そうろ。」
27 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	獃子一味いちみ粗そ夯，顯あらわ手段しゅだん，那な有ゆう憐香惜玉之の心しん，舉著鈀，不ふ分ぶん好こう歹，趕上前ぜん亂らん築ちく。那な怪かい慌了手しゅ腳，那な裡うら顧甚麼いんも羞恥しゅうち，只ただ是ぜ性せい命いのち要よう緊，隨ずい用よう手しゅ侮あなど著しる羞處，跳とべ出水しゅっすい來らい，都と跑在亭てい子こ裡うら站立，作出さくしゅつ法ほう來らい：臍ほぞ孔あな中ちゅう骨ほね都みやこ都と冒おかせ出で絲いと繩なわ，瞞天搭了個こ大だい絲いと篷，把わ八はち戒罩在ざい當とう中ちゅう。那な獃子忽ゆるがせ擡頭たいとう，不ふ見み天日てんじつ，即そく抽身往外便びん走はし，那な裡うら舉得腳步。原はら來らい放ひ了りょう絆きずな腳索，滿まん地ち都と是ぜ絲いと繩なわ，動どう動どう腳，跌個躘踵；左邊さへん去さ，一いち個こ面めん磕地；右邊うへん去さ，一いち個こ倒たおせ栽蔥；急きゅう轉身てんしん，又また跌了個こ嘴くちばし搵地；忙せわし爬起，又また跌了個こ豎蜻蜓。也不知ふち跌了多少たしょう跟頭，把わ個こ獃子跌得身み麻あさ腳軟，頭とう暈かさ眼め花はな，爬也爬不動ふどう，只ただ睡ねむ在ざい地下ちか呻吟しんぎん。
28 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	那な怪物かいぶつ卻將他た困こま住じゅう，也不打だ他た，也不傷きず他た，一個個跳出門來，將しょう絲いと篷遮住じゅう天てん光こう，各回かくかい本ほん洞ほら。到いた了りょう石橋いしばし上うえ站下，念ねん動どう真言しんごん，霎時間あいだ，把わ絲いと篷收了りょう，赤あか條條じょうじょう的てき跑入洞ほら裡うら，侮あなど著しる那な話ばなし，從したがえ唐から僧そう面前めんぜん笑わらい嘻嘻的てき跑過去かこ。走入はしり石せき房ぼう，取と幾いく件けん舊きゅう衣ころも穿ほじ了りょう，徑みち至いたり後ご門口かどぐち立りつ定じょう，叫さけべ：「孩兒がいじ們何在ざい？」原はら來らい那な妖精ようせい一いち個こ有ゆう一いち個こ兒じ子こ，卻不是ぜ他た養やしなえ的てき，都みやこ是ただし他た結ゆい拜はい的てき乾いぬい兒じ子こ。有名ゆうめい叫さけべ做蜜、螞、蠦、班はん、蜢、蜡、蜻：蜜みつ是ぜ蜜蜂みつばち，螞是螞蜂，蠦是蠦蜂，班はん是ぜ班はん毛げ，蜢是牛うし蜢，蜡是抹蜡，蜻是蜻蜓。原はら來らい那な妖精ようせい幔天結ゆい網もう，擄住這七なな般蟲蛭ひる，卻要吃ども他ほか。古こ云うん：「禽有禽言，獸しし有ゆう獸じゅう語ご。」當時とうじ這些蟲ちゅう哀あい告つげ饒にょう命いのち，願ねがい拜はい為ため母はは。遂とげ此春採はるとり百花ひゃっか供きょう怪物かいぶつ，夏なつ尋ひろ諸しょ卉孝妖精ようせい。忽ゆるがせ聞一聲ごえ呼よび喚，都と到いた面前めんぜん，問もん：「母親ははおや有ゆう何なん使令しれい？」眾怪道どう：「兒こ啊，早はや間あいだ我わが們錯惹了唐とう朝來ちょうらい的てき和尚おしょう，才さい然しか被ひ他た徒弟とてい攔在池ち裡うら，出で了りょう多少たしょう醜みにく，幾いく乎喪了りょう性せい命いのち。汝なんじ等とう努力どりょく，快かい出で門前もんぜん去さ退ずさ他た一いち退すさ。如得勝しょう後ご，可か到いた你舅舅しゅうと家か來會らいかい我が。」那な些怪既得きとく逃生，往他師し兄けい處しょ，孽嘴生せい災わざわい不ふ題だい。你看這些蟲ちゅう蛭ひる，一個個摩拳擦掌，出來でき迎むかえ敵てき。
29 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	卻說八戒跌得昏頭昏腦，猛もう擡頭たいとう，見み絲いと篷絲索さく俱無，他た才ざい一いち步ほ一いち探さがせ，爬將起おこり來らい，忍しのぶ著ちょ疼，找回原ばら路ろ。見み了りょう行者ぎょうじゃ，用よう手しゅ扯住道どう：「哥哥，我が的てき頭あたま可か腫しゅ，臉可青あお麼？」行者ぎょうじゃ道どう：「你怎的てき來らい？」八戒はっかい道どう：「我わが被ひ那な廝將絲いと繩なわ罩住，放ひ了りょう絆きずな腳索，不知ふち跌了多少たしょう跟頭，跌得我わが腰こし駝背折おり，寸すん步ふ難なん移うつり。卻才絲いと篷索子こ俱空，方ぽう得とく了りょう性せい命いのち回かい來らい也。」沙すな僧そう見み了りょう道どう：「罷やめ了りょう，罷やめ了りょう，你闖下か禍か來らい也，那な怪かい一定往洞裡去傷害師父。我わが等ひとし快かい去さ救すくい他た。」
30 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	行者ぎょうじゃ聞言，急きゅう拽步便びん走はし；八はち戒牽著ちょ馬ば。急きゅう急きゅう來き到いた莊そう前まえ，但ただし見み那な石橋いしばし上じょう有ゆう七個小妖兒擋住道：「慢來，慢來，吾われ等とう在ざい此。」行者ぎょうじゃ看み了りょう道どう：「好こう笑わらい，乾いぬい淨きよし都と是ぜ些小人じん兒じ。長ちょう的てき也只有ゆう二に尺しゃく五ご六ろく寸すん，不滿ふまん三さん尺しゃく；重じゅう的てき也只有ゆう八はち九きゅう斤きん，不滿ふまん十じゅう斤きん。」喝かつ道どう：「你是誰だれ？」那な怪かい道どう：「我わが乃七仙姑的兒子。你把我わが母親ははおや欺辱了りょう，還かえ敢無あえな知ち，打上うちあげ我が門もん。不要ふよう走はし，仔細しさい。」好こう怪物かいぶつ，一いち個個ここ亂打らんだ將來しょうらい。八戒本是跌惱了的性子，又また見み那な夥おびただし蟲むし蛭ひる小しょう巧たくみ，就發狠舉鈀來築ちく。那な些怪見み獃子兇猛きょうもう，一個個現了本像，飛ひ將はた起おこ去ざ，叫さけべ聲ごえ：「變へん！」須臾しゅゆ間あいだ，一いち個こ變へん十じゅう個こ，十じゅう個こ變へん百ひゃく個こ，百ひゃく個こ變へん千せん個こ，千せん個こ變へん萬まん個こ，個個ここ都と變成へんせい無窮むきゅう之の數かず。只見ただみ：
Jump to dictionary		滿天まんてん飛ひ抹蜡，遍へん地ち舞まい蜻蜓。蜜みつ螞追頭あたま額がく，蠦蜂扎眼睛がんせい。班はん毛げ前後ぜんこう咬，牛うし蜢上下じょうげ叮。撲なぐ面めん漫漫まんまん黑くろ，翛翛神しん鬼おに驚おどろき。
31 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	八戒はっかい慌了道どう：「哥啊，只ただ說經せっきょう好こう取と，西方せいほう路上ろじょう，蟲むし兒じ也欺負まけ人じん哩まいる。」行者ぎょうじゃ道どう：「兄弟きょうだい，不要ふよう怕，快かい上前うわまえ打だ。」八戒はっかい道どう：「撲なぐ頭あたま撲なぐ臉，渾身こんしん上下じょうげ，都と叮有十じゅう數すう層そう厚あつし，卻怎麼打？」行者ぎょうじゃ道どう：「沒ぼつ事ごと，沒ぼつ事ごと，我わが自じ有ゆう手段しゅだん。」沙すな僧そう道どう：「哥啊，有ゆう甚手段しゅだん，快かい使つかい出來でき罷やめ，一會子光頭上都叮腫了。」
32 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	好こう大聖たいせい，拔了一いち把わ毫毛，嚼得粉碎ふんさい，噴將出で去ざ，即そく變へん做些黃き、麻あさ、𪀚、白しろ、鵰、魚さかな、鷂はいたか。八戒はっかい道どう：「師し兄けい，又また打だ甚麼いんも市し語ご，黃き啊、麻あさ啊哩？」行者ぎょうじゃ道どう：「你不知ふち。黃き是ぜ黃き鷹たか，麻あさ是ぜ麻あさ鷹たか，𪀚是ぜ𪀚鷹たか，白はく是ただし白鷹しらたか，鵰是鵰鷹，魚さかな是ぜ魚ぎょ鷹たか，鷂はいたか是ぜ鷂はいたか鷹たか。那な妖精ようせい的てき兒じ子こ是ぜ七なな樣よう蟲ちゅう，我が的てき毫毛是ぜ七なな樣よう鷹たか。」鷹たか最さい能のう嗛蟲，一いち嘴くちばし一いち個こ，爪つめ打だ翅敲，須臾しゅゆ，打だ得とく罄盡，滿まん空そら無む跡あと，地積ちせき尺じゃく餘あまり。
33 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	三兄弟方才闖過橋去，徑みち入にゅう洞ほら裡うら，只見ただみ老ろう師父しふ吊つるし在ざい那な裡うら哼哼的てき哭哩。八戒はっかい近きん前ぜん道みち：「師父しふ，你是要よう來らい這裡吊つるし了りょう耍子，不知ふち作成さくせい我わが跌了多少たしょう跟頭哩まいる。」沙すな僧そう道どう：「且解下か師父しふ再說さいせつ。」行者ぎょうじゃ即そく將はた繩なわ索さく挑斷，放下ほうか師父しふ。問とい道どう：「妖精ようせい那な裡うら去さ了りょう？」唐から僧そう道どう：「那な七個都赤條條的往後邊叫兒子去了。」行者ぎょうじゃ道どう：「兄弟きょうだい們，跟我來らい尋ひろ去さ。」
34 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	三さん人にん各かく持じ兵器へいき，往後園えん裡うら尋ひろ處しょ，不ふ見み蹤跡。都と到いた那な桃李とうり樹じゅ上じょう尋ひろ遍あまね不ふ見み。八戒はっかい道どう：「去さ了りょう，去さ了りょう。」沙すな僧そう道どう：「不ふ必尋他た，等とう我わが扶師父ちち去さ也。」弟おとうと兄けい們復來らい前面ぜんめん，請唐僧上そうじょう馬ば。八戒はっかい道どう：「你們扶師父ちち走はし著しる，等ひとし老ろう豬一頓鈀築倒他這房子，教きょう他た來らい時じ沒ぼつ處しょ安やす身み。」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「築ちく還かえ費ひ力りょく，不ふ若わか尋ひろ些柴來らい，與あずか他た個こ斷だん根ね罷やめ。」好こう獃子，尋ひろ了りょう些朽松まつ、破竹はちく、乾いぬい柳やなぎ、枯藤，點てん上じょう一いち把わ火ひ，烘烘的てき都と燒しょう得とく乾いぬい淨きよし。師し徒と卻才放心ほうしん前まえ來らい。
35 Jump to dictionary	盤ばん絲いと洞ほら七なな... :	咦！畢竟ひっきょう這去，不知ふち那な怪かい的てき吉凶きっきょう如何いか，且聽下か回かい分解ぶんかい。

《李り卓たく吾われ先生せんせい批評ひひょう西にし游ゆう記き》

URN: ctp:xiyouji/ch72

《盤ばん絲いと洞ほら七なな情じょう迷本 濯垢泉いずみ八戒はっかい忘形》

《盤ばん絲いと洞ほら七なな情じょう迷本　濯垢泉いずみ八戒はっかい忘形》