西遊記 : 二心攪亂大乾坤　一體難修真寂滅

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《二心ふたごころ攪亂かくらん大だい乾坤けんこん　一體いったい難なん修おさむ真ま寂滅じゃくめつ》

1 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	這行者しゃ與あずか沙すな僧そう拜辭はいじ了りょう菩薩ぼさつ，縱たて起おこり兩道りょうどう祥さち光こう，離はなれ了りょう南海なんかい。原はら來らい行者ぎょうじゃ觔斗雲くも快かい，沙すな和尚おしょう仙せん雲くも覺さと遲おそ，行ぎょう者しゃ就要先行せんこう。沙すな僧そう扯住道どう：「大だい哥不必這等とう藏ぞう頭あたま露ろ尾お，先さき去さ安やす根ね。待まち小弟しょうてい與あずか你一同いちどう走はし。」大聖たいせい本ほん是ぜ良心りょうしん，沙すな僧そう卻有疑うたぐ意い。真個しんこ二に人にん同どう駕が雲くも而去。不ふ多た時じ，果はて見み花はな果はて山やま。按下雲くも頭あたま，二人ふたり洞ほら外がい細ぼそ看み，果はて見み一いち個こ行者ぎょうじゃ，高こう坐すわ石いし臺だい之の上うえ，與あずか群ぐん猴飲酒しゅ作樂さくら。模樣もよう與あずか大聖たいせい無む異こと：也是黃き髮かみ金きん箍たが，金きむ睛火眼め；身み穿ほじ也是綿布めんぷ直ちょく裰，腰こし繫虎皮がわ裙；手中しゅちゅう也拿一條兒金箍鐵棒；足下あしもと也踏一雙いっそう麂皮靴くつ；也是這等毛げ臉雷公らいこう嘴くちばし，朔さく腮別土星どせい，查耳額がく顱闊，獠牙向こう外そと生せい。
2 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	這大聖たいせい怒いか發はつ，一いち撒手，撇了沙すな和尚おしょう，掣鐵棒ぼう上前うわまえ罵ののし道みち：「你是何等なんら妖邪，敢變我が的てき相貌そうぼう，敢占我が的てき兒じ孫まご，擅居吾われ仙洞せんとう，擅作這威福ぶく？」那な行者ぎょうじゃ見み了りょう，公然こうぜん不ふ答こたえ，也使鐵棒てつぼう來迎らいごう。二に行ぎょう者しゃ在ざい一いち處しょ，果はて是ぜ不ふ分ぶん真ま假かり，好こう打だ呀：
Jump to dictionary		兩りょう條じょう棒ぼう，二に猴精，這場相しょう敵てき實じつ非ひ輕けい。都と要よう護持ごじ唐から御ご弟おとうと，各かく施ほどこせ功績こうせき立りつ英名えいめい。真ま猴實受沙門もん教きょう，假かり怪かい虛きょ稱しょう佛子ぶっし情じょう。蓋ぶた為ため神通じんずう多た變化へんか，無む真しん無む假かり兩りょう相あい平たいら。一個是混元一氣齊天聖，一個是久煉千靈縮地精。這個是ぜ如意にょい金きん箍たが棒ぼう，那な個こ是ぜ隨ずい心こころ鐵てつ桿兵。隔へだた架か遮さえぎ攔無勝敗しょうはい，撐持抵敵沒ぼつ輸贏ゆえい。先さき前ぜん交手在ざい洞ほら外がい，少すくな頃ころ爭そう持じ起おこり半はん空そら。
3 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	他た兩個りゃんこ各かく踏雲光こう，跳とべ鬥上九きゅう霄雲內。
4 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	沙すな僧そう在ざい傍はた，不ふ敢下手しゅ。見み他た們戰此一場じょう，誠まこと然しか難なん認みとめ真ま假かり。欲よく待まち拔刀ばっとう相しょう助すけ，又また恐おそれ傷きず了りょう真しん的てき。忍耐にんたい良久よしひさ，且縱身み跳とべ下山げざん崖がけ，使つかい降くだ妖寶杖つえ，打だ近きん水みず簾すだれ洞ほら外がい，驚おどろき散ち群ぐん妖，掀翻石せき凳，把わ飲酒いんしゅ食しょく肉的にくてき器き皿さら盡つき情じょう打だ碎。尋ひろ他た的てき青あお氈包袱，四下裡全然不見。原はら來らい他た水みず簾すだれ洞ほら本ほん是ぜ一いち股また瀑布ばくふ飛泉ひせん，遮さえぎ掛かけ洞門どうもん，遠とお看み似に一いち條じょう白布しろぬの簾すだれ兒じ，近きん看み乃是一いち股また水脈すいみゃく，故こ曰水簾すだれ洞ほら。沙すな僧そう不知ふち進步しんぽ來歷らいれき，故こ此難尋ひろ。即そく便びん縱たて雲くも，趕到九きゅう霄雲裡うら，掄著寶たから杖つえ，又また不ふ好こう下手へた。大聖たいせい道どう：「沙すな僧そう，你既助じょ不ふ得とく力りょく，且回覆くつがえ師父しふ，說せつ我が等とう這般しゃはん這般しゃはん，等ひとし老ろう孫まご與あずか此妖打上うちあげ南海なんかい落伽山やま菩薩ぼさつ前まえ辨べん個こ真ま假かり。」道みち罷やめ，那な行者ぎょうじゃ也如此說。沙すな僧そう見み兩個りゃんこ相貌そうぼう、聲音こわね，更さら無む一毫いちごう差別さべつ，皂白難なん分ぶん，只ただ得え依よ言げん，撥ばち轉てん雲くも頭あたま，回かい覆くつがえ唐から僧そう不ふ題だい。
5 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	你看那な兩個りゃんこ行者ぎょうじゃ，且行かつゆき且鬥，直來なおらい到いた南海なんかい，徑みち至いたり落伽山やま，打だ打だ罵ののし罵ののし，喊聲かんせい不ふ絕ぜっ。早はや驚おどろき動どう護法ごほう諸しょ天てん，即そく報むくい入潮いりしお音おん洞ほら裡うら道どう：「菩薩ぼさつ，果然かぜん兩個りゃんこ孫まご悟空ごくう打だ將來しょうらい也。」那な菩薩ぼさつ與あずか木き叉また行者ぎょうじゃ、善ぜん財ざい童子どうじ、龍りゅう女おんな降くだ蓮臺れんだい，出で門もん喝かつ道どう：「那な孽畜那な裡うら走はし？」這兩個りゃんこ遞相揪住道どう：「菩薩ぼさつ，這廝果然かぜん像ぞう弟子でし模樣もよう。才ざい自じ水みず簾すだれ洞ほら打だ起おこり，戰せん鬥多時じ，不ふ分ぶん勝負しょうぶ。沙悟淨さごじょう肉眼にくがん愚ぐ蒙こうむ，不能ふのう分ぶん識，有力ゆうりょく難なん助すけ，是ぜ弟子でし教きょう他た回かい西にし路ろ去さ回かい覆くつがえ師父しふ。我わが與あずか這廝打だ到いた寶山たからやま，借か菩薩ぼさつ慧眼けいがん，與あずか弟子でし認みとめ個こ真ま假かり，辨明べんめい邪よこしま正ただし。」道みち罷やめ，那な行者ぎょうじゃ也如此說一いち遍へん。眾諸天與てんよ菩薩ぼさつ都と看み良久よしひさ，莫想能のう認みとめ。菩薩道ぼさつどう：「且放了りょう手しゅ，兩邊りょうへん站下，等とう我わが再さい看み。」果然かぜん撒手，兩邊りょうへん站定。這邊說せつ：「我わが是ぜ真しん的てき。」那な邊べ說せつ：「他た是ぜ假かり的てき。」
6 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	菩薩ぼさつ喚木叉また與あずか善ぜん財ざい上前うわまえ，悄悄しょうしょう吩咐：「你一いち個こ幫住一いち個こ，等とう我わが暗くら念ねん緊箍兒じ咒，看み那な個こ害がい疼的便びん是ぜ真しん，不ふ疼的便びん是ぜ假かり。」他た二に人にん果はて各かく幫一いち個こ。菩薩ぼさつ暗くら念ねん真言しんごん，兩個りゃんこ一齊いっせい喊疼，都と抱だき著ちょ頭あたま，地下ちか打だ滾たぎ，只ただ叫さけべ：「莫念，莫念。」菩薩ぼさつ不念ぶねん，他た兩個りゃんこ又また一齊いっせい揪住，照あきら舊きゅう嚷鬥。菩薩ぼさつ無む計けい奈何いかん，即そく令れい諸しょ天てん、木き叉また上前うわまえ助力じょりょく。眾神恐おそれ傷きず真しん的てき，亦また不ふ敢下手しゅ。菩薩ぼさつ叫さけべ聲ごえ「孫悟空そんごくう」，兩個りゃんこ一齊いっせい答こたえ應おう。菩薩道ぼさつどう：「你當年ねん官かん拜はい弼馬溫あつし，大だい鬧天宮てんぐう時じ，神かみ將すすむ皆みな認みとめ得え你，你且上うえ界かい去さ分ぶん辨べん回かい話ばなし。」這大聖せい謝恩しゃおん，那な行者ぎょうじゃ也謝恩しゃおん。
7 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	二人ふたり扯扯拉ひしげ拉ひしげ，口くち裡うら不ふ住じゅう的てき嚷鬥，徑みち至いたり南天なんてん門外もんがい。慌得那な廣目天こうもくてん王おう帥そち馬ば、趙ちょう、溫あつし、關せき四よん大だい天てん將はた，及把門もん大小だいしょう眾神，各かく使つかい兵器へいき擋住道どう：「那な裡うら走はし？此間可か是ぜ爭そう鬥之處しょ？」大聖たいせい道どう：「我わが因いん保護ほご唐から僧そう往西天てん取と經けい，在ざい路上ろじょう打だ殺ころせ賊徒ぞくと，那な三藏趕我回去，我わが徑みち到いた普ひろし陀崖見み觀音かんのん菩薩ぼさつ訴苦。不ふ想そう這妖精ようせい幾いく時じ就變作さく我が的てき模樣もよう，打倒だとう唐から僧そう，搶去包つつみ袱。有ゆう沙すな僧そう至いたり花はな果はて山やま尋ひろ討，只見ただみ這妖精ようせい占うらない了りょう我が的てき巢す穴あな。後ご到いた普ひろし陀崖告つげ請菩薩ぼさつ，又また見み我わが侍立じりつ臺下だいか，沙すな僧そう誑說是ぜ我わが駕が觔斗雲くも，又また先さき在ざい菩薩ぼさつ處しょ遮さえぎ飾かざり。菩薩ぼさつ卻是個こ正明まさあき，不ふ聽沙僧そう之の言げん，命いのち我わが同どう他た到いた花はな果はて山やま看み驗けん。原はら來らい這妖精ようせい果はて像ぞう老ろう孫まご模樣もよう，才さい自じ水みず簾すだれ洞ほら打だ到いた落伽山見やまみ菩薩ぼさつ，菩薩ぼさつ也難識認。故こ打だ至いたり此間，煩うるさ諸しょ天眼てんがん力りょく，與あずか我わが認みとめ個こ真ま假かり。」道みち罷やめ，那な行者ぎょうじゃ也似這般しゃはん這般しゃはん說せつ了りょう一いち遍へん。眾天神しん看み夠多時じ，也不能辨のうべん。他た兩個りゃんこ吆喝道どう：「你們既すんで不能ふのう認みとめ，讓ゆずる開ひらき路ろ，等とう我わが們去見み玉だま帝みかど！」
8 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	眾神搪抵不ふ住じゅう，放ひ開ひらき天てん門もん，直ちょく至いたり靈れい霄寶殿どの。馬うま元帥げんすい同どう張ちょう、葛かずら、許もと、丘おか四よん天てん師し奏そう道どう：「下界げかい有ゆう一般兩個孫悟空打進天門，口くち稱たたえ見み王おう。」說せつ不ふ了りょう，兩個りゃんこ直ちょく嚷進來らい。諕得那な玉だま帝みかど即そく降くだ立たて寶殿ほうでん，問もん曰：「你兩個りゃんこ因いん甚事擅鬧天宮てんぐう，嚷至朕ちん前ぜん尋ひろ死し？」大聖たいせい口こう稱しょう：「萬歲ばんざい，萬歲ばんざい，臣しん今こん皈命，秉教沙門しゃもん，再さい不ふ敢欺心こころ誑上。只ただ因いん這個妖精ようせい變へん作さく臣しん的てき模樣もよう，」如此如彼，把わ前まえ情じょう備陳了りょう一いち遍へん，「望もち乞與臣しん辨べん個こ真ま假かり。」那な行者ぎょうじゃ也如此陳了りょう一いち遍へん。玉たま帝みかど即そく傳でん旨むね宣せん托たく塔とう李り天王てんのう，教きょう：「把わ照あきら妖鏡來らい照あきら這廝誰だれ真ま誰だれ假かり，教きょう他た假かり滅めつ真ま存そん。」天王てんのう即そく取と鏡かがみ照あきら住じゅう，請玉帝みかど同どう眾神觀かん看み。鏡かがみ中ちゅう乃是兩個りゃんこ孫まご悟空ごくう的てき影かげ子こ，金きむ箍たが、衣服いふく，毫髮不ふ差さ。玉たま帝みかど亦また辨わきまえ不出ふしゅつ，趕出殿どの外がい。
9 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	這大聖せい呵呵かか冷笑れいしょう，那な行者ぎょうじゃ也哈哈歡喜かんき。揪頭抹頸，復ふく打出うちで天たかし門もん，墜落ついらく西方せいほう路上ろじょう道どう：「我わが和わ你見師父しふ去さ，我わが和わ你見師父しふ去さ。」
10 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	卻說那な沙すな僧そう自じ花はな果はて山やま辭じ他た兩個りゃんこ，又また行くだり了りょう三さん晝夜ちゅうや，回かい至いたり本莊ほんじょう，把わ前まえ事こと對たい唐とう僧そう說せつ了りょう一いち遍へん。唐から僧そう自家じか悔恨かいこん道どう：「當時とうじ只ただ說せつ是ぜ孫まご悟空ごくう打だ我わが一いち棍，搶去包つつみ袱，豈あに知ち卻是妖精ようせい假かり變へん的てき行者ぎょうじゃ。」沙すな僧そう又また告つげ道どう：「這妖又また假かり變へん一いち個こ長老ちょうろう，一いち匹ひき白馬はくば；又また有ゆう一個八戒挑著我們包袱，又また有ゆう一いち個こ變へん作さく是ぜ我が。我わが忍にん不ふ住じゅう惱怒，一いち杖つえ打だ死し，原はら是ただし一いち個こ猴精。因よし此驚散ち，又また到いた菩薩ぼさつ處しょ訴苦。菩薩ぼさつ著ちょ我わが與あずか師し兄けい又また同どう去さ識認，那な妖果與あずか師し兄けい一般いっぱん模樣もよう。我わが難なん助力じょりょく，故こ先さき來らい回かい覆くつがえ師父しふ。」三藏さんぞう聞言，大だい驚おどろき失しつ色しょく。八戒哈哈大笑道：「好こう好こう好このみ，應おう了りょう這施主家しゅか婆ばば婆ばば之の言げん了りょう：他た說せつ有ゆう幾いく起おこり取と經けい的てき，這卻不ふ又また是ぜ一起かずき？」
11 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	那な家老がろう老ろう小しょう小しょう的てき都と來らい問とい沙すな僧そう道どう：「你這幾いく日にち往何處どこ討盤纏まとい去さ的てき？」沙すな僧そう笑わらい道どう：「我わが往東勝しょう神洲しんしゅう花はな果はて山やま尋ひろ大師だいし兄けい取と討行李り，又また到いた南海なんかい普ひろし陀山拜見はいけん觀音かんのん菩薩ぼさつ，卻又到いた花はな果はて山やま，方ぽう才ざい轉回てんかい至いたり此。」那な老ろう者しゃ又また問とい：「往返有ゆう多少たしょう路程ろてい？」沙すな僧そう道どう：「約やく有ゆう二に十じゅう餘あまり萬まん里さと。」老ろう者しゃ道どう：「爺じい爺じい呀！似に這幾日び，就走了りょう這許多きょた路ろ，只ただ除じょ是ぜ駕が雲くも，方ぽう能のう夠得到いた！」八戒はっかい道どう：「不ふ是ぜ駕が雲くも，如何いか過か海うみ？」沙すな僧そう道どう：「我わが們那算さん得とく走路そうろ，若わか是ぜ我わが大師だいし兄けい，只ただ消きえ一いち二に日にち，可か往回也。」那な家子いえこ聽言，都と說せつ是ぜ神仙しんせん。八戒はっかい道どう：「我わが們雖不ふ是ぜ神仙しんせん，神仙しんせん還かえ是これ我わが們的晚ばん輩やから哩まいる！」
12 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	正せい說せつ間あいだ，只ただ聽半空中くうちゅう喧嘩げんか亂みだれ嚷。慌得都と出來でき看み，卻是兩個りゃんこ行者ぎょうじゃ打だ將來しょうらい。八戒はっかい見み了りょう，忍しのぶ不ふ住じゅう手しゅ癢道：「等ひとし我わが去さ認みとめ認みとめ看み。」好こう獃子，急きゅう縱たて身み跳とべ起おこり，望もち空そら高だか叫さけべ道どう：「師し兄けい莫嚷，我わが老ろう豬來也！」那な兩個りゃんこ一齊いっせい應おう道どう：「兄弟きょうだい，來き打だ妖精ようせい，來き打だ妖精ようせい。」那な家子いえこ又また驚おどろき又喜またき道どう：「是ぜ幾いく位い騰あが雲くも駕が霧きり的てき羅漢らかん歇在我家わがや，就是發願ほつがん齋とき僧そう的てき，也齋不ふ著ちょ這等好こう人ひと。」更さら不ふ計けい較茶飯めし，愈いよいよ加か供養くよう。又また說せつ：「這兩個りゃんこ行者ぎょうじゃ只ただ怕鬥出で不ふ好このみ來らい，地ち覆くつがえ天てん翻こぼし，作さく禍か在ざい那な裡うら！」三藏見那老者當面是喜，背後はいご是ぜ憂ゆう，即そく開ひらけ言道ことみち：「老ろう施主せしゅ放心ほうしん，莫生憂ゆう嘆。貧ひん僧そう收おさむ伏ふく了りょう徒弟とてい，去さ惡あく歸き善ぜん，自然しぜん謝しゃ你。」那な老ろう者しゃ滿まん口くち回答かいとう道どう：「不ふ敢，不ふ敢。」沙すな僧そう道どう：「施主せしゅ休講きゅうこう。師父しふ可か坐すわ在ざい這裡，等とう我わが和わ二に哥去，一家扯一個來到你面前，你就念念ねんねん那な話はなし兒じ，看み那な個こ害がい疼的就是真しん的てき，不ふ疼的就是假かり的てき。」三藏さんぞう道どう：「言げん之の極ごく當とう。」
13 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	沙すな僧そう果はて起おこり在ざい半はん空そら道どう：「二に位い住じゅう了りょう手しゅ，我わが同どう你到師父しふ面前めんぜん辨べん個こ真ま假かり去さ。」這大聖たいせい放ひ了りょう手しゅ，那な行者ぎょうじゃ也放了りょう手しゅ。沙すな僧そう攙住一いち個こ，叫さけべ道どう：「二に哥，你也攙住一いち個こ。」果然かぜん攙住，落下らっか雲くも頭あたま，徑みち至いたり草くさ舍しゃ門外もんがい。三藏さんぞう見み了りょう，就念緊箍兒じ咒。二人ふたり一齊いっせい叫さけべ苦く道どう：「我わが們這等とう苦く鬥，你還咒我怎的？莫念，莫念。」那な長老ちょうろう本心ほんしん慈善じぜん，遂とげ住じゅう了りょう口こう不念ぶねん，卻也不ふ認みとめ得え真ま假かり。他た兩個りゃんこ掙脫手しゅ，依然いぜん又また打だ。這大聖たいせい道どう：「兄弟きょうだい們保著ちょ師父しふ，等とう我わが與あずか他た打だ到いた閻王前ぜん折おり辨わきまえ去ざ也。」那な行者ぎょうじゃ也如此說。二人抓抓掗掗，須臾しゅゆ又また不ふ見み了りょう。
14 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	八戒はっかい道どう：「沙すな僧そう，你既到いた水みず簾すだれ洞ほら，看み見み假かり八はち戒挑著ちょ行李こうり，怎麼不ふ搶將來しょうらい？」沙すな僧そう道どう：「那な妖精ようせい見み我わが使つかい寶たから杖つえ打だ他た假かり沙すな僧そう，他た就亂圍かこえ上じょう來き要よう拿，是ぜ我わが顧性命いのち走はし了りょう。及告菩薩ぼさつ，與あずか行者ぎょうじゃ復ふく至いたり洞口ほらぐち，他た兩個りゃんこ打だ在ざい空中くうちゅう，是ぜ我わが去さ掀翻他た的石まといし凳，打だ散ち他た的てき小しょう妖。只見ただみ一いち股また瀑布ばくふ泉水せんすい流りゅう，竟不知ふち洞門どうもん開ひらけ在ざい何處どこ，尋ひろ不ふ著ちょ行李こうり，所以ゆえん空手からて回かい覆くつがえ師し命いのち也。」八戒はっかい道どう：「你原來き不ふ曉あかつき得とく。我わが前年ぜんねん請他去さ時とき，先さき在ざい洞門どうもん外相がいしょう見み。後こう被ひ我が說せつ泛了他た，他た就跳下か，去さ洞ほら裡うら換かわ衣ころも來らい時じ，我わが看み見み他た將しょう身み往水裡うら一いち鑽。那な一いち股また瀑布ばくふ水流すいりゅう，就是洞門どうもん。想そう必那怪かい將はた我わが們包袱收在ざい那な裡うら面めん也。」三藏さんぞう道どう：「你既知きち此門，你可趁他都と不在ふざい，可か先さき到いた他た洞ほら裡うら取出とりで包つつみ袱，我わが們往西にし天てん去さ罷やめ。他た就來，我わが也不用よう他た了りょう。」八戒はっかい道どう：「我わが去さ。」沙すな僧そう說せつ：「二に哥，他た那な洞ほら前ぜん有ゆう千せん數すう小しょう猴，你一人恐弄他不過，反はん為ため不美ふみ。」八はち戒笑道どう：「不ふ怕，不ふ怕。」急きゅう出だし門もん，縱たて著ちょ雲霧うんむ，徑みち上じょう花はな果はて山やま尋ひろ取と行李こうり不ふ題だい。
15 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	卻說那な兩個りゃんこ行者ぎょうじゃ又また打だ嚷到陰かげ山やま背後はいご，諕得那な滿山まんざん鬼おに戰戰兢兢せんせんきょうきょう，藏ぞう藏ぞう躲躲。有ゆう先さき跑的，撞入陰かげ司し門もん裡うら，報ほう上じょう森もり羅ら寶殿ほうでん道どう：「大王だいおう，背せ陰かげ山上やまかみ有ゆう兩個りゃんこ齊ひとし天てん大聖たいせい打だ將來しょうらい也。」慌得那な第だい一殿秦廣王傳報與二殿楚江王、三殿みどの宋そう帝王ていおう、四よん殿どの卞城王おう、五ご殿どの閻羅王おう、六ろく殿どの平等びょうどう王おう、七なな殿どの泰山たいざん王おう、八はち殿どの都市とし王おう、九きゅう殿どの忤官王おう、十じゅう殿どの轉てん輪わ王おう：一いち殿どの轉てん一いち殿どの，霎時間あいだ，十王じゅうおう會かい齊ひとし，又また著ちょ人じん飛報ひほう與あずか地藏じぞう王おう。盡つき在ざい森もり羅ら殿上てんじょう，點てん聚陰兵へい，等とう擒とりこ真ま假かり。只ただ聽得那な強風きょうふう滾たぎ滾たぎ，慘むご霧きり漫漫まんまん，二行者一翻一滾的打至森羅殿下。
16 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	陰かげ君くん近ちか前ぜん擋住道どう：「大聖たいせい有ゆう何事なにごと，鬧我幽冥ゆうめい？」這大聖たいせい道どう：「我わが因いん保ほ唐から僧そう西にし天てん取と經けい，路みち過か西にし梁はり國こく，至いたり一いち山やま，有ゆう強きょう賊ぞく截劫我が師し。是ぜ老ろう孫まご打だ死し幾いく個こ，師父しふ怪我けが，把わ我わが逐回。我わが隨したがえ到いた南海なんかい菩薩ぼさつ處しょ訴告，不知ふち那な妖精ようせい怎麼就綽著ちょ口氣こうき，假かり變へん作さく我が的てき模樣もよう，在ざい半はん路上ろじょう打倒だとう師父しふ，搶奪了りょう行李こうり。師弟してい沙すな僧そう向こう我わが本山ほんざん取と討包袱，這妖假立かりだち師し名めい，要よう往西天てん取と經けい。沙すな僧そう逃遁至いたり南海なんかい見みる菩薩ぼさつ，我わが正せい在ざい側がわ。他た備說原因げんいん，菩薩ぼさつ又また命いのち我わが同どう他た至いたり花はな果はて山やま觀かん看み，果はて被ひ這廝占うらない了りょう我わが巢す穴あな。我わが與あずか他た爭そう辨べん到いた菩薩ぼさつ處しょ，其實相貌そうぼう、言語げんご等とう俱一般いっぱん，菩薩ぼさつ也難辨べん真ま假かり。又また與あずか這廝打上うちあげ天堂てんどう，眾神亦また果はて難なん辨べん。因よし見み我わが師し，我わが師し念ねん緊箍咒試驗しけん，與あずか我わが一般いっぱん疼痛とうつう。故こ此鬧至いたり幽冥ゆうめい，望もち陰かげ君くん與あずか我わが查看生死せいし簿ぼ，看み假かり行者ぎょうじゃ是ぜ何なん出身しゅっしん，快かい早はや追つい他た魂魄こんぱく，免めん教きょう二に心しん沌亂。」那な怪あや亦また如此說せつ一いち遍へん。陰かげ君くん聞言，即そく喚管簿ぼ判官ほうがん一いち一いち從したがえ頭あたま查勘，更さら無む個こ假かり行者ぎょうじゃ之の名な。再さい看み毛蟲けむし文ぶん簿ぼ，那な猴子一いち百ひゃく三さん十じゅう條じょう，已やめ是ぜ孫まご大聖たいせい幼年ようねん得道とくどう之の時とき，大だい鬧陰司し，消けし死し名めい，一筆いっぴつ勾之。自じ後來こうらい，凡是猴屬，盡つき無名むめい號ごう。查勘畢，當とう殿しんがり回報かいほう。陰かげ君くん各かく執と笏しゃく，對たい行者ぎょうじゃ道どう：「大聖たいせい，幽冥ゆうめい處しょ既すんで無名むめい號ごう可か查，你還到いた陽ひ間あいだ去さ折おり辨べん。」
17 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	正せい說せつ處しょ，只ただ聽得地藏じぞう王おう菩薩道ぼさつどう：「且住，且住。等ひとし我わが著しる諦たい聽與你聽個こ真ま假かり。」原はら來らい那な諦たい聽是地藏じぞう菩薩ぼさつ經けい案下あんか伏ふく的てき一いち個こ獸じゅう名めい。他た若わか伏在ふくざい地下ちか，一いち霎時，將はた四よん大部たいぶ洲しゅう山川やまかわ社稷しゃしょく，洞ほら天福てんぷく地ち之の間あいだ，蠃蟲、鱗うろこ蟲ちゅう、毛蟲けむし、羽蟲はむし、昆蟲こんちゅう、天仙てんせん、地ち仙せん、神仙しんせん、人ひと仙せん、鬼おに仙せん，可か以照鑒善惡あく，察聽賢愚けんぐ。那な獸じゅう奉たてまつ地藏じぞう鈞ひとし旨むね，就於森もり羅ら庭にわ院いん之の中なか，俯伏在地ざいち。須臾しゅゆ，擡もたげ起おこり頭あたま來らい，對たい地藏じぞう道どう：「怪かい名めい雖有，但ただし不可ふか當面とうめん說破せっぱ，又また不能ふのう助力じょりょく擒とりこ他た。」地藏じぞう道どう：「當面とうめん說せつ出で便びん怎麼？」諦たい聽道：「當面とうめん說せつ出で，恐おそれ妖精ようせい惡あく發はつ，搔擾寶殿ほうでん，致令陰かげ府ふ不安ふあん。」又また問とい：「何なに為ため不能ふのう助力じょりょく擒とりこ拿？」諦たい聽道：「妖精ようせい神通じんずう，與あずか孫まご大聖たいせい無二むに。幽冥ゆうめい之の神かみ，能のう有ゆう多少たしょう法力ほうりき？故こ此不能ふのう擒とりこ拿。」地藏じぞう道どう：「似に這般しゃはん怎生祛除？」諦たい聽言：「佛法ぶっぽう無邊むへん。」地藏じぞう早はや已やめ省しょう悟さとる，即そく對たい行者ぎょうじゃ道どう：「你兩個りゃんこ形容けいよう如一，神通じんずう無二むに，若わか要よう辨明べんめい，須到雷かみなり音おん寺てら釋迦如來しゃかにょらい那な裡うら，方ぽう得とく明白めいはく。」兩個りゃんこ一齊いっせい嚷道：「說せつ的てき是ぜ，說せつ的てき是ぜ。我わが和わ你西天てん佛祖ぶっそ之の前ぜん折おり辨わきまえ去ざ。」那な十じゅう殿どの陰かげ君くん送出そうしゅつ，謝しゃ了りょう地藏じぞう，回かい上じょう翠みどり雲宮くもみや，著ちょ鬼おに使し閉了幽冥ゆうめい關せき隘不題だい。
18 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	看み那な兩個りゃんこ行者ぎょうじゃ飛ひ雲くも奔霧，打だ上西かみにし天たかし。有ゆう詩し為ため證しょう。詩し曰：
Jump to dictionary		人ひと有ゆう二に心しん生せい禍か災わざわい，天涯てんがい海うみ角かく致疑猜。欲よく思おもえ寶馬ほうま三さん公おおやけ位い，又また憶金鑾一いち品ひん臺だい。南みなみ征せい北きた討無休むきゅう歇，東ひがし擋西除じょ未定みてい哉。禪門ぜんもん須學無心むしん訣，靜養せいよう嬰兒えいじ結ゆい聖せい胎。
19 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	他た兩個りゃんこ在ざい那な半はん空そら裡うら扯扯拉ひしげ拉ひしげ，抓つめ抓つめ掗掗，且行かつゆき且鬥，直ちょく嚷至大西おおにし天たかし靈れい鷲わし仙山せんのやま雷かみなり音おん寶たから剎之外がい。早見はやみ那な四よん大だい菩薩ぼさつ、八はち大金おおかね剛つよし、五ご百ひゃく阿おもね羅ら、三さん千せん揭諦、比丘尼びくに、比丘びく僧そう、優ゆう婆ばば塞ふさが、優ゆう婆ばば夷えびす諸しょ大聖たいせい眾，都と到いた七寶しっぽう蓮臺れんだい之の下した，淨きよし聽如來にょらい說法せっぽう。那な如來にょらい正せい講こう到いた這：
Jump to dictionary		「不ふ有ゆう中有ちゅうう，不ふ無む中ちゅう無む。不ふ色いろ中ちゅう色しょく，不空ふくう中空なかぞら。非ひ有為ゆうい有ゆう，非ひ無為むい無な。非ひ色いろ為ため色しょく，非ひ空そら為ため空そら。空そら即そく是ぜ空そら，色いろ即そく是ぜ色しょく。色いろ無む定じょう色しょく，色即是空しきそくぜくう。空そら無む定てい空そら，空即是色くうそくぜしき。知ち空そら不空ふくう，知ち色しょく不ふ色いろ。名めい為ため照あきら了りょう，始はじめ達たち妙音みょうおん。」
20 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	概がい眾稽首くび皈依，流通りゅうつう誦讀之の際さい，如來にょらい降くだ天花てんげ普ふ散ち繽紛ひんぷん，即そく離はなれ寶たから座ざ，對たい大だい眾道：「汝なんじ等とう俱是一いち心しん，且看二心競鬥而來也。」
21 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	大だい眾舉目め看み之これ，果はて是ぜ兩個りゃんこ行者ぎょうじゃ，吆天喝かつ地ち，打だ至いたり雷かみなり音おん勝かち境さかい。慌得那な八大金剛上前擋住道：「汝なんじ等とう欲よく往那裡うら去さ？」這大聖たいせい道どう：「妖精ようせい變へん作さく我が的てき模樣もよう，欲よく至寶しほう蓮臺れんだい下か，煩はん如來にょらい為ため我が辨べん個こ虛實きょじつ也。」眾金剛こんごう抵擋不ふ住じゅう，直ちょく嚷至臺下だいか，跪於佛祖ぶっそ之の前まえ，拜はい告つげ道どう：「弟子でし保護ほご唐から僧そう，來らい造みやつこ寶山たからやま，求もとめ取ど真ま經けい，一路上煉魔縛怪，不知ふち費ひ了りょう多少たしょう精神せいしん。前ぜん至いたり中途ちゅうと，偶遇強きょう徒と劫こう擄，委い是ぜ弟子でし二に次じ打傷うちきず幾いく人にん。師父しふ怪我けが趕回，不ふ容よう同どう拜はい如來にょらい金きん身み。弟子でし無む奈，只ただ得とく投とう奔南海なんかい，見み觀音かんのん訴苦。不ふ期き這個妖精ようせい假かり變へん弟子でし聲音こわね、相貌そうぼう，將はた師父しふ打倒だとう，把わ行李こうり搶去。師弟してい悟さとる淨きよし尋ひろ至いたり我わが山やま，被ひ這妖假かり捏こね巧言こうげん，說せつ有ゆう真ま僧そう取と經けい之の故こ。悟さとる淨きよし脫だつ身み至いたり南海なんかい，備說詳細しょうさい。觀音かんのん知之ともゆき，遂とげ令れい弟子でし同どう悟さとる淨きよし再さい至いたり我わが山やま。因よし此，兩人りょうにん比ひ併真假かり，打だ至いたり南海なんかい，又また打だ到いた天宮てんぐう，又また曾打見み唐から僧そう，打見うちみ冥府めいふ，俱莫能辨のうべん認みとめ。故こ此大膽だいたん輕けい造みやつこ，千乞大開方便之門，廣こう垂たれ慈憫之の念ねん，與あずか弟子でし辨明べんめい邪よこしま正ただし，庶好保護ほご唐から僧そう親拜しんぱい金きん身み，取と經回へめぐ東ひがし土ど，永えい揚よう大だい教きょう。」大だい眾聽他た兩りょう張はり口こう一いち樣よう聲ごえ，俱說一いち遍へん，眾亦莫辨。惟おもんみ如來にょらい則そく通知つうち之の，正せい欲よく道破どうは，忽ゆるがせ見み南下なんか彩雲さいうん之の間あいだ，來らい了りょう觀音かんのん，參拜さんぱい我わが佛ほとけ。
22 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	我わが佛ふつ合掌がっしょう道どう：「觀音かんのん尊者そんじゃ，你看那な兩個りゃんこ行者ぎょうじゃ，誰だれ是ぜ真ま假かり？」菩薩道ぼさつどう：「前日ぜんじつ在ざい弟子でし荒あら境さかい，委ゆだね不ふ能辨のうべん。他た又また至いたり天宮てんぐう、地ち府ふ，亦また俱難認みとめ。特とく來らい拜はい告つげ如來にょらい，千せん萬まん與あずか他た辨明べんめい辨明べんめい。」如來にょらい笑わらい道どう：「汝なんじ等とう法力ほうりき廣大こうだい，只ただ能のう普ひろし閱周天てん之の事こと，不能ふのう遍あまね識周天てん之の物もの，亦また不能ふのう廣こう會かい周しゅう天てん之の種類しゅるい也。」菩薩ぼさつ又また請示周しゅう天たかし種類しゅるい。如來にょらい才ざい道どう：「周しゅう天たかし之の內有五ご仙せん：乃天、地ち、神かみ、人ひと、鬼おに。有ゆう五ご蟲むし：乃蠃、鱗うろこ、毛もう、羽はね、昆こん。這廝非ひ天てん、非ひ地ち、非ひ神かみ、非人ひにん、非ひ鬼おに，亦また非ひ蠃、非ひ鱗うろこ、非ひ毛け、非ひ羽はね、非ひ昆こん。又また有ゆう四よん猴混世よ，不入ふにゅう十じゅう類るい之の種たね。」菩薩道ぼさつどう：「敢問是ぜ那な四よん猴？」如來にょらい道どう：「第だい一是靈明石猴，通つう變化へんか，識天時じ，知ち地ち利り，移うつり星ほし換かわ斗と；第だい二に是ぜ赤あか尻馬しりうま猴，曉あかつき陰陽いんよう，會かい人事じんじ，善ぜん出入でいり，避死延のべ生せい；第だい三さん是ぜ通どおり臂ひじ猿猴えんこう，拿日月がつ，縮ちぢみ千せん山やま，辨べん休きゅう咎とがめ，乾坤けんこん摩ま弄ろう；第だい四よん是ぜ六ろく耳みみ獼猴，善ぜん聆音，能のう察理，知ち前後ぜんこう，萬物ばんぶつ皆みな明あかり。此四猴者，不入ふにゅう十じゅう類るい之の種たね，不ふ達いたる兩りょう間之あいの名めい。我が觀かん假かり悟空ごくう乃六ろく耳みみ獼猴也。此猴若わか立だて一いち處しょ，能のう知ち千せん里さと外がい之の事こと；凡人ぼんじん說話せつわ，亦また能のう知之ともゆき。故こ此善聆音，能のう察理，知ち前後ぜんこう，萬物ばんぶつ皆みな明あかり。與あずか真ま悟空ごくう同どう像ぞう同音どうおん者しゃ，六ろく耳みみ獼猴也。」
23 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	那な獼猴聞得如來にょらい說せつ出で他た的てき本ほん像ぞう，膽きも戰せん心こころ驚おどろき，急きゅう縱たて身み，跳とべ起おこり來らい就走。如來にょらい見み他た走はし時とき，即そく令れい大だい眾下手しゅ。早さ有ゆう四よん菩薩ぼさつ、八はち金剛こんごう、五ご百ひゃく阿おもね羅ら、三さん千せん揭諦、比丘びく僧そう、比丘尼びくに、優ゆう婆ばば塞ふさが、優ゆう婆ばば夷えびす、觀音かんのん、木き叉また，一齊いっせい圍繞いじょう。孫まご大聖たいせい也要上前うわまえ，如來にょらい道どう：「悟空ごくう休きゅう動どう手しゅ，待まて我わが與あずか你擒他た。」那な獼猴毛げ骨こつ悚然しょうぜん，料りょう著ちょ難なん脫ぬげ，即そく忙せわし搖ゆら身み一變いっぺん，變へん作さく個こ蜜蜂みつばち兒じ，往上便びん飛ひ。如來にょらい將しょう金きん缽盂撇起去さ，正せい蓋ぶた著ちょ那な蜂はち兒じ，落下らっか來らい。大だい眾不知ふち，以為走はし了りょう。如來にょらい笑わらい云うん：「大だい眾休言ごと。妖精ようせい未み走はし，見み在あ我わが這缽盂之下か。」大だい眾一發いっぱつ上前うわまえ，把わ缽盂揭起，果然かぜん見み了りょう本ほん像ぞう，是ぜ一いち個こ六ろく耳みみ獼猴。孫まご大聖たいせい忍にん不ふ住じゅう，掄起鐵棒てつぼう，劈頭へきとう一いち下した打だ死し，至いたり今こん絕ぜっ此一いち種しゅ。如來にょらい不ふ忍にん，道みち聲ごえ：「善哉ぜんざい！善哉ぜんざい！」大聖たいせい道どう：「如來にょらい不ふ該慈憫他。他た打傷うちきず我わが師父しふ，搶奪我わが包つつみ袱，依よ律りつ問とい他た個こ得とく財ざい傷きず人じん，白晝はくちゅう搶奪，也該個こ斬罪ざんざい哩まいる。」如來にょらい道どう：「你自快かい去さ保護ほご唐から僧そう來らい此求經けい罷やめ。」大聖たいせい叩頭こうとう謝しゃ道どう：「上告じょうこく如來にょらい得知とくち：那な師父しふ定てい是ぜ不要ふよう我わが，我わが此去，若わか不ふ收おさむ留とめ，卻不又また勞ろう一いち番ばん神しん思おもえ？望もち如來にょらい方便ほうべん，把わ鬆す箍たが兒じ咒念一念いちねん，褪下這個金きん箍たが，交還如來にょらい，放ひ我わが還俗げんぞく去さ罷やめ。」如來にょらい道どう：「你休亂らん想おもえ，切きり莫放刁。我わが教きょう觀音かんのん送おく你去，不ふ怕他不ふ收おさむ。好生よしお保護ほご他た去さ，那な時じ功こう成なり歸き極樂ごくらく，汝なんじ亦また坐すわ蓮臺れんだい。」
24 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	那な觀音かんのん在ざい傍聽ぼうちょう說せつ，即そく合掌がっしょう謝しゃ了りょう聖恩せいおん，領りょう悟空ごくう，輒駕雲くも而去。隨ずい後ご木き叉また行者ぎょうじゃ、白しろ鸚哥いんこ一いち同どう趕上。不ふ多た時じ，到いた了りょう中途ちゅうと草くさ舍人とねり家か。沙すな和尚おしょう看み見み，急きゅう請師父ちち拜はい門もん迎接げいせつ。菩薩道ぼさつどう：「唐から僧そう，前日ぜんじつ打だ你的，乃假行者ぎょうじゃ六ろく耳みみ獼猴也。幸さいわい如來にょらい知識ちしき，已やめ被ひ悟空ごくう打だ死し。你今須是收おさむ留とめ悟空ごくう，一いち路上ろじょう魔障ましょう未み消きえ，必得他た保護ほご你，才さい得え到いた靈山れいざん，見みる佛ふつ取と經けい。再さい休きゅう嗔怪。」三藏さんぞう叩頭こうとう道どう：「謹遵教きょう旨むね。」
25 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	正せい拜はい謝しゃ時じ，只ただ聽得正せい東上とうじょう狂風きょうふう滾たぎ滾たぎ，豬八戒背著兩個包袱，駕が風ふう而至。獃子見み了りょう菩薩ぼさつ，倒たおせ身み下か拜はい道どう：「弟子でし前日ぜんじつ別べつ了りょう師父しふ，至いたり花はな果はて山水さんすい簾すだれ洞ほら尋ひろ取と包つつみ袱，果はて見み一いち個こ假かり唐から僧そう、假かり八戒はっかい，都と被ひ弟子でし打だ死し，原はら是ただし兩個りゃんこ猴身。卻入裡うら，方ぽう尋ひろ著ちょ包つつみ袱，當時とうじ查點，一物いちもつ不ふ少しょう，卻駕風ふう轉うたて此。更さら不知ふち兩行りょうこう者しゃ下落げらく如何いか？」菩薩ぼさつ把わ如來にょらい識怪之の事こと說せつ了りょう一いち遍へん。那な獃子十じゅう分ふん歡喜かんき，稱しょう謝しゃ不盡ふじん。師し徒と們拜謝しゃ了りょう，菩薩ぼさつ回かい海うみ。卻都照あきら舊きゅう合意ごうい同心どうしん，洗あらい冤解怒いか。又また謝しゃ了りょう那な村むら舍人とねり家か，整せい束たば行ぎょう囊、馬匹ばひつ，找大路ろ而西。正せい是ぜ：
Jump to dictionary		中道ちゅうどう分離ぶんり亂らん五ご行ぎょう，降くだ妖聚會合かいごう元もと明あかり。神かみ歸心きしん舍しゃ禪ぜん方かた定じょう，六識祛降丹自成。
26 Jump to dictionary	二心ふたごころ攪亂かくらん... :	畢竟ひっきょう這去，不知ふち三藏幾時得面佛求經，且聽下か回かい分解ぶんかい。

《李り卓たく吾われ先生せんせい批評ひひょう西にし游ゆう記き》

URN: ctp:xiyouji/ch58

《二心ふたごころ攪亂かくらん大だい乾坤けんこん 一體いったい難なん修おさむ真ま寂滅じゃくめつ》

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