西遊記 : 官封弼馬心何足　名注齊天意未寧

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《官かん封ふう弼馬心しん何なん足そく　名めい注ちゅう齊ひとし天意てんい未み寧やすし》

1 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	那な太白たいはく金星きんぼし與あずか美よし猴王同どう出で了りょう洞ほら天てん深ふか處しょ，一齊いっせい駕が雲くも而起。原はら來らい悟空ごくう觔斗雲くも比ひ眾不同ふどう，十分じゅうぶん快こころよ疾やまし，把わ個こ金星きんせい撇在腦のう後ご，先さき至いたり南天なんてん門外もんがい。正せい欲よく收おさむ雲くも前進ぜんしん，被ひ增長天ぞうちょうてん王おう領りょう著ちょ龐、劉りゅう、苟、畢、鄧、辛からし、張ちょう、陶とう一路かずみち大力だいりき天てん丁ひのと，槍やり刀がたな劍戟けんげき，擋住天てん門もん，不ふ肯放進しん。猴王道どう：「這個金星きんせい老ろう兒じ乃奸詐いつわり之の徒と，既すんで請老孫まご，如何いか教きょう人じん動どう刀がたな動どう槍やり，阻塞門もん路ろ？」正せい嚷間，金星かなぼし倏到。悟空ごくう就覿面めん發はつ狠道：「你這老ろう兒じ，怎麼哄我？被ひ你說奉たてまつ玉たま帝みかど招安旨むね意い來らい請，卻怎麼教這些人じん阻住天てん門もん，不ふ放ひ老ろう孫まご進しん去さ？」金星かなぼし笑えみ道どう：「大王だいおう息いき怒いか。你自來き未み曾到此天堂どう，卻又無名むめい，眾天丁ひのと又また與あずか你素不ふ相識そうしき，他た怎肯放你擅入いれ？等とう如今見み了りょう天てん尊みこと，授了仙せん籙，注ちゅう了りょう官かん名めい，向後きょうこう隨ずい你出入でいり，誰だれ復ふく擋也？」悟空ごくう道どう：「這等說せつ，也罷，我わが不ふ進すすむ去さ了りょう。」金星かなぼし又また用よう手しゅ扯住道どう：「你還同どう我が進しん去さ。」
2 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	將はた近きん天てん門もん，金星きんせい高だか叫さけべ道どう：「那な天てん門もん天てん將はた、大だい小吏しょうり兵へい，放ひ開ひらき路ろ者しゃ。此乃下界げかい仙人せんにん，我わが奉たてまつ玉たま帝みかど聖旨せいし，宣せん他た來らい也。」那な增長ぞうちょう天王てんのう與あずか眾天丁ひのと俱才斂兵退避たいひ。猴王始はじめ信しん其言，同どう金星きんぼし緩なる步あゆみ入にゅう裡うら觀かん看み。真個しんこ是ぜ：
Jump to dictionary		初はつ登とう上うえ界かい，乍入天堂てんどう。金光こんこう萬道滾紅霓，瑞氣ずいき千せん條じょう噴紫霧きり。只見ただみ那な南天なんてん門もん，碧あお沉沉，琉璃造づくり就；明あかり幌ほろ幌ほろ，寶玉ほうぎょく粧成。兩邊りょうへん擺數十じゅう員いん鎮天元帥げんすい，一員員頂梁靠柱，持じ銑ずく擁よう旄；四下列十數個金甲神人，一個個執戟懸鞭，持じ刀がたな仗劍。外そと廂ひさし猶なお可か，入にゅう內驚人じん：裡うら壁かべ廂ひさし有ゆう幾いく根ね大だい柱はしら，柱はしら上じょう纏繞てんじょう著ちょ金きん鱗うろこ耀日赤あか鬚ひげ龍りゅう；又また有ゆう幾いく座長ざちょう橋きょう，橋上はしがみ盤ばん旋著彩いろどり羽わ凌しのげ空そら丹頂たんちょう鳳おおとり。明霞めいか幌ほろ幌ほろ映うつ天てん光こう，碧あお霧きり濛濛もうもう遮さえぎ斗と口こう。這天上じょう有ゆう三さん十じゅう三さん座ざ天宮てんぐう，乃遣雲宮くもみや、毘沙宮みや、五明ごみょう宮みや、太陽たいよう宮みや、花はな樂らく宮みや，一宮宮脊吞金穩獸；又また有ゆう七なな十じゅう二に重じゅう寶殿ほうでん，乃朝會かい殿どの、凌しのげ虛きょ殿どの、寶たから光ひかり殿どの、天王てんのう殿どの、靈れい官かん殿どの，一殿殿柱列玉麒麟。壽ことぶき星ほし臺だい上じょう，有ゆう千せん千せん年ねん不ふ卸おろし的てき名花めいか；煉ねり藥やく爐ろ邊あたり，有ゆう萬まん萬載常青的繡草。又また至いたり那な朝あさ聖ひじり樓ろう前まえ，絳紗衣ころも，星辰せいしん燦爛さんらん；芙蓉ふよう冠かんむり，金きむ璧輝煌。玉たま簪かんざし珠たま履くつ，紫綬しじゅ金きむ章あきら。金かね鐘がね撞動，三曹神表進丹墀；天てん鼓こ鳴な時とき，萬聖朝王參玉帝。又また至いたり那な靈れい霄寶殿どの，金釘かなくぎ攢玉戶ど，彩あや鳳おおとり舞まい朱門しゅもん。復ふく道どう迴廊，處處しょしょ玲瓏れいろう剔透；三さん簷四簇むらが，層そう層そう龍りゅう鳳おおとり翱翔。上面うわつら有ゆう個こ紫むらさき巍巍ぎぎ，明あきら幌ほろ幌ほろ，圓えん丟丟，亮あきら灼灼，大金おおかね葫にんにく蘆あし頂いただき。下面かめん有ゆう天てん妃ひ懸かか掌てのひら扇おうぎ，玉たま女おんな捧ささげ仙せん巾はば，惡あく狠狠掌てのひら朝あさ的てき天てん將はた，氣き昂のぼる昂のぼる護まもる駕が的てき仙せん卿きょう。正中せいちゅう間あいだ，琉璃盤ばん內，放ひ許多きょた重じゅう重疊ちょうじょう疊たたみ太ふと乙おつ丹に；瑪瑙めのう瓶びん中ちゅう，插幾枝えだ彎彎曲わんきょく曲きょく珊瑚樹さんごじゅ。正せい是ぜ天宮てんぐう異物いぶつ般般有ゆう，世上せじょう如他件けん件けん無む。金きむ闕銀鑾並紫むらさき府ふ，琪花瑤よう草くさ暨瓊葩。朝あさ王おう玉たま兔うさぎ壇だん邊べ過か，參さん聖ひじり金きん烏がらす著ちょ底そこ飛ひ。猴王有ゆう分ぶん來らい天てん境さかい，不ふ墮人間あいだ點てん污泥。
3 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	太白たいはく金星かなぼし領りょう著ちょ美び猴王，到いた於靈霄殿外がい，不等ふとう宣せん詔みことのり，直ちょく至いたり御前ごぜん，朝あさ上じょう禮拜れいはい。悟空ごくう挺身ていしん在ざい傍はた，且不朝禮ちょうれい，但ただし側がわ耳みみ以聽金星かなぼし啟あきら奏そう。金星かなぼし奏そう道どう：「臣しん領りょう聖旨せいし，已やめ宣せん妖仙到いた了りょう。」玉たま帝みかど垂たれ簾すだれ問とい曰：「那な個こ是ぜ妖仙？」悟空ごくう卻才躬身答こたえ應おう道どう：「老ろう孫まご便びん是ぜ。」仙せん卿きょう們都大だい驚おどろき失しつ色道しきどう：「這個野の猴，怎麼不ふ拜はい伏ふく參さん見み，輒敢這等答こたえ應おう道どう：『老ろう孫まご便びん是ぜ。』卻該死し了りょう，該死了りょう。」玉たま帝みかど傳でん旨むね道どう：「那な孫まご悟空ごくう乃下界かい妖仙，初はつ得とく人身じんしん，不知ふち朝禮ちょうれい，且姑恕じょ罪ざい。」眾仙卿きょう叫さけべ聲ごえ：「謝恩しゃおん。」猴王卻才朝あさ上じょう唱個大だい喏。玉たま帝みかど宣せん文選ぶんせん武ぶ選せん仙せん卿きょう，看み那な處しょ少しょう甚官職しょく，著しる孫悟空そんごくう去さ除じょ授。傍はた邊べ轉うたて過か武ぶ曲きょく星ぼし君くん啟けい奏そう道どう：「天宮てんぐう裡うら各かく宮みや各かく殿しんがり，各かく方かた各かく處しょ，都と不ふ少しょう官かん，只ただ是ぜ御馬おんま監かん缺かけ個こ正堂せいどう管かん事ごと。」玉たま帝みかど傳でん旨むね道どう：「就除他た做個弼馬溫ぬる罷やめ。」眾臣叫さけべ謝恩しゃおん，他た也只朝あさ上じょう唱個大だい喏。玉たま帝みかど又また差さ木德きとく星ほし官かん送おく他た去さ御馬おんま監かん到いた任にん。
4 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	當時とうじ猴王歡歡喜かんき喜き，與あずか木德きとく星ほし官かん徑みち去さ到いた任にん。事こと畢，木德きとく星ほし官かん回かい宮みや。他た在ざい監かん裡うら，會かい聚了監かん丞すすむ、監かん副ふく、典てん簿ぼ、力士りきし、大小だいしょう官員かんいん人じん等とう，查明本ほん監かん事務じむ，止とめ有ゆう天馬てんば千せん匹ひき。乃是：
Jump to dictionary		驊騮騏驥，騄駬纖離；龍りゅう媒なかだち紫むらさき燕つばめ，挾はさみ翼つばさ驌驦；駃騠銀ぎん騔，騕褭飛ひ黃き；騊駼翻こぼし羽わ，赤あか兔うさぎ超ちょう光ひかり；踰輝彌わたる景けい，騰あが霧きり勝しょう黃き；追風おいかぜ絕ぜっ地ち，飛ひ奔霄；逸いっ飄赤電でん，銅どう爵浮雲くも；驄瓏虎とら，絕ぜっ塵ちり紫むらさき鱗うろこ；四よん極大きょくだい宛あて，八はち駿しゅん九きゅう逸いっ，千里せんり絕ぜっ群ぐん。此等良りょう馬ば，一個個嘶風逐電精神壯，踏霧登とう雲氣うんき力長りきなが。
5 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	這猴王おう查看了りょう文ぶん簿ぼ，點てん明あきら了りょう馬うま數すう。本ほん監かん中ちゅう典てん簿ぼ管かん徵ちょう備草料りょう；力りょく士官しかん管かん刷すり洗あらい馬匹ばひつ、扎草、飲水のみみず、煮に料りょう；監かん丞すすむ、監かん副ふく輔佐ほさ催辦。弼馬晝夜ちゅうや不ふ睡ねむ，滋養じよう馬匹ばひつ。日にち間あいだ舞まい弄ろう猶なお可か，夜間やかん看み管かん慇懃いんぎん：但ただし是ぜ馬ば睡ねむ的てき，趕起來らい吃ども草くさ；走はし的てき，捉將來しょうらい靠もたれ槽そう。那な些天馬見うまみ了りょう他た，泯耳攢蹄。倒たおせ養やしなえ得え肉にく肥こえ膘滿。不覺ふかく的てき半月はんつき有餘ゆうよ。
6 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	一朝いっちょう閑暇かんか，眾監官かん都と安やす排はい酒席しゅせき，一則與他接風，二則與他賀喜。正せい在ざい歡飲之の間あいだ，猴王忽ゆるがせ停とま杯はい問とい曰：「我わが這弼馬うま溫あつし是これ個こ甚麼いんも官かん銜？」眾曰：「官かん名めい就是此了。」又また問とい：「此官是ぜ個こ幾いく品ひん？」眾道：「沒ぼつ有ゆう品ひん從したがえ。」猴王道どう：「沒ぼつ品ひん，想そう是ぜ大だい之の極ごく也？」眾道：「不ふ大だい，不ふ大だい，只ただ喚做未み入いれ流りゅう。」猴王道どう：「怎麼叫さけべ做『未み入いれ流りゅう』？」眾道：「末すえ等とう。這樣官かん兒じ最低さいてい最小さいしょう，只ただ可か與あずか他た看み馬ば。似に堂どう尊みこと到いた任にん之これ後ご，這等慇懃いんぎん，喂得馬肥うまごやし，只ただ落得道とくどう聲ごえ『好このみ』字じ；如稍有ゆう些尪羸，還かえ要よう見み責せめ；再さい十じゅう分ふん傷きず損そん，還かえ要よう罰ばっ贖問罪もんざい。」猴王聞此，不覺ふかく心頭しんとう火ひ起おこり，咬牙大だい怒いか道みち：「這般しゃはん藐視老ろう孫まご！老ろう孫まご在ざい那な花はな果はて山やま稱しょう王おう稱しょう祖そ，怎麼哄我來らい替かえ他た養やしなえ馬ば？養やしなえ馬ば者しゃ，乃後生せい小しょう輩やから下か賤之役やく，豈あに是ぜ待まち我が的てき？不ふ做他，不ふ做他，我わが將はた去さ也。」忽ゆるがせ喇的一聲いっせい，把わ公案こうあん推倒，耳みみ中ちゅう取出とりで寶貝ほうがい，幌ほろ一いち幌ほろ，碗わん來らい粗ほぼ細ほそ，一路いちろ解かい數すう，直ちょく打出うちいで御馬おんま監かん，徑みち至いたり南天なんてん門もん。眾天丁ちょう知とも他た受了仙せん籙，乃是個こ弼馬溫あつし，不ふ敢阻當とう，讓ゆずる他た打出うちで天たかし門もん去さ了りょう。
7 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	須臾しゅゆ，按落雲くも頭あたま，回かい至いたり花はな果はて山上さんじょう。只見ただみ那な四健將與各洞妖王，在ざい那な裡うら操みさお演えんじ兵卒へいそつ。這猴王おう厲聲高だか叫さけべ道どう：「小しょう的てき們，老ろう孫まご來らい了りょう。」一群いちぐん猴都來らい叩頭こうとう，迎接げいせつ進しん洞ほら天てん深ふか處しょ，請猴王おう高だか登とう寶たから位い，一壁廂辦酒接風。都道とどう：「恭きょう喜き大王だいおう，上うえ界かい去さ十じゅう數すう年ねん，想そう必得意とくい榮さかえ歸き也？」猴王道どう：「我わが才ざい半月はんつき有餘ゆうよ，那な裡うら有ゆう十じゅう數すう年ねん？」眾猴道どう：「大王だいおう，你在天上てんじょう不覺ふかく時じ辰たつ。天上てんじょう一いち日にち，就是下界げかい一いち年ねん哩まいる。請問大王だいおう，官かん居きょ何なん職しょく？」猴王搖ゆら手て道どう：「不ふ好このみ說せつ，不ふ好このみ說せつ，活かつ活かつ的てき羞殺人じん。那な玉だま帝みかど不ふ會かい用人ようにん，他見たけん老ろう孫まご這般しゃはん模樣もよう，封ふうじ我わが做個甚麼いんも『弼馬溫あつし』，原はら來らい是ぜ與あずか他た養やしなえ馬ば，未み入いれ流りゅう品ひん之これ類るい。我わが初はつ到いた任にん時じ不知ふち，只ただ在ざい御馬おんま監かん中ちゅう頑耍。及今日び問もん我わが同どう寮りょう，始はじめ知ち是ぜ這等卑賤。老ろう孫まご心中しんちゅうの大だい惱，推倒席せき面めん，不ふ受官銜，因いん此走下か來らい了りょう。」眾猴道どう：「來らい得とく好このみ，來らい得とく好このみ。大王だいおう在ざい這福地ち洞ほら天てん之の處しょ為ため王おう，多少たしょう尊重そんちょう快樂かいらく，怎麼肯去與あずか他た做馬夫おっと？」教きょう小しょう的てき們快辦酒來らい，與あずか大王だいおう釋しゃく悶もだえ。
8 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	正せい飲酒いんしゅ歡會間あいだ，有人ゆうじん來報らいほう道どう：「大王だいおう，門外もんがい有ゆう兩個りゃんこ獨どく角かく鬼王おにお，要よう見み大王だいおう。」猴王道どう：「教きょう他た進しん來らい。」那な鬼王おにお整せい衣ころも跑入洞ほら中ちゅう，倒たおせ身み下か拜はい。美び猴王問とい他た：「你見我わが何なに幹みき？」鬼王おにお道どう：「久ひさ聞大王おう招賢，無む由よし得とく見み；今見いまみ大王だいおう授了天てん籙，得意とくい榮さかえ歸き，特とく獻けんじ赭黃袍ほう一いち件けん，與あずか大王だいおう稱しょう慶けい。肯不棄鄙賤，收納しゅうのう小人こども，亦また得とく效こう犬馬けんば之の勞ろう。」猴王大喜だいぎ，將はた赭黃袍ほう穿ほじ起おこり。眾等欣然きんぜん排はい班はん朝拜ちょうはい。即そく將はた鬼王おにお封ふう為ため前部ぜんぶ總督そうとく先鋒せんぽう。鬼王おにお謝恩しゃおん畢，復啟ふくけい道どう：「大王だいおう在天ざいてん許もと久ひさ，所しょ授何職しょく？」猴王道どう：「玉たま帝みかど輕けい賢けん，封ふうじ我わが做個甚麼いんも『弼馬溫あつし』。」鬼王おにお聽言，又また奏そう道どう：「大王だいおう有ゆう此神通どおり，如何いか與あずか他た養やしなえ馬ば？就做個こ齊ひとし天てん大聖たいせい，有ゆう何なん不可ふか？」猴王聞說きくならく，歡喜かんき不ふ勝かち，連れん道どう幾いく個こ「好こう！好こう！好こう！」教きょう四よん健けん將しょう：「就替我わが快かい置おけ個こ旌旗せいき，旗はた上じょう寫うつし『齊ひとし天てん大聖たいせい』四よん大字だいじ，立たて竿ざお張ちょう掛かけ。自じ此以後ご，只ただ稱たたえ我わが為ため齊ひとし天てん大聖たいせい，不ふ許もと再さい稱しょう大王だいおう。亦また可か傳つて與あずか各かく洞ほら妖王，一體いったい知悉ちしつ。」此不在ざい話はなし下か。
9 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	卻說那な玉だま帝みかど次じ日び設しつらえ朝あさ，只見ただみ張ちょう天たかし師し引御馬ば監かん監かん丞すすむ、監かん副ふく在ざい丹に墀下拜はい奏そう道どう：「萬歲ばんざい，新任しんにん弼馬溫ゆたか孫まご悟空ごくう，因いん嫌いや官かん小しょう，昨日きのう反はん下した天宮てんぐう去さ了りょう。」正せい說せつ間あいだ，又また見み南天なんてん門外もんがい增長ぞうちょう天王てんのう領りょう眾天丁ひのと，亦また奏そう道どう：「弼馬溫ゆたか不知ふち何故なぜ，走出はしりで天てん門もん去さ了りょう。」玉たま帝みかど聞言，即そく傳つて旨むね：「著しる兩りょう路みち神かみ元もと，各かく歸き本職ほんしょく。朕ちん遣や天てん兵へい，擒とりこ拿此怪かい。」班はん部ぶ中ちゅう閃上托たく塔とう李り天王てんのう與あずか哪吒三さん太子たいし，越えつ班はん奏上そうじょう道どう：「萬歲ばんざい，微ほろ臣しん不才ふさい，請旨降くだ此妖怪ようかい。」玉たま帝みかど大喜だいぎ，即そく封ふう托たく塔とう天王てんのう李り靖やすし為ため降魔ごうま大元帥だいげんすい，哪吒三太子為三壇海會大神，即刻そっこく興きょう師し下界げかい。
10 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	李り天王てんのう與あずか哪吒叩頭こうとう謝辭しゃじ，徑みち至いたり本宮ほんぐう，點てん起おこり三軍さんぐん，帥そち眾頭目め，著ちょ巨きょ靈神れいじん為ため先鋒せんぽう，魚さかな肚將掠かすめ後ご，藥くすり叉また將はた催兵。一霎時出南天門外，徑みち來らい到いた花はな果はて山さん，選せん平ひら陽ひ處しょ安やす了りょう營寨，傳令でんれい教きょう巨きょ靈神れいじん挑戰ちょうせん。巨きょ靈神れいじん得とく令れい，結束けっそく整齊せいせい，掄著宣せん花はな斧おの，到いた了りょう水すい簾すだれ洞ほら外がい。只見ただみ小洞こぼら門外もんがい許多きょた妖魔ようま，都みやこ是ただし些狼蟲ちゅう虎とら豹ひょう之の類るい，丫丫叉また叉また，掄槍舞まい劍けん，在ざい那な裡うら跳とべ鬥咆哮ほうこう。這巨靈神れいじん喝かつ道どう：「那な業ぎょう畜！快かい早はや去ざ報むくい與あずか弼馬溫ぬる知道ともみち：吾われ乃上天じょうてん大將たいしょう，奉たてまつ玉たま帝みかど旨むね意い，到いた此收伏ふく；教きょう他た早早そうそう出來でき受降，免めん致汝等とう皆みな傷きず殘ざん也。」那な些妖怪ようかい奔奔波なみ波は，傳つて報ほう洞ほら中道ちゅうどう：「禍事まがごと了りょう！禍事まがごと了りょう！」猴王問とい：「有ゆう甚禍事まがごと？」眾妖道どう：「門外もんがい有ゆう一員いちいん天てん將しょう，口くち稱たたえ大聖たいせい官かん銜，道みち奉たてまつ玉たま帝みかど聖旨せいし，來らい此收伏ふく。教きょう早早はやばや出で去ざ受降，免めん傷きず我が等とう性せい命いのち。」猴王聽說，教きょう：「取と我わが披掛來らい。」就戴上じょう紫むらさき金冠きんかん，貫かん上じょう黃金おうごん甲かぶと，登とう上じょう步ふ雲くも鞋，手て執と如意にょい金きん箍たが棒ぼう，領りょう眾出門もん，擺開陣じん勢ぜい。這巨靈神れいじん睜睛觀かん看み，真ま好こう猴王：
Jump to dictionary		身み穿ほじ金きむ甲きのえ亮あきら堂堂どうどう，頭とう戴金冠かんむり光ひかり映うつ映うつ。手て舉金箍たが棒ぼう一いち根ね，足そく踏雲鞋皆相稱そうしょう。一雙怪眼似明星，兩りょう耳みみ過か肩かた查又硬かた。挺てい挺身ていしん才ざい變化へんか多た，聲こえ音響おんきょう喨如鐘しょう磬かおる。尖とんが嘴くちばし咨牙弼馬溫あつし，心しん高だか要よう做齊天てん聖ひじり。
11 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	巨きょ靈神れいじん厲聲高だか叫さけべ道どう：「那な潑猴！你認得え我わが麼？」大聖たいせい聽言，急きゅう問とい道どう：「你是那な路ろ毛け神しん？老ろう孫まご不ふ曾會你，你快報かいほう名めい來らい。」巨きょ靈神れいじん道どう：「我が把わ你那欺心的てき猢猻！你是認ぜにん不ふ得とく我が。我わが乃高上神かずわ霄托塔とう李り天王てんのう部下ぶか先鋒せんぽう巨きょ靈れい天てん將はた，今いま奉たてまつ玉たま帝みかど聖旨せいし，到いた此收降くだ你。你快卸おろし了りょう裝束しょうぞく，歸順きじゅん天恩てんおん，免めん得とく這滿山まんざん諸しょ畜遭誅；若わか道みち半はん個こ不ふ字じ，教きょう你頃刻こく化か為ため齏粉。」猴王聽說，心中しんちゅうの大だい怒いか道みち：「潑毛神しん！休きゅう誇大こだい口こう，少しょう弄ろう長ちょう舌した。我わが本ほん待まち一いち棒ぼう打だ死し你，恐こわ無人ぶにん去さ報ほう信しん。且留你性命いのち，快かい早はや回天かいてん，對たい玉だま皇すめらぎ說せつ：他た甚不用よう賢けん。老ろう孫まご有無うむ窮きゅう的てき本ほん事ごと，為ため何なん教きょう我わが替がえ他た養やしなえ馬ば？你看我わが這旌旗き上じょう字じ號ごう，若わか依よ此字號ごう陞官，我わが就不動ふどう刀がたな兵へい，自然しぜん的てき天地あまち清泰きよやす；如若不ふ依よ，時間じかん就打上じょう靈れい霄寶殿どの，教きょう他た龍りゅう床ゆか定じょう坐すわ不ふ成なり。」這巨靈神れいじん聞此言ごと，急きゅう睜睛迎むかえ風ふう觀かん看み，果はて見み門外もんがい豎一高だか竿ざお，竿さお上じょう有ゆう旌旗せいき一いち面めん，上うえ寫うつし著ちょ「齊ひとし天てん大聖たいせい」四よん大字だいじ。巨きょ靈神れいじん冷笑れいしょう三さん聲こえ道どう：「這潑猴，這等不知ふち人事じんじ，輒敢無む狀じょう，你就要よう做齊天てん大聖たいせい。好こう好このみ的てき吃ども吾われ一いち斧おの。」劈頭へきとう就砍將はた去さ。那な猴王正せい是ぜ會かい家か不ふ忙せわし，將はた金きむ箍たが棒ぼう應おう手相てそう迎むかえ。這一場じょう好こう殺ころせ：
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12 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	巨きょ靈神れいじん抵敵他た不ふ住じゅう，被ひ猴王劈頭へきとう一いち棒ぼう，慌忙將はた斧おの架か隔へだた，扢扠的てき一聲いっせい，把わ個こ斧おの柄え打だ做兩截，急きゅう撤身敗はい陣じん逃生。猴王笑わらい道どう：「膿うみ包つつめ，膿うみ包つつみ。我わが已やめ饒にょう了りょう你，你快去さ報むくい信しんじ，快かい去さ報ほう信しん。」
13 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	巨きょ靈神れいじん回かい至いたり營門，徑みち見み托たく塔とう天王てんのう，忙せわし哈哈跪下道どう：「弼馬溫ゆたか果はて是ぜ神通じんずう廣大こうだい，末まつ將はた戰たたかえ他た不ふ得とく，敗はい陣じん回かい來らい請罪。」李り天王てんのう發はつ怒いか道みち：「這廝剉吾銳氣えいき，推出斬き之これ！」傍はた邊べ閃出哪吒太子たいし拜はい告つげ：「父ちち王おう息いき怒いか，且恕巨きょ靈れい之の罪つみ。待まち孩兒がいじ出師すいし一いち遭，便びん知ち深淺しんせん。」天王てんのう聽諫，且教回かい營待罪ざい管かん事ごと。
14 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	這哪吒太子たいし甲冑かっちゅう齊ひとし整せい，跳とべ出で營盤，撞至水すい簾すだれ洞ほら外がい。那な悟空ごくう正ただし來らい收おさむ兵へい，見み哪吒來らい的てき勇猛ゆうもう。好こう太子たいし：
Jump to dictionary		總角あげまき才ざい遮さえぎ顖，披毛未み蓋ぶた肩かた。神かみ奇き多た敏さとし悟さとる，骨ほね秀しゅう更さら清きよし妍。誠まこと為ため天上てんじょう麒麟きりん子こ，果はて是ぜ煙霞えんか彩いろどり鳳おおとり仙せん。龍りゅう種しゅ自然しぜん非ひ俗ぞく相しょう，妙齡みょうれい端はし不ふ類るい塵ちり凡。身み帶たい六ろく般神器械きかい，飛ひ騰あが變化へんか廣こう無邊むへん。今こん受玉皇すめらぎ金口きんぐち詔みことのり，敕封海うみ會かい號ごう三さん壇だん。
15 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	悟空ごくう迎むかえ近きん前ぜん來らい問とい曰：「你是誰だれ家か小しょう哥？闖近吾われ門もん，有ゆう何事なにごと幹みき？」哪吒喝かつ道どう：「潑妖猴！豈あに不ふ認みとめ得え我わが？我わが乃托塔とう天王てんのう三さん太子たいし哪吒是也これや，今いま奉たてまつ玉たま帝みかど欽差，至いたり此捉你。」悟空ごくう笑わらい道どう：「小しょう太子たいし，你的嬭牙尚ひさし未み退すさ，胎毛尚ひさし未み乾ひ，怎敢說せつ這般しゃはん大だい話ばなし？我わが且留你的性せい命いのち，不ふ打だ你。你只看み我わが旌旗せいき上じょう是ぜ甚麼いんも字じ號ごう，拜はい上玉じょうだま帝みかど：是ぜ這般しゃはん官かん銜，再さい也不須動眾，我わが自じ皈依；若わか是ぜ不ふ遂とげ我わが心しん，定てい要よう打上うちあげ靈れい霄寶殿どの。」哪吒擡頭たいとう看み處しょ，乃「齊ひとし天てん大聖たいせい」四よん字じ。哪吒道どう：「這妖猴能有ゆう多大ただい神通じんずう，就敢稱しょう此名號ごう？不要ふよう怕，吃ども吾われ一いち劍けん。」悟空ごくう道どう：「我わが只ただ站下不動ふどう，任にん你砍幾いく劍けん罷やめ。」那な哪吒奮怒，大喝一聲だいかついっせい，叫さけべ：「變へん！」即そく變へん做三さん頭とう六ろく臂ひじ，惡あく狠狠，手持てもち著ちょ六ろく般兵器き，乃是斬き妖劍、砍妖刀ようとう、縛ばく妖索、降くだ妖杵、繡毬兒じ、火ひ輪わ兒じ，丫丫叉また叉また，撲なぐ面めん來らい打だ。悟空ごくう見み了りょう，心しん驚おどろき道どう：「這小哥倒也會弄ろう些手段しゅだん。莫無禮ぶれい，看み我わが神通じんずう。」好こう大聖たいせい，喝かつ聲ごえ：「變へん！」也變做三さん頭とう六ろく臂ひじ；把わ金きん箍たが棒ぼう幌ほろ一いち幌ほろ，也變作さく三さん條じょう。六隻手拿著三條棒架住。這場鬥，真個しんこ是ぜ地ち動山ゆるぎやま搖ゆら，好こう殺ころせ也：
Jump to dictionary		六ろく臂ひじ哪吒太子たいし，天生あもう美び石せき猴王，相そう逢真對たい手て，正せい遇ぐう本源ほんげん流りゅう。那な一個蒙差來下界，這一個欺心鬧斗牛。斬き妖寶劍ほうけん鋒ほこさき芒すすき快かい，砍妖刀ようとう狠鬼神しん愁；縛ばく妖索子こ如飛蟒，降くだ妖大杵きね似に狼おおかみ頭あたま；火ひ輪わ掣電烘烘艷つや，往往おうおう來き來き滾たぎ繡毬。大聖たいせい三さん條じょう如意にょい棒ぼう，前まえ遮さえぎ後のち擋運機き謀はかりごと。苦く爭そう數すう合ごう無む高下こうげ，太子たいし心中しんちゅうの不ふ肯休。把わ那な六ろく件けん兵器へいき多た教きょう變へん，百ひゃく千萬億照頭丟。猴王不ふ懼呵呵かか笑わらい，鐵棒てつぼう翻こぼし騰あが自じ運うん籌。以一化か千せん千せん化か萬まん，滿まん空そら亂舞らんぶ賽さい飛ひ虯。諕得各かく洞ほら妖王都と閉戶，遍へん山やま鬼おに怪かい盡つき藏ぞう頭あたま。神かみ兵へい怒氣どき雲くも慘むご慘むご，金きむ箍たが鐵棒てつぼう響ひびき颼颼。那な壁かべ廂ひさし，天てん丁ひのと吶喊とっかん人人ひとびと怕；這壁廂ひさし，猴怪搖ゆら旗はた個個ここ憂う。發はつ狠兩家齊いえなり鬥勇，不知ふち那な個こ剛つよし強きょう那な個こ柔やわら。
16 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	三太子與悟空各騁神威，鬥了個こ三さん十じゅう回かい合あい。那な太子たいし六ろく般兵，變へん做千千せん萬まん萬まん；孫まご悟空ごくう金きん箍たが棒ぼう，變へん作さく萬まん萬まん千千ちじ。半はん空中くうちゅう似に雨う點てん流星りゅうせい，不ふ分ぶん勝負しょうぶ。
17 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	原はら來らい悟空ごくう手しゅ疾やまし眼め快かい，正せい在ざい那な混亂こんらん之の時とき，他た拔下一いち根ね毫毛，叫さけべ聲ごえ：「變へん！」就變做他的てき本ほん相しょう，手て挺てい著ちょ棒ぼう，演えんじ著ちょ哪吒；他た的てき真ま身み，卻一縱たて，趕至哪吒腦のう後ご，著ちょ左ひだり膊上一いち棒ぼう打だ來らい。哪吒正使せいし法ほう間あいだ，聽得棒頭ぼうがしら風ふう響ひびき，急きゅう躲閃時じ，不能ふのう措手，被ひ他た著ちょ了りょう一いち下か，負まけ痛つう逃走とうそう。收おさむ了りょう法ほう，把わ六件兵器依舊歸身，敗はい陣じん而回。
18 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	那な陣じん上じょう李り天王てんのう早はや已やめ看み見み，急きゅう欲よく提ひさげ兵助へいすけ戰せん，不覺ふかく太子たいし倏至面前めんぜん，戰せん兢兢きょうきょう報道ほうどう：「父ちち王おう，弼馬溫ぬる真個しんこ有本ありもと事ごと，孩兒がいじ這般しゃはん法力ほうりき，也戰他た不ふ過か，已やめ被ひ他た打傷うちきず膊也。」天王てんのう大だい驚おどろき失しつ色道しきどう：「這廝恁的神通じんずう，如何いか取と勝かち？」太子たいし道どう：「他た洞門どうもん外がい豎一いち竿さお旗はた，上うえ寫うつし『齊ひとし天てん大聖たいせい』四よん字じ。親おや口こう誇稱こしょう，教きょう玉だま帝みかど就封他た做齊天てん大聖たいせい，萬事ばんじ俱休；若わか還かえ不ふ是ぜ此號，定てい要よう打上うちあげ靈れい霄寶殿どの哩まいる。」天王てんのう道どう：「既すんで然しか如此，且不要ふよう與あずか他た相あい持じ，且去上うえ界かい，將はた此言回かい奏かなで，再さい多た遣や天てん兵へい，圍かこえ捉這廝，未み為ため遲おそ也。」太子たいし負まけ痛つう，不能ふのう復ふく戰せん，故こ同どう天王てんのう回天かいてん啟けい奏そう不ふ題だい。
19 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	你看那な猴王得とく勝しょう歸山きさん，那な七なな十じゅう二洞妖王與那六弟兄，俱來賀が喜き，在ざい洞ほら天福てんぷく地ち，飲いん樂らく無比むひ。他た卻對六ろく弟おとうと兄けい說せつ：「小弟しょうてい既すんで稱たたえ齊ひとし天てん大聖たいせい，你們亦また可か以大聖せい稱しょう之の。」內有牛うし魔王まおう忽ゆるがせ然しか高こう叫さけべ道どう：「賢弟けんてい言ごと之の有理ゆうり，我わが即そく稱しょう做平天てん大聖たいせい。」蛟みずち魔王まおう道どう：「我わが稱しょう做覆海うみ大聖たいせい。」鵬おおとり魔王まおう道どう：「我わが稱しょう混こん天てん大聖たいせい。」獅狔王道おうどう：「我わが稱たたえ移うつり山さん大聖たいせい。」獼猴王道おうどう：「我わが稱しょう通風つうふう大聖たいせい。」狨王道どう：「我わが稱たたえ驅か神かみ大聖たいせい。」此時七なな大聖たいせい自作じさく自じ為ため，自稱じしょう自じ號ごう，耍樂一いち日にち，各かく散ち訖。
20 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	卻說那な李り天たかし王おう與三よぞう太子たいし領りょう著ちょ眾將，直ちょく至いたり靈れい霄寶殿どの，啟けい奏そう道どう：「臣しん等とう奉たてまつ聖旨せいし出師すいし下界げかい，收おさむ伏ふく妖仙孫まご悟空ごくう，不ふ期き他た神通じんずう廣大こうだい，不ふ能取のとろ勝かち，仍望萬まん歲さい添兵剿除。」玉たま帝みかど道どう：「諒りょう一いち妖猴，有ゆう多少たしょう本ほん事ごと，還かえ要よう添兵？」太子たいし又また近きん前奏ぜんそう道どう：「望もち萬まん歲さい赦臣死罪しざい。那な妖猴使し一いち條じょう鐵棒てつぼう，先さき敗はい了りょう巨きょ靈神れいじん，又また打傷うちきず臣しん臂ひじ膊。洞門どうもん外立はしだて一いち竿さお旗はた，上書うわがき『齊ひとし天てん大聖たいせい』四よん字じ。道みち是ぜ封ふう他た這官職しょく，即そく便びん休きゅう兵へい來らい投とう；若わか不ふ是ぜ此官，還かえ要よう打上うちあげ靈れい霄寶殿どの也。」玉たま帝みかど聞言，驚おどろき訝いぶか道みち：「這妖猴何敢這般しゃはん狂きょう妄？著ちょ眾將即刻そっこく誅之。」
21 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	正せい說せつ間あいだ，班はん部ぶ中ちゅう又また閃出太白たいはく金星きんせい，奏そう道どう：「那な妖猴只ただ知ち出で言げん，不知ふち大小だいしょう。欲よく加か兵へい與あずか他た爭そう鬥，想そう一いち時じ不ふ能收よしかず伏ふく，反はん又また勞ろう師し。不ふ若わか萬歲ばんざい大だい捨恩慈，還かえ降ぶ招安旨むね意い，就教他た做個齊ひとし天てん大聖たいせい。只ただ是ぜ加か他た個こ空そら銜，有ゆう官かん無む祿ろく便びん了りょう。」玉たま帝みかど道どう：「怎麼喚做『有ゆう官かん無む祿ろく』？」金星かなぼし道みち：「名めい是ぜ齊ひとし天てん大聖たいせい，只ただ不ふ與あずか他事たじ管かん，不ふ與あずか他た俸祿，且養在ざい天壤てんじょう之の間あいだ，收おさむ他た的てき邪心じゃしん，使つかい不ふ生なま狂きょう妄，庶乾坤けんこん安あん靖やすし，海うみ宇得清せい寧やすし也。」玉たま帝みかど聞言道どう：「依よ卿きょう所しょ奏そう。」即そく命めいじ降ぶ了りょう詔書しょうしょ，仍著金星かなぼし領りょう去さ。
22 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	金星かなぼし復ふく出で南天なんてん門もん，直ちょく至いたり花はな果はて山水さんすい簾すだれ洞ほら外觀がいかん看み。這番比ひ前ぜん不同ふどう，威風いふう凜凜，殺氣さっき森森しんしん，各樣かくよう妖精ようせい，無む般不有ゆう。一個個都執劍拈槍，拿刀弄ろう杖つえ的てき在ざい那な裡うら咆哮ほうこう跳躍ちょうやく。一見いっけん金星かなぼし，皆みな上前うわまえ動どう手しゅ。金星かなぼし道みち：「那な眾頭目め來らい，累るい你去報ほう你大聖ひじり知之ともゆき：吾われ乃上帝じょうてい遣や來らい天使てんし，有ゆう聖旨せいし在ざい此請他た。」眾妖即そく跑入報道ほうどう：「外面がいめん有ゆう一いち老ろう者しゃ，他た說せつ是ぜ上うえ界かい天使てんし，有ゆう旨むね意い請你。」悟空ごくう道どう：「來らい得とく好このみ，來らい得とく好このみ。想そう是ぜ前ぜん番ばん來らい的てき那な太白たいはく金星きんぼし。那な次じ請我上うえ界かい，雖是官爵かんしゃく不堪ふかん，卻也天上てんじょう走はし了りょう一いち次じ，認みとめ得え那な天てん門もん內外之の路みち。今こん番ばん又また來き，定てい有ゆう好意こうい。」教きょう眾頭目め大開おおひらき旗鼓きこ，擺隊迎接げいせつ。大聖たいせい即そく帶たい引群猴，頂いただき冠かんむり貫ぬき甲かぶと，甲かぶと上じょう罩了赭黃袍ほう，足そく踏雲履くつ，急きゅう出で洞門どうもん，躬身施ほどこせ禮れい，高こう叫さけべ道どう：「老星おいぼし請進，恕じょ我わが失しつ迎むかえ之これ罪ざい。」
23 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	金星かなぼし趨步向こう前まえ，徑みち入にゅう洞ほら內，面めん南みなみ立りつ著ちょ道どう：「今こん告つげ大聖たいせい：前者ぜんしゃ因いん大聖たいせい嫌惡けんお官かん小しょう，躲離御馬おんま監かん，當とう有本ありもと監かん中ちゅう大小だいしょう官員かんいん奏そう了りょう玉だま帝みかど。玉たま帝みかど傳でん旨むね道どう：『凡授官職かんしょく，皆みな由よし卑而尊みこと，為ため何なん嫌いや小しょう？』即そく有ゆう李り天王てんのう領りょう哪吒下界げかい取と戰せん。不知ふち大聖たいせい神通じんずう，故こ遭敗北はいぼく，回天かいてん奏そう道どう：『大聖たいせい立りつ一いち竿さお旗はた，要よう做齊天てん大聖たいせい。眾武將はた還かえ要よう支ささえ吾われ，是ぜ老ろう漢かん力りょく為ため大聖たいせい冒おかせ罪ざい奏聞そうもん，免めん興きょう師し旅たび，請大王おう授籙。玉たま帝みかど准じゅん奏そう，因いん此來請。」悟空ごくう笑わらい道どう：「前ぜん番ばん動勞どうろう，今いま又また蒙こうむ愛あい，多謝たしゃ，多謝たしゃ！但ただし不知ふち上天じょうてん可か與あずか我わが齊ひとし天てん大聖たいせい之の官かん銜也？」金星かなぼし道みち：「老ろう漢かん以此銜奏准じゅん，方ぽう敢領旨むね而來；如有不ふ遂とげ，只ただ坐すわ罪つみ老ろう漢かん便びん是ぜ。」
24 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	悟空ごくう大喜だいぎ，懇こん留とめ飲いん宴えん不ふ肯，遂とげ與あずか金星きんせい縱たて著ちょ祥さち雲くも，到いた南天なんてん門外もんがい。那な些天丁ちょう天たかし將しょう都と拱手こうしゅ相しょう迎むかえ。徑みち入にゅう靈れい霄殿下か。金星かなぼし拜はい奏そう道どう：「臣しん奉たてまつ詔みことのり宣せん弼馬溫ゆたか孫まご悟空ごくう已やめ到いた。」玉たま帝みかど道どう：「那な孫まご悟空ごくう過か來き，今こん宣せん你做個こ齊ひとし天てん大聖たいせい，官かん品ひん極ごく矣，但ただし切きり不可ふか胡えびす為ため。」這猴亦また止とめ朝あさ上じょう唱個喏，道みち聲ごえ「謝恩しゃおん」。玉たま帝みかど即そく命いのち工こう幹みき官かん張ちょう、魯二に班はん，在ざい蟠わだかま桃園ももぞの右みぎ首くび，起おこり一座齊天大聖府，府ふ內設個こ二に司し：一いち名めい安靜あんせい司し，一いち名めい寧やすし神かみ司し。司つかさ俱有仙せん吏，左右さゆう扶持ふち。又また差さ五斗星君送悟空去到任，外がい賜たまもの御酒みき二に瓶びん，金きむ花はな十じゅう朵，著しる他た安心あんしん定志さだし，再さい勿胡為ため。
25 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	那な猴王信しん受奉行ぶぎょう，即日そくじつ與あずか五斗星君到府，打開だかい酒しゅ瓶びん，同どう眾盡飲いん。送おく星ほし官かん回轉かいてん本宮ほんぐう，他た才ざい遂とげ心しん滿まん意い，喜き地ち歡天，在ざい於天宮てんぐう快樂かいらく，無む掛かけ無礙むげ。正せい是ぜ：
Jump to dictionary		仙せん名めい永なが注ちゅう長生ちょうせい籙，不ふ墮輪迴萬まん古傳こでん。
26 Jump to dictionary	官かん封ふう弼馬... :	畢竟ひっきょう不知ふち向後こうご如何いか，且聽下か回かい分解ぶんかい。

《李り卓たく吾われ先生せんせい批評ひひょう西にし游ゆう記き》

URN: ctp:xiyouji/ch4

《官かん封ふう弼馬心しん何なん足そく 名めい注ちゅう齊ひとし天意てんい未み寧やすし》

《官かん封ふう弼馬心しん何なん足そく　名めい注ちゅう齊ひとし天意てんい未み寧やすし》