西遊記 : 平頂山功曹傳信　蓮花洞木母逢災

Post-Han -> Song-Ming -> 西遊せいゆう記き -> 平ひら頂山いただきやま功こう曹傳信しんじ　蓮花れんげ洞ほら木き母はは逢災

《平ひら頂山いただきやま功こう曹傳信しんじ　蓮花れんげ洞ほら木き母はは逢災》

1 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	話はなし說せつ唐から僧そう復ふく得どく了りょう孫まご行者ぎょうじゃ，師し徒と們一心こころ同體どうたい，共きょう詣まい西方せいほう。自じ寶たから象ぞう國こく救すくい了りょう宮みや主ぬし，承うけたまわ君臣くんしん送出そうしゅつ城西じょうさい。說せつ不盡ふじん沿路えんろ饑ひだる餐渴飲いん，夜よる住じゅう曉あかつき行ゆき。卻又值三さん春景しゅんけい候こう，那な時節じせつ：
Jump to dictionary		輕風けいふう吹柳綠みどり如絲，佳景かけい最さい堪こらえ題だい。時とき催鳥語ご，暖だん烘花發はつ，遍へん地ち芳よし菲。海棠かいどう庭にわ院いん來らい雙そう燕つばめ，正せい是ぜ賞しょう春はる時じ。紅べに塵ちり紫むらさき陌，綺羅きら絃管，鬥草傳でん卮。
2 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	師し徒と們正行賞こうしょう間あいだ，又また見み一いち山やま擋路。唐から僧そう道どう：「徒弟とてい們仔細しさい，前ぜん遇ぐう山高やまたか，恐こわ有ゆう虎狼ころう阻擋。」行者ぎょうじゃ道どう：「師父しふ，出家しゅっけ人じん莫說在家ざいけ話ばなし。你記得とく那な烏がらす巢す和尚おしょう的てき《心こころ經けい》云うん『心こころ無む罣礙：無む罣礙，方ぽう無む恐怖きょうふ，遠とお離はなれ顛倒てんとう夢想むそう』之の言げん？但ただし只ただ是ぜ：『掃除そうじ心しん上じょう垢あか，洗淨せんじょう耳みみ邊べ塵ちり。不ふ受苦じゅく中ちゅう苦く，難なん為ため人じん上人しょうにん。』你莫生せい憂慮ゆうりょ，但ただし有ゆう老ろう孫まご，就是塌下天來てんらい，可か保ほ無事ぶじ，怕甚麼いんも虎狼ころう？」長老ちょうろう勒回馬道うまみち：「我わが當年とうねん奉たてまつ旨むね出で長安ながやす，只ただ憶西來らい拜はい佛ふつ顏がお。舍利しゃり國こく中金なかがね像ぞう彩いろどり，浮屠ふと塔とう裡うら玉だま毫斑。尋ひろ窮きゅう天下でんか無む名水めいすい，歷れき遍へん人間にんげん不ふ到いた山やま。逐逐煙波えんぱ重疊ちょうじょう疊たたみ，幾いく時じ能のう夠此身み閑？」
3 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	行者ぎょうじゃ聞說きくならく，笑わらい呵呵かか道どう：「師し要よう身み閑，有ゆう何なん難事なんじ？若わか功こう成之しげゆき後ご，萬まん緣えん都と罷やめ，諸法しょほう皆みな空そら。那な時節じせつ，自然しぜん而然，卻不是ぜ身み閑也？」長老ちょうろう聞言，只ただ得とく樂らく以忘憂ぼうゆう。放ひ轡くつわ催銀濁にご，兜かぶと韁趲玉だま龍りゅう。
4 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	師し徒と們上得とく山來やまき，十分じゅうぶん險峻けんしゅん，真個しんこ嵯峨さが。好こう山やま：
Jump to dictionary		巍巍ぎぎ峻嶺しゅんれい，削そぎ削そぎ尖峰せんぽう。灣わん環たまき深ふかし澗下，孤こ峻たかし陡崖邊べ。灣わん環たまき深ふかし澗下，只ただ聽得唿喇喇戲水すい蟒翻身ほんしん；孤こ峻たかし陡崖邊あたり，但ただし見み那な崒嵂嵂出林りん虎とら剪尾。往上看み，巒頭突兀透とおる青あお霄；回かい眼め觀かん，壑下深ふか沉鄰碧落へきらく。上うえ高だか來らい，似に梯はしご似に凳；下か低てい行くだり，如塹如坑。真個しんこ是ぜ古こ怪かい巔峰嶺みね，果然かぜん是ぜ連れん尖とんが削そぎ壁かべ崖がけ。巔峰嶺みね上じょう，採と藥くすり人じん尋ひろ思おもえ怕走；削そぎ壁かべ崖がけ前まえ，打だ柴しば夫おっと寸すん步ふ難行なんぎょう。胡えびす羊ひつじ野の馬ば亂らん攛梭，狡ずる兔うさぎ山やま牛うし如佈陣じん。山高やまたか蔽日遮さえぎ星ほし斗と，時じ逢妖獸じゅう與あずか蒼あお狼おおかみ。草くさ徑みち迷漫難なん進しん馬ば，怎得雷かみなり音おん見み佛ふつ王おう？
5 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	長老ちょうろう勒馬觀山かんざん，正せい在ざい難行なんぎょう之の處しょ，只見ただみ那な綠みどり莎坡上じょう，佇立ちょりつ著ちょ一いち個こ樵きこり夫おっと。你道他た怎生打だ扮ふん：
Jump to dictionary		頭あたま戴一頂老藍氈笠，身み穿ほじ一いち領毛りょうげ皂衲衣ころも。老ろう藍あい氈笠，遮さえぎ煙けむり蓋ぶた日び果はて稀まれ奇き；毛げ皂衲衣ころも，樂らく以忘憂ぼうゆう真ま罕見。手持てもち鋼こう斧おの快かい磨すり明あきら，刀かたな伐き乾いぬい柴しば收束しゅうそく緊。檐頭春色しゅんしょく，幽かそけ然しか四序融融；身み外がい閑情，常つね是ぜ三さん星ほし澹澹。到いた老ろう只ただ於隨分ぶん過か，有ゆう何なん榮辱えいじょく暫關山やま？
6 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	那な樵きこり子こ：
Jump to dictionary		正せい在ざい坡前伐き朽くち柴しば，忽ゆるがせ逢長老ろう自じ東ひがし來らい。停とま柯住斧おの出で林外りんがい，趨步將はた身上しんじょう石せき崖がけ。
7 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	對たい長老ちょうろう厲聲高だか叫さけべ道どう：「那な西進せいしん的てき長老ちょうろう，暫停片時かたとき，我わが有ゆう一言ひとこと奉告ほうこく：此山有ゆう一夥毒魔狠怪，專せん吃ども你東來らい西にし去さ的てき人じん哩まいる。」長老ちょうろう聞言，魂たましい飛ひ魄たま散ち，戰せん兢兢きょうきょう坐すわ不穩ふおん雕鞍，急きゅう回かい頭あたま，忙せわし呼よび徒弟とてい道どう：「你聽那な樵きこり夫おっと報道ほうどう：『此山有毒ゆうどく魔ま狠怪。』誰だれ敢去細ほそ問とい他た一いち問もん？」行者ぎょうじゃ道どう：「師父しふ放心ほうしん，等ひとし老ろう孫まご去さ問とい他た一いち個こ端はし的てき。」
8 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	好こう行者ぎょうじゃ，拽開步ふ，徑みち上じょう山來やまき，對たい樵きこり子こ叫さけべ聲ごえ「大だい哥」，道みち個こ問とい訊。樵きこり夫おっと答禮とうれい道どう：「長老ちょうろう啊，你們有ゆう甚緣故こ來らい此？」行者ぎょうじゃ道どう：「不ふ瞞大哥說，我わが們是東ひがし土ど差さ來らい西にし天てん取と經けい的てき。那な馬上もうえ是ただし我が的てき師父しふ，他た有ゆう些膽小しょう。適てき蒙こうむ見み教きょう，說せつ有ゆう甚麼いんも毒どく魔ま狠怪，故こ此我來らい奉たてまつ問とい一聲いっせい：那な魔ま是ぜ幾いく年ねん之の魔ま，怪かい是ぜ幾いく年ねん之の怪かい？還かえ是これ個こ把わ勢ぜい，還かえ是これ個こ雛ひな兒じ？煩はん大だい哥老實說じっせつ說せつ，我わが好よしみ著ちょ山神さんじん、土地とち遞解他た起おこり身み。」樵きこり子こ聞言，仰天ぎょうてん大だい笑わらい道どう：「你原來き是これ個こ風ふう和尚おしょう。」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが不ふ風ふう啊，這是老實ろうじつ話ばなし。」樵きこり子道しどう：「你說是ぜ老實ろうじつ，便びん怎敢說せつ把わ他た遞解起おこり身み？」行者ぎょうじゃ道どう：「你這等とう長ちょう他た那な威風いふう，胡えびす言げん亂らん語ご的てき攔路報ほう信しんじ，莫不是ぜ與あずか他た有ゆう親おや？不ふ親おや必鄰，不ふ鄰必友とも。」樵きこり子こ笑わらい道どう：「你這個こ風ふう潑和尚なお，忒沒道理どうり。我わが倒たおせ是ぜ好意こうい，特とく來報らいほう與あずか你們，教きょう你們走路そうろ時じ，早晚そうばん間あいだ防備ぼうび，你倒轉うたて賴たよ在ざい我身わがみ上じょう。且莫說せつ我わが不ふ曉あかつき得とく妖魔ようま出處しゅっしょ，就曉得とく啊，你敢把わ他た怎麼的てき遞解？解かい往何處どこ？」行者ぎょうじゃ道どう：「若わか是ぜ天魔てんま，解かい與あずか玉たま帝みかど；若わか是ぜ土ど魔ま，解かい與あずか土はに府ふ。西方せいほう的てき歸き佛ふつ，東方とうほう的てき歸き聖せい；北方ほっぽう的てき解かい與あずか真ま武ぶ，南方なんぽう的てき解かい與あずか火ひ德とく。是ぜ蛟みずち精せい解かい與あずか海うみ主ぬし，是ぜ鬼おに祟たたり解かい與あずか閻王。各かく有ゆう地頭じとう方向ほうこう。我わが老ろう孫まご到いた處しょ里人さとびと熟じゅく，發はつ一いち張ちょう批文，把わ他た連夜れんや解かい著ちょ飛ひ跑。」
9 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	那な樵きこり子こ止とめ不ふ住じゅう呵呵かか冷笑れいしょう道どう：「你這個こ風ふう潑和尚なお，想そう是ぜ在方ざいかた上じょう雲くも遊ゆう，學がく了りょう些書符ふ咒水的てき法ほう術じゅつ，只ただ可か驅か邪よこしま縛ばく鬼おに，還かえ不ふ曾撞見み這等狠毒的てき怪かい哩まいる。」行者ぎょうじゃ道どう：「怎見他た狠毒？」樵きこり子道しどう：「此山徑みち過か有ゆう六ろく百ひゃく里さと遠近えんきん，名めい喚平頂山いただきやま。山中やまなか有一ゆういち洞ほら，名めい喚蓮花はな洞ほら。洞ほら裡うら有ゆう兩個りゃんこ魔ま頭あたま，他た畫が影かげ圖形ずけい，要よう捉和尚おしょう；抄しょう名めい訪おとずれ姓せい，要よう吃ども唐から僧そう。你若別べつ處しょ來らい的てき還かえ好こう，但ただし犯はん了りょう一いち個こ『唐とう』字じ兒じ，莫想去さ得え，去さ得う。」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが們正是ぜ唐とう朝來ちょうらい的てき。」樵きこり子道しどう：「他た正せい要よう吃ども你們哩まいる。」行者ぎょうじゃ道どう：「造化ぞうか，造化ぞうか。但ただし不知ふち他た怎的樣さま吃ども哩まいる？」樵きこり子道しどう：「你要他た怎的吃ども？」行者ぎょうじゃ道どう：「若わか是ぜ先さき吃ども頭あたま，還かえ好こう耍子；若わか是ぜ先さき吃ども腳，就難為ため了りょう。」樵きこり子道しどう：「先さき吃ども頭あたま怎麼說せつ？先さき吃ども腳怎麼說？」行者ぎょうじゃ道どう：「你還不ふ曾經著ちょ哩まいる。若わか是ぜ先さき吃ども頭あたま，一いち口くち將はた他た咬下，我わが已やめ死し了りょう，憑他怎麼煎せんじ炒い熬い煮に，我わが也不知ふち疼痛とうつう。若わか是ぜ先さき吃ども腳，他た啃了孤こ拐，嚼了腿もも亭てい，吃ども到いた腰こし截骨，我わが還かえ急きゅう忙せわし不死ふし，卻不是ぜ零れい零れい碎碎受苦じゅく？此所以ゆえん難なん為ため也。」樵きこり子道しどう：「和尚おしょう，他た那な裡うら有ゆう這許多た工夫くふう，只ただ是これ把わ你拿住じゅう，綑在籠かご裡うら，囫圇蒸ふけ吃ども了りょう。」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「這個更さら好このみ，更さら好このみ。疼倒不ふ忍にん疼，只ただ是ぜ受些悶もだえ氣き罷やめ了りょう。」樵きこり子道しどう：「和尚おしょう不要ふよう調ちょう嘴くちばし。那な妖怪ようかい隨身ずいじん有ゆう五ご件けん寶貝ほうがい，神通じんずう極大きょくだい極ごく廣ひろ。就是擎天的てき玉たま柱ばしら，架か海うみ的てき金きん梁はり，若保わかほ得とく唐とう朝あさ和尚おしょう去さ，也須要しゅよう發はつ發はつ昏是。」行者ぎょうじゃ道どう：「發はつ幾いく個こ昏麼？」樵きこり子道しどう：「要よう發はつ三さん四よん個こ昏是。」行者ぎょうじゃ道どう：「不ふ打だ緊，不ふ打だ緊。我わが們一いち年ねん，常つね發はつ七なな八はち百ひゃく個こ昏兒，這三さん四個昏兒易得發，發はつ發はつ兒じ就過去かこ了りょう。」
10 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	好こう大聖たいせい，全然ぜんぜん無む懼，一心只是要保唐僧。捽脫樵きこり夫おっと，拽步而轉，徑みち至いたり山やま坡馬頭あたま前ぜん道みち：「師父しふ，沒ぼつ甚大じんだい事ごと。有ゆう便びん有ゆう個こ把わ妖精ようせい兒じ，只ただ是ぜ這裡人じん膽きも小しょう，放ひ他た在ざい心しん上じょう。有我ありが哩まいる，怕他怎的？走路そうろ，走路そうろ。」長老ちょうろう見み說せつ，只ただ得え放ひ懷ふところ隨行ずいこう。正行まさゆき處しょ，早はや不ふ見み了りょう那な樵きこり夫おっと。長老ちょうろう道どう：「那な報ほう信しん的てき樵きこり子こ如何いか就不見み了りょう？」八戒はっかい道どう：「我わが們造化か低てい，撞見日び裡うら鬼おに了りょう。」行者ぎょうじゃ道どう：「想そう是ぜ他た鑽進林子りんこ裡うら尋ひろ柴しば去さ了りょう。等ひとし我わが看み看み來らい。」
11 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	好こう大聖たいせい，睜開火ひ眼め金きん睛，漫山越やまごえ嶺みね的てき望もち處しょ，卻無蹤跡。忽ゆるがせ擡頭たいとう往雲端はし裡うら一いち看み，看み見み是ぜ日び值功曹，他た就縱雲くも趕上，罵ののし了りょう幾いく聲こえ「毛もう鬼おに」，道みち：「你怎麼有話ばなし不ふ來らい直じき說せつ，卻那般變化へんか了りょう，演えんじ樣よう老ろう孫まご？」慌得那な功こう曹施禮れい道どう：「大聖たいせい，報ほう信しんじ來らい遲おそ，勿罪，勿罪。那な怪かい果然かぜん神通じんずう廣大こうだい，變化へんか多端たたん。只ただ看み你騰那な乖巧，運動うんどう神しん機き，仔細しさい保ほ你師父ちち；假かり若わか怠慢たいまん了りょう些兒，西にし天てん路ろ莫想去さ得う。」
12 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	行者ぎょうじゃ聞言，把わ功こう曹叱退すさ，切切せつせつ在ざい心しん，按雲頭あたま，徑みち來らい山上さんじょう。只見ただみ長老ちょうろう與あずか八戒はっかい、沙すな僧そう簇むらが擁よう前進ぜんしん。他た卻暗想そう：「我わが若わか把わ功こう曹的言語げんご實じつ實じつ告訴こくそ師父しふ，師父しふ他た不ふ濟すみ事ごと，必就哭了；假かり若わか不ふ與あずか他た實說じっせつ，夢ゆめ著ちょ頭あたま，帶おび著ちょ他た走はし，常つね言道ことみち：『乍入蘆あし圩，不知ふち深淺しんせん。』倘或被ひ妖魔ようま撈去，卻不又また要よう老ろう孫まご費ひ心しん？且等我わが照あきら顧八戒一照顧，先さき著ちょ他た出頭しゅっとう與那よな怪かい打だ一いち仗看。若わか是ぜ打だ得え過か他た，就算他た一いち功こう；若わか是ぜ沒ぼつ手段しゅだん，被ひ怪かい拿去，等ひとし老ろう孫まご再さい去さ救すくい他た不ふ遲おそ，卻好顯あらわ我わが本ほん事こと出で名めい。」正せい自家じか計けい較，以心問とい心しん道どう：「只ただ恐おそれ八はち戒躲懶ものぐさ，便びん不ふ肯出頭しゅっとう，師父しふ又また有ゆう些護短たん。等とう老ろう孫まご羈勒他た羈勒。」
13 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	好こう大聖たいせい，你看他た弄ろう個こ虛きょ頭あたま，把わ眼め揉もめ了りょう一いち揉もめ，揉もめ出で些淚來らい。迎むかい著ちょ師父しふ，往前徑みち走はし。八はち戒看見み，連れん忙せわし叫さけべ：「沙すな和尚おしょう，歇下擔子，拿出行李こうり來らい，我わが兩個りゃんこ分ぶん了りょう罷やめ。」沙すな僧そう道どう：「二に哥，分ふん怎的？」八戒はっかい道どう：「分ぶん了りょう罷やめ，你往流りゅう沙すな河かわ還かえ做妖怪ようかい，老ろう豬往高だか老ろう莊そう上じょう盼盼渾家。把わ白馬はくば賣うり了りょう，買かい口こう棺かん木き，與あずか師父しふ送おく老ろう。大家たいか散ち火ひ，還かえ往西天てん去さ哩まいる？」長老ちょうろう在ざい馬上まけ聽見，道みち：「這個夯貨，正せい走路そうろ，怎麼又また胡えびす說せつ了りょう？」八戒はっかい道どう：「你兒子こ便びん胡えびす說せつ。你不看み見み孫まご行者ぎょうじゃ那な裡うら哭將來しょうらい了りょう？他た是ぜ個こ鑽天入地いりじ，斧おの砍火燒しょう，下した油ゆ鍋なべ都と不ふ怕的好漢こうかん；如今戴了個こ愁帽，淚なみだ汪ひろし汪ひろし的てき哭來，必是那な山やま險峻けんしゅん，妖怪ようかい兇狠。似に我わが們這樣さま軟弱なんじゃく的てき人ひと兒じ，怎麼去得とく？」長老ちょうろう道どう：「你且休きゅう胡えびす談だん，待まて我わが問とい他た一聲いっせい，看み是ぜ怎麼說話せつわ。」問とい道どう：「悟空ごくう，有ゆう甚話當面とうめん計けい較，你怎麼自家か煩惱ぼんのう？這般しゃはん樣さま個こ哭包臉，是ぜ虎とら諕我也？」行者ぎょうじゃ道どう：「師父しふ啊，剛つよし才ざい那な個こ報ほう信しん的てき是ぜ日び值功曹，他た說せつ妖精ようせい兇狠，此處ここら難行なんぎょう，果然かぜん的てき山高やまたか路ろ峻たかし，不能ふのう前進ぜんしん，改あらため日び再さい去さ罷やめ。」長老ちょうろう聞言，恐惶きょうこう悚懼，扯住他た虎とら皮がわ裙子道どう：「徒弟とてい呀，我わが們三停路已走了停半，因いん何なん說せつ退すさ悔之言ごと？」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが沒ぼつ個こ不盡ふじん心的しんてき，但ただし只ただ恐おそれ魔ま多た力ちから弱じゃく，行ぎょう勢ぜい孤こ單たん。『縱たて然しか是ぜ塊かたまり鐵てつ，下した爐ろ能のう打だ得とく幾いく根ね釘くぎ？』」長老ちょうろう道どう：「徒弟とてい啊，你也說得せっとく是ぜ，果然かぜん一個人いっこじん也難。兵書へいしょ云うん：『寡不可ふか敵てき眾。』我わが這裡還かえ有ゆう八戒はっかい、沙すな僧そう，都みやこ是ただし徒弟とてい，憑你調度ちょうど使用しよう，或ある為ため護まも將はた幫手，協力きょうりょく同心どうしん，掃清山やま徑みち，領りょう我わが過か山やま，卻不都と還かえ了りょう正せい果はて？」
14 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	那な行者ぎょうじゃ這一場じょう扭捏，只ただ逗出長老ちょうろう這幾句く話ばなし來らい。他た搵了淚なみだ道どう：「師父しふ啊，若わか要よう過か得とく此山，須是豬八戒依得我兩件事兒，才さい有ゆう三さん分ふん去さ得とく；假かり若わか不ふ依よ我わが言げん，替がえ不ふ得とく我わが手て，半分はんぶん兒じ也莫想そう過去かこ。」八戒はっかい道どう：「師し兄けい，不ふ去就きょしゅう散ち火ひ罷やめ。不要ふよう攀よじ我わが。」長老ちょうろう道どう：「徒弟とてい，且問你師兄けい，看み他た教きょう你做甚麼いんも？」獃子真個しんこ對たい行者ぎょうじゃ說せつ道どう：「哥哥，你教我わが做甚事ごと？」行者ぎょうじゃ道どう：「第だい一いち件けん是ぜ看み師父しふ，第だい二件是去巡山。」八戒はっかい道どう：「看み師父しふ是ぜ坐すわ，巡じゅん山やま去さ是これ走はし。終おわり不ふ然しか教きょう我わが坐すわ一いち會かい又また走はし，走はし一いち會かい又また坐すわ？兩りょう處しょ怎麼顧盼得どく來らい？」行者ぎょうじゃ道どう：「不ふ是ぜ教きょう你兩件けん齊ひとし幹みき，只ただ是ぜ領りょう了りょう一いち件けん便びん罷やめ。」八戒はっかい又また笑わらい道どう：「這等也好計けい較。但ただし不知ふち看み師父しふ是ぜ怎樣，巡じゅん山やま是ぜ怎樣？你先與あずか我が講こう講こう，等とう我わが依よ個こ相應そうおう些兒的てき去さ幹みき罷やめ。」行者ぎょうじゃ道どう：「看み師父しふ啊，師父しふ去さ出で恭きょう，你伺候しこう；師父しふ要よう走路そうろ，你扶持ふち；師父しふ要よう吃ども齋とき，你化齋とき。若わか他ほか餓かつえ了りょう些兒，你該打だ；黃き了りょう些兒臉皮，你該打だ；瘦了些兒形骸けいがい，你該打だ。」八戒はっかい慌了道どう：「這個難なん，難なん，難なん。伺候しこう扶持ふち，通つう不ふ打だ緊；就是不離ふり身み馱著，也還容易ようい；假かり若わか教きょう我わが去さ鄉さと下か化か齋とき，他た這西方かた路上ろじょう，不ふ識我是ぜ取と經けい的てき和尚おしょう，只ただ道どう是ぜ那な山やま裡うら走出はしりで來き的てき一個半壯不壯的健豬，夥おびただし上うわ許多きょた人じん，叉また鈀掃帚，把わ老ろう豬圍倒たおせ，拿家去さ宰おさむ了りょう，醃著過か年とし，這個卻不就遭瘟了？」行者ぎょうじゃ道どう：「巡めぐ山やま去さ罷やめ。」八戒はっかい道どう：「巡めぐ山やま便びん怎麼樣さま兒じ？」行者ぎょうじゃ道どう：「就入此山，打だ聽有多少たしょう妖怪ようかい，是ぜ甚麼いんも山さん，是ぜ甚麼いんも洞ほら，我わが們好過去かこ。」八戒はっかい道どう：「這個小しょう可か，老ろう豬去巡じゅん山やま罷やめ。」那な獃子就撒起おこり衣ころも裙，挺てい著ちょ釘くぎ鈀，雄お糾糾，徑みち入にゅう深山みやま；氣き昂のぼる昂のぼる，奔上大路おおじ。
15 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	行者ぎょうじゃ在ざい傍はた，忍しのぶ不ふ住じゅう嘻嘻冷笑れいしょう。長老ちょうろう罵ののし道みち：「你這個こ潑猴！兄弟きょうだい們全無む愛憐あいれん之の意い，常つね懷ふところ嫉妒之の心しん。你做出で這樣獐智，巧言令色こうげんれいしょく，撮つまみ弄ろう他た去さ甚麼いんも巡じゅん山やま，卻又在ざい這裡笑わらい他た。」行者ぎょうじゃ道どう：「不ふ是ぜ笑わらい他た，我わが這笑中有ちゅうう味あじ。你看豬八戒這一いち去さ，決けつ不ふ巡じゅん山やま，也不敢見妖怪ようかい，不知ふち往那裡うら去さ躲閃半はん會かい，捏こね出で個こ謊來，哄我們也。」長老ちょうろう道どう：「你怎麼就曉あかつき得とく他た？」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが估出他た是ぜ這等，不信ふしん，等とう我わが跟他去さ看み看み，聽他一聽いっちょう：一則幫副他手段降妖，二來看他可有個誠心拜佛？」長老ちょうろう道どう：「好このみ，好こう，好こう，你卻莫去捉弄他た。」行者ぎょうじゃ應諾おうだく了りょう，徑みち直ちょく趕上山かみのやま坡，搖ゆら身み一變いっぺん，變へん作さく個こ蟭蟟蟲むし兒じ。其實變へん得え輕けい巧たくみ，但ただし見み他た：
Jump to dictionary		翅薄舞まい風ふう不用ふよう力りょく，腰こし尖とんが細小さいしょう如針。穿ほじ蒲がま抹草過か花はな陰かげ，疾やまし似に流星りゅうせい還かえ甚。眼睛がんせい明あかり映うつ映うつ，聲こえ氣き渺びょう瘖瘖。昆蟲こんちゅう之の類るい惟おもんみ他た小しょう，亭亭ていてい款款機き深ふか。幾いく番ばん閑日歇幽林りん，一身いっしん渾不見み，千せん眼め莫能尋ひろ。
16 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	嚶的一翅飛將去，趕上八戒はっかい，釘くぎ在ざい他た耳みみ朵後面めん鬃根底そこ下か。那な獃子只管ひたすら走路そうろ，怎知道どう身上しんじょう有人ゆうじん。行くだり有ゆう七なな八はち里さと路ろ，把わ釘くぎ鈀撇下か，吊つるし轉てん頭あたま來らい，望のぞむ著ちょ唐から僧そう，指ゆび手しゅ畫が腳的罵ののし道みち：「你罷軟的老ろう和尚おしょう，捉掐的てき弼馬溫ぬる，面めん弱じゃく的てき沙すな和尚おしょう，他た都と在ざい那な裡うら自在じざい，捉弄我わが老ろう豬來蹡路。大家たいか取と經けい，都と要望ようぼう成なり正せい果はて，偏へん是ぜ教きょう我わが來らい巡じゅん甚麼いんも山やま。哈哈哈，曉あかつき得とく有ゆう妖怪ようかい，躲著些兒走はし，還かえ不ふ夠一半いっぱん，卻教我わが去さ尋ひろ他た，這等晦みそ氣き哩まいる。我わが往那裡うら睡ねむ覺さと去ざ，睡ねむ一いち覺さとし回かい去さ，含含糊のり糊のり的てき答こたえ應おう他た，只ただ說せつ是これ巡じゅん了りょう山さん，就了其帳也。」那な獃子一いち時じ間あいだ僥幸，搴著鈀，又また走はし，只見ただみ山さん凹裡一いち彎紅草くさ坡。他た一頭鑽得進去，使つかい釘くぎ鈀撲個こ地ち鋪しき，轂こしき轆的睡ねむ下しも，把わ腰こし伸しん了りょう一伸かずのぶ，道みち聲ごえ：「快活かいかつ。就是那な弼馬溫あつし，也不得とく像ぞう我わが這般しゃはん自在じざい。」
17 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	原はら來らい行者ぎょうじゃ在ざい他た耳みみ根ね後ご，句く句く兒じ聽著哩まいる，忍しのぶ不ふ住じゅう飛ひ將はた起おこり來らい，又また琢みがく弄ろう他た一いち琢みがく弄ろう。又また搖ゆら身み一變いっぺん，變へん作さく個こ啄木たくぼく蟲むし兒じ。但ただし見み：
Jump to dictionary		鐵てつ嘴くちばし尖とんが尖とんが紅べに溜ため，翠みどり翎艷艷つや光明こうみょう。一雙いっそう鋼こう爪つま利り如釘。腹はら餒何妨さまたげ林はやし靜しず。最愛さいあい枯槎朽くち爛ただれ，偏へん嫌いや老樹ろうじゅ伶仃。圜睛決けつ尾お性せい丟靈。辟剝之の聲こえ堪こらえ聽。
18 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	這蟲鷖不大だい不ふ小しょう的てき，上うえ秤ばかり稱たたえ，只ただ有ゆう二に三さん兩りょう重じゅう。紅べに銅どう嘴くちばし，黑くろ鐵てつ腳。刷すり剌的一いち翅飛下か來らい。那な八戒はっかい丟倒頭あたま，正せい睡ねむ著ちょ哩まいる，被ひ他た照あきら嘴くちばし唇くちびる上じょう扢揸的てき一いち下か。
19 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	那な獃子慌得爬將起おこり來らい，口くち裡うら亂らん嚷道：「有ゆう妖怪ようかい，有ゆう妖怪ようかい，把わ我わが戳了一いち槍やり去さ了りょう，嘴くちばし上じょう好こう不ふ疼呀。」伸しん手しゅ摸摸，泱出血しゅっけつ來らい了りょう。他た道みち：「蹭蹬啊，我わが又また沒ぼっ甚喜事ごと，怎麼嘴くちばし上じょう掛かけ了りょう紅べに耶？」他た看み著ちょ這血手しゅ，口くち裡うら絮絮叨叨的てき兩邊りょうへん亂らん看み，卻不見み動靜どうせい。道みち：「無む甚妖怪ようかい，怎麼戳我一いち槍やり麼？」忽ゆるがせ擡頭たいとう往上看み時じ，原はら來らい是ぜ個こ啄木たくぼく蟲むし，在ざい半はん空中くうちゅう飛ひ哩まいる。獃子咬牙罵ののし道みち：「這個亡ほろび人じん，弼馬溫ゆたか欺負我わが罷やめ了りょう，你也來らい欺負我が。我わが曉あかつき得とく了りょう。他た一定いってい不ふ認みとめ我わが是ぜ個人こじん，只ただ把わ我わが嘴くちばし當とう一段黑朽枯爛的樹，內中生せい了りょう蟲むし，尋ひろ蟲むし兒じ吃ども的てき，將はた我わが啄ついばめ了りょう這一下か也。等とう我が把わ嘴くちばし揣在懷ふところ裡うら睡ねむ罷やめ。」那な獃子轂こしき轆的依然いぜん睡ねむ倒たおせ。行者ぎょうじゃ又また飛來ひらい，著ちょ耳みみ根ね後ご又また啄ついばめ了りょう一いち下か。獃子慌得爬起來らい道どう：「這個亡ほろび人じん，卻打攪得我わが狠。想そう必這裡うら是ぜ他た的てき窠巢，生なま蛋佈雛ひな，怕我占うらない了りょう，故こ此這般しゃはん打だ攪。罷やめ罷やめ罷やめ，不ふ睡ねむ他た了りょう。」搴著鈀，徑みち出で紅べに草くさ坡，找路又また走はし。可か不ふ喜き壞了孫まご行者ぎょうじゃ，笑わらい倒たおせ個こ美び猴王。行者ぎょうじゃ道どう：「這夯貨大睜著兩個りゃんこ眼め，連れん自家じか人じん也認不ふ得とく。」
20 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	好こう大聖たいせい，搖ゆら身み又また一變いっぺん，還かえ變へん做個蟭蟟蟲ちゅう，釘くぎ在ざい他た耳みみ朵後面めん，不離ふり他た身上しんじょう。那な獃子入にゅう深山みやま，又また行くだり有ゆう四よん五ご里り，只見ただみ山さん凹中有ちゅうう桌面大だい的てき四よん四よん方方かたがた三さん塊かたまり青あお石頭いしあたま。獃子放下ほうか鈀，對たい石頭いしあたま唱個大だい喏。行者ぎょうじゃ暗くら笑わらい道どう：「這獃子こ，石頭いしあたま又また不ふ是ぜ人じん，又また不ふ會かい說話せつわ，又また不ふ會かい還かえ禮れい的てき，唱他喏怎的てき，可か不ふ是ぜ個こ瞎帳？」原はら來らい那な獃子把わ石頭いしあたま當とう著しる唐から僧そう、沙すな僧そう、行者ぎょうじゃ三さん人にん，朝あさ著ちょ他た演習えんしゅう哩まいる。他た道みち：「我わが這回去さ，見み了りょう師父しふ，若わか問とい有ゆう妖怪ようかい，就說有ゆう妖怪ようかい。他た問とい甚麼いんも山さん，我わが若わか說せつ是ぜ泥どろ捏こね的てき、土ど做的、錫すず打だ的てき、銅どう鑄い的てき、麵蒸的てき、紙かみ糊のり的てき、筆畫ひっかく的てき，他た們見說せつ我わが獃哩，若わか講こう這話，一發いっぱつ說せつ獃了。我わが只ただ說せつ是ぜ石せき頭山つむりやま。他た問とい甚麼いんも洞ほら，也只說せつ是ぜ石頭いしあたま洞ほら。他た問とい甚麼いんも門もん，卻說是ぜ釘くぎ釘くぎ的てき鐵てつ葉は門もん。他た問とい裡うら邊べ有ゆう多おお遠とお，只ただ說せつ入にゅう內有三さん層そう。十分じゅうぶん再さい搜さがせ尋ひろ，問もん門もん上じょう釘くぎ子こ多少たしょう，只ただ說せつ老ろう豬心忙せわし記き不ふ真しん。此間編へん造づくり停とま當とう，哄那弼馬溫ぬる去ざ。」那な獃子捏こね合あい了りょう，拖著鈀，徑みち回かい本ほん路ろ。
21 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	怎知行者ぎょうじゃ在ざい耳みみ朵後，一いち一聽いっちょう得どく明白めいはく。行者ぎょうじゃ見み他た回かい來らい，即そく騰あが兩りょう翅預先さき回かい去さ，現げん原げん身み，見み了りょう師父しふ。師父しふ道どう：「悟空ごくう，你來了りょう，悟さとる能のう怎不見回みまわ？」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「他た在ざい那な裡うら編へん謊哩，就待來らい也。」長老ちょうろう道どう：「他た兩個りゃんこ耳みみ朵蓋著ちょ眼め，愚ぐ拙つたな之これ人にん也，他た會かい編へん甚麼いんも謊？又また是ぜ你捏合あい甚麼いんも鬼おに話ばなし賴たよ他た哩まいる。」行者ぎょうじゃ道どう：「師父しふ，你只是ぜ這等護まもる短たん。這是有ゆう對たい問とい的てき話ばなし。」把わ他た那な鑽在草くさ裡うら睡ねむ覺さとし，被ひ啄木たくぼく蟲むし叮醒，朝あさ石頭いしあたま唱喏，編へん造づくり甚麼いんも石せき頭山つむりやま、石頭いしあたま洞ほら、鐵てつ葉は門もん、有ゆう妖精ようせい的てき話ばなし，預あずか先さき說せつ了りょう。
22 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	說せつ畢，不ふ多た時じ，那な獃子走はし將來しょうらい。又また怕忘了りょう那な謊，低てい著ちょ頭あたま，口くち裡うら溫習おんしゅう。被ひ行者ぎょうじゃ喝かつ了りょう一聲いっせい道どう：「獃子，念ねん甚麼いんも哩まいる？」八戒掀起耳朵來看看道：「我わが到いた了りょう地頭じとう了りょう？」那な獃子上前うわまえ跪倒。長老ちょうろう攙起道どう：「徒弟とてい，辛苦しんく啊。」八戒はっかい道どう：「正せい是ぜ。走路そうろ的てき人じん，爬山的てき人じん，第だい一いち辛苦しんく了りょう。」長老ちょうろう道どう：「可か有ゆう妖怪ようかい麼？」八戒はっかい道どう：「有ゆう妖怪ようかい，有ゆう妖怪ようかい，一いち堆うずたか妖怪ようかい哩まいる！」長老ちょうろう道どう：「怎麼打だ發はつ你來？」八戒はっかい說せつ：「他た叫さけべ我わが做豬祖宗そそう、豬外公こう，安やす排はい些粉湯ゆ素もと食しょく，教きょう我わが吃ども了りょう一いち頓とみ，說せつ道どう擺旗鼓こ送おく我わが們過山やま哩まいる。」行者ぎょうじゃ道どう：「想そう是ぜ在ざい草くさ裡うら睡ねむ著しる了りょう，說得せっとく是ぜ夢ゆめ話ばなし。」獃子聞言，就嚇得とく矮了二に寸すん道どう：「爺じい爺じい呀！我わが睡ねむ他た怎麼曉あかつき得とく？」行者ぎょうじゃ上前うわまえ，一いち把わ揪住道どう：「你過來らい，等とう我わが問とい你。」獃子又また慌了，戰戰兢兢せんせんきょうきょう的てき道みち：「問とい便びん罷やめ了りょう，揪扯怎的？」行者ぎょうじゃ道どう：「是ぜ甚麼いんも山やま？」八戒はっかい道どう：「是ぜ石せき頭山つむりやま。」「甚麼いんも洞ほら？」道みち：「是ぜ石頭いしあたま洞ほら。」「甚麼いんも門もん？」道みち：「是ぜ釘くぎ釘くぎ鐵てつ葉は門もん。」「裡うら邊べ有ゆう多おお遠とお？」道みち：「入にゅう內是三さん層そう。」行者ぎょうじゃ道どう：「你不消けし說せつ了りょう，後半こうはん截我記き得とく真しん，恐おそれ師父しふ不信ふしん，我わが替がえ你說了りょう罷やめ。」八戒はっかい道どう：「嘴くちばし臉，你又不ふ曾去，你曉得とく那な些兒，要よう替がえ我が說せつ？」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「『門もん上じょう釘くぎ子こ有ゆう多少たしょう，只ただ說せつ老ろう豬心忙せわし記き不ふ真しん。』可か是ぜ麼？」那な獃子即そく慌忙跪倒。行者ぎょうじゃ道どう：「朝あさ著ちょ石頭いしあたま唱喏，當とう做我三さん人にん，對たい他た一いち問もん一いち答とう，可か是ぜ麼？又また說せつ：『等とう我が編へん得とく謊兒停とま當とう，哄那弼馬溫ぬる去ざ。』可か是ぜ麼？」那な獃子連れん忙せわし只ただ是ぜ磕頭道どう：「師し兄けい，我わが去さ巡めぐ山やま，你莫成なり跟我去さ聽的？」
23 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	行者ぎょうじゃ罵ののし道みち：「我が把わ你個囊糠的てき夯貨！這般しゃはん要よう緊的所在しょざい，教きょう你去巡じゅん山やま，你卻去さ睡ねむ覺さとし。不ふ是ぜ啄木たくぼく蟲むし叮你醒來，你還在ざい那な裡うら睡ねむ哩まいる。及叮醒，又また編へん這樣大だい謊，可か不ふ誤あやま了りょう大事だいじ？你快伸しん過か孤こ拐來，打だ五ご棍記心しん。」八戒はっかい慌了道どう：「那な個こ哭喪棒ささげ重しげる，擦こす一擦兒皮塌，挽一挽兒筋すじ傷きず；若わか打だ五ご下か，就是死し了りょう。」行者ぎょうじゃ道どう：「你怕打だ，卻怎麼扯謊？」八戒はっかい道どう：「哥哥呀，只ただ是ぜ這一遭兒，以後いご再さい不ふ敢了。」行者ぎょうじゃ道どう：「一いち遭便打だ三さん棍。」八戒はっかい道どう：「爺じい爺じい呀！半はん棍兒也禁不ふ得とく。」獃子沒ぼつ計けい奈何いかん，扯住師父しふ道どう：「你替我が說せつ個こ方便ほうべん兒じ。」長老ちょうろう道どう：「悟空ごくう說せつ你編謊，我わが還かえ不信ふしん，今こん果はて如此，其實該打。但ただし如今過か山やま少しょう人ひと使し喚，悟空ごくう，你且饒にょう他た，待まち過か了りょう山さん。再さい打だ罷やめ。」行者ぎょうじゃ道どう：「古人こじん云うん：『順じゅん父母ちちはは言げん情じょう，呼よび為ため大だい孝こう。』師父しふ說せつ不ふ打だ，我わが就且饒にょう你。你再去さ與あずか他た巡じゅん山やま，若わか再說さいせつ謊誤事ごと，我わが定じょう一下也不饒你。」
24 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	那な獃子只ただ得とく爬起來らい又また去さ。你看他た奔上大路おおじ，疑心ぎしん生せい暗鬼あんき，步步ほほ只ただ疑うたぐ是ぜ行者ぎょうじゃ變化へんか了りょう跟住他た，故こ見み一物いちもつ，即そく疑うたぐ是ぜ行者ぎょうじゃ。走はし有ゆう七なな八はち里り，見み一隻老虎從山坡上跑過，他た也不怕，舉著釘くぎ鈀道：「師し兄けい來聽らいちょう說せつ謊的？這遭不ふ編へん了りょう。」又また走はし處しょ，那な山風やまかぜ來らい得とく甚猛，呼よび的てき一聲いっせい，把わ顆枯木かれき刮倒，滾たぎ至いたり面前めんぜん，他た又また跌腳搥胸的てき道みち：「哥啊，這是怎的起おこり？一行說不敢編謊罷了，又また變へん甚麼いんも樹じゅ來らい打だ人じん？」又また走はし向こう前まえ，只見ただみ一いち個こ白しろ頸老鴉からす，當とう頭あたま喳喳的てき連れん叫さけべ幾いく聲こえ，他た又また道みち：「哥哥，不ふ羞，不ふ羞。我わが說せつ不ふ編へん就不編へん了りょう，只管ひたすら又また變へん著ちょ老ろう鴉からす怎的？你來聽麼？」原はら來らい這一番行者卻不曾跟他去，他た那な裡うら卻自驚おどろき自じ怪かい，亂みだれ疑うたぐ亂らん猜，故こ無む往而不ふ疑うたぐ是ぜ行者ぎょうじゃ隨したがえ他た身み也。獃子驚おどろき疑うたぐ且不題だい。
25 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	卻說那な山やま叫さけべ做平頂山いただきやま，那な洞ほら叫さけべ做蓮花はな洞ほら。洞ほら裡うら兩りょう妖：一いち喚金角かく大王だいおう，一いち喚銀角かく大王だいおう。金かね角かく正坐せいざ，對たい銀ぎん角かく說せつ：「兄弟きょうだい，我わが們多少時しょうじ不ふ巡じゅん山やま了りょう？」銀ぎん角かく道どう：「有半ゆうはん個月かげつ了りょう。」金きむ角すみ道みち：「兄弟きょうだい，你今日び與あずか我わが去さ巡めぐ巡めぐ。」銀ぎん角かく道どう：「今日きょう巡じゅん山やま怎的？」金きむ角すみ道みち：「你不知ふち。近きん聞得東ひがし土ど唐から朝ちょう差さ個こ御ご弟おとうと唐から僧そう往西方かた拜はい佛ふつ，一いち行ぎょう四よん眾，叫さけべ做孫行者ぎょうじゃ、豬八戒はっかい、沙すな和尚おしょう，連れん馬ば五ご口くち。你看他た在ざい那な處しょ，與あずか我わが把わ他た拿來。」銀ぎん角かく道どう：「我わが們要吃ども人ひと，那な裡うら不ふ撈幾いく個こ。這和尚なお到いた得う那な裡うら，讓ゆずる他た去さ罷やめ。」金きむ角すみ道みち：「你不曉あかつき得とく。我わが當年とうねん出で天界てんかい，嘗聞得とく人じん言げん：唐から僧そう乃金蟬長老ろう臨凡，十じゅう世せい修行しゅぎょう的てき好このみ人じん，一點いてん元もと陽ひ未み泄，有人ゆうじん吃ども他た肉にく，延壽えんじゅ長生ちょうせい哩まいる。」銀ぎん角かく道どう：「若わか是ぜ吃ども了りょう他た肉にく就可以延壽ことぶき長生ちょうせい，我わが們打甚麼いんも坐すわ，立たて甚麼いんも功こう，煉ねり甚麼いんも龍りゅう與あずか虎とら，配はい甚麼いんも雌めす與あずか雄ゆう？只ただ該吃他た去さ了りょう。等ひとし我わが去さ拿他來らい。」金きむ角すみ道みち：「兄弟きょうだい，你有些性急せいきゅう，且莫忙せわし著ちょ。你若走出はしりで門もん，不ふ管かん好こう歹，但ただし是ぜ和尚おしょう就拿將來しょうらい，假かり如不是ぜ唐から僧そう，卻也不ふ當人とうにん子こ。我わが記き得とく他た的てき模樣もよう，曾將他た師し徒と畫が了りょう一いち個こ影かげ，圖ず了りょう一いち個こ形がた。你可拿去，但ただし遇ぐう著ちょ和尚おしょう，以此照あきら驗しるし照あきら驗けん。」又また將はた某ぼう人じん是ぜ某ぼう名字みょうじ，一いち一說いっせつ了りょう。銀ぎん角かく得とく了りょう圖像ずぞう，知道ともみち姓名せいめい，即そく出で洞ほら，點てん起おこり三さん十じゅう名めい小しょう怪かい，便びん來らい山上さんじょう巡邏じゅんら。
26 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	卻說八はち戒運拙つたな，正行まさゆき處しょ，可か可か的てき撞見群ぐん魔ま，當面とうめん擋住道どう：「那な來らい的てき甚麼いんも人じん？」獃子才ざい擡もたげ起おこり頭あたま來らい，掀著耳みみ朵，看み見み是ぜ些妖魔ようま，他た就慌了りょう，心中しんちゅうの暗くら道どう：「我わが若わか說せつ是ぜ取と經けい的てき和尚おしょう，他た就撈了りょう去さ。」只ただ是ぜ說せつ走路そうろ的てき。小しょう妖回報道ほうどう：「大王だいおう，是ぜ走路そうろ的てき。」那な三さん十じゅう名めい小しょう怪かい，中間ちゅうかん有ゆう認みとめ得とく的てき，有ゆう不ふ認みとめ得とく的てき。傍はた邊べ有ゆう聽著指ゆび點てん說話せつわ的てき道みち：「大王だいおう，這個和尚おしょう，像ぞう這圖中ちゅう豬八戒はっかい模樣もよう。」叫さけべ掛かけ起おこり影かげ神かみ圖ず來らい。八はち戒看見み，大だい驚おどろき道どう：「怪かい道どう這些時じ沒ぼつ精神せいしん哩まいる，原はら來らい是ぜ他た把わ我が的てき影かげ神かみ傳でん將來しょうらい也。」小しょう妖用槍やり挑著，銀ぎん角かく用よう手指しゅし道どう：「這騎白馬はくば的てき是ぜ唐から僧そう，這毛臉的是ぜ孫まご行者ぎょうじゃ。」八戒はっかい聽見道どう：「城しろ隍，沒我ぼつが便びん也罷了りょう，豬頭三さん牲，清きよし醮二に十じゅう四よん分ふん。」口くち裡うら嘮叨，只管ひたすら許もと願ねがい。那な怪あや又また道みち：「這黑長ちょう的てき是ぜ沙すな和尚おしょう，這長嘴くちばし大だい耳みみ的てき是ぜ豬八戒はっかい。」獃子聽見說せつ他た，慌得把わ個こ嘴くちばし揣在懷ふところ裡うら藏ぞう了りょう。那な怪かい叫さけべ：「和尚おしょう，伸しん出で嘴くちばし來らい。」八戒はっかい道どう：「胎裡病びょう，伸しん不出來ふでき。」那な怪かい令れい小しょう妖使鉤かぎ子こ鉤かぎ出來でき。八戒慌得把個嘴伸出道：「小家おいえ形がた罷やめ了りょう，這不是ぜ？你要看み便びん就看，鉤かぎ怎的？」
27 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	那な怪かい認みとめ得え是ぜ八戒はっかい，掣出寶刀ほうとう，上前うわまえ就砍。這獃子こ舉釘鈀按住道すみのどう：「我が的てき兒じ，休きゅう無禮ぶれい，看み鈀！」那な怪かい笑わらい道どう：「這和尚なお是ぜ半はん路上ろじょう出家しゅっけ的てき。」八戒はっかい道どう：「好こう兒こ子こ，有ゆう些靈性せい。你怎麼就曉あかつき得とく老爺ろうや是ぜ半はん路ろ出家しゅっけ的てき？」那な怪かい道どう：「你會使し這鈀，一定是在人家園圃中築地，把わ他た這鈀偷將來しょうらい也。」八戒はっかい道どう：「我が的てき兒じ，你那裡うら認みとめ得え老爺ろうや這鈀，我わが不ふ比ひ那な築地つきじ之の鈀。這是：
Jump to dictionary		巨きょ齒ぱ鑄い來らい如龍爪つめ，滲金妝就似に虎とら形がた。若わか逢對敵てき寒風かんぷう灑，但ただし遇ぐう相しょう持じ火ひ燄生。能のう替かえ唐から僧そう消しょう障礙しょうがい，西にし天たかし路上ろじょう捉妖精ようせい。輪わ動どう煙霞えんか遮さえぎ日月じつげつ，使つかい起おこり昏雲暗くら斗と星ぼし。築ちく倒たおせ泰山たいざん老ろう虎とら怕，掀翻大だい海老えび龍りゅう驚おどろき。饒にょう你這妖有手段しゅだん，一鈀九個血窟窿。」
28 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	那な怪聞かいぶん言ごと，那な裡うら肯讓。使つかい七なな星ほし劍けん，丟開解かい數すう，與八よはち戒一往一來らい，在ざい山中さんちゅう賭と鬥有二に十じゅう回かい合あい，不ふ分ぶん勝負しょうぶ。八戒はっかい發起ほっき狠來，捨死的てき相しょう迎むかえ。那な怪かい見み他た捽耳朵，噴粘涎よだれ，舞まい釘くぎ鈀，口くち裡うら吆吆喝かつ喝かつ的てき，也盡有ゆう些悚懼，即そく回かい頭あたま招呼小しょう怪かい，一齊いっせい動どう手しゅ。若わか是ぜ一いち個こ打だ一いち個こ，其實還かえ好こう。他見たけん那な些小妖齊上じょう，慌了手しゅ腳，遮さえぎ架か不ふ住じゅう，敗はい了りょう陣じん，回かい頭あたま就跑。原はら來らい是ぜ道路どうろ不平ふへい，未み曾細看み，忽ゆるがせ被ひ蓏蘿藤ふじ絆きずな了りょう個こ踉蹌。掙起來らい正ただし走はし，又また被ひ一個小妖睡倒在地，扳著他た腳跟，撲なぐ的てき又また跌了個こ狗いぬ吃ども屎。被ひ一いち群ぐん趕上按住，抓つめ鬃毛，揪耳朵，扯著腳，拉ひしげ著ちょ尾お，扛扛擡もたげ擡もたげ，擒とりこ進しん洞ほら去さ。咦！正せい是ぜ：
Jump to dictionary		一身いっしん魔ま發はつ難なん消滅しょうめつ，萬まん種しゅ災わざわい生せい不易ふえき除じょ。
29 Jump to dictionary	平ひら頂山いただきやま功こう... :	畢竟ひっきょう不知ふち豬八戒性命いのち如何いか，且聽下か回かい分解ぶんかい。

《李り卓たく吾われ先生せんせい批評ひひょう西にし游ゆう記き》

URN: ctp:xiyouji/ch32

《平ひら頂山いただきやま功こう曹傳信しんじ 蓮花れんげ洞ほら木き母はは逢災》

《平ひら頂山いただきやま功こう曹傳信しんじ　蓮花れんげ洞ほら木き母はは逢災》