西遊記 : 難滅伽持圓大覺　法王成正體天然

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《難なん滅めつ伽とぎ持じ圓えん大覺だいかく　法王ほうおう成なり正體しょうたい天然てんねん》

1 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	話はなし說せつ唐とう三藏固住元陽，出離しゅつり了りょう煙けむり花はな苦く套。隨行ずいこう者しゃ投とう西前にしまえ進すすむ，不覺ふかく夏なつ時じ。正せい值那薰風くんぷう初動しょどう，梅雨つゆ絲いと絲いと，好こう光景こうけい：
Jump to dictionary		冉冉綠陰りょくいん密みつ，風ふう輕けい燕つばめ引雛。新しん荷に翻こぼし沼ぬま面めん，修おさむ竹ちく漸やや扶蘇。芳かおる草くさ連れん天てん碧あお，山花やまはな遍へん地ち鋪しき。溪けい邊べ蒲がま插劍，榴火壯行そうこう圖ず。
2 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	師し徒と四よん眾，耽ふけ炎ほのお受熱，正行まさゆき處しょ，忽ゆるがせ見み那な路傍ろぼう有ゆう兩行りょうこう高柳たかやなぎ，柳やなぎ陰かげ中ちゅう走出はしりで一いち個こ老母ろうぼ，右手みぎて下か攙著一いち個こ小しょう孩兒がいじ，對たい唐とう僧そう高だか叫さけべ道どう：「和尚おしょう，不要ふよう走はし了りょう，快かい早はや兒じ撥ばち馬ば東ひがし回かい，進しん西にし去さ都と是ぜ死し路ろ。」諕得個こ三藏さんぞう跳とべ下馬げば來らい，打だ個こ問とい訊道：「老ろう菩薩ぼさつ，古人こじん云うん：『海うみ闊從魚ぎょ躍おど，天空てんくう任にん鳥とり飛ひ。』怎麼西進せいしん便びん沒ぼつ路ろ了りょう？」那な老母ろうぼ用よう手しゅ朝あさ西にし指ゆび道どう：「那な裡うら去さ有ゆう五ご六ろく里さと遠近えんきん，乃是滅法めっぽう國くに。那な國王こくおう前生ぜんしょう那な世よ裡うら結ゆい下か冤仇，今こん世よ裡うら無む端はし造づくり罪ざい。二年前許下一個羅天大願，要よう殺ころせ一いち萬まん個こ和尚おしょう。這兩年ねん陸陸ろくろく續續ぞくぞく，殺ころせ夠了九きゅう千せん九きゅう百ひゃく九きゅう十じゅう六ろく個こ無名むめい和尚おしょう，只ただ要よう等とう四よん個こ有名ゆうめい的てき和尚おしょう，湊みなと成しげる一いち萬まん，好こう做圓滿えんまん哩まいる。你們去さ，若わか到いた城中じょうちゅう，都みやこ是ただし送おく命いのち王おう菩薩ぼさつ。」三藏さんぞう聞言，心中しんちゅうの害がい怕，戰せん兢兢きょうきょう的てき道みち：「老ろう菩薩ぼさつ，深ふか感かん盛もり情じょう，感謝かんしゃ不盡ふじん。但ただし請問可か有ゆう不ふ進すすむ城じょう的てき方便ほうべん路ろ兒じ？我わが貧ひん僧そう轉てん過去かこ罷やめ。」那な老母ろうぼ笑わらい道どう：「轉てん不ふ過去かこ，轉うたて不ふ過去かこ。只ただ除じょ是ぜ會かい飛ひ的てき，就過去かこ了りょう。」八戒在傍邊賣嘴道：「媽媽兒じ莫說黑くろ話ばなし，我わが們都是ぜ會かい飛ひ的てき。」
3 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	行者ぎょうじゃ火ひ眼め金きん睛，其實認みとめ得え好こう歹：那な老母ろうぼ攙著孩兒がいじ，原はら是ただし觀音かんのん菩薩ぼさつ與あずか善ぜん財ざい童子どうじ。慌得倒たおせ身み下か拜はい，叫さけべ道どう：「菩薩ぼさつ，弟子でし失しつ迎むかえ，失しつ迎むかい。」那な菩薩ぼさつ一いち朵祥雲くも，輕輕かるがる駕が起おこり。嚇得個こ唐から長老ちょうろう立身りっしん無地むじ，只ただ情じょう跪著磕頭；八戒はっかい、沙すな僧そう也慌跪下，朝あさ天てん禮拜れいはい。一時いちじ間あいだ，祥さち雲くも縹緲ひょうびょう，徑みち回かい南海なんかい而去。
4 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	行者ぎょうじゃ起おこり來らい，扶著師父しふ道どう：「請起來らい，菩薩ぼさつ已やめ回かい寶山たからやま也。」三藏さんぞう起おこり來らい道どう：「悟空ごくう，你既認みとめ得え是ぜ菩薩ぼさつ，何なに不ふ早はや說せつ？」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「你還問とい話ばなし不ふ了りょう，我わが即そく下か拜はい，怎麼還是ぜ不ふ早はや哩まいる？」八戒はっかい、沙すな僧そう對たい行者ぎょうじゃ道どう：「感かんじ蒙こうむ菩薩ぼさつ指示しじ，前ぜん邊あたり必是滅法めっぽう國くに，要よう殺ころせ和尚おしょう，我わが等とう怎生奈何いかん？」行者ぎょうじゃ道どう：「獃子休きゅう怕。我わが們曾遭著那な毒どく魔ま狠怪，虎穴こけつ龍りゅう潭，更さら不ふ曾傷損そん；此間乃是一いち國こく凡人ぼんじん，有ゆう何なん懼哉？只ただ奈這裡うら不ふ是ぜ住處すみか，天てん色しょく將はた晚ばん，且有鄉きょう村人むらびと家か，上城かみしろ買かい賣うり回かい來らい的てき，看み見み我わが們是和尚おしょう，嚷出名めい去さ，不當ふとう穩便おんびん。且引師父しふ找下大路おおじ，尋ひろ個こ僻へき靜せい之の處しょ，卻好商議しょうぎ。」真個しんこ三藏依言，一いち行ぎょう都と閃下路ろ來らい，到いた一個坑坎之下坐定。行者ぎょうじゃ道どう：「兄弟きょうだい，你兩個りゃんこ好生よしお保守ほしゅ師父しふ，待まち老ろう孫まご變化へんか了りょう，去さ那な城じょう中ちゅう看み看み，尋ひろ一いち條じょう僻へき路ろ，連夜れんや去さ也。」三藏さんぞう叮囑道どう：「徒弟とてい啊，莫當小しょう可か，王法おうほう不ふ容よう，你須仔細しさい。」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「放心ほうしん，放心ほうしん。老ろう孫まご自じ有ゆう道理どうり。」
5 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	好こう大聖たいせい，話わ畢，將はた身み一いち縱たて，唿哨的てき跳とべ在ざい空中くうちゅう。怪かい哉：
Jump to dictionary		上面うわつら無む繩なわ扯，下しも頭あたま沒ぼつ棍撐。一般いっぱん同父母どうふぼ，他た便びん骨こつ頭あたま輕けい。
6 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	佇立ちょりつ在ざい雲くも端はし裡うら，往下觀かん看み。只見ただみ那な城中じょうちゅう喜き氣き沖おき融とおる，祥さち光こう蕩とろけ漾。行者ぎょうじゃ道どう：「好個こうこ去さ處しょ，為ため何なに滅法めっぽう？」看み一いち會かい，漸やや漸やや天てん昏，又また見み那な：
Jump to dictionary		十字街じゅうじがい燈光とうこう燦爛さんらん，九重殿香藹鐘鳴。七點皎星照碧漢，八方客旅卸行蹤。六ろく軍營ぐんえい，隱かくれ隱かくれ的てき畫が角かく才ざい吹；五ご鼓こ樓ろう，點點てんてん的てき銅どう壺つぼ初はつ滴しずく。四邊しへん宿やど霧きり昏昏，三さん市し寒かん煙けむり藹藹あいあい。兩兩りょうりょう夫妻ふさい歸き繡幙，一いち輪りん明月めいげつ上じょう東方とうほう。
7 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	他た想そう著ちょ：「我わが要よう下した去さ，到いた街まち坊ぼう打だ看み路ろ逕，這般しゃはん個こ嘴くちばし臉，撞見人じん，必定ひつじょう說せつ是ぜ和尚おしょう。等ひとし我わが變へん一變いっぺん了りょう。」捻ねじ著しる訣，念ねん動どう真言しんごん，搖ゆら身み一變いっぺん，變へん做個撲なぐ燈蛾とうが兒じ：
Jump to dictionary		形かたち細ほそ翼つばさ磽輕巧たくみ，滅めつ燈とう撲なぐ燭しょく投とう明あかり。本來ほんらい面目めんぼく化か生成せいせい。腐くさ草くさ中間なかま靈れい應おう。每まい愛あい炎えん光こう觸さわ燄，忙せわし忙せわし飛ひ繞にょう無な停とま。紫衣しえ香が翅趕流りゅう螢ぼたる。最さい喜き夜よる深ふか風ふう靜せい。
8 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	但ただし見み他た翩翩翻へんぽん翻こぼし，飛ひ向こう六ろく街がい三さん市し，傍はた房ぼう簷，近きん屋や角かく。正行まさゆき時じ，忽ゆるがせ見み那な隅すみ頭あたま拐角上じょう一いち彎子人家じんか，家家いえいえ門もん首くび掛かけ著ちょ個こ燈籠どうろう兒じ。他た道みち：「這人家か過か元宵げんしょう哩まいる，怎麼挨排兒じ都と點てん燈籠どうろう？」他た硬かた硬かた翅，飛ひ近ちか前まえ來らい，仔細しさい觀かん看み，正當せいとう中ちゅう一家いっか子こ，方ぽう燈籠どうろう上じょう寫うつし著ちょ「安やす歇往來おうらい商賈しょうこ」六ろく字じ，下面かめん又また寫うつし著ちょ「王おう小しょう二に店てん」四よん字じ。行者ぎょうじゃ才知さいち是ぜ開ひらき飯店はんてん的てき。又また伸しん頭打あたまうち一いち看み，看み見み有ゆう八はち九きゅう個人こじん，都と吃ども了りょう晚ばん飯めし，寬ひろし了りょう衣服いふく，卸おろし了りょう頭巾ずきん，洗あらい了りょう腳手，各かく各かく上床うわとこ睡ねむ了りょう。行者ぎょうじゃ暗くら喜き道どう：「師父しふ過か得え去ざ了りょう。」你道他た怎麼就知過か得え去ざ？他た要よう起おこり個こ不良ふりょう之の心しん，等とう那な些人睡ねむ著しる，要よう偷他的てき衣服いふく、頭巾ずきん，裝そう做俗人じん進しん城じょう。
9 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	噫！有ゆう這般しゃはん不ふ遂とげ意い的てき事こと：正せい思おもえ忖處，只見ただみ那な小しょう二に走はし向こう前まえ，吩咐：「列れつ位い官かん人じん，仔細しさい些，我わが這裡君子くんし小人こども不同ふどう，各人かくじん的てき衣ころも物ぶつ、行李こうり都と要よう小心しょうしん著ちょ。」你想那な在外ざいがい做買賣うり的てき人じん，那な樣さま不ふ仔細しさい？又また聽得店てん家か吩咐，越えつ發はつ謹慎きんしん。他た都と爬起來らい道どう：「主人しゅじん家か說得せっとく有理ゆうり，我わが們走路ろ的てき人じん辛苦しんく，只ただ怕睡著ちょ，急きゅう忙せわし不ふ醒，一時いちじ失しつ所しょ，奈何いかん？你將這衣服ふく、頭巾ずきん、搭聯都みやこ收おさむ進しん去さ，待まち天てん將はた明あきら，交付こうふ與あずか我わが們起身み。」那な王おう小しょう二真個把些衣物之類，盡つき情じょう都と搬進他た屋や裡うら去さ了りょう。行者ぎょうじゃ性急せいきゅう，展開てんかい翅，就飛入とびいり裡うら面めん，丁ちょう在ざい一いち個こ頭巾ずきん架か上じょう。又また見み王おう小しょう二去門首摘了燈籠，放下ほうか吊つるし搭，關せき了りょう門もん窗まど，卻才進しん房ぼう，脫衣だつい睡ねむ下した。那な王おう小しょう二に有ゆう個こ婆ばば子こ，帶おび了りょう兩個りゃんこ孩子，哇哇聒噪，急きゅう忙せわし不ふ睡ねむ。那な婆ばば子こ又また拿了一いち件けん破やぶ衣ころも，補ほ補ほ納おさめ納おさめ，也不見み睡ねむ。
10 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	行者ぎょうじゃ暗くら想そう道どう：「若わか等とう這婆子こ睡ねむ了りょう下手へた，卻不誤あやま了りょう師父しふ？」又また恐こわ更さら深ふか，城門じょうもん閉了，他た就忍不ふ住じゅう，飛ひ下か去さ，望もち燈とう上じょう一いち撲なぐ。真ま是ぜ：捨身しゃしん投とう火ひ焰，焦こげ額がく探さがせ殘生ざんせい。那な盞燈早はや已やめ息いき了りょう。他た又また搖ゆら身み一變いっぺん，變へん作さく個こ老ろう鼠ねずみ，嗔嗔哇哇的てき叫さけべ了りょう兩りょう聲こえ，跳とべ下か來らい，拿著衣服いふく、頭巾ずきん，往外就走。那な婆ばば子こ慌慌張ちょう張ちょう的てき道みち：「老ろう頭あたま子こ，不ふ好こう了りょう，夜よる耗子成なり精せい也。」行者ぎょうじゃ聞言，又また弄ろう手段しゅだん，攔著門もん，厲聲高だか叫さけべ道どう：「王おう小二しょうに，莫聽你婆子こ胡えびす說せつ。我わが不ふ是ぜ夜よる耗子成なり精せい。明人あきと不ふ做暗事ごと，吾われ乃齊天てん大聖たいせい臨凡，保ほ唐から僧そう往西天てん取と經けい。你這國王こくおう無道むどう，特とく來らい借か此衣冠いかん，裝そう扮ふん我わが師父しふ。一時過了城去，就便送還そうかん。」那な王おう小しょう二に聽言，一轂轆爬起來，黑くろ天てん摸地，又また是ただし著ちょ忙せわし的てき人じん，撈著褲子當とう衫子，左ひだり穿ほじ也穿不ふ上うえ，右みぎ套也套不上じょう。
11 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	那な大聖たいせい使し個こ攝と法ほう，早はや已やめ駕が雲くも出で去ざ。復ふく翻身ほんしん，徑みち至いたり路ろ下か坑あな坎邊前まえ。三藏さんぞう見み星ぼし光月こうづき皎こう，探さがせ身み凝しこり望もち，見み是ぜ行者ぎょうじゃ來らい至近しきん前まえ，即そく開口かいこう叫さけべ道どう：「徒弟とてい，可か過か得とく滅法めっぽう國くに麼？」行者ぎょうじゃ上前うわまえ放下ほうか衣ころも物ぶつ道どう：「師父しふ，要よう過か滅めつ法ほう國こく，和尚おしょう做不成なり。」八戒はっかい道どう：「哥，你勒掯那個こ哩まいる？不ふ做和尚也なおや容易ようい，只ただ消けし半年はんとし不ふ剃そ頭あたま，就長出で毛げ來らい也。」行者ぎょうじゃ道どう：「那な裡うら等とう得とく半年はんとし？眼下がんか就都要よう做俗人じん哩まいる。」那な獃子慌了道どう：「但ただし你說話ばなし，通つう不ふ察理。我わが們如今いま都と是ぜ和尚おしょう，眼下がんか要よう做俗人じん，卻怎麼戴得とく頭巾ずきん？就是邊べ兒じ勒住，也沒收ぼっしゅう頂いただき繩なわ處しょ。」三藏さんぞう喝かつ道どう：「不要ふよう打だ花はな，且幹正せい事こと。端はし的てき何なん如？」行者ぎょうじゃ道どう：「師父しふ，他た這城池ち，我わが已やめ看み了りょう，雖是國王こくおう無道むどう殺ころせ僧そう，卻倒是ぜ個こ真ま天子てんし，城上じょうかみ有ゆう祥さち光喜みつよし氣き。城中じょうちゅう的てき街道かいどう，我わが也認得とく。這裡的てき鄉さと談だん，我わが也省得え，會かい說せつ。卻才在ざい飯店はんてん內借了りょう這幾いく件けん衣服いふく、頭巾ずきん，我わが們且扮ふん作さく俗人ぞくじん，進しん城じょう去さ借か了りょう宿やど，至いたり四更天就起來，教きょう店てん家か安やす排はい了りょう齋とき吃ども。捱到五更ごこう時候じこう，挨城門もん而去，奔大路ろ西行さいぎょう。就有人じん撞見扯住，也好折おり辨べん：只ただ說せつ是ぜ上うえ邦くに欽差的てき，滅法めっぽう王おう不ふ敢阻滯，放ひ我わが們來的てき。」沙すな僧そう道どう：「師し兄けい處しょ的てき最さい當とう，且依他行たぎょう。」
12 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	真個しんこ長老ちょうろう無む奈，脫だつ了りょう褊衫へんさん，去さ了りょう僧そう帽ぼう，穿ほじ了りょう俗人ぞくじん的てき衣服いふく，戴了頭巾ずきん。沙すな僧そう也換了りょう。八戒はっかい的てき頭あたま大だい，戴不得とく巾はば兒じ，被ひ行者ぎょうじゃ取と了りょう些針線せん，把わ頭巾ずきん扯開兩りょう頂いただき，縫ぬい做一頂いただき，與あずか他た搭在頭上ずじょう；揀件寬大かんだい的てき衣服いふく，與あずか他た穿ほじ了りょう。然しか後こう自家じか也換上じょう一いち套道：「列れつ位い，這一去さ，把わ『師父しふ』、『徒弟とてい』四個字兒且收起。」八戒はっかい道どう：「除じょ了りょう此四よん字じ，怎的稱呼しょうこ？」行者ぎょうじゃ道どう：「都と要よう做弟兄けい稱呼しょうこ：師父しふ叫さけべ做唐大官たいかん兒じ，你叫做朱三さん官かん兒じ，沙すな僧そう叫さけべ做沙四よん官かん兒じ，我わが叫さけべ做孫二に官かん兒じ。但ただし到いた店てん中ちゅう，你們切きり休きゅう言語げんご，只ただ讓ゆず我わが一いち個こ開口かいこう答こたえ話ばなし。等とう他た問とい甚麼いんも買かい賣うり，只ただ說せつ是ぜ販馬的てき客人きゃくじん，把わ這白馬ば做個樣子ようす。說せつ我わが們是十じゅう弟おとうと兄けい，我わが四個先來賃店房賣馬。那な店てん家か必然ひつぜん款待かんたい我わが們，我わが們受用よう了りょう，臨行時じ，等とう我わが拾ひろえ塊かたまり瓦かわら查兒，變へん塊かたまり銀子ぎんす謝しゃ他た，卻就走路そうろ。」長老ちょうろう無む奈，只ただ得とく曲きょく從したがえ。
13 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	四眾忙忙的牽馬挑擔，跑過那な邊べ。此處ここら是これ個こ太平たいへい境界きょうかい，入にゅう更さら時分じぶん，尚なお未み關門かんもん，徑みち直進ちょくしん去さ。行くだり到いた王おう小しょう二に店てん門もん首くび，只ただ聽得裡うら邊べ叫さけべ哩まいる。有ゆう的てき說せつ：「我わが不ふ見み了りょう頭巾ずきん。」有ゆう的てき說せつ：「我わが不ふ見み了りょう衣服いふく。」行者ぎょうじゃ只ただ推不知ふち，引著他た們，往斜對たい門もん一家いっか安やす歇。那な家子いえこ還かえ未收みしゅう燈籠どうろう，即そく近きん門もん叫さけべ道どう：「店みせ家か，可か有閑ゆうかん房ぼう兒じ，我わが們安歇？」那な裡うら邊べ有ゆう個こ婦人ふじん答こたえ應おう道どう：「有ゆう有ゆう有ゆう，請官人じん們上樓ろう。」說せつ不ふ了りょう，就有一個漢子來牽馬，行ぎょう者しゃ把わ馬うま兒じ遞與牽進去さ。他た引著師父しふ，從したがえ燈影とうえい兒じ後ご面めん，徑みち上じょう樓門ろうもん，那な樓ろう上じょう有ゆう方便ほうべん的てき桌椅。推開窗まど格かく，映うつ月光げっこう齊ひとし齊ひとし坐すわ下した。只見ただみ有人ゆうじん點てん上じょう燈とう來らい，行者ぎょうじゃ攔門，一口ひとくち吹息道どう：「這般しゃはん月がつ亮あきら不用ふよう燈とう。」
14 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	那な人才じんさい下か去さ，又また一個丫鬟拿四碗清茶，行ぎょう者しゃ接せっ住じゅう。樓ろう下か又また走はし上うえ一いち個こ婦人ふじん來らい，約やく有ゆう五ご十じゅう七なな八はち歲さい的てき模樣もよう，一いち直上ちょくじょう樓ろう，站在傍はた邊べ。問とい道どう：「列れつ位い客きゃく官かん，那な裡うら來らい的てき？有ゆう甚寶貨？」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが們是北方ほっぽう來らい的てき，有ゆう幾いく匹ひき粗あら馬ば販賣はんばい。」那な婦人ふじん道どう：「販馬的てき客人きゃくじん尚なお還かえ小しょう。」行者ぎょうじゃ道どう：「這一いち位い是ぜ唐から大官たいかん，這一いち位い是ぜ朱しゅ三さん官かん，這一いち位い是ぜ沙すな四よん官かん，我わが學生がくせい是ぜ孫まご二に官かん。」婦人ふじん笑わらい道どう：「異姓いせい。」行者ぎょうじゃ道どう：「正せい是ぜ異姓いせい同居どうきょ：我わが們共有きょうゆう十じゅう個こ弟おとうと兄けい，我わが四個先來賃店房打火；還かえ有ゆう六個在城外借歇，領りょう著ちょ一いち群ぐん馬ば，因いん天てん晚ばん不ふ好こう進すすむ城じょう。待まち我わが們賃了りょう房子ふさこ，明あきら早そう都と進しん來らい。只ただ等とう賣うり了りょう馬ば才ざい回かい。」那な婦人ふじん道どう：「一群いちぐん有ゆう多少たしょう馬ば？」行者ぎょうじゃ道どう：「大小だいしょう有ゆう百ひゃく十じゅう匹ひき兒じ，都と像ぞう我わが這個馬ば的てき身み子こ，卻只是ぜ毛げ片かた不一ふいつ。」婦人ふじん笑わらい道どう：「孫まご二官人誠然是個客綱客紀。早さ是ぜ來らい到いた舍しゃ下か，第だい二個人家也不敢留你。我が舍しゃ下院かいん落寬闊かんかつ，槽ふね劄齊備，草くさ料りょう又また有ゆう，憑你幾いく百匹馬都養得下。卻一いち件けん：我が舍しゃ下か在ざい此開店てん多年たねん，也有やゆう個こ賤名。先夫せんぷ姓せい趙ちょう，不幸ふこう去さ世よ久ひさ矣。我わが喚做趙ちょう寡婦かふ店てん。我わが店みせ裡うら三さん樣よう兒じ待まち客きゃく。如今先さき小人こども，後ご君子くんし，先さき把わ房ぼう錢ぜに講こう定じょう後ご，好こう算さん帳ちょう。」行者ぎょうじゃ道どう：「說得せっとく是ぜ。你府上じょう是ぜ那な三さん樣よう待まち客きゃく？常つね言道ことみち：『貨有高低こうてい三さん等價とうか，客きゃく無む遠近えんきん一いち般看。』你怎麼說三さん樣よう待まち客きゃく？你可試ためし說せつ說せつ我わが聽。」趙ちょう寡婦かふ道どう：「我わが這裡是ぜ上じょう、中なか、下した三さん樣よう。上樣うえさま者しゃ，五ご果はて五菜ごさい的てき筵むしろ席せき，獅仙斗と糖とう桌面，二に位い一いち張ちょう，請小娘むすめ兒じ來らい陪唱陪歇，每まい位い該銀五ご錢ぜに，連れん房ぼう錢ぜに在ざい內。」行者ぎょうじゃ笑わらい道どう：「相應そうおう啊，我わが那な裡うら五錢銀子還不夠請小娘兒哩。」寡婦かふ又また道みち：「中なか樣さま者しゃ，合ごう盤ばん桌兒，只ただ是ぜ水すい果はて、熱ねつ酒しゅ，篩ふるい來らい憑自家か猜枚行ぎょう令れい，不用ふよう小娘こむすめ兒じ，每まい位くらい只ただ該二に錢ぜに銀子ぎんす。」行者ぎょうじゃ道どう：「一發いっぱつ相應そうおう。下した樣さま兒じ怎麼？」婦人ふじん道どう：「不ふ敢在尊みこと客きゃく面めん前說ぜんせつ。」行者ぎょうじゃ道どう：「也說說せつ無む妨さまたげ，我わが們好揀相應おう的てき幹みき。」婦人ふじん道どう：「下した樣さま者しゃ，沒ぼつ人じん伏ふく侍さむらい，鍋なべ裡うら有ゆう方便ほうべん的てき飯めし，憑他怎麼吃；吃ども飽了，拿個草くさ兒じ，打だ個こ地ち鋪しき，方便ほうべん處しょ睡ねむ覺さとし。天てん光こう時じ，憑賜幾いく文ぶん飯めし錢ぜに，決けつ不ふ爭そう競きおい。」八戒はっかい聽說道どう：「造化ぞうか，造化ぞうか！老ろう朱しゅ的てき買かい賣うり到いた了りょう！等ひとし我わが看み著ちょ鍋なべ吃ども飽了飯めし，灶門前まえ睡ねむ他た娘むすめ！」行者ぎょうじゃ道どう：「兄弟きょうだい，說せつ那な裡うら話ばなし？你我在江あるえ湖上こじょう，那な裡うら不ふ賺幾兩りょう銀子ぎんす？把わ上樣うえさま的てき安やす排はい將來しょうらい。」
15 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	那な婦人ふじん滿まん心しん歡喜かんき，即そく叫さけべ：「看み好こう茶ちゃ來らい，廚下快かい整せい治ち東西とうざい。」遂とげ下か樓ろう去さ，忙せわし叫さけべ：「宰おさむ雞宰鵝，煮に醃下飯めし。」又また叫さけべ：「殺ころせ豬殺羊ひつじ，今日きょう用よう不ふ了りょう，明日あした也可用よう。看み好こう酒さけ，拿白米まい做飯，白しろ麵捍餅もち。」三藏在樓上聽見道：「孫まご二に官かん，怎好？他た去さ宰おさむ雞鵝，殺ころせ豬羊，倘送將來しょうらい，我わが們都是長これなが齋とき，那な個こ敢吃？」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが有ゆう主張しゅちょう。」去さ那な樓門ろうもん邊べ跌跌腳道：「趙ちょう媽媽，你上來らい。」那な媽媽上じょう來き道どう：「二官人有甚吩咐？」行者ぎょうじゃ道どう：「今日きょう且莫殺生せっしょう，我わが們今日び齋戒さいかい。」寡婦かふ驚おどろき訝いぶか道みち：「官かん人じん們是長ちょう齋とき，是これ月がつ齋とき？」行者ぎょうじゃ道どう：「俱不是ぜ，我わが們喚做庚申さる齋とき。今朝けさ乃是庚申こうしん日び，當とう齋とき。只ただ過か三更さんこう後ご，就是辛からし酉とり，便びん開ひらけ齋とき了りょう。你明日び殺生せっしょう罷やめ。如今且去安やす排はい些素的てき來らい，定てい照あきら上樣うえさま價か錢ぜに奉たてまつ上じょう。」
16 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	那な婦人ふじん越えつ發はつ歡喜かんき，跑下去さ教きょう：「莫宰，莫宰。取と些木耳みみ、閩筍、豆腐とうふ、麵筋，園えん裡うら拔些青菜あおな，做粉湯ゆ，發はつ麵蒸捲めく子こ，再さい煮に白しろ米飯べいはん，燒香しょうこう茶ちゃ。」咦！那な些當廚的庖丁ぼうちょう都みやこ是ただし每日まいにち家か做慣的てき手段しゅだん，霎時間あいだ就安排はい停とま當とう，擺在樓ろう上じょう，又また有ゆう現げん成なり的てき獅仙糖とう果はて，四よん眾任情じょう受用じゅよう。又また問とい：「可か吃ども素す酒さけ？」行者ぎょうじゃ道どう：「止とめ唐から大官たいかん不用ふよう，我わが們也吃幾いく杯はい。」寡婦かふ又また取と了りょう一いち壺つぼ暖だん酒しゅ。他た三さん個こ方かた才ざい斟上，忽ゆるがせ聽得乒乓板ばん響ひびき。行者ぎょうじゃ道どう：「媽媽，底そこ下か倒たおせ了りょう甚麼いんも家か火ひ了りょう？」寡婦かふ道どう：「不ふ是ぜ，是ぜ我わが小しょう莊そう上じょう幾いく個こ客きゃく子こ送おく租米來らい晚ばん了りょう，教きょう他た在ざい底そこ下か睡ねむ。因よし客きゃく官かん到いた，沒ぼつ人じん使用しよう，教きょう他た們擡轎子去さ院いん中ちゅう請小娘むすめ兒じ陪你們，想そう是ぜ轎杠撞得樓ろう板いた響ひびき。」行者ぎょうじゃ道どう：「早さ是ぜ說せつ哩まいる，快かい不要ふよう去さ請：一則かずのり齋戒さいかい日び期き，二に則のり兄弟きょうだい們未到みとう。索さく性せい明日あした進しん來らい，一家いっか請個表ひょう子こ，在府ざいふ上じょう耍耍時じ，待まち賣うり了りょう馬ば起おこり身み。」寡婦かふ道どう：「好こう人ひと，好こう人ひと，又また不ふ失しつ了りょう和氣わき，又また養やしなえ了りょう精神せいしん。」教きょう：「擡もたげ進すすむ轎子來らい，不要ふよう去さ請。」四よん眾吃了りょう酒しゅ飯めし，收おさむ了りょう家か火ひ，都と散ち訖。
17 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	三藏在行者耳根邊悄悄的道：「那な裡うら睡ねむ？」行者ぎょうじゃ道どう：「就在樓ろう上じょう睡ねむ。」三藏さんぞう道どう：「不穩ふおん便びん。我わが們都辛からし辛苦しんく苦く的てき，倘或睡ねむ著しる，這家子こ一時いちじ再さい有人ゆうじん來らい收拾しゅうしゅう，見み我わが們或滾たぎ了りょう帽子ぼうし，露出ろしゅつ光頭こうとう，認みとめ得え是ぜ和尚おしょう，嚷將起おこり來らい，卻怎麼好？」行者ぎょうじゃ道どう：「是ぜ啊！」又また去さ樓ろう前ぜん跌跌腳，寡婦かふ又また上うえ來らい道どう：「孫まご官かん人じん又また有ゆう甚吩咐？」行者ぎょうじゃ道どう：「我わが們在那な裡うら睡ねむ？」婦人ふじん道どう：「樓ろう上じょう好こう睡ねむ，又また沒ぼっ蚊か子こ，又また是ぜ南風みなみかぜ，大開おおひらき著ちょ窗まど子こ，忒好睡ねむ覺さとし。」行者ぎょうじゃ道どう：「睡ねむ不ふ得とく。我わが這朱三官兒有些寒濕氣，沙すな四官兒有些漏肩風，唐から大だい哥只要よう在ざい黑くろ處しょ睡ねむ，我わが也有やゆう些兒羞明，此間不ふ是ぜ睡ねむ處しょ。」
18 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	那な媽媽走下か去さ，倚著櫃ひつ欄らん嘆氣。他た有ゆう個こ女兒じょじ，抱だき著ちょ個こ孩子近きん前ぜん道みち：「母親ははおや，常つね言道ことみち：『十じゅう日にち灘なだ頭あたま坐すわ，一いち日にち行ぎょう九きゅう灘なだ。』如今炎天えんてん，雖沒甚買賣うり，到いた交秋時じ，還かえ做不了りょう的てき生なま意い哩まいる，你嗟嘆さたん怎麼？」婦人ふじん道どう：「兒こ啊，不ふ是ぜ愁沒買かい賣うり。今日きょう晚ばん間あいだ，已やめ是これ將はた收おさむ鋪しき子こ，入にゅう更さら時分じぶん，有ゆう這四個馬販子來賃店房，他た要よう上樣うえさま管かん待まち。實じつ指ゆび望もち賺他幾いく錢ぜに銀子ぎんす，他た卻吃齋とき，又また賺不得とく他た錢ぜに，故こ此嗟嘆さたん。」那な女兒じょじ道どう：「他た既すんで吃ども了りょう飯めし，不ふ好こう往別人家じんか去さ，明日あした還かえ好こう安やす排はい葷酒くんしゅ，如何いか賺不得とく他た錢ぜに？」婦人ふじん又また道みち：「他た都と有ゆう病びょう、怕風、羞亮，都みやこ要かなめ在ざい黑くろ處しょ睡ねむ。你想家中いえなか都と是ぜ些單浪なみ瓦かわら兒じ的てき房子ふさこ，那な裡うら去さ尋ひろ黑くろ暗くら處しょ？不ふ若わか捨一頓飯與他吃了，教きょう他た往別家か去さ罷やめ。」女兒じょじ道どう：「母親ははおや，我家わがや有ゆう個こ黑くろ處しょ，又また無む風色ふうしょく，甚好，甚好。」婦人ふじん道どう：「是ぜ那な裡うら？」女兒じょじ道どう：「父親ちちおや在日ざいにち曾做了一りょういち張ちょう大だい櫃ひつ，那な櫃ひつ有ゆう四よん尺しゃく寬ひろし，七なな尺しゃく長ちょう，三さん尺しゃく高下こうげ，裡うら面めん可か睡ねむ六ろく七なな個人こじん。教きょう他た們往櫃ひつ裡うら睡ねむ去ざ罷やめ。」婦人ふじん道どう：「不知ふち可か好こう？等ひとし我わが問とい他た一聲いっせい。──孫まご官かん人じん，舍しゃ下か蝸居，更さら無む黑くろ處しょ，止とめ有ゆう一いち張ちょう大だい櫃ひつ，不ふ透とおる風ふう，又また不ふ透とおる亮あきら，往櫃裡うら睡ねむ去ざ如何いか？」行者ぎょうじゃ道どう：「好こう好こう好このみ。」即そく著ちょ幾いく個こ客きゃく子こ把わ櫃ひつ擡もたげ出で，打開だかい蓋ぶた兒じ，請他們下樓ろう。
19 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	行者ぎょうじゃ引著師父しふ，沙すな僧そう拿擔，順じゅん燈影とうえい後ご徑みち到いた櫃ひつ邊べ。八戒不管好歹，就先進せんしん櫃ひつ去さ。沙すな僧そう把わ行李こうり遞入，攙著唐から僧そう進しん去さ，沙すな僧そう也到裡うら邊べ。行者ぎょうじゃ道どう：「我が的てき馬うま在ざい那な裡うら？」旁つくり有ゆう伏ふく侍さむらい的てき道みち：「馬うま在ざい後屋うしろや拴著吃ども草くさ料りょう哩まいる。」行者ぎょうじゃ道どう：「牽來，把わ糟かす擡もたげ來らい，緊挨著ちょ櫃ひつ兒じ拴住。」方かた才ざい進しん去さ，叫さけべ：「趙ちょう媽媽，蓋ぶた上蓋あげぶた兒じ，插上鎖くさり釘くぎ，鎖くさり上じょう鎖くさり子こ；還かえ替かえ我わが們看看み，那な裡うら透とおる亮あきら，使つかい些紙兒じ糊のり糊のり。明日あした早はや些兒來らい開ひらき。」寡婦かふ道どう：「忒小心こころ了りょう。」遂とげ此各各かく關門かんもん去さ睡ねむ不ふ題だい。
20 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	卻說他た四個到了櫃裡，可か憐啊！一則乍戴個頭巾，二に來らい天氣てんき炎えん熱ねつ，又また悶もだえ住じゅう了りょう氣き，略ほぼ不ふ透とおる風ふう。他た都と摘了頭巾ずきん，脫だつ了りょう衣服いふく，又また沒ぼつ把わ扇子せんす，只ただ將はた僧そう帽ぼう撲なぐ撲なぐ搧搧。你挨著ちょ我わが，我わが挨著你，直ちょく到いた有ゆう二に更さら時分じぶん，卻都睡ねむ著ちょ。惟おもんみ行者ぎょうじゃ有心うしん闖禍，偏へん他た睡ねむ不ふ著ちょ，伸しん過か手て，將はた八戒腿上一捻。那な獃子縮ちぢみ了りょう腳，口くち裡うら哼哼的てき道みち：「睡ねむ了りょう罷やめ，辛からし辛苦しんく苦く的てき，有ゆう甚麼いんも心こころ腸ちょう還かえ捻ねじ手て捻ねじ腳的耍子？」行者ぎょうじゃ搗鬼道どう：「我わが們原來らい的てき本身ほんみ是ぜ五ご千せん兩りょう，前者ぜんしゃ馬ば賣うり了りょう三さん千せん兩りょう，如今兩りょう搭聯裡うら現有げんゆう四よん千せん兩りょう，這一群馬還賣他三千兩，也有やゆう一本いっぽん一利いちり。夠了，夠了。」八戒要睡的人，那な裡うら答こたえ對たい。
21 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	豈あに知し他た這店裡うら走はし堂どう的てき、挑水的てき、燒しょう火ひ的てき素もと與あずか強盜ごうとう一いち夥おびただし，聽見行者ぎょうじゃ說せつ有ゆう許多きょた銀子ぎんす，他た就著幾いく個こ溜ため出で去ざ，夥おびただし了りょう二に十じゅう多た個こ賊ぞく，明あかり火ひ執と杖つえ的てき來らい打だ劫こう馬ば販子，沖おき開門かいもん進しん來らい。諕得那な趙ちょう寡婦かふ娘むすめ女おんな們戰戰兢兢せんせんきょうきょう的てき關せき了りょう房ぼう門もん，盡つき他た外そと邊べ收拾しゅうしゅう。原はら來らい那な賊ぞく不要ふよう店てん中家ちゅうか火ひ，只ただ尋ひろ客人きゃくじん。到いた樓ろう上じょう不ふ見み形跡けいせき，打だ著ちょ火ひ把わ，四よん下か照あきら看み，只見ただみ天井てんじょう中ちゅう一いち張ちょう大だい櫃ひつ，櫃ひつ腳上拴著一いち匹ひき白馬はくば，櫃ひつ蓋ぶた緊鎖，掀翻不動ふどう。眾賊道どう：「走はし江湖こうこ的てき人じん都と有ゆう手しゅ眼め。看み這櫃勢ぜい重じゅう，必是行ぎょう囊財帛鎖在ざい裡うら面めん。我わが們偷了りょう馬ば，擡もたげ櫃ひつ出城でしろ，打開だかい分ぶん用よう，卻不是ぜ好こう？」那な些賊果はて找起繩なわ扛，把わ櫃ひつ擡もたげ著ちょ就走，幌ほろ啊幌的てき。八戒はっかい醒了道どう：「哥哥，睡ねむ罷やめ，搖ゆら甚麼いんも？」行者ぎょうじゃ道どう：「莫言語ご，沒ぼつ人じん搖ゆら。」三藏與沙僧忽地也醒了，道どう：「是ぜ甚人擡もたげ著しる我わが們哩？」行者ぎょうじゃ道どう：「莫嚷，莫嚷。等ひとし他ほか擡もたげ，擡もたげ到いた西にし天たかし，也省得とく走路そうろ。」
22 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	那な賊ぞく得とく了りょう手しゅ，不ふ往西去さ，倒たおせ擡もたげ向こう城東じょうとう，殺ころせ了りょう守門すもん的てき軍ぐん，打開だかい城門じょうもん出で去ざ。當時とうじ就驚動どう六街三市各鋪上火甲人夫，都と報むくい與あずか巡めぐ城じょう總そう兵へい、東城とうじょう兵馬へいば司し。那な總そう兵へい、兵馬へいば事ごと當とう干ひ己おのれ，即そく點てん人馬じんば弓ゆみ兵へい，出城でしろ趕賊。那な賊ぞく見み官かん軍勢ぐんぜい大だい，不ふ敢抵敵てき，放下ほうか大だい櫃ひつ，丟了白馬はくば，各自かくじ落草逃走とうそう。眾官軍ぐん不ふ曾拿得とく半はん個こ強盜ごうとう，只ただ是ぜ奪だつ下した櫃ひつ，捉住馬ば，得とく勝かち而回。總そう兵へい在ざい燈光とうこう下見したみ那な馬ば，好こう馬うま：
Jump to dictionary		鬃分銀ぎん線せん，尾び𢷑玉たま條じょう。說せつ甚麼いんも八はち駿しゅん龍りゅう駒こま，賽さい過か了りょう驌驦款段。千金せんきん市し骨こつ，萬里ばんり追風おいかぜ。登山とざん每ごと與あずか青雲せいうん合あい，嘯月渾如白しろ雪ゆき勻。真ま是ぜ蛟龍こうりょう離はなれ海島うみしま，人間にんげん喜き有ゆう玉だま麒麟きりん。
23 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	總そう兵へい官かん把わ自家じか馬ば兒じ不ふ騎き，就騎上じょう這個白馬はくば，帥そち軍兵ぐんびょう進しん城じょう，把わ櫃ひつ子こ擡もたげ在ざい總そう府ふ，同どう兵馬へいば寫うつし個こ封皮ふうひ封ふう了りょう，令れい人じん巡じゅん守もり到いた天明てんめい啟けい奏そう，請旨定てい奪だつ。官軍かんぐん散ち訖不題だい。
24 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	卻說唐から長老ちょうろう在ざい櫃ひつ裡うら埋うめ怨行者しゃ道どう：「你這個こ猴頭，害がい殺ころせ我わが也。若わか在外ざいがい邊あたり，被ひ人ひと拿住，送おく與あずか滅法めっぽう國王こくおう，還かえ好こう折おり辨べん；如今鎖くさり在ざい櫃ひつ裡うら，被ひ賊ぞく劫こう去さ，又また被ひ官軍かんぐん奪だつ來き，明日あした見み了りょう國王こくおう，現げん現げん成なり成なり的てき開ひらき刀がたな請殺，卻不湊みなと了りょう他た一いち萬まん之これ數すう？」行者ぎょうじゃ道どう：「外面がいめん有人ゆうじん打開だかい櫃ひつ，拿出來でき，不ふ是ぜ綑著，便びん是ぜ吊つるし著ちょ。且忍耐たい些兒，免めん了りょう綑吊。明日あした見み那な昏君，老ろう孫まご自じ有ゆう登とう答こたえ，管かん你一毫いちごう兒じ也不傷きず。且放心こころ睡ねむ睡ねむ。」
25 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	挨到三更さんこう時分じぶん，行ぎょう者しゃ弄ろう個こ手段しゅだん，順じゅん出で棒ぼう來らい，吹口仙せん氣き，叫さけべ：「變へん！」即そく變へん做三尖頭的鑽兒，挨櫃腳兩三さん鑽，鑽了一いち個こ眼め子こ。收おさむ了りょう鑽，搖ゆら身み一變いっぺん，變へん做個螻蟻兒じ，將はた出で去ざ。現げん原げん身み，踏起雲くも頭あたま，徑みち入にゅう皇宮こうぐう門外もんがい。那な國王こくおう正ただし在ざい睡ねむ濃こ之これ際さい。他た使つかい個こ「大分おおいた身み普ふ會かい神かみ法ほう」，將はた左ひだり臂ひじ上じょう毫毛都と拔下來らい，吹口仙せん氣き，叫さけべ：「變へん！」都と變へん做小行者ぎょうじゃ。右みぎ臂ひじ上じょう毛け也都拔下來らい，吹口仙せん氣き，叫さけべ：「變へん！」都と變へん做瞌睡蟲ちゅう。念ねん一聲いっせい「唵」字じ真言しんごん，教きょう當方とうほう土地とち領りょう眾佈散皇宮こうぐう內院、五ご府ふ六ろく部ぶ、各かく衙門大小だいしょう官員かんいん宅たく內，但ただし有ゆう品しな職しょく者しゃ，都と與あずか他た一いち個こ瞌睡蟲ちゅう，人人ひとびと穩睡，不ふ許もと翻身ほんしん。又また將はた金きむ箍たが棒ぼう取と在ざい手中しゅちゅう，掂一掂，幌ほろ一いち幌ほろ，叫さけべ聲ごえ：「寶貝ほうがい，變へん！」即そく變へん做千百口剃頭刀兒。他た拿一いち把わ，吩咐小しょう行者ぎょうじゃ各かく拿一いち把わ，都と去さ皇宮こうぐう內院、五ご府ふ六ろく部ぶ、各かく衙門裡うら剃そ頭あたま。咦！這才是ぜ：
Jump to dictionary		法王ほうおう滅法めっぽう法ほう無窮むきゅう，法ほう貫ぬき乾坤けんこん大道だいどう通どおり。萬まん法ほう原因げんいん歸き一體いったい，三さん乘じょう妙みょう相しょう本來ほんらい同どう。鑽開玉だま櫃ひつ明あかり消息しょうそく，佈散金きん毫破蔽蒙。管かん取と法王ほうおう成なり正せい果はて，不ふ生なま不滅ふめつ去來きょらい空そら。
26 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	這半夜よる剃そ削そぎ成功せいこう。念ねん動どう咒語，喝かつ退すさ土地とち神祇じんぎ。將はた身み一いち抖，兩りょう臂ひじ上じょう毫毛歸伏きふく。將はた剃そ頭あたま刀がたな總そう捻ねじ成なる真しん，依然いぜん認みとめ了りょう本性ほんしょう，還かえ是ぜ一いち條じょう金きん箍たが棒ぼう，收おさむ來らい些小之の形かたち，藏ぞう於耳內。復ふく翻身ほんしん還かえ做螻蟻あり，鑽入櫃ひつ內，現げん了りょう本ほん相しょう，與あずか唐から僧そう守もり困こま不ふ題だい。
27 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	卻說那な皇宮こうぐう內院，宮みや娥綵女おんな天てん不ふ亮あきら起おこり來らい梳くしけず洗あらい，一個個都沒了頭髮；穿ほじ宮みや的てき大小だいしょう太ふとし監かん也都沒ぼつ了りょう頭髮とうはつ。一いち擁よう齊ひとし來き，到いた於寢宮みや外がい，奏樂そうがく驚おどろき寢ね，個個ここ噙淚，不ふ敢傳言でんごん。少時しょうじ，那な三宮さんぐう皇后こうごう醒來，也沒了りょう頭髮とうはつ。忙せわし移うつり燈とう到いた龍りゅう床下ゆかした看み處しょ，錦にしき被ひ窩中，睡ねむ著しる一いち個こ和尚おしょう，皇后こうごう忍にん不ふ住じゅう言語げんご出來でき，驚おどろき醒國王おう。那な國王こくおう急きゅう睜睛，見み皇后こうごう的てき頭あたま光こう，他た連れん忙せわし爬起來らい道どう：「梓あずさ童わらわ，你如何なん這等？」皇后こうごう道どう：「主おも公こう亦また如此也。」那な皇帝こうてい摸摸頭あたま，諕得三さん尸しかばね呻咋，七なな魄たま飛ひ空そら，道みち：「朕ちん當とう怎的來らい耶？」正せい慌忙處しょ，只見ただみ那な六ろく院いん嬪妃、宮みや娥綵女おんな、大小だいしょう太ふとし監かん，皆みな光こう著ちょ頭あたま跪下道どう：「主しゅ公おおやけ，我わが們做了りょう和尚おしょう耶。」國王こくおう見み了りょう，眼中がんちゅう流りゅう淚なみだ道どう：「想そう是ぜ寡人殺害さつがい和尚おしょう」即そく傳でん旨むね吩咐：「汝なんじ等とう不ふ得とく說せつ出で落髮らくはつ之の事こと，恐おそれ文武ぶんぶ群臣ぐんしん褒貶ほうへん國家こっか不正ふせい。且都上じょう殿どの設しつらえ朝あさ。」
28 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	卻說那な五ご府ふ六ろく部ぶ，合ごう衙門大小だいしょう官員かんいん，天てん不明ふめい都と要よう去さ朝ちょう王おう拜はい闕。原はら來らい這半夜よる一個個也沒了頭髮。各人かくじん都と寫うつし表ひょう啟けい奏そう此事。只ただ聽那：
Jump to dictionary		靜せい鞭むち三さん響ひびき朝あさ皇帝こうてい，表おもて奏そう當今とうぎん剃髮ていはつ因いん。
29 Jump to dictionary	難なん滅めつ伽とぎ持じ... :	畢竟ひっきょう不知ふち那な總そう兵へい官かん奪だつ下した櫃ひつ裡うら賊ぞく臟如何なに，與あずか唐から僧そう四よん眾的性せい命いのち如何いか，且聽下か回かい分解ぶんかい。

《李り卓たく吾われ先生せんせい批評ひひょう西にし游ゆう記き》

URN: ctp:xiyouji/ch84

《難なん滅めつ伽とぎ持じ圓えん大覺だいかく 法王ほうおう成なり正體しょうたい天然てんねん》

《難なん滅めつ伽とぎ持じ圓えん大覺だいかく　法王ほうおう成なり正體しょうたい天然てんねん》