オペラグローブ

子こヤギの革かわ製せいの白しろの長手ながて袋ぶくろ

マドレーヌ・マルローとジャクリーン・ケネディ・オナシスによって着用ちゃくようされた白しろいオペラグローブ、フランス文化ぶんか大臣だいじんの晩餐ばんさん会かい（1962年ねん5月がつ）

オペラグローブ(opera gloves)は、イブニングドレスやウェディングドレスなどの女性じょせい用よう礼服れいふくとして着用ちゃくようされる長ながい手袋てぶくろ「イブニンググローブ」(en:evening gloves)の一種いっしゅである。オペラグローブはイブニンググローブの中なかでも特とくに長ながく、肘ひじを越こえ上腕じょうわん中央ちゅうおうかそれ以上いじょう(脇わき～肩かた付近ふきん)まで至いたる長ながい手袋てぶくろのことである。したがって、全すべてのオペラグローブはイブニンググローブの一種いっしゅだが、全すべてのイブニンググローブがオペラグローブであるわけではない。 オペラグローブはその長ながさと特定とくていの使用しよう状じょう況きょうにより、イブニンググローブのサブカテゴリーと見みなすことができる。

西洋せいようの礼服れいふくの多おおくはキリスト教きりすときょうにおける儀礼ぎれい用ようの衣装いしょうに由来ゆらいしており、特とくに、戒律かいりつに厳きびしく儀式ぎしきが重おもんじられるカトリック教会きょうかいでは肌はだの露出ろしゅつを抑おさえることが求もとめられ、司教しきょうたちは清純せいじゅんさを表あらわすために手袋てぶくろ(en:Episcopal gloves)を着用ちゃくようした。その流ながれを受うけ欧米おうべい諸国しょこくでは王室おうしつの公式こうしき行事ぎょうじや上流じょうりゅう階級かいきゅうの社交しゃこう界かいなどの礼装れいそうに手袋てぶくろが用もちいられ、女性じょせいの夜よる礼服れいふくなどの半袖はんそでもしくは袖そでのないホルターネックやノースリーブのドレスには肘ひじ上じょうまである長ながい手袋てぶくろが着用ちゃくようされるようになり、高貴こうきな女性じょせいは長ながい手袋てぶくろによって肌はだの過度かどな露出ろしゅつを抑おさえ品位ひんいと謙虚けんきょさを保たもった。日本にっぽんの皇室こうしつでもそれを模範もはんとしたドレスコードが採用さいようされており、公式こうしき行事ぎょうじで女性じょせい皇族こうぞくがオペラグローブを着用ちゃくようすることがある。

そのため、神かみ聖きよしで厳格げんかくな場ばにおける正装せいそうとしての意味合いみあいが強つよく、清楚せいそな淑女しゅくじょの洗練せんれんされた装よそおいとされる。

概要がいよう

ファッションアクセサリーとしての起源きげんは、中世ちゅうせいヨーロッパのキリスト教きりすときょう礼式れいしきによる礼拝れいはい時どきのスタイルや、そこから発展はってんしたフォーマルウエアであり、ヴィクトリア朝あさ時代じだいには上流じょうりゅう階級かいきゅうの多おおくの女性じょせいが着用ちゃくようしていたオペラグローブはエチケットの必需ひつじゅ品ひんと認識にんしきされていた。現代げんだいにおいてもそのファッション性せいは高たかく、オートクチュールのファッションウィークやモード系けいのファッション写真しゃしん、結婚式けっこんしきのウェディングドレスなどにおいて淑女しゅくじょとしての品格ひんかくと華美かびを誇示こじするための象徴しょうちょうとなる性格せいかくが強つよい。

西洋せいよう式しきのドレスコードの最さい上位じょういグレードである「ホワイトタイ」では、女性じょせいは床ゆか丈たけのイブニングドレスと白しろの長手ながて袋ぶくろを着用ちゃくようすることが規定きていされている。また、イブニングドレスの一種いっしゅであり、女性じょせいの最もっとも正式せいしきな礼装れいそうとして扱あつかわれるローブ・デコルテでは、ドレスと合あわせオペラグローブを着用ちゃくようするのが正式せいしきなマナーである。

素材そざいは、子こヤギの革かわ(キッドスキン(en:kidskin))が正式せいしきとされており、ホワイトタイのドレスコードやデビュタントなどのフォーマル性せいが高たかい場面ばめんではこの革かわ製せいのものが期待きたいされるが、革かわ製せいはオーダーメイドとなることも多おおく高価こうかである。そのため、一般いっぱん的てきにはドレスに合あわせてシルクやナイロンのサテンやオーガンジー、レースなどの布製ぬのせいもよく用もちいられる。色いろは白しろか黒くろが多おおいが、慶事けいじの礼装れいそうとして着用ちゃくようされる場合ばあいは白色はくしょくが標準ひょうじゅんであり、白しろはオペラグローブの代表だいひょう的てきな色いろである。白しろい手袋てぶくろは清潔せいけつさと純粋じゅんすいさの象徴しょうちょうとされる。

解説かいせつ

白色はくしょくのオペラグローブをつけたナンシー・レーガン

黒くろのオペラグローブを着用ちゃくようしているダイアナ妃ひ

オペラボール(舞踏ぶとう会かい)にて、純白じゅんぱくのボールガウンと白しろのオペラグローブを着用ちゃくようするデビュタント

歴史れきし

詳細しょうさいは「手袋てぶくろ #歴史れきし」を参照さんしょう

手袋てぶくろの歴史れきしでは少すくなくとも古代こだいギリシア時代じだいに遡さかのぼる。紀元前きげんぜん440年ねんに書かかれたヘロドトスの著書ちょしょ「歴史れきし」の中なかに、ガントレット一いち杯はいの銀貨ぎんかを賄賂わいろとして受うけ取とった罪つみに問とわれていることが記述きじゅつされている。また、古代こだいローマ人ひとの記述きじゅつの中なかにも、度々たびたび手袋てぶくろが登場とうじょうし、中なかには西暦せいれき100年ねん前後ぜんこうに活躍かつやくした小しょうプリニウスによると、大だいプリニウスは馬車ばしゃに乗車じょうしゃ中ちゅうに口述こうじゅつ筆記ひっきさせていた速記そっき者しゃに冬ふゆの間あいだは手袋てぶくろを着用ちゃくようさせ寒さむさの中なかでも文章ぶんしょうを書かける様ようにしていたという記述きじゅつがある。そしてファッション、儀式ぎしき、さらに宗教しゅうきょうのために手袋てぶくろは用もちいられる。13世紀せいき頃ごろからヨーロッパの貴婦人きふじんの間あいだでファッションとしてリネンや絹きぬで出来できた手袋てぶくろを着用ちゃくようする様ようになり、時ときとして肘ひじまである手袋てぶくろが広ひろまった。

刺繍ししゅうと宝石ほうせきで装飾そうしょくされた手袋てぶくろは皇帝こうていや王おうの徽章きしょうの一部いちぶとなり、1189年ねんにヘンリー2世せいが埋葬まいそうされた時ときには、戴冠たいかん式しきの時ときに着用ちゃくようしたローブと王冠おうかん、そして手袋てぶくろと共ともに埋うめられたと、マシュー・ペリーは記録きろくしている。1797年ねんにイングランド王おうのジョンの墓はかを開ひらいた時とき、それに1774年ねんにエドワード1世せいの墓はかを開ひらいた時ときにも手袋てぶくろが発見はっけんされている。

宗教しゅうきょうにおいても祭服さいふくとしての手袋てぶくろは、主おもに教皇きょうこうや枢機卿すうききょう、僧侶そうりょ達いたるが着用ちゃくようし、教義きょうぎによりミサを祝いわう時ときのみ着用ちゃくようを許ゆるされている。この習慣しゅうかんは10世紀せいきに遡さかのぼり、儀式ぎしきの際さいに手てをキレイにしておきたいという単純たんじゅんな欲求よっきゅうが始はじまりかもしれないが、特権とっけん階級かいきゅうとして豊ゆたかになった聖職せいしょく者しゃ達いたるが己おのれの身みを飾かざるために着つけた事ことが始はじまりとも考かんがえられる。そして、フランク王国おうこくからローマにこの習慣しゅうかんは広ひろまり、11世紀せいきの前半ぜんはんにはローマでも一般いっぱん的てきになった。

オペラグローブが初はじめて歴史れきしに登場とうじょうしたのは16世紀せいきの英国えいこくであり、記録きろくされた最初さいしょの女性じょせいはエリザベス1世せい女王じょおうとキャサリンデメディチなどの王族おうぞくだった。エリザベス1世せいは、1566年ねんのオックスフォードでの式典しきてんで、2インチの金かねのフリンジが付ついた長ながさ18インチの白しろい革かわ製せいの手袋てぶくろを着用ちゃくようした。エリザベス1世せいが宝石ほうせきや刺繍ししゅう、レースで豪華ごうかに装飾そうしょくされたものを着用ちゃくようした時ときに手袋てぶくろの流行りゅうこうは頂点ちょうてんに達たっした。1690年代ねんだいのメアリー女王じょおうの現存げんそんする彫刻ちょうこくには、肘ひじの長ながさの手袋てぶくろを着用ちゃくようしていることが示しめされている。

ビクトリア朝ちょう時代じだい(1837-1901)には、どんな社会しゃかい階級かいきゅうの女性じょせいも多おおくの手袋てぶくろを持もっており、公共こうきょうの場ばで手袋てぶくろを着用ちゃくようすることは靴くつを着用ちゃくようすることと同おなじくらい必須ひっすであると見みなされ、カジュアルな場面ばめんとフォーマルな場面ばめんのためにさまざまな手袋てぶくろが利用りようされた。

19世紀せいきの西洋せいようの上流じょうりゅう階級かいきゅうの白人はくじん女性じょせいの多おおくは長ながい手袋てぶくろを愛用あいようし、オフホワイトやアイボリーなどを含ふくむ白色はくしょく系けいの手袋てぶくろをさまざまな色いろのドレスと併あわせて着用ちゃくようした

貴族きぞくや王族おうぞくと密接みっせつに関連かんれんしており、手袋てぶくろは数すう千せん年ねんの王族おうぞくと権威けんいの象徴しょうちょうとされ、多おおくの架空かくうの女王じょおう、王女おうじょ、貴族きぞくはドレスの一部いちぶとしてそれらを身みに着つけているように描えがかれている。17世紀せいきには婦人ふじん服ふくの袖丈そでたけが短みじかくなったことに応おうじて肘ひじ丈たけまでの長ながい手袋てぶくろが現あらわれ、それが18世紀せいきまで続つづき、豊ゆたかなレースで飾かざられた革かわや絹きぬの手袋てぶくろが用もちいられた。19世紀せいき初期しょきには婦人ふじん服ふくの袖そでがいっそう短みじかくなったことによって、手袋てぶくろは肘ひじ丈たけかさらに長ながい丈たけで腕うでに密着みっちゃくしたシンプルなものが現あらわれ、袖そでなしの正装せいそうには現在げんざいもそれが使つかわれる習慣しゅうかんとなった。19世紀せいきの貴族きぞくは1日にちに何なん度ども手袋てぶくろを取とり換かえた。午後ごごの外出がいしゅつには馬うま用ようの短みじかい手袋てぶくろを着用ちゃくようし、女性じょせいは夜会やかいでは長ながいオペラグローブを着用ちゃくようした。長ながい手袋てぶくろの最もっとも人気にんきのある色いろは白しろであり、白しろい手袋てぶくろは清潔せいけつさの象徴しょうちょうであった。

1830年ねんに出版しゅっぱんが開始かいしされ、1840年代ねんだいには白しろいウェディングドレスを世界せかいに広ひろめるなど当時とうじは世界せかいで最もっとも影響えいきょう力りょくのあったアメリカの女性じょせい雑誌ざっし「Godey's Lady's Book」には、女性じょせい礼服れいふく用ようの手袋てぶくろについて「原則げんそくとして手袋てぶくろは常つねに着用ちゃくようしているドレスよりも明あかるい色いろでなければならず、決けっして暗くらい色いろであってはならない。薄うすい色いろのドレスに濃こい色いろの手袋てぶくろを併あわせることは目めにとても不快ふかい感かんを与あたえる。」との旨むねの記事きじが掲載けいさいされた。その影響えいきょうも相あいまって、オペラグローブの色いろは白色はくしょく系けいのものが最もっとも流行りゅうこうした。

白しろい手袋てぶくろはすぐに汚けがれるのでたくさん所有しょゆうし頻繁ひんぱんに取とり換かえなければならなかった。そのようなことができた裕福ゆうふくな白人はくじん女性じょせいの手ては青白あおじろく、日焼ひやけした黒くろい手ては労働ろうどう者しゃ階級かいきゅうに所属しょぞくすることを意味いみしたため、貴族きぞくの証あかしである美うつくしい白しろい手てを保持ほじするための手袋てぶくろは優雅ゆうがさと真しんの女性じょせいの象徴しょうちょうとなった。女性じょせいは外出がいしゅつの際さい、手袋てぶくろをはめるのがエチケットであった。現代げんだいでも礼装れいそうには欠かかせないものとされている。

日本にっぽんでは、鎌倉かまくら時代ときよに鎧よろいの「篭手こて」として発達はったつした。当時とうじは手て覆くつがえ（ておおい）とも呼よばれた。15～16世紀せいきに南蛮なんばん貿易ぼうえきによって西洋せいよう式しきの手袋てぶくろが輸入ゆにゅうされ珍重ちんちょうされた。やがて国内こくない生産せいさんも始はじまり、手袋てぶくろ作づくりは貧乏びんぼう武士ぶしの内職ないしょくとして盛さかんになっていく。「手袋てぶくろ」は俳句はいくにおける“冬ふゆの季語きご”でもある。明治めいじ時代じだいに入はいると上流じょうりゅう階級かいきゅうや貴族きぞくの女性じょせいたちが制服せいふくやドレスに西欧せいおう風ふうの手袋てぶくろを用もちいるようになり、大正たいしょう時代じだい以降いこうは洋装ようそうが普及ふきゅうし手袋てぶくろも一般いっぱん化かし和服わふくにも用もちいられるようになった。

現代げんだい

キリスト教きりすときょう文化ぶんか圏けんの中なかでも西欧せいおう諸国しょこくや、アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドなどの白人はくじん主流しゅりゅう派はの先進せんしん国こくであるアングロサクソン諸国しょこくにおいて礼拝れいはいや結婚式けっこんしきおよび葬式そうしきなどの礼式れいしきが重おもんじられる神かみ聖きよしな場所ばしょ、また、社交しゃこう界かいにおけるハイソサエティな貴婦人きふじんの正装せいそうとして用もちいられることが多おおく、その長ながさはマント・ド・クールやウェディングドレスのトレーンと同様どうようでフォーマル性せいや品格ひんかくの指標しひょうとなる。一般いっぱん的てきにドレスの袖そでが無ない(ホルターネック、ノースリーブ)か短みじかい場合ばあいは長ながい手袋てぶくろを、長袖ながそでの場合ばあいは短みじかい手袋てぶくろを着用ちゃくようする。また、スカートが長ながくなるにつれて手袋てぶくろも長ながくなり、フルレングスのドレスはオペラやそれ以上いじょうの長ながさになる。結婚式けっこんしきのウェディングドレスについても、1960年ねん頃ごろまでグローブの着用ちゃくようが必須ひっすであったため、今日きょうでもウェディングドレスの一部いちぶとして着用ちゃくようされることが多おおい。

英国えいこくでは、イブニングドレスの最高さいこう礼装れいそうとされるローブ・デコルテにはオペラグローブを併あわせて清楚せいそな装よそおいに仕上しあげる。ダイアナ妃ひが1985年ねんにアメリカを訪おとずれた際さいに披露ひろうされた黒くろのローブ・デコルテとオペラグローブのルックスが話題わだいとなった。 由緒ゆいしょ正ただしい正装せいそうとして着用ちゃくようされるため派手はでな色合いろあいのものは少すくなく、シックな色いろあい（白しろもしくは黒くろ）のものが多おおい。なお、グローブの色いろや質感しつかんはドレスと合あわせることを基本きほんとする。ドレスの袖そでと同おなじ色しょくのグローブは腕うでを細長ほそながく魅みせる効果こうかがあり、対照たいしょう的てきな色いろは逆ぎゃく効果こうかである。

オーストリアのウィーン国立こくりつ歌劇かげき場じょうで行おこなわれるヨーロッパで最もっとも格式かくしき高たかいダンスパーティーの一ひとつであるオーパンバル(en:Vienna Opera Ball)と呼よばれる上流じょうりゅう階級かいきゅうや貴族きぞくの若わかき女性じょせい(デビュタント)が集つどう舞踏ぶとう会かいでは、服装ふくそうは純白じゅんぱく(オフホワイトやアイボリーなどは不可ふか)のボールガウンと併あわせ白しろのオペラグローブの着用ちゃくようが義務付ぎむづけられており、欧米おうべい諸国しょこくに多数たすう存在そんざいするその他たのデビュタントボール(デビュタントの初舞台はつぶたいとなる舞踏ぶとう会かい)においてもそのドレスコードが準用じゅんようされ、「手袋てぶくろのないデビュタントはデビュタントでは無ない」と言いわれるほど白しろの長手ながて袋ぶくろは重要じゅうようなアイテムとなっている。何なに世紀せいきにもわたってデビュタントのスタイルとファッションは変化へんかしてきた。しかし、初期しょきのイギリスから現代げんだいのアメリカのデビュタントまでずっと変かわらないアイテムは白しろ革かわ製せいの肘ひじ上じょうまでのデビュタント手袋てぶくろの着用ちゃくようであった。そのためデビュタントグローブは1世紀せいき以上いじょうにわたって上流じょうりゅう階級かいきゅうの女性じょせいらしさの最もっとも重要じゅうようなシンボルの1つとして認識にんしきされてきた。また、欧米おうべいのデビュタントは伝統でんとう的てきに白人はくじん女性じょせいが主流しゅりゅうであり、アメリカ南部なんぶなどでは白人はくじんデビュタントが着用ちゃくようする白しろのオペラグローブは白人はくじん女性じょせいらしさとその美うつくしさの象徴しょうちょうとして見みられることもある。

日本にっぽんでは、女性じょせい皇族こうぞくは常つねに白しろの手袋てぶくろを携帯けいたいしているが、これは帽子ぼうしと共ともにその貴族きぞく性せいを象徴しょうちょうするための物ものである。令れい和わ元年がんねんに行おこなわれた「即位そくい後ご朝見ちょうけんの儀ぎ」において皇后こうごう雅子まさこによって着用ちゃくようされたことで注目ちゅうもくを浴あびた。 旧きゅう皇族こうぞくの竹田たけだ恒ひさし泰やすしは著書ちょしょ「日本にっぽんの礼儀れいぎ作法さほう～宮家みやけのおしえ～」において、皇室こうしつの晩餐ばんさん会かいや儀式ぎしきなどの特別とくべつに改あらたまった場面ばめんにおいてローブ・デコルテと併あわせてオペラグローブを着用ちゃくようし、ティアラ(小ちいさな王冠おうかん)を付つけることを基本きほんとしており、宮中きゅうちゅうではこれを女性じょせいの最上級さいじょうきゅう礼装れいそうとしている、との旨むねを示しめしている。皇太子こうたいし徳とく仁じん親王しんのう成婚せいこんの際さい、皇太子こうたいし妃ひ雅子まさこのローブ・デコルテを手てがけたファッションデザイナーの森もり英恵はなえは「ローブ・デコルテは勲章くんしょうをつけるためのドレスであり、肌はだを出だし、皮かわの長ながい手袋てぶくろを合あわせる正装せいそう」と述のべている。

また、一般いっぱんの結婚式けっこんしきにおいてもウェディングドレスと併あわせて着用ちゃくようされることが多おおく、ドレスの袖そでが無ない（ホルターネック、ノースリーブ）か短みじかい場合ばあいは長ながい手袋てぶくろを、長袖ながそでの場合ばあいは短みじかい手袋てぶくろを着用ちゃくようする。グローブの色いろはドレスの色いろを乱みださないよう白色はくしょくが標準ひょうじゅんである。肌はだを隠かくす純白じゅんぱくのグローブには「清楚せいそ」「無垢むく」という意味いみも込こめられ、特とくに伝統でんとうあるチャペルでの挙式きょしきでは必須ひっすとされており、手袋てぶくろ丈たけが長たければ長ながいほど格式かくしきの高たかいフォーマルなウェディングスタイル(厳おごそかな正統せいとう派は)とされている。

作法さほう

防寒ぼうかん用ようの手袋てぶくろは室内しつないに入はいり上着うわぎを脱ぬぐとき同時どうじに外はずすことがマナーであるが、オペラグローブはその限かぎりではない。靴くつと同様どうようにドレスの一部いちぶとしてのグローブなので、手袋てぶくろを着用ちゃくようせずに人前ひとまえに出でることはエチケット違反いはんであり、特とくに屋外おくがいのイベントでは常つねに手袋てぶくろを着用ちゃくようする。舞踏ぶとう会かいなどで握手あくしゅしたりダンスをしたり、キスをするよう手てを差さし出だすときも着用ちゃくようしたままとし、結婚式けっこんしきも同様どうようであり、式典しきてん中ちゅうは手袋てぶくろを着用ちゃくようする。手袋てぶくろは衣装いしょうの不可欠ふかけつな部分ぶぶんと考かんがえる必要ひつようがあり、基本きほん的てきに常つねに着用ちゃくようし、外はずして持もち運はこぶ癖くせをつけない。ただし、食事しょくじ、飲酒いんしゅ、喫煙きつえん、トランプ、化粧けしょうをするとき、および結婚式けっこんしきの指輪ゆびわ交換こうかんのときは外はずす。

公式こうしき行事ぎょうじや正式せいしきな式典しきてんなどで礼服れいふくとして着用ちゃくようされる女性じょせいの手袋てぶくろの丈たけは肘ひじを超こえる長ながさが必要ひつようである。礼式れいしき区分くぶんがホワイトタイの場合ばあいは手袋てぶくろの色いろは白しろが標準ひょうじゅんであり、肘ひじより短みじかい手袋てぶくろを着用ちゃくようしないこととし、食事しょくじのとき以外いがいは常つねに着用ちゃくようする。白しろ、アイボリー、ベージュなどの白色はくしょく系けいはオペラグローブの伝統でんとう的てきな色いろであり、オペラグローブを着用ちゃくようするほとんど全すべての機会きかいに適てきしている。白しろのオペラグローブは、ほとんど全すべての色いろのドレスと調和ちょうわする。黒くろのオペラグローブは白しろや淡あわい色いろ(パステルカラー)のドレスには適てきさないが、濃こい色いろや彩いろどり度どの高たかい色いろの服ふくとの相性あいしょうは良よい。ウェディングドレスについては、ガウンおよびその附属ふぞくするアクセサリーなどが白色はくしょくを基調きちょうとしているため、グローブの色いろもドレスの色いろを乱みださないよう白色はくしょくが標準ひょうじゅんである。手袋てぶくろの上うえからブレスレットを装着そうちゃくすることもあるが、指輪ゆびわは着つけない。

適性てきせい

ファッション写真しゃしんのオペラグローブ

長身ちょうしん細身ほそみで腕うでがほっそりと長ながい女性じょせいに良よく似合にあうものであり、縦長たてなが効果こうかによって腕うでがよりいっそう細ほそく長ながく演出えんしゅつされる。そのため、背せが低ひくく腕うでが太ふとく短みじかい場合ばあいは不適ふてきであり、逆ぎゃくに腕うでの太ふとさを強調きょうちょうしてしまう。

また、「キューティーハニー」「セーラームーン」「プリキュア」「アイカツ」といったような強つよく気高けだかい女性じょせいをテーマにしたアニメのヒロインに着用ちゃくようされて描えがかれることが多おおい。さらに、黒くろ革かわのオペラグローブは一本いっぽん鞭むちやブーツなどと共ともに厳格げんかくな女性じょせいのシンボルとなることもある。

長ながさの呼称こしょう

女性じょせい礼服れいふく用ようの手袋てぶくろの長ながさ区分くぶんの呼称こしょうは、一般いっぱん的てきに短みじかいものから順じゅんに「wrist length」(手首てくび丈たけ)→「middle length」(下しも腕うで丈たけ)→「elbow length」(肘ひじ丈たけ)→「long length」(上腕じょうわん丈たけ)→「shoulder length」(肩かた丈たけ)、となっている。オペラグローブは「opera length gloves」(オペラの長ながさの手袋てぶくろ)と呼よばれ、これは「long length」や「shoulder length」などの最もっとも長ながいものに相当そうとうする。同様どうように長ながさやサイズの呼称こしょうとして「opera」という言葉ことばが用もちいられるファッション小物こものは他ほかにも多数たすうあり、ドレス,ネックレス,ブーツ,ストッキング(サイズ)等とうがそうである。いずれも「opera length」や「opera size」と呼よばれる長ながさは最もっとも長ながいものの区分くぶんに相当そうとうし、それらについては「opera」は「super long」や「queen size」と同意どうい語ごとなることが多おおい。なお「evening」の方ほうは「evening length ～」といったような長ながさを示しめす用語ようごとして用もちいられることは殆ほとんどなく、まれに用もちいられる場合ばあいは「elbow length」(肘ひじ丈たけ)程度ていどのものであることが多おおい。

googleで「opera gloves」と検索けんさくすると「long gloves」も併あわせて関連かんれん検出けんしゅつされ、その逆ぎゃくも検出けんしゅつされる。「evening gloves」の場合ばあいは、「long」(長ながさ)ではなく「formal」(礼式れいしき区分くぶん)が関連かんれん検出けんしゅつされる。「Opera Length Gloves」(オペラの長ながさの手袋てぶくろ)や「Opera Length Pearls」(オペラの長ながさの真珠しんじゅ)という英えい文節ぶんせつにも見みられるように、ファッション小物こものでは「オペラ」は「長ながさ」を示しめす用語ようごとして使つかわれることが多おおい。

オペラグローブは、肘ひじ丈たけを超こえる長ながさであることが重要じゅうようであり、肘ひじより短みじかい手袋てぶくろを「イブニンググローブ」と呼よぶことはあるが「オペラグローブ」と呼よぶのは間違まちがいである。

また、グローブの長ながさを測はかる定規じょうぎとして「ボタン」が用もちいられる。これはフランスの測定そくていシステムで、手袋てぶくろにボタンがあるかどうかに関係かんけいなく旧来きゅうらい設計せっけいにおける縦たてに並ならぶボタンの数かず(ボタンのピッチはおおよそ1インチ(25.4mm))による長ながさに相当そうとうすることが示しめされる。 オペラグローブと呼よばれる長ながさのボタン数すうの目安めやすは16ボタン以上いじょうであり、21ボタン以上いじょうは「most dramatic length」(最もっとも劇的げきてきな長ながさ)と言いわれ、肩かたのすぐ下したまで届とどく。

演出えんしゅつ作品さくひん

紳士しんしは金髪きんぱつがお好すき(1953)：マリリン・モンロー

• ギルダ(1946)：リタ・ヘイワース
• 紳士しんしは金髪きんぱつがお好すき(1953)：マリリン・モンロー
• ティファニーで朝食ちょうしょくを(1958)：オードリー・ヘプバーン
• ルパン三さん世せい カリオストロの城しろ(1979)：クラリス・ド・カリオストロ
• ヤッターマン(1977 - 1979)：ドロンジョ

ギャラリー

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  fashion plate from en:Peterson's Magazine, 1888
• 
  Late 19th century young women's clothing in imitation of early 19th century high-waisted, 1898
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  Portrait de la comtesse Zichy par Giovanni Boldini, 1905
• 
  Fashion photograph by Toni Frissell, 1949
• 
  Eine Frau posiert mit Festkleidung bei der "Internationalen Messemodenschau", Herbstmesse 1953
• 
  ロサンゼルスファッションウィーク, 1947
• 
  リタ・ウィルソン
• 
  ジャクリーン・ケネディ・オナシス
• 
  アリサ・ミコンサーリ(フィギュアスケート)
• 
  エカテリーナマーティンアルマダ(ウズベキスタンの女優じょゆう)
• 
  ディズニーキャラクターのコスプレ
• 
  ファッション写真しゃしんの一いち例れい
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  ファッション写真しゃしんの一いち例れい
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  ファッション写真しゃしんの一いち例れい
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  コスプレーヤーの白しろい長手ながて袋ぶくろ

関連かんれん項目こうもく

• キリスト教きりすときょう、冠婚葬祭かんこんそうさい、礼服れいふく、ドレスコード、オペラ
• イブニングドレス、ローブ・デコルテ、ウェディングドレス
• 英国えいこく、王族おうぞく、貴族きぞく、白人はくじん
• ミストレス、フェムドム