藤原ふじわら敦あつし忠ただし

凡例はんれい 藤原ふじわら 敦あつし忠ただし
藤原ふじわら敦あつし忠ちゅう（狩野かの尚信なおのぶ『三さん十じゅう六歌仙ろっかせん額がく』）
時代じだい	平安へいあん時代じだい前期ぜんき - 中期ちゅうき
生誕せいたん	延喜えんぎ6年ねん（906年ねん）
死没しぼつ	天てん慶けい6年ねん3月7日にち（943年ねん4月がつ14日にち）
別名べつめい	枇杷びわ中納言ちゅうなごん、土御門つちみかど中納言ちゅうなごん、本ほん院いん中納言ちゅうなごん
官位かんい	従したがえ三さん位い、権けん中納言ちゅうなごん
主君しゅくん	醍醐天皇だいごてんのう→朱雀すざく天皇てんのう
氏族しぞく	藤原ふじわら北きた家か
父母ちちはは	父ちち：藤原ふじわら時じ平ひらた、母はは：在原ありわら棟梁とうりょうの娘むすめ
兄弟きょうだい	保ほ忠ただし、顕あらわ忠ちゅう、敦あつし忠ただし、仁じん善子よしこ、褒子、藤原ふじわら実みのる頼よりゆき室しつ、敦あつし実じつ親王しんのう妃ひ、克明こくめい親王しんのう妃ひ
妻つま	北きたの方かた（藤原ふじわら玄げん上じょうの娘むすめ）、源みなもと等ひとしの娘むすめ、 明子あきこ（藤原ふじわら仲平なかひらの娘むすめ）
子こ	助信すけのぶ、佐さ理り、佐さ時じ、明あきら昭あきら、源みなもと延のべ光こう室しつ

藤原ふじわら 敦あつし忠ただし（ふじわら の あつただ）は、平安へいあん時代じだい前期ぜんきから中期ちゅうきにかけての公卿くぎょう・歌人かじん。藤原ふじわら北きた家か、左大臣さだいじん・藤原ふじわら時じ平ひらたの三男さんなん。官位かんいは従したがえ三さん位い・権けん中納言ちゅうなごん。三さん十じゅう六歌仙ろっかせんの一人ひとり。小倉おぐら百ひゃく人にん一いち首しゅでは権けん中ちゅう納言なごん敦あつし忠ただし。

経歴けいれき

醍醐だいご朝あさ後期こうきの延喜えんぎ21年ねん（921年ねん）従したがえ五ご位い下かに叙爵じょしゃくし、延喜えんぎ23年ねん（923年ねん）侍従じじゅうに任にんぜられる。醍醐だいご朝あさ末まつの延長えんちょう6年ねん（928年ねん）従したがえ五ご位い上じょう・左ひだり兵衛ひょうえ佐さに叙任じょにんされると、右みぎ衛門えもん佐さ・左ひだり近衛このえ権けん少将しょうしょうと武官ぶかんを経へて、承うけたまわ平ひらた4年ねん（934年ねん）従したがえ四よん位い下か・左ひだり近衛このえ権けん中将ちゅうじょう兼けん蔵人くろうど頭あたまに任にんぜられる。天てん慶けい2年ねん（939年ねん）従したがえ四よん位い上じょう・参議さんぎに叙任じょにんされ公卿くぎょうに列れっす。

天てん慶けい5年ねん（942年ねん）には先任せんにんの参議さんぎ4名めい（源みなもと高明こうめい・源みなもと清きよし平たいら・藤原ふじわら忠文ただふみ・伴ばん保たもつ平たいら）を越こえて、一挙いっきょに従したがえ三さん位い・権けん中納言ちゅうなごんに叙任じょにんされるが、翌よく天てん慶けい6年ねん（943年ねん）3月がつ7日にち薨去こうきょ。享年きょうねん38。

人物じんぶつ

美貌びぼうであり、和歌わかや管絃かんげんにも秀ひいでていた。

『後こう撰せん和歌集わかしゅう』（10首しゅ）以下いかの勅撰ちょくせん和歌集わかしゅうに30首しゅ入いれ集しゅう。家集かしゅうに『敦あつし忠ちゅう集しゅう』がある。 『後こう撰せん和歌集わかしゅう』や『大和やまと物語ものがたり』等とうに、雅子まさこ内親王ないしんのう（醍醐天皇だいごてんのう皇女おうじょ、伊勢いせ斎宮いつきのみや）他た多おおくの女流じょりゅう歌人かじんとの贈答ぞうとう歌かが残のこされている。『後こう撰せん和歌集わかしゅう』『拾遺しゅうい和歌集わかしゅう』『朝忠ちょうちゅう集しゅう』には伊勢いせ、藤原ふじわら清正きよまさ、藤原ふじわら朝忠ちょうちゅう、藤原ふじわら伊い尹いん等ひとし様々さまざまな人物じんぶつとの交流こうりゅうが見みられる。

• 小倉おぐら百ひゃく人にん一いち首しゅ
  • 43番ばん あひみての のちの心しんに くらぶれば 昔むかしはものを 思おもはざりけり（『拾遺しゅうい和歌集わかしゅう』）

管弦かんげんでは、敦あつし忠ちゅうの死後しごに管弦かんげんの名手めいしゅであった源みなもと博雅ひろまさが音楽おんがくの御ご遊ゆうでもてはやされるのを見みた老人ろうじん達たちが、敦あつし忠ちゅうの生前せいぜん中ちゅうは源みなもと博雅ひろまさ等とうが音楽おんがくの道みちで重おもんぜられるとは思おもいもしなかったと嘆なげいた、との逸話いつわが『大だい鏡かがみ』で語かたられている。

比叡山ひえいざんの西坂本にしさかもとに音羽川おとわがわを引ひき入いれた別業べつぎょう（別荘べっそう）を有ゆうしていたという。

逸話いつわ

敦あつし忠ちゅうは北きたの方かた（藤原ふじわら玄げん上じょうの娘むすめ）を非常ひじょうに愛あいしていたが、ある時とき北きたの方かたに対たいして自みずからが短命たんめいでまもなく死しぬであろう事こと、死後しごにはその北きたの方かたが敦あつし忠ちゅうの家令かれいである藤原ふじわら文範ぶんぱんと夫婦ふうふになるであろう事ことを予言よげんし、事実じじつその通とおりになったという。

官かん歴れき

『公卿くぎょう補任ほにん』による。

• 延喜えんぎ21年ねん（921年ねん） 正月しょうがつ25日にち：従したがえ五ご位い下か。2月7日にち：昇殿しょうでん
• 延喜えんぎ23年ねん（923年ねん）正月しょうがつ12日にち：侍従じじゅう
• 延長えんちょう6年ねん（928年ねん） 正月しょうがつ7日にち：従したがえ五ご位い上じょう。6月29日にち：左ひだり兵衛ひょうえ佐さ
• 延長えんちょう8年ねん（930年ねん） 9月がつ22日にち：昇殿しょうでん（践祚せんそ初はつ）。12月17日にち：右みぎ衛門えもん佐さ
• 延長えんちょう9年ねん（931年ねん） 3月がつ13日にち：左ひだり近衛このえ権けん少将しょうしょう
• 承うけたまわ平ひらた2年ねん（932年ねん） 正月しょうがつ27日にち：兼けん伊予いよ権けん介かい。11月16日にち：正せい五ご位い下か（停とま中宮ちゅうぐう御給ごきゅう加階かかい）
• 承うけたまわ平ひら3年ねん（933年ねん） 正月しょうがつ12日にち：近江おうみ権けん介かい
• 承うけたまわ平ひら4年ねん（934年ねん） 正月しょうがつ7日にち：従したがえ四よん位い下か。正月しょうがつ12日にち：蔵人くろうど頭あたま。12月21日にち：左ひだり近衛このえ権けん中将ちゅうじょう
• 承うけたまわ平ひら6年ねん（936年ねん） 正月しょうがつ29日にち：兼けん播磨はりま守まもる
• 天てん慶けい2年ねん（939年ねん） 正月しょうがつ7日にち：従したがえ四よん位い上じょう。8月27日にち：参議さんぎ、中将ちゅうじょう守もり如元
• 天てん慶けい4年ねん（941年ねん） 12月18日にち：兼けん近江おうみ権守ごんもり
• 天てん慶けい5年ねん（942年ねん） 3月がつ29日にち：権けん中納言ちゅうなごん、従したがえ三さん位い（中将ちゅうじょう労ろう）
• 天てん慶けい6年ねん（943年ねん） 3月がつ7日にち：薨去こうきょ（権けん中納言ちゅうなごん従したがえ三さん位い）

系譜けいふ

• 父ちち：藤原ふじわら時じ平ひらた
• 母はは：在原ありわら棟梁とうりょうの娘むすめ（本もと康やすし親王しんのう皇女おうじょ・廉れん子女しじょ王おうとも）
• 妻つま：北きたの方かた - 藤原ふじわら玄げん上じょうの娘むすめ
• 妻つま：源みなもと等ひとしの娘むすめ
  • 男子だんし：藤原ふじわら助信すけのぶ（?-966）
• 妻つま：藤原ふじわら明子あきこ - 藤原ふじわら仲平なかひらの娘むすめ
  • 男子だんし：藤原ふじわら佐たすく理り（?-978） - 真ま覚さとし
  • 男子だんし：藤原ふじわら佐たすく時とき
  • 女子じょし：源みなもと延のべ光こう室しつ - 後のち藤原ふじわら朝光ともみつ継室けいしつ
• 生母せいぼ不明ふめい
  • 男子だんし：明あきら昭あきら（又または明あかり照あきら）

参考さんこう文献ぶんけん

• 『公卿くぎょう補任ほにん 第だい一いち篇へん』吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1982年ねん
• 『尊卑そんぴ分脈ぶんみゃく 第だい一いち篇へん』吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1987年ねん

関連かんれん項目こうもく

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