パット・シモンズ

パット・シモンズ Pat Symonds
ウィリアムズF1時代じだい（2015年ねん）
生誕せいたん	Patrick Bruce Reith Symonds (1953-06-11) 1953年ねん6月11日にち（71歳さい） イングランド ベッドフォードシャー州しゅうベッドフォード
国籍こくせき	イギリス
教育きょういく	クランフィールド工科こうか大学だいがく（現げんクランフィールド大学だいがく）
業績ぎょうせき
専門せんもん分野ぶんや	自動車じどうしゃエンジニア レーシングカーデザイナー テクニカルディレクター 技術ぎじゅつコンサルタント モータースポーツ解説かいせつ者しゃ
所属しょぞく機関きかん	F1委員いいん会かい（2017年ねん - 2023年ねん）
勤務きんむ先さき	ニュートリノ・ダイナミクス
雇用こよう者しゃ	ホークレーシング（1976年ねん - 1978年ねん） ロワイヤルレーシング（1978年ねん - 1979年ねん） トールマン（1979年ねん - 1985年ねん） ベネトンF1（1986年ねん - 2002年ねん） ルノーF1（2002年ねん - 2009年ねん） マルシャF1（2013年ねん） ウィリアムズF1（2013年ねん - 2016年ねん） アンドレッティ・オートスポーツ（2024年ねん - ）

パット・シモンズ（Patrick "Pat" Bruce Reith Symonds, 1953年ねん6月11日にち - ）は、イングランド出身しゅっしんの自動車じどうしゃ技術ぎじゅつ者しゃ、モータースポーツ解説かいせつ者しゃ。

1980年代ねんだいから2010年代ねんだいにかけてF1チーム技術ぎじゅつ部門ぶもんの要職ようしょくを歴任れきにんし、若手わかて時代じだいのアイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハ、フェルナンド・アロンソら一流いちりゅうドライバーの飛躍ひやくに貢献こうけんした。後年こうねんは、解説かいせつやF1委員いいん会かいの役職やくしょくも務つとめる。

経歴けいれき

初期しょきの経歴けいれき

フォード社しゃの見習みならいとして自動車じどうしゃ業界ぎょうかいでのキャリアを始はじめ、後のちにクランフィールド工科こうか大学だいがくで自動車じどうしゃ工学こうがくを学まなび、1976年ねんに修士しゅうし号ごうを取得しゅとくし卒業そつぎょう。

卒業そつぎょうと同時どうじにホークレーシングに加入かにゅうし、チーフデザイナーとしてフォーミュラ・フォードの設計せっけいに携たずさわり、2年ねん後ごの1978年ねんにはやはりチーフデザイナーとしてシングルシーター車両しゃりょうのコンストラクターでもあるロワイヤルレーシングに移籍いせき。ここには先さきにロリー・バーンが在籍ざいせきしており、同僚どうりょうとなった。

バーンとともにロワイヤル社しゃでフォーミュラ・フォードの設計せっけいに関かかわったが、1979年ねんにバーンがF2カー設計せっけいのためトールマンチームから誘さそわれ移籍いせき。シモンズは1980年ねん用ようのフォーミュラ・タルボ、FF1600およびFF2000用ようのシャーシ設計せっけい終了しゅうりょうまでロワイヤルでの仕事しごとを続つづけ、イギリスFF2000選手権せんしゅけんを制覇せいはした。その後ご、バーンに誘さそわれる形かたちでシモンズもトールマンへ移籍いせきした。

トールマン時代じだい（1980年ねん - 1985年ねん）

1980年ねんのヨーロッパF2選手権せんしゅけんにおいて、トールマンとハートの組くみ合あわせは戦闘せんとう力りょくを発揮はっきし、ドライバーのブライアン・ヘントンとデレック・ワーウィックは全ぜん12戦中せんちゅう4戦せんで優勝ゆうしょうし、この二人ふたりが欠場けつじょうした最終さいしゅう戦せんを除のぞいて全すべてのレースでどちらかが表彰台ひょうしょうだいに立たち、ヘントンはチャンピオンを獲得かくとくした。シモンズは、この年としは研究けんきゅう開発かいはつ部門ぶもんのスタッフとして関与かんよした。

この活躍かつやくを引ひっさげ、1981年ねんにトールマンはF1にステップアップし、シモンズは、その年としステファン・ヨハンソンを擁ようしていたトールマンのF2での開発かいはつを継続けいぞくするとともに、F1でも研究けんきゅう開発かいはつ、この年としはとりわけ空そら力りょく部門ぶもんで関与かんよし、風洞ふうどうプログラムなどを手てがけた。

翌よく1982年ねん以降いこうは、フルタイムでF1に関かかわるようになり、1982年ねんにテオ・ファビとワーウィック、翌よく1983年ねんにはブルーノ・ジャコメリ、1984年ねんにはその年としデビューの新人しんじんアイルトン・セナのレースエンジニアとして任にんにあたった。

ベネトン時代じだい（第だい1期き : 1986年ねん - 1989年ねん）

1985年ねんシーズン終了しゅうりょう後ご、トールマンチームのメインスポンサーだったイタリアの衣料いりょう品ひんメーカー「ベネトン」がチームを買収ばいしゅうしたことにより、翌よく1986年ねんからチームは「ベネトン・フォーミュラ」（以降いこうベネトン）として参戦さんせんすることとなったが、シモンズは引ひき続つづき残留ざんりゅうした。

1989年ねん末すえ、チームの実権じっけんを握にぎるようになったフラビオ・ブリアトーレがジョン・バーナードをテクニカルディレクターに迎むかえることを決きめると、シモンズはチームを離脱りだつし、バーンとともにレイナードと契約けいやく。エンジニアリングディレクターとしてレイナードF1参戦さんせん計画けいかくに携たずさわった。

レイナード時代じだい (1990年ねん - 1991年ねん)

レイナードのF1プロジェクトは1990年ねんに始動しどうし、1992年ねんからの参戦さんせん開始かいしがアナウンスされた。エイドリアン・レイナードの他ほか、元もとトールマンF1チームのテッド・トールマンとアレックス・ホークリッジもディレクターとして参画さんかくしたことから、旧知きゅうちのバーンとシモンズを呼よび寄よせた経緯けいいだった。しかし1991年ねん初夏しょかにはこのレイナードによるF1計画けいかくはエンジン契約けいやくや資金しきん調達ちょうたつの問題もんだいで参戦さんせん開始かいしが難むずかしい情勢じょうせいとなりつつあり、F1用ように製作せいさくされたシャーシは日ひの目めを見みることが無なかった。また、時期じきを同おなじくして、バーナードがブリアトーレによって更迭こうてつされ、レイナードがエンストンに用意よういした新しんファクトリーはベネトンに参画さんかくし始はじめていたTWRのトム・ウォーキンショーの手てに落おちロス・ブラウンが指揮しきするTWRベネトンが発足ほっそくする。こうしてシモンズはバーンとともにベネトンに復帰ふっきした。1992年ねん用ようとして設計せっけいされたベネトン・B192は、レイナードF1計画けいかくでの設計せっけい書しょをベースとしてリファインしたものであった。

ベネトン第だい2期き&ルノー時代じだい（1992年ねん - 2009年ねん）

1992年ねん、シモンズはベネトンで研究けんきゅう開発かいはつ部門ぶもんに戻もどりチーフとして統括とうかつするとともに、ミハエル・シューマッハのレースエンジニアも務つとめ、1994年ねんと1995年ねんのシューマッハのドライバーズタイトル獲得かくとくに貢献こうけんした。翌よく1996年ねんにシューマッハはフェラーリへと移籍いせきしていき、その後ごを追おう形かたちで、長年ながねんを共ともにしてきたロリー・バーンがベネトンを去さっていったが、シモンズはその後ごもベネトンに残のこり、バーン同様どうようにチームを去さったロス・ブラウンの後のちを受うけて、同年どうねん11月がつにテクニカルディレクターに就任しゅうにんした。

2001年ねんに、新あらたにチームに加入かにゅうしたマイク・ガスコインにテクニカルディレクターの座ざを譲ゆずって以後いご、自みずからはエンジニアリングディレクターとなり、2002年ねん以降いこうはエグゼクティブエンジニアリングディレクターの称号しょうごうを帯おびるようになった。

私事しじとしては、この間あいだ、2002年ねんにオックスフォード・ブルックス大学だいがくから博士はかせ号ごうを授与じゅよされている。

クラッシュゲート

1996年ねん以降いこう、ベネトンのチーム代表だいひょうはたびたび変かわり、2002年ねんにはチームがベネトンからルノーに変かわるなど、チーム体制たいせいの変化へんかが続つづいたが、シモンズは一貫いっかんして同どうチームに留とまり続つづけた。シモンズはトールマン時代じだいの1980年ねんにチームに加入かにゅうして以降いこう、一時いちじ的てきにレイナードに所属しょぞくした期間きかんはあるものの、同おなじチームに30年ねん近ちかく留とまり続つづけたことになる。しかし、2009年ねん半なかばを過すぎて転機てんきが訪おとずれることになる。

2008年ねんシンガポールグランプリにおいて、ルノーチームがフェルナンド・アロンソの順位じゅんいを上あげるため、ネルソン・ピケJr.に故意こいに事故じこを起おこさせたというスキャンダル（クラッシュゲート）が発覚はっかく。シモンズはマネージングディレクターのフラビオ・ブリアトーレと共ともにピケJr.に指示しじを与あたえた罪つみが疑うたがわれ、2009年ねんの公聴こうちょう会かいの直前ちょくぜん、ブリアトーレと共ともにルノーから離脱りだつした。その後ごの裁定さいていで、国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい (FIA) の管轄かんかつするすべてのモータースポーツカテゴリーにおいて5年間ねんかんの関与かんよ禁止きんし（追放ついほう）という処分しょぶんを受うけた。

シモンズとブリアトーレは大だい審しん裁判所さいばんしょに訴うったえ、FIAによって下くだされた追放ついほう処分しょぶんの撤回てっかいを勝かち取とる。これにより、2012年ねん末まつまで謹慎きんしんすれば、2013年ねん以降いこうはF1チームの運営うんえいに復帰ふっきすることが認みとめられた。

ヴァージン/マルシャ時代じだい（2011年ねん - 2013年ねん）

ルノーから離脱りだつ後ご、シモンズは自身じしんのコンサルタント会社かいしゃ「ニュートリノ・ダイナミクス」を通つうじて様々さまざまなプロジェクトに関かかわった。また、イギリスの『F1 Racing』誌しにてエンジニアリング関連かんれんのコラムを執筆しっぴつした。

2011年ねん初はじめに、ヴァージン・レーシングとコンサルタント契約けいやくを結むすんだ。まだ謹慎きんしん期間きかん中ちゅうだったが、技術ぎじゅつ部門ぶもんのアドバイザーという形かたちでF1への関与かんよが認みとめられた。

チームは2012年ねんよりマルシャF1チームとなり、この年としのマシン「MR01」はシモンズの指揮しきによりデザインされた。2013年ねんには、シモンズが正式せいしきにマルシャのテクニカルディレクターに就任しゅうにんし、チームに帯同たいどうすることになった。

ウィリアムズ時代じだい（2013年ねん - 2016年ねん）

マルシャへの正式せいしき就任しゅうにんから数すうか月げつ後ご、シモンズはチームとの契約けいやくを解消かいしょうし、ウィリアムズF1の技術ぎじゅつ部門ぶもんを指導しどうするチーフテクニカルオフィサーに就任しゅうにんすることになった。同年どうねんシーズン終了しゅうりょう後ごには3年ねん契約けいやくを交かわし、翌よく2014年ねんからのチーム再さい浮上ふじょうに貢献こうけんしたが、契約けいやくが満了まんりょうする2016年ねんをもって離脱りだつすることになった。

F1チーム離脱りだつ以降いこう（2017年ねん - 現在げんざい）

2017年ねんからSky Sports F1のアナリスト兼けんコメンテーター（解説かいせつ者しゃ）を務つとめ、さらにF1委員いいん会かいの役職やくしょく（後のちにチーフテクニカルオフィサー）にも就任しゅうにんした。

2024年ねん5月、F1参戦さんせんを目指めざすアンドレッティ・オートスポーツと契約けいやくを結むすんだ。同どうチームでは「エグゼクティブ・エンジニアリング・コンサルタント」の肩書かたがきでチーム運営うんえいに関かかわる。

評価ひょうか

ロス・ブラウンの影かげに隠かくれがちだが、シモンズもミハエル・シューマッハのベネトン在籍ざいせき時じからレース戦略せんりゃくの立案りつあんに関かかわっており、レース戦略せんりゃくの分野ぶんやで一定いっていの評価ひょうかがある人物じんぶつの一人ひとりである。実際じっさい、ブラウンらの離脱りだつ後ごも、ベネトン、ルノーはしばしばその優すぐれた作戦さくせんによって他たチームに対たいして優位ゆういに立たっている。ミハエル・シューマッハはフェラーリ在籍ざいせき時じにロリー・バーン、ロス・ブラウンとともにシモンズの獲得かくとくをフェラーリに要請ようせいしていた。

関連かんれん項目こうもく

• F1関係かんけい者しゃの一覧いちらん