普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつ

普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつ（ふげんえんめいぼさつ、梵: Vajrāmoghasamayasattva ）は、仏教ぶっきょうにおける信仰しんこう対象たいしょうである菩薩ぼさつの一ひとつ。普賢菩薩ふげんぼさつの持もつ「延命えんめい」の功徳くどくを、密教みっきょうにおいて一ひとつの尊みこと格かくとして崇拝すうはいしたもの。種子しゅしはヨク（युः 、yuḥ）。

概説がいせつ

普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつ像ぞう（12世紀せいき、ボストン美術館びじゅつかん所蔵しょぞう）

大だい安楽あんらく不空ふくう真実しんじつ菩薩ぼさつは悟さとりを生うみ出だす智慧ちえを持もつとされ、この菩薩ぼさつが制定せいていした禅定ぜんじょうに入はいれば時ときの限界げんかいを超越ちょうえつした安楽あんらくな命いのちが生成せいせいされるとされることから「普ひろし賢けん延命えんめい」と呼よばれるようになった。

普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつは、普賢菩薩ふげんぼさつ（釈迦如来しゃかにょらいの脇わき侍さむらいであり、独どく尊みこととしても祀まつられる）から派生はせいした密教みっきょう系けいの菩薩ぼさつ像ぞうであり、除じょ災わざわい、長寿ちょうじゅなどを祈念きねんする修法しゅほう「普ひろし賢けん延命えんめい法ほう」の本尊ほんぞんとして造みやつこ像ぞうされる。

現世げんせい利益りえきの菩薩ぼさつと解釈かいしゃくされた普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつは、10世紀せいきから11世紀せいきにかけて日本にっぽんの宮廷きゅうてい社会しゃかいで盛さかんに信仰しんこうされた。 奈良なら県けん五條ごじょう市しの常つね覚寺かくじは普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつを本尊ほんぞんとする寺院じいんであり、現在げんざいこのような例れいはきわめて稀少きしょうである。

真言しんごん

• オン・バザラユセイ・ソワカ (Oṃ vajrāyuṣe svāhā)

絵画かいが・彫刻ちょうこく

普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつの像ぞう容ようには、胎蔵界かい曼荼羅まんだらの大だい安楽あんらく不空ふくう真実しんじつ菩薩ぼさつと同型どうけいの20臂ひじ像ぞうと、金きむ剛つよし薩埵と同様どうように金剛こんごう杵きねと鈴すずを持もつ2臂ひじ像ぞうがある。20臂ひじ像ぞうは真言しんごん系けい、2臂ひじ像ぞうは天台てんだい系けいとされる。 菩薩ぼさつの乗のる蓮華れんげ座ざは、真言しんごん系けい20臂ひじ像ぞうでは4頭とうの白しろ象ぞうによって支ささえられ、天台てんだい系けい2臂ひじ像ぞうでは3つの頭あたまを持もつ1頭とうの象ぞうが支ささえている。

絵画かいがでは、京都きょうと府ふの松尾寺まつのおでらの2臂ひじ像ぞう（国宝こくほう）、広島ひろしま県けんの持光寺じこうじの20臂ひじ像ぞう（国宝こくほう）のような名品めいひんがある。 また、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのボストン美術館びじゅつかんには12世紀せいきの普ふ賢けん延命えんめい菩薩ぼさつ像ぞうが収蔵しゅうぞうされており、3頭とう1体たいの象ぞうが菩薩ぼさつを支ささえることから台たい密みつ系けいの菩薩ぼさつであることがわかる。

彫像ちょうぞうとしては、奈良なら県けん法隆寺ほうりゅうじ大だい宝蔵ほうぞう殿どの（もと金堂こんどう安置あんち）の20臂ひじ像ぞうなどがあるが、遺のこ例れいはさほど多おおくない。

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  普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつ像ぞう 広島ひろしま・持光寺じこうじ蔵ぞう 平安へいあん時代じだい 国宝こくほう
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  普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつ像ぞう 京都きょうと・松尾寺まつおじ蔵ぞう 平安へいあん時代じだい 国宝こくほう
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  普ひろし賢けん延命えんめい菩薩ぼさつ像ぞう 奈良なら国立こくりつ博物館はくぶつかん蔵くら 鎌倉かまくら時代じだい 重要じゅうよう文化財ぶんかざい

関連かんれん項目こうもく

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