植木鉢うえきばち

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イギリスのバッキンガム・ガーデン・センターにならべられた植木鉢うえきばちのかずかず。

植木鉢うえきばち(うえきばち、えい: flowerpot)とは、植物しょくぶつえるためのはち容器ようき総称そうしょうである。

概説がいせつ[編集へんしゅう]

植木鉢うえきばちとは植木うえきくさはななど様々さまざま植物しょくぶつえるための容器ようき総称そうしょうである。植物しょくぶつ一般いっぱんてきり、そこから水分すいぶん養分ようぶん吸収きゅうしゅうするための土壌どじょう)が必要ひつようだが、それをたもってくれる容器ようきである。また植物しょくぶつ角度かくど位置いちたもってくれる。[ちゅう 1]

植物しょくぶつたねまき発芽はつが栽培さいばい育成いくせい展示てんじなど様々さまざま目的もくてきもちいられている。目的もくてきごとに様々さまざま分類ぶんるいがあり、たとえば植物しょくぶつ生育せいいく過程かていべつにみると、たねまきにもちいるものは「播種はしゅ(はしゅ)はち」、栽培さいばい途中とちゅうもちいるものは「仕立したばち(したてばち)」、仕立したてがったのちうつうつくしくせるためにもちいるものを「化粧けしょうばち」などと分類ぶんるいしている。また形状けいじょうによる分類ぶんるいほうなど、様々さまざま分類ぶんるいほうがある。→#分類ぶんるい

なお、日本にっぽんでは植木鉢うえきばちとプランターを形状けいじょうてき区別くべつすることがおおいが、欧米おうべいではあまり区別くべつをしない。「ぼん」ともび、古来こらい鉢植はちうえを「ぼんよう」とんだ。

植木鉢うえきばち基本きほんてき園芸えんげいてんホームセンターなどで購入こうにゅうできる。また、条件じょうけんたす様々さまざま容器ようきをそのまま転用てんようしたり、加工かこうして植木鉢うえきばちとすることも可能かのうである。

構造こうぞう材質ざいしつ[編集へんしゅう]

陶製とうせい植木鉢うえきばちいちれいゆたかはち
さかさにした状態じょうたい中央ちゅうおう排水はいすいあなひらいている
プラスチックせい植木鉢うえきばちざら
透明とうめい植木鉢うえきばち
スペインセビリア植木鉢うえきばち
構造こうぞう

植木鉢うえきばち上面うわつら部分ぶぶん開放かいほうされ、底面ていめんにはみずきのためのあなけられた構造こうぞう一般いっぱんてきである。つまり、用土ようどつね一定いってい水分すいぶんたもちつつ、余分よぶん水分すいぶん排出はいしゅつされるようになっている。また、底面ていめん平面へいめんではなく、周囲しゅういがり、部分ぶぶんてききをつくるなど、そこからのみずはけにも配慮はいりょされているものがおおい。これは、排水はいすいわるいと有害ゆうがいきん繁殖はんしょく老廃ろうはいぶつ有害ゆうがい物質ぶっしつなどの蓄積ちくせきすすむこと、またおおくの植物しょくぶつ呼吸こきゅうしているのでそれが阻害そがいされることなどから植物しょくぶつ生育せいいくわるくなるので、それをけるためのものである。したがって、この構造こうぞう合致がっちし、なおかつ有害ゆうがい物質ぶっしつ含有がんゆうしていなければ汎用はんよう容器ようき転用てんようしてもつかえない。しかし、欧米おうべいではあなひらいていない植木鉢うえきばちおおい。このようなものは鑑賞かんしょうときのみに使つかわれ、日本にっぽんでは植木鉢うえきばちカバーとなすこともあるが、欧米おうべいでは一般いっぱん区別くべつをしない。また、まったくたいらないたげても植物しょくぶつ栽培さいばいすることはでき、実際じっさい盆栽ぼんさいにはこのようなものもあり、これも特殊とくしゅながら植木鉢うえきばちびうるものだが、この場合ばあい自然しぜん排水はいすいするので排水はいすいあな不要ふようである。水草みずくさようはち排水はいすいあながないほういことがおおい。なお、側面そくめんこう排水はいすいあな植木鉢うえきばちまれにある。なお西欧せいおうでは、排水はいすいあなのある植木鉢うえきばちざらはち受皿うけざら)がセットになっているのが普通ふつうである。また鑑賞かんしょうばちではスタンド、だいがセットになっているものもすくなくない。

上端じょうたん周囲しゅういはややあつくなっているか、げてあるのが普通ふつうである。これは強度きょうど保持ほじはこびのあつかいやすさのためである。

えにくらべれば、培養ばいよう容量ようりょうかぎられるので地下ちか生育せいいくには限度げんどがあり、そのため地上ちじょう小型こがたすることがおおい(はな小型こがたしないことがおおく、むしろ施肥せひなどの管理かんり左右さゆうされる)。しかし、むしろそれを積極せっきょくてき利用りようすることもおおく、場合ばあいによっては盆栽ぼんさいのように、あえてちいさめの植木鉢うえきばちえ、さらめたりして地上ちじょう生育せいいく抑制よくせい矮小わいしょうさせる技術ぎじゅつさかんにおこなわれる(めるのはしん発生はっせいうなが意味いみもある)。地上ちじょう剪定せんていしたり成長せいちょう抑制よくせいホルモン使用しようすることもある。

さらに、その土質どしつ環境かんきょうでは栽培さいばいできないものでもはち培養ばいようやそのしょ管理かんりなどを調節ちょうせつすることで栽培さいばい可能かのうにするとめんもあり、特殊とくしゅ条件じょうけんもとめる植物しょくぶつであっても鉢植はちうえならば栽培さいばい可能かのうになるれいすくなくない。おおくのようラン着生ちゃくせい植物しょくぶつだが、鉢植はちうえで栽培さいばいされている。

材質ざいしつ

栽培さいばいよう観賞かんしょうようなど、その目的もくてきおうじて材質ざいしつ多岐たきにわたるが、とく陶磁器とうじき非常ひじょうおおい。なかでも土器どき陶器とうきおおく、その理由りゆうとしては保水ほすい排水はいすい通気つうきのバランスがよいこと、美観びかんてき植物しょくぶつによくなじむこと、直射ちょくしゃ日光にっこうみずたいして丈夫じょうぶなこと、比較的ひかくてき安価あんか大量たいりょう供給きょうきゅうができることなどによる。とく素焼すやテラコッタ)のもの(つまり釉薬をかけないもの)は通気つうきく、はち表面ひょうめんからの水分すいぶん蒸散じょうさんによりはちないれにくく、おおくの植物しょくぶつ育成いくせいてきしている。ただし素焼すやきのものはかわきやすいこと、れやすいことと美観びかんおと欠点けってんがある。

一般いっぱんられている素焼すやばちのうち、桟の部分ぶぶんのみ上薬うわぐすりってあり、全体ぜんたいあかみがかったものはゆたかはちばれる。一般いっぱんてき素焼すやばちやく700℃なのにたいし、ゆたかばちやく1000℃の高温こうおんかれているので、れにくく丈夫じょうぶであるが、通気つうきせい若干じゃっかんおとる。いいかえると、みずちがい。

育苗いくびょうのためには、かつては素焼すやきばち上述じょうじゅつゆたかはち主流しゅりゅうであったが、現在げんざいビニールポット圧倒的あっとうてきである。また、パルプやピート(泥炭でいたん)をプレスしてつくった育苗いくびょうようはちもある。これらは時間じかんがたつと次第しだい腐食ふしょくして同化どうかするので、かずにそのままえしたり、さらおおきなはちうつえることができ、いためることがすくない。ただしこれらは短期間たんきかんしか使用しようできずかえして使つかうこともできない。

西欧せいおう観賞かんしょうよう植木鉢うえきばちとしては、庭園ていえんようにはいしせい土器どきせい青銅せいどうせいてつせいのものがおおかった。室内しつないようとしてはマヨリカなどの陶器とうきのほか磁器じき炻器おおい。このほか七宝しっぽうや、真鍮しんちゅうどうすずなどの金属きんぞくせい木製もくせいのものもられる。まれにガラスせいのものもある。

中国ちゅうごくではけいとくなどの磁器じき宜興いいしんなどのしゅどろむらさきどろ盆栽ぼんさいらん栽培さいばいようつくられている。日本にっぽんでは伊万里焼いまりやきなどの磁器じき常滑とこなめしょうしゅどろ信楽焼しがらきやきなどが盆栽ぼんさいに、丹波たんばしょうしょうしめ楽焼らくやき信楽焼しがらきやきなどの陶器とうき宿根草しゅっこんそう山野やまのくさようつくられる。一般いっぱん草花くさばなようはち信楽しがらきのものがおおい。このほか埼玉さいたまけん愛知あいちけんなどのかわら土管どかんのメーカーによってつくられている植木鉢うえきばちもある。また軽石かるいし整形せいけいしてつくられるものもある。

現代げんだいでは合成ごうせい樹脂じゅし発達はったつにより、プラスチックビニールせい植木鉢うえきばちえている。安価あんかかるいなどの利点りてんがあるが、通気つうきせい耐久たいきゅうせい高級こうきゅうかんとぼしく、陶磁器とうじきせい植木鉢うえきばち駆逐くちくするまでにはいたっていない。しかし先述せんじゅつのように生産せいさん農家のうかなどではビニールせいだい部分ぶぶんめる。また屋外おくがいようのものとしてコンクリートせいのものもあるが、石灰せっかいぶんきら植物しょくぶつにはてきさない。

このほか、アワビシャコガイなどおおきめの貝殻かいがらや、ヘゴみきをくりいたり、ヤシからたけつつとう自然しぜんぶつ利用りようすることもある。

歴史れきし[編集へんしゅう]

園芸えんげいにとって、植木鉢うえきばちはなくてはならない存在そんざいである。もともと園芸えんげいとく都市としおこなわれる場合ばあい庭園ていえんという場所ばしょ必要ひつようとする関係かんけいじょう造園ぞうえんじゅつ密接みっせつであり、その統率とうそつにあったとっても過言かごんではない。しかし植木鉢うえきばち登場とうじょうにより、造園ぞうえんじゅつ束縛そくばくはなれて、単独たんどく文化ぶんかとして存在そんざいすることが容易よういになったとうことができる。

植木鉢うえきばち起源きげんあきらかではないが、屋外おくがい放置ほうちした土器どきたまり、そこにどこからか種子しゅしんでちたか、あるいは果実かじつかす種子しゅしてたかしてそだったのにヒントをたのではないかとかんがえられる。そもそも用途ようと容器ようきからの流用りゅうよう簡単かんたんであることもあり、古代こだい文明ぶんめいにはすでに植木鉢うえきばち存在そんざいしていたおもわれるが、資料しりょうはほとんどない。中国ちゅうごくでは盆栽ぼんさいがたであるぼんやしなえおそくともとうだいにはおこなわれていたようであり、そうだいには確実かくじつ植木鉢うえきばちによる栽培さいばいおこなわれていた。

日本にっぽんでは、平安へいあん時代じだいにはぼんやしなえおこなわれ、くだって鎌倉かまくら時代ときよ上野うえのこく佐野さのむある零落れいらくした武士ぶし夫妻ふさいが、だいゆきばんたびそう宿やどわれ、大切たいせつにしていた秘蔵ひぞう鉢植はちうえのうめさくらまつ饗応きょうおうのためにたきぎにしてしまうが、このおかげでのち出世しゅっせするというすじのうはち」(のうとしては室町むろまち時代じだい)は有名ゆうめいである。このことから、すでに鎌倉かまくら時代じだいには鉢植はちうえ(ぼんよう)が趣味しゅみ園芸えんげいとしておこなわれていたことがうかがえる。

また日本にっぽん江戸えど時代じだい園芸えんげい非常ひじょう興隆こうりゅうした時代じだいであるが、えよりは鉢植はちうえの文化ぶんかであるとってもよく、それは、小型こがた植物しょくぶつおお愛好あいこうされたこと、はな非常ひじょうにデリケートなよし追求ついきゅうされ、風雨ふううから保護ほごしたり、屋内おくないんだりしてじっくりとちかくではな鑑賞かんしょうする方向ほうこう育種いくしゅすすんだからである。ほかにも当然とうぜん移動いどう容易よういなこともおおきい。参勤交代さんきんこうたいによりつね自国じこく江戸えどしなければならない大名だいみょうやその家臣かしんにもはなきがおおく、その都度つど移動いどうできる鉢植はちうえは便利べんりであった。またしばしばおこなわれた「花合はなあわせ(品評ひんぴょうかい)」への出品しゅっぴんのため、大阪おおさかから江戸えど朝顔あさがお鉢植はちうえをはやおくった豪商ごうしょう愛好あいこうもいた。こうして鉢植はちうえによる栽培さいばい将軍しょうぐん大名だいみょうから庶民しょみんいたるまで幅広はばひろおこなわれていた。

庶民しょみん普通ふつう使つか植木鉢うえきばちや、繁殖はんしょく初期しょき育成いくせいなどのためには、にち用品ようひんてき素焼すやきはち陶器とうきばちもちいられていた。江戸えど下町したまちでの鉢植はちうえのあるきなどでられたものには「ばち」とばれる素焼すやき植木鉢うえきばち使つかわれていた。江戸えどでは今戸いまどしょう有名ゆうめいであるが、このような用品ようひんてき植木鉢うえきばち各地かくちかま製造せいぞうされていたとおもわれる。瀬戸焼せとやき陶器とうきばちもよくもちいられ、本来ほんらい容器ようきであったものに排水はいすいあなけたものもしばしばられる。入谷いりや朝顔あさがお明治めいじ時代じだい初期しょきはじまったものであるが、やはり今戸いまどしょう植木鉢うえきばち使つかわれていた。当時とうじはち現在げんざいのようなかたしではなく、轆轤ろくろ(ろくろ)をもちいて制作せいさくされていた。これら現在げんざいほとんどのこっていず、ごくまれ今戸いまどしょうはち盆栽ぼんさい使つかわれている程度ていどである。

またそればかりでなく、おおくの盆栽ぼんさい高価こうか取引とりひきされたので、とく江戸えど時代じだい中期ちゅうきいたると植木鉢うえきばち伊万里焼いまりやきしみづけなど、それに見合みあ立派りっぱ陶磁器とうじきのものが製作せいさくされた。当時とうじ錦絵にしきえなどをると、じつ多様たようはち植物しょくぶつえられていることがれる。それらのおおくは陶磁器とうじきであるが、木製もくせい金属きんぞくせいのものもられる。それらのなかには中国ちゅうごく磁器じきもあるであろうが、日本にっぽんせい陶磁器とうじきおおかったとおもわれ、古伊万里こいまり楽焼らくやき植木鉢うえきばちをしばしばることがある。また大名だいみょう趣味しゅみいたにわしょうのようなものもある。一方いっぽうあわ花色はないろおおサクラソウひとしでは、花色はないろかすためもあり、茶道さどう茶道具ちゃどうぐにもつうずるわびた風情ふぜい陶器とうきばち愛用あいようされるれいられる。江戸えど時代じだい園芸えんげいは、これら多様たよう陶磁器とうじきばちささえられていた。とくにこの時代じだいには各地かくち窯業ようぎょうさかんになったこととも関係かんけいしているのであろう。このほか、はこ植物しょくぶついしミニチュア建築けんちくぶつとうはいして景色けしきした箱庭はこにわつくられた。

ヨーロッパのバロックしき庭園ていえんでは、大理石だいりせき青銅せいどうなどでできた古代こだいギリシアふうかざばちがしばしば設置せっちされていた。また16世紀せいきごろから園芸えんげい急速きゅうそく発展はってんし、イタリアではマヨリカせい植木鉢うえきばち使つかわれた。イギリスやベルギーとうでもやはり植木鉢うえきばち栽培さいばいする植物しょくぶつとくはやくから育種いくしゅされた。イギリスとうでははじめのうち素焼すやきかざのないはち普通ふつうであったが、次第しだい展示てんじようかざばち発達はったつし、とく18世紀せいきから19世紀せいきのヨーロッパでは豪華ごうか調度ちょうどなかでもけをとらないよう、マイセンセーヴルウェッジウッドをはじめとする著名ちょめいかまなどでも豪華ごうか装飾そうしょくされた磁器じき炻器陶器とうきかざばち製作せいさくされた。とくジャスパーウェアには茶器ちゃきつぼなどにじって植木鉢うえきばちもしばしば散見さんけんされる。またとくフランスときおりかけるものに、木製もくせいでもマホガニーひとし使つかった豪華ごうかなものがあり、ぎんせい真鍮しんちゅうせいったデザインのものもすくなくない。この時代じだい産業さんぎょう革命かくめい進展しんてんにより、ガラス鉄材てつざい大量たいりょう生産せいさん可能かのうとなり、温室おんしつ普及ふきゅう、また一般いっぱん建築けんちくでもガラスの多用たようにより室内しつないあかるくなり、これらにおいて室内しつないでの植物しょくぶつ栽培さいばいえ、植木鉢うえきばち需要じゅようした。

19世紀せいきはいり、西欧せいおうでは近代きんだいてき生産せいさん園芸えんげい発展はってんし、大量たいりょう育苗いくびょうよう植木鉢うえきばち必要ひつようになり、これにわせてイギリスで素焼すやきばち大量たいりょう生産せいさんはじまる。こうして生産せいさんされたはち園芸えんげい業者ぎょうしゃ植民しょくみんプランテーションとう大量たいりょう消費しょうひされた。やがて日本にっぽんでも素焼すやきばち大量たいりょう生産せいさんされ、この状態じょうたいだい大戦たいせんとく昭和しょうわ40年代ねんだい以降いこうビニールポットってわられるまでつづいた。

アメリカでは19世紀せいきまつから陶器とうき製造せいぞう会社かいしゃがいくつかまれ、四半世紀しはんせいきほどのあいだ世界せかい有数ゆうすう陶器とうきメーカーに成長せいちょうする。アメリカではひろ住宅じゅうたくかざるのに装飾そうしょくよう植木鉢うえきばち重要じゅうようなアイテムであり、これらのメーカーにとって、装飾そうしょくよう植木鉢うえきばち主力しゅりょく商品しょうひんのひとつであった。しかしだい大戦たいせん安価あんか日本にっぽん陶器とうき輸入ゆにゅうとプラスチック製品せいひん普及ふきゅうにより急速きゅうそく衰退すいたいした。現在げんざいイギリス、イタリア、日本にっぽんなどで素焼すやき陶器とうき植木鉢うえきばちがよく生産せいさんされている。中国ちゅうごくでも宜興いいしん中心ちゅうしん生産せいさんさかんで、このほか最近さいきんではタイせいヴェトナムせいマレーシアせいなどの磁器じき植木鉢うえきばちもよく輸入ゆにゅうされている。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

栽培さいばいばち鑑賞かんしょうばち[編集へんしゅう]

植木鉢うえきばちは、植物しょくぶつ生理せいり合致がっちすることと、はちそのものの美観びかんという2つの条件じょうけんたされることが重要じゅうようである。これらのどちらかに重点じゅうてんくかにより、栽培さいばいようはち装飾そうしょく展示てんじようはちがある。ビニールポットやゆたかばちはもっともシンプルな栽培さいばい専用せんようばちであるが、一般いっぱんてきには両者りょうしゃねているものがおおい。欧米おうべいでは装飾そうしょく専用せんようはち発達はったつしており、鑑賞かんしょうてきした状態じょうたいになった植物しょくぶつ栽培さいばいようはちのまますっぽりおさめるか、えて使用しようする。またばなけるためなどにも使用しようする汎用はんようてきなものであり(つまり排水はいすいあながないものがおおい)、うつくしく装飾そうしょくされたものがおおく、はちそのものが観賞かんしょうこたえうる美的びてき価値かちっている。このようなものを英語えいごでは"Jardiniere"または"Cache pot"とび、栽培さいばいようのものは"Planter"、"Flower pot"とううことがおおいが、それほど厳密げんみつ使つかけられてはいない。たかだいとセットになっていることもある。一方いっぽう盆栽ぼんさいなどの日本にっぽん中国ちゅうごく伝統でんとうてき園芸えんげいでは、植物しょくぶつはちがよくなじんで一体いったいすることが重要じゅうようなので、このようなかざばちはあまり使つかわれないが、植物しょくぶつうつくしさをてつつ、しかもそれに見劣みおとりしない風格ふうかくゆうするはちであることが重要じゅうようである。

形状けいじょうによる分類ぶんるい[編集へんしゅう]

朝顔あさがおがた
西欧せいおう庭園ていえんでは、ふるくからおさむけいようおおきな植木鉢うえきばちかれることがおおく、このようなもののおおくは、くち朝顔あさがおじょうひらいた古代こだいギリシアのつぼした形状けいじょうをしており、植木鉢うえきばちとしてだけでなく花瓶かびんとしても使つかわれる。室内しつないようのものもあり、把手とってだいがついていることがおおい。
おけかたつつがた
栽培さいばいよう植木鉢うえきばちとしてもっと一般いっぱんてきなものである。くちかってややひろがっていくかたちのものがもっとおおく、また使つかいやすい。把手とってあしがついているものもある。
びんかたたるかた
くちがややすぼまった形状けいじょうのもので、かざばちおおい。欧米おうべいではだる中国ちゅうごく金魚鉢きんぎょばち日本にっぽん火鉢ひばちびん流用りゅうようすることもしばしばある。排水はいすいあながなく、花瓶かびん兼用けんようのものもおおい。
はこかた
立方体りっぽうたい、または左右さゆう上下じょうげなが直方体ちょくほうたいで、日本にっぽんでプランターとばれるものには長方おさかたたいのものがおおいが、英語えいごでは"Planter"と"Flower pot"に形状けいじょうてき区別くべつはない。これも実用じつようてき使つかいやすいもので、木製もくせい金属きんぞくせい、プラスチックせいのものもおおい。よく道端みちばたさかな発泡はっぽうスチロール容器ようきばこ転用てんようしているものがられる。上下じょうげながはこがたのものとしては盆栽ぼんさいよう懸崖けんがいばちれいられる。
楕円だえんとうがた
センターピースとして使つかわれる豪華ごうかかざばちおおい。たいあし把手とってがついているものがおおい。
さらかた
たかさよりも直径ちょっけいがはるかにおおきいもので、「あさはち」、さらたいらなものは「平鉢へいばち」ともばれる。盆栽ぼんさいばちやシダばち播種はしゅようはち(パン)におおい。えん楕円だえん長方形ちょうほうけい多角たかくがた色々いろいろかたちのものがある。あしのついているものもおおい。
わんかたぎゃく円錐えんすいがたかくかた
そこたいらではないもので、高台たかだいがないものもあり、おおくがはちもちいられる。またたて半分はんぶんったかたちのものがウォールポケットにもちいられる。
いたがた
広義こうぎ植木鉢うえきばち範疇はんちゅうふくまれるものとかんがえて、ヘゴなどからつくった通気つうきせいのあるいたに、ランなどの着生ちゃくせい植物しょくぶつ水苔みずごけとうけるもの。垂直すいちょく使用しようするので、根付ねつくまでは針金はりがねとう植物しょくぶつ固定こていする。また水平すいへい方向ほうこうでの利用りようとして、とくくさもの盆栽ぼんさいで、ほとんどたいらな陶板とうはん自然しぜんせきいたけるものもある。
擬物まがいものがた
動物どうぶつ人間にんげんかいかぶ器具きぐなどの形状けいじょうしたもの、また人間にんげんはちかかえたりしているデザインのものも近年きんねん非常ひじょうおおい。
不定ふていがた
いしをそのままくりいたもの、流木りゅうぼく大型おおがた貝殻かいがらなどの自然しぜんぶつ流用りゅうよう、また整形せいけい陶器とうきなど。イワヒバかたまりこけだまひろ意味いみ植木鉢うえきばちえる。

このほかはば奥行おくゆきにたいたかさの比率ひりつおおきい(見込みこみふかい)はちを「ふかはち」とう。

用途ようとによる分類ぶんるい[編集へんしゅう]

はち
一般いっぱんてきな、たい地面じめんいて使用しよう鑑賞かんしょうするはち
つりはち
天井てんじょうのきからつりげて栽培さいばい鑑賞かんしょうするはち
ウォールポケット
屋外おくがい室内しつないかべにかけて栽培さいばい鑑賞かんしょうするはち

また、特定とくてい植物しょくぶつよう、ジャンルようとくしたものもられる。これらはその植物しょくぶつ生理せいり形状けいじょうわせたり、視覚しかくてき効果こうかねらってつくられている。

  • 盆栽ぼんさいばち - さまざまなかたちがあるが、あさいものがおおい。懸崖けんがいようたかさの比率ひりつおおきいはちを「懸崖けんがいばち」という。
  • 朝顔あさがおはち
  • きくはち
  • 桜草さくらそうはち - もともと瀬戸焼せとやき陶器とうきで、にち用品ようひんとしての容器ようきまごはん(まごはんど)」を流用りゅうようしたもの。形状けいじょういろ保水ほすいせいなどがサクラソウに合致がっちしていたため愛用あいようされた。現在げんざいはこれにせた陶器とうき製作せいさくされる。
  • らんばち - ラン植物しょくぶつおおくが十分じゅうぶん通気つうき必要ひつようとするうえ、高価こうかなものもおおいので、独特どくとくはち用意よういされる。
    • 東洋とうようランはちでは、こしたかはちこのまれる。やや縦長たてなが、あるいは細長ほそなが本体ほんたいに、ながあしがついて、接地せっちめんからそこたかげる。また、そこあなおおきめである。また、えん幅広はばひろており、これをわくっかけるようにしてちゅうづり状態じょうたい栽培さいばいすることもよくある。
    • ようラン場合ばあいだい部分ぶぶん着生ちゃくせい植物しょくぶつであるから、空気くうき必要ひつようとする程度ていどはげしく、はちそこではなく、側面そくめんにスリットじょうあなもうけたはちもある。
東洋とうようランようらんはち
寒蘭かんらん展示てんじかいにて


  • 睡蓮すいれんはち
  • 水栽培みずさいばいグラス
  • バルブポット
  • ビニールポット - 軟質なんしつプラスチックせいのものをう。黒色こくしょくのものがよくられており、なえなど多量たりょう栽培さいばいする場合ばあいに、かるくてあつかいやすいためもちいられる。ポリポットともばれる[1]

また、植木鉢うえきばち保温ほおんようのカバーがわされているものもある。ワーディアンケース、アクアリウムもその意味いみ植木鉢うえきばち一種いっしゅともいうる。

おおきさ、サイズ[編集へんしゅう]

植木鉢うえきばちおおきさは、える植物しょくぶつたいおおきさやかずにほぼ対応たいおうしてめられる。こまかくいえば、美的びてきバランス、植物しょくぶつ地下ちか形態けいたいりょう、また培養ばいようそう保水ほすいりょう植物しょくぶつ生活せいかつ必要ひつよう水分すいぶんりょうとのバランスなどでほぼまる。もちろん灌水りょうしょ環境かんきょうとうである程度ていど調節ちょうせつできるので、それほど厳格げんかくなものではない。植木鉢うえきばちさい上部じょうぶえん直径ちょっけいはかりサイズをめる。

さまざまなおおきさのものがあり、ちいさなものではミニ盆栽ぼんさいよう直径ちょっけい3センチメートルほどのものから、巨大きょだいなものでは1メートル以上いじょうのものまである。だいはち中鉢ちゅうばち小鉢こばちというかたもあるが絶対ぜったいてきなものではない。一般いっぱんてき園芸えんげいでは、およそ直径ちょっけい15センチメートルから20センチメートル前後ぜんこう中鉢ちゅうばち、30センチメートル程度ていど以上いじょうだいはちばれることがおおい。いちごう一寸いっすんは3cmほどたかさがおなじでも、直系ちょっけいちがえばごうすうことなる。日本にっぽんでは、一般いっぱんてき植木鉢うえきばち完全かんぜん正確せいかくではないが尺貫法しゃっかんほう準拠じゅんきょした規格きかく製作せいさくされていることがおおい。たとえば「さんごうはち」は口径こうけいやくさんすん、「ななごうはち」はおなじくやくななすん、「じゅうごうはち」または「しゃくはち」は口径こうけいやくじゅうすんいちしゃく)という具合ぐあいである。ごう以下いかではふんずつちいさなサイズがあることがおおい。おなじようにイギリスのふる植木鉢うえきばちでは、同様どうようにほぼインチフィートにしたがっていることがおおい。

植木鉢うえきばちのサイズのれい[編集へんしゅう]

ごうすうに3をかけるとセンチメートル単位たんいとほぼ同等どうとうになる。
いちごう
3cm
さんごう
9cm
はちごう
24cm
じゅうごう
36cm
じゅうごう
45cm

となる。

使用しようほう[編集へんしゅう]

培養ばいようもちいて植物しょくぶつはちみ、適当てきとう管理かんりおこなう。用土ようど管理かんり方法ほうほうは、当然とうぜんながら植物しょくぶつによっておおいにことなるが、おおよそ共通きょうつうするのは以下いかのようなてんである。

はち選択せんたく[編集へんしゅう]

多湿たしつこの植物しょくぶつかわきにくく排水はいすい水分すいぶん蒸散じょうさん過剰かじょうでないもの、乾燥かんそうこの植物しょくぶつはそのぎゃくなど、植物しょくぶつ水分すいぶん要求ようきゅうによって使つかけることがある程度ていど必要ひつようで、現実げんじつにこのような植物しょくぶつとくした植木鉢うえきばちもよくられるが、培養ばいよう吟味ぎんみ、灌水や栽培さいばいじょう環境かんきょうなどでかなり調節ちょうせつはできる。むしろ、地下ちか形状けいじょうおおきさによる容量ようりょう注意ちゅういする必要ひつようがある。たとえばシャクヤクフクジュソウなどながいひげ植物しょくぶつにはおおきめのはち地下茎ちかけいよこ繁殖はんしょくしやすい植物しょくぶつにはふかさよりもひろさのあるはち、ゴボウじょうちょくつものにはふかはち必要ひつようである。一方いっぽう着生ちゃくせい植物しょくぶつ一部いちぶ食虫植物しょくちゅうしょくぶつなど地下ちかのあまり発達はったつしない植物しょくぶつでは、重心じゅうしん美的びてきバランスを考慮こうりょしなければちいさなはちでも場合ばあいもある。またティランジアのように植木鉢うえきばちをあえて必要ひつようとしない着生ちゃくせい植物しょくぶつもある。

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  • える植物しょくぶつげ、根本こんぽん掃除そうじして、枯葉かれはくさったのぞく。
  • はちそこあなにふたをする。はちそこのふた専用せんよう陶器とうきせいなどのものもあるが、用土ようどふくまれるおおきめの小石こいしかわらのかけら、あるいはこわれた植木鉢うえきばち破片はへんなどがよく使つかわれる。
  • そこから用土ようどめる。ややおおきめの粒子りゅうしかられてゆく。適当てきとうはいったら、植物しょくぶつはちなかひろげ、あらためて用土ようどれる。のすきにうまく用土ようどはいるように、へらなど使つかうこともよくおこなわれる。用土ようどまないようにやわらかくれる。成長せいちょう途中とちゅうなえたおれないよう、あるいはつるせい植物しょくぶつのため、支柱しちゅうてることもおおい。

仕上しあ[編集へんしゅう]

  • はち表面ひょうめんまで用土ようどれる。表面ひょうめんかざりのすなれる場合ばあいもある。
  • しっかりみずふくませる。場合ばあいによっては、はちみずしずませてげる。
  • くまでは、やや日陰ひかげみずをしっかりやって管理かんりする。

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はち用土ようどわるくなったり、植物しょくぶつおおきくそだったりすると、えをする。はちから植物しょくぶつ用土ようどのままし、ふる用土ようどて、根本こんぽん掃除そうじをして、あたらしいはちえなおす。えの時期じきは、大抵たいてい植物しょくぶつ活動かつどうにぶっている時期じきである。このときに株分かぶわおこなうのもよくあることである。

展示てんじ鑑賞かんしょう[編集へんしゅう]

鉢植はちうえをよりうつくしく演出えんしゅつするため、古来こらいから展示てんじ方法ほうほうもさまざまに工夫くふうされてた。しかし、場合ばあいによってははちかく演出えんしゅつられる。

室内しつないとう鑑賞かんしょうする場合ばあい排水はいすいあなからなが余剰よじょうみずけるための受皿うけざら併用へいようすることがおおい。欧米おうべいでは、排水はいすいあなのある植木鉢うえきばちには普通ふつうおな材質ざいしつ、デザインの受皿うけざらがセットで製造せいぞう販売はんばいされることがおおい。その場合ばあい受皿うけざら口径こうけい原則げんそくとして植木鉢うえきばち口径こうけいひとしい。さら受皿うけざらしたに、ぬのくこともある。ある程度ていどまとまったかず植木鉢うえきばち陳列ちんれつするときは、すうはちぶんおさまるおおきな金属きんぞくせい受皿うけざら使つかうこともある。

培養ばいよう表面ひょうめんには、化粧けしょうすなほどこされることもある。おおくは植物しょくぶつめい品種ひんしゅめいしるした名札なふだ、ネームプレートがはちえん設置せっちされる。これらは現代げんだいではプラスチックせいおおいが、ったものではうるしりや陶磁器とうじきのものがある。

ゆたかばちやビニールポットの場合ばあいはちカバーを使つかうこともある。また欧米おうべいでは鑑賞かんしょうばちにすっぽりとおさめてかざることもおおい。

欧米おうべい大型おおがた鑑賞かんしょうばちは、単独たんどくゆか直接ちょくせつ設置せっちする場合ばあいは、椅子いす生活せいかつスタイルから、たかすうじゅうセンチメートルのスタンドが使つかわれる。これも植木鉢うえきばち同質どうしつどうでセットになっていることがおおいが、とうべつつくられるものもある。またはちとスタンドが一体化いったいかしてつくられているものもある。センターピースとして卓上たくじょうかざるものは、脚付あしつきのだい付属ふぞくしていることがある。

盆栽ぼんさいでは、室内しつないではおおくの場合ばあい入念にゅうねん装飾そうしょくほどこされた紫檀したんなどの唐木とうぼくつくられただい設置せっちし、そのうえくことがおおい。だいおお植木鉢うえきばちかたちわせたものがもちいられる。

古典こてんきくでは、屋外おくがいに「花壇かだん」とばれる横長よこなが長方形ちょうほうけい展示てんじじょう設営せつえいする。三方さんぽうをよしずでかこい、屋根やねもうけ、背景はいけいには障子しょうじはいすることもある。植木鉢うえきばちさんれつかられつならべ、地面じめんるかげてみ、地面じめんから植物しょくぶつえているようにせることもある。肥後ひご花菖蒲はなあやめ肥後ひご朝顔あさがおでは室内しつない毛氈もうせんき、いちれつはちならべ、背後はいごには屏風びょうぶてる。オモトとうでは、いちはちずつ木製もくせいだいせることがおおい。サクラソウでは、屋外おくがいに「花壇かだん」とばれる屋根やね展示てんじだいつくる。きく花壇かだん類似るいじするがだんたなち、33はちから36はち陳列ちんれつする。

イギリスのオーリキュラなどは18世紀せいきから展示てんじだい多数たすう鉢植はちうえを陳列ちんれつした。これを舞台ぶたい見立みたてて、「シアター」または「ステージ」とび、豪華ごうか装飾そうしょくほどこし、実際じっさい劇場げきじょうのようにオペラカーテンをそなえたり、ランプをそなけて照明しょうめいするものもあり、背景はいけいには風景ふうけいえがいたり、かがみってうしがわえるようにしたり、くろヴェルヴットおおはなきたせたりするなどのこころみがおこなわれた。

この園芸えんげい進展しんてんわせ、ヴィクトリア時代じだいにはとく金属きんぞくせい洒落しゃれ植木鉢うえきばちスタンドが流行りゅうこうし、おおくはすうだんからなる角形かくがた円形えんけい半円はんえんがたなどのさまざまなものが市販しはんされていた。また、水槽すいそうとりかご噴水ふんすい彫刻ちょうこくなどとセットになったものもあった。

イベントてきはな展示てんじかいでは統一とういつかん演出えんしゅつのため、おおくの鉢植はちうえを樹皮じゅひチップとうですっかりおおい、同一どういつ地面じめんからえているようにせかける手法しゅほうもよくられる。

なお、工芸こうげいしなとして、それのみで鑑賞かんしょうあたいする植木鉢うえきばちすくなくないが、全体ぜんたいてき植木鉢うえきばちにち用品ようひんあつかいされ、一般いっぱん陶芸とうげい世界せかいでは植木鉢うえきばち重視じゅうしされていないことがおおい。

問題もんだいてん[編集へんしゅう]

植木鉢うえきばちにとって不可避ふかひてき問題もんだいてんは、施肥せひみずりの失敗しっぱいなどによるぐさなど、管理かんりしゃせめすべき事由じゆうのぞくと、植物しょくぶつたいとく成長せいちょうによってしょうじる植木鉢うえきばち内壁ないへきとの密着みっちゃくにより、えなどのさい植物しょくぶつたいはちから抜去ばっきょするのが非常ひじょう困難こんなんになることである。

この現象げんしょう発育はついくともない、植木鉢うえきばち内壁ないへきあたえる圧力あつりょく上昇じょうしょうすることと、植木鉢うえきばち内壁ないへき密着みっちゃくすることによる、静止せいし摩擦まさつりょく増大ぞうだいによる。このような状態じょうたいになると植物しょくぶつたい無傷むきず植木鉢うえきばちから抜去ばっきょすることが非常ひじょう困難こんなんになるので、たいてい、陶磁器とうじきばち場合ばあいはちったり、またプラスチックばち場合ばあいはハサミなどではちって除去じょきょすることとなる。植物しょくぶつたい生育せいいくいちじるしい場合ばあいは、植木鉢うえきばち壁面へきめん亀裂きれつしょうじたりれたりするひとしの「はちれ」という現象げんしょうこる。とく陶磁器とうじきばち場合ばあい内圧ないあつよわいため、比較的ひかくてきよくはちれをこす。また陶磁器とうじきばちでは、はち壁面へきめん亀裂きれつはいってはいるがれきらずにいる、という現象げんしょうもよくられる。しかし、この「はちれ」という現象げんしょう逆手さかてることで、あらかじめはちかべれているはちつくることができる。その製法せいほうは、はちれをこしたはち前述ぜんじゅつの「壁面へきめん完全かんぜん破断はだんしていない状態じょうたいはち」では、亀裂きれつ走行そうこう方向ほうこう延長線えんちょうせんじょうかるたたくことにより亀裂きれつ自体じたい成長せいちょうさせ、はち上手じょうずる)から植物しょくぶつたい抜去ばっきょし、接着せっちゃくざいとうれを補修ほしゅうし、はち外周がいしゅうにナイロンバンドをくなどして保持ほじすることにより完成かんせいする。このはち特徴とくちょうは、発育はついくにより容易よういれることである。つまり万一まんいちはちれをこすほど植物しょくぶつたい旺盛おうせい発育はついくしたとしても、接着せっちゃくざい接合はぎあわした部分ぶぶん無傷むきずはちよりもはるかにひく圧力あつりょくれることで、へのストレスが軽減けいげんされることである。このようなはちを「カチはち」としょうする。しかし見栄みばえのてんから現在げんざい市販しはんはされていない。なお、植物しょくぶつたい)を植木鉢うえきばちから抜去ばっきょする方法ほうほうとしては、たけべらやうすくて弾性だんせい金属きんぞくばん(8ごうはち以上いじょう大型おおがたかぶでは建築けんちくよう曲尺かねじゃくこう結果けっか)を植木鉢うえきばち内壁ないへきといわゆる「ばち」のあいだ挿入そうにゅうして左右さゆうにこじることをはちぜんしゅうにわたりかえし、植木鉢うえきばち内壁ないへきとの密着みっちゃくをはがす方法ほうほうもある。ただこの方法ほうほうではいためやすいことに留意りゅういする必要ひつようがある。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 植木鉢うえきばちしの状態じょうたい、つまり植物しょくぶつがついただけの状態じょうたいのものをたとえばコンクリートやタイルりの場所ばしょいても、みずをやるたびに土壌どじょうながれていってしまい、やがてがむきしになってしまう。また植木鉢うえきばちしでは、植物しょくぶつ角度かくど姿勢しせい)が安定あんていしない。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ 栽培さいばいほうおよ作業さぎょうほう』, 職業しょくぎょう訓練くんれん教材きょうざい研究けんきゅうかい (2005ねん2がつ10日とおか),ISBN 978-4786310218

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]