着信ちゃくしんメロディ

着信ちゃくしんメロディ（ちゃくしんメロディ）は、携帯けいたい電話でんわおよびPHSの着信ちゃくしん音おんを単音たんおんまたは2 - 128音おと程度ていどの音楽おんがく風ふうメロディーにする機能きのうである。

概要がいよう

一般いっぱんには「着ちゃくメロ」と略りゃくされることが多おおいが、商標しょうひょう登録とうろくされているため厳密げんみつには全すべての着信ちゃくしんメロディが「着ちゃくメロ」というわけではない（後述こうじゅつ）。英語えいごでは着信ちゃくしん音おん全般ぜんぱんが ringtoneと呼よばれる。

1995年ねんの特撮とくさつ番組ばんぐみ『重じゅう甲かぶとビーファイター』では、ヒーローの武器ぶき「インプットマグナム」のギミックに当時とうじ最盛さいせい期きを迎むかえていたポケットベルのプッシュボタン入力にゅうりょくを取とり入いれており、銃身じゅうしんに施ほどこされたテンキーに打うち込こむコードに応おうじてさまざまな能力のうりょくを発揮はっきする。このキー入力にゅうりょくのサウンドは音階おんかいになっており、これを見みた携帯けいたい電話でんわメーカーの人物じんぶつが着ちゃくメロシステムを考案こうあんしたようだ、とプレックスの野中のなか剛つよしは語かたっている。

日本にっぽんでの黎明れいめい期きは予あらかじめプリセットされた楽曲がっきょくを選えらぶことしかできなかったが、程ほどなくして電話機でんわきのボタン操作そうさにより音階おんかいを打うち込こむこと（音おと入いれ）で自作じさくできるようになった。当時とうじの携帯けいたい電話でんわやPHS等とうは、再生さいせい出来できる自作じさく楽曲がっきょくが基本きほん的てきに単音たんおんのみであったため、8ビートや16ビートの細こまかい音おとを使用しようした「擬似ぎじ和音わおん」や、流行りゅうこう曲きょくのスコアを掲載けいさいした雑誌ざっしやムック本ほんがブームを巻まき起おこした。

1997年ねんのアステルを皮切かわきりに演奏えんそうデータをサーバーから電話機でんわきへダウンロードする方式ほうしきが確立かくりつ。1999年ねん2月がつのiモード開始かいしなど携帯けいたい電話でんわIP接続せつぞくサービスの普及ふきゅうにより、コンテンツプロバイダのメニューサイト上うえで演奏えんそうデータを課金かきんの上うえダウンロードするのが一般いっぱん的てきとなり、ITバブルと相あいまって2000年ねん以降いこう携帯けいたい電話でんわ向むけコンテンツビジネスが急速きゅうそくに拡大かくだいした。後のちに、着きボイス・着ちゃくうた・着ちゃくうたフル・動画どうが配信はいしんなどの派生はせい種しゅが登場とうじょうした。

スマートフォンでは着信ちゃくしん音おん変更へんこうは容易よういである。レコチョクなどがスマホ時代じだいになってからもダウンロード販売はんばいを続つづけている。

固定こてい電話でんわの家庭かてい用よう電話機でんわき・ファクシミリでも、着信ちゃくしんメロディがプリセットされているものがある。LCRの「αあるふぁ-ALPHA55/77セレクティ（KDDI）」では『えらんでメロディ』、「Super ACR/Super ACR2（日本にほんテレコム）」では『呼出よびだし音おんメロディサービス』名称めいしょうで配信はいしんサービスが提供ていきょうされたり、携帯けいたい電話でんわIP接続せつぞくサービスの固定こてい電話でんわ版ばんであるLモード、J-Web（ソフトバンクテレコム）はサービス開始かいしから終焉しゅうえんまで携帯けいたい電話でんわと同様どうように公式こうしきサイトにより配信はいしんなされていた。

端末たんまつのプリセット曲きょくはメーカーに因ちなんだ曲きょくが入はいっていることもある（旧きゅう:日立ひたち製せい端末たんまつにおける「日立ひたちの樹き」、ノキア製せい端末たんまつにおける「Nokia Tune」など）。

形式けいしき

ガラケー時代じだいの着信ちゃくしんメロディデータの実体じったいはStandard MIDI File (SMF) やSMAFなどであり、電話機でんわきの基板きばん上うえに組くみ込こんだ「音源おんげんチップ」などと称しょうされる集積しゅうせき回路かいろ (LSI) のソフトウェア・シンセサイザーにより再生さいせいされた。株式会社かぶしきがいしゃフェイスやヤマハなどがフォーマットの策定さくていに携たずさわっている。音源おんげんチップは日本にっぽんではヤマハ・沖電気おきでんき・ローム・クアルコム・ルネサスエレクトロニクスらが供給きょうきゅうしていた。

歴史れきし

• 1994年ねん テレメッセージのポケットベルモーラが着信ちゃくしんメロディ機能きのうを搭載とうさいした。
• 1996年ねん5月 着信ちゃくしんメロディ機能きのうを携帯けいたい電話でんわとしては世界せかいで初はじめて搭載とうさいしたNTTドコモのデジタル・ムーバ N103HYPER（NEC）発売はつばい。プリセット楽曲がっきょくから選択せんたくできた。
• 1996年ねん9月 日本移動通信にほんいどうつうしん（IDO・現げん=au (KDDI)）が、デジタルミニモD319（日本電装にほんでんそう）発売はつばい。携帯けいたい電話でんわとしては初はじめて自分じぶんで作曲さっきょくしたメロディを着信ちゃくしん音おんにすることができる 「メロディ着信ちゃくしん音おん作曲さっきょく機能きのう」を搭載とうさいした。
• 1996年ねん11月 電子でんし楽器がっき・通信つうしんカラオケ業界ぎょうかいのメーカー系けい業界ぎょうかい団体だんたいである社団しゃだん法人ほうじん音楽おんがく電子でんし事業じぎょう協会きょうかい (AMEI) の著作ちょさく権けん委員いいん会かい業務ぎょうむ用よう通信つうしんカラオケワーキンググループ委員いいん・ソフトウェア委員いいん会かいマルチメディア研究けんきゅう部会ぶかい副ふく部会ぶかい長ちょうであった松川まつかわ政まさし裕ひろしが、頭打あたまうちの傾向けいこうが見みられ始はじめたカラオケ業界ぎょうかいの新規しんき事業じぎょうプランとして「携帯けいたい電話でんわ着信ちゃくしん音おんのMIDIデータ化かとその配信はいしん及および課金かきん」構想こうそうを発表はっぴょう。松川まつかわ政まさし裕ひろしは、MIDIシーケンサーアプリケーション（作曲さっきょく及および通信つうしんカラオケの楽曲がっきょく制作せいさくのためのアプリ）開発かいはつ会社かいしゃであるカモンミュージックの在籍ざいせき中ちゅう、社長しゃちょうのカバン持もちでついていった通信つうしんカラオケメーカーのエクシングの中谷なかたに幸夫ゆきお取締役とりしまりやく企画きかく部長ぶちょうから、頭打あたまうちが予想よそうされる通信つうしんカラオケ業界ぎょうかいの新規しんき事業じぎょうのアイデアの依頼いらいを受うけ、社団しゃだん法人ほうじん音楽おんがく電子でんし事業じぎょう協会きょうかい(AMEI)の佐々木ささき隆一りゅういち著作ちょさく権けん委員いいん長ちょうが創業そうぎょう者しゃのミュージック・シーオー・ジェーピーのパソコン向むけ音楽おんがく配信はいしん、アマチュア無線むせんでのデータ送信そうしんを参考さんこうに、業務ぎょうむ用よう通信つうしんカラオケのシステム・データ制作せいさく体制たいせいの流用りゅうよう、原盤げんばん権けん問題もんだいのクリアができると考かんがえ、データ配信はいしん先さきに一般いっぱんに普及ふきゅうし始はじめ、着信ちゃくしん音おんの鳴なり分わけが課題かだいだった携帯けいたい電話でんわを組くみ合あわせることを思おもいついたとしている。
• 1997年ねん6月がつ アステルグループのアステル東京あすてるとうきょうが「着信ちゃくしんメロディ呼よび出だしサービス」開始かいし。“流行りゅうこうの音楽おんがくを着ちゃくメロに”という課題かだいを、サーバーダウンロード型がたとすることで解決かいけつ。当時とうじのベスト10を常つねに配信はいしん可能かのうとしていた。アステル東京あすてるとうきょうに出向しゅっこうしていたリクルート社員しゃいんの柳田やなぎだ要一よういちが企画きかく開発かいはつ(他たに日本にっぽん初はつの携帯けいたい出会であい系けいサイトや位置いち情報じょうほうサービスも企画きかく開発かいはつ)。対応たいおう機種きしゅである「AS-11」（シャープ）、「AD-11」（デンソー）が遅おくれて発売はつばいされた。
• 1998年ねん3月がつ 石川いしかわ英治えいじの原案げんあん・山崎やまざきはるかの開発かいはつで、着信ちゃくしんメロディ作曲さっきょくツール・オルゴトロン98がugtopより公開こうかいされた。同どうソフトは、ベクターから累計るいけい11万まん本ほんがダウンロードされた。
• 1998年ねん7月がつ 双葉社ふたばしゃから発売はつばいされた辻つじめぐみが生うみの親おやの『ケータイ着ちゃくメロ ドレミBOOK』が発売はつばいされた。同書どうしょは1999年ねん3月がつ時点じてんで8冊さつ計けい350万まん部ぶを売うり上あげた。
• 1998年ねん10月 アステル東京あすてるとうきょうが「着ちゃくメロ」商標しょうひょう登録とうろく。
• 1998年ねん11月 デジタルホングループ（現げんソフトバンク）が、着信ちゃくしんメロディ配信はいしんサービス「スカイメロディー」を開始かいし。
• 1999年ねん2月がつ iモード開始かいし。第一興商だいいちこうしょう（カラオケDAM・メロDAM）などの公式こうしきサイト上うえで着信ちゃくしんメロディ（単音たんおん）の配信はいしんが開始かいしされる。
• 1999年ねん4月がつ EZweb開始かいし。
• 1999年ねん8月がつ アステルのMOZIO（モジオ）対応たいおう機種きしゅ向むけに、アステル東京あすてるとうきょうが3和音わおんの「スーパー着ちゃくメロ」配信はいしんサービス開始かいし(後のちにアステルグループ全体ぜんたいに拡大かくだい)。
• 1999年ねん9月 三愛さんあい子会社こがいしゃのギガネットワークス（現在げんざいはフェイス傘下さんか）による「着信ちゃくしんメロディGIGA」をiモード公式こうしきサイトに開設かいせつ。
• 1999年ねん12月 Jスカイ開始かいし。フェイスが着信ちゃくしんメロディの新しんフォーマットを提唱ていしょうし、NTTドコモのデジタル・ムーバ 502iHYPERシリーズより同どう規格きかくによる3和音わおんの着信ちゃくしんメロディの配信はいしんが可能かのうとなる。「ポケメロ」（エクシング・フェイス・ゼン）、「セガカラ」（セガ、ISAO）、「ローランド・サウンドギャラリー（ローランド、NTTビジュアル通信つうしん）」など、iモード・EZweb・Jスカイそれぞれでコンテンツプロバイダ（IPサービス提供ていきょう者しゃ）新規しんき参入さんにゅうが相次あいつぐ。
• 2000年ねん7月がつ 世界せかい初はつの16和音わおん再生さいせいに対応たいおうしたLSI（クアルコム社しゃ製せい）を搭載とうさいしたauのcdmaOne端末たんまつC309H（日立製作所ひたちせいさくしょ）が発売はつばい。
• 2000年ねん10月 Jフォンで初はじめて16和音わおん再生さいせいに対応たいおうしたJ-D03・J-PE03（パイオニア）発売はつばい。
• 2000年ねん10月 NTTドコモで初はじめて16和音わおん再生さいせいに対応たいおうしたデジタル・ムーバ503i HYPERシリーズ発売はつばい。
• 2000年ねん11月 DDIポケット（当時とうじ）のfeel H"端末たんまつよりPHS初はつの12和音わおん再生さいせいに対応たいおう。
• 2001年ねん6月がつ 世界せかい初はつの64和音わおん再生さいせいに対応たいおうしたツーカーのfunstyle TK11（京きょうセラ）発売はつばい。「16メロミックス」（ドワンゴ）をiモード公式こうしきサイトに開設かいせつ。
• 2002年ねん4月がつ ダウンロード曲きょく数すう無む制限せいげんでコンテンツ料りょう定額ていがく制せいの「着ちゃくメロ取とり放題ほうだい￥100」（ハドソン）をiモード公式こうしきサイトに開設かいせつ。
• 2005年ねん8月がつ 128和音わおん再生さいせいに対応たいおうしたauのW32Sが発表はっぴょう。以後いご、フィーチャーフォンは64和音わおん - 128和音わおん対応たいおうが一般いっぱん的てきとなる。
• 2006年ねん アメリカのビルボード「Hot Ringtones」という着信ちゃくしんメロディのヒットチャートでは2006年ねん6月26日にち現在げんざい、84作品さくひんがゴールド、40作品さくひんがプラチナ、4作品さくひんがマルチ・プラチナとして認定にんていされていた（ゴールド・ディスクも参照さんしょう）。
• 2008年ねん3月がつ イー・モバイルが音声おんせい通話つうわサービス開始かいしに合あわせ着信ちゃくしんメロディを開始かいし。

配信はいしんサイトの一般いっぱん的てきな構成こうせい

ランキング

着信ちゃくしんメロディのダウンロードが多おおかった曲きょくを、1位いから順じゅんに発表はっぴょうするページである。その時ときに流行はやっている曲きょく（例れい：ドラマの主題歌しゅだいかやCMの使用しよう曲きょく）がランクインされることがほとんどである。前まえの日ひのランキング・1週間しゅうかんの間あいだのランキング・1ヶ月かげつの間あいだのランキングなど、種類しゅるいは様々さまざまであるが、1週間しゅうかんの間あいだのランキングが多おおい。

プレゼント

楽曲がっきょくのダウンロード権けんを他人たにんへメールでURLを通知つうちする方法ほうほうによりプレゼントすることができる。

試聴しちょう

ダウンロード前まえに試聴しちょうができる。保存ほぞん不可ふかのプロテクトを付つけてデータを直接ちょくせつダウンロードする方式ほうしきと、専用せんようのアプリを通つうじて試聴しちょうする方式ほうしきがある。

リクエスト

配信はいしんされていない曲きょくがある場合ばあいに使つかえるサービス。

商標しょうひょう

略称りゃくしょうの「着ちゃくメロ」は以下いかのような企業きぎょうが商標しょうひょう権けんを有ゆうしている。

• ビジュアルアーツ - 多数たすうの指定してい役務えきむおよび指定してい商品しょうひんにより登録とうろく（第だい4194385号ごう,第だい4707135号ごう）

  当初とうしょの登録とうろく者しゃはアステル東京あすてるとうきょうで、後のちに同どう法人ほうじんを吸収きゅうしゅう合併がっぺいした東京とうきょう通信つうしんネットワーク（TTNet、後ごのパワードコム）、その後ご、TTNetからPHS事業じぎょうを譲受ゆずりうけしたYOZANが保有ほゆうしていたが、ヤフオクの官公庁かんこうちょうオークションにおいて、東京とうきょう都と主税局しゅぜいきょく徴収ちょうしゅう部ぶを出品しゅっぴん者しゃとして出品しゅっぴん（参加さんか申込もうしこみ期間きかん：2010年ねん2月がつ16日にち〜2010年ねん3月がつ1日にち、入札にゅうさつ期間きかん：2010年ねん3月がつ5日にち〜2010年ねん3月がつ8日にち）され、その結果けっかビジュアルアーツが落札らくさつした[1]。

• 双葉社ふたばしゃ -「雑誌ざっし」の指定してい商品しょうひんにより登録とうろく（第だい4326423号ごう）

関連かんれん項目こうもく

• 着ちゃくうた
• 着信ちゃくしんボイス