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幻覚 げんかく 剤 ざい (げんかくざい)とは、脳神経 のうしんけい 系 けい に作用 さよう して幻覚 げんかく をもたらす向 こう 精神 せいしん 薬 やく のことである。呼称 こしょう には幻覚 げんかく 剤 ざい の原語 げんご である中立 ちゅうりつ 的 てき なハルシノジェン (Hallucinogen、英語 えいご 圏 けん で一般 いっぱん 的 てき な呼称 こしょう で日本語 にほんご 圏 けん ではそうでない)や、より肯定 こうてい 的 てき に表現 ひょうげん したサイケデリックス /サイケデリクス (Psychedelics)、神聖 しんせい さを込 こ めたエンセオジェン (Entheogen )がある。その体験 たいけん はしばしばサイケデリック体験 たいけん と呼 よ ばれる。神秘 しんぴ 的 てき な、あるいは深遠 しんえん な体験 たいけん が多 おお く、神聖 しんせい さ、肯定 こうてい 的 てき な気分 きぶん 、時空 じくう の超越 ちょうえつ 、語 かた りえない(表現 ひょうげん 不可能 ふかのう )といった特徴 とくちょう を持 も つことが多 おお い。宗教 しゅうきょう 的 てき な儀式 ぎしき や踊 おど り、シャーマン や心理 しんり 療法 りょうほう に用 もち いられる。宗教 しゅうきょう 、文学 ぶんがく 作品 さくひん や音楽 おんがく 、アート といった文化 ぶんか そのものに影響 えいきょう を与 あた えてきた。
典型 てんけい 的 てき な幻覚 げんかく 剤 ざい は、LSD や、シロシビン を含 ふく むマジックマッシュルーム 、メスカリン を含 ふく むペヨーテ などのサボテン、DMT とハルミン の組 く み合 あ わせであるアヤワスカ である。MDMA はこれらとは異 こと なる共感 きょうかん 能力 のうりょく や親密 しんみつ 感 かん の向上 こうじょう 作用 さよう を持 も つ[1] 。これらは主 おも にセロトニン 作動 さどう 性 せい である[1] [2] 。DSM-5 では、ケタミン は解離 かいり 作用 さよう が強 つよ いため幻覚 げんかく 剤 ざい の下位 かい の別 べつ の分類 ぶんるい に分 わ けられ、大麻 たいま は幻覚 げんかく 剤 ざい に含 ふく めない。ケタミンなどの解離 かいり 性 せい 麻酔 ますい 薬 やく はグルタミン酸 ぐるたみんさん を阻害 そがい する(NMDA )[2] 。
幻覚 げんかく 剤 ざい の禁止 きんし 前 まえ の臨床 りんしょう 試験 しけん には肯定 こうてい 的 てき な報告 ほうこく もみられるが、方法 ほうほう 論 ろん 的 てき に最適 さいてき と言 い えず明 あき らかな問題 もんだい 点 てん を多 おお く含 ふく んでいる[3] 。この時期 じき の研究 けんきゅう では、統合 とうごう 失調 しっちょう 症 しょう 患者 かんじゃ のほとんどで精神病 せいしんびょう 症状 しょうじょう の悪化 あっか が見 み られ、時折 ときおり 回復 かいふく したケースもあったが、時間 じかん の経過 けいか によるものではない改善 かいぜん が報告 ほうこく された試験 しけん はなかった[3] 。幻覚 げんかく 剤 ざい の禁止 きんし 前 まえ の臨床 りんしょう 試験 しけん では、不安 ふあん 、強迫 きょうはく 、抑 そもそも うつの様々 さまざま な状態 じょうたい を網羅 もうら するいわゆる「精神 せいしん 神経症 しんけいしょう 」障害 しょうがい の試験 しけん では、より有望 ゆうぼう な報告 ほうこく があり、参加 さんか 者 しゃ の約 やく 80%が臨床 りんしょう 医 い によって「改善 かいぜん 」したと判断 はんだん されたが、データはメタ分析 ぶんせき を行 おこな うのに十分 じゅうぶん な質 しつ ではなく、治療 ちりょう について肯定 こうてい 的 てき な期待 きたい を抱 だ いていた臨床 りんしょう 医 い による主観 しゅかん 的 てき な判断 はんだん であり、客観 きゃっかん 的 てき または有効 ゆうこう な尺度 しゃくど に基 もと づくことはめったになく、結果 けっか の有効 ゆうこう 性 せい には疑問 ぎもん がある[3] 。幻覚 げんかく 剤 ざい は精神病 せいしんびょう 患者 かんじゃ には役 やく にたず、精神病 せいしんびょう を発症 はっしょう する可能 かのう 性 せい のある人 ひと には使用 しよう を避 さ けるべきであることが強 つよ く示唆 しさ されている[3] 。
21世紀 せいき に入 はい り臨床 りんしょう 試験 しけん が再 ふたた び進行 しんこう しており、サイケデリック・ルネッサンスと呼 よ ばれる[4] 。
幻覚 げんかく 剤 ざい は古来 こらい から用 もち いられてきた。20世紀 せいき に入 はい ってから幻覚 げんかく 剤 ざい の化学 かがく 合成 ごうせい やそれに伴 ともな う研究 けんきゅう が展開 てんかい され、特 とく にLSDが合成 ごうせい された後 のち の1940年代 ねんだい から1960年代 ねんだい に大 おお きく展開 てんかい した。1960年 ねん 以降 いこう 、幻覚 げんかく 剤 ざい の乱用 らんよう が問題 もんだい 視 し され、所持 しょじ や使用 しよう が法律 ほうりつ で禁止 きんし されているものも多 おお い。国際 こくさい 的 てき に向 こう 精神 せいしん 薬 やく に関 かん する条約 じょうやく で規制 きせい されるが、伝統 でんとう 的 てき に魔術 まじゅつ または宗教 しゅうきょう 的 てき な儀式 ぎしき として用 もち いられている場合 ばあい には条約 じょうやく の影響 えいきょう は留保 りゅうほ される。日本 にっぽん では一部 いちぶ の既存 きそん の違法 いほう 薬物 やくぶつ と類似 るいじ の構造 こうぞう をもつデザイナードラッグ が1990年代 ねんだい 後半 こうはん に脱法 だつほう ドラッグ として流通 りゅうつう するようになり、その後 ご 取締 とりしま りが強化 きょうか され法律 ほうりつ や条例 じょうれい による規制 きせい が行 おこな われるものの、規制 きせい と新種 しんしゅ の登場 とうじょう のいたちごっこを繰 く り返 かえ してきた。
サイケデリックス (Psychedelics)は、ギリシャ語 ご の精神 せいしん や魂 たましい psychē と、目 め に見 み える・現 あらわ れる dēlos の組 く み合 あ わせであり、「魂 たましい を顕現 けんげん させる」という意味 いみ である。ハルシノジェン (Hallucinogen)、はラテン語 らてんご で気 き が狂 くる うことを意味 いみ する。この最初 さいしょ 2つは、共 とも に幻覚 げんかく 剤 ざい と訳 やく されるが、サイケデリックスでは精神 せいしん 展開 てんかい 剤 ざい といった語 かたり のほうが中立 ちゅうりつ 的 てき でふさわしいとする論者 ろんしゃ もいる。エンセオジェン (Entheogen)は、民族 みんぞく 植物 しょくぶつ 学者 がくしゃ らが提唱 ていしょう し、「自分 じぶん の内 うち に神 かみ を見 み る」「内面 ないめん に神性 しんせい を生 う み出 だ す」といった意味 いみ である。
[5]
何 なん 十 じゅう 年 ねん も前 まえ から他 た の呼称 こしょう が提案 ていあん されているが、英語 えいご 圏 けん ではハルシノジェンという呼称 こしょう が最 もっと も一般 いっぱん 的 てき である。しかし、この呼称 こしょう が誤 あやま 称 しょう なのは、知覚 ちかく が変化 へんか しているだけであって、真 しん の幻覚 げんかく ではないためである[6] 。
メキシコ、ウイチョル族 ぞく の毛糸 けいと 絵 え であるニエリカは、幻覚 げんかく 性 せい のサボテンであるペヨーテ がもたらす、至高 しこう 神 しん タテワリが与 あた えるという神話 しんわ 的 てき ヴィジョンを描 えが いている[7] 。幻視 げんし 芸術 げいじゅつ も参照 さんしょう 。
幻覚 げんかく 剤 ざい を摂取 せっしゅ することによって、意識 いしき 状態 じょうたい に変容 へんよう が起 お こり変性 へんせい 意識 いしき 状態 じょうたい といった意識 いしき の状態 じょうたい に導 みちび かれる。知覚 ちかく したことの意味 いみ の変化 へんか や、視覚 しかく 的 てき な鮮 あざ やかさや、視覚 しかく の変容 へんよう がもたらされ、不安 ふあん 感 かん は減少 げんしょう し幸福 こうふく 感 かん や一体 いったい 感 かん が上昇 じょうしょう する[2] 。ケタミンのような解離 かいり 性 せい の幻覚 げんかく 剤 ざい では大枠 おおわく は同 おな じだが、個々 ここ の幻覚 げんかく の強弱 きょうじゃく といった細部 さいぶ が異 こと なり、最 もっと も大 おお きい部分 ぶぶん ではシロシビンのような典型 てんけい 的 てき な幻覚 げんかく 剤 ざい と比較 ひかく して肉体 にくたい から離脱 りだつ する感覚 かんかく を強 つよ く生 しょう じさせる[2] 。幻覚 げんかく 性 せい のキノコの成分 せいぶん であるシロシビンの体験 たいけん からは、神秘 しんぴ 的 てき な、あるいは深遠 しんえん な体験 たいけん が多 おお く、神聖 しんせい さ、肯定 こうてい 的 てき な気分 きぶん 、時空 じくう の超越 ちょうえつ 、語 かた りえない(表現 ひょうげん 不可能 ふかのう )といった特徴 とくちょう があった[8] 。自我 じが の崩壊 ほうかい 、自己 じこ の感覚 かんかく の喪失 そうしつ は、サイケデリック体験 たいけん の重要 じゅうよう な特徴 とくちょう でアルコールなどではみられない[9] 。統合 とうごう 失調 しっちょう 症 しょう に似 に た幻覚 げんかく や妄想 もうそう を起 お こす覚醒剤 かくせいざい 精神病 せいしんびょう とは異 こと なり、視覚 しかく 的 てき に美 うつく しい色彩 しきさい が変幻 へんげん と立 た ち現 あらわ れ、物 もの が歪 いが んで見 み えたり、原野 げんや に七 なな 色 しょく の虹 にじ がかかったり、時空 じくう 間 あいだ が変化 へんか するというようなものである[10] 。
ハーバード大学 だいがく での統計 とうけい では200人 にん ほどのうち、85%が人生 じんせい においてもっとも啓示 けいじ に富 と んだ体験 たいけん であると感 かん じている[11] 。幻覚 げんかく 剤 ざい の研究 けんきゅう 家 か であるテレンス・マッケナ は、幻覚 げんかく 剤 ざい は6時 じ 間 あいだ で5年 ねん 分 ぶん の心理 しんり 療法 りょうほう をやってしまうドラッグだと表現 ひょうげん している[12] 。
治療 ちりょう 研究 けんきゅう の歴史 れきし からは、難治 なんじ 性 せい の神経 しんけい 障害 しょうがい 、特 とく にうつ病 びょう 、不安 ふあん 障害 しょうがい 、薬物 やくぶつ 依存 いぞん 症 しょう 、死 し と関連 かんれん した心理 しんり 的 てき な困難 こんなん (末期 まっき がんなど)に可能 かのう 性 せい があることを示 しめ している[3] 。典型 てんけい 的 てき な幻覚 げんかく 剤 ざい や、MDMAでは継続 けいぞく 的 てき に投与 とうよ せずとも効果 こうか が持続 じぞく する[1] 。13万 まん 人 にん の統計 とうけい 調査 ちょうさ から、過去 かこ 1年間 ねんかん における幻覚 げんかく 剤 ざい (LSD、マジックマッシュルーム、メスカリン)の使用 しよう 者 しゃ は精神 せいしん 的 てき な問題 もんだい の発生 はっせい 率 りつ の低下 ていか に関連 かんれん していた[13] [14] 。約 やく 19万 まん 人 にん からの統計 とうけい 調査 ちょうさ では、典型 てんけい 的 てき な幻覚 げんかく 剤 ざい の使用 しよう が、自殺 じさつ 思考 しこう や自殺 じさつ 計画 けいかく 、自殺 じさつ 企図 きと の低下 ていか と関連 かんれん し、他 た の違法 いほう 薬物 やくぶつ を使用 しよう しないことはさらにこの可能 かのう 性 せい を高 たか めていた[15] 。また約 やく 1500人 にん からのオンライン調査 ちょうさ では、生涯 しょうがい における典型 てんけい 的 てき な幻覚 げんかく 剤 ざい (LSD、マジックマッシュルーム、メスカリン)の使用 しよう は、自然 しぜん とのつながりを感 かん じ環境 かんきょう に配慮 はいりょ した行動 こうどう に関連 かんれん する[16] 。48万 まん 以上 いじょう の統計 とうけい 調査 ちょうさ からは、生涯 しょうがい における古典 こてん 的 てき な幻覚 げんかく 剤 ざい の使用 しよう は、調査 ちょうさ から1年 ねん 以内 いない の犯罪 はんざい (暴力 ぼうりょく 、窃盗 せっとう など)の発生 はっせい 率 りつ が低 ひく いことや[17] 、受刑 じゅけい 者 しゃ 約 やく 300人 にん からドメスティックバイオレンス との関連 かんれん 性 せい が低 ひく いことが判明 はんめい した[18] 。幻覚 げんかく 剤 ざい と大麻 たいま の使用 しよう は過去 かこ 1年間 ねんかん におけるオピオイドの依存 いぞん リスクを減少 げんしょう させており、他 た の違法 いほう 薬物 やくぶつ では依存 いぞん のリスクを増加 ぞうか させていた[19] 。
デビッド・ナット ら薬物 やくぶつ に関 かん する独立 どくりつ 科学 かがく 評議 ひょうぎ 会 かい (ISCD)による2010年 ねん に『ランセット 』に掲載 けいさい された薬物 やくぶつ の相対 そうたい 的 てき な有害 ゆうがい 性 せい に関 かん する論文 ろんぶん 。MDMA、LSD、マジックマッシュルームは相対 そうたい 的 てき に有害 ゆうがい 性 せい が低 ひく いと評価 ひょうか された[20] 。
一般 いっぱん 的 てき な副作用 ふくさよう は、不安 ふあん 、吐 は き気 け 、嘔吐 おうと 、心拍 しんぱく や血圧 けつあつ の増加 ぞうか である[3] 。精神病 せいしんびょう 性 せい 障害 しょうがい のような比較的 ひかくてき 一般 いっぱん 的 てき な障害 しょうがい が生 しょう じた場合 ばあい には、サイケデリック体験 たいけん に起因 きいん するのではと誤解 ごかい されることがあるが、上述 じょうじゅつ のように、統計 とうけい からは精神病 せいしんびょう など精神 せいしん 的 てき 健康 けんこう 問題 もんだい のリスクの低下 ていか と結 むす びついている[21] 。幻覚 げんかく 剤 ざい 後 ご 知覚 ちかく 障害 しょうがい (HPPD) は、シロシビンやアヤワスカを用 もち いた最近 さいきん の近代 きんだい 的 てき な臨床 りんしょう 試験 しけん (偽薬 ぎやく 対照 たいしょう を設 もう けて問題 もんだい の発生 はっせい 率 りつ を比較 ひかく する)では報告 ほうこく されていない[3] 。
幻覚 げんかく 剤 ざい が依存 いぞん や嗜癖 を引 ひ き起 お こすという証拠 しょうこ は非常 ひじょう に限 かぎ られたものである[3] 。耐 たい 性 せい は急速 きゅうそく に形成 けいせい され、離脱 りだつ 症状 しょうじょう が起 お こることは確認 かくにん されていない[3] 。精神 せいしん 的 てき 依存 いぞん はまれだと考 かんが えられるがそのための研究 けんきゅう は少 すく ない[3] 。
典型 てんけい 的 てき な幻覚 げんかく 剤 ざい は、主 しゅ としてセロトニンが作用 さよう している5-HT2A 受容 じゅよう 体 たい (英語 えいご 版 ばん ) に作用 さよう する[2] 。対 たい してケタミンなどの解離 かいり 性 せい 麻酔 ますい 薬 やく は、主 しゅ としてグルタミン酸 ぐるたみんさん 作動 さどう 性 せい のNMDA型 がた グルタミン酸 ぐるたみんさん 受容 じゅよう 体 たい (N-メチルD-アスパラギン酸 さん 受容 じゅよう 体 たい )を阻害 そがい する[2] 。MDMAは、セロトニン作動 さどう 性 せい でありセロトニンの放出 ほうしゅつ を促進 そくしん し、絆 きずな の形成 けいせい などに関 かか わる神経 しんけい ペプチドのオキシトシン やバソプレッシン も放出 ほうしゅつ させる[1] 。
5-HT2A 受容 じゅよう 体 たい への作用 さよう は、脳 のう 由来 ゆらい 神経 しんけい 栄養 えいよう 因子 いんし (BDNF) を増加 ぞうか させ、神経 しんけい 新生 しんせい を促 うなが す可能 かのう 性 せい がある[2] [22] 。ケタミンでは、自殺 じさつ 念慮 ねんりょ が大 おお きく減少 げんしょう しこのような改善 かいぜん の追跡 ついせき は6週間 しゅうかん まで確認 かくにん されている[23] 。
5-HT2A 受容 じゅよう 体 たい への作用 さよう は急速 きゅうそく に耐 たい 性 せい が形成 けいせい されるため、この特徴 とくちょう が依存 いぞん 症 しょう や頻繁 ひんぱん な使用 しよう を少 すく なくしてしまう[6] 。たとえば、LSDでは4日間 にちかん 日常 にちじょう 的 てき に投与 とうよ することで耐 たい 性 せい が形成 けいせい され、活性 かっせい はなくなってしまう[6] 。依存 いぞん 性 せい があるものだろうと一般 いっぱん 的 てき に誤解 ごかい されているが、専門 せんもん 家 か は依存 いぞん や強迫 きょうはく 的 てき な使用 しよう を引 ひ き起 お こすものではないことに同意 どうい する[24] 。
幻覚 げんかく 剤 ざい の種類 しゅるい と歴史 れきし [ 編集 へんしゅう ]
DSM-5 では、幻覚 げんかく 剤 ざい 関連 かんれん 障害 しょうがい の中 なか に、ケタミンを含 ふく むフェンサイクリジン類 るい による解離 かいり 性 せい のある幻覚 げんかく 剤 ざい と、それ以外 いがい であるLSD、メスカリン、シロシビン、MDMA、ジメチルトリプタミン (DMT) 、サルビア などに大 おお きく分類 ぶんるい しており、大麻 たいま は幻覚 げんかく 剤 ざい に含 ふく めず大麻 たいま 関連 かんれん 障害 しょうがい として別個 べっこ である。
植物 しょくぶつ 性 せい のアルカロイド には、幻覚 げんかく をもたらすものがあり、古来 こらい から様々 さまざま な目的 もくてき で用 もち いられてきた。天然 てんねん の植物 しょくぶつ の状態 じょうたい のものはナチュラルドラッグ、化学 かがく 合成 ごうせい されたものはケミカルドラッグと呼 よ ばれる。幻覚 げんかく 剤 ざい の作用 さよう 成分 せいぶん は、脳 のう 内 ない の神経 しんけい 伝達 でんたつ 物質 ぶっしつ と類似 るいじ の構造 こうぞう を持 も っている。
幻覚 げんかく をもたらす植物 しょくぶつ の発見 はっけん や歴史 れきし 的 てき 考察 こうさつ は、JPモルガン銀行 ぎんこう の副 ふく 社長 しゃちょう で菌類 きんるい の研究 けんきゅう 家 か であったロバート・ゴードン・ワッソン (以降 いこう 、R・G・ワッソンと略記 りゃっき する)の貢献 こうけん が大 おお きい[25] 。
自生 じせい する植物 しょくぶつ の利用 りよう [ 編集 へんしゅう ]
アヤワスカ は
複数 ふくすう の
植物 しょくぶつ を
調合 ちょうごう し
煮込 にこ んで
作 つく られる。
ネコ
科 か のすり
鉢 ばち とネコ
科 か と
蛇 へび の
形 かたち をしたすり
棒 ぼう は、
小 ちい さいため
幻覚 げんかく 剤 ざい や
顔料 がんりょう をすり
潰 つぶ したと
考 かんが えられている。ペルー
北部 ほくぶ の
神殿 しんでん 遺跡 いせき 、
紀元前 きげんぜん 900-500
年 ねん のパコパンパ
遺跡 いせき より。
[26]
アメリカ大陸 あめりかたいりく のシャーマンはアヤワスカ という飲料 いんりょう やサボテンのペヨーテ 、サンペドロを用 もち いている。アメリカ中西部 ちゅうせいぶ やメキシコに自生 じせい するメスカリンを含 ふく むペヨーテは生 なま や乾燥 かんそう させて食 しょく される。ペルー では幻覚 げんかく 成分 せいぶん のメスカリン を含 ふく むサボテンのサンペドロ (英語 えいご 版 ばん ) があり、煮詰 につ めた成分 せいぶん が摂取 せっしゅ される。アマゾン熱帯 ねったい 雨林 うりん のシャーマンは、植物 しょくぶつ を煮 に 出 だ してアヤワスカ を作 つく るが、これには、ジメチルトリプタミン (DMT)とモノアミン酸化 さんか 酵素 こうそ 阻害 そがい 薬 やく であるハルミン が含 ふく まれ、相互 そうご 作用 さよう で効力 こうりょく を発揮 はっき する。アヤワスカは2-6時 じ 間 あいだ 前後 ぜんこう 効力 こうりょく を発揮 はっき し、その間 あいだ は自我 じが が停止 ていし するといわれる。
幻覚 げんかく をもたらす成分 せいぶん のシロシビン を含 ふく む俗 ぞく にマジックマッシュルーム と呼 よ ばれるキノコが自生 じせい し、シャーマンにより宗教 しゅうきょう 儀式 ぎしき や治療 ちりょう に用 もち いられている。アステカのナワトル語 ご で神 かみ のキノコという意味 いみ のテオナナカトルとも呼 よ ばれる。このようなキノコは、メキシコが16世紀 せいき 初頭 しょとう にスペインによって植民 しょくみん 地 ち 化 か され、カトリック教 かとりっくきょう 会 かい によって規制 きせい された。カトリック教会 きょうかい では、こうした幻覚 げんかく は悪魔 あくま がもたらしていると考 かんが えたためである。日本 にっぽん に自生 じせい する幻覚 げんかく 性 せい のキノコにはワライタケ やヒカゲシビレタケ がある。ほかの幻覚 げんかく 成分 せいぶん であるイボテン酸 さん を含 ふく むキノコにはベニテングタケ がある。
『今昔 こんじゃく 物語 ものがたり 集 しゅう 』の中 なか でマイタケ を食 た べ幸 しあわ せな気持 きも ちになって踊 おど りだすというエピソードがあり、こうしたキノコとの関連 かんれん も言及 げんきゅう される。ただし、この場合 ばあい 「今日 きょう のマイタケでそのようなことは起 お こらない」という注釈 ちゅうしゃく も同書 どうしょ において付 つ け加 くわ えられている(マイタケ#歴史 れきし )。
ヴェーダ という聖典 せいてん に登場 とうじょう する、霊感 れいかん を与 あた えるソーマ という飲 の み物 もの には幻覚 げんかく 作用 さよう があるといわれ、シロシビンを含 ふく むキノコかベニテングタケが入 はい っていたのではないかと考 かんが えられている。
古代 こだい ギリシャ では、毎年 まいとし 秋 あき にエレウシスの秘 ひ 儀 ぎ を行 おこな う習慣 しゅうかん が1000年 ねん 以上 いじょう も続 つづ いていた。エレウシスの周辺 しゅうへん の池 いけ には、リゼルグ酸 さん を含 ふく む麦角 ばっかく 菌 きん が存在 そんざい するので、これが幻覚 げんかく 剤 ざい としてエレウシスの儀式 ぎしき で使 つか われたのではないかという見解 けんかい もある[28] 。
幻覚 げんかく 成分 せいぶん イボガイン を含 ふく む植物 しょくぶつ イボガが宗教 しゅうきょう 儀式 ぎしき に用 もち いられていた。
およそ3000年 ねん 前 まえ に地中海 ちちゅうかい メノルカ島 とう の洞窟 どうくつ エス・カリッチ にて、島 しま に自生 じせい するナス科 か のマンドレイク やヒヨス 、シロバナヨウシュチョウセンアサガオ 、ジョイントパイン に含 ふく まれるアルカロイド のアトロピン 、スコポラミン 、エフェドリン の付着 ふちゃく した毛髪 もうはつ が儀式 ぎしき 的 てき に埋 う められていたことが2023年 ねん に発表 はっぴょう されている。また、地中海 ちちゅうかい 東部 とうぶ キプロス島 とう にて発見 はっけん された3600年 ねん 前 まえ の容器 ようき の残留 ざんりゅう 物 ぶつ からは、精神 せいしん 作用 さよう をもつアヘンアルカロイド が2018年 ねん に発見 はっけん され、シャーマン がこれらを用 もち いた可能 かのう 性 せい が示唆 しさ されている[29] 。
ほかに。
幻覚 げんかく 剤 ざい の歴史 れきし 研究 けんきゅう 家 か [ 編集 へんしゅう ]
R・G・ワッソンは幻覚 げんかく 剤 ざい についての研究 けんきゅう 考察 こうさつ を出版 しゅっぱん してきた。それらは1957年 ねん にベニテングタケがヨーロッパ民族 みんぞく に与 あた えた影響 えいきょう を調査 ちょうさ した Mushrooms, Russia and History 、1969年 ねん にバラモン教 ばらもんきょう 聖典 せいてん 『リグ・ヴェーダ 』に登場 とうじょう するソーマはベニテングタケであると主張 しゅちょう する『聖 せい なるキノコソーマ』(soma divine mushroom of immortality ) 、1974年 ねん にメキシコのマジックマッシュルームについて調査 ちょうさ である Maria Sabina and her Mazatec Mushroom Velada 、1978年 ねん にはエレウシスの秘 ひ 儀 ぎ と麦角 ばっかく 菌 きん の調査 ちょうさ である The Road to Eleusis である[25] 。R・G・ワッソンの研究 けんきゅう 以前 いぜん は植物 しょくぶつ の存在 そんざい が公 おおやけ になっていなかったものも多 おお い。
テレンス・マッケナは、『神 かみ 々の糧 かて 』や、『幻覚 げんかく 世界 せかい の真実 しんじつ 』[31] のような著書 ちょしょ でさまざまな幻覚 げんかく 性 せい の植物 しょくぶつ や薬物 やくぶつ について歴史 れきし 的 てき 考察 こうさつ や文化 ぶんか への影響 えいきょう を分析 ぶんせき している。
成分 せいぶん の抽出 ちゅうしゅつ と化学 かがく 合成 ごうせい [ 編集 へんしゅう ]
合成 ごうせい されたメスカリン。
メスカリンは、1898年 ねん 前後 ぜんこう にドイツ人 じん 化学 かがく 者 しゃ のヘフターが発見 はっけん し、1919年 ねん にE・シュペートが合成 ごうせい した。1912年 ねん 、ドイツのメルク社 しゃ がメチレンジオキシメタンフェタミン (MDMA)を合成 ごうせい したが社外 しゃがい に発表 はっぴょう されなかった。1938年 ねん にスイスのサンドス研究所 けんきゅうじょ (現 げん ・ノバルティス )の化学 かがく 者 しゃ であるアルバート・ホフマン がリゼルグ酸 さん ジエチルアミド (LSD-25)を合成 ごうせい し、その後 ご 5年間 ねんかん 研究 けんきゅう されなかったが1943年 ねん に再 ふたた びとりあげたところ、おそらく指 ゆび の皮膚 ひふ から吸収 きゅうしゅう され偶然 ぐうぜん に幻覚 げんかく 作用 さよう が発見 はっけん された。ホフマンによる幻覚 げんかく の内容 ないよう は、視覚 しかく に入 はい るものは歪曲 わいきょく し、強烈 きょうれつ な色彩 しきさい が万華鏡 まんげきょう のように変化 へんか し、音 おと にあわせて視覚 しかく が変化 へんか するというものであった。
1952年 ねん 、アメリカ の製薬 せいやく 会社 かいしゃ であるパーク・デービス社 しゃ により麻酔 ますい 薬 やく としてフェンサイクリジン (PCP)が開発 かいはつ された。1956年 ねん 、チェコの化学 かがく 者 しゃ ステファン・ソーラはDMTを合成 ごうせい している。
シロシベ・メキシカーナ (英語 えいご 版 ばん ) マサテカ族 ぞく はこのキノコを小鳥 ことり (nizu) と呼 よ ぶ[35] 。
1950年代 ねんだい に、R・G・ワッソンは、メキシコのインディオの信頼 しんらい を得 え て儀式 ぎしき で用 もち いられているキノコを摂取 せっしゅ したところ、幾何 きか 学 がく 模様 もよう の幻覚 げんかく がもたらされた。1957年 ねん には、R・G・ワッソンとその妻 つま は『ライフ』誌 し にその発見 はっけん を掲載 けいさい し大衆 たいしゅう に広 ひろ く認知 にんち されることとなった。「魔法 まほう のきのこを求 もと めて 」として掲載 けいさい された。このキノコからパリとアメリカで幻覚 げんかく をもたらす成分 せいぶん を抽出 ちゅうしゅつ しようとしたが、成果 せいか が出 で ず、似 に たような幻覚 げんかく を起 お こすLSDを合成 ごうせい したアルバート・ホフマンの元 もと へ送 おく られた。1958年 ねん 、ホフマンは抽出 ちゅうしゅつ 成分 せいぶん を動物 どうぶつ 実験 じっけん で試 ため すが反応 はんのう が見 み られないため自分 じぶん で摂取 せっしゅ したところ、抽象 ちゅうしょう 的 てき な形 かたち と鮮 あざ やかな色彩 しきさい が激 はげ しく揺 ゆ れ動 うご き変化 へんか するという幻覚 げんかく が起 お こったため幻覚 げんかく 成分 せいぶん として発見 はっけん され、この成分 せいぶん にシロシンとシロシビンという名前 なまえ をつけた。ホフマンによれば、シロシン、シロシビンとLSDは似 に たような物質 ぶっしつ で違 ちが いといえば作用 さよう 量 りょう と作用 さよう 時間 じかん であり、LSDが8-12時 じ 間 あいだ 、シロシビンは4-6時 じ 間 あいだ 作用 さよう し、どれも脳 のう 内 ない 物質 ぶっしつ のセロトニン と近似 きんじ の物質 ぶっしつ である。
1962年 ねん にはパーク・デービス社 しゃ はPCPの代用 だいよう 物 ぶつ として麻酔 ますい 薬 やく のケタミン を合成 ごうせい している。ケタミン は一般 いっぱん 的 てき には獣医 じゅうい で用 もち いられる麻酔 ますい 薬 やく だが、1時 じ 間 あいだ ほど自我 じが を停止 ていし させるという体験 たいけん をもたらすとされる。
1960年代 ねんだい に、化学 かがく 者 しゃ のアレクサンダー・サーシャ・シュルギン がMDMA を合成 ごうせい したが他 た の強 つよ い作用 さよう をもたらす化合 かごう 物 ぶつ を探 さが していたため研究 けんきゅう されず、1973年 ねん に別 べつ の研究 けんきゅう 者 しゃ がサーシャの方法 ほうほう で合成 ごうせい し広 ひろ まっていった[39] 。サーシャは、既存 きそん のドラッグの分子 ぶんし 構造 こうぞう を若干 じゃっかん 変 か えた薬物 やくぶつ であるデザイナードラッグ を多 おお く作 つく り出 だ したが、その中 なか に幻覚 げんかく 剤 ざい も多 おお く含 ふく まれている。サーシャは200種類 しゅるい あまりの幻覚 げんかく 成分 せいぶん やデザイナードラッグの合成 ごうせい 方法 ほうほう や心理 しんり 的 てき な研究 けんきゅう 結果 けっか についてまとめた代表 だいひょう 的 てき な著作 ちょさく PiHKAL [40] と TiHKAL [41] を出版 しゅっぱん している。デザイナードラッグのひとつである2-CB は、量 りょう が少 すく ないときにはMDMAのような効果 こうか で、多 おお い時 とき にはLSDのような幻覚 げんかく をもたらすともいわれる。
サーシャは2050年 ねん までに幻覚 げんかく 剤 ざい が新 あら たに2000種類 しゅるい ぐらい増 ふ えるのではないかと述 の べている[42] 。
近代 きんだい 文明 ぶんめい への影響 えいきょう [ 編集 へんしゅう ]
1940年代 ねんだい にLSDが研究 けんきゅう 目的 もくてき で出回 でまわ りはじめ、1950年代 ねんだい には精神 せいしん 医学 いがく やアメリカ中央 ちゅうおう 情報 じょうほう 局 きょく (CIA)による洗脳 せんのう や自白 じはく の実験 じっけん のMKウルトラ 計画 けいかく でとりあげられ、このような研究 けんきゅう は極秘 ごくひ で行 おこな われていた。R・G・ワッソンがメキシコでキノコの調査 ちょうさ をしていたときCIAの諜報 ちょうほう 部員 ぶいん につきまとわれるということがあり、ワッソンとホフマンによる迅速 じんそく なシロシビン成分 せいぶん の特定 とくてい がなければ公 おおやけ にならなかったかもしれないともいわれる[44] 。
1950年代 ねんだい には、アルフレッド・M・ハバド大尉 たいい が世界 せかい 平和 へいわ に貢献 こうけん すると思 おも い、政治 せいじ 家 か や科学 かがく 者 しゃ や警察 けいさつ など広範 こうはん に赤字 あかじ でLSDを配 くば った。ハバド大尉 たいい が開発 かいはつ したLSDによる精神療法 せいしんりょうほう であるサイコリティック療法 りょうほう を精神 せいしん 科 か 医 い のオズモンドが広 ひろ めた。
精神 せいしん 科 か 医 い のハンフリー・オズモンド にハクスリー自 みずか らが幻覚 げんかく 剤 ざい のモルモットとなることを申 もう し出 で 、1953年 ねん の春 はる 、幻覚 げんかく 剤 ざい のメスカリンによる実験 じっけん が開始 かいし された[48] 。その翌年 よくねん 1954年 ねん に『知覚 ちかく の扉 とびら 』が出版 しゅっぱん され、学者 がくしゃ 一族 いちぞく としての観察 かんさつ 精神 せいしん と作家 さっか としての筆 ふで の確 たし かさを下地 したじ に、神秘 しんぴ 主義 しゅぎ 者 しゃ の認識 にんしき と幻覚 げんかく 剤 ざい による体験 たいけん を絵画 かいが への言及 げんきゅう も通 とお して哲学 てつがく 的 てき に考察 こうさつ した。『知覚 ちかく の扉 とびら 』は、60年代 ねんだい の意識 いしき 革命 かくめい の発端 ほったん として評価 ひょうか が高 たか く、
ハーバード大学 だいがく の幻覚 げんかく 剤 ざい の研究 けんきゅう 者 しゃ であるティモシー・リアリー の意識 いしき 革命 かくめい の理論 りろん の素地 そじ となり、リアリーの後継 こうけい 的 てき な存在 そんざい であるテレンス・マッケナ にも大 おお きな影響 えいきょう を与 あた えた[48] 。同 おな じような頃 ころ 、世界中 せかいじゅう で麻薬 まやく の使用 しよう 実態 じったい を調 しら べ実際 じっさい に摂取 せっしゅ していた[11] 作家 さっか のウィリアム・S・バロウズ は、友人 ゆうじん のアレン・ギンズバーグ にアヤワスカ の体験 たいけん について手紙 てがみ を送 おく っている[48] 。バロウズによれば中毒 ちゅうどく 性 せい の強 つよ いモルヒネ や阿片 あへん を麻薬 まやく と呼 よ んで、幻覚 げんかく 剤 ざい と区別 くべつ し、あらゆる幻覚 げんかく 剤 ざい は使用 しよう 者 しゃ に聖 せい なるものとみなされ宗教 しゅうきょう 的 てき になるが麻薬 まやく はそうではないとしている[49] 。
1956年 ねん 、ハクスリーとの文通 ぶんつう でハンフリー・オズモンドがサイケデリック という言葉 ことば を思 おも いついた。翌年 よくねん 1957年 ねん に、精神 せいしん 分析 ぶんせき 学会 がっかい でこの言葉 ことば を紹介 しょうかい した[51] 。
1959年 ねん に最初 さいしょ のLSDの国際 こくさい 会議 かいぎ が開 ひら かれたとき、CIAはLSDは人 ひと の精神 せいしん を狂気 きょうき に追 お いやると主張 しゅちょう し、創造 そうぞう 性 せい を高 たか めるといった心理 しんり 学者 がくしゃ による主張 しゅちょう を否定 ひてい した。
DNA の二 に 重 じゅう らせん構造 こうぞう
LSDは1953年 ねん に発表 はっぴょう されたDNA の二 に 重 じゅう らせん構造 こうぞう の着想 ちゃくそう を与 あた えた[53] 。LSDは、芸術 げいじゅつ 家 か のアンディ・ウォーホル のアートにも影響 えいきょう を与 あた えた[54] 。
1960年代 ねんだい 、ハーバード大学 だいがく で幻覚 げんかく 剤 ざい の研究 けんきゅう を行 おこな っていた心理 しんり 学者 がくしゃ のティモシー・リアリー が、刑務所 けいむしょ の受刑 じゅけい 者 しゃ に対 たい して行 い った臨床 りんしょう 実験 じっけん では、シロシビンの摂取 せっしゅ によって神 かみ や愛 あい について語 かた られるようになり対立 たいりつ がなくなった。ハーバード大学 だいがく の研究 けんきゅう 者 しゃ らは、次第 しだい にチベット仏教 ぶっきょう の経典 きょうてん の一 ひと つである『チベット死者 ししゃ の書 しょ 』が幻覚 げんかく 剤 ざい の起 お こす幻覚 げんかく 体験 たいけん のガイド本 ほん として非常 ひじょう に役 やく に立 た つものだという見解 けんかい に至 いた り、幻覚 げんかく 剤 ざい を用 もち いる内容 ないよう に書 か き直 なお し『チベット死者 ししゃ の書 しょ サイケデリック・バージョン 』[56] として出版 しゅっぱん している。この本 ほん には、ティモシー・リアリーが研究 けんきゅう してきたセットとセッティング の理論 りろん の、幻覚 げんかく 剤 ざい の摂取 せっしゅ 体験 たいけん に際 さい して、幻覚 げんかく 剤 ざい の選択 せんたく と投与 とうよ 量 りょう や自他 じた の心構 こころがま えと周囲 しゅうい の環境 かんきょう が重要 じゅうよう であるということについても書 か かれている。1960年代 ねんだい には、LSDが大量 たいりょう に流通 りゅうつう し幻覚 げんかく 体験 たいけん がヒッピー ムーブメントの素地 そじ となっていた。こうしたムーブメントはサマー・オブ・ラブ とも呼 よ ばれる。LSDはアシッドと俗称 ぞくしょう されアシッド・ロック といった音楽 おんがく シーンも作 つく り出 だ した。40万 まん 人 にん を導 しるべ 引 ひか したロックフェスティバル のウッドストック・フェスティバル でもLSDが流通 りゅうつう したといわれる。
1965年 ねん に、LSDを体験 たいけん したオーガスタス・オーズリーは大学 だいがく を中退 ちゅうたい しLSDの工場 こうじょう をつくり、オーズリーブルースと呼 よ ばれるバッドマンの絵 え が描 えが かれた高 こう 品質 ひんしつ のLSDを安価 あんか を製造 せいぞう し世界中 せかいじゅう に流通 りゅうつう した[57] 。LSDは1966年 ねん にアメリカの法律 ほうりつ で禁止 きんし された。オーズリーがFBIに逮捕 たいほ されると、スカリーとオーズリーの弟 おとうと のティムがその意思 いし を引 ひ き継 つ ぎ、オレンジサンシャインという名 な で流通 りゅうつう させたが、起訴 きそ されたときにはスカリーはLSDの摂取 せっしゅ によって心 しん が優 やさ しくなるので流通 りゅうつう させたとし、また製造 せいぞう したのはLSDではなくALD52という近似 きんじ の化学 かがく 構造 こうぞう を持 も った物質 ぶっしつ であると主張 しゅちょう した。
ジョン・グリッグスはティモシー・リアリーの著書 ちょしょ を読 よ み、永遠 えいえん なる愛 あい の共同 きょうどう 体 たい というLSDとマリファナを安価 あんか に流通 りゅうつう させる組織 そしき を結成 けっせい し、組織 そしき は国際 こくさい 的 てき な麻薬 まやく 流通 りゅうつう 組織 そしき となったが、グリッグスは猛毒 もうどく のストリキニーネ の混 ま ざったシロシビンを摂取 せっしゅ して死亡 しぼう した[59] 。ストリキニーネの混 ま じった麻薬 まやく は殺害 さつがい を目的 もくてき として渡 わた されるものである[60] 。後 のち にCIAのロナルド・スタークが永遠 えいえん なる愛 あい の共同 きょうどう 体 たい の代表 だいひょう となり、スイスの隠 かく し金庫 きんこ に稼 かせ ぎを預金 よきん していた。LSDの安価 あんか な製造 せいぞう 法 ほう を開発 かいはつ し永遠 えいえん の愛 あい の兄弟 きょうだい 団 だん にその製造 せいぞう 法 ほう を提供 ていきょう したリチャード・ケンプは、永遠 えいえん なる愛 あい の共同 きょうどう 体 たい の後継 こうけい として1970年代 ねんだい にイギリスでLSDを流通 りゅうつう させ、1970年代 ねんだい 半 なか ばに逮捕 たいほ されたが、その裁判 さいばん の公判 こうはん 記録 きろく によって安価 あんか なLSDの製造 せいぞう 法 ほう が広 ひろ まっていった。歌手 かしゅ のジョン・レノン は、暗殺 あんさつ される直前 ちょくぜん にCIAはLSDによってわたしたちをコントロールしようとしたが結果 けっか として自由 じゆう を与 あた えた言 い っている。
ニューメキシコ大学 だいがく のリック・ストラスマンによれば、60人 にん の被験者 ひけんしゃ の半数 はんすう 近 ちか くがDMTの摂取 せっしゅ によって地球 ちきゅう 外 がい 生物 せいぶつ に遭遇 そうぐう したと主張 しゅちょう している。テレンス・マッケナは、DMTがエイリアンと遭遇 そうぐう する次元 じげん を誘発 ゆうはつ すると考 かんが えていた[63] 。脳 のう 科学 かがく 者 しゃ でLSDやケタミンの研究 けんきゅう を行 おこな っていたジョン・C・リリー はケタミンの摂取 せっしゅ によって、地球 ちきゅう 外 がい 知性 ちせい 体 たい とコンタクトしたと述 の べている[64] 。アヤワスカの摂取 せっしゅ によって異 い 次元 じげん に行 い き、体 からだ の半分 はんぶん が人間 にんげん 以外 いがい の生物 せいぶつ であるような存在 そんざい に接触 せっしょく するといわれる[65] 。
1970年代 ねんだい には、テレンス・マッケナが、マジックマッシュルームの栽培 さいばい に関 かん する本 ほん を出版 しゅっぱん し、アメリカでこうしたキノコの入手 にゅうしゅ が容易 ようい になっていった。テレンス・マッケナは、リアリー本人 ほんにん にも「1990年代 ねんだい のティモシー・リアリー」と呼 よ ばれるほどこうした意識 いしき 革命 かくめい の文化 ぶんか に影響 えいきょう 力 りょく をもった存在 そんざい になっていった。
1960年代 ねんだい のLSDによるカウンター・カルチャー の若者 わかもの は、コンピュータや先端 せんたん 科学 かがく も利用 りよう するカウンター・カルチャーであるサイバーパンク へと変容 へんよう していった[67] 。また、このリアリーを発端 ほったん とする意識 いしき の自由 じゆう を求 もと める思想 しそう は1980年代 ねんだい 以降 いこう も有力 ゆうりょく に機能 きのう しているとも評価 ひょうか されている[68] 。WIRED といった雑誌 ざっし やウェブサイトでその流 なが れが継続 けいぞく されている。
MDMAは視覚 しかく に幻覚 げんかく はもたらさず、共感 きょうかん 性 せい を高 たか めるという特徴 とくちょう がある。心 しん 的 てき 外傷 がいしょう 後 ご ストレス障害 しょうがい (PTSD)の患者 かんじゃ に対 たい して共感 きょうかん 性 せい を高 たか めるといわれるMDMA を投与 とうよ する治療 ちりょう 研究 けんきゅう が行 おこな われた。1984年 ねん 頃 ごろ 、アメリカのテキサス州 しゅう で大量 たいりょう 生産 せいさん され流通 りゅうつう したが、同年 どうねん アメリカで違法 いほう 薬物 やくぶつ に認定 にんてい された。
エクスタシー錠剤 じょうざい 。
1980年代 ねんだい 後半 こうはん より、スペインのイビサ島 とう で電子 でんし 音 おん 音楽 おんがく シーンからアシッド・ハウス としてLSDが流通 りゅうつう する音楽 おんがく シーンとしてリバイヴァルされた。MDMAは、1980年代 ねんだい 後半 こうはん のイギリスのレイヴ シーンに影響 えいきょう を与 あた えた。これはセカンド・サマー・オブ・ラブ とも呼 よ ばれる。LSDだけでなくMDMA(エクスタシー)の使用 しよう も増加 ぞうか していった。レイヴシーンはその後 ご 、アメリカの主 おも にサンフランシスコへ飛 と び火 ひ した。テレンス・マッケナによれば、レイブはハイテク化 か したヒューマン・ビーイン である[69] 。そして、2000年 ねん 前後 ぜんこう には、レイブシーンはドイツのベルリンで100万 まん 人 にん 以上 いじょう が参加 さんか するラブパレード というイベントにも発展 はってん している。
1990年 ねん 前後 ぜんこう にはインドのゴア でしばしばLSDを用 もち いて行 おこな われていたゴアトランス などのダンス・パーティがサイケデリックトランス へと発展 はってん した。
21世紀 せいき のサイケデリック・ルネッサンス [ 編集 へんしゅう ]
LSDのマイクロドットと、MDMAの結晶 けっしょう 。
薬物 やくぶつ 規制 きせい 分類 ぶんるい のスケジュールIとは、医学 いがく 的 てき 検証 けんしょう のない薬物 やくぶつ の規制 きせい 分類 ぶんるい であり、1960年代 ねんだい のムードでは幻覚 げんかく を生 しょう じさせるというだけで医学 いがく 的 てき 研究 けんきゅう を行 おこな わないままに、幻覚 げんかく 剤 ざい はこのような分類 ぶんるい に押 お し込 こ まれた。このことは、医学 いがく 的 てき な潜在 せんざい 価値 かち があるのにもかかわらず研究 けんきゅう に著 いちじる しい制限 せいげん をかけて妨 さまた げてきた[71] 。
21世紀 せいき に入 はい り、既存 きそん の精神 せいしん 科 か の薬 くすり の治療 ちりょう 効果 こうか の限界 げんかい から再 ふたた び幻覚 げんかく 剤 ざい に注目 ちゅうもく が集 あつ まって研究 けんきゅう が行 おこな われており、サイケデリック・ルネッサンスと呼 よ ばれている[4] 。
課題 かだい は資金 しきん であった。治験 ちけん のための近代 きんだい 的 てき なランダム化 か 比較 ひかく 試験 しけん (RCT) を実施 じっし するには、数 すう 百 ひゃく 万 まん ドルの費用 ひよう を要 よう し、本来 ほんらい は実施 じっし するためには特許 とっきょ による市場 いちば 独占 どくせん (製薬 せいやく 会社 かいしゃ などによる開発 かいはつ )が必要 ひつよう であり、さらには国際 こくさい 的 てき な規制 きせい がこれをさらに高額 こうがく にする[3] 。しかし、LSDやシロシビンでは特許 とっきょ が失効 しっこう しており臨床 りんしょう 試験 しけん は実施 じっし しがたいと思 おも われていたが、社会 しゃかい 的 てき 情勢 じょうせい の変化 へんか (禁止 きんし 政策 せいさく 麻薬 まやく 戦争 せんそう の失敗 しっぱい など[71] )を反映 はんえい してアメリカや欧州 おうしゅう の団体 だんたい は研究 けんきゅう 資金 しきん を提供 ていきょう しはじめ、このような運動 うんどう は大衆 たいしゅう の想像 そうぞう 力 りょく を駆 か り立 た てる幻覚 げんかく 剤 ざい の魅力 みりょく とソーシャルメディアとが組 く み合 あ わさって進展 しんてん してきた[3] 。こうして現代 げんだい 的 てき な手法 しゅほう (RCT)で有効 ゆうこう 性 せい と安全 あんぜん 性 せい を実証 じっしょう すれば、規制 きせい の再 さい 分類 ぶんるい が続 つづ くと考 かんが えられる[3] 。
アメリカのリック・ドブリン 率 ひき いる幻覚 げんかく 剤 ざい 研究 けんきゅう 学際 がくさい 協会 きょうかい (英語 えいご 版 ばん ) (MAPS)、イギリスのアマンダ・フィールディング 率 ひき いるベックリー財団 ざいだん は、情報 じょうほう 提供 ていきょう とコミュニティの形成 けいせい を通 つう じて、こうした研究 けんきゅう のための資金 しきん 集 あつ めを行 おこな い、実際 じっさい に研究 けんきゅう を実施 じっし してきた。
2019年 ねん 4月 がつ にイギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドン に世界 せかい 初 はつ のサイケデリック研究 けんきゅう センターが設置 せっち され(350万 まん ドルの資金 しきん 調達 ちょうたつ )、9月にはアメリカでは幻覚 げんかく 剤 ざい に関 かん する臨床 りんしょう 試験 しけん を行 おこな ってきたジョンズ・ホプキンズ大学 だいがく 医学部 いがくぶ に幻覚 げんかく 剤 ざい 意識 いしき 研究 けんきゅう センター (
Center for Psychedelic & Consciousness Research) が設置 せっち される(1700万 まん ドル調達 ちょうたつ )[72] 。2020年 ねん 9月 がつ 、カリフォルニア大学 だいがく バークレー校 こう がサイケデリック研究 けんきゅう センターを開設 かいせつ し、幻覚 げんかく 剤 ざい を心理 しんり 療法 りょうほう に組 く み込 こ む既存 きそん の臨床 りんしょう 試験 しけん の進行 しんこう を追 お いかけ、また神学 しんがく 研究所 けんきゅうじょ と合同 ごうどう で幻覚 げんかく 剤 ざい とスピリチュアリティに関 かん する研究 けんきゅう 、また研究 けんきゅう に足 た りていない体験 たいけん の補助 ほじょ 要員 よういん を育成 いくせい する[73] 。また2021年 ねん には、ニューヨークのマウントサイナイ医科 いか 大学 だいがく にサイケデリックス研究 けんきゅう センターが設置 せっち され、2019年 ねん の2機関 きかん より研究 けんきゅう 領域 りょういき は狭 せま いが今後 こんご 展開 てんかい される幻覚 げんかく 剤 ざい による治療 ちりょう 法 ほう のための教育 きょういく 施設 しせつ としても機能 きのう する[74] 。
デヴィッド・アール・ニコルズ は幻覚 げんかく 剤 ざい の研究 けんきゅう 者 しゃ で、灰色 はいいろ 市場 いちば (英語 えいご 版 ばん ) のデザイナードラッグ の生産 せいさん 者 しゃ はニコルズの著作 ちょさく 物 ぶつ が新 あたら しいデザイナードラッグを生 う み出 だ すのに「特 とく に有用 ゆうよう な」手引 てび きだと形容 けいよう した[75] 。25I-NBOMe (英語 えいご 版 ばん ) は、彼 かれ が生 う み出 だ し、新型 しんがた のLSDとして2010年代 ねんだい に規制 きせい されたもののひとつである。実際 じっさい に強 つよ い効果 こうか を生 しょう じる量 りょう よりも少 すく ない、ごく少量 しょうりょう を摂取 せっしゅ する幻覚 げんかく 剤 ざい のマイクロドージング は、2010年代 ねんだい の流行 りゅうこう である[76] 。
上記 じょうき の流 なが れから実際 じっさい に薬剤 やくざい も上市 かみいち されており、2019年 ねん 3月 がつ 5日 にち 、エスケタミン がうつ病 びょう の治療 ちりょう 薬 やく としてアメリカで承認 しょうにん され、発売 はつばい された[77] 。
哲学 てつがく 的 てき 考察 こうさつ [ 編集 へんしゅう ]
作家 さっか のオルダス・ハクスリー は、著書 ちょしょ 『知覚 ちかく の扉 とびら 』の中 なか で、ケンブリッジ大学 けんぶりっじだいがく の哲学 てつがく 者 しゃ C・D・ブロード が哲学 てつがく 者 しゃ のアンリ・ベルクソン を解釈 かいしゃく した説 せつ をよりどころとしている[78] 。人間 にんげん は本来 ほんらい 宇宙 うちゅう のあらゆることが知覚 ちかく できるが、脳 のう などの「減量 げんりょう バルブ」を通 とお して個体 こたい の生存 せいぞん のために必要 ひつよう な情報 じょうほう だけに絞 しぼ っている[78] 。しかし、精神 せいしん 修行 しゅぎょう やメスカリンなどによってそれをバイパスさせ、超 ちょう 感覚 かんかく 的 てき な知覚 ちかく や異常 いじょう な色彩 しきさい 感覚 かんかく などを体験 たいけん すると説明 せつめい した[78] 。リアリーによれば、そういった減量 げんりょう バルブは日常 にちじょう 的 てき な行動 こうどう を起 お こすためには必要 ひつよう な機能 きのう である[79]
また、オルダス・ハクスリーは、幻覚 げんかく 剤 ざい は『聖書 せいしょ 』に出 で てくる知恵 ちえ の樹 き の実 み でバチカン などの意識 いしき の管理 かんり 者 しゃ が使用 しよう を阻止 そし してきた物質 ぶっしつ であり[80] 、聖職 せいしょく 者 しゃ が歴史 れきし を通 つう じて容赦 ようしゃ なく弾圧 だんあつ してきたものである。リアリーによれば、ユダヤ教 きょう 、キリスト教 きょう 、イスラム教 いすらむきょう においては自分 じぶん 自身 じしん で考 かんが える人間 にんげん が増 ふ え無秩序 むちつじょ な状態 じょうたい になることを阻止 そし して簡単 かんたん なルールを教 おし え、それを守 まも らせることで秩序 ちつじょ を保 たも つことが権威 けんい 者 しゃ の目的 もくてき であったので、意識 いしき を変化 へんか させる顕微鏡 けんびきょう や望遠鏡 ぼうえんきょう 、幻覚 げんかく 性 せい のある植物 しょくぶつ を禁止 きんし してきたということである[82] 。しかし、幻覚 げんかく 剤 ざい は大量 たいりょう の未知 みち の情報 じょうほう のカオスをもたらし、そうしたカオスは脳 のう を再 さい プログラミングする状態 じょうたい に整 ととの えてしまうという[84]
LSDを合成 ごうせい した化学 かがく 者 しゃ のアルバート・ホフマン は、幻覚 げんかく 剤 ざい による恍惚 こうこつ 状態 じょうたい は宗教 しゅうきょう 的 てき な悟 さと り に似 に ており、自我 じが と外界 がいかい との境界 きょうかい が取 と り払 はら われ、創造 そうぞう 主 ぬし と被 ひ 造物 ぞうぶつ という二元論 にげんろん ではなく生命 せいめい が一 ひと つであるということを体験 たいけん させるので、瞑想 めいそう を補助 ほじょ するのに使 つか われるのがふさわしいと述 の べている。
スタニスラフ・グロフ は、1960年代 ねんだい から70年代 ねんだい にかけて、LSDを用 もち いた精神療法 せいしんりょうほう を研究 けんきゅう し、その弟子 でし たちは違法 いほう 後 ご もアンダーグラウンドな心理 しんり 療法 りょうほう を継続 けいぞく してきており、21世紀 せいき 初頭 しょとう でもイギリス、スイス、ドイツで活動 かつどう している[86] 。1986年 ねん に幻覚 げんかく 剤 ざい の研究 けんきゅう 協会 きょうかい のMAPS[87] や、1993年 ねん にメスカリンの発見 はっけん 者 しゃ の名 な を冠 かん したヘフター調査 ちょうさ 研究所 けんきゅうじょ [88] が設立 せつりつ されている。
ロシアの薬物 やくぶつ 乱用 らんよう の専門 せんもん 治療 ちりょう を行 おこな う精神 せいしん 科 か 医 い のエフゲニー・クルピツキーは20年間 ねんかん にわたり、麻酔 ますい 薬 やく のケタミンを幻覚 げんかく 剤 ざい として利用 りよう するアルコール依存 いぞん 症 しょう の治療 ちりょう を行 おこな ってきたが、111人 にん の被験者 ひけんしゃ のうち66%が少 すく なくとも1年間 ねんかん 禁酒 きんしゅ を継続 けいぞく し、対象 たいしょう 群 ぐん では24%であったなどのいくつかの報告 ほうこく [90] [91] がある。また、ケタミンはヘロインの依存 いぞん 症 しょう 患者 かんじゃ に対 たい しても薬物 やくぶつ の利用 りよう を中断 ちゅうだん する効果 こうか が見 み られた[92] [93] 。アヘンの禁断症状 きんだんしょうじょう を減衰 げんすい させるという報告 ほうこく もある[94] 。1990年代 ねんだい の研究 けんきゅう では、アヤワスカの摂取 せっしゅ によって、アルコールや麻薬 まやく の常習 じょうしゅう や暴力 ぼうりょく 行為 こうい を減 へ らす傾向 けいこう が見 み られた。
MAPSの支援 しえん でPTSDや末期 まっき ガン患者 かんじゃ の心理 しんり 的 てき な不安 ふあん 症状 しょうじょう に対 たい してMDMAの投与 とうよ 研究 けんきゅう が行 おこな われた[96] 。
2003年 ねん には、シロシビンを群発 ぐんぱつ 頭痛 ずつう に治療 ちりょう 投与 とうよ する研究 けんきゅう や、ヘフター調査 ちょうさ 研究 けんきゅう 会 かい の支援 しえん した研究 けんきゅう では強迫 きょうはく 性 せい 障害 しょうがい の患者 かんじゃ に対 たい して良好 りょうこう な結果 けっか が得 え られた[97] 。
PTSDに対 たい してMDMAを投与 とうよ する心理 しんり 療法 りょうほう は何 なん 度 ど か行 おこな われ良好 りょうこう な結果 けっか を得 え られており、2006年 ねん 10月 がつ よりMAPSの支援 しえん により行 おこな われた研究 けんきゅう では幸福 こうふく 感 かん が高 たか まり心理 しんり 的 てき トラウマに立 た ち向 む かうことができた[98] 。
2008年 ねん にはMAPSの支援 しえん でLSDを病 やまい で死 し を目前 もくぜん にし精神 せいしん 的 てき な意味 いみ を求 もと めている患者 かんじゃ に投与 とうよ する研究 けんきゅう が行 おこな われる[99] 。
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく におけるシロシビンの非 ひ 犯罪 はんざい 化 か (英語 えいご 版 ばん ) 。多数 たすう はシロシビンだけでなく幻覚 げんかく 剤 ざい を非 ひ 犯罪 はんざい 化 か している。 非 ひ 犯罪 はんざい 化 か した地域 ちいき
非 ひ 犯罪 はんざい 化 か した地域 ちいき のある州 しゅう
いかなる使用 しよう も禁止 きんし
国際 こくさい 的 てき に成分 せいぶん は向 こう 精神 せいしん 薬 やく に関 かん する条約 じょうやく で規制 きせい されるが、同 どう 条約 じょうやく 第 だい 32条 じょう 4項 こう によって植物 しょくぶつ が自生 じせい する国 くに における、少数 しょうすう の集団 しゅうだん に伝統 でんとう 的 てき に魔術 まじゅつ または宗教 しゅうきょう 的 てき な儀式 ぎしき として用 もち いられている場合 ばあい には、条約 じょうやく の影響 えいきょう は留保 りゅうほ される。また、含有 がんゆう する植物 しょくぶつ 自体 じたい は国際 こくさい 規制 きせい されておらず、個々 ここ の国 くに における法 ほう 規制 きせい には多様 たよう 性 せい がある。各 かく 記事 きじ を参照 さんしょう のこと。
ブラジルを拠点 きょてん とするサント・ダイミ でのアヤワスカの使用 しよう 、アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく におけるネイティブ・アメリカン・チャーチ (アメリカ先住民 せんじゅうみん 教会 きょうかい )でのペヨーテの使用 しよう は、信教 しんきょう の自由 じゆう を理由 りゆう に法的 ほうてき に明確 めいかく に許容 きょよう されている例 れい である。
ポルトガルの薬物 やくぶつ 政策 せいさく (英語 えいご 版 ばん ) では、2001年 ねん にすべての薬物 やくぶつ を非 ひ 犯罪 はんざい 化 か (英語 えいご 版 ばん ) しており[100] 、2021年 ねん にオレゴン州 しゅう では全米 ぜんべい 初 はつ の薬物 やくぶつ の非 ひ 犯罪 はんざい 化 か のための州法 しゅうほう が施行 しこう され、幻覚 げんかく 剤 ざい ではMDMA /エクスタシー1グラムまたは5錠 じょう 未満 みまん 、LSDを40使用 しよう 単位 たんい 未満 みまん 、シロシビン12グラム未満 みまん は単 たん に罰金 ばっきん となる[101] 。
特 とく に植物 しょくぶつ の状態 じょうたい について、治療 ちりょう に利用 りよう できるよう地域 ちいき 的 てき に使用 しよう できるようにするアメリカでの条例 じょうれい が可決 かけつ している。2019年 ねん 5月 がつ にコロラド州 しゅう デンバーでマジックマッシュルームが非 ひ 犯罪 はんざい 化 か され、2022年 ねん にはコロラド州 しゅう 全体 ぜんたい で非 ひ 犯罪 はんざい 化 か を行 おこな う投票 とうひょう のための住民 じゅうみん 運動 うんどう を予定 よてい している[102] 。2019年 ねん 6月 がつ には、カリフォルニア州 しゅう オークランドで自然 しぜん な(植物 しょくぶつ や菌類 きんるい の)幻覚 げんかく 剤 ざい を非 ひ 犯罪 はんざい 化 か した[103] 。2020年 ねん 2月 がつ 、カリフォルニア州 しゅう サンタクルーズで自然 しぜん な幻覚 げんかく 剤 ざい を非 ひ 犯罪 はんざい 化 か した[104] 。2020年 ねん 9月 がつ 、ミシガン州 しゅう アナーバーでは幻覚 げんかく 剤 ざい の菌類 きんるい や植物 しょくぶつ を非 ひ 犯罪 はんざい 化 か した[105] 。2020年 ねん 11月、ワシントンDCでは幻覚 げんかく 剤 ざい の使用 しよう を起訴 きそ の優先 ゆうせん 事項 じこう としない(ほかの薬物 やくぶつ 事犯 じはん を起訴 きそ する)という内容 ないよう の法案 ほうあん を可決 かけつ [106] 。アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく におけるシロシビンの非 ひ 犯罪 はんざい 化 か (英語 えいご 版 ばん ) も参照 さんしょう 。
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