日本にっぽんとソマリアの関係かんけい

日本にっぽんとソマリアの関係かんけい

日本にっぽん	ソマリア

日本にっぽんとソマリアの関係かんけい（にほんとソマリアのかんけい、ソマリ語ご: Xiriirka Jabaan-Soomaaliya、アラビア語ご: العلاقات الصومالية اليابانية‎、英語えいご: Japan-Somalia relations） では、日本にっぽんとソマリアの関係かんけいについて概説がいせつする。日本にっぽんとソマリア連邦れんぽう共和きょうわ国こくの関係かんけいとも。概おおむね友好ゆうこう的てきな関係かんけいを築きずいている。

両国りょうこくの比較ひかく

	ソマリア	日本にっぽん	両国りょうこくの差さ
人口じんこう	1589万まん3219人にん（2020年ねん）	1億おく2583万まん人にん（2020年ねん）	日本にっぽんはソマリアの約やく7.9倍ばい
国土こくど面積めんせき	63万まん8000 km2	37万まん7972 km2	ソマリアは日本にっぽんの約やく1.7倍ばい
人口じんこう密度みつど	25 人にん/km2（2020年ねん）	345 人にん/km2（2020年ねん）	日本にっぽんはソマリアの約やく13.8倍ばい
首都しゅと	モガディシュ	東京とうきょう都と
最大さいだい都市とし	モガディシュ	東京とうきょう都区とく部ぶ
政体せいたい	大統領だいとうりょう制せい 共和きょうわ制せい 連邦れんぽう制せい	（民主みんしゅ制せい）議院ぎいん内ない閣かく制せい
公用こうよう語ご	ソマリ語ご アラビア語ご	日本語にほんご（事実じじつ上じょう）
通貨つうか	ソマリア・シリング	日本円にほんえん
国教こっきょう	イスラム教いすらむきょう	なし
人間にんげん開発かいはつ指数しすう	0.364	0.919
民主みんしゅ主義しゅぎ指数しすう	‐	7.99
GDP（名目めいもく）	49億おく8844万まん米あめりかドル（2020年ねん）	4兆ちょう9754億おく1524万まん米あめりかドル（2019年ねん）	日本にっぽんはソマリアの約やく997.4倍ばい
一人ひとり当あたり名目めいもくGDP	313.9米あめりかドル（2020年ねん）	39,538.9米あめりかドル（2020年ねん）	日本にっぽんはソマリアの約やく126倍ばい
GDP（購買こうばい力りょく平価へいか）	156億おく8224万まん米あめりかドル（2020年ねん）	5兆ちょう5043億おく3091万まん米あめりかドル（2019年ねん）	日本にっぽんはソマリアの約やく351倍ばい
一人ひとり当あたり実質じっしつGDP	986.7米あめりかドル（2019年ねん）	43,593.5米あめりかドル（2019年ねん）	日本にっぽんはソマリアの約やく44.2倍ばい
経済けいざい成長せいちょう率りつ	2.4%（2019年ねん）	0.3%（2019年ねん）
軍事ぐんじ費ひ	9838万まん5000米あめりかドル（2020年ねん）	491億おく4855万まん米あめりかドル（2020年ねん）	日本にっぽんはソマリアの約やく523.8倍ばい
地図ちず

歴史れきし

1960年ねん、イタリア信託しんたく統治とうち領りょうソマリアとイギリス領りょうソマリランドはほぼ同どう時期じきに独立どくりつして合併がっぺい、「ソマリア共和きょうわ国こく」となった。日本にっぽんはすぐさまこれを国家こっか承認しょうにんしたのちに外交がいこう関係かんけいを開設かいせつし、1982年ねんソマリアは東京とうきょうに駐ちゅう日にちソマリア大使館たいしかんを開設かいせつした。一方いっぽうで日本にっぽんはナイロビの在ざいケニア日本国にっぽんこく大使館たいしかんがソマリアを兼けん轄した。

しかし1988年ねんに発生はっせいしたソマリア内戦ないせんの影響えいきょうで駐日ちゅうにち大使館たいしかんは1990年ねん7月がつ1日にちに閉鎖へいさされた。1991年ねんには反はん政府せいふ勢力せいりょく統一とういつソマリ会議かいぎが首都しゅとを制圧せいあつして政権せいけんを奪取だっしゅし、日本にっぽんはこれを承認しょうにんせず国交こっこうは途絶とぜつした。また同年どうねんには北西ほくせい部ぶがソマリランドとして、1998年ねんには北東ほくとう部ぶがプントランドとして独立どくりつを宣言せんげんし国土こくどの統一とういつ性せいも失うしなわれ、二に国こく間あいだ関係かんけいは支援しえんも含ふくめて打うち切きられた。

ソマリア暫定ざんてい連邦れんぽう政府せいふの統治とうちを経へて2012年ねんには21年ねんぶりに統一とういつ政府せいふが樹立じゅりつされ、「ソマリア連邦れんぽう共和きょうわ国こく」を形成けいせい。日本にっぽんはこれを承認しょうにんし、2013年ねんには二に国こく間あいだ援助えんじょを再開さいかいすることが決きまった。それ以降いこう、日本にっぽんはソマリアやアフリカの角かくの安定あんていのためソマリア支援しえんを実施じっししている。ただし、北西ほくせい部ぶソマリランドは連邦れんぽう政府せいふに参加さんかしておらず、北東ほくとうプントランドも連邦れんぽう政府せいふに参加さんかしてはいるものの独自どくじの大統領だいとうりょうが存在そんざいするなど多おおくの面めんで事実じじつ上じょうの独立どくりつを保たもっており、かつての日ひ・ソマリア関係かんけいが完全かんぜんに回復かいふくしたわけではない。

外交がいこう

日本にっぽん要人ようじんのソマリア訪問ほうもん

ソマリアの情勢じょうせいは不安定ふあんていであることから、1993年ねん以降いこう日本にっぽん要人ようじんのソマリア訪問ほうもんは実施じっしされていない。

ただし直接ちょくせつの訪問ほうもんではないが日本にっぽん国外こくがいでの外交がいこうとして、2016年ねんに当時とうじ外務がいむ大臣だいじんであった岸田きしだ文雄ふみおがアフリカ開発かいはつ会議かいぎのためケニア・ナイロビを訪問ほうもんした際さい、ソマリア外相がいしょうのアブディサラーム・ハドリエ・オマールと外相がいしょう会談かいだんを実施じっししている。

ソマリア要人ようじんの訪日ほうにち

2013年ねんにはアフリカ開発かいはつ会議かいぎのためソマリア大統領だいとうりょうのハッサン・シェイク・モハムドが訪日ほうにちし、安倍晋三あべしんぞうと初はつの日ひ・ソマリア首脳しゅのう会談かいだんを実施じっし。21年ねんぶりに再開さいかいした二に国こく間あいだ関係かんけいを祝いわい、またソマリアの復興ふっこうや経済けいざい支援しえんについてが議論ぎろんされた。翌よく2014年ねんにも両者りょうしゃの間あいだでは首脳しゅのう会談かいだんが開ひらかれており、東ひがしアフリカの情勢じょうせい安定あんてい化かやソマリアへの経済けいざい支援しえんなど類似るいじの議題ぎだいについてが話はなし合あわれた。

2019年ねんには第だい9代だいソマリア大統領だいとうりょうとなったモハメド・アブドゥライ・モハメドが訪日ほうにちし、安倍晋三あべしんぞうと首脳しゅのう会談かいだんを実施じっし。ソマリア海賊かいぞくや「自由じゆうで開ひらかれたインド太平洋たいへいよう」など海洋かいよう秩序ちつじょに関かんする問題もんだいや北朝鮮きたちょうせん情勢じょうせいについてが議論ぎろんされた。

またこれと同時どうじにソマリア外相がいしょうのアフメド・イッセ・アワッドも日本にっぽんを訪問ほうもんしており、当時とうじ外務がいむ大臣だいじんであった河野こうの太郎たろうと外相がいしょう会談かいだんを実施じっしした。議論ぎろんされた内容ないようは主おもに日本にっぽんからソマリアに対たいする経済けいざい・人道じんどう・治安ちあん・安全あんぜん保障ほしょう上じょうの支援しえんについてであった。

経済けいざい関係かんけい

2019年ねんの日ひ・ソマリア貿易ぼうえきは対たい日にち輸出ゆしゅつ21.3億おく円えん、対たい日にち輸入ゆにゅう5.5億おく円えんとなっており、ソマリア側がわの黒字くろじとなっている。その理由りゆうとしては対たい日にち輸出ゆしゅつの主要しゅよう品目ひんもくが日本にっぽんの食しょく文化ぶんかに欠かかせない生鮮せいせん魚類ぎょるいであることが挙あげられ、次ついで精油せいゆが多おおい。一方いっぽうで対たい日にち輸入ゆにゅうの主要しゅよう品目ひんもくは自動車じどうしゃなどである。

日本にっぽんが2013年ねんにソマリア政府せいふを承認しょうにんし二に国こく間あいだ関係かんけいを再開さいかいさせてからまだ日ひが浅あさく、そのため実施じっしされた政府せいふ開発かいはつ援助えんじょは少すくない。技術ぎじゅつ協力きょうりょくとしては2017年ねんから2022年ねんにかけて実施じっしされた「若年じゃくねん層そう雇用こように係かかる能力のうりょく強化きょうかプロジェクト」が挙あげられ、これはソマリアにおいて安定あんていした雇用こよう環境かんきょうを生うみ出だすことを目的もくてきとしていた。

また無償むしょう資金しきん協力きょうりょくとしては2021年ねんに書簡しょかんが交換こうかんされた「ソマリア警察けいさつの爆発ばくはつ物ぶつ処理しょり能力のうりょく強化きょうかを通つうじた安全あんぜん促進そくしん計画けいかく（UN連携れんけい／UNMAS実施じっし）」や、復興ふっこうや急速きゅうそくに人口じんこう増加ぞうかするモガディシュの都市とし計画けいかくに必要ひつような地形ちけい図ず作成さくせいを支援しえんする「ソマリアに対たいする地形ちけい図ず作成さくせい能力のうりょく支援しえん」、国連こくれん世界せかい食糧しょくりょう計画けいかくを通つうじた食糧しょくりょう支援しえんなどを行おこなっている。2018年ねんまでに行おこなわれた無償むしょう資金しきん協力きょうりょくの累計るいけいは202.09億おく円えんであり、有償ゆうしょう資金しきん協力きょうりょく(64.7億おく円えん)や技術ぎじゅつ協力きょうりょく(11.52億おく円えん)を凌しのいでいる。

文化ぶんか交流こうりゅう

情勢じょうせいが不安定ふあんていなこともあって民間みんかん交流こうりゅうが少すくなく、ゆえに民間みんかん人じんが担にない手てになる文化ぶんか交流こうりゅうは殆ほとんど見みられない。ただし外務省がいむしょうなどが文化ぶんか的てき支援しえんを実施じっししており、ケニアにある4つのソマリ人じん難民なんみんキャンプに対たいしてはサッカーボールが送おくられている。

また2011年ねん9月には学生がくせいNGO団体だんたいにあたる日本にっぽんソマリア青年せいねん機構きこうが立たち上あげられた。これは日本にっぽんで唯一ゆいいつの紛争ふんそう地ちソマリアの支援しえんを目的もくてきとしたNGO団体だんたいで、設立せつりつ者しゃの永井ながい陽よう右みぎは現地げんちでソマリア人じんギャングを更生こうせいさせるプロジェクトを主導しゅどうした。

海賊かいぞく問題もんだい

詳細しょうさいは「ソマリア沖おき海賊かいぞくの対策たいさく部隊ぶたい派遣はけん」を参照さんしょう

ソマリアとの貿易ぼうえきや経済けいざい関係かんけいではソマリア海賊かいぞく問題もんだいが重要じゅうようとなる。ソマリア海賊かいぞくが出没しゅつぼつするのは主おもにアデン湾わんであるが、アデン湾わんは紅海こうかいとアラビア海かいの間あいだにあり、ひいては地中海ちちゅうかいや大西おおにし洋ひろしとインド洋いんどようを結むすび付つける重要じゅうような海うみで、アデン湾わんにおけるソマリア海賊かいぞくの活動かつどうは東ひがしアフリカや中東ちゅうとうだけでなく国際こくさい物流ぶつりゅうにおいても重大じゅうだいな障壁しょうへきとなっている。ゆえにアメリカ海軍かいぐん、ロシア海軍かいぐんなど主要しゅよう国こくの海軍かいぐんは海賊かいぞく対策たいさくの名目めいもくで同どう地域ちいきに一定いってい規模きぼの戦力せんりょくを派遣はけんしており、日本にっぽんも隣国りんごくジブチ含ふくめアデン湾わん周辺しゅうへんに自衛隊じえいたいを派遣はけん・駐屯ちゅうとんさせ同どう地域ちいきの治安ちあん・経済けいざいの安定あんていに貢献こうけんしている。

2016年ねんには寿司すしチェーン店てん「すしざんまい」を運営うんえいする喜代きよ村むらの社長しゃちょうである木村きむら清きよしが、国際こくさい的てきな問題もんだいとなっているソマリア海賊かいぞくに対たいしマグロ漁りょうを教おしえ漁船ぎょせんを手配てはいし、冷凍れいとう倉庫そうこや流通りゅうつう設備せつびを整備せいびすることで漁師りょうしに戻もどしソマリア海賊かいぞくを激減げきげんさせたとの記事きじがSNSで拡散かくさんされ話題わだいとなった。しかしこれは一種いっしゅの誇張こちょうで、実際じっさいに木村きむら清きよしがソマリアの隣国りんごくであるジブチに赴おもむき「ソマリア海賊かいぞくらしき人々ひとびと」にマグロ漁りょうに関かんする技術ぎじゅつを教おしえたものの、漁船ぎょせんや保存ほぞん・流通りゅうつうに関かんする設備せつびを手配てはいした事実じじつはないというのが後のちに明あきらかにされている。

ソマリランドとの関係かんけい

詳細しょうさいは「日本にっぽんとソマリランドの関係かんけい」を参照さんしょう

参考さんこう文献ぶんけん

• ソマリア連邦れんぽう共和きょうわ国こく（Federal Republic of Somalia）基礎きそデータ　外務省がいむしょう
• 高野たかの秀行ひでゆき (2017), 謎なぞの独立どくりつ国家こっかソマリランド　そして海賊かいぞく国家こっかプントランドと戦国せんごく南部なんぶソマリア, 集英社しゅうえいしゃ, ISBN 978-4-08-745595-3 

関連かんれん項目こうもく

• 日本にっぽんの国際こくさい関係かんけい
• ソマリアの国際こくさい関係かんけい
• 日本にっぽんとソマリランドの関係かんけい

外部がいぶリンク

• 在ざいソマリア日本国にっぽんこく大使館たいしかん、同どう （英語えいご）