ルビジウム (ラテン語 らてんご : rubidium [2] 英語 えいご 発音 はつおん : [rʉˈbɪdiəm] )は原子 げんし 番号 ばんごう 37 の元素 げんそ 記号 きごう Rb で表 あらわ される元素 げんそ である。アルカリ金属 きんぞく 元素 げんそ の1つで、柔 やわ らかい銀 ぎん 白色 はくしょく の典型 てんけい 元素 げんそ であり、原子 げんし 量 りょう は85.4678。ルビジウム単体 たんたい は、例 たと えば空気 くうき 中 ちゅう で急速 きゅうそく に酸化 さんか されるなど非常 ひじょう に反応 はんのう 性 せい が高 たか く、他 た のアルカリ金属 きんぞく に似 に た特性 とくせい を有 ゆう している。ルビジウムの安定 あんてい 同位 どうい 体 たい は 85 Rb ただ1つのみである。自然 しぜん 界 かい に存在 そんざい するルビジウムのおよそ28%を占 し める同位 どうい 体 たい の 87 Rb は放射能 ほうしゃのう を有 ゆう しており、半減 はんげん 期 き はおよそ490億 おく 年 とし である。この半減 はんげん 期 き の長 なが さは、推定 すいてい された宇宙 うちゅう の年齢 ねんれい の3倍 ばい 以上 いじょう の長 なが さである。
外見 がいけん
銀 ぎん 白色 はくしょく
一般 いっぱん 特性 とくせい
名称 めいしょう , 記号 きごう , 番号 ばんごう
ルビジウム, Rb, 37
分類 ぶんるい
アルカリ金属 きんぞく
族 ぞく , 周期 しゅうき , ブロック
1 , 5 , s
原子 げんし 量 りょう
85.4678 (3)
電子 でんし 配置 はいち
[Kr ] 5s1
電子 でんし 殻 から
2, 8, 18, 8, 1(画像 がぞう )
物理 ぶつり 特性 とくせい
相 そう
固体 こたい
密度 みつど (室温 しつおん 付近 ふきん )
1.532 g/cm3
融点 ゆうてん での液体 えきたい 密度 みつど
1.46 g/cm3
融点 ゆうてん
312.46 K , 39.31 °C , 102.76 °F
沸点 ふってん
961 K , 688 °C , 1270 °F
臨界 りんかい 点 てん
(推定 すいてい )2093 K , 16 MPa
融解 ゆうかい 熱 ねつ
2.19 kJ/mol
蒸発 じょうはつ 熱 ねつ
75.77 kJ/mol
熱容量 ねつようりょう
(25 °C ) 31.060 J/(mol·K)
蒸気 じょうき 圧 あつ
圧力 あつりょく (Pa)
1
10
100
1 k
10 k
100 k
温度 おんど (K)
434
486
552
641
769
958
原子 げんし 特性 とくせい
酸化 さんか 数 すう
1(強 つよ 塩基 えんき 性 せい 酸化 さんか 物 ぶつ )
電気 でんき 陰性 いんせい 度 ど
0.82(ポーリングの値 ね )
イオン化 いおんか エネルギー
第 だい 1: 403 kJ/mol
第 だい 2: 2632.1 kJ/mol
第 だい 3: 3859.4 kJ/mol
原子 げんし 半径 はんけい
248 pm
共有 きょうゆう 結合 けつごう 半径 はんけい
220±9 pm
ファンデルワールス半径 はんけい
303 pm
その他 た
結晶 けっしょう 構造 こうぞう
体 からだ 心 こころ 立方 りっぽう
磁性 じせい
常 つね 磁性 じせい [1]
電気 でんき 抵抗 ていこう 率 りつ
(20 °C ) 128 nΩ おめが ⋅m
熱 ねつ 伝導 でんどう 率 りつ
(300 K) 58.2 W/(m⋅K)
音 おと の伝 つた わる速 はや さ (微細 びさい ロッド)
(20 °C ) 1300 m/s
ヤング率 りつ
2.4 GPa
体積 たいせき 弾性 だんせい 率 りつ
2.5 GPa
モース硬度 こうど
0.3
ブリネル硬度 こうど
0.216 MPa
CAS登録 とうろく 番号 ばんごう
7440-17-7
主 おも な同位 どうい 体 たい
詳細 しょうさい はルビジウムの同位 どうい 体 たい を参照 さんしょう
1861年 ねん に、ドイツ の化学 かがく 者 しゃ ロベルト・ブンゼン とグスタフ・キルヒホフ が新 あたら しく開発 かいはつ されたフレーム分光 ぶんこう 法 ほう によってルビジウムを発見 はっけん した。ルビジウムの化合 かごう 物 ぶつ は化学 かがく および電子 でんし の分野 ぶんや で利用 りよう されている。金属 きんぞく ルビジウムは容易 ようい に気化 きか し、利用 りよう しやすいスペクトルの吸収 きゅうしゅう 域 いき を有 ゆう しているため、原子 げんし のレーザ操作 そうさ のための標的 ひょうてき としてしばしば用 もち いられる。ルビジウムの生体 せいたい に対 たい する必要 ひつよう 性 せい は知 し られていない。しかし、ルビジウムイオンはセシウム のように、カリウムイオンと類似 るいじ した方法 ほうほう で植物 しょくぶつ や生 い きた動物 どうぶつ の細胞 さいぼう によって活発 かっぱつ に取 と り込 こ まれる。
発光 はっこう スペクトルで赤色 あかいろ の光線 こうせん を示 しめ すことから、ラテン語 らてんご で暗 くら 赤色 あかいろ を表 あらわ す rubidus よりルビジウムと名付 なづ けられた[3] [4] 。
ルビジウム源 げん であるリチア雲母 うんも
ルビジウムは地殻 ちかく 中 なか に23番目 ばんめ に多 おお く存在 そんざい する元素 げんそ である(地殻 ちかく 中 ちゅう の元素 げんそ の存在 そんざい 度 ど も参照 さんしょう )。おおよそ亜鉛 あえん と同 どう 程度 ていど に豊富 ほうふ であり、いくぶんか銅 どう よりも普遍 ふへん 的 てき である[9] 。自然 しぜん での産出 さんしゅつ は、白 しろ 榴石(英語 えいご 版 ばん ) 、ポルサイト 、カーナライト 、チンワルド雲母 うんも などの鉱石 こうせき に、酸化 さんか 物 ぶつ として最大 さいだい で1% ほど含有 がんゆう されている。リチア雲母 うんも は0.3%から3.5%のルビジウムを含 ふく み、商用 しょうよう ベースのルビジウム源 げん として利用 りよう されている[10] 。いくつかのカリウム鉱石 こうせき や塩化 えんか カリウムも、商業 しょうぎょう 的 てき に重要 じゅうよう な量 りょう のルビジウムを含 ふく んでいる。
海水 かいすい 中 なか には、平均 へいきん して1 L 当 あ たり125 μ みゅー g のルビジウムが含 ふく まれている。同族 どうぞく の他 ほか の元素 げんそ と比較 ひかく すると、1 L当 あ たり408 mg 含 ふく まれるカリウムより大幅 おおはば に少 すく なく、1 L当 あ たり0.3 μ みゅー g含 ふく まれるセシウムよりは大幅 おおはば に多 おお い量 りょう である[11] 。
ルビジウムはそれなりに大 おお きなイオン半径 はんけい を有 ゆう しているため、「不適合 ふてきごう 元素 げんそ 」の1つである[12] 。マグマ の結晶 けっしょう 分化 ぶんか の間 あいだ 、ルビジウムはルビジウムより重 おも く類似 るいじ した性質 せいしつ を持 も つセシウムと共 とも に液 えき 相 しょう に濃縮 のうしゅく され、最後 さいご に結晶 けっしょう 化 か する。したがってルビジウムおよびセシウムは、これらの濃縮 のうしゅく 過程 かてい によって形成 けいせい されるペグマタイト 鉱物 こうぶつ に堆積 たいせき する。ルビジウムはマグマの結晶 けっしょう 化 か においてカリウムと置換 ちかん するため、セシウムの場合 ばあい ほど効果 こうか 的 てき には濃縮 のうしゅく されない。ポルサイトのようにセシウム鉱床 こうしょう とするに十分 じゅうぶん な量 りょう のセシウムを含 ふく むペグマタイト鉱石 こうせき や、リチウム 鉱石 こうせき であるリチア雲母 うんも は、副 ふく 生物 せいぶつ としてのルビジウム源 げん でもある[9] 。
2つのルビジウムの重要 じゅうよう な産出 さんしゅつ 源 げん は、カナダ のマニトバ州 しゅう にあるバーニック湖 こ の豊富 ほうふ なポルサイト鉱床 こうしょう および、イタリア のエルバ島 とう で産出 さんしゅつ されるルビジウムを17.5%含 ふく んだルビジウム微 ほろ 斜 はす 長石 ちょうせき (英語 えいご 版 ばん ) ((Rb, K)AlSi3 O8 )[13] である。これらはセシウムの産出 さんしゅつ 源 げん でもある。
ルビジウムは地殻 ちかく 中 ちゅう においてセシウムより豊富 ほうふ に存在 そんざい するが、用途 ようと が限 かぎ られていることやルビジウムを豊富 ほうふ に含 ふく む鉱石 こうせき の不足 ふそく から、ルビジウム化合 かごう 物 ぶつ の年間 ねんかん 生産 せいさん 量 りょう は2から4トン程度 ていど である[9] 。カリウムからルビジウムおよびセシウムを分離 ぶんり するにはいくつかの方法 ほうほう がある。ルビジウムセシウムミョウバン (Cs, Rb)Al(SO4 )2 •12H2 O からの分別 ふんべつ 晶 あきら 出 で によって純粋 じゅんすい なルビジウムミョウバンが得 え られる。2つの他 ほか の方法 ほうほう の報告 ほうこく では、塩化 えんか スズ法 ほう およびフェロシアン酸 さん 塩 しお 法 ほう の文献 ぶんけん がある[9] [14] 。1950年代 ねんだい および60年代 ねんだい の数 すう 年間 ねんかん は、Alkarb と呼 よ ばれるカリウム製品 せいひん の副産物 ふくさんぶつ がルビジウムの主要 しゅよう な産出 さんしゅつ 源 げん であった。Alkarb には21%のルビジウムとごくわずかなセシウムが含 ふく まれ、残 のこ りはカリウムである[15] 。現在 げんざい ルビジウムは、例 たと えばカナダのマニトバ州 しゅう にあるタンコ鉱山 こうざん のようなセシウムの大 おお きな生産 せいさん 者 しゃ によって、ポルサイトからの副産物 ふくさんぶつ として生産 せいさん されている[9] 。
ルビジウムを用 もち いた原子 げんし 時計 とけい (アメリカ海軍 かいぐん 天文台 てんもんだい )
ルビジウム87(同位 どうい 体 たい )は、半減 はんげん 期 き 488億 おく 年 ねん [16] の放射 ほうしゃ 性 せい 同位 どうい 体 たい であり、ベータ崩壊 ほうかい してストロンチウム87 となる。これを使 つか って、年代 ねんだい 測定 そくてい が可能 かのう である(ルビジウム-ストロンチウム法 ほう )。炭酸 たんさん ルビジウム (Rb2 CO3 ) を原料 げんりょう に混 ま ぜたガラス は丈夫 じょうぶ で電気 でんき 絶縁 ぜつえん 性 せい に優 すぐ れているため、ブラウン管 ぶらうんかん 用 よう ガラスとして用 もち いられる。
光 ひかり で励起 れいき したルビジウムは原子 げんし 時計 とけい に用 もち いられている。セシウム 原子 げんし 時計 とけい に比 くら べ正確 せいかく さは劣 おと るが、小型 こがた で低 てい 価格 かかく であるため、ルビジウム原子 げんし 時計 とけい は広 ひろ く利用 りよう されている。
通常 つうじょう 、ルビジウムは土壌 どじょう 中 なか において非常 ひじょう に低 ひく 濃度 のうど である反面 はんめん 、植物 しょくぶつ によって吸収 きゅうしゅう されやすく、カリウム に似 に た挙動 きょどう を示 しめ す。このため、トレーサ として既知 きち 濃度 のうど のルビジウム水溶液 すいようえき を土壌 どじょう に注入 ちゅうにゅう 、一定 いってい 期間 きかん 後 ご に植物 しょくぶつ 体 たい を収 おさむ 獲 え しルビジウム濃度 のうど を測定 そくてい することで、その時点 じてん における根 ね の活性 かっせい を推定 すいてい できる(ルビジウムトレーサ法 ほう )。また、農作物 のうさくもつ 害虫 がいちゅう の生態 せいたい 調査 ちょうさ における標識 ひょうしき として用 もち いられた事例 じれい もある。
ルビジウム化合 かごう 物 ぶつ は時折 ときおり 、花火 はなび に紫 むらさき の色 いろ を付 つ けるために用 もち いられる[17] 。
ルビジウムは磁気 じき 流体 りゅうたい 力学 りきがく の原理 げんり を応用 おうよう した熱 ねつ 電 でん 変換 へんかん 材料 ざいりょう への使用 しよう が検討 けんとう されている[18] 。高温 こうおん の熱 ねつ でルビジウムをイオン化 いおんか し磁場 じば を通過 つうか させることによって、それらは電気 でんき を伝導 でんどう し、発電 はつでん 機 き の電機 でんき 子 こ のように働 はたら くことで電流 でんりゅう が発生 はっせい する。
ルビジウム、特 とく に気化 きか された 87 Rb は、レーザー冷却 れいきゃく やボース=アインシュタイン凝縮 ぎょうしゅく の用途 ようと において、最 もっと も一般 いっぱん 的 てき に使用 しよう される原子 げんし 種 しゅ の1つである。この用途 ようと における望 のぞ ましい性質 せいしつ は、関連 かんれん した波長 はちょう における安価 あんか な半導体 はんどうたい レーザー がいつでも利用 りよう できる点 てん および、適度 てきど な温度 おんど で十分 じゅうぶん な蒸気 じょうき 圧 あつ を得 え ることのできる点 てん である[19] [要 よう 出典 しゅってん ] 。
ルビジウムは、核 かく スピンを一定 いってい の方向 ほうこう に整列 せいれつ させた大量 たいりょう の磁化 じか 3 He ガスを生産 せいさん する際 さい に、3 He にスピン偏 へん 極 きょく を与 あた えるために用 もち いられる。ルビジウムの蒸気 じょうき は、レーザーによる光 ひかり ポンピング によってスピンが偏 へん 極 ごく し、それが超 ちょう 微細 びさい 構造 こうぞう に影響 えいきょう を与 あた えることで 3 He の核 かく スピンを一定 いってい の方向 ほうこう に整列 せいれつ させる[20] 。スピンが偏 へん 極 きょく 化 か した 3 He は、中性子 ちゅうせいし 偏 へん 極 きょく 測定 そくてい やその他 た の用途 ようと のための偏 へん 極 ごく 中性子 ちゅうせいし ビームを発生 はっせい させる用途 ようと に一般 いっぱん 化 か されてきている[21] 。
ルビジウムは、セル・サイト送信 そうしん 機 き や他 た の電子 でんし 的 てき な送信 そうしん 機 き 、情報 じょうほう 網 もう および試験 しけん 装置 そうち における周波数 しゅうはすう の精度 せいど を保 たも つための二 に 次 じ 周波数 しゅうはすう 標準 ひょうじゅん 器 き の主要 しゅよう 部品 ぶひん である(ルビジウム発振 はっしん 機 き )。このルビジウム標準 ひょうじゅん 器 き は GPS において、より正確 せいかく でセシウム標準 ひょうじゅん 器 き よりも安価 あんか な「一 いち 次 じ 周波数 しゅうはすう 標準 ひょうじゅん 器 き 」を製造 せいぞう するためにしばしば用 もち いられる[22] [23] 。ルビジウム標準 ひょうじゅん 機 き は、デ で ータ通信 たつうしん 産業 さんぎょう のために大量 たいりょう 生産 せいさん されている[24] 。
ルビジウムの他 ほか の可能 かのう 性 せい もしくは現在 げんざい の用途 ようと としては、蒸気 じょうき タービンにおける作動 さどう 流体 りゅうたい や真空 しんくう 管 かん における残留 ざんりゅう ガスの吸着 きゅうちゃく 剤 ざい (ゲッター (英語 えいご 版 ばん ) )、光 ひかり 検出 けんしゅつ 器 き の部品 ぶひん などがある[25] 。ルビジウムのエネルギー準 じゅん 位 い の超 ちょう 微細 びさい 構造 こうぞう を利用 りよう して原子 げんし 時計 とけい の共鳴 きょうめい 元素 げんそ に用 もち いられる[23] 。ルビジウムはまた、特殊 とくしゅ ガラスの成分 せいぶん や酸素 さんそ 雰囲気 ふんいき 下 か での燃焼 ねんしょう によって生 しょう じる超過 ちょうか 酸化 さんか 物 ぶつ の生産 せいさん 、生物 せいぶつ 学 がく におけるカリウムイオンチャネル の研究 けんきゅう 、原子 げんし 磁気 じき センサーの蒸気 じょうき の発生 はっせい などに用 もち いられる[26] 。87 Rbは現在 げんざい 、スピン偏 へん 極 きょく の緩和 かんわ レートを小 ちい さくした状態 じょうたい を利用 りよう した磁気 じき センサー (SERF ; spin exchange relaxation-free (SERF) magnetometer) の開発 かいはつ において、他 た のアルカリ金属 きんぞく 類 るい とともに使用 しよう されている[26] 。
82 Rb は陽電子 ようでんし 放射 ほうしゃ 断層 だんそう 撮影 さつえい に用 もち いられている。ルビジウムはカリウムと非常 ひじょう に似 に ているため、カリウムを多 おお く含 ふく んだ生体 せいたい 細胞 さいぼう は放射 ほうしゃ 性 せい ルビジウムも蓄積 ちくせき する。主要 しゅよう な用途 ようと の1つは心筋 しんきん 灌流イメージング(英語 えいご 版 ばん ) である。76秒 びょう という非常 ひじょう に短 みじか い半減 はんげん 期 き のため、患者 かんじゃ の近 ちか くで 82 Sr の崩壊 ほうかい によって 82 Rb を生 う み出 だ す必要 ひつよう がある[27] 。脳腫瘍 のうしゅよう において、血液 けつえき 脳 のう 関門 かんもん でのルビジウムとカリウムの置換 ちかん の結果 けっか 、ルビジウムは通常 つうじょう の脳 のう 組織 そしき よりも脳腫瘍 のうしゅよう の部分 ぶぶん に多 おお く集 あつ まるため、シンチグラフィ によって放射 ほうしゃ 性 せい 同位 どうい 元素 げんそ の82 Rbを検出 けんしゅつ することで、脳腫瘍 のうしゅよう を画像 がぞう 化 か することができる[28] 。
ルビジウムの双極 そうきょく 性 せい 障害 しょうがい やうつ病 びょう に対 たい する影響 えいきょう についての試験 しけん が行 おこな われている[29] [30] 。透析 とうせき 患者 かんじゃ にはルビジウムの消耗 しょうもう が見 み られ、したがってルビジウムのサプリメントは憂 ゆう うつを助 たす けるかもしれない[31] 。いくつかの試験 しけん において、ルビジウムは最高 さいこう 720 mgの塩化 えんか ルビジウムとして与 あた えられた[32] 。
1861年 ねん にロベルト・ブンゼンとグスタフ・キルヒホフ により、ドイツ のハイデルベルク において鉱石 こうせき のリチア雲母 うんも から分光 ぶんこう 器 き を用 もち いることでルビジウムは発見 はっけん された[3] [4] 。
グスタフ・キルヒホフ(左 ひだり )とロベルト・ブンゼン(中央 ちゅうおう )は分光 ぶんこう 器 き によってルビジウムを発見 はっけん した。右側 みぎがわ の人物 じんぶつ はヘンリー・エンフィールド・ロスコー 。
ルビジウムはリチア雲母 うんも に少量 しょうりょう 含 ふく まれる物質 ぶっしつ として存在 そんざい する。キルヒホフとブンゼンは、酸化 さんか ルビジウム (Rb2 O) をわずかに0.24%のみ含 ふく むリチア雲母 うんも を150 kg 処理 しょり した。カリウムおよびルビジウムは、ヘキサクロリド白金 はっきん (IV)酸 さん によって不溶性 ふようせい の塩 しお を与 あた えるが、これらの塩類 えんるい は温水 おんすい 中 ちゅう で可溶性 かようせい にわずかな差 さ を示 しめ す。その結果 けっか 、ヘキサクロリド白金 はっきん (IV)酸 さん カリウム よりも溶解 ようかい 度 ど の低 ひく いヘキサクロリド白金 はっきん 酸 さん ルビジウム が分別 ふんべつ 晶 あきら 出 で によって得 え られた。水素 すいそ によるヘキサクロリド白金 はっきん 酸 さん 塩 しお の還元 かんげん の後 のち 、炭酸 たんさん 塩 しお のアルコールに対 たい する溶解 ようかい 度 ど の差 さ によってルビジウムの分離 ぶんり に成功 せいこう した。このプロセスによって更 さら なる研究 けんきゅう に用 もち いるための塩化 えんか ルビジウム が0.51 g得 え られた。セシウムとルビジウムの初 はじ めての大 だい 規模 きぼ な分離 ぶんり は、キルヒホフとブンゼンによって44,000 Lのミネラルウォーター から行 おこな われ、7.3 gの塩化 えんか セシウム と9.2 gの塩化 えんか ルビジウムが分離 ぶんり された[3] [4] 。ルビジウムは、キルヒホフとブンゼンによって分光 ぶんこう 器 き が発明 はつめい されてからわずか1年 ねん 後 ご 、セシウムの直後 ちょくご に発見 はっけん された第 だい 2の元素 げんそ であった[33] 。
キルヒホフとブンゼンは、新 あたら しい元素 げんそ の原子 げんし 量 りょう を推定 すいてい するために、このようにして得 え られた塩化 えんか ルビジウムを用 もち い、その結果 けっか ルビジウムの原子 げんし 量 りょう は85.47であると見積 みつ もられた(現在 げんざい 一般 いっぱん に認 みと められている値 ね は85.47である)[3] 。彼 かれ らは溶融 ようゆう させた塩化 えんか ルビジウムの電気 でんき 分解 ぶんかい によってルビジウムの単体 たんたい を得 え ようとし、肉眼 にくがん での観察 かんさつ においても顕微鏡 けんびきょう での観察 かんさつ においても金属 きんぞく 物質 ぶっしつ であるというわずかな痕跡 こんせき も示 しめ さない、青色 あおいろ の均一 きんいつ な物質 ぶっしつ を得 え た。彼 かれ らはそれを亜 あ 塩化 えんか 物 ぶつ (Rb2 Cl) であるとしたが、それは恐 おそ らく金属 きんぞく ルビジウムと塩化 えんか ルビジウムとの、コロイド 状 じょう の混合 こんごう 物 ぶつ である[34] 。金属 きんぞく ルビジウムを得 え るための2回 かい 目 め の実験 じっけん においてブンゼンは、酒石酸 しゅせきさん ルビジウムの焼成 しょうせい によってルビジウムを還元 かんげん することができた。蒸留 じょうりゅう されたルビジウムは発火 はっか 性 せい の物質 ぶっしつ であったが、ルビジウムの密度 みつど と融点 ゆうてん を明 あき らかにすることができた。1860年代 ねんだい に行 おこな われた研究 けんきゅう の品質 ひんしつ は、現在 げんざい 一般 いっぱん に認 みと められている数値 すうち と比較 ひかく して、密度 みつど の違 ちが いが0.1 g/cm3 未 み 満 まん であり、融点 ゆうてん の違 ちが いも1度 ど 未満 みまん であることから、評価 ひょうか されている[35] 。
1908年 ねん 、ルビジウムのわずかな放射能 ほうしゃのう が発見 はっけん されたが、1910年代 ねんだい に同位 どうい 体 たい 元素 げんそ の理論 りろん が確立 かくりつ する前 まえ であり、1010 年 とし を超 こ える長 なが い半減 はんげん 期 き のために活性 かっせい が低 ひく いため、その説明 せつめい は困難 こんなん であった。現在 げんざい 証明 しょうめい された、ベータ崩壊 ほうかい によって安定 あんてい な 87 Sr となる 87 Rb の崩壊 ほうかい は、1940年代 ねんだい 後期 こうき にはまだ議論 ぎろん 中 ちゅう であった[36] [37] 。
ルビジウムは、1920年代 ねんだい 以前 いぜん にはごくわずかな産業 さんぎょう 的 てき 価値 かち しかなかった[38] 。以降 いこう のルビジウムの最 もっと も重要 じゅうよう な用途 ようと は、主 おも に化学 かがく および電子 でんし の分野 ぶんや における研究 けんきゅう 開発 かいはつ 用途 ようと であった。1995年 ねん 、E. A. コーネル (Eric A. Cornell) とC. E. ワイマン (Carl E. Wieman) は 87 Rb を用 もち いてルビジウム原子 げんし のボース=アインシュタイン凝縮 ぎょうしゅく に成功 せいこう した[39] 。この功績 こうせき により、彼 かれ らは2001年 ねん 度 ど のノーベル物理 ぶつり 学 がく 賞 しょう を受賞 じゅしょう した(W. ケターレ (Wolfgang Ketterle) と共同 きょうどう 受賞 じゅしょう )[40] 。
ルビジウムの定性 ていせい 分析 ぶんせき には発光 はっこう スペクトル 分析 ぶんせき が利用 りよう され、420から428 nmに紫色 むらさきいろ の二 に 重 じゅう 線 せん の発光 はっこう が観察 かんさつ される。また、簡便 かんべん な方法 ほうほう として炎 ほのお 色 しょく 反応 はんのう によるすみれ色 いろ の炎 ほのお 色 しょく の観察 かんさつ も行 おこな われる[41] 。
ルビジウムの重量 じゅうりょう 分析 ぶんせき 法 ほう はカリウムやセシウムと同様 どうよう の方法 ほうほう が利用 りよう される[42] 。代表 だいひょう 的 てき な方法 ほうほう として、ルビジウム溶液 ようえき に過剰 かじょう 量 りょう の硫酸 りゅうさん を加 くわ えて蒸発 じょうはつ 乾 いぬい 固 かた させ、得 え られた残 ざん 渣に炭酸 たんさん アンモニウム を加 くわ えて重量 じゅうりょう 既知 きち の白金 はっきん 坩堝 るつぼ で強 つよ 熱 ねっ することによって硫酸 りゅうさん ルビジウムとし、その重量 じゅうりょう を秤量 ひょうりょう することでルビジウム濃度 のうど が分析 ぶんせき される[43] 。また、硫酸 りゅうさん の代 か わりに濃 こ 塩酸 えんさん を加 くわ えて塩化 えんか ルビジウムとして分析 ぶんせき することもできる[44] 。ナトリウムまたはリチウムを含 ふく んでいるものでは、ヘキサクロリド白金 はっきん 酸 す もしくは亜 あ 硝酸 しょうさん コバルチナトリウム または過 か 塩素 えんそ 酸 さん を加 くわ えて、ヘキサクロリド白金 はっきん 酸 さん ルビジウムもしくは亜 あ 硝酸 しょうさん コバルチルビジウムまたは過 か 塩素 えんそ 酸 さん ルビジウムの沈殿 ちんでん を生 しょう じさせる方法 ほうほう が用 もち いられる。これらの方法 ほうほう は、エタノール で洗浄 せんじょう することによってエタノールに溶解 ようかい するリチウムおよびナトリウムの塩 しお を除去 じょきょ することができる利点 りてん があり、亜 あ 硝酸 しょうさん コバルチナトリウムを用 もち いた方法 ほうほう は特 とく に多量 たりょう の塩類 えんるい が含 ふく まれる溶液 ようえき の分析 ぶんせき に有用 ゆうよう である[45] 。しかし、このようなルビジウムの挙動 きょどう はカリウムと類似 るいじ しているためカリウムを含 ふく む試料 しりょう の重量 じゅうりょう 分析 ぶんせき は困難 こんなん である。古典 こてん 的 てき な手法 しゅほう として、ヘキサクロリド白金 はっきん 酸 さん カリウムとヘキサクロリド白金 はっきん 酸 さん ルビジウムのわずかな溶解 ようかい 度 ど の差 さ を利用 りよう してカリウムとルビジウムを分離 ぶんり する方法 ほうほう や、カリウムとルビジウムの混合 こんごう 物 ぶつ の全量 ぜんりょう を塩化 えんか 物 ぶつ として重量 じゅうりょう 分析 ぶんせき し、さらに硝酸銀 しょうさんぎん 溶液 ようえき を用 もち いてこの混合 こんごう 塩化 えんか 物 ぶつ 中 ちゅう の塩素 えんそ 量 りょう の定量 ていりょう を行 おこな い、重量 じゅうりょう と塩素 えんそ 量 りょう の連立 れんりつ 方程式 ほうていしき を立 た てて算出 さんしゅつ する方法 ほうほう などがある[46] 。
分析 ぶんせき 機器 きき を用 もち いたルビジウムの定量 ていりょう 分析 ぶんせき には原子 げんし 吸光法 ほう (AAS) または炎 ほのお 光 こう 分析 ぶんせき 法 ほう が最 もっと も簡便 かんべん であり[47] 、それらの測定 そくてい において最 もっと も高 こう 感度 かんど な吸収 きゅうしゅう 波長 はちょう は780.027 nmである[48] 。AASにおいては、通常 つうじょう は空気 くうき -アセチレン 炎 ほのお を用 もち いたフレーム原子 げんし 吸光法 ほう が用 もち いられるが、グラファイト炉 ろ 原子 げんし 吸光法 ほう を用 もち いることで、検出 けんしゅつ 限界 げんかい 1.6 pgという高 こう 感度 かんど な分析 ぶんせき が可能 かのう となる[48] [49] 。ルビジウムはそのイオン化 いおんか エネルギー の低 ひく さに起因 きいん してフレーム中 ちゅう でのイオン化 いおんか が激 はげ しく、分析 ぶんせき 結果 けっか に負 まけ の誤差 ごさ が生 しょう じて定量 ていりょう 値 ね が低 ひく くなるため、試料 しりょう 液 えき にイオン化 いおんか 抑制 よくせい 剤 ざい として高 こう 濃度 のうど のカリウム やセシウム 等 ひとし のイオン化 いおんか されやすい元素 げんそ を加 くわ えて分析 ぶんせき を行 おこな う[50] [48] 。また、他 た の元素 げんそ を原子 げんし 吸光法 ほう によって測定 そくてい する際 さい にルビジウムが共存 きょうぞん していると、ルビジウムのイオン化 いおんか しやすい性質 せいしつ によってイオン化 いおんか 干渉 かんしょう が生 しょう じて分析 ぶんせき 結果 けっか の誤差 ごさ 要因 よういん となる[51] 。
植物 しょくぶつ 体 たい 中 ちゅう のルビジウム分析 ぶんせき 法 ほう の例 れい を示 しめ す。
植物 しょくぶつ 体 たい 中 ちゅう のルビジウムは希 まれ 酸 さん で大 だい 部分 ぶぶん が抽出 ちゅうしゅつ されるため、高 こう 濃度 のうど 試料 しりょう では塩酸 えんさん 抽出 ちゅうしゅつ でも十分 じゅうぶん であるが、微量 びりょう かつ全量 ぜんりょう 分析 ぶんせき の場合 ばあい は強酸 きょうさん 分解 ぶんかい が望 のぞ ましい。なお、イオン化 いおんか 抑制 よくせい 剤 ざい としてセシウムを用 もち いた場合 ばあい は、同時 どうじ にカリウムの分析 ぶんせき も可能 かのう である。
植物 しょくぶつ 体 たい の乾燥 かんそう 粉砕 ふんさい 試料 しりょう を採 と る。
希塩酸 きえんさん を加 くわ え 振 ぶ とう抽出 ちゅうしゅつ する。
乾燥 かんそう ろ紙 し でろ過 か 、ろ液 えき を適宜 てきぎ 希釈 きしゃく する。
希釈 きしゃく 液 えき に規定 きてい 量 りょう のセシウムを加 くわ える。
原子 げんし 吸光で780 nm の吸光度 こうど を測定 そくてい する。または炎 ほのお 光 こう 光度 こうど 計 けい で780 nmの発光 はっこう 強度 きょうど を測定 そくてい する。
塩化 えんか ルビジウム は、恐 おそ らく最 もっと も使 つか われているルビジウム化合 かごう 物 ぶつ である。生化学 せいかがく において、細胞 さいぼう から DNA を取 と り出 だ すのに用 もち いられ、少量 しょうりょう で容易 ようい に生体 せいたい に取 と り込 こ まれてカリウムと置換 ちかん するため生物 せいぶつ 指標 しひょう としても用 もち いられている。他 た の通常 つうじょう のルビジウム化合 かごう 物 ぶつ としては腐食 ふしょく 性 せい の水酸化 すいさんか ルビジウム (RbOH) があり、これは光学 こうがく ガラスに用 もち いられる炭酸 たんさん ルビジウム (RbCO3 ) やルビジウム硫酸 りゅうさん 銅 どう (Rb2 SO4 •CuSO4 •6H2 O) など、大 だい 部分 ぶぶん のルビジウムをベースとした化学 かがく 反応 はんのう の出発 しゅっぱつ 原料 げんりょう として用 もち いられている。ヨウ化 か 銀 ぎん ルビジウム (RbAg4 I5 ) は、他 た のどんな既知 きち のイオン結晶 けっしょう よりも高 たか い室温 しつおん 伝導 でんどう 率 りつ を有 ゆう し、薄膜 うすまく バッテリー などの用途 ようと に利用 りよう されている[52] [53] 。
ルビジウムは、金属 きんぞく ルビジウムが空気 くうき に曝 さら されることで酸化 さんか ルビジウム Rb2 O や Rb6 O、Rb9 O2 などを含 ふく むいくつかの酸化 さんか 物 ぶつ を生成 せいせい し、過剰 かじょう な酸素 さんそ 雰囲気 ふんいき 下 か では超 ちょう 酸化 さんか 物 ぶつ RbO2 を生成 せいせい する。Rb9 O2 のような非 ひ 化学 かがく 量 りょう 論 ろん 的 てき な酸化 さんか 物 ぶつ は亜 あ 酸化 さんか 物 ぶつ と呼 よ ばれ、アルカリ金属 きんぞく 元素 げんそ の化合 かごう 物 ぶつ としては珍 めずら しくルビジウム元素 げんそ 同士 どうし の共有 きょうゆう 結合 けつごう を有 ゆう した金属 きんぞく 的 てき な外観 がいかん を持 も つ化合 かごう 物 ぶつ である[54] 。ルビジウムはイオン半径 はんけい が大 おお きいため格子 こうし エネルギー効果 こうか によって不安定 ふあんてい な陰 かげ イオンとも安定 あんてい なイオン性 せい 塩 しお を形成 けいせい することができ、その代表 だいひょう 例 れい として超 ちょう 酸化 さんか ルビジウムがある[55] 。ルビジウムはハロゲンと反応 はんのう してフッ化 か ルビジウム (RbF)、塩化 えんか ルビジウム (RbCl)、臭 におい 化 か ルビジウム (RbBr) およびヨウ化 か ルビジウム (RbI) を生成 せいせい する。
自然 しぜん に存在 そんざい するルビジウムは、安定 あんてい 同位 どうい 体 たい である 85 Rb (72.2%) および放射 ほうしゃ 性 せい 同位 どうい 体 たい である 87 Rb (27.8%) の2つの同位 どうい 体 たい 元素 げんそ から成 な っている[56] 。このようなルビジウムは1 g当 あ たりおよそ670 Bq の固有 こゆう の放射能 ほうしゃのう を有 ゆう しており、110日 とおか で写真 しゃしん フィルムを著 いちじる しく感光 かんこう させるのに十分 じゅうぶん な強 つよ さである[57] [58] 。ルビジウムの同位 どうい 体 たい は24種類 しゅるい あり、85 Rb と 87 Rb 以外 いがい のものは半減 はんげん 期 き が3か月 げつ 未満 みまん である。それらのほとんどは非常 ひじょう に強 つよ い放射能 ほうしゃのう があり、用途 ようと はほとんどない。
87 Rb の半減 はんげん 期 き は4.88 × 1010 年 とし であり、それは13.75 ± 0.11 ×109 年 とし である宇宙 うちゅう の年齢 ねんれい の3倍 ばい 以上 いじょう である[59] 。87 Rb は原生 げんせい 核種 かくしゅ (英語 えいご 版 ばん ) の1つである。ルビジウムは鉱石 こうせき において容易 ようい にカリウムと置換 ちかん するため、地球 ちきゅう 上 じょう の至 いた る所 ところ に存在 そんざい している。そのため、ルビジウムは放射 ほうしゃ 年代 ねんだい 測定 そくてい に広範囲 こうはんい で用 もち いられている。87 Rb はベータ粒子 りゅうし (β べーた - ) を放出 ほうしゅつ して安定 あんてい した 87 Sr に崩壊 ほうかい する。マグマの結晶 けっしょう 分化 ぶんか の間 あいだ 、Sr は斜 はす 長石 ちょうせき に集 あつ まる傾向 けいこう があり、Rb は液 えき 相 しょう に残 のこ る。ゆえに、マグマ残 ざん 液 えき 中 ちゅう の Rb / Sr の比率 ひりつ は時間 じかん とともに増加 ぞうか し、漸進 ぜんしん 的 てき 分化 ぶんか によって Rb / Sr 比 ひ の高 たか い石 いし が形成 けいせい される。この比率 ひりつ が最 もっと も高 たか いものでは、10以上 いじょう になるペグマタイト がある。ストロンチウムの初期 しょき 量 りょう が知 し られているか、もしくは添加 てんか することができれば、ルビジウムとストロンチウムの濃度 のうど 比 ひ および、87 Sr と 86 Sr の比 ひ をそれぞれ測定 そくてい することで年代 ねんだい を決定 けってい することができる。この方法 ほうほう は、その後 ご 石 せき が変化 へんか していない場合 ばあい においてのみ鉱石 こうせき の正確 せいかく な年齢 ねんれい を示 しめ す(ルビジウム-ストロンチウム年代 ねんだい 測定 そくてい 法 ほう (英語 えいご 版 ばん ) )[60] [61] 。
自然 しぜん に存在 そんざい しない同位 どうい 体 たい の1つである 82 Rb は、半減 はんげん 期 き が25.36日 にち である 82 Sr の電子 でんし 捕獲 ほかく (β べーた 崩壊 ほうかい の一種 いっしゅ )によって生 う み出 だ される。半減 はんげん 期 き が76秒 びょう である 82 Rb のそれ以降 いこう の崩壊 ほうかい は陽電子 ようでんし 放出 ほうしゅつ (β べーた 崩壊 ほうかい の一種 いっしゅ )によって引 ひ き起 お こされ、安定 あんてい した 82 Kr を生 う み出 だ す[56] 。
予防 よぼう 措置 そち と生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 影響 えいきょう
編集 へんしゅう
アンプルに封入 ふうにゅう された金属 きんぞく ルビジウム
ルビジウムは水 みず と激 はげ しく反応 はんのう するため、火災 かさい を引 ひ き起 お こす危険 きけん がある。安全 あんぜん 性 せい と純度 じゅんど を確保 かくほ するため、この金属 きんぞく は乾 かわ いた鉱油 こうゆ 中 ちゅう で保存 ほぞん され、通常 つうじょう は不 ふ 活性 かっせい 雰囲気 ふんいき のガラス製 せい アンプル中 ちゅう に封入 ふうにゅう される。ルビジウムは鉱油 こうゆ 中 ちゅう の少量 しょうりょう の空気 くうき への露出 ろしゅつ でさえ過 か 酸化 さんか 物 ぶつ を形成 けいせい するため、金属 きんぞく カリウムの保管 ほかん と類似 るいじ した過 か 酸化 さんか 物 ぶつ 形成 けいせい の予防 よぼう 措置 そち が取 と られる[62] 。
ルビジウムはナトリウムやカリウムのように、水 みず に溶解 ようかい しているときには+1価 か の酸化 さんか 状態 じょうたい を取 と り、これは全 すべ ての生体 せいたい 中 ちゅう での状態 じょうたい も含 ふく む。人体 じんたい は Rb+ イオンをカリウムイオンとして処理 しょり する傾向 けいこう があるため、ルビジウムは体 からだ の細胞 さいぼう 内 ない 液 えき 、すなわち細胞 さいぼう の内部 ないぶ に蓄積 ちくせき する[63] 。ルビジウムイオンは特 とく に有毒 ゆうどく ではない。70 kgの人間 にんげん は平均 へいきん 0.36 gのルビジウムを含 ふく んでおり、この量 りょう を50から100倍 ばい に増加 ぞうか させても被験者 ひけんしゃ に悪影響 あくえいきょう は見 み られなかった[64] 。人体 じんたい における生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 半減 はんげん 期 き は、31から46日 にち である[29] 。しかし、ルビジウムによるカリウムの部分 ぶぶん 的 てき な置換 ちかん は起 お こり得 え ることであり、筋 すじ 組織 そしき においてカリウムの50%以上 いじょう がルビジウムに置換 ちかん されたネズミは死亡 しぼう した[65] [66] 。
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