フェラーリ・150°イタリア

**フェラーリ・150° イタリア**
カテゴリー	F1
コンストラクター	フェラーリ
デザイナー	アルド・コスタ（テクニカルディレクター）; ニコラス・トンバジス（チーフデザイナー）; ルカ・マルモリーニ（エンジンディレクター）
先代せんだい	フェラーリ・F10
後継こうけい	フェラーリ・F2012
主要しゅよう諸しょ元もと
シャシー	カーボンファイバー/ハニカムコンポジットモノコック
サスペンション（前まえ）	ダブルウィッシュボーンプッシュロッドアクティブトーションスプリング
サスペンション（後ご）	ダブルウィッシュボーンプッシュロッドアクティブトーションスプリング
エンジン	フェラーリ Tipo056 2,398 cc 90度ど V8 NA ミッドシップ
トランスミッション	フェラーリ 7速そくセミAT
重量じゅうりょう	640 kg
燃料ねんりょう	シェル V Power
オイル	シェル Helix Ultra
タイヤ	ピレリ P Zero
主要しゅよう成績せいせき
チーム	スクーデリア・フェラーリ
ドライバー	フェルナンド・アロンソ; フェリペ・マッサ
出走しゅっそう時期じき	2011年ねん
通算つうさん獲得かくとくポイント	375
初戦しょせん	2011年ねんオーストラリアGP
初はつ勝利しょうり	2011年ねんイギリスGP
最終さいしゅう戦せん	2011年ねんブラジルGP
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フェラーリ・150° イタリア (Ferrari Centocinquantesimo Italia) は、スクーデリア・フェラーリが2011年ねんのF1世界せかい選手権せんしゅけん参戦さんせん用ように開発かいはつしたフォーミュラ1カーである。2011年ねんの開幕かいまく戦せんから最終さいしゅう戦せんまで実戦じっせん投入とうにゅうされた。フェラーリの社内しゃないコードナンバーは「662」^[2]。

概要がいよう

名称めいしょうの変更へんこう

新車しんしゃ発表はっぴょうは2011年ねん1月がつ28日にちに行おこなわれ、フィオラノサーキットでフェルナンド・アロンソのドライブによりシェイクダウンが行おこなわれた^[3]。

当初とうしょはフェラーリの母国ぼこくであるイタリアの統一とういつ（1861年ねん）から150周年しゅうねんを記念きねんして、「F150」と命名めいめいすることが発表はっぴょうされた^[4]^[5]。リアウィングの裏面りめんにはイタリア統一とういつ運動うんどうのシンボルである三さん色しょく旗はた（トリコローレ）があしらわれた。

しかし、「F-150」という名称めいしょうの商標しょうひょう権けんをもつフォードが、商標しょうひょう権けんの侵害しんがいによってフェラーリを訴うったえることを表明ひょうめいした^[6]。フェラーリはフォードに誠意せいいを表あらわすため^[7] 、車くるま名めいを「F150th Italia」に変更へんこうした^[8]。フォードとの和解わかい成立せいりつ後ご、フェラーリは再ふたたび車しゃ名めいを変更へんこうし、「F150th Italia」からFを取とり外はずし、thをイタリア語ごの序数詞じょすうし記号きごうにあたる'°'に変かえ、「150°Italia」とした^[9]。

構造こうぞう

150°イタリアの開発かいはつは2010年ねん1月がつから開始かいしされた^[10]。FOTAのリソース制限せいげん協定きょうてい (Resource Restriction Agreement:RRA) では、開発かいはつの外部がいぶ化かにより実質じっしつ的てきな制限せいげんを緩和かんわすることができるので、マラネッロの自社じしゃ風洞ふうどうのほかにTMGの所有しょゆうする風洞ふうどうも併用へいようした^[11]。

ノーズは前年ぜんねんモデルのF10よりも高たかくなり、モノコックはレッドブル風ふうのVノーズから四よん角かく断面だんめんに戻もどされた^[2]。フロントサスペンションのピックアップ位置いちは高たかくなり、ステアリングアームはアッパーウィッシュボーンより下したに配置はいちされた^[12]。

2010年ねんシーズンに流行りゅうこうしたFダクトやダブルディフューザーが使用しようできなくなることから、リアエンドは完全かんぜんに白紙はくしから設計せっけいし直なおしている^[13]。リアサスペンションは他たチームがレッドブル式しきのプルロッドに追随ついずいする中なか、依然いぜんプッシュロッドを継続けいぞくする。フェラーリはプッシュロッドを前まえ傾かたぶけさせ、サスペンションユニットをギアボックス上かみの前まえ寄よりに配置はいちすることで、リアエンドの高たかさを抑おさえるよう工夫くふうしている^[14]。シーズン中盤ちゅうばんからリアアッパーウィッシュボーンのアップライトへの接続せつぞく位置いちが高たかくなった^[15]。

排気はいき口こうの位置いちはプレシーズンテストの時点じてんではF10と同おなじだったが、その後ごレッドブルに倣ならい延長えんちょう管かんタイプに変更へんこうした。また、排気はいき吹ふきつけ効果こうかを狙ねらい、サイドポッド内部ないぶに垂直すいちょくの分岐ぶんきしたエキゾーストパイプを追加ついかしたとみられる^[16]。

KERSはマニエッティ・マレリと共同きょうどう開発かいはつを行おこない、フェラーリエンジンを使用しようするザウバーやトロ・ロッソにも供給きょうきゅうする^[2]。 2009年ねん用ようモデルのF60に搭載とうさいされたものよりも小型こがた化か、軽量けいりょう化かが進すすんでおり、燃料ねんりょうタンクの内側うちがわに搭載とうさいしている^[17]。

エンジンの開発かいはつが凍結とうけつされているが、信頼しんらい性せい面めんでの改善かいぜんやKERS搭載とうさいのための改良かいりょうが施ほどこされている^[17]。バルブまわりのニューマチックシステムの改良かいりょうや、KERS用ようの新あたらしいドッキングシステムやクランクシャフトが導入どうにゅうされた^[17]。

ガンバレ!日本にっぽん

2011年ねんシーズン開幕かいまく戦せんのオーストラリアGPでは、同月どうげつに日本にっぽんで発生はっせいした東北とうほく地方ちほう太平洋たいへいよう沖おき地震じしんの被災ひさい者しゃを応援おうえんするために、フロントウイング支持しじ板ばん部分ぶぶんに、フェラーリの日本人にっぽんじん社員しゃいんにより急せきょ作つくられた日本にっぽん国旗こっきと「ガンバレ!日本にっぽん」というメッセージが記しるされた^[18]。

なおこれは、史上しじょう初はつのフェラーリのF1マシンに書かかれた日本にっぽん国旗こっきとなった。またこの際さいに、フェルナンド・アロンソとフェリペ・マッサから被災ひさい者しゃとその家族かぞくに対たいして応援おうえんのメッセージも送おくられたほか、後のちに駐ちゅう日にちイタリア大使館たいしかんと増上寺ぞうじょうじで開催かいさいされたチャリティオークションにおいて、2人ふたりのサインの入はいった150°イタリアのパーツやグッズがオークションにかけられ、落札らくさつ代金だいきんは全すべて石巻いしのまき市しに送おくられた。

2011年ねんシーズン

ウィンターテストでは好調こうちょうで、レッドブルとともにタイトルコンテンダーに挙あげられた。しかし、レッドブル12勝しょう、マクラーレン6勝しょうに対たいして、フェラーリはイギリスGPの1勝しょうに止とまり、3年ねん連続れんぞく無冠むかんに終おわった。フェルナンド・アロンソはシンガポールGP後のちに「現実げんじつ的てきにパフォーマンス面めんで僕ぼくたちのマシンは3番手ばんてだ」と述のべた^[19]。

150°イタリアはタイヤに優やさしく、レース中ちゅうのロングランのペースは優すぐれていた。反面はんめん、タイヤのウォームアップ性能せいのうが不十分ふじゅうぶんで、予選よせんアタックや低温ていおん・ウェットコンディションといった状況じょうきょうでは充分じゅうぶんなグリップ力りょくを得えられなかった。また、ピレリタイヤのハード側がわのコンパウンドを機能きのうさせることに苦心くしんした^[20]^[21]。スペインGPではアロンソが中盤ちゅうばんまでトップを走行そうこうしながら、ハードタイヤ交換こうかん後ごにラップタイムが落おち、優勝ゆうしょうしたレッドブルのセバスチャン・ベッテルに周回しゅうかい遅おくれにされた。このレース後ごにはテクニカルディレクターのアルド・コスタが更迭こうてつされた^[22]。

序盤じょばん戦せんの不振ふしんの理由りゆうとして、自社じしゃ風洞ふうどうの実験じっけん結果けっかに誤差ごさが生しょうじたこと^[23]と、ブロウンディフューザーの開発かいはつに出遅でおくれたこと^[24]が挙あげられる。イギリスGPでアロンソが優勝ゆうしょうした際さいには、オフスロットル・ブローの禁止きんしが有利ゆうりに働はたらいたという意見いけんもあった^[25]。禁止きんし撤廃てっぱいが検討けんとうされると、フェラーリとザウバーは反対はんたいの姿勢しせいを示しめしたが、最終さいしゅう的てきには同意どういした^[26]。

チーフデザイナーのニコラス・トンバジスは過去かこ数すう年間ねんかんのデザインが保守ほしゅ的てきだったことを認みとめ、2012年ねん用ようマシンにはアグレッシブなアプローチを行おこなうと語かたった^[27]。9月以降いこうは来期らいきの開発かいはつにシフトし^[28]、終盤しゅうばん戦せんは来期らいき用ようパーツの先行せんこうテストを行おこなった。インドGPではマッサのマシンに装着そうちゃくした新型しんがたフロントウィングが激はげしく振動しんどうして路面ろめんと接触せっしょくし、前年ぜんねんのレッドブルと同様どうように「フレキシブルウィング疑惑ぎわく」が話題わだいになった^[29]。

スペック

シャーシ

シャーシ名めい 150° イタリア^[5]
シャーシ構造こうぞうカーボンファイバー/ハニカムコンポジット複ふく合あい構造こうぞうモノコック
ブレーキキャリパーブレンボ
ブレーキディスク・パッドブレンボベンチレーテッド式しきカーボンファイバーディスクブレーキ
サスペンション前後ぜんごプッシュロッドアクティブトーションスプリング
ホイール BBS13インチ
タイヤピレリ
ギアボックスフェラーリ製せい縦たて置おきスリップディファレンシャル制御せいぎょ7速そく＋リバース1速そくセミオートマチッククイックシフト
重量じゅうりょう冷却れいきゃく水すい、潤滑油じゅんかつゆ、ドライバーを含ふくめて640kg

エンジン

エンジン名めいフェラーリTipo056
気筒きとう数すう・角度かくど V型がた8気筒きとう・90度ど
排気はいき量りょう 2,398cc
最高さいこう回転かいてん数すう 18,000rpm（レギュレーションで規定きてい）
シリンダーブロックアルミニウム製せい
バルブ数すう 32
ピストンボア 98mm
重量じゅうりょう 95kg
燃料ねんりょうシェルVパワー
潤滑油じゅんかつゆシェル Helix Ultra

記録きろく

年とし	No.	ドライバー	1	2	3	4	5	6	7	8	9	10	11	12	13	14	15	16	17	18	19	ポイント	ランキング
年とし	No.	ドライバー	AUS	MAL	CHN	TUR	ESP	MON	CAN	EUR	GBR	GER	HUN	BEL	ITA	SIN	JPN	KOR	IND	ABU	BRA	ポイント	ランキング
2011	5	アロンソ	4	6	7	3	5	2	Ret	2	1	2	3	4	3	4	2	5	3	2	4	375	3位い
2011	6	マッサ	7	5	6	11	Ret	Ret	6	5	5	5	6	8	6	9	7	6	Ret	5	5	375	3位い