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噴射ふんしゃポンプ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
コモンレールから転送てんそう
12気筒きとうディーゼルエンジンのれつがた噴射ふんしゃポンプ

噴射ふんしゃポンプ(ふんしゃポンプ、えい: Injection Pump)はディーゼルエンジン燃焼ねんしょうしつうち噴射ふんしゃする燃料ねんりょうこうあつおく部品ぶひんである。

歴史れきし概要がいよう

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1938ねんボッシュせい噴射ふんしゃポンプ(ダイムラー・ベンツ 90馬力ばりき/1700rpm 6気筒きとうエンジン)

圧縮あっしゅく点火てんか内燃ないねん機関きかんであるディーゼルエンジンには噴射ふんしゃポンプは必要ひつよう不可欠ふかけつなものであり、その歴史れきしはディーゼルエンジンの開発かいはつとともにあったといっても過言かごんではない。圧縮あっしゅく行程こうていこうあつとなった燃焼ねんしょうしつない燃料ねんりょうきりするには高度こうど技術ぎじゅつ必要ひつようで、当初とうしょ霧吹きりふきやスプレーのように空気くうきちからりてっていた[1]

近年きんねんまでは噴射ふんしゃポンプはクランクシャフトカムシャフト、OHCエンジンの場合ばあいにはタイミングチェーンタイミングベルトからエンジンの駆動くどうりょくって機械きかいてき動作どうさするものが主流しゅりゅうであった。4ストローク機関きかん場合ばあいには噴射ふんしゃポンプはクランク回転かいてんすう半分はんぶん速度そくど駆動くどうされることになる。噴射ふんしゃポンプはピストンの圧縮あっしゅくじょうてん手前てまえシリンダー内部ないぶ軽油けいゆ噴射ふんしゃさせるため、その噴射ふんしゃ圧力あつりょくはガソリンエンジンの燃料ねんりょうポンプと比較ひかくして非常ひじょうたかく、200MPaをえる圧力あつりょくかることが一般いっぱんてきである。

しかし近年きんねんでは各国かっこく強化きょうかされつつある自動車じどうしゃ排出はいしゅつガス規制きせいへの対応たいおうのために、ディーゼルエンジンも高度こうど燃料ねんりょう制御せいぎょ必要ひつようとなり、電子でんし制御せいぎょしきのコモンレールディーゼルエンジンが主流しゅりゅうとなってきている。コモンレールしき当初とうしょ機械きかいしき噴射ふんしゃポンプに電子でんし制御せいぎょしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちわせることが一般いっぱんてきであったが、最新さいしんしき噴射ふんしゃポンプは電動でんどうポンプにわりつつある。

機械きかいしき噴射ふんしゃポンプはその構造こうぞうじょう内部ないぶ部品ぶひん摩耗まもうふせぐために軽油けいゆにある程度ていど以上いじょう硫黄いおうぶんふくまれていることが必須ひっすであった。しかし、日本にっぽんにおけるディーゼルしゃ規制きせい条例じょうれい平成へいせい17ねん排出はいしゅつガス規制きせいなどをクリアするためには軽油けいゆだつ硫化りゅうかおこなうことが不可避ふかひ情勢じょうせいとなったため、こうした事情じじょう噴射ふんしゃポンプの電磁でんじポンプながれに拍車はくしゃける要因よういん[注釈ちゅうしゃく 1]となっている。

噴射ふんしゃポンプは、ガソリンエンジンにおいてもきわめて初期しょき機械きかいしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちにディーゼルエンジンとおな動作どうさ原理げんりのものがもちいられたれいがある。歴史れきしうえはつのガソリンエンジンよう噴射ふんしゃポンプは1951ねん、ドイツのGoliath GP 700 Eはじめてもちいられ、その3ねんの1954ねんにはメルセデス・ベンツ300SLにも搭載とうさいされた。しかし、機械きかいしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち機構きこう複雑ふくざつなことと、ガソリン自体じたい軽油けいゆほど潤滑じゅんかつ能力のうりょくがないことなどから、製造せいぞうコストと信頼しんらいせいめんキャブレター完全かんぜんえるにはいたらなかった。

噴射ふんしゃポンプの圧力あつりょく安全あんぜんせい

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噴射ふんしゃポンプは圧縮あっしゅく行程こうていにあるシリンダーうちこうあつって燃料ねんりょう噴射ふんしゃおこな必要ひつようがあるため、ポンプや配管はいかん自体じたいきわめてたか圧力あつりょくかることになる。通常つうじょうのもので平均へいきん15,000Psi(100MPa)、圧縮あっしゅくたかいエンジンの場合ばあいには200MPaをえる圧力あつりょくかる。この圧力あつりょく衣服いふく皮膚ひふ容易ようい切断せつだん出来できほどのもののため、噴射ふんしゃポンプや分配ぶんぱいパイプにはおおむ非常ひじょう強固きょうこ構造こうぞうつことがもとめられている。そのため、ディーゼルエンジンのシステム全体ぜんたい大型おおがたし、小型車こがたしゃオートバイへの搭載とうさい困難こんなんともなるおおきな要因よういんとなっている。[2]

噴射ふんしゃポンプの種類しゅるい

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れつがた噴射ふんしゃポンプ

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れつがた噴射ふんしゃポンプのいちれい
ヂーゼル機器ききせい6気筒きとうよう

れつがた噴射ふんしゃポンプ(Inline Injection Pump)は、比較的ひかくてきふるくから存在そんざいするタイプで、日本にっぽんではボッシュAがた代表だいひょうされ、エンジンの気筒きとうすうぶんカムプランジャーいちれつならんだ、直列ちょくれつエンジンのような外観がいかん特徴とくちょうとする。構造こうぞうじょう部品ぶひん点数てんすうおお高価こうか大型おおがたする傾向けいこうがあるが、噴射ふんしゃりょうおお気筒きとうすう制約せいやくもないため、大型おおがた車両しゃりょう船舶せんぱく産業さんぎょうよう定置ていちがたエンジンなどに使つかわれている。

ガバナーからポンプないびるラックが、カムとプランジャーのあいだかれた、外周がいしゅうななめのみぞつスリーブを回転かいてんせいてん逆転ぎゃくてん)させることで、みぞわされたプランジャーの位置いち変化へんか上下じょうげ)し、その圧縮あっしゅくストロークの変化へんか噴射ふんしゃりょう制御せいぎょ増減ぞうげん)をおこなう。

噴射ふんしゃ時期じき制御せいぎょは、エンジンの回転かいてん利用りようした遠心えんしんしきのタイマーが、噴射ふんしゃポンプないカムシャフト位相いそう変化へんかさせることでおこなう。

このように、噴射ふんしゃりょう噴射ふんしゃ時期じき制御せいぎょは、スプリングやカム、おもりとうわせた機械きかい制御せいぎょ中心ちゅうしんだが、一部いちぶ電子でんし制御せいぎょれたタイプも存在そんざいする。

カムまわりの潤滑じゅんかつにはエンジンオイル使つかわれており、燃料ねんりょう潤滑油じゅんかつゆ分離ぶんりされているため、重油じゅうゆ粗悪そあく燃料ねんりょうにも対応たいおうできる。インジェクター(噴射ふんしゃノズル)にはニードルバルブ(はりべんがたわされ、ふくしつしきではたんあながた直接ちょくせつ噴射ふんしゃしきでは多孔たこうがたもちいられる。

分配ぶんぱいがた噴射ふんしゃポンプ

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分配ぶんぱいがた噴射ふんしゃポンプのいちれい
ボッシュせい6気筒きとうよう

分配ぶんぱいがた噴射ふんしゃポンプ(Distributor Injection Pump)は、れつがたいでふるくから存在そんざいするタイプで、日本にっぽんではボッシュVEがた代表だいひょうされる。海外かいがいではロータリーポンプ(Rotary Pump)ともばれ、1くみなみがたカム(フェイスカム)、プランジャー、スピルべんのみで構成こうせいされ、かく気筒きとう燃料ねんりょう分配ぶんぱいする。かく気筒きとうへのこうあつ配管はいかん同心円どうしんえんじょうならび、ガソリンエンジンのディストリビューター外観がいかんつ。

部品ぶひん点数てんすう圧倒的あっとうてきすくなく、すべての潤滑じゅんかつ燃料ねんりょうでまかなうなど、シンプルかつ合理ごうりてき基本きほん構造こうぞうち、小型こがた安価あんかである。乗用車じょうようしゃからピックアップトラック、それらをベースとしたSUVのエンジンなどに使つかわれている。構造こうぞうじょう噴射ふんしゃりょう気筒きとうすうには限界げんかいがあるが、ちゅう排気はいきりょうの6気筒きとう程度ていどまでなら十分じゅうぶん対応たいおうできる。

噴射ふんしゃりょう制御せいぎょはスピルべんひらきべん時期じき変化へんかおこない、噴射ふんしゃ時期じき制御せいぎょはフェイスカムのじく平行へいこう移動いどうさせておこなう。インジェクターはニードルバルブがたわされる。VEがた改良かいりょうばんで、内接ないせつカムと2つのプランジャーをわせたものもある。

潤滑じゅんかつ燃料ねんりょう依存いぞんする構造こうぞうじょう燃料ねんりょう性状せいじょう敏感びんかんで、とく水分すいぶん灯油とうゆ炭素たんそぶんおお不正ふせい軽油けいゆ使用しようすると潤滑じゅんかつ不良ふりょうによる故障こしょうまねきやすい。

れつがた同様どうよう機械きかい制御せいぎょ中心ちゅうしんであるが、よりきびしい排出はいしゅつガス規制きせい適合てきごうさせるため、スピルべん応答おうとうせいすぐれるソレノイドアクチュエータみ、電子でんし制御せいぎょ対応たいおうしたものもある。

電子でんし制御せいぎょ噴射ふんしゃポンプ

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電磁でんじスピルべんまれた電子でんし制御せいぎょしき分配ぶんぱいがた噴射ふんしゃポンプ

日本にっぽんいては過去かこ光化学こうかがくスモッグ社会しゃかい問題もんだいしたことから、1992ねん制定せいていされた自動車じどうしゃNOx・PMほうもとづき、段階だんかいてきNOxPM低減ていげんさせるべく政策せいさくっており、その集大成しゅうたいせい平成へいせい10ねん排出はいしゅつガス規制きせい一部いちぶ大型おおがたしゃ平成へいせい11ねん規制きせい)とした。以前いぜん規制きせいでは機械きかいしき噴射ふんしゃポンプと噴射ふんしゃノズルの改良かいりょう噴射ふんしゃ時期じきおそかくでクリアすること可能かのうであったが、この規制きせいでは当時とうじのガソリンしゃどう程度ていど以下いかのNOx排出はいしゅつりょうもとめられた。

車両しゃりょうそう重量じゅうりょう3,500 kg以上いじょう商用しょうようしゃでは、従前じゅうぜんのエンジンをベースとしつつ、噴射ふんしゃポンプを電子でんし制御せいぎょして噴射ふんしゃりょう噴射ふんしゃ時期じき緻密ちみつすることるメーカーがおおく、この程度ていど改良かいりょう規制きせいへの適合てきごう出力しゅつりょく向上こうじょう両立りょうりつできるケースもおおかった。

これ以降いこう制定せいていされた排出はいしゅつガス規制きせいでは、各地かくちディーゼルしゃ規制きせい条例じょうれい制定せいていされたことから(条例じょうれい追随ついずいするかたちで)PM低減ていげん同時どうじもとめられることとなり、平成へいせい10ねん規制きせいしゃ基本きほんとしたエンジンの改良かいりょう酸化さんか触媒しょくばい取付とりつけだけでは対応たいおうむずかしくなり、ユニットインジェクターしきやコモンレールしき採用さいようする新型しんがたエンジンへと移行いこうしてった。

独立どくりつがた噴射ふんしゃポンプ

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かくシリンダーごと個別こべつ噴射ふんしゃポンプがもうけられているタイプ。

加圧かあつ噴射ふんしゃりょう制御せいぎょはカムとプランジャーによるもので、たん気筒きとうようれつがた同様どうよう構成こうせいであり、ポンプ自体じたい駆動くどうりょくもカムシャフトによっておこなう。この形式けいしき利点りてんれつがた同等どうとう特徴とくちょうちながらもシリンダーすう増大ぞうだいわせてポンプを追加ついかすることで、エンジンにわせて容易ようい噴射ふんしゃりょう拡張かくちょうできるというてんにある。船舶せんぱく産業さんぎょうよう大型おおがたディーゼルエンジンは、たん気筒きとうエンジンをつなぎあわせて気筒きとうするモジュラー設計せっけいおおいことや、かく気筒きとう噴射ふんしゃ特性とくせい均一きんいつのため燃料ねんりょう配管はいかんひとしちょうにする必要ひつようがあるため、大型おおがたエンジンではポンプを集約しゅうやくしても燃料ねんりょう配管はいかん不用ふようながくなることなどから、このような方式ほうしき定着ていちゃくしている。

気筒きとうすうべつ複数ふくすう噴射ふんしゃポンプをつくける必要ひつよういことから、共通きょうつうによって部品ぶひん種類しゅるい削減さくげんでき、整備せいび交換こうかん個別こべつおこなえるなど、メーカーとユーザーの双方そうほうにコスト低減ていげんのメリットがある。

小型こがたのものではメルセデス・ベンツ製造せいぞうして各社かくしゃOEM供給きょうきゅうされているOM900ちょく6)やOM500V6V8)シリーズエンジンでもちいられており、噴射ふんしゃ圧力あつりょく最大さいだい1,850バールにたっする。

ユニットインジェクタしき

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ユニットインジェクタしき噴射ふんしゃポンプは、シリンダー上部じょうぶ注射ちゅうしゃのようにけ、パスカルの原理げんり応用おうようし、カムによって噴射ふんしゃする。

電子でんし制御せいぎょは、噴射ふんしゃりょうらす操作そうさおこなう。カムによる圧縮あっしゅくで2,000気圧きあつこうあつ噴射ふんしゃ可能かのうにしている。

メインポンプからインジェクタまでは低圧ていあつのパイプでつながっている。インジェクタごとに加圧かあつ機構きこうつため、従来じゅうらいがた噴射ふんしゃポンプでは不可能ふかのうこうあつ簡単かんたんられることから、燃料ねんりょう微粒びりゅうによる完全かんぜん燃焼ねんしょうおこなえ、燃費ねんぴ改善かいぜん効果こうかがある。フォルクスワーゲン・アウディグループ(げんフォルクスワーゲングループ)が燃費ねんぴさい優先ゆうせんかんがえでこの方式ほうしきえらんだ。また、ランドローバーTd5エンジンにも、このユニットインジェクタしき採用さいようされている。なお、このTd5エンジンを搭載とうさいしたディフェンダー110は、2002ねん平成へいせい14ねん)から2005ねん平成へいせい17ねん)のあいだ日本にっぽんにも正規せいき輸入ゆにゅうされていた。

日本にっぽんでは、日産にっさんディーゼル(げん・UDトラックス)1しゃのみが開発かいはつつづけ、尿素にょうそSCRシステムとのわせで、平成へいせい17ねん排出はいしゅつガス規制きせい新長しんちょう規制きせい)への適合てきごうを、大幅おおはば前倒まえだおしでたしている。尿素にょうそSCRシステムは、排気はいき尿素にょうそすい噴射ふんしゃし、酸素さんそ完全かんぜん燃焼ねんしょう結果けっか発生はっせいするNOxを、アンモニアみずによって窒素ちっそみず還元かんげんするもので、大型おおがたしゃようはじめ、一部いちぶ乗用車じょうようしゃ商用しょうようしゃのディーゼルエンジンにとって、排出はいしゅつガスの浄化じょうかかせない装備そうびとなっている。

コモンレールしき

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コモンレール(Common rail 〈英語えいごばん)システムは、従来じゅうらいのディーゼルエンジンにおける燃料ねんりょう噴射ふんしゃ仕組しくみとはまったことなり、ガソリンエンジンでつちかわれた電磁でんじしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち技術ぎじゅつ応用おうようし、ちょう高圧こうあつえられるように変更へんこうしたものである。コモンレールは「ぜん気筒きとう共通きょうつうなレール」と意味いみであるが、ここでのレールは「軌条きじょう」ではなく、中空なかぞらの「かんじょう金属きんぞくせい丈夫じょうぶ容器ようきで、ガソリンエンジンの燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちにおける「デリバリパイプ」の役割やくわりちかい。このなか燃料ねんりょうあつおくしてこうあつのまま一時いちじてきたくわえるため、コモンレールは一種いっしゅ蓄圧ちくあつともえる。

噴射ふんしゃポンプはく、燃料ねんりょう加圧かあつは「サプライポンプ」がおこない、噴射ふんしゃ制御せいぎょECUによる「電磁でんじしきインジェクタ」がおこなう、分業ぶんぎょう方式ほうしき燃料ねんりょう噴射ふんしゃ方式ほうしきである。噴射ふんしゃ制御せいぎょ加圧かあつとはべつかくインジェクタでおこなわれるため、ポンプは無理むりなカムリフトや噴射ふんしゃ制御せいぎょから解放かいほうされた。 最新さいしん排出はいしゅつガス規制きせい対応たいおうしたディーゼルエンジン(クリーンディーゼル)において、噴射ふんしゃりょう噴射ふんしゃタイミングともに精密せいみつ制御せいぎょおこない、燃焼ねんしょう温度おんど圧力あつりょく自在じざい制御せいぎょできる方式ほうしきとして主流しゅりゅうになっている。

ディーゼルエンジンの歴史れきしにコモンレールの名前なまえあらわれたのは、1910年代ねんだい終盤しゅうばんボッシュによるものが最初さいしょであるが、当時とうじひらきべんあつは90 bar程度ていどひくく、インジェクタひらきべん圧縮あっしゅく空気くうきによるもので、そのためのエアーコンプレッサー必要ひつようとした。1,800 barをえるひらきべんあつ電子でんし制御せいぎょによるソレノイドピエゾ素子そしもちいたインジェクタをそなえた現在げんざいのコモンレールとは文字通もじどお隔世かくせいかんがあるが、基本きほん原理げんりおなじである。

近代きんだいてきなコモンレールは、1960年代ねんだい後半こうはんスイスのロベルト・フーバー(英語えいごばん)がその原型げんけい開発かいはつ、スイス工科こうか大学だいがく中心ちゅうしんとなり研究けんきゅうすすんだ[3][4]環境かんきょう対策たいさくとしての現在げんざいのコモンレール方式ほうしきはじめて実用じつようしたのは日本にっぽんデンソーであり、伊藤いとう昇平しょうへい宮木みやぎ正彦まさひこ中心ちゅうしんとして、ECD-U2という名称めいしょう開発かいはつされ、1995ねんすえ日野ひのライジングレンジャー搭載とうさいされた。

マニエッティ・マレリでは1990ねんより、フィアットリサーチセンター(ばん)、エラシス(ばん)とともにコモンレール方式ほうしき開発かいはつつづけていたが、フィアット経営けいえい不振ふしんにより該当がいとう技術ぎじゅつ特許とっきょ1994ねんにボッシュに売却ばいきゃくされた。その1997ねんにボッシュが実用じつようし、アルファロメオ156 2.4 JTD乗用車じょうようしゃようとしてはつ搭載とうさいされ[5]よく1998ねんにはメルセデス・ベンツが OM611 エンジン(独語どくごばん英語えいごばん)をC200 CDI/C220 CDIE200 CDI/E220 CDI搭載とうさいした。

コモンレールようサプライポンプ

現在げんざい電磁でんじしきインジェクタはひらけべん行為こういのみをつため、従来じゅうらい噴射ふんしゃ方式ほうしきくら噴射ふんしゃ時期じき自由じゆう大幅おおはば向上こうじょうし、また電子でんし制御せいぎょ技術ぎじゅつ向上こうじょうによって1行程こうていちゅうにパイロット、プレ、メイン、アフター1、アフター2、ポストのような6分割ぶんかつ噴射ふんしゃ可能かのうとなっており、燃料ねんりょう消費しょうひおさえつつ、燃焼ねんしょうしつない急激きゅうげき温度おんど圧力あつりょく上昇じょうしょうふせぐことができるなど、NOx発生はっせいおさえ、かつ、PMもすくない、完全かんぜん燃焼ねんしょうのための理想りそうてき噴射ふんしゃ実現じつげんする制御せいぎょ可能かのうとなった。

ただし、ちょう高圧こうあつ噴射ふんしゃのため、サプライポンプ・インジェクターども噴射ふんしゃポンプしき以上いじょう内部ないぶ潤滑じゅんかつ性能せいのう要求ようきゅうされるが、脱硫だつりゅうすすんだ現在げんざい軽油けいゆでは(必要ひつよう潤滑じゅんかつ性能せいのうたもため添加てんかざい使用しようしているものの)度々たびたび潤滑じゅんかつ不足ふそくしょうじ、通常つうじょう運転うんてん範囲はんいでも故障こしょうしょうじるケースがある。とく灯油とうゆぶんおおい「寒冷かんれいよう軽油けいゆ」を使用しようする機会きかいおお車両しゃりょうおおい。

近年きんねん車種しゃしゅ排出はいしゅつガス浄化じょうかのための酸化さんか触媒しょくばいNOx吸蔵還元かんげん触媒しょくばいディーゼル微粒子びりゅうしあつまりフィルター装備そうびしており、定期ていきてきにこれらに蓄積ちくせきしたススをはら必要ひつようがあるが、専用せんよう燃料ねんりょう添加てんかべんたないシステムの場合ばあい意図いとてきアフターファイアー発生はっせいさせ排気はいきシャッターをしぼこと燃焼ねんしょう機構きこう作動さどうさせる(ポスト噴射ふんしゃばれ、これらの浄化じょうか装置そうちつエンジンにおけるエンジンオイルの希釈きしゃく原因げんいんでもある)。これらの場合ばあい硫黄いおうぶんおお従来じゅうらい軽油けいゆや、灯油とうゆ炭素たんそぶんおお不正ふせい軽油けいゆ使用しようすると短時間たんじかん故障こしょうまね原因げんいんとなる。

インジェクターには製造せいぞうじょうけられない個体こたいがあるが、その内容ないよう本体ほんたい印字いんじされており、故障こしょう整備せいびなどでインジェクターを交換こうかんした場合ばあい、その特性とくせいエンジン制御せいぎょコンピューター記憶きおくさせる必要ひつようがある[6]

応用おうよう

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ディーゼルエンジンの燃料ねんりょう噴射ふんしゃにはこうあつ必要ひつようとなり、噴射ふんしゃされる液体えきたいせんだんにさらされる。これを利用りようねばたび指数しすう向上こうじょうざいのせんだん安定あんていせいをディーゼルの燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちもちいて計測けいそくする試験しけん方法ほうほう存在そんざいする。この試験しけん方法ほうほう世界せかいてき使つかわれておりASTMDIN、CEC、JPIなどおおくの規格きかく採用さいようされている。

この試験しけんにはボッシュせい燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうち使用しようするためボッシュインジェクタ試験しけんなどとばれることもある。また国内こくないではあまり使つかわれないが海外かいがいではKurt Orbahn試験しけんなどとも場合ばあいもある。 試験しけん内容ないよう測定そくていする液体えきたいを30サイクル噴射ふんしゃさせて計測けいそくするのが基本きほんとなるが過酷かこく条件じょうけん想定そうていした場合ばあいは90サイクルなど回数かいすうやしておこなこともある。

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ なお、旧来きゅうらい機械きかいしき噴射ふんしゃポンプの潤滑じゅんかつ対策たいさくとして、ガソリンスタンドでは専用せんよう潤滑じゅんかつ添加てんかざいもちいることで対処たいしょおこなっている。

出典しゅってん

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  1. ^ 噴射ふんしゃ - Weblio(2015年版ねんばん大辞林だいじりんのみ2004年版ねんばん)。
  2. ^ High-pressure injection injuries to the hand
  3. ^ ECD-U2 - 日本にっぽん自動車じどうしゃ技術ぎじゅつ180せん
  4. ^ デンソーテクニカルレビュー Vol.7 No.1 2002 (PDF)
  5. ^ New Powertrain Technologies Conference”. autonews.com. 2008ねん4がつ8にち閲覧えつらん
  6. ^ Land Rover Defeder Workshop Manual 1999-2002

ドイツばんにおける参考さんこう文献ぶんけん

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  • Richard van Basshuysen, Fred Schäfer: Handbuch Verbrennungsmotor Grundlagen, Komponenten, Systeme, Perspektiven. 3. Auflage, Friedrich Vieweg & Sohn Verlag/GWV Fachverlage GmbH, Wiesbaden, 2005, ISBN 3-528-23933-6
  • Hans Jörg Leyhausen: Die Meisterprüfung im Kfz-Handwerk Teil 1. 12 Auflage, Vogel Buchverlag, Würzburg, 1991, ISBN 3-8023-0857-3
  • Max Bohner, Richard Fischer, Rolf Gscheidle: Fachkunde Kraftfahrzeugtechnik. 27.Auflage, Verlag Europa-Lehrmittel, Haan-Gruiten, 2001, ISBN 3-8085-2067-1
  • Klaus D Linsmeier, Achim Greis: Elektromagnetische Aktoren. Physikalische Grundlagen, Bauarten, Anwendungen. In: Die Bibliothek der Technik, Band 197. Verlag Moderne Industrie, ISBN 3-478-93224-6
  • Erklärung und Quelle zur Common Rail Hochdruck-Pumpe

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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